【文献】
XUN SUN et al.,Bicyclic Guanidinium Tetraphenylborate: A Photobase Generator and A Photocatalyst for Living Anionic Ring-Opening Polymerization and Cross-Linking of Polymeric Materials Containing Ester and Hydroxy Groups,J. AM. CHEM. SOC.,2008年 7月,Vol.130,No.26,pp.8130-8131
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
特許請求の範囲および明細書において用いられる用語は、他で特定しない限り、以下で示されるように定義される。
【0038】
本明細書で使用する「ウェーハ」という用語は、集積回路製作において一般的に用いられる半導体材料、例えば、ケイ素またはゲルマニウム結晶の薄片を指す。ウェーハは、様々なサイズ、例えば、ある寸法に沿って25.4mm(1インチ)〜300mm(11.8インチ)をとってもよく、厚さは、例えば、275μm〜775μmである。
【0039】
本明細書で使用する「フォトレジスト」または「レジスト」または「光活性材料」という用語は、紫外線または遠紫外線に露光されたときに溶液中での溶解度が変わる感光性材料を指す。フォトレジストは、典型的に、2つのタイプ:ポジティブレジスト(positive resist)およびネガティブレジスト(negative resist)に分けられる、有機化合物または無機化合物である。ポジティブレジストは、露光されたフォトレジスト部分がフォトレジスト現像剤に溶けるようになるフォトレジストの一種である。露光されなかったフォトレジスト部分はフォトレジスト現像剤に溶けないままである。ネガティブレジストは、露光されたフォトレジスト部分がフォトレジスト現像剤に溶けなくなるフォトレジストの一種である。露光されなかったフォトレジスト部分はフォトレジスト現像剤によって溶解される。
【0040】
本明細書で使用する「フォトマスク」または「レチクル」または「マスク」という用語は、光を通すことができる光透過性のパターンまたは穴を備えた光不透過性の板を指す。典型的な露光プロセスでは、フォトレジスト上にフォトマスクのパターンが移される。
【0041】
本明細書で使用する「光活性化合物」という用語は、電磁放射線に曝露されたときに改変される化合物を指す。これらの化合物には、例えば、カチオン性光開始剤、例えば、電磁放射線に曝露されたときに酸を発生する光酸発生剤または塩基を発生する光塩基発生剤が含まれる。光開始剤は、電磁放射線を、開始種、例えば、フリーラジカルまたはカチオンの形で化学エネルギーに変換するために製剤に特別に添加される化合物である。次いで、電磁放射線に曝露された光活性化合物の酸、塩基、または他の生成物は、所望の化学反応を生じるように連鎖反応で別の化合物と反応し得る。従って、これらの化学反応が発生する空間の向きは、光活性化合物を含む溶液または表面が曝露されるときに用いられる電磁放射線パターンに従って規定される。このパターンは、例えば、光マスクまたはレチクルによって規定されてもよい。
【0042】
本明細書で使用する「カップリング分子」または「単量体分子」という用語は、アミノ基がフルオレニルメチルオキシカルボニル(FmocもしくはF-Moc)基またはt-ブトキシカルボニル(tbocもしくはBoc)基で保護されている任意の天然アミノ酸または人工合成アミノ酸を含む。これらのアミノ酸は一選択肢として側鎖が保護されていてもよい。カップリング分子の例にはBoc-Gly-OH、Fmoc-Trp-OHが含まれる。他の例は以下で説明される。
【0043】
本明細書で使用する「カップリング」または「カップリングプロセス」または「カップリング工程」という用語は、連結分子またはカップリング分子などの2つ以上の分子間で結合を形成するプロセスを指す。結合はペプチド結合などの共有結合でもよい。ペプチド結合は、一方のカップリング分子のカルボキシル基が他方のカップリング分子のアミノ基と反応して水分子(H
2O)を放出するときに2つの分子間で形成される化学結合である。これは脱水合成反応(縮合反応とも知られる)であり、通常、アミノ酸間で発生する。結果として生じた-C(=O)NH-結合はペプチド結合と呼ばれ、結果として生じた分子はアミドである。
【0044】
本明細書で使用する「カップリング効率」という用語は、単量体に結合することができる反応部位(例えば、ポリマー末端にある反応部位)に単量体がうまく付加する可能性を指す。例えば、N→C方向にペプチド鎖が成長している間に、遊離カルボキシル基を有するポリペプチドは、適切な条件下で、遊離アミン基を有するアミノ酸に結合する。カップリング効率は、ある特定の条件下で遊離アミノ酸が遊離カルボキシル基に付加する可能性を示す。カップリング効率は、例えば、いくつかの個別の反応部位に1種類の単量体が付加されたことを同時にモニタリングすることによって、まとめて確かめることができる。
【0045】
本明細書で使用する「ポリペプチド」、「ペプチド」、または「タンパク質」という用語は、結合によって連結されたアミノ酸の鎖またはポリマーについて述べるために同義に用いられる。従って、本明細書で使用する「ペプチド」という用語は、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、およびポリペプチドを含む。「ペプチド」という用語はアミノ酸の任意の特定の数に限定されない。一部の態様において、ペプチドは約2〜約50アミノ酸、約5〜約40アミノ酸、または約5〜約20アミノ酸を含有する。酵素を含むタンパク質またはポリペプチドなどの分子は、自然の中で天然に発生したことを意味する「天然」または「野生型」分子でもよく、天然分子または別の分子、例えば、変異体から作られている、変えられている、得られているか、何らかの点で異なるか、または変わっていることを意味する「変異体」、「変種」、「誘導体」、または「改変」でもよい。
【0046】
本明細書で使用する「バイオマーカー」という用語は、DNA、RNA、タンパク質(例えば、キナーゼなどの酵素)、ペプチド、糖、塩、脂肪、脂質、イオンなどを含むが、これに限定されない。
【0047】
本明細書で使用する「リンカー分子」または「スペーサー分子」という用語は、結果として生じたペプチドにいかなる機能も付け加えないが、ペプチドの間隔をあけ、支持体からペプチドを延ばし、従って、支持体表面と、成長しているペプチドとの間の距離を広げる任意の分子を含む。これにより、一般的に、ペプチドが関与する反応(単分子フォールディング反応および多分子結合反応を含む)の場合、支持体との立体障害が減り、そのため、ペプチド機能の1つまたは複数の態様を測定するアッセイの成績が改善される。
【0048】
本明細書で使用する「現像剤」という用語は、露光された、または露光されなかった材料を選択的に溶解することができる溶液を指す。典型的には、現像剤は、微量の塩基が添加された水をベースとする溶液である。例には、水をベースとする現像剤に溶解したテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが含まれる。現像剤は、市販のフォトレジストが用いられる初回パターンの画定に用いられる。
【0049】
本明細書で使用する「保護基」という用語は、後の化学反応における化学選択性を得るために官能基の化学修飾によって分子に導入された基を含む。「化学選択性」とは、化学反応を所望の経路に向けて、予め選択された産物を別の産物と比較して得ることを指す。例えば、保護基としてtbocを使用すると、光マスクおよび光酸発生剤を用いたペプチド合成の化学選択性によって保護基は選択的に除去され、光マスクによって規定された場所における予め決められた直接的なペプチドカップリング反応の発生が可能になる。
【0050】
本明細書で使用する「マイクロアレイ」、「アレイ」、または「チップ」という用語は、タンパク質または特異的DNA結合配列の複数のプローブ分子が別々の場所に、順序づけられたやり方で付けられており、従って、微小アレイを形成している支持体を指す。タンパク質または特異的DNA結合配列は1つまたは複数の異なるタイプのリンカー分子を介してチップの支持体に結合されてもよい。「チップアレイ」とは、複数のチップ、例えば、24個、96個、または384個のチップを有するプレートを指す。
【0051】
本明細書で使用する「プローブ分子」という用語は、タンパク質、DNA結合配列、抗体、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド核酸(「PNA」)、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ペプチド模倣体、ヌクレオチド模倣体、キレート剤、バイオマーカーなどを指すが、これに限定されない。本明細書で使用する「特徴」という用語は、マイクロアレイに取り付けられている特定のプローブ分子を指す。本明細書で使用する「リガンド」という用語は、1つまたは複数の特徴に結合することができる関心対象の分子、薬剤、分析物、または化合物を指す。
【0052】
本明細書で使用する「マイクロアレイシステム」または「チップアレイシステム」という用語は、通常、ガラス、プラスチック、またはシリコンチップのような固体平面上にフォーマットされた生体分子プローブと、試料を扱うために必要とされる機器(自動ロボット工学)、レポーター分子を読み取るために必要とされる機器(スキャナ)、およびデータを解析するために必要とされる機器(生物情報学ツール)からなるシステムを指す。
【0053】
本明細書で使用する「パターン領域」または「パターン」または「場所」という用語は、様々な特徴が成長する支持体上の領域を指す。これらのパターンはフォトマスクを用いて定めることができる。
【0054】
本明細書で使用する「誘導体化」という用語は、表面が生体分子合成に適するように表面を化学修飾するプロセスを指す。典型的には、誘導体化は、以下の工程:支持体を親水性にする工程、アミノシラン基を付加する工程、およびリンカー分子を取り付ける工程を含む。
【0055】
本明細書で使用する「キャッピング」または「キャッピングプロセス」または「キャッピング工程」という用語は、取り付けられた分子のさらなる反応を阻止する分子の付加を指す。例えば、ペプチド結合のさらなる形成を阻止するために、典型的に、無水酢酸分子でアミノ基がキャッピングされる。別の態様では、エタノールアミンが使用される。
【0056】
本明細書で使用する「拡散」という用語は、高濃度の領域から低濃度の領域へのランダムな運動を介した、例えば、光酸または光塩基の広がりを指す。
【0057】
本明細書で使用する「色素分子」という用語は、典型的に、支持体に結合することができる有色物質である色素を指す。色素分子は、アレイ上にある特徴と、関心対象の分子との間の結合の検出において有用であり得る。
【0058】
本明細書で使用する「免疫学的結合」および「免疫学的結合特性」という用語は、免疫グロブリン分子と、その免疫グロブリンが特異性を示す抗原との間で発生するタイプの非共有結合相互作用を指す。
【0059】
本明細書で使用する「生物学的試料」という用語は、関心対象の分析物についてアッセイすることができる生物学的な組織または液体に由来する試料を指す。このような試料には、痰、羊水、血液、血球(例えば、白血球)、組織もしくは細針生検試料、尿、腹水、および胸膜液、またはこれに由来する細胞が含まれるが、これに限定されない。生物学的試料はまた、組織切片、例えば、組織学的目的で採取された凍結切片を含んでもよい。試料は典型的にヒト患者から採取されるが、アッセイは、任意の生物(例えば、哺乳動物、細菌、ウイルス、藻類、もしくは酵母)または哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、およびブタに由来する試料中の関心対象の分析物を検出するのに使用することができる。試料は、必要に応じて、適切な緩衝溶液で希釈することによって調製されてもよく、所望であれば濃縮されてもよい。
【0060】
本明細書で使用する「アッセイ」という用語は、物質の複合混合物を含有し得る溶液中にある関心対象の物質の存在または濃度を測定する生化学的試験の一種を指す。
【0061】
本明細書で使用する「抗原」という用語は、対象の免疫系によって免疫応答、例えば、免疫系による抗体の産生を誘発する分子を指す。抗原は外因性でもよく、内因性でもよく、自己抗原でもよい。外因性抗原とは、吸入、摂取、または注射を介して外部から身体に入った抗原である。内因性抗原とは、正常細胞代謝の結果として、またはウイルス感染もしくは細胞内細菌感染の結果として、以前は正常であった細胞内に発生した抗原である。自己抗原は、宿主体内に存在する正常なタンパク質またはタンパク質複合体であるが、免疫応答を刺激することができる抗原である。
【0062】
本明細書で使用する「エピトープ」または「免疫活性領域」という用語は、適応免疫系の成分、例えば、抗体またはT細胞受容体が結合することができる、抗原の別個の分子表面特徴を指す。抗原分子は、特異的な抗体の相互作用点として作用し得る、いくつかの表面特徴を提示し得る。このような別個の分子特徴は全てエピトープを構成し得る。従って、抗原には、いくつかの別個の抗体が結合する能力があり、これらの抗体はそれぞれ特定のエピトープに特異的である。
【0063】
本明細書で使用する「抗体」または「免疫グロブリン分子」という用語は、特定のタイプの免疫系細胞:B細胞によって天然に分泌される分子を指す。抗体には5つの異なる天然アイソタイプ、すなわち、IgA、IgM、IgG、IgD、およびIgEがある。
【0064】
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の状況でのパーセント「同一性」という用語は、下記の配列比較アルゴリズムの1つ(例えば、当業者が利用可能なBLASTPおよびBLASTNもしくは他のアルゴリズム)を用いて、または目視検査によって測定されたときに、最大限一致するように比較およびアラインメントされたときに同一である特定のパーセントのヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。用途に応じて、パーセント「同一性」は、比較されている配列の領域にわたって、例えば、機能ドメインにわたって存在してもよく、比較しようとする2つの配列の完全長にわたって存在してもよい。
【0065】
配列比較の場合、典型的には、ある配列が参照配列として働き、参照配列と試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列および参照配列はコンピュータに入力され、必要に応じて、部分配列の座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて参照配列と比較して試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0066】
比較のための最適な配列アラインメントは、例えば、Smith & Waterman Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman & Wunsch J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性手法のための検索、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wisの中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または目視検査によって行うことができる(概して、Ausubel et al., 下記を参照されたい)。
【0067】
パーセント配列同一性および配列類似性を求めるのに適したアルゴリズムの一例は、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載のBLASTアルゴリズムである。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国立バイオテクノロジー情報センターのウェブサイトから公的に入手することができる。
【0068】
特に断りのない限り、本明細書で使用する「アルキル」は単独で用いられても置換基の一部として用いられても、親アルカンの1個の炭素原子から1個の水素原子を取り除くことによって得られた飽和、分枝、または直鎖の一価炭化水素ラジカルを指す。代表的なアルキル基には、メチル;エチル;プロピル、例えば、プロパン-1-イル、プロパン-2-イル;ブチル、例えば、ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2-メチル-プロパン-1-イル、2-メチル-プロパン-2-イルなどが含まれるが、これに限定されない。好ましい態様において、アルキル基はC
1-6アルキルであり、C
1-3アルキルが特に好ましい。「アルコキシル」ラジカルは、以前に述べられた直鎖アルキル基または分枝鎖アルキル基から形成された酸素エーテルである。
【0069】
本明細書で使用する「ハロ」または「ハロゲン」とは、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を意味するものとする。「ハロ置換された」とは、少なくとも1個のハロゲン原子で置換された、好ましくは、少なくとも1個のフッ素原子で置換された基を意味するものとする。適切な例には、-CF
3などが含まれるが、これに限定されない。
【0070】
