特許第6275142号(P6275142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6275142LED及び改良反射コリメータを備えた照明デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275142
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】LED及び改良反射コリメータを備えた照明デバイス
(51)【国際特許分類】
   F21V 7/09 20060101AFI20180129BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20180129BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20180129BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20180129BHJP
   F21V 29/51 20150101ALI20180129BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20180129BHJP
   F21V 29/71 20150101ALI20180129BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20180129BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180129BHJP
【FI】
   F21V7/09 510
   F21S2/00 310
   F21V29/503
   F21V29/76
   F21V29/51
   F21V5/04 650
   F21V29/71
   F21V29/67 100
   F21S2/00 230
   F21Y115:10
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-527980(P2015-527980)
(86)(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公表番号】特表2015-531152(P2015-531152A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】IB2013056346
(87)【国際公開番号】WO2014030085
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2016年7月28日
(31)【優先権主張番号】61/692,258
(32)【優先日】2012年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/715,879
(32)【優先日】2012年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ドロス オリバー
(72)【発明者】
【氏名】カダイク シモン エメ
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−125197(JP,A)
【文献】 特開2001−283616(JP,A)
【文献】 特開昭56−093205(JP,A)
【文献】 特表2012−506622(JP,A)
【文献】 特表2008−517425(JP,A)
【文献】 実開平01−016013(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 7/09
F21S 2/00
F21V 5/04
F21V 29/503
F21V 29/51
F21V 29/67
F21V 29/71
F21V 29/76
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主方向に発光する少なくとも1つのLEDを含む光源コネクタを備えたハウジングと、
前記ハウジングに接続された反射コリメータであって、前記反射コリメータは、熱換気に適したエアスリットによって互いに間隔を空けた複数の反射セグメントを含み、当該反射セグメントは、光源によって生成された横断的方向に発せられた光を前記主方向に対して実質的に平行な方向に向けて反射する、反射コリメータと、
前記反射コリメータの中心部上又は内に配置され、前記主方向に対して実質的に平行な方向に向けて前記光源によって生成された中心に発せられた光をコリメートする屈折コリメータと、を備え、
前記デバイスの前記少なくとも1つのLEDは、接続手段を介して前記反射セグメントと熱的に接続され、前記反射セグメント及び前記接続手段は、熱伝導性材料を含む、
照明デバイス。
【請求項2】
基板上に配置され、主方向に発光する少なくとも1つのLEDを含む光源コネクタを備えたハウジングと、
前記ハウジングに接続された反射コリメータであって、前記反射コリメータは、熱換気に適したエアスリットによって互いに間隔を空けた複数の反射セグメントを含み、当該反射セグメントは、光源によって生成された横断的方向に発せられた光を前記主方向に対して実質的に平行な方向に向けて反射する、反射コリメータと、
前記反射コリメータの中心部上又は内に配置され、前記主方向に対して実質的に平行な方向に向けて前記光源によって生成された中心に発せられた光をコリメートする屈折コリメータと、
前記基板に対して前記反射コリメータと反対側に配置されたエアムーバーと、を備え、
前記基板は、第1スルーホール及び第2スルーホールを含み、前記第1スルーホールが前記第2スルーホールよりも前記少なくとも1つのLEDから遠位に配置され、
前記エアムーバーは、前記第2スルーホールを通じて前記エアムーバーへ向かう気流を生じさせ、前記エアムーバーから前記第1スルーホールに向かう気流を形成するように配置されている、
照明デバイス。
【請求項3】
前記光源コネクタは、列に配置された複数のLEDを含み、前記反射セグメントは、長手形状を有し、前記LEDによって規定された前記列と実質的に平行に伸びる対で配置される、請求項1又は2に記載の照明デバイス。
【請求項4】