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の環炭素、好ましくは5〜7個の環炭素を含有する、安定した飽和または部分飽和の単環式環構造または二環式環構造を指す。このような環式アルキル環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルが含まれる。
【0071】
「アルケニル」という用語は、親アルケンの1個の炭素原子から1個の水素原子を取り除くことによって得られた少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和の分枝、直鎖、または環式の一価炭化水素ラジカルを指す。このラジカルは、二重結合を中心にしてシスコンホメーションまたはトランスコンホメーションをとってもよい。代表的なアルケニル基には、エテニル;プロペニル、例えば、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル、プロパ-2-エン-2-イル、シクロプロパ-1-エン-1-イル;シクロプロパ-2-エン-1-イル;ブテニル、例えば、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチル-プロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロブタ-1-エン-1-イル、シクロブタ-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イルなどが含まれるが、これに限定されない。
【0072】
「ヘテロアリール」という用語は、親複素環式芳香族環構造の1個の原子から1個の水素原子を取り除くことによって得られた一価複素環式芳香族ラジカルを指す。代表的なヘテロアリール基には、一方または両方の環が複素環式芳香族である単環式構造および二環式構造が含まれる。複素環式芳香族環は、O、N、およびSより選択される1〜4個のヘテロ原子を含有してもよい。例には、カルバゾール、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリジン、イソインドール、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、プリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどに由来するラジカルが含まれるが、これに限定されない。
【0073】
本明細書で使用する「アリール」という用語は、炭素原子からなる安定した6員環単環式芳香環構造、または10員環二環式芳香環構造、または14員環三環式芳香環構造を含む芳香族基を指す。アリール基の例にはフェニルまたはナフタレニルが含まれるが、これに限定されない。
【0074】
「ヘテロシクリル」という用語は、炭素原子、ならびにN、O、およびSより選択される1〜6個のヘテロ原子からなる、3〜12員環の飽和または部分飽和した一環式(単環式)環構造、二環式環構造、または縮合環構造である。ヘテロシクリル基は、任意のヘテロ原子または炭素原子に取り付けて安定構造を作り出すことができる。二環式ヘテロシクリル基には、一方または両方の環がヘテロ原子を含む構造が含まれる。ヘテロシクリル基の例には、2-イミダゾリン、イミダゾリジン;モルホリン、オキサゾリン、オキサゾリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、ピロリジン、ピリドン、ピリミドン、ピペラジン、ピペリジン、インドリン、テトラヒドロフラン、2-ピロリン、3-ピロリン、2-イミダゾリン、2-ピラゾリン、インドリノン、チオモルホリン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロキナゾリン、[1,2,5]チアジアゾリジン1,1-ジオキシド、[1,2,3]オキサチアゾリジン2,2-ジオキシドなどが含まれるが、これに限定されない。
【0075】
「シス・トランス異性体」という用語は、基準面に対する原子(または基)の位置が異なる立体異性オレフィンまたはシクロアルカン(またはヘテロアナログ)を指す。シス異性体では、優先順位が最も高い原子は同じ側にある。トランス異性体では、優先順位が最も高い原子は反対側にある。
【0076】
「置換された」という用語は、1つまたは複数の水素原子がそれぞれ独立して同じ置換基または異なる置換基で置換されているラジカルを指す。
【0077】
置換基に関して、「独立して」という用語は、複数のこのような置換基があり得るときに、このような置換基が同じでもよく、互いに異なってもよいことを意味する。
【0078】
「オキソ」という用語は単独で用いられても置換基の一部として用いられても、炭素原子または硫黄原子に結合しているO=を指す。例えば、フタルイミドおよびサッカリンは、オキソ置換基を有する化合物の例である。
【0079】
明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に文脈によってはっきり規定されていない限り複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
【0080】
組成物
化合物
一部の態様において、光活性カルボン酸活性化化合物は、式(I):
のカルボジイミド前駆体化合物を含み、
Rは、水素、置換アルキルまたは非置換アルキル、置換アルケニルまたは非置換アルケニル、および置換ヘテロシクリルまたは非置換ヘテロシクリルを含む基より選択され、
Rは、水可溶化基をさらに含み、
R'は、置換アルキルまたは非置換アルキル、置換アルケニルまたは非置換アルケニル、置換アリールまたは非置換アリール、置換シクロアルキルまたは非置換シクロアルキル、および置換ヘテロシクリルまたは非置換ヘテロシクリルである。
【0081】
他の態様において、光活性化合物は光塩基発生剤を含む。
一部の態様は、式(II):
の光塩基発生剤化合物を含み、
式中、
は、
からなる群より選択されるアニオンであり、
Rは、置換アリールまたは非置換アリールであり、
R'は、アリール、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シアノ、-NO
2、またはフルオロであり、前記アリール、前記アルキル、前記アルケニル、および前記アルコキシは置換されていてもよく、
は、窒素含有カチオンであり、前記窒素含有カチオンはヘテロアリールまたはヘテロシクリルを含み、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは1つまたは複数の窒素原子を含有する。
【0082】
一部の態様において、光活性化合物は、式(II)の光塩基発生剤化合物を含み、
は、
またはテトラフェニルボラートであり、
R''は、水素または-NO
2であり、
は、
であり、
Xは、NHまたはCH
2であり、
nは、0〜3の整数であり、
R'''は、アリールまたはヘテロアリールである。
【0083】
一部の態様において、光塩基発生剤は、カルバメート、O-アシルオキシム、アンモニウム塩、アミンイミド、α-アミノケトン、アミジン前駆体、または芳香族尿素である。
【0084】
ある特定の態様において、本明細書において「カップリング試薬」とも呼ばれるカルボン酸活性化化合物はカルボジイミドである。一部の態様において、カップリング試薬はジイソプロピルカルボジイミドまたはN-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドである。一部の態様において、ポリマーはポリメチルメタクリレートである。
【0085】
本発明に関する代表的な光活性カルボン酸活性化化合物を以下の表1に列挙した。
【0086】
(表1):カルボジイミド前駆体化合物
【0087】
本発明に関する代表的な光活性化合物を以下の表2に列挙した。
【0088】
(表2)非イオン性光塩基発生剤化合物
【0089】
本発明に関する代表的な光活性化合物を以下の表3に列挙した。
【0091】
本発明に関する光活性カルボン酸活性化化合物を以下の表4に列挙した。
【0092】
(表4)カルボジイミド前駆体化合物
1:市販されている
【0093】
合成
本願は、従来の有機合成法ならびにマトリックスまたはコンビナトリアル合成法に従って、開示された化合物を作製する方法を提供する。スキーム1は、提案された合成経路について説明する。このスキーム、下記のガイドライン、および実施例を用いて、当業者は、本発明の範囲内の所定の化合物を得るための同様の方法または類似した方法を開発することができる。これらの方法は合成スキームを代表するものであるが、本発明の範囲を限定すると解釈してはならない。
【0094】
本発明に従う化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それに合うように化合物は鏡像異性体として存在し得る。前記化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、さらにジアステレオマーとして存在し得る。本発明に従う化合物を調製するためのプロセスによって立体異性体の混合物が生じる場合、これらの異性体は調製用クロマトグラフィーなどの技法によって分離することができる。前記化合物はラセミ型で調製されてもよく、立体特異的合成または分割によって個々の鏡像異性体またはジアステレオマーとして調製されてもよい。前記化合物は、例えば、光学活性塩基との塩形成による立体異性対の形成などの技法、その後に分別晶出および遊離酸再生を行うことによって、成分である鏡像異性体またはジアステレオマーに分割することができる。前記化合物はまた、立体異性エステルまたはアミドを形成し、その後にクロマトグラフィー分離およびキラル助剤の除去を行うことによって分割することもできる。または、前記化合物はキラルHPLCカラムによって分割することができる。その立体異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー、幾何異性体、および鏡像異性体は全て本発明の範囲内に包含されると理解しなければならない。
【0095】
さらに、前記化合物の結晶型の一部は多形として存在する場合があり、従って、本発明に含まれることが意図される。さらに、前記化合物の一部は水(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒と溶媒和化合物を形成する場合があり、このような溶媒和化合物も本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0096】
説明された合成経路の例にはスキーム1および実施例1〜12が含まれる。これらの実施例の標的化合物に似た化合物は同様の経路に従って作製することができる。開示された化合物は、本明細書に記載のマイクロアレイの製造において有用である。
【0098】
化合物(I)は、スキーム1に示した一般的な合成経路によって概説したように合成することができる。式中、Rは、ヒドロキシメチル、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル、ピペリジン-1-イルメチル、水素、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル、ピペリジン-1-イルメチル、3-(ジエチルアミノ)プロピル、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、シクロアルキルであるか、上記の式(I)において規定されたとおりである。適切なイソチオシアナート(I)を、イソプロパノール水溶液中で、既知方法によって調製した既知化合物であるアジ化ナトリウムで、80℃で3時間処理すると、1,3双極子付加環化後にR置換1-ヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン(II)が得られる。酢酸銅、ピリジン、およびジメチルホルムアミド(DMF)の存在下でR置換1-ヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン(II)をフェニルボロン酸(III)に60℃の温度で18時間、銅を介してクロスカップリングすると、化合物(IV)が得られる。
【0099】
スキーム1は、Rがジエチルアミノプロピルである場合の収率70%の化合物(II)および収率33%の化合物(IV)を示す。化合物(IV)のアミンは、
に従ってメタノール中で塩酸塩の存在下でプロトン化される。
【0100】
スキーム2は、光活性化カルボジイミド形成、例えば、ヒドロキシメチル-フェニル-カルボジイミドまたは1,3-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-カルボジイミドの光誘起形成の一般的なスキームを示す。
スキーム2
【0101】
スキーム3は、非イオン性光塩基発生剤化合物からの光活性化塩基、例えば、1,3-ジ(ピペリジン-4-イル)プロパンの形成の一般的なスキームを示す。
スキーム3
【0102】
製剤
光活性カップリング製剤およびリンカー製剤などの製剤が本明細書において開示された。これらの製剤は、製造および/または使用において、例えば、本明細書において開示された支持体および/またはペプチドアレイの製造および/または使用において有用であり得る。一般的に、本明細書において開示された、それぞれの製剤の成分は室温(約25℃)で水に溶ける。
【0103】
光活性カップリング製剤
光活性カップリング製剤が本明細書において開示される。一部の態様において、光活性カップリング製剤は、成分、例えば、溶媒、カップリング試薬、カップリング分子、光活性化合物、およびポリマーを含んでもよい。一部の態様において、光活性カップリング製剤は表5に示されたものである。
【0104】
一つの局面において、光活性カップリング製剤は光活性化合物を含んでもよい。光活性化合物は光塩基発生剤または光酸発生剤を含んでもよい。電磁放射線への光活性化合物の曝露は、拡散が限定された範囲内で材料変換二次反応を誘導し続ける化合物を生成する一次光化学的事象である。光活性カップリング製剤は、放射線感受性触媒前駆体、例えば、光酸発生剤(PAG)を含む光活性化合物;触媒の存在下で脱離、付加、または転位によって反応することができる複数の化学基;および成績または加工性を改善する任意の添加物、例えば、界面活性剤、光増感剤、およびエッチングレジストを含んでもよい。
【0105】
一部の態様において、光活性カップリング製剤は、溶媒中に分散されたポリマーマトリックスの中に光塩基発生剤および光増感剤を含む。一部の態様において、フォトレジスト組成物中のポリマーは一般的に不活性かつ非架橋性であるが、光活性化合物は、電磁放射線に曝露されると所望の反応を引き起こして、許容される収率で生成物を生じるのに十分な量の光塩基を容易に発生する。
【0106】
一部の態様において、光活性カップリング製剤は、光増感剤、光活性化合物、ポリマー、および溶媒などの様々な成分を含んでもよい。光活性カップリング製剤の具体例を表5に示した。
【0107】
一部の態様において、光活性化合物は光酸発生剤(PAG)または光塩基発生剤(PBG)でもよい。光酸発生剤(またはPAG)はカチオン性光開始剤である。光開始剤は、吸収した光エネルギー、UVまたは可視光線を、開始種、例えば、フリーラジカルまたはカチオンの形で化学エネルギーに変換するために製剤に特別に添加される化合物である。カチオン性光開始剤は光リソグラフィにおいて広範に用いられている。一般的に、一部のタイプのカチオン性光開始剤が非常に強いプロトン酸またはルイス酸の隠れた光化学的供給源として働く能力はフォトイメージング分野において使用するための基盤である。一部の態様において、光酸発生剤は、ヨードニウム塩、ポロニウム塩、またはスルホニウム塩である。一部の態様において、光酸発生剤は、(4-メトキシフェニル)フェニルヨードニウムまたはトリフルオロメタンスルホナートである。一部の態様において、光酸発生剤は、以下に示した(2,4-ジヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリフラートまたは(4メトキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリフラートである。
【0108】
一部の態様において、光酸発生剤は、トリフラート、ホスフェート、および/またはアンチモナートのヨードニウム塩およびスルホニウム塩である。一部の態様において、光酸発生剤は製剤総濃度の約0.5〜5重量%である。一部の態様において、光酸発生剤は、製剤総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%より多い。
【0109】
一部の態様において、光塩基発生剤は、1,3-Bis[(2-ニトロベンジル)オキシカルボニル-4-ピペリジル]プロパンまたは1,3-Bis[(1-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-4-ピペリジル]プロパンである。光塩基発生剤は、単量体が支持体に結合できるように、単量体を脱保護するのに十分な量で本発明の組成物中に存在しなくてはならない。一部の態様において、光塩基発生剤は製剤総濃度の約0.5〜5重量%である。一部の態様において、光塩基発生剤は、製剤総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%より多い。
【0110】
一部の態様において、ポリマーは非架橋性不活性ポリマーである。一部の態様において、ポリマーはポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンの一般構造は以下の通りであり、nは、1より大きな任意の正の整数である。
【0111】
一部の態様において、ポリマーはビニルピロリドンのポリマーである。一部の態様において、ポリマーはポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンは水および他の極性溶媒に溶ける。乾燥しているときにポリビニルピロリドンは軽いフレーク状の粉末であり、一般的に、大気水蒸気中で重量の40%までを容易に吸収する。溶解状態では、ポリビニルピロリドンは優れた湿潤性を有し、薄膜を容易に形成する。一部の態様において、ポリマーはビニルピロリドンまたはビニルアルコールである。一部の態様において、ポリマーはポリメチルメタクリレートである。
【0112】
一部の態様において、ポリマーは製剤総濃度の2.5〜5重量%である。一部の態様において、ポリマーは製剤総濃度の約0.5〜5重量%である。一部の態様において、ポリマーは、製剤総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%より多い。
【0113】
一部の態様において、溶媒は、水、乳酸エチル、nメチルピロリドン、またはその組み合わせである。一部の態様において、乳酸エチルは50%超まで水に溶解して溶媒を形成することができる。一部の態様において、溶媒は、約10%の酢酸プロピレングリコールメチルエーテル(PGMEA)および約90%のDI水でもよい。一部の態様において、溶媒は約20%までのPGMEAを含んでもよい。一部の態様において、溶媒は50%の乳酸エチルおよび50%のnメチルピロリドンを含んでもよい。一部の態様において、溶媒はnメチルピロリドンである。一部の態様において、溶媒は水、有機溶媒、またはその組み合わせである。一部の態様において、有機溶媒はNメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、またはその組み合わせである。
【0114】
一部の態様において、溶媒は製剤総濃度の約80〜90重量%である。一部の態様において、溶媒は、製剤総濃度のおよそ、70重量%未満、70重量%71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、または99重量%より多い。
【0115】
光活性カップリング製剤はカップリング分子を含む。カップリング分子はアミノ酸を含んでもよい。場合によっては、本明細書に記載のアレイ上にあるペプチドは全て天然アミノ酸からなる。他の場合では、本明細書に記載のアレイ上にあるペプチドは天然アミノ酸および非天然アミノ酸の組み合わせからなってもよい。他の場合では、アレイ上にあるペプチドは非天然アミノ酸のみからなってもよい。非天然アミノ酸にはペプチド模倣体ならびにD-アミノ酸が含まれる。R基は、天然アミノ酸または天然アミノ酸R基とサイズが似ている基に見出されてもよい。さらに、非天然アミノ酸、例えば、β-アラニン、フェニルグリシン、ホモアルギニン、アミノ酪酸、アミノヘキサン酸、アミノイソ酪酸、ブチルグリシン、シトルリン、シクロヘキシルアラニン、ジアミノプロピオン酸、ヒドロキシプロリン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、ペニシラミン、ピログルタミン酸、サルコシン、およびチエニルアラニンも組み込むことができる。これらのおよび他の天然アミノ酸および非天然アミノ酸は、例えば、EMD Biosciences, Inc., San Diego, Calif.から入手可能である。一部の態様において、カップリング分子は天然または人工のアミノ酸またはポリペプチドを含む。カップリング分子の例には、Boc-グリシン-OHおよびBoc-ヒスチジン-OHが含まれる。一部の態様において、人工アミノ酸はD-アミノ酸である。一部の態様において、カップリング分子は製剤総濃度の1〜2重量%である。一部の態様において、カップリング分子は製剤総濃度の約0.5〜5重量%である。一部の態様において、カップリング分子は、製剤総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%より多い。一部の態様において、カップリング分子は、保護された基、例えば、t-BocまたはF-Moc化学を介して保護された基を含む。ほとんどの場合では、カップリング分子の濃度を上げると最高の成績が得られる。
【0116】
一部の態様において、カップリング試薬はカルボジイミドまたはトリアゾールである。一部の態様において、カップリング試薬はN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)である。一部の態様において、カップリング試薬は製剤総濃度の2〜4重量%である。一部の態様において、カップリング試薬は製剤総濃度の約0.5〜5重量%である。一部の態様において、カップリング試薬は、製剤総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%より多い。
【0117】
前記の組み合わせのいずれかにおいて、製剤を完全に水ではがすことができる。従って、一部の態様では、曝露後に、水を用いて光活性カップリング製剤を洗い流すことができる。
【0118】
カルボン酸活性化製剤
生体分子、例えば、アミノ酸、ペプチド、またはポリペプチドの遊離アミノ基とカルボン酸が反応するように、カルボン酸を活性化するための活性化製剤が本明細書において開示される。活性化製剤は、カルボン酸基活性化化合物などの成分および溶媒を含んでもよい。一部の態様において、カルボン酸基活性化化合物はカルボジイミドまたはカルボジイミド前駆体である。一部の態様において、カルボジイミドは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。一部の態様において、カルボン酸基活性化化合物はN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)である。一部の態様において、カルボン酸基活性化化合物は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド[EDC]、N-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]、1,3-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)[HATU]、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート[PyBOP]、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン[DIEA]より選択される。一部の態様において、溶媒は水である。一部の態様において、溶媒はN-メチルピロリドン(NMP)である。一部の態様において、カルボン酸基活性化化合物はカルボン酸をカルボニル基(すなわち、カルボン酸基活性化)に変換する。一部の態様において、活性化製剤に曝露された後に、カルボン酸基は5分間、10分間、15分間、20分間、30分間、45分間、または60分間活性化される。
【0119】
一部の態様において、活性化製剤は、脱イオン水に溶解した4重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよび2重量%のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を含む。一部の態様において、活性化製剤は、NMPに溶解した4重量%の1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)および2重量%のヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を含む。一部の態様において、活性化製剤は、NMPに溶解した4重量%の(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)(HATU)および2重量%のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を含む。一部の態様において、活性化製剤は、NMPに溶解した4重量%のベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)および2重量%のDIEAを含む。
【0120】
一部の態様において、カルボン酸基活性化化合物はカルボジイミド前駆体である。一つの局面において、カルボジイミド前駆体は、放射線、例えば、紫外線への曝露によってカルボジイミドに変換される。一つの態様において、カルボジイミド前駆体はチオンである。カルボジイミド前駆体は光活性化カルボジイミドと呼ばれることもある。一つの態様において、光活性化カルボジイミドは、好ましい活性化波長の電磁放射線への光活性化カルボジイミド溶液の曝露を空間的に制御することによって、アレイ上にあるカルボン酸基の部位特異的活性化を提供するために用いられる。一部の態様において、好ましい活性化波長は248nmである。
【0121】
一つの態様において、カルボジイミド前駆体は、光活性化を介してカルボジイミドに変換されるチオンである。一つの局面において、チオンは、電磁放射線への曝露後にヒドロキシメチルフェニルカルボジイミドに変換される。一部の態様において、チオンは、4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオン、1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-4-エチル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン、1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン、4-シクロヘキシル-1H-テトラゾール-5(4H)-チオン、または1-フェニル-4-(ピペリジノメチル)テトラゾール-5(4H)-チオン、ならびに表1および表4に示した他のチオンである。
【0122】
一部の態様において、活性化溶液は、カルボジイミド前駆体、溶媒、およびポリマーを含む。一つの態様において、カルボジイミド前駆体は、4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオン、1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-4-エチル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン、または1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンである。一部の態様において、カルボジイミド前駆体は2.5重量%の濃度で活性化溶液中に存在する。一部の態様において、カルボジイミド前駆体は、製剤総濃度の0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%の濃度で活性化溶液中に存在する。
【0123】
一部の態様において、溶媒は水である。一部の態様において、溶媒は製剤総濃度の約80〜90重量%である。一部の態様において、溶媒は、製剤総濃度のおよそ、70重量%未満、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、または99重量%より多い。
【0124】
一部の態様において、ポリマーはポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールである。一部の態様において、ポリマーは製剤総濃度の約0.5〜5重量%である。一部の態様において、ポリマーは、製剤総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%より多い。
【0125】
一部の態様において、カップリング試薬はカルボジイミドである。一部の態様において、カップリング試薬はトリアゾールである。一部の態様において、カップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。一部の態様において、カップリング試薬は製剤総濃度の約0.5〜5重量%である。一部の態様において、カップリング試薬は、製剤総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%より多い。
【0126】
リンカー製剤
リンカー製剤も本明細書において開示される。リンカー製剤は、溶媒、ポリマー、リンカー分子、およびカップリング試薬などの成分を含んでもよい。一部の態様において、ポリマーは1重量%のポリビニルアルコールおよび2.5重量%のポリビニルピロリドンであり、リンカー分子は1.25重量%のポリエチレンオキシドであり、カップリング試薬は1重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、溶媒は水を含む。一部の態様において、ポリマーは0.5〜5重量%のポリビニルアルコールおよび0.5〜5%重量%のポリビニルピロリドンであり、リンカー分子は0.5〜5重量%のポリエチレンオキシドであり、カップリング試薬は0.5〜5重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、溶媒は水を含む。
【0127】
一部の態様において、溶媒は水、有機溶媒、またはその組み合わせである。一部の態様において、有機溶媒は、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、またはその組み合わせである。一部の態様において、溶媒は製剤総濃度の約80〜90重量%である。一部の態様において、溶媒は、製剤総濃度のおよそ、70重量%未満、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、または99重量%より多い。
【0128】
一部の態様において、ポリマーはポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの一般構造は以下の通りであり、nは、1より大きな任意の正の整数である。
【0129】
一部の態様において、ポリマーは製剤総濃度の約0.5〜5重量%である。一部の態様において、ポリマーは、製剤全体のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%より多い。
【0130】
リンカー分子は、本明細書において開示された表面と、カップリング分子を介して合成されているペプチドとの間に挿入される分子でもよい。リンカー分子は、必ずしも、結果として生じたペプチドに分子認識機能などの機能をもたらすとは限らず、その代わりに、表面にあるペプチドの機能領域の露出を高めるために、表面とペプチドとの間の距離を延ばすことができる。一部の態様において、リンカーは、露出させるために約4〜約40原子の長さでもよい。リンカー分子は、例えば、アリールアセチレン、2〜10個の単量体単位を含有するエチレングリコールオリゴマー(PEG)、ジアミン、二酸、アミノ酸、およびその組み合わせでもよい。ジアミンの例にはエチレンジアミンおよびジアミノプロパンが含まれる。または、リンカーは、合成されている分子(例えば、新生ポリマーまたは様々なカップリング分子)と同じ分子タイプ、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸誘導体のポリマー、例えば、アミノヘキサン酸でもよい。一部の態様において、リンカー分子は、分子の第1の末端にカルボキシル基を有し、分子の第2の末端に保護基を有する分子である。一部の態様において、保護基はt-Boc保護基またはFmoc保護基である。一部の態様において、リンカー分子は、アリール-アセチレン、ポリエチレングリコール、新生ポリペプチド、ジアミン、二酸、ペプチド、またはその組み合わせであるか、これを含む。一部の態様において、リンカー分子は製剤総濃度の約0.5〜5重量%である。一部の態様において、リンカー分子は、製剤総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%より多い。
【0131】
リンカー分子の結合されていない部分(または遊離末端)は、除去可能な保護基によって、ブロックされている、保護されている、または他の方法で反応に利用できないようにされている反応性官能基を有してもよい。保護基は、リンカー分子にある反応性官能基を保護するためにリンカー分子に結合されてもよい。使用することができる保護基は、全ての、酸に不安定な保護基および塩基に不安定な保護基を含む。例えば、リンカーアミン基は、両方とも酸に不安定であるt-ブトキシカルボニル(t-BOCもしくはBOC)またはベンジルオキシカルボニル(CBZ)によって保護されてもよく、塩基に不安定である9-フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)によって保護されてもよい。
【0132】