前記光源コネクタは、高密度実装配列で配置された1つ又は複数のLEDを含み、前記反射セグメントは、リング形状である、請求項1又は2に記載の照明デバイス。
【請求項5】
隣接する反射セグメントは、前記デバイスの動作中、前記光源から発せられた光が隣接するセグメント間で実質的に少しも漏れ出る事ができず、あるセグメントから隣接するセグメント上に影が実質的に少しも落ちないように配置される、請求項1乃至の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項6】
前記反射セグメントの反射面は曲線を描く、請求項1乃至の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項7】
前記反射セグメントの反射面の少なくとも一部が反射ファセットを含む、請求項1乃至の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項8】
前記反射セグメントに含まれた前記ファセットは、半径方向及び回転方向の両方に延在する、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項9】
前記反射セグメントの前記反射面は、半径方向に延在するTIR溝を含む光学的に透明な誘電材料から成る、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項10】
前記接続手段は、ヒートパイプを含む、請求項に記載の照明デバイス。
【請求項11】
前記光源コネクタは、少なくとも1つのLEDを含む、請求項1乃至10の何れか一項に記載の照明デバイス。
【請求項12】
主方向に発光する少なくとも1つのLEDを含む光源コネクタを備えたハウジングと、前記ハウジングに接続された反射コリメータであって、前記反射コリメータは、熱換気に適したエアスリットによって互いに間隔を空けた複数の反射セグメントを含み、当該反射セグメントは、光源によって生成された横断的方向に発せられた光を前記主方向に対して実質的に平行な方向に向けて反射する、反射コリメータと、前記反射コリメータの中心部上又は内に配置され、前記主方向に対して実質的に平行な方向に向けて前記光源によって生成された中心に発せられた光をコリメートする屈折コリメータと、含む照明デバイスの製造方法であって、
前記反射コリメータの前記反射セグメント、前記反射セグメントと前記少なくとも1つのLEDとを接続する接続手段、及び前記屈折コリメータを製造するステップと、
前記反射セグメント、前記接続手段、及び前記屈折コリメータをコリメータ部品として位置決め及び接続するステップと、
前記コリメータ部品を前記少なくとも1つのLEDに対してアライメント及び接続するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
射出成形によって、前記反射セグメント、前記接続手段、及び前記屈折コリメータが単一のステップで製造される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反射セグメント及び前記接続手段は、メタライズ層を備えた誘電材料から成る、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主方向に発光する少なくとも1つのLEDを含むように構成された光源コネクタを備えたハウジング及びハウジングに接続された反射コリメータを含む照明デバイスに関する。本発明は、そのような照明デバイスの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭の段落で言及したタイプの照明デバイスがそのようなものとして公知である。例えば、特許公報の米国特許第7891842−B2号は、ハウジング内に配置されたLED及びこのハウジングに取り付けられたリフレクタを備えた照明デバイスを開示する。リフレクタは、LEDによって発せられた光を実質的にコリメートする事ができる概円錐体として設計される。複数の換気孔がリフレクタ本体の反射面に形成される。これらの換気孔は、照明デバイスの動作中にLEDによって生成された熱の放散を可能にする。熱放散を向上させる為に、追加の孔を有する環状フランジが円錐リフレクタ本体の主端部に形成される。
【0003】
公知の照明デバイスは、種々の欠点を継承している。言及した特許公報の図面に示されるように、LEDによって生成された光をコリメートする為に選択されたリフレクタの設計は、「深い」又は「長い」リフレクタを必要とする。従って、公知のリフレクタの「アスペクト比」(長さ/直径)は、やや高い。更に、リフレクタにおける換気孔は、リフレクタの反射の質を阻害し得る。この欠点は、リフレクタが実質的に平行な光ビームとしてLEDによって生成された光を発する反射コリメータとして設計される場合に、特に問題となる。最後に、LEDによってリフレクタの内部で生成された熱の放散が最適ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これら及びあり得る他の欠点を克服又は少なくとも軽減する目的を有する。より詳細には、本発明は、コンパクトな設計に最適なコリメーション特性を組み合わせた照明デバイスを提供する事を目的とする。また、本発明の照明デバイスは、向上した熱放散を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これら及びあり得る他の目的は、主方向に発光する少なくとも1つのLEDを含むように構成された光源コネクタを備えたハウジングと、ハウジングに接続された反射コリメータであって、コリメータは、熱換気に適したエアスリットによって互いに間隔を空けた複数の反射セグメントを含み、これらのセグメントは、光源によって生成された横断的方向に発せられた光を前記主方向に対して実質的に平行な方向に向けて反射するように構成された反射コリメータとを含む照明デバイスを用いて達成され、この照明デバイスは、前記主方向に対して実質的に平行な方向に向けて光源によって生成された中心に発せられた光をコリメートするように構成された屈折コリメータを含む。
【0006】