使用することができる、さらなる保護基には、アミノ部分を保護するための、酸に不安定な基:tert-アミルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、1-メチルシクロブチルオキシカルボニル、2-(p-ビフェニル)プロピル(2)オキシカルボニル、2-(p-フェニルアゾフェニルイル)プロピル(2)オキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメチルオキシベンジルオキシ-カルボニル、2-フェニルプロピル(2)オキシカルボニル、4-メチルオキシベンジルオキシカルボニル、フルフリルオキシカルボニル、トリフェニルメチル(トリチル)、p-トルエンスルフェニルアミノカルボニル、ジメチルホスフィノチオイル、ジフェニルホスフィノチオイル、2-ベンゾイル-1-メチルビニル、o-ニトロフェニルスルフェニル、および1-ナフチリデン;アミノ部分を保護するための、塩基に不安定な基:9フルオレニルメチルオキシカルボニル、メチルスルホニルエチルオキシカルボニル、および5-ベンズイソアゾイルメチレンオキシカルボニル;還元されたときに不安定になるアミノ部分を保護するための基:ジチアスクシノイル、p-トルエンスルホニル、およびピペリジノ-オキシカルボニル;酸化されたときに不安定になるアミノ部分を保護するための基:(エチルチオ)カルボニル;多種多様な試薬に対して不安定な、アミノ部分を保護するための基、適切な薬剤を基の後にある括弧の中に示した:フタロイル(ヒドラジン)、トリフルオロアセチル(ピペリジン)、およびクロロアセチル(2-アミノチオフェノール);カルボン酸を保護するための、酸に不安定な基:tert-ブチルエステル;ヒドロキシル基を保護するための、酸に不安定な基:ジメチルトリチルが含まれる。Greene, T. W., Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley-Interscience, NY, (1981)も参照されたい。
【0133】
光塩基発生剤組成物
光塩基発生剤組成物が本明細書において開示される。光塩基発生剤組成物は、露光されたときに、例えば、レチクルを通して露光されたときにFmoc保護アミノ酸を脱保護するのに使用することができる。一部の態様において、光塩基発生剤はアミンを含む。一部の態様において、アニオンはボラートである。一部の態様において、アニオンはフェニルグリオキシラートである。一部の態様において、アミンは、式NR
1R
2R
3を有し、R
1、R
2、およびR
3は上記の式(II)において規定されている。一部の態様において、光塩基発生剤は、ポリマーに取り付けられたアミンを含む。一部の態様において、アミンは対イオンに結合されている。一つの態様において、対イオンはカルボキシラートである。一つの局面において、カルボキシラートは放射線に曝露されると光脱炭酸(photodecarboxylation)を受ける。一部の態様において、対イオンはボラートである。一部の態様において、アニオンはフェニルグリオキシラートである。一部の態様において、光塩基発生剤は、アミンおよびアニオンに取り付けられた発色団を含む。一部の態様において、アニオンはボラートである。一部の態様において、アニオンはフェニルグリオキシラートである。
【0134】
光塩基発生剤、ポリマー、およびアミノ酸を含む光塩基発生剤組成物も本明細書において開示される。一部の態様において、アミノ酸はFmoc保護アミノ酸である。一部の態様において、アミノ酸は前記光塩基発生剤組成物中に0.1Mで存在する。一部の態様において、ポリマーは前記光塩基発生剤組成物中に0.5〜3重量%で存在する。一部の態様において、ポリマーはポリメチルメタクリレートである。
【0135】
支持体
支持体も本明細書において開示される。一部の態様において、支持体表面は平面(すなわち、2次元)である。一部の態様において、支持体表面は遊離カルボン酸基によって官能化される。一部の態様において、支持体表面は遊離アミン基によって官能化される。遊離アミン基によって官能化された表面は、少なくとも2つの遊離カルボン酸基を含む分子のカルボン酸基を活性化し(例えば、カルボジイミドを用いてカルボン酸基をカルボニル基に変換し)、前記分子を、支持体の表面に取り付けられた遊離アミン基と反応させることによって遊離カルボン酸基に変換されてもよい。一部の態様において、複数のカルボン酸基を含む前記分子は、無水コハク酸、ポリエチレングリコール二酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、またはカルボキシメチルデキストランである。
【0136】
一部の態様において、支持体は、第1の単量体基本要素を結合するための官能基を含む多孔層(すなわち、3次元層)を含んでもよい。一部の態様において、支持体表面は、ペプチドを取り付けるためまたは合成するためのピラーを含む。一部の態様において、多孔層はピラーの上部に付加される。
【0137】
多孔層支持体
使用することができる多孔層は、第1のペプチド基本要素を取り付けるために(構成要素ポリマーに固有の、または多孔層に導入された)カルボン酸官能基を有する多孔構造からなる平らな透過性ポリマー材料である。例えば、多孔層は多孔性ケイ素からなってもよく、多孔性ケイ素の表面にはポリマー基本要素を取り付けるための官能基が取り付けられている。別の例において、多孔層は架橋ポリマー材料からなってもよい。一部の態様において、多孔層は、ポリスチレン、サッカロース、デキストラン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、アガロース、セファロース、他の従来のクロマトグラフィー型材料、ならびにその誘導体および混合物を使用することができる。一部の態様において、多孔層構成材料は、ポリ(ビニルアルコール)、デキストラン、アルギン酸ナトリウム、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)-ナトリウム塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、多糖類、およびセルロース誘導体より選択される。好ましくは、多孔層の多孔度は10〜80%である。一つの態様において、多孔層の厚さは0.01μm〜約1,000μmである。多孔層に含まれる孔径は2nm〜約100μmでもよい。
【0138】
本発明の別の態様によれば、多孔度が10〜80%の多孔性ポリマー材料を含む支持体であって、反応基が孔表面に化学結合されており、例えば、反応種、例えば、脱保護された単量体基本要素またはポリマー鎖と化学結合することによって、相互作用する用途に適合されている支持体が提供される。一つの態様において、反応基はカルボン酸基である。カルボン酸基は結合するように遊離しており、例えば、ペプチドまたはポリペプチドの保護されていないアミン基に結合するように遊離している。
【0139】
ある態様において、多孔層は支持層と接触している。支持層は、例えば、金属、プラスチック、ケイ素、酸化ケイ素、または窒化ケイ素を含む。別の態様において、多孔層は、パターン表面、例えば、下記のピラー支持体の上部にあるパターン表面と接触してもよい。
【0140】
ピラー支持体
一部の態様において、支持体は、金属を含み上面および下面を有する平面層と;該層の、位置が定められた場所に機能的に連結された複数のピラーとを備えてもよく、それぞれのピラーは、該層から延びた平らな表面を有し、それぞれのピラーの表面と該層の上面との間の距離は約1,000〜5,000オングストロームであり、複数のピラーは約10,000/cm
2を超える密度で存在する。
【0141】
一部の態様において、それぞれのピラーの表面と層の上面との間の距離はおよそ、1,000オングストローム、2,000オングストローム、3,000オングストローム、3,500オングストローム、4,500オングストローム、5,000オングストローム未満、または5,000オングストローム超の間(またはその間の任意の整数)であってもよい。
【0142】
一部の態様において、それぞれのピラーの表面は層の上面と平行である。一部の態様において、それぞれのピラーの表面は層の上面と実質的に平行である。
【0143】
一部の態様において、複数のピラーは、500/cm
2、1,000/cm
2、2,000/cm
2、3,000/cm
2、4,000/cm
2、5,000/cm
2、6,000/cm
2、7,000/cm
2、8,000/cm
2、9,000/cm
2、10,000/cm
2、11,000/cm
2、もしくは12,000/cm
2を超える密度(またはその間の任意の整数)で存在する。一部の態様において、複数のピラーは10,000/cm
2を超える密度で存在する。一部の態様において、複数のピラーは約10,000/cm
2〜約250万/cm
2の密度(またはその間の任意の整数)で存在する。一部の態様において、複数のピラーは250万/cm
2を超える密度で存在する。
【0144】
一部の態様において、それぞれのピラー表面の表面積は少なくとも1μm
2である。一部の態様において、それぞれのピラー表面の表面積は、少なくとも0.1μm
2、0.5μm
2、12μm
2、3μm
2、4μm
2、5μm
2、6μm
2、7μm
2、8μm
2、9μm
2、10μm
2、15μm
2、20μm
2、25μm
2、30μm
2、35μm
2、40μm
2、45μm
2、もしくは50μm
2(またはその間の任意の整数)でもよい。一部の態様において、それぞれのピラー表面の表面積は10,000μm
2未満の総面積を有する。一部の態様において、それぞれのピラー表面の表面積は、500μm
2、1,000μm
2、2,000μm
2、3,000μm
2、4,000μm
2、5,000μm
2、6,000μm
2、7,000μm
2、8,000μm
2、9,000μm
2、10,000μm
2、11,000μm
2、もしくは12,000μm
2より小さい(またはその間の任意の整数の)総面積を有する。
【0145】
一部の態様において、それぞれのピラーの表面と層の下面との間の距離は2,000〜7,000オングストロームである。一部の態様において、それぞれのピラーの表面と層の下面との間の距離はおよそ、500オングストローム、1,000オングストローム、2,000オングストローム、3,000オングストローム、4,000オングストローム、5,000オングストローム、6,000オングストローム、7,000オングストローム、8,000オングストローム、9,000オングストローム、10,000オングストローム、11,000オングストローム、12,000オングストロームより短いか、または12,000オングストロームより長い(またはその間の任意の整数)。一部の態様において、それぞれのピラーの表面と層の下面との間の距離は、7,000オングストローム、3,000オングストローム、4,000オングストローム、5,000オングストローム、6,000オングストローム、または7,000オングストローム(またはその間の任意の整数)である。
【0146】
一部の態様において、層は厚さ1,000〜2,000オングストロームである。一部の態様において、層はおよそ、500オングストローム厚、1,000オングストローム厚、2,000オングストローム厚、3,000オングストローム厚、4,000オングストローム厚、5,000オングストローム厚、6,000オングストローム厚、7,000オングストローム厚、8,000オングストローム厚、9,000オングストローム厚、10,000オングストローム厚、11,000オングストローム厚、12,000オングストローム厚より薄いか、または12,000オングストローム厚より厚い(またはその間の任意の整数)。
【0147】
一部の態様において、それぞれのピラーの中心は他の任意のピラーの中心から少なくとも2,000オングストローム離れている。一部の態様において、それぞれのピラーの中心は他の任意のピラーの中心から少なくとも約500オングストローム、1,000オングストローム、2,000オングストローム、3,000オングストローム、もしくは4,000オングストローム(またはその間の任意の整数)離れている。一部の態様では、それぞれのピラーの中心は他の任意のピラーの中心から少なくとも約2μm〜200μm離れている。
【0148】
一部の態様において、金属はクロムである。一部の態様において、金属は、クロム、チタン、アルミニウム、タングステン、金、銀、スズ、鉛、タリウム、インジウム、またはその組み合わせである。一部の態様において、前記層は少なくとも98.5〜99(重量)%の金属である。一部の態様において、前記層は100%の金属である。一部の態様において、前記層は、少なくともおよそ、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、または99%を超える金属である。一部の態様において、前記層は均一な金属層である。
【0149】
一部の態様において、少なくとも1つのピラーまたはそれぞれのピラーはケイ素を含む。一部の態様において、少なくとも1つのピラーまたはそれぞれのピラーは二酸化ケイ素または窒化ケイ素を含む。一部において、少なくとも1つのピラーまたはそれぞれのピラーは少なくとも90(重量)%、91(重量)%、92(重量)%、93(重量)%、94(重量)%、95(重量)%、96(重量)%、97(重量)%、98(重量)%、98.5(重量)%、または99(重量)%の二酸化ケイ素である。
【0150】
一部の態様において、支持体は、それぞれのピラーの表面に取り付けられた、遊離アミノ末端を有するリンカー分子を含んでもよい。一部の態様において、支持体は、少なくとも1つのピラーの表面に取り付けられた、遊離アミノ末端を有するリンカー分子を含んでもよい。一部の態様において、支持体は、それぞれのピラーの表面に取り付けられた保護基を有するリンカー分子を含んでもよい。一部の態様において、支持体は、少なくとも1つのピラーの表面に取り付けられた保護基を有するリンカー分子を含んでもよい。一部の態様において、支持体は、少なくとも1つのピラーの表面に取り付けられたカップリング分子を含んでもよい。一部の態様において、支持体は、それぞれのピラーの表面に取り付けられたカップリング分子を含んでもよい。一部の態様において、支持体は、ピラーの少なくとも1つの表面と接触しているポリマーを含んでもよい。一部の態様において、支持体は、それぞれのピラーの表面と接触しているポリマーを含んでもよい。一部の態様において、支持体は、ピラーの少なくとも1つの表面と接触しているゼラチン状のポリマーを含んでもよい。一部の態様において、支持体は、ピラーの少なくとも1つの表面と接触している固体状のポリマーを含んでもよい。
【0151】
一部の態様において、支持体のピラーの少なくとも1つの表面は誘導体化される。一部の態様において、支持体は、ピラーの少なくとも1つの表面に取り付けられたポリマー鎖を含んでもよい。一部の態様において、ポリマー鎖はペプチド鎖を含む。一部の態様において、少なくとも1つのピラーの表面への取り付けは共有結合を介したものである。
【0152】
一部の態様において、それぞれのピラーの表面は形が正方形または長方形である。一部の態様において、支持体は二酸化ケイ素層に連結されてもよい。二酸化ケイ素層は約0.5μm〜3μm厚でもよい。一部の態様において、支持体は、ウェーハ、例えば、シリコンウェーハに連結されてもよい。二酸化ケイ素層は約700μm〜750μm厚でもよい。
【0153】
アレイ
アレイも本明細書において開示される。一部の態様において、アレイの表面は遊離カルボン酸によって官能化される。一部の態様において、遊離カルボン酸は、例えば、アレイ表面上でのポリペプチド合成の間に、アミン基に結合するように活性化される。一部の態様において、アレイ上にある遊離カルボン酸基の表面密度は、10/cm
2、100/cm
2、1,000/cm
2、10,000/cm
2、100,000/cm
2、1,000,000/cm
2、または10,000,000/cm
2より大きい。
【0154】
一部の態様において、アレイは、三次元アレイ、例えば、多孔アレイの表面に取り付けられている特徴を備える多孔アレイでもよい。一部の態様において、多孔アレイの表面は、外面および多孔アレイ内の孔容積を規定する表面を含む。一部の態様において、三次元アレイは、表面の、位置が定められた場所に取り付けられた特徴を含んでもよい。前記特徴はそれぞれ、決定可能な配列でありかつ意図された長さのペプチド鎖のコレクションを含む。一つの態様において、個別の特徴の中で、前記コレクション中の意図された長さを有するペプチド鎖の画分は、98%を超える、それぞれのカップリング工程の平均カップリング効率によって特徴づけられる。
【0155】
一部の態様において、それぞれのカップリング工程の平均カップリング効率は少なくとも98.5%である。一部の態様において、それぞれのカップリング工程の平均カップリング効率は少なくとも99%である。一部の態様において、それぞれのカップリング工程の平均カップリング効率は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%である。
【0156】
一部の態様において、それぞれのペプチド鎖は5〜60アミノ酸長である。一部の態様において、それぞれのペプチド鎖は少なくとも5アミノ酸長である。一部の態様において、それぞれのペプチド鎖は少なくとも5アミノ酸長、10アミノ酸長、15アミノ酸長、20アミノ酸長、25アミノ酸長、30アミノ酸長、35アミノ酸長、40アミノ酸長、45アミノ酸長、50アミノ酸長、55アミノ酸長、または60アミノ酸長である。一部の態様において、それぞれのペプチド鎖は5アミノ酸長より少ないか、少なくとも5アミノ酸長、6アミノ酸長、7アミノ酸長、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、21アミノ酸長、22アミノ酸長、23アミノ酸長、24アミノ酸長、25アミノ酸長、26アミノ酸長、27アミノ酸長、28アミノ酸長、29アミノ酸長、30アミノ酸長、31アミノ酸長、32アミノ酸長、33アミノ酸長、34アミノ酸長、35アミノ酸長、36アミノ酸長、37アミノ酸長、38アミノ酸長、39アミノ酸長、40アミノ酸長、41アミノ酸長、42アミノ酸長、43アミノ酸長、44アミノ酸長、45アミノ酸長、46アミノ酸長、47アミノ酸長、48アミノ酸長、49アミノ酸長、50アミノ酸長、51アミノ酸長、52アミノ酸長、53アミノ酸長、54アミノ酸長、55アミノ酸長、56アミノ酸長、57アミノ酸長、58アミノ酸長、59アミノ酸長、60アミノ酸長であるか、または60アミノ酸長より多い。一部の態様において、それぞれのペプチド鎖は1つまたは複数のLアミノ酸を含む。一部の態様において、それぞれのペプチド鎖は1つまたは複数のDアミノ酸を含む。一部の態様において、それぞれのペプチド鎖は1つまたは複数の天然アミノ酸を含む。一部の態様において、それぞれのペプチド鎖は1つまたは複数の合成アミノ酸を含む。
【0157】
一部の態様において、アレイは、表面に取り付けられた少なくとも1,000個の異なるペプチド鎖を含んでもよい。一部の態様において、アレイは、表面に取り付けられた少なくとも10,000個の異なるペプチド鎖を含んでもよい。一部の態様において、アレイは、表面に取り付けられた少なくとも100個、500個、1000個、2000個、3000個、4000個、5000個、6000個、7000個、8000個、9000個、10,000個の、または10,000個より多い(またはその間の任意の整数)、異なるペプチド鎖を含んでもよい。
【0158】
一部の態様において、位置が定められた場所はそれぞれ、他の、位置が定められた場所のそれぞれとは物理的に分離された異なる既知の場所にある。一部の態様において、位置が定められた場所はそれぞれ、位置が区別できる場所である。一部の態様において、それぞれの決定可能な配列は既知配列である。一部の態様において、それぞれの決定可能な配列は別個の配列である。
【0159】
一部の態様において、特徴は表面に共有結合的に取り付けられる。一部の態様において、前記ペプチド鎖はリンカー分子またはカップリング分子を介して表面に取り付けられる。
【0160】
一部の態様において、前記特徴は、既知配列を有する供給源タンパク質に由来する部分配列を含む複数の別個の入れ子状の重複ペプチド鎖を含む。一部の態様において、複数の重複ペプチド鎖のうちそれぞれのペプチド鎖は、実質的に同じ長さである。複数の重複ペプチド鎖のうちそれぞれのペプチド鎖は、同じ長さである。一部の態様において、複数の重複ペプチド鎖のうちそれぞれのペプチド鎖は、少なくとも5アミノ酸長である。一部の態様において、複数の重複ペプチド鎖のうちそれぞれのペプチド鎖は、少なくとも5アミノ酸長、10アミノ酸長、15アミノ酸長、20アミノ酸長、25アミノ酸長、30アミノ酸長、35アミノ酸長、40アミノ酸長、45アミノ酸長、50アミノ酸長、55アミノ酸長、または60アミノ酸長である。一部の態様において、複数の重複ペプチド鎖のうちそれぞれのペプチド鎖は、5アミノ酸長より短いか、少なくとも5アミノ酸長、6アミノ酸長、7アミノ酸長、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、21アミノ酸長、22アミノ酸長、23アミノ酸長、24アミノ酸長、25アミノ酸長、26アミノ酸長、27アミノ酸長、28アミノ酸長、29アミノ酸長、30アミノ酸長、31アミノ酸長、32アミノ酸長、33アミノ酸長、34アミノ酸長、35アミノ酸長、36アミノ酸長、37アミノ酸長、38アミノ酸長、39アミノ酸長、40アミノ酸長、41アミノ酸長、42アミノ酸長、43アミノ酸長、44アミノ酸長、45アミノ酸長、46アミノ酸長、47アミノ酸長、48アミノ酸長、49アミノ酸長、50アミノ酸長、51アミノ酸長、52アミノ酸長、53アミノ酸長、54アミノ酸長、55アミノ酸長、56アミノ酸長、57アミノ酸長、58アミノ酸長、59アミノ酸長、60アミノ酸長であるか、または60アミノ酸長より長い。一部の態様において、複数の重複ペプチド鎖のうち少なくとも1つのペプチド鎖は、少なくとも5アミノ酸長である。一部の態様において、複数の重複ペプチド鎖のうち少なくとも1つのペプチド鎖は、少なくとも5アミノ酸長、10アミノ酸長、15アミノ酸長、20アミノ酸長、25アミノ酸長、30アミノ酸長、35アミノ酸長、40アミノ酸長、45アミノ酸長、50アミノ酸長、55アミノ酸長、または60アミノ酸長である。一部の態様において、複数の重複ペプチド鎖のうち少なくとも1つのペプチド鎖は、5アミノ酸長より短いか、少なくとも5アミノ酸長、6アミノ酸長、7アミノ酸長、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、21アミノ酸長、22アミノ酸長、23アミノ酸長、24アミノ酸長、25アミノ酸長、26アミノ酸長、27アミノ酸長、28アミノ酸長、29アミノ酸長、30アミノ酸長、31アミノ酸長、32アミノ酸長、33アミノ酸長、34アミノ酸長、35アミノ酸長、36アミノ酸長、37アミノ酸長、38アミノ酸長、39アミノ酸長、40アミノ酸長、41アミノ酸長、42アミノ酸長、43アミノ酸長、44アミノ酸長、45アミノ酸長、46アミノ酸長、47アミノ酸長、48アミノ酸長、49アミノ酸長、50アミノ酸長、51アミノ酸長、52アミノ酸長、53アミノ酸長、54アミノ酸長、55アミノ酸長、56アミノ酸長、57アミノ酸長、58アミノ酸長、59アミノ酸長、60アミノ酸長であるか、または60アミノ酸長より長い。一部の態様において、特徴のうちそれぞれのポリペプチドは、実質的に同じ長さである。一部の態様において、特徴のうちそれぞれのポリペプチドは、同じ長さである。一部の態様において、特徴は複数のペプチド鎖を含み、それぞれのペプチド鎖はランダムな決定可能なアミノ酸の配列を有する。
【0161】
方法
支持体を製造する方法
支持体を作るための方法も本明細書において開示される。一部の態様において、支持体を生成する方法は多孔層を支持層にカップリングする工程を含んでもよい。支持層は、任意の金属またはプラスチックまたはシリコンまたは酸化ケイ素または窒化ケイ素を含んでもよい。一つの態様において、支持体は、ペプチド合成およびタンパク質カップリングの間にペプチドを結合するために支持体に取り付けられた複数のカルボン酸支持体を含む。一部の態様において、支持体を生成する方法は、多孔層を複数のピラーにカップリングする工程を含んでもよく、多孔層は化合物を支持体に取り付けるための官能基を含み、ここで、平面層の、位置が定められた場所に複数のピラーが取り付けられ、それぞれのピラーは、平面層から延びた平らな表面を有し、それぞれのピラーの表面と平面層の上面との間の距離は約1,000〜5,000オングストロームであり、複数のピラーは約10,000/cm
2を超える密度で存在する。
【0162】
一部の態様において、それぞれのピラーの表面は平面層の上面と平行である。一部の態様において、それぞれのピラーの表面は平面層の上面と実質的に平行である。
【0163】
一部の態様において、支持体の表面を調製する方法は、二酸化ケイ素を含む表面を得る工程、ならびに表面を、光活性化合物、カップリング分子、カップリング試薬、ポリマー、および溶媒を含む光活性カップリング製剤と接触させる工程;ならびに表面の上部に位置しかつ光活性製剤と接触している、位置が定められた場所に、紫外線を当てる工程を含んでもよい。
【0164】
アレイを製造する方法
アレイを製造するための方法も本明細書において開示される。一部の態様において、本明細書において開示されたアレイは、表面、例えば、本明細書において開示された支持体上で、インサイチューで合成することができる。場合によっては、アレイは光リソグラフィを用いて作られる。例えば、支持体を光活性カップリング溶液と接触させる。マスクを用いて、保護基を有する遊離リンカー分子または遊離カップリング分子が設けられた表面上の特定の場所への放射線または光の曝露を制御することができる。曝露された場所では保護基は除去されて、カップリング分子上またはリンカー分子上に1つまたは複数の新たに露出した反応性部分が生じる。次いで、所望のリンカーまたはカップリング分子が、保護されていない取り付けられた分子に、例えば、カルボン酸基に連結される。表面上の、特定の場所または位置が定められた場所において多数の特徴を合成するために、このプロセスが繰り返されてもよい(例えば、Pirrungらへの米国特許第5,143,854号、米国特許出願公開第2007/0154946号(2005年12月29日に出願された)、同第2007/0122841号(2005年11月30日に出願された)、同第2007/0122842号(2006年3月30日に出願された)、同第2008/0108149号(2006年10月23日に出願された)、および同第2010/0093554号(2008年6月2日に出願された)を参照されたい。これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる)。
【0165】
一部の態様において、特徴の三次元(例えば多孔の)アレイを生成する方法は、表面に取り付けられた多孔層を得る工程;ならびに特徴を多孔層に取り付ける工程を含んでもよく、前記特徴はそれぞれ、決定可能な配列でありかつ意図された長さのペプチド鎖のコレクションを含み、個別の特徴の中で、前記コレクション中の意図された長さを有するペプチド鎖の画分は、少なくとも約98%の、それぞれのカップリング工程の平均カップリング効率によって特徴づけられる。一部の態様において、前記特徴は、光活性化合物、カップリング分子、カップリング試薬、ポリマー、および溶媒を含む光活性カップリング製剤を用いて表面に取り付けられる。一部の態様において、前記特徴は、本明細書において開示された光活性カップリング製剤を用いて表面に取り付けられる。一部の態様において、光活性カップリング製剤は水を用いて取り除かれる。
【0166】
一つの態様において、アレイを製造するプロセスが本明細書において説明される。取り付けられたカルボン酸基を含む表面が設けられる。表面を、光活性化合物、カップリング分子、カップリング試薬、ポリマー、および溶媒を含む光活性カップリング溶液と接触させる。表面は、フォトマスクによって規定されるパターンに従って遠紫外線スキャナーツールにおいて紫外線に露光され、光活性カップリング溶液中に光塩基発生剤が存在するので、紫外線に露光された場所は光塩基が発生する。十分な光塩基を発生させるために、露光エネルギーは1mJ/cm
2〜100mJ/cm
2であってもよい。
【0167】
表面は、ポスト露光ベークモジュールにおいて露光の際にポストベークされる。ポスト露光ベークは化学的増幅工程として働く。ベーク工程は、最初に発生した光塩基を増幅させ、支持体への拡散速度も速める。ポストベーク温度は、多孔性表面の厚さに応じて75℃〜115℃、少なくとも60秒間、まれに120秒超でもよい。遊離カルボン酸基は遊離ペプチドまたはポリペプチドの脱保護アミン基に連結されて、表面に取り付けられたカルボン酸基に遊離ペプチドまたはポリペプチドがカップリングされることになる。この表面は多孔性表面でもよい。表面に取り付けられたカルボン酸基にカップリングされたペプチドの合成はN→C合成方向で行われ、遊離ペプチドのアミン基は、支持体表面に結合しているカルボン酸基に付着する。または、合成をC→N方向に指向させるためにジアミンリンカーが遊離カルボン酸基に取り付けられてもよく、遊離ペプチドのカルボン酸基は、支持体表面に結合しているアミン基に付着する。
【0168】
次に、光活性カップリング溶液を取り除くことができる。一部の態様において、脱イオン(DI)水を用いてフォトレジストを完全に取り除く方法が本明細書において提供される。このプロセスは現像モジュールにおいて達成される。ウェーハを真空チャックにおいて例えば60秒〜90秒間回転させ、ノズルを通して脱イオン水が約30秒間分注される。
【0169】
光活性カップリング製剤はカップリングスピンモジュールにおいて表面に塗布されてもよい。カップリングスピンモジュールは、典型的には、光活性カップリング製剤を供給するために20個以上のノズルを有してもよい。これらのノズルは、これらの溶液を保持するシリンダを加圧することによって、または必要量を分注するポンプによって光活性カップリング製剤を分注するように作られてもよい。一部の態様において、ポンプは、支持体上に5〜8ccの光活性カップリング製剤を分注するように用いられる。支持体を真空チャックにおいて15〜30秒間回転させ、光活性カップリング製剤が分注される。回転速度は2000〜2500rpmになるように設定することができる。
【0170】
任意で、支持体上にある未反応アミノ基が次のカップリング分子と反応しないようにするためにキャップフィルム溶液コートが表面上に塗布される。キャップフィルムコート溶液は、以下:溶媒、ポリマー、およびカップリング分子、のように調製することができる。使用することができる溶媒は、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、またはその組み合わせのような有機溶媒でもよい。キャッピング分子は典型的には無水酢酸であり、ポリマーはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリ-(メチル-イソプロペニル)-ケトン、またはポリ-(2-メチル-ペンテン-1-スルホン)でもよい。一部の態様において、キャッピング分子はエタノールアミンである。
【0171】
このプロセスはキャッピングスピンモジュールにおいて行われる。キャッピングスピンモジュールは、キャップフィルムコート溶液を支持体上に分注するように作ることができる1本のノズルを備えてもよい。この溶液は、キャップフィルムコート溶液を貯蔵するシリンダを加圧することによって、または必要量を正確に分注するポンプを通して分注されてもよい。一部の態様において、約5〜8ccのキャップコート溶液を支持体上に分注するためにポンプが用いられる。支持体を真空チャックにおいて15〜30秒間回転させ、カップリング製剤が分注される。回転速度は2000〜2500rpmになるように設定される。
【0172】
キャッピング溶液を含む支持体はキャップベークモジュールにおいてベークされる。キャッピングベークモジュールは、キャッピングフィルムコートが適用された直後に、特にウェーハを受け取るように設けられたホットプレートである。一部の態様において、ホットプレートにおいて、スピンコーティングされたキャッピングコート溶液をベークしてキャッピング反応を著しく加速する方法が本明細書において提供される。一般的に、ホットプレートベークはアミノ酸のキャッピング時間を2分未満に短縮する。
【0173】
キャッピング反応の副産物はストリッパモジュールにおいて取り除かれる。ストリッパモジュールは、有機溶媒、例えば、アセトン、イソプロピルアルコール、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、DI水などを分注するために設けられた、いくつかのノズル、典型的には10個までのノズルを備えてもよい。一部の態様において、ノズルは、アセトンの後にイソプロピルアルコールが回転ウェーハ上に分注されるように指定されてもよい。回転速度は約20秒間に2000〜2500rpmになるように設定される。
【0174】
この全サイクルは、所望に応じて、所望の配列を得るために毎回、異なるカップリング分子を用いて繰り返すことができる。
【0175】
一部の態様において、ポリペプチドをN→C方向に合成するために遊離カルボン酸表面を含むアレイが用いられる。一つの態様において、支持体表面上にあるカルボン酸は、アミノ酸にある遊離アミン基に結合できるようにするために活性化される(例えば、カルボニルに変換される)。一つの態様において、表面の基にあるカルボン酸の活性化は、アレイ表面にカルボジイミドまたはスクシンイミドを含む溶液を添加することによって行うことができる。一部の態様において、1-エチル-3-(3-ジメチル-アミノプロピル)-カルボジイミド[EDC]、N-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]、1,3-ジイソプロピル-カルボジイミド[DIC]、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、0-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート[HATU]、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート[PyBOP]、またはN,N-ジイソプロピルエチルアミン[DIEA]をアレイ表面に添加することによってカルボン酸は活性化されてもよい。活性化溶液は洗い流され、アミノ酸層(すなわち、それぞれの活性化カルボン酸基に1個のアミノ酸)を付加するためにアレイ表面は調製される。カルボン酸基は2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、または10時間まで活性化されたままである。
【0176】
遊離アミン基を有するアミノ酸を含む溶液がアレイの活性化カルボン酸表面に添加されると、1個のアミノ酸がそれぞれのカルボン酸基に結合される。一部の態様において、アミノ酸は、保護アミン基を有するアミノ酸を含む。感光性化学反応を用いると、保護基は、レチクルを用いて、部位特異的な場所にある選択されたアミノ酸のアミン基から除去することができる。例えば、光塩基発生剤を含む溶液中でFmoc保護アミノ酸が混合される。アレイ上の溶液が部位特異的な場所で特定の周波数の光に曝露されると、光塩基発生剤は塩基を放出し、塩基はアミノ酸を脱保護して、アレイの表面上にある活性化カルボン酸基とアミノ酸がカップリングされる。別の方法は、光に曝露された時に光酸発生剤によって放出される光酸によってその後保護されなくなる、保護塩基を用いることを伴う。一部の態様において、光塩基はN-boc-ピペリジンまたは1,4-ビス(N-Boc)-ピペラジンである。
【0177】