本発明は、発明者らによって得られた、コリメータが幾つかの互いに分離した反射セグメントから成る設計を用いる事によって公知の照明デバイスのコンパクトさ及び熱放散を大幅に向上させる事ができるという洞察に基づくものである。これらのセグメントは、基本的に、異なる焦点距離(焦点と放物線の頂点との距離)を有する放物線状の反射外形を有する部分である。これらのセグメントは、隣接するセグメント間にエアスリットが連続して存在するように配置される。このタイプのエアスリットは、ハウジングと、ハウジングに隣接するセグメントとの間にも存在してもよい。但し、後者のタイプのエアスリットは、本発明の機能にとって必須ではない。ハウジングは、光源が上に取り付けられる基板として具現化されてもよい。しかしながら、それは、必要であれば電子機器及び配線と共に光源が内部又は上に配置されるボウル又は箱形状の容器でもよい。屈折コリメータは、好ましくは、光学レンズとして具現化される。特に、例えば光出射窓全体に亘って光を放射する及び反射セグメントのみを含むコリメータとは対照的に、屈折コリメータによって、光ビームの中心部分も主方向と平行な光線として放射される事が達成される。更に、反射セグメントのみを含むコリメータでは、中心セグメント(即ち、光軸又は光軸面に近い)は、主方向とほぼ平行に延在し、従って、前記コリメータが比較的深くなり、その結果、好ましくない高アスペクト比を有する事になる。フレネルレンズは、照明デバイスのコンパクトさを維持するので、最も好ましい。従って、そのようなフレネルレンズが反射コリメータの中心部分上又は内部に配置された場合に、デバイスのアスペクト比は、殆ど又は全く変化しない。
【0007】
好ましくは、反射セグメントは、最も一般的に用いられるリフレクタの形であるので、リング形状、直線、円形、又は多角形の形状である。外側の反射セグメント及び比較的中心の反射セグメントは別として、全て(その他、中間)の反射セグメントは、両面反射セグメントでもよい。両面反射セグメントは、1つのピースとして作られ、両面が反射性である、即ち、通常互いに異なる外形を有した反射性第1の主面及び反射性第2の主面を有する一体型セグメントとして理解されるものである。あるいは、両面セグメントは、互いに方向を変えた非反射面を有する2つ以上の片面反射セグメントの配置及び組み合わせを含み、これらの片面反射セグメントは合わせて、事実上一体型の1つのピースの両面反射セグメントを形成すると理解されるものである。これらの反射セグメントは、ホルダーによって適所に保持される。一般的に、反射コリメータは、以下のように機能する:
−第1の反射セグメントは、その第1の反射主面によって、光源から来る光を一度反射された光として、照明デバイスによってターゲット方向に放射された光ビームの中心軸又は面から更に離れた半径方向にある第2の反射セグメント、即ち、円形の反射セグメントの場合、より大きい全径の反射セグメント上へと反射する;
−対応する第2のセグメントは、その第2の反射主面によって、一度反射された光を二重反射光として、ターゲット領域へのターゲット方向と実質的に平行な方向に反射し、このターゲット方向は、通常、照明デバイスの光軸に相当する。第1及び第2の反射セグメントの傾斜角及び大きさ/サイズは(但し、これは一般的に全ての反射セグメントに当てはまる)、基本的に直接又は反射光線経路の妨害(影形成)が生じず、基本的に全て、即ち、光源からの光の90%を超える、95%を超える、又は98%が捕捉及びコリメートされるように選択される。
【0008】
光学的概念は、例えばLEDでもよいランバート光源からの全ての光を収集及びコリメートする、即ち、コリメーション効率は100%に近づく(比較的小さな反射損失は考慮しない)。光学的概念は、コンパクトなショートアーク高圧ガス放電ランプ又はハロゲン白熱灯を用いた場合でも機能し、それは、そのような均一に発光する光源の半球状立体角よりも大きい角度をカバーするように設計する事ができる。
【0009】
セグメント化されたコリメータの設計により、長い又は深い反射コリメータ本体は不必要である。従って、照明デバイスの「アスペクト比」は、比較的小さく設計する事ができる。また、比較的大きなエアスリットを隣接する反射セグメント間と同様に、反射コリメータとハウジングとの間に設計する事ができる。反射セグメントは、薄くする事ができ、それらの配向により、反射セグメントは、エアフローに対して微小の抵抗を示す。従って、ハウジング及びコリメータによって規定された空間内でLEDによって生成された熱は、これらのエアスリットを通り抜ける空気の対流によって、今度は比較的簡単に周囲に換気する事ができる。従って、本発明の設計は、低アスペクト比及び照明デバイスの前端部において熱放散の為の最適設計を達成する自由を多く与える。
【0010】
以下により詳細に示されるように、本発明の設計の反射コリメータは、特に横断的方向に発せられた光のコリメートに適している。これは、LEDによって発せられる光の主方向から約30°を超える角度離れて発せられた光として理解されるものである。より小さな角度で発せられた光(一般に中心に発せられた光と呼ぶ)は、コリメートされないままとなり得る又は異なる手段によってコリメートされ得る。発せられた光の後者の部分は、本発明に従って設計されたような反射コリメータによって効率的にコリメートする事はできない。「約」という単語は、30°の角度が最適であると考えられるが、この角度は、多少小さく又は大きく選択する事もできる事を示す。前記角度は、25°若しくは35°でもよい、又は20°〜40°の範囲の何れの角度でもよい。「実質的に平行」という表現は、コリメート光が最大で20°、好ましくは最大で10°、及び最も好ましくは最大で5°の偏差で発せられた光の主方向に対して平行である事を意味する。本発明は、1つ又は複数のLEDを恒久的に含む照明デバイス及び光源コネクタにおいてLEDの取り込み又は交換に適応したデバイスの両方において具現化される事が考慮されている。後者のコネクタは、LEDと照明デバイスの電源との電気コンタクトをアレンジする。
【0011】
任意選択的に、光源を通る、反射セグメントを横断する、及びターゲット方向に沿った断面で見た場合、両面反射セグメントは、入れ子構造で配置される。この反射セグメントの配置は、ターゲット方向から増加する軸外角度で発せられた光源からの光線を光出射窓の中心から増加する半径方向距離にある光出射窓から出射させる。アッベの正弦条件と一致して、そのような特徴を実現させるコリメータは、比較的一定の倍率を生み出す。アッベの正弦条件は、レンズ又は他の光学系がターゲット領域において軸外及び軸上の物体の鮮明な像を生み出す為に、それによって満たされなければならない条件である。照明デバイスの場合、これは、パターンの端部における良好なカットオフにつながる。