完成したアミノ酸層がカップリングされた後に、後の合成工程におけるアミノ酸の非特異的結合を阻止するために、残存しているカップリングされなかった活性化カルボン酸がキャッピングされる。アレイ上の特定の場所において所望のポリペプチドを合成するために、活性化、アミノ酸層の付加、およびキャッピングの工程が必要に応じて繰り返される。
【0178】
一つの態様において、N→C末端方向に合成されたペプチドは、生物学的分子、例えば、抗体に対する選択されたポリペプチド配列の結合特性を増強するためにジアミン分子でキャッピングされてもよい。他の態様において、C→N方向に合成されたペプチドは、生物学的分子に対する選択された配列の結合特性を増強するためにジカルボン酸分子でキャッピングされてもよい。
【0179】
ポリペプチドをアレイ表面上で同時に合成している間、本明細書に記載の方法はアレイ表面上にあるカルボン酸の完全な活性化を確実にする。活性化エステルには長期間の安定性があるために、1回の活性化工程の後に、(例えば、アレイ上の異なる場所にある2〜25個またはそれより多い異なるアミノ酸からなる層を丸ごとカップリングするために)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25回、またはそれより多いカップリングサイクルが完了されてもよい。カップリングはハードベーク(コーティング直後に90秒間、85〜90℃のホットプレートにおける加熱)の間に行われ、かつ溶液中に過剰なアミノ酸が存在するので、極めて高いカップリング収率を得るために、Fmoc保護アミノ酸の完全な100%脱保護は必要とされない場合がある。全アミノ酸の添加およびキャッピングの後に、全ての遊離活性化カルボン酸はカップリングまたはキャッピングされ、従って、ポリペプチド合成の高い効率および精度が得られる。
【0180】
ペプチドアレイの使用方法
支持体、製剤、および/またはアレイを使用する方法も本明細書において開示される。本明細書において開示されたアレイの用途は、研究用途、治療目的、医療診断、および/または1人もしくは複数人の患者の層別化を含んでもよい。
【0181】
本明細書に記載のアレイはいずれも研究ツールとして、または研究用途において使用することができる。一つの局面において、アレイはハイスループットスクリーニングアッセイに使用することができる。例えば、酵素基質(すなわち、本明細書に記載のペプチドアレイ上にあるペプチド)は、アレイを酵素に供し、アレイ上での酵素基質の存在または非存在を特定することによって、例えば、アレイの特徴の中の少なくとも1つの変化を検出することによって試験することができる。
【0182】
アレイはまた、基質特異性を確かめるためのリガンド結合のスクリーニングアッセイ、またはタンパク質を阻害もしくは活性化するペプチドを特定するためのスクリーニングアッセイにおいても使用することができる。これらの方法を行うのに有用な標識法、プロテアーゼアッセイ、ならびに結合アッセイは一般的に当業者に周知である。
【0183】
一部の態様において、アレイは、既知のタンパク質配列を重複ペプチドの配列として提示するのに使用することができる。例えば、既知タンパク質のアミノ酸配列は任意の長さおよび任意の適切な重複フレームの重複配列セグメントに分けられ、それぞれの配列セグメントに対応するペプチドは、本明細書において開示されたようにインサイチューで合成される。このように合成された個々のペプチドセグメントは、既知タンパク質のアミノ末端から開始して並べることができる。
【0184】
一部の態様において、既知タンパク質の抗原配列全体がエピトープスライディングによってカバーされている少なくとも1つの領域をアレイの抗原提示が含む方法において、アレイが用いられる。抗原の免疫活性領域は、アレイまたは複数の異なるアレイ上の1つまたは複数の臨床試料を接触させることによって確かめられ、既知のタンパク質抗原を提示するために必要とされるペプチド配列のセットは低減される。
【0185】
一部の態様において、試料は、複数のランダムペプチドを有するアレイに適用される。所定の抗原配列と、例えば、90%以上の同一性を有する相同ドメインを確かめるためにランダムペプチドをスクリーニングおよびBLAST検索することができる。次いで、一部の局面では、抗原配列全体を合成および使用して、関心対象の疾患の潜在的なマーカーおよび/または原因を特定することができる。
【0186】
一部の態様において、アレイは1種類または複数種の遺伝因子のハイスループットスクリーニングに用いられる。遺伝子に関連するタンパク質は潜在的な抗原となる可能性があり、これらのタンパク質に対する抗体を用いて、遺伝子と疾患との関係を評価することができる。
【0187】
別の例において、アレイは1種類または複数種のバイオマーカーを特定するのに使用することができる。バイオマーカーは疾患の診断、予後、処置、および管理に使用することができる。バイオマーカーは、疾患状態、疾患の段階、および疾患処置に対する反応に応じて個体において発現されてもよく、存在しなくてもよく、異なるレベルでもよい。バイオマーカーは、例えば、DNA、RNA、タンパク質(例えば、キナーゼなどの酵素)、糖、塩、脂肪、脂質、またはイオンでもよい。
【0188】
アレイはまた、治療目的、例えば、1種類または複数種の生理活性剤の特定にも使用することができる。生理活性剤を特定するための方法は、複数種の試験化合物をアレイに適用する工程、および生理活性剤として少なくとも1種類の試験化合物を特定する工程を含んでもよい。試験化合物は、低分子、アプタマー、オリゴヌクレオチド、化学物質、天然抽出物、ペプチド、タンパク質、抗体断片、抗体様分子、または抗体でもよい。生理活性剤は治療剤または治療標的の修飾物質でもよい。治療標的は、ホスファターゼ、プロテアーゼ、リガーゼ、シグナル伝達分子、転写因子、タンパク質輸送体、タンパク質ソーター、細胞表面受容体、分泌因子、および細胞骨格タンパク質を含んでもよい。
【0189】
別の局面において、アレイは、治療用の薬物候補を特定するのに使用することができる。例えば、特異的抗体に対する1つまたは複数のエピトープがアッセイ(例えば、ELISAなどの結合アッセイ)によって確かめられたとき、エピトープを用いて、疾患における標的抗体に対する薬物(例えば、モノクローナル中和抗体)を開発することができる。
【0190】
一つの局面において、医療診断において使用するためのアレイも提供される。アレイは、薬物またはワクチンの投与に対する反応を確かめるために使用することができる。例えば、ワクチンに対する個体の反応は、誘導された免疫応答によって産生される抗体が認識するエピトープを提示するペプチドを有するアレイを用いて個体の抗体レベルを検出することによって確かめることができる。別の診断用途は、バイオマーカーの存在について個体を試験することである。ここで、試料は対象から採取され、1種類または複数種のバイオマーカーの存在について試験される。
【0191】
アレイはまた、対象が治療的処置に反応する可能性を示すバイオマーカーの存在または非存在に基づいて患者集団を層別化するのに使用することもできる。アレイは、既知のバイオマーカーを特定して適切な治療群を確かめるのに使用することができる。例えば、ある状態を有する対象からの試料をアレイに適用することができる。アレイへの結合によって、状態のバイオマーカーの存在が分かる場合がある。以前の研究から、バイオマーカーは処置後の正のアウトカムと関連するのに対して、バイオマーカーの非存在は処置後の負または中立のアウトカムに関連することが分かる場合がある。患者にバイオマーカーがあるので、医療専門家によって、処置を受ける群に患者が層別化される場合がある。
【0192】
一部の態様において、試料中の関心対象のタンパク質(例えば、抗体)の存在または非存在を検出する方法が、関心対象のタンパク質を含むと疑われる試料と接触させた本発明に開示されるアレイを得る工程;およびアレイの1つまたは複数の特徴との結合の存在または非存在を検出することによって関心対象のタンパク質が試料中に存在するかどうかを確かめる工程を含み得る。一部の態様において、関心対象のタンパク質は、体液、例えば、羊水、房水、硝子体液、胆汁、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳び、内リンパ、外リンパ、糞便、女性の膣液、胃酸、胃液、リンパ、粘液、腹水、胸膜液、膿、唾液、皮脂、精液、汗、滑液、涙、腟分泌物、嘔吐物、または尿から得られてもよい。
【0193】
一部の態様において、ワクチン候補を特定する方法は、ワクチン候補が以前に投与された対象から得られた試料と接触させた、本明細書において開示されたアレイを得る工程であって、試料が複数の抗体を含む、工程;およびアレイの1つまたは複数の特徴に対する複数の抗体の結合特異性を確かめる工程を含んでもよい。一部の態様において、前記特徴は、既知配列を有する供給源タンパク質に由来する部分配列を含む複数の別個の入れ子状の重複ペプチド鎖を含む。
【実施例】
【0194】
以下は、本発明を実施するための特定の態様の実施例である。本実施例は例示のみの目的で提供され、いかなるやり方でも本発明の範囲を限定することを目的としない。使用された数値(例えば、量、温度など)に関して精度を確保するための努力がなされたが、もちろん、いくらかの実験誤差および偏差が許容されるはずである。
【0195】
本発明の実施では、特に定めのない限り、当該技術の範囲内でタンパク質化学、生化学、組換えDNA法、および薬理学の従来法が用いられる。このような技法は文献において十分に説明されている。例えば、T.E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W.H.Freeman and Company, 1993); A.L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition); Sambrook, et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989); Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.); Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990); Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3
rd Ed. (Plenum Press) Vols A and B(1992)を参照されたい。
【0196】
化合物例
実施例1
1-(ジエチルアミノ-メチル)-4-フェニル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン
1-(ジエチルアミノ-メチル)-4-フェニル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンはSigma Aldrichから市販されている。
【0197】
実施例2
1-(3-(ジエチルアミノ)-プロピル)-4-(2-メトキシフェニル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン
1-(3-(ジエチルアミノ)-プロピル)-4-(2-メトキシフェニル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンをスキーム1に従って調製した。
【0198】
実施例3
1,3-Bis[(2-ニトロベンジル)オキシカルボニル-4-ピペリジル]プロパン
1,3-Bis[(2-ニトロベンジル)オキシカルボニル-4-ピペリジル]プロパンはSigma Aldrichから市販されている。
【0199】
実施例4
1,3-Bis[1-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-4-ピペリジル]プロパン
1,3-Bis[1-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-4-ピペリジル]プロパンはSigma Aldrichから市販されている。
【0200】
実施例5
1-フェナシル-(1-アゾニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタン)ブロミド
トルエンに溶解した2-ブロモアセトフェノンの溶液に、一当量の1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのエーテル溶液を室温で添加した。反応混合物を室温で1時間、攪拌した。沈殿した臭化物を濾過し、ジエチルエーテルで3回洗浄し、乾燥させて、収率91%で表題化合物を得た。
【0201】
実施例6
1-フェナシル-(1-アゾニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタン)テトラフェニルボラート
1-フェナシル-(1-アゾニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタン)ブロミドの水溶液に、一当量のテトラフェニルホウ酸ナトリウム水溶液を添加した。反応混合物を1時間、攪拌した。固体を濾過し、水、エーテルで洗浄し、乾燥させて、収率40%で表題化合物を得た。
【0202】
実施例7
1-ナフトイルメチル-(1-アゾニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタン)ブロミド
トルエンに溶解した2-ブロモ-2'-アセトナフトンの溶液に、一当量の1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのエーテル溶液を室温で添加した。反応混合物を室温で1時間、攪拌した。沈殿した臭化物を濾過し、濾液が無色になるまでジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、収率91%で表題化合物を得た。
【0203】
実施例8
1-ナフトイルメチル-(1-アゾニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタン)テトラフェニルボラート
1-ナフトイルメチル-(1-アゾニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタン)ブロミドの水溶液に、一当量のテトラフェニルホウ酸ナトリウム水溶液を添加した。反応混合物を、1時間攪拌した。固体を濾過し、水、エーテルで洗浄し、乾燥させて、収率88%で表題化合物を得た。
【0204】
実施例9
1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エニルフェニルグリオキシラート
フェニルグリオキシル酸(0.25g、1.66mmol)および1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(0.24g、1.75mmol)の溶液をエタノール中、室温で18時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させることによってヘキサン/エタノールから再結晶化した固体が生じ、収率66%で表題化合物(0.32g)を得た。
【0205】
実施例10
1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エニル-4-ニトロフェニルグリオキシラート
4-ニトロフェニルグリオキシル酸(0.25g、1.28mmol)および1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(0.0.18g、1.34mmol)の溶液をエタノール中、室温で攪拌した。固体が沈殿し、これをヘキサンで洗浄し、ヘキサン/エタノールから再結晶化して、収率70%で表題化合物(0.3g)を得た。
【0206】
実施例11
1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エニルテトラフェニルボラート
1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(61mmol)を61mLの10%HCl(aq)に溶解した後に、85mlの水に溶解したNaBPh
4(67mmo1, 1.1当量)の懸濁液を添加した。白色沈殿物が形成され、これを濾過し、水、メタノール、およびジエチルエーテルで数回洗浄した。得られた固体を減圧下で乾燥させて、収率82%で表題化合物を得た。
【0207】
実施例12
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニルテトラフェニルボラート
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(9.85mmol)を10mLの10%HCl(aq)に溶解した後に、13mlの水に溶解したNaBPh
4(10.85mmo1, 1.1当量)の懸濁液を添加した。白色沈殿物が形成され、これを濾過し、水、メタノール、およびジエチルエーテルで数回洗浄した。得られた固体を減圧下で乾燥させて、収率64%で表題化合物を得た。
【0208】
アレイ実施例
実施例13:bis-ポリエチレングリコールカルボキシメチルエーテルを用いたCOOHコーティング支持体の作製
本実施例は、COOH基を含む支持体を構築する方法について説明する。ケイ素支持体上にニッケル1000Åを付着させたシリコンウェーハをUniversity Wafersから入手した。Dextran Bio Xtra(MW40000)をSigma Aldrichから入手した。Bis-ポリエチレングリコールカルボキシメチルエーテルをSigma Aldrichから入手した。ポリビニルピロリドン1000000をPoly Sciences Inc.から入手した。Oakwood Chemicals Inc.から入手した2重量%の光酸発生剤ジメチル-2,4-ジヒドロキシフェニルスルホニウムトリフラートと共に、前記の3種類のポリマーを50重量%乳酸エチル/50重量%水の溶媒組成物に2:2:1の比で溶解した。この溶液をシリコンウェーハ上にスピンコーティングした。
【0209】
コーティングされたシリコンウェーハを3000rpmで回転させて、厚さ100nmの均一なコートを得た。次いで、ウェーハを遠紫外線スキャナNikon S 203に入れて250mJ/cm
2で露光し、次いで、ホットプレートに入れて65℃で90秒間ベークした。次いで、アセトンおよびイソプロピルアルコールを用いてウェーハからコーティングをはがした後に、脱イオン水でリンスした。支持体には、ペプチド合成のために活性化し、タンパク質またはアミノ酸とカップリングできるようになっている遊離COOH基のマトリックスがあった。多孔性デキストラン支持体上にある、層に沿ったCOOH基の2次元での濃度は平面支持体と比較して高い。
【0210】
実施例14:シラン-PEG-COOHを用いたCOOHコーティング支持体の作製
COOHコーティング支持体の作製を以下の通りに行った。シラン-PEG-COOHをNanocsから入手した。純粋なエチルアルコールをEMD Milliporeから入手した。99.5重量%のエチルアルコールおよび0.5重量%のシラン-PEG-COOHの混合物を溶解し、室温で48時間、シリカウェーハ上に層状に積み重ねた。次いで、シリカウェーハをエチルアルコールで5分間洗浄した後に、脱イオン水で5分間洗浄した。
【0211】
実施例15:無水コハク酸を用いたCOOHコーティング支持体の作製
NH
2表面を有するウェーハを以下の通りに調製した。アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)をSigma Aldrichから入手した。100%エタノールをVWRから入手した。最初に、ウェーハをエタノールで5分間洗浄し、次いで、1重量%APTES/エタノールに20〜30分間入れ、シラン層を成長させた。次いで、リンカー分子取り付け用の-NH
2基を有するモノシラン層を成長させるために、ウェーハを110℃窒素ベークオーブンに入れて硬化させた。
【0212】
COOHコーティング支持体の作製を以下の通りに行った。無水コハク酸をSigma-Aldrichから入手した。N,N-ジメチルホルムアミド[DMF]をVWR Internationalから入手した。50重量%DMFおよび50重量%無水コハク酸の混合物を溶解し、NH
2表面を含有するシリカウェーハと48時間、反応させた。次いで、ウェーハをDMFで5分間洗浄した後に、脱イオン水で5分間洗浄した。
【0213】
実施例16:PEG二酸を用いたCOOHコーティング支持体の作製
NH
2表面を有するウェーハを以下の通りに調製した。アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)をSigma Aldrichから入手した。100%エタノールをVWRから入手した。最初に、ウェーハをエタノールで5分間洗浄し、次いで、1重量%APTES/エタノールに20〜30分間入れ、シラン層を成長させた。次いで、リンカー分子取り付け用の-NH
2基を有するモノシラン層を成長させるために、ウェーハを110℃窒素ベークオーブンに入れて硬化させた。
【0214】
COOHコーティング支持体の作製を以下の通りに行った。ポリ(エチレングリコール)二酸(すなわち、PEG-ジプロピオン酸)をSigma-Aldrichから入手した。PEG二酸は2つのカルボン酸基を含む。1,3-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]をAdvanced ChemTechから入手した。ヒドロキシベンゾトリアゾール[HOBt]をAnaspecから入手した。N-メチル-2-ピロリドン[NMP]をVWR Internationalから入手した。NMPに溶解した2重量%のDIC、1重量%のHOBt、1重量%のポリ(エチレングリコール)二酸を含む混合物を、NH
2表面を含有するシリカウェーハと60分間反応させた。次いで、ウェーハをNMPで5分間洗浄した。この後に、50%無水酢酸および50%NMPを含有するキャッピング溶液と反応させて、表面に残っている未反応NH
2と15分間反応させた。この後に、ウェーハをNMPで5分間洗浄した。
【0215】
実施例17:トリメシン酸を用いたCOOHコーティング支持体の作製
NH
2表面を有するウェーハを以下の通りに調製した。アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)をSigma Aldrichから入手した。100%エタノールをVWRから入手した。最初に、ウェーハをエタノールで5分間洗浄し、次いで、1重量%APTES/エタノールに20〜30分間入れ、シラン層を成長させた。次いで、リンカー分子取り付け用の-NH
2基を有するモノシラン層を成長させるために、ウェーハを110℃窒素ベークオーブンに入れて硬化させた。
【0216】
COOHコーティング支持体の作製を以下の通りに行った。トリメシン酸(ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、H3BTC)[TMA]をSigma-Aldrichから入手した。トリメシン酸は3つのカルボン酸基を含む。NMPに溶解した2重量%のDIC、1重量%のHOBt、1重量%のTMAを含む混合物を、NH
2表面を含有するシリカウェーハと12時間、反応させた。次いで、ウェーハをNMPで5分間洗浄した。この後に、50重量%無水酢酸および50重量%NMPを含有するキャッピング溶液と反応させて、表面に残っている未反応NH
2と15分間反応させた。この後に、ウェーハをNMPで5分間洗浄した。
【0217】
実施例18:メリト酸を用いたCOOHコーティング支持体の作製
NH
2表面を有するウェーハを以下の通りに調製した。アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)をSigma Aldrichから入手した。100%エタノールをVWRから入手した。最初に、ウェーハをエタノールで5分間洗浄し、次いで、1重量%APTES/エタノールに20〜30分間入れ、シラン層を成長させた。次いで、リンカー分子取り付け用の-NH
2基を有するモノシラン層を成長させるために、ウェーハを110℃窒素ベークオーブンに入れて硬化させた。
【0218】
COOHコーティング支持体の作製を以下の通りに行った。メリト酸(ベンゼンヘキサカルボン酸)[MA]をSigma Aldrichから入手した。メリト酸は6個のカルボン酸基を含む。NMPに溶解した2重量%のDIC、1重量%のHOBt、1重量%のMAを含む混合物を、NH
2表面を含有するシリカウェーハと8時間、反応させた。次いで、ウェーハをNMPで5分間洗浄した。この後に、50%重量無水酢酸および50%重量NMPを含有するキャッピング溶液と反応させて、表面に残っている未反応NH
2と15分間反応させた。この後に、ウェーハをNMPで5分間洗浄した。
【0219】
実施例19:デキストランおよびベンゾフェノンを用いたCOOHコーティング支持体の作製(デキストラン1)
NH
2表面を有するウェーハを以下の通りに調製した。アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)をSigma Aldrichから入手した。100%エタノールをVWRから入手した。最初に、ウェーハをエタノールで5分間洗浄し、次いで、1重量%のAPTES/エタノールに20〜30分間入れ、シラン層を成長させた。次いで、リンカー分子取り付け用の-NH
2基を有するモノシラン層を成長させるために、ウェーハを110℃窒素ベークオーブンに入れて硬化させた。
【0220】
3次元COOHコーティング支持体の作製を以下の通りに行った。CM-デキストラン(すなわち、カルボキシメチルデキストラン)塩をSigma Aldrichから入手した。ベンゾフェノン-4-カルボン酸および4-アミノベンゾフェノンをSigma Aldrichから入手した。エタノールに溶解した4重量%のEDC、2重量%のNHS、および2.5重量%のベンゾフェノン-4-カルボン酸の混合物を、NH
2表面を含有するシリカウェーハと60分間反応させた。3重量%の4-アミノベンゾフェノンおよび2重量%のCMデキストランを含有する溶液を、EDCおよびNHSの存在下で、溶相中で120分間互いに混合することによって作製した。EDCおよびNHSはCMデキストラン上にあるCOOHを活性化し、これによって、活性化カルボン酸基は4-アミノベンゾフェノンにカップリングすることができた。次いで、カップリングされたアミノベンゾフェノンおよびCMデキストランを含有する部分を選択するために、結果として生じた溶液を濾過した。次いで、予めベンゾフェノンと反応させたウェーハ上に、適切なポリマーと共に、カップリングされたアミノベンゾフェノンおよびCMデキストランを含有する部分を含む溶液をスピンコーティングし、248nmで曝露した。ウェーハ表面上のベンゾフェノンは、CMデキストランとカップリングされた溶液中のベンゾフェノンとカップリングした。これにより、ベンゾフェノン-ベンゾフェノン相互作用を介してアレイ表面にCMデキストランが連結され、従って、表面上にカルボン酸3次元配置のある支持体が作り出された。
【0221】
実施例20:デキストランおよびアミン表面を用いたCOOHコーティング支持体の作製(デキストラン2)
NH
2表面を有するウェーハを以下の通りに調製した。アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)をSigma Aldrichから入手した。100%エタノールをVWRから入手した。最初に、ウェーハをエタノールで5分間洗浄し、次いで、1重量%のAPTES/エタノールに20〜30分間入れ、シラン層を成長させた。次いで、リンカー分子取り付け用の-NH
2基を有するモノシラン層を成長させるために、ウェーハを110℃窒素ベークオーブンに入れて硬化させた。
【0222】
3次元COOHコーティング支持体の作製を以下の通りに行った。NMPに溶解した2重量%のDIC、1重量%のHOBt、2.5重量%のCMデキストラン(すなわち、カルボキシメチルデキストラン)を含む混合物を、NH
2表面を含有するシリカウェーハと60分間反応させた。次いで、ウェーハをNMPで5分間洗浄した。この後に、50重量%の無水酢酸および50重量%のNMPを含有するキャッピング溶液と反応させて、表面に残っている未反応NH
2を15分間キャッピングした。この後に、ウェーハをNMPで5分間洗浄した。これにより、表面上にカルボン酸3次元配置のある支持体が作り出された。
【0223】
実施例21:COOHコーティング支持体上のカルボキシル表面密度
カルボキシル表面を有するウェーハを、実施例14〜20に記載の様々な方法を用いて誘導体化した(実施例14:シランPEG COOH、実施例15:無水コハク酸、実施例16:PEG二酸、実施例17:トリメシン酸、実施例18:メリト酸、実施例19:デキストラン1、および実施例20:デキストラン2)。それぞれの方法によって作製したアレイの表面密度を試験した。塩酸4'-(アミノメチル)フルオレセインはLife Technologiesから入手した。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド[EDC]およびN-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]をSigma Aldrichから入手した。それぞれのアレイのカルボキシル表面を、脱イオン水に溶解した4重量%EDCおよび2重量%NHSの活性化混合物を用いて10分間活性化した。この後に、それぞれのアレイのカルボキシル表面を脱イオン水で3分間洗浄した。次いで、脱イオン水に溶解した1重量%の4'-(アミノメチル)フルオレセインを含有する混合物をアレイに添加し、30分間反応させた。この後に、アレイを脱イオン水で5分間洗浄した。次いで、全てのCOOH支持体について、488nmレーザーを用いてフルオレセイン強度をチェックした。カルボキシル表面密度と相関関係のある、結果として生じたフルオレセイン強度を
図1に示した。
【0224】
下記の方法に記載のようにペプチド合成および抗体結合を行った。結果から、実施例19および実施例20において作製した3次元COOH表面(すなわち、デキストラン1およびデキストラン2;データは示さず)に合成したペプチドの密度の方が高いことが分かった。
【0225】
実施例22:ピラーを有する支持体の作製
本実施例は、ピラーを含む支持体を構築する方法について説明する。2.4μmの熱成長酸化物のあるシリコンウェーハをUniversity Wafersから入手した。ウェーハ表面から汚染物質を除去するために、シリコンウェーハの表面を脱イオン水できれいにした。有機化合物をウェーハに化学接着するために、スプレーモジュールを用いてヘキサメチルジシラザン (HMDS)の蒸気を、加熱した支持体に200〜220℃で30〜50秒間かけることによって、シリコンウェーハの表面をプライミングした。HMDSをSigma Aldrich Inc.から入手した。HMDSは、ウェーハ表面とフォトレジストの両方に結合する特性を有する「架橋剤(bridge)」として作用する。ウェーハを、フォトレジストコートモジュールに入れて、Rohm and Haasから入手した市販の遠紫外線フォトレジストP5107またはAZ Electronic Materialsから入手したAZ DX7260p 700で6000Åの厚さとなるようにスピンコーティングした。次いで、ウェーハをホットプレートに入れて120℃で60秒間ベークした。
【0226】
特徴を作り出すパターン領域を有する光マスクを用いて、支持体表面にアレイを画像化した。次いで、ウェーハを248nm遠紫外線スキャナーツール、Nikon S203に入れて露光した。露光エネルギーは18mJ/cm
2であった。次いで、ウェーハをホットプレートに入れて110℃で120秒間、露光後ベークし、Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd.から入手した市販のNMD-3現像剤を用いて60秒間現像した。
【0227】
この後に、ウェットエッチングプロセスまたはドライプラズマエッチングプロセスを用いて酸化物をエッチングした。標準的な半導体エッチング法を使用した。酸化物エッチングの深さは1000Å〜2000Åであった。
【0228】
エッチング後、クロムを物理的付着法によって500Å〜1500Åの厚さまで付着させた。標準的なエッチングおよび金属付着法を使用した。
【0229】
クロムを付着させた後、以下のプロセスを用いてレジストをリフトオフした。ウェーハを、Cyantek Inc.から入手したNanostripに入れて一晩放置し、次いで、Piranha溶液に90分間浸漬した。Piranha溶液は硫酸および過酸化水素の50:50混合物である。硫酸および過酸化水素をSigma Aldrich Corp.から入手した。残存不純物を酸化するためにプラズマ灰化を行った。このプロセスによって、金属によって分離された二酸化ケイ素ピラーを有する支持体が得られた。
【0230】
または、付着クロムを、付着に応じて500Å〜1500Åの深さまで研磨もした。研磨は、金属によって分離された二酸化ケイ素ピラーを得るために行った。
【0231】
誘導体化:次いで、ピラー表面を遊離カルボン酸取り付け基(すなわち、COOH基)でコーティングするために、実施例13〜21に示した方法を用いてウェーハを表面誘導体化した。
【0232】
実施例23:Fmoc保護アミノ酸からのホモポリマーおよびヘテロポリマーの合成
本実施例は、遊離カルボン酸基のカルボジイミド活性化を用いたチップアレイ上でのペプチドのC→N合成法を示す。実施例13において説明したように、COOH基を有するウェーハを調製した。下記の方法に従ってCOOH基を活性化し、ペプチドを脱保護し、部位特異的および配列特異的に活性化COOH基に付加した。カップリング反応に使用した溶液を以下の通りに調製した。
【0233】
カルボン酸活性化溶液:
カルボン酸活性化溶液を調製するために、4重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよび2重量%のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を脱イオン水に溶解した。
【0234】
カップリング光塩基アミノ酸溶液1(表5):
Fmoc保護アミノ酸カップリング分子アラニンを含有する溶液を以下の通りに調製した。ポリマーポリ(メチルメタクリレート)(すなわち、PMMA)を、N-メチルピロリドンおよび乳酸エチルの1:1溶媒溶液に溶解した。溶液中のPMMA最終濃度は1重量%であった。Fmoc-Ala-OHはカップリング分子であり、2重量%の最終濃度となるように溶液に添加した。別のアミノ酸をカップリングする場合、Fmoc-Ala-OHの代わりに他の任意のFmoc保護アミノ酸を使用することができる。光塩基発生剤1,3-Bis[(2-ニトロベンジル)オキシカルボニル-4-ピペリジル]プロパンおよび1,3-Bis[(1-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-4-ピペリジル]プロパンをそれぞれ1重量%の最終濃度となるように溶液に添加した。
【0235】