【0012】
本発明の照明デバイスの興味深い実施形態は、光源コネクタが列に配置された複数のLEDを含むように設計され、反射セグメントは、長手形状を有する及びLEDによって規定された列と実質的に平行に伸びる対で配置されるという特徴を持つ。この実施形態は、所謂「ライン照明」において特に有用である。そのような実施形態では、対のリフレクタセグメントの個々のセグメントは、デバイスの動作中に複数のLEDによって発せられる光ビームの主方向によって規定される「光軸面」の両側に配置される。
【0013】
原則として、複数のLEDは曲線に配置する事ができるが、それらを直線に配置する事が好ましい。後者の設計では、長手方向反射セグメントも、真っすぐな形を有し、この形は、曲線の形よりも簡単に製造する事ができる。LEDの列は、1つの光源位置につき1つのLEDを有するように設計されてもよいが、1つの光源位置につき2つ以上の密接に隣接したLEDを有する列も実現可能である。列に配置されたLEDは、隣接するLEDが直ぐ近くにあるように設計されてもよいが、列上の隣接するLEDは、ある(好ましくは同じ)距離離れてもよい。LEDは、平面上に配置され得るが、段構造上にLEDを配置する事も可能である。
【0014】
本発明の照明デバイスの別の興味深い代替実施形態は、光源コネクタが高密度実装配列で配置された1つ又は複数のLEDを含むように設計され、反射セグメントは、リング形状であるという特徴を持つ。本発明のこの実施形態は、光源がコンパクトディスク状の光源と実質的に似たスポット照明用途にとって特に興味深いものである。前記光源は、単一の高出力LED又は幾つかの近くに共に配置された同様のLEDを含んでもよい。この点において、近い距離で対称的に配置された3つ、4つ、又は7つのLEDを用いたコンパクト設計が好ましい。LEDは、個々のLEDパッケージとして又は所謂チップオンボードアレイとして利用する事ができる。
【0015】
本発明の範囲内で、照明デバイスにおいて様々なリング形状のセグメントを適用する事ができる。従って、多角形、長方形、及び正方形状の反射セグメントを有する反射コリメータが、楕円形状の反射セグメントを含む反射コリメータと同様に、全て実現可能である。しかしながら、好ましいのは、実質的に円形状を有する反射セグメントである。本発明の照明デバイスの後者の設計は、現在人気のあるスポットライト設計に最もよく似ている。言及した形状は、セグメント及びLEDの平均光軸に対して垂直な平面を通る断面によって得られた外形によって規定される。
【0016】
本発明による照明デバイスの更に興味深い実施形態は、デバイスの動作中、光源によって発せられた光が隣接するセグメント間で実質的に少しも漏れ出る事ができない及びあるセグメントから隣接するセグメント上に影が実質的に少しも落ちないように隣接する反射セグメントが配置される事を特徴とする。非反射光がコリメータの隣接するセグメント間のギャップを介して漏れ出る事ができる場合、望ましくない光損失が存在する。リフレクタセグメントの反射面上の影の領域も望ましくない。そのような影は、コリメータ表面の機能部分を減少させる。また、そのような領域の存在は、コリメート光ビームの最大達成可能強度を低下させる。更に、そのような影は、反射コリメータの準最適設計を意味し、リフレクタ材料の不必要な増加及び熱放散の低下につながる。また、反射コリメータが光源と光出射窓との間に部分的に配置されるだけでなく、光軸に沿って上流側から見て、光源を越えて部分的に配置される本発明による照明デバイスが構想される。この実施形態は、基本的にコリメートされた二重反射光の平行光線のみが照明デバイスから放射されるという利点を持つ。
【0017】
同様に興味深いのは、反射セグメントの反射面が曲線を描くという発明的特徴を有する照明デバイスである。セグメントの反射面が平坦である又はより好ましくは平坦なファセットを有した多面構造を有する場合に、LEDによって発せられた光の実質的なコリメーションが既に得られている事に留意されたい。しかしながら、反射面が曲線を描く場合に向上したコリメーションが得られる。曲面の外形は円形でもよいが、放物線状の外形が、そのような外形が理論上最大コリメーションを提供する事ができるので好ましい。後者の実施形態では、様々なセグメントの反射面は、異なる焦点距離を有する点で互いに異なる一連の放物線の部分を形成する。これらのセグメント部分は、それらの焦点(リング形状コリメータの場合)又は焦線(長手形状コリメータの場合)が一致するように配置される。後者の設計では、光源は、そのように配置されたリフレクタセグメントの焦点又は焦線に配置されるべきである。
【0018】
断面における、即ちそれらの長手方向を横断する反射セグメント部分の外形は、直線状、楕円状、又は放物線状と選択する事ができるが、2つの非球面プロファイルが、特に幅のある光源用に設計される場合に特定の利点を有する。追加的又は代替的に、反射セグメント上に例えばミラーセグメンテーション又はファセットのオーバーレイ構造を設ける事もできる。この構造は、各反射セグメントの外形からの逸脱又は半径方向及び回転方向の両方におけるファセット化でもよい。反射セグメントの反射面の少なくとも一部が反射ファセットを含む本発明の照明デバイスの実施形態にも関心が向けられる。これらのファセットは、平坦でもよい又は1つ若しくは2つの方向の湾曲を有してもよい。それらは、凹面又は凸面でもよい。このようなファセットは、LEDによって生成されるコリメートビームの均一性を向上させる、ビーム成形の微調整を行う、及び/又は光パターンの色混合を行う事ができる。異なる波長の放射を発するLEDが使用される場合、そのようなファセットは、照明デバイスによって発せられる光ビームにおける色混合を向上させる事ができる。反射セグメントに含まれるファセットが半径方向及び回転方向の両方に延在する場合に、最も高いビーム均一性及び色混合が得られる。
【0019】
本発明の照明デバイスの別の魅力的な実施形態は、リフレクタセグメントの反射面が半径方向に延在するTIR溝を含む光学的に透明な誘電材料から成る事を特徴とする。そのような設計では、反射面に当たる光線は、リフレクタの前面において第1の屈折、その後、1つの溝表面で第1の全内部反射(=TIR:total internal reflection)、次に、1つの溝表面で第2の全内部反射、及び最後に回転された前面において第2の屈折を受ける。溝表面の各対が実質的に90°の角度を形成するようにTIR溝が形成される場合、説明したようなビームの軌跡は、基本的に、単一の鏡面反射と同じ様に作用する。
【0020】
先に詳述したように、中心に発せられた光は、主方向から約30°以下の小角度で光源によって発せられた光として理解されるものである。そのような光は、本発明の照明デバイスのリフレクタセグメントによってコリメートする事が難しい。そのような光のコリメーションは、セグメントの反射面に対する非常に小さな反射角度を意味する。また、発せられた光のこの部分を反射する為に必要な隣接するセグメントの配置は、互いに非常に近くあるべきである。これを考慮して、LEDによって発せられたような光の中心部分をコリメートする為のレンズ等の屈折素子の使用が好ましい。「約」という単語は、30°の角度が最適であると考えられるが、この角度は、多少小さく又は大きく選択する事もできる事を示す。前記角度は、25°若しくは35°でもよい、又は20°〜60°の範囲の何れの角度でもよい。「実質的に平行」という表現は、コリメート光が最大で20°、好ましくは最大で10°、最も好ましくは最大で5°の偏差で発せられた光の主方向に対して平行である事を意味する。
【0021】
本発明の照明デバイスの興味深い別の実施形態は、デバイスの少なくとも1つのLEDは、接続手段を介して反射セグメントと熱的に接続され、反射セグメント及び接続手段は、熱伝導性材料を含むという特徴を持つ。この実施形態の特徴は、LEDによって生成された熱の反射セグメントへの効率的な伝達を可能にする。この伝達された熱は、後に、空気の対流によって放散する事ができ、この流れは、開放されたエアギャップを通って簡単にリフレクタセグメントを通過する事ができる。セグメントを通過する間に、それらは、セグメントの熱を奪い、それを外部に分配する事ができる。
【0022】
複数の反射セグメントは、幾つかの接続手段によって光源に対して正しい位置及び配向に維持される。実際には、これらの接続手段はまた、隣接する反射セグメントを互いに安定した及び正しい位置に維持する。これらの接続手段は更に、通常、LEDが上に配置されるLED基板、LEDサブマウント及び/又は別個のヒートシンクとして具現化され得るデバイスのハウジングによって、セグメント及びLEDを接続する。接続手段の数及びタイプは、長手方向又はリング形状リフレクタセグメントの寸法に従属する。実際には、リング形状コリメータを有する照明デバイスにおいて、2つ、3つ又は4つの対称配置された接続手段が使用される。長手方向形状を有する反射セグメントを有する照明デバイスにおける接続手段の数は、これらのセグメントの長さによって決まる。接続手段によって占められる投影面積は、エアギャップによって規定される空間と比較して小さく、一般的に10%未満及びより一般的には2%未満である。従って、エアギャップを通る対流による熱放散は、これらの接続手段の存在に殆ど又は全く影響を受けない。また、光学的発光も接続手段の存在によってごく僅かに影響を受ける。
【0023】
原則として、反射セグメント及び接続手段の両方に対して、異なるタイプの材料を使用する事ができる。従って、プラスチックのセグメントが実現可能である。そのような材料は、通常、熱輸送特性を持たない。従って、金属のセグメントが、それらがはるかに良好な熱輸送特性を持つので好ましい。一般的に、少なくとも大部分が銅、アルミニウム又はそれらの合金から成るセグメント及び接続手段が、特にそれらの優れた熱伝達特性の観点から、本発明の照明デバイスの本実施形態において特に適していると思われる。
【0024】
本発明の更に興味深い実施形態は、接続手段がヒートパイプを含むという特徴を持つ。ヒートパイプでは、ヒートパイプ内に捕捉された作動液を気化させる事によって、熱が高温端において吸収される。結果として生じた気体は、ヒートパイプの低温側で液化し、そこに潜熱を堆積させる。毛細管力及び気体の対流は、固体金属の熱導体を用いた場合得る事のできない非常に高い熱伝達を提供する大量輸送力である。そのようなヒートパイプの存在は、LEDから反射コリメータセグメントへの熱伝達を大幅に増加させる事ができる。
【0025】
本発明の照明デバイスの別の向上した実施形態は、それが反射セグメントに沿って強制エアフローを生成する手段を含むという特徴を持つ。この方策は、照明デバイスにおいてLEDによって生成された熱の大幅に増加された放散を生じさせる事ができる。この方策の適用は、LED基板及び/又は反射セグメントによって加熱された空気の受動的対流が不十分な熱放散をもたらす場合に必要とされ得る。強制エアフローは、吹き込み又は吸引によって生成されてもよい。従って、反射セグメント間のエアスリットを通して加熱された空気をハウジングから外へ吹き出す事ができ、それによって、空気の取り入れが照明デバイスの背面で生じ得る。異なる実施形態では、エアフローが反転され、コリメータ側から空気を吸引し、加熱された空気を照明デバイスの背面へと吹き出してもよい。更に別の実施形態では、冷たい空気が反射セグメント間のエアスリットの幾つかを通して吸引されてもよいのに対して、加熱された空気は、他の反射セグメント間から吹き出されてもよい。強制エアフローは、好ましくは、照明デバイスにおいて具現化され得るファン等の効率的なエアムーバー、ブロワー又はシンセティックジェットを用いて実現される。そのような強制エアフローは、LED及びドライバ電子機器の特性がLEDによって生成された熱によって悪影響を受けないように、熱を十分に放散させる事ができる。
【0026】
本発明の別の興味深い実施形態は、光源コネクタが少なくとも1つのLEDを含むという特徴を持つ。このLEDは、光源コネクタに恒久的に取り付けられてもよい又は取り外し可能若しくは交換可能でもよい。白色光(蛍光体コーティングされた)LED又は異なる波長で照射するLED等の様々なタイプのLEDを適用する事ができる。低出力及び高出力LEDの両方を本発明の中で使用する事ができる。
【0027】
任意選択的に、隣接する反射セグメントは、動作中に、光源によって発せられた光が反射される事なく前記隣接するセグメント間を伝搬する事が基本的にできない(例えば10%以下、5%以下、又は2%以下)及び影が前記光源からの光によってあるセグメントから隣接するセグメント上に基本的に落ちない(例えば、セグメントの照明された領域の10%以下、5%以下、又は2%以下の表面率)ように配置される。従って、反射セグメント間の光学ギャップを通って逃げる非反射光の望ましくない光損失が妨げられる。隣接する反射セグメントの反射セグメント上の影の領域はまた、そのような影が反射セグメント及び引いてはコリメータの機能部分を減少させるので望ましくない。また、そのような影の領域の存在は、コリメート光ビームの最大達成可能強度を低下させる。更に、そのような影の領域は、反射コリメータの準最適設計を意味し、リフレクタ材料の不必要な増加につながる。
【0028】
照明デバイスは、予め組み込まれた及び恒久的にベース上に固定された光源を含む一体型照明デバイスでもよく、コリメータを備えた光源が照明デバイス内で予めアライメントされるという利点を提供する。あるいは、それは、簡単にアライメント可能な光源の場合、別個の光源がベース上に取り付けられ、任意選択的にそれから取り外し可能でもある非一体型照明デバイスでもよい。
【0029】
本発明は更に、本発明による少なくとも1つの照明デバイスを含む照明器具に関する。一般的に、そのような照明器具は、照明デバイスの隣に、ハウジング及びそれを配電線に接続する為のベースとしての少なくとも1つの電気コンタクトを含む。好ましくは、照明器具は、少なくとも2つの照明デバイスを含み、各々がそれぞれのターゲット発光方向を有し、前記それぞれのターゲット発光方向の少なくとも2つが同じ又は異なる。照明デバイスが同じターゲット方向を有する場合、高輝度スポット照明を得る事ができる。各照明デバイスのターゲット方向が互いに異なる場合、所望の配光又は光パターンを得る事ができる。
【0030】
本発明は、照明デバイスの製造方法にも関する。この方法は、1)反射コリメータの反射セグメント、接続手段、及び任意選択的に屈折コリメータを製造するステップと、2)反射セグメント、接続手段、及び任意選択的に屈折コリメータをコリメータ部品として位置決め及び接続するステップと、3)コリメータ部品をLEDに対してアライメント及び接続するステップとを含む。これらの異なる部品は、後で接続及びアライメントされる個々の部品として製造する事ができる。従って、屈折コリメータは、ガラス又はプラスチックのフレネルレンズとして、例えば射出成形によって製造されてもよい。接続手段は、プラスチックから例えば射出成形によって、又は好ましくは熱伝導性材料から例えば厚い金属シートのダイカスト若しくはスタンピングによって、「スパイダーアーム」として製造されてもよい。反射コリメータセグメントは、例えば射出成形及び後続の例えばアルミニウム又は銀の様な金属による反射面のメタライズによって、プラスチックから製造されてもよい。セグメントは、好ましくは、反射シート又はスラットからのスタンピング又は深絞りによって、アルミニウム又はアルミニウム合金の様な金属から製造される。これらの3つのタイプのコリメータ部品は、本発明による照明デバイスを形成する為に、後にスナップイン機構によって接続され得る又は共にLEDと光学的にアライメントされ得る。
【0031】
本発明の照明デバイスを製造する好ましい方法は、射出成形によって、反射コリメータセグメント、接続手段、及び任意選択的に屈折コリメータが単一のステップで製造されるという特徴を持つ。そのような1つのステップでの単一のピースとしてのコリメータ部品の製造は、特に大量生産設備において有用である。3つ(又は照明デバイスにおいて屈折コリメータが利用できない場合には2つ)の同時形成されたコリメータ素子は、後で互いにアライメントされる必要はないが、完成した照明デバイスを製造する為には、LEDとアライメントされる必要がある。射出成形は、プラスチックの様な光学的に透明な誘電材料を用いて行われてもよい。成形された部分は、特に反射コリメータセグメントの反射面上で、例えばアルミニウム又は銀の金属蒸発によってメタライズされる必要がある。メタライズの間に、屈折コリメータ(例えばフレネルレンズとして形成された)を例えばこのコリメータ素子をマスキングする事によってメタライズを受けないようにする事が必須である。単一ステップでの反射コリメータセグメント及び接続手段の製造並びに製造されたコリメータ部品への屈折コリメータの追加も実現可能な選択肢である。記載された方法を用いて、様々な寸法のコリメータ部品を製造する事ができる。
【0032】
本発明は、以下に記載される実施形態及び図面を用いてより詳細に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による照明デバイスの第1の実施形態の3D表示を示す。
図2】本発明による照明デバイスの第2の実施形態の3D表示を示す。
図3】第2の実施形態による照明デバイスの光軸を通る断面を示す。
図4】加熱された空気の循環を表示した同断面を示す。
図5】本発明による照明デバイスの更なる実施形態の断面を示す。
図6】本発明による照明デバイスの更に別の実施形態の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面は概略的であり、正確な縮尺ではない事が強調される。異なる図面に示された照明デバイスの同一要素は、可能な限り同じ参照符号で示される。
【0035】
図1では、非常にコンパクトな設計の本発明による照明デバイス1の第1の実施形態が示される。照明デバイスは、直(点)線2上に配置された複数のLED(詳細には不図示)を含む光源コネクタを有する。照明デバイスの動作中、LEDが上に配置される基板8に対して垂直に延在する光軸面(不図示)を規定する主方向に複数のLEDが発光する。この実施形態では、基板8は、照明デバイスのハウジングを表す。必要であれば、基板は、ボウル又は箱形状のハウジング内を占有してもよい。LEDを駆動する為に必要とされる必須の配線及びドライバ電子機器は、明確さの為に不図示である。それらは、基板8に又は基板8を上に配置する事ができるサブマウント上に取り付けられてもよい又は組み込まれてもよい。
【0036】
照明デバイス1は、複数の反射セグメント4、4’、5、5’、6、6’、7及び7’から成る反射コリメータ3を更に含む。これらの8つの反射セグメントは、長手形状を有し、照明デバイスにおいて4つの対(4、4’)、(5、5’)、(6、6’)及び(7、7’)で配置される。各セグメント対の2つのセグメントは、光軸面の両側に対称的に配置される。更に、セグメントは、LEDによって規定される線2と実質的に平行に伸びる。光軸面に対向するセグメントの面は、反射性である及びそれらが放物線状の外形を有するように曲線を描く。長手方向セグメントは、それらが互いに間隔を空ける及びLEDが上に配置される基板8からもそれらが間隔を空けるように配置されている。従って、エアスリットが、隣接するセグメント間及び光源(ここでは、複数のLED)を含むハウジング(ここでは、基板8)と光源に最も近く配置されたセグメントとの間に存在する。セグメントは、反射面上にアルミニウムのメタライズ層を備えたプラスチック材料から製造される。ある代替実施形態では、セグメントは、熱伝導性金属又は金属合金から製造されてもよい。
【0037】
照明デバイス1は、長手形状フレネルレンズ9として設計された屈折コリメータも含む。レンズ9の光軸面は、複数のLEDによって規定された上述の光軸面と実質的に一致する。レンズ9、反射セグメント4、4’、5、5’、6、6’、7、7’、及びLEDを備えた基板8は、照明デバイス1の両端部に配置される、模式的に示された接続手段10を用いて相互に接続される。屈折コリメータは、誘電材料から製造されたものである。接続手段は、シートメタル、プラスチック又は別の適切な材料から製造されたものである。
【0038】
照明デバイスの動作中、LEDによって生成された光は、反射コリメータ3及び屈折コリメータ9によってコリメートされる。より詳細には、発せられた光の主方向から約30°を超える角度離れて発せられた、LEDによって生成された光の部分(横断的方向に発せられた光)は、前記主方向と実質的に平行な方向に向けて反射コリメータのセグメントによって反射される。一方、発せられた光の主方向から約30°未満の角度離れて発せられた、LEDによって生成された光の部分(中心に発せられた光)は、前記主方向と実質的に平行な方向に向けてフレネルレンズによって屈折させられる。両方のコリメートされた光の部分は、単一の光線として目に見える単一コリメート光ビームへと合成される。ここに記載されたコンパクトな照明デバイスを用いた場合、良好なコリメート光線を生成する事ができる事が明らかにされた。
【0039】
照明デバイスの動作中にLEDによって生成された熱は、基板8並びに両コリメータ3及び9によって囲まれた空間内のLED及びハウジング(ここでは、基板8)によって放散する事ができる。隣接する反射セグメント間及び光源とそれに最も近い反射セグメントとの間のエアスリットの存在により、言及したエアスリットを介して前記空間に出入りする事ができる受動的気流が生成され得る。その結果、本発明による照明デバイスのこの実施形態において、満足のいく熱放散が存在する。
【0040】
図2は、同様に小アスペクト比を有する、本発明による照明デバイス1の第2の実施形態を示す。照明デバイスは、コンパクトな実装設計で配置された3つのLED(詳細には不図示)を含む光源11を有する。照明デバイスの動作中、これら3つのLEDは、光軸12を規定する主方向に発光する。LEDを駆動させる為に必要とされる必須の配線及びドライバ電子機器は、明確さの為に不図示である。それらは、3つのLEDが上に配置される基板上若しくは基板中、又はこの基板を上に固定する事ができるサブマウント上に配置されてもよい。
【0041】
照明デバイス1は、複数の反射セグメント4、5、6、及び7から成る反射コリメータ3を更に含む。これら4つの反射セグメントは、円形状を有し、照明デバイスの光軸12の周囲で対称的に配置される。光軸12に対向するセグメントの面は反射性であり、それらが放物線状の外形を有するように曲線を描く。リング形状セグメントは、それらが互いに間隔を空ける及びLEDからも間隔を空けるように配置されている。従って、換気スリットが、隣接するセグメント間に存在する。追加のエアスリットが、ハウジング(不図示)と、光源がその内部又は上に配置されるハウジングに最も近く配置されたセグメントとの間に利用可能でもよい。セグメントは、金属シートのスタンピング又は深絞りによって、一般的にアルミニウム又はアルミニウム合金の熱伝導材料から製造される。このように製造された反射セグメントは、使用された材料が十分な反射性を示さない場合に、追加的に反射コーティングを備えていてもよい。
【0042】
照明デバイス1は、回転対称フレネルレンズ9として設計された屈折コリメータも含む。このレンズは、透明誘電材料から製造されたものである。レンズ9の光軸は、上記した光軸12と実質的に一致する。照明デバイスの様々な構成要素、即ち、レンズ9、反射セグメント4、5、6、7、及びLEDが上に配置される基板(不図示)は、LEDの周囲で回転対称に配置された3つの接続手段10を用いて互いに接続される。接続手段10は、一般的にアルミニウム又はアルミニウム合金の熱伝導材料から製造されている。基板は、LED11によって生成された熱を運ぶ為に、金属層も備える。
【0043】
照明デバイスの動作中、LEDによって生成された光は、反射コリメータ3及び屈折コリメータ9によってコリメートされる。一連の光ビーム13(全て光軸12を通る単一平面Xにある)が図中に示される。発せられた光の主方向から約30°を超える角度離れて発せられた、LEDによって生成された光の部分(横断的方向に発せられた光)は、前記主方向と実質的に平行な方向に向けて反射コリメータの円形状セグメントによって反射される。一方、発せられた光の主方向から約30°未満の角度離れて発せられた、LEDによって生成された光の部分(中心に発せられた光)は、前記主方向と実質的に平行な方向に向けてフレネルレンズによって屈折させられる。両方のコリメートされた光の部分は、単一の光ビームとして形成される単一コリメート光ビームへと合成される。ここに記載されたコンパクトな照明デバイスを用いた場合、良好なコリメート光ビームを生成する事ができる事が明らかにされた。
【0044】
照明デバイスの動作中にLEDによって生成された熱は、基板上の熱伝導性層及び接続手段10によって、LEDから反射コリメータ3のセグメントへと伝導される。隣接する反射セグメント間及び光源とそれに最も近い反射セグメントとの間の換気スリットの存在により、温度差によって受動的気流を生成する事ができ、この流れは、言及したエアスリットを介して前記空間に出入りする事ができる。その結果、本発明による照明デバイスのこの実施形態において、満足のいく熱放散が存在する。
【0045】
図3は、図2に示されるような照明デバイス1の断面を示す。より詳細には、この断面は、前述の平面Xと一致する。この断面は、基板8上にコンパクトな実装設計で配置された3つのLED11から成る光源を示す。後者の基板(デバイスのハウジングを形成する)は、LED11によって生成された熱を伝導する為の熱伝導性金属層を備える。照明デバイスは、反射セグメント4、5、6及び7を含む円形状を有する反射コリメータ3並びに屈折コリメータ9も含む。4つの反射セグメントは全て、曲線を描く、より正確には、放物線状の外形を有する。実際には、4つのセグメントは、互いに異なる焦点距離を有する放物面から切除された部分である。当業者は、隣接するセグメント間で最適な幅を有するスリットが得られるように焦点距離を選択する事ができる。
【0046】
図3は、光源によって発せられた光が隣接するセグメント間で実質的に少しも漏れ出る事ができず、セグメントの何れにおいても実質的に少しも影の領域が存在しないように隣接する反射セグメントが配置されている事を明確に示す。従って、セグメント4及び5は、光ビーム13がセグメント5の下の縁及びセグメント4の上の縁に丁度当たるように配置される。この正確な位置決めにより、セグメント4と5との間で光が漏れ出る事はできず、セグメント4の上の縁上に影の領域は存在しない。光軸12の方向に沿った、他のセグメントに対する1つのセグメントのずれは、そのような光の漏れ又は影の領域をもたらす結果となる。
【0047】
放物線状セグメントは、点光源近似における小光源の場合又は効率ではなく強度が主要目的であるときの幅のある光源の場合に最適な形状であるが、幅のある光源の場合、反射セグメント間の光損失及び影形成を回避する為に、基本的な放物線状セグメントの外形に対する最適化を適用する事ができる。このような形状の変更は、各セグメントの上端及び下端に適用され得る。反射セグメントの上端は、光損失を回避する為に、前の内側のセグメントの下端の下を通過する幅のある光源からの光が全て捕捉される事を確実にする為に変更及び延長されてもよい。このような延長は、前の内側のセグメントの下端にその焦点を有する別の放物線状プロファイルを有し得る。反射素子の下端に対して、一方の焦点が幅のある光源の端部にあり、他方の焦点が前の内側のセグメントの上端にある楕円断面が適用されてもよい。
【0048】
図4は、本発明の照明デバイスにおいて、LED11が上に配置された基板8によって加熱された後のエアフローを模式的に示す。従って、加熱された空気は、ハウジング(ここでは基板8)、反射コリメータ3、及び屈折コリメータ9によって囲まれた空間から換気スリット13を介して逃げる事ができる。空気循環は、対流により、前記空間から熱い空気の退出及び前記空間への冷たい空気の進入を生じさせる。この実施形態では、セグメント4とハウジングとの間にエアスリットは存在しない。しかしながら、このようなスリットは、それに応じてハウジングを陥没させる事によって簡単に設ける事ができる。
【0049】
図5は、向上した能動的空気循環用に設計された本発明の照明システムの別の実施形態の断面を示す。この実施形態の基板8は、配線及びドライバ電子機器(詳細には不図示)を格納するハウジング14上に配置される。基板8の真下には、エアムーバー、この場合ファンが設置されている。前記ファンは、電力供給ユニット16、アーム17、及び2つ又はそれ以上のブレード18を含む。ファンに電力を供給すると、アーム及びブレードが回転を始め、エアフローを生じさせる。
【0050】
この改良設計によれば、反射コリメータ3の最大寸法によって規定される外側領域内の基板8にスルーホール15が作られている。スルーホール15は光源から異なる距離にあるので、ファンによって動かされる最適な気流を設計する事ができる。気流は、ハウジング14(基板8を含む)と両コリメータ3、9との間の空間に蓄積した熱い空気を除去する事ができる。これは、コリメータ3の反射セグメントを効率的に冷却する事もできる。これは、セグメントがヒートシンクとして機能すべき場合に特に興味深い。これは、反射セグメント及び接続手段が熱伝導性材料から成る並びにそれらがLED11と熱伝導接触している(例えば基板8を介して)場合に特に有用である。
【0051】
図6は、本発明の照明デバイスの更に別の実施形態を模式的に示す。この実施形態では、ハウジング14は、チャンネル16を備える。これらのチャンネルは、ブロワー等の少なくとも1つのエアムーバー、ファン、又はシンセティックジェットを含む。本実施形態では、ファンは、ハウジング14の底部に設置されている。前記ファンは、電力供給ユニット16、アーム17、及び2つ又はそれ以上のブレード18を含む。ファンに電力を供給すると、アーム及びブレードが回転を始め、エアフローを生じさせる。矢印は、底部から頂部に向けての強制エアフローを示すが、逆方向のエアフローも上手く機能する。多くの用途において、図中の矢印によって示されるように、デバイスの前部(レンズ)へと空気を移動させる事が実用的であるように思われる。エアムーバーは、例えば、隣接する反射セグメント間に位置するエアギャップを介して空気が逃げる事ができるように、基板8並びに両コリメータ3及び9によって規定された空間内で過圧力を生じさせる事ができる。この設計は、ハウジング14内に組み込まれたドライバ電子機器を効率的に冷却するであろう。
【0052】
図面及び上記において本発明を詳細に例示及び説明したが、このような例示及び説明は、限定的ではなく説明に役立つ又は例と見なされるものであり、本発明は開示された実施形態に限定されない。請求項に係る発明の実施において、図面、開示内容、及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示された実施形態に対する他のバリエーションが当業者によって理解及び達成され得る。特許請求の範囲では、「含む(comprising)」という単語は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除しない。特定の手段が互いに異なる従属クレームに記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用できない事を示すものではない。特許請求の範囲中の参照符号は、範囲を限定すると解釈されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6