カップリング光塩基アミノ酸溶液2(表5):
Fmoc保護アミノ酸カップリング分子アラニンを含有する別の溶液を以下の通りに調製した。ポリマーPMMAを溶媒N-メチルピロリドンに溶解した。溶液中のPMMAの最終濃度は1重量%であった。Fmoc-Ala-OHはカップリング分子であり、2重量%の最終濃度となるように溶液に添加した。別のアミノ酸をカップリングする場合、Fmoc-Ala-OHの代わりに他の任意のFmoc保護アミノ酸を使用することができる。光塩基発生剤1,3-Bis[(2-ニトロベンジル)オキシカルボニル-4-ピペリジル]プロパンを1重量%の最終濃度となるように溶液に添加した。
【0236】
カップリング光塩基アミノ酸溶液3(表5):
Fmoc保護アミノ酸カップリング分子アラニンを含有する溶液を以下の通りに調製した。ポリマーPMMAおよびポリビニルピロリドンをそれぞれ溶媒N-メチルピロリドンに溶解した。溶液中のPMMAおよびポリビニルピロリドンの最終濃度はそれぞれ1重量%であった。Fmoc-Ala-OHはカップリング分子であり、2重量%の最終濃度となるように溶液に添加した。別のアミノ酸をカップリングする場合、Fmoc-Ala-OHの代わりに他の任意のFmoc保護アミノ酸を使用することができる。光塩基発生剤1,3-Bis[(2-ニトロベンジル)オキシカルボニル-4-ピペリジル]プロパンを1重量%の最終濃度となるように溶液に添加した。
【0237】
Fmoc保護アミノ酸を全てAnaspecから入手した。ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリビニルピロリドンをPolysciences Inc.から入手した。
【0238】
(表5)光活性カップリング製剤
【0239】
固相N→C合成法
支持体の表面に取り付けた遊離カルボン酸基への遊離アミノ酸の取り付けを
図2に示した。工程1に示したように、カルボン酸活性化溶液をウェーハの表面に添加し、ウェーハを回転させてウェーハの表面にカルボキシル活性化溶液の層を形成することによって、COOHコーティングウェーハ支持体を活性化した。カルボン酸活性化溶液中のカルボジイミドは遊離カルボン酸基と反応して、遊離カルボニル基(例えば、「活性化カルボン酸基」)を生じた。次いで、カルボン酸基活性化溶液をウェーハの表面から洗浄した。次いで、工程2に示したように、前記(表5も参照されたい)の3種類のカップリング光塩基アミノ酸溶液のうちの1つをウェーハ上に3000rpmでスピンコーティングし、ホットプレート上で、65℃で1分間ベークした。次いで、ウェーハを、レチクルを用いて248nmおよび80mJ/cm
2の電磁放射線に選択的に曝露し(工程3)、次いで、ホットプレートに入れて85℃で90秒間ハードベークした(工程4)。放射線に曝露された領域のみ、カップリング光塩基アミノ酸溶液の光塩基発生剤から塩基が光活性化放出されることによってFmoc-Ala-OHが脱保護された。Fmoc保護アミン基が脱保護されると同時に、アミノ酸は活性化カルボン酸基にカップリングされた。次いで、溶液をウェーハからはがした。新たにカップリングされたアミノ酸は部位特異的な場所で活性化カルボン酸に結合したままであった(工程5)。残りの活性化カルボン酸基に様々なアミノ酸をカップリングするように工程2〜5を繰り返した。アミノ酸をそれぞれの望ましい場所にカップリングした後に、アレイ表面全体にあるカルボン酸基を活性化して別のアミノ酸層を付加するように、任意で、工程1で行ったカルボン酸基活性化を繰り返した(工程2〜5のサイクル)。このプロセスによって、支持体上の特定の場所に配列特異的なペプチド鎖が作製された。選択された配列について得られた結果を下記でさらに詳細に説明する。
【0240】
20merのホモポリマー合成およびカップリング工程の効率
以下の配列:
を有する20merのペプチドを合成するために前記の光活性カップリング工程を行った。
【0241】
本実施例では、上記の20merのアミノ酸配列それぞれの工程収率データを測定した。蛍光を介して工程収率を測定するために、別のアミノ酸またはフルオレセイン色素分子の付加を阻止するエタノールアミンを含むキャッピング溶液に、非カップリング-活性化カルボン酸を曝露した。キャッピング後、カップリング効率を求めるために、以下のプロトコールに従って、このアミノ酸配列に蛍光色素分子をカップリングした。塩酸5-(アミノメチル)フルオレセインをLife techから入手した。0.1M Boc-Gly-OH(AAPPTeC)、0.05M 5-AFH、および0.1M HoNb(Sigma Aldrich)、および0.1M EDC(Sigma Aldrich)を5〜10重量%のポリビニルピロリドン(Polysciences)と共に水に溶解した。この溶液を本明細書では「フルオレセインカップリング溶液」と呼ぶ。キャッピングされた非カップリング-カルボン酸を含むCOOHコーティングウェーハ支持体は、カルボン酸活性化溶液をウェーハの表面に添加し、ウェーハを回転させてウェーハの表面にカルボキシル活性化溶液層を形成することによって活性化した。カルボン酸活性化溶液中のカルボジイミドは遊離カルボン酸基と反応して、遊離カルボニル基(例えば、「活性化カルボン酸基」)を生じる。次いで、カルボン酸基活性化溶液を洗い流した。次いで、フルオレセインカップリング溶液をウェーハ上に2000rpmでスピンコーティングして、カップリング色素コートを形成した。次に、ウェーハを65℃で2分間ベークし、次いで、フルオレセインカップリング溶液を水で洗い流した。これにより、キャッピングされていないペプチド鎖とキャッピングされたペプチド鎖の比率を測定して合成効率を測定するフルオレセイン色素カップリングが完了した。次いで、蛍光顕微鏡でシグナルを読み取った。全実験について、測定されたシグナル強度はカップリング収率と直接関連した。脱保護収率は、それぞれの合成工程後に、支持体上のCOOHにカップリングされたフルオレセインの量によって計算することができる。
【0242】
カップリングされたフルオレセイン色素の量は成長した配列の量の直接的尺度となる。平均n番目工程収率(すなわち、「F」)を計算するのに使用した式はF=(F
n/F
1)/n-1であった。式中、F
1は、蛍光スキャナ装置から読み取った1番目の工程のフルオレセインカップリング強度を示し、F
nはn番目の工程のフルオレセインカップリング強度を示す。平均カップリング収率(すなわち、平均カップリング効率、すなわち「E」)は式E=10^((logF)/C)を用いて計算した。式中、Fは完全長の画分(fraction)に等しく、C=カップリングの回数=長さ-1である。工程ごとの工程収率は式F
n+1/F
nによって計算した。ここで、1番目のカップリング後はn=1、2番目のカップリング後はn=2などである。工程ごとのカップリング収率は、工程ごとの合成効率と蛍光が直接関係するので同じ式によって示された。
【0243】
図3Aは、蛍光シグナル強度対各アミノ酸層のグラフを示す。
図3Bは、全工程収率対各アミノ酸層のグラフを示す。表6は、カップリング工程ごとの収率効率を示す。各アミノ酸のカップリング効率は、20merのペプチドの長さ全体にわたって、それぞれの場合において98.5%超と算出された。
【0244】
(表6)20merのホモポリマーカップリング収率
【0245】
12merのヘテロポリマー合成およびカップリング工程の効率
12merまでのポリペプチドを合成するために前記の光活性カップリング工程を行った。本実施例において使用したアミノ酸は、Fmoc-Lys-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Met-OH、Fmoc-Thr-OH、Fmoc-Ser-OH、Fmoc-Asp-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-Ile-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg-OH、Fmoc-Val-OHであった。全アミノ酸をAnaspecから入手した。これらのアミノ酸を、前記のカップリング光塩基アミノ酸溶液中のFmoc-Ala-OHの代わりにカップリング光塩基アミノ酸溶液に添加した。
【0246】
配列を、前記のカルボジイミド活性化COOHおよびFmoc保護ペプチドカップリング法を用いて合成した。前記のように合成効率を測定するために、フルオレセインカップリングを最終産物に対して行った。
【0247】
以下の工程に従って12merのポリペプチドを合成した。
【0248】
平均n番目工程収率(すなわち、「F」)を計算するのに使用した式はF=(F
n/F
1)/n-1であった。式中、F
1は、蛍光スキャナ装置から読み取った1番目の工程のフルオレセインカップリング強度を示し、F
nはn番目の工程のフルオレセインカップリング強度を示す。平均カップリング収率(すなわち、平均カップリング効率、すなわち「E」)は式E=10^((logF)/C)を用いて計算した。式中、Fは完全長の画分に等しく、C=カップリングの回数=長さ-1である。工程ごとの工程収率は式F
n+1/F
nによって計算した。ここで、1番目のカップリング後はn=1、2番目のカップリング後はn=2などである。工程ごとのカップリング収率は、工程ごとの合成効率と蛍光が直接関係するので同じ式によって示された。
【0249】
図4Aは、蛍光シグナル強度対各アミノ酸層のグラフを示す。
図4Bは、アミノ酸付加ごとの全工程収率のグラフを示す。縦列は、縦列ごとに1個のアミノ酸が付加されるように合成された配列を示す。
【0250】
各アミノ酸のカップリング効率は、12merのペプチド全体にわたって、それぞれの場合において98.5%超と算出された。完全長12アミノ酸ポリペプチドの全収率は86.13%と算出された。表7は合成反応の結果を示す。
【0251】
(表7)12merのヘテロポリマー収率
【0252】
実施例24:カルボン酸表面活性化の寿命
実施例17(トリメシン酸コーティング)において説明したように、カルボン酸表面を有するウェーハを調製した。次いで、活性化エステルの寿命を求めるために様々なカップリング試薬を試験した。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド[EDC]およびN-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]をSigma Aldrichから入手した。1,3-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]をAdvanced ChemTechから入手した。ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)をAnaspecから入手した。(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)[HATU]およびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート[PyBOP]をAapptecから入手した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン[DIEA]をAlfa Aesarから入手した。
【0253】
以下の活性化溶液を生じる試薬の様々な組み合わせを用いてウェーハを活性化した。(1)4重量%のEDCおよび2重量%のNHSを脱イオン水に溶解し、ウェーハと室温で10分間反応させた。次いで、ウェーハを脱イオン水で洗浄した。(2)4重量%のDICおよび2重量%のHOBtをNMPに溶解し、ウェーハと室温で10分間反応させた。次いで、ウェーハをNMPで洗浄した。(3)4重量%のHATUおよび2重量%のN,N-ジイソプロピルエチル-アミン(DIEA)をNMPに溶解し、ウェーハと室温で8分間反応させた。次いで、ウェーハをNMPで洗浄した。(4)4重量%のPyBOPおよび2重量%のDIEAをNMPに溶解し、ウェーハと室温で25分間反応させた。次いで、ウェーハをNMPで洗浄した。
【0254】
洗浄後、ウェーハを、様々な期間(1分、5分、20分、60分、2時間、5時間、および10時間)にわたって各試薬の活性化寿命についてチェックした。各活性化試薬について、各期間が終わった後に、上記で説明したように4'-アミノメチルフルオレセインを用いて蛍光強度を測定することによって、各アレイ上にある遊離カルボン酸の量を測定した。各アレイの表面にあるカルボン酸の活性化寿命を示した結果を
図5に示した。
【0255】
PyBOPおよびDIEA活性化エステルは急速な加水分解が起こりやすかった。他のエステルは5〜6時間の安定性を示した。従って、複数の場所で配列特異的に付加するためのマルチカップリングサイクルに単回活性化工程を使用することができる。実施例18(メリト酸)において作製したCOOHウェーハを用いて上記の実験も行った。結果(示さず)は同様であり、上記の活性化溶液(1)〜(4)を用いて5〜6時間の活性化安定性を示した。
【0256】
実施例25:Fmoc保護アミノ酸を用いたCOOH支持体上でのペプチド合成
トリメシン酸を用いて前記で説明したように(実施例17)、カルボン酸表面を有するウェーハを調製した。ヒスチジン(H)、アルギニン(R)、セリン(S)、バリン(V)、およびグリシン(G)を含むフルオレニルメチルオキシカルボニル[Fmoc]保護アミノ酸をAnaspecから入手した。エタノールアミンをSigma Aldrichから入手した。
【0257】
カルボン酸表面を以下の通りに活性化した。4重量%のEDCおよび2重量%のNHSを脱イオン水に溶解し、室温で10分間ウェーハと反応させた。次いで、ウェーハを脱イオン水で洗浄した。
【0258】
既知のアミノ酸配列(RHSVV)に配列特異的抗体を結合させることによって、ウェーハ上にあるカルボン酸に対する脱保護およびカップリングをチェックした。アミノ酸カップリングを以下の通りに行った。コポリマー(2.5重量%のPMMAを1.5重量%のポリエチレングリコールに添加した)、1重量%のアミノ酸、および2.5重量%の光塩基発生剤を含有する光塩基カップリング溶液をウェーハ上にスピンコーティングし、ベークした。次に、レチクルを用いてウェーハを248nm光に露光し、次いで、ハードベークした。光塩基が露光された領域だけ、アミノ酸からFmocが除去された。脱保護アミノ酸は同時にカップリングされた。ウェーハをアセトンおよびイソプロピルアルコール[IPA]ではがした。
【0259】
第1のアミノ酸層をカップリングした後、カップリングされていない活性化COOH基をキャッピングするためにエタノールアミンを使用した。これは、脱イオン水に溶解したポリマーおよびエタノールアミンの混合物をスピンコーティングし、次いで、ベークすることによって行った。次いで、ウェーハを脱イオン水ではがした。次のアミノ酸層をそれぞれウェーハにカップリングするために、ウェーハ上の選択された部位におけるカルボン酸活性化、各アミノ酸の脱保護およびカップリング、ならびにキャッピングのプロセスを繰り返した。2つの配列:RHSVV(天然配列)およびGHSVV(変異配列)をウェーハ上に合成した。
【0260】
ポリペプチド合成が完了した後に、ポリペプチドの側鎖にある保護基を全て除去した。トリフルオロ酢酸[TFA]をSigma Aldrichから入手した。ペンタメチルベンゼン[PMB]およびチオアニソールをVWRから入手した。酢酸に溶解した33重量%臭化水素[HBr]の臭化水素溶液をSigma Aldrichから入手した。
【0261】
ウェーハをTFAで10分間洗浄した。0.4重量%のPMBおよび0.4重量%のチオアニソールを含む溶液をTFAに溶解した。十分に攪拌した後に、4重量%のHBrを添加し、この溶液でウェーハを60分間洗浄した。再度、同じプロセスをさらに60分間繰り返した。次いで、ウェーハをTFAで5分間、IPAで5分間、次いで、DMFで5分間洗浄した。次いで、ウェーハを、DMFに溶解した5%DIEAで5分間中和し、次いで、DMFで5分間洗浄し、最後に、IPAで5分間洗浄した。
【0262】
RHSVVポリペプチドに特異的な抗p53抗体およびRHSVVポリペプチドに対する抗p53抗体の結合を検出するためのヤギ抗マウスIgGをABCAMから入手した。TBS緩衝液、PBST緩衝液、およびBSAをVWR Internationalから入手した。ペプチドアレイ上でのポリペプチド合成を検出するアッセイ(例えば、バイオアッセイ)を以下の通りに行った。成長させた天然配列および変異配列を含有するチップをメタノールで5分間洗浄した後に、TBS緩衝液で5分間洗浄した。PBST、1%BSA、および抗p53抗体を含有する一次抗体溶液をチップ上で、37℃で1時間インキュベートした。次いで、チップをPBSTで5分間3回洗浄した(本明細書全体を通して、温度の記載が無い場合、工程が室温で、すなわち、約23℃で行われたことを示している)。この後に、二次抗体インキュベーションを37℃で1時間行った。二次抗体溶液はPBST、1%BSA、およびヤギ抗マウスIgGを含有した。次いで、チップをPBSTで5分間3回洗浄した。この後に、脱イオン水で5分間2回洗浄した。抗p53抗体の濃度を変更し、抗体結合の結果を測定して、前記の単回工程脱保護・カップリングプロセスを用いた合成効率を検証した。
【0263】
RHSVV(正常)配列対GHSVV(変異)配列を含むチップに対する抗体結合の結果を
図6に示した。示したように、この方法を用いて1pg/mlの抗体濃度を検出することができる。結合強度は、試験範囲の下端にわたって抗体濃度の増加と共に対数直線的増加を示し、100pg/ml〜1μg/mlでプラトーに達する。
【0264】
脱保護生成物を完全に除去するために、カップリング溶液にスカベンジャーが添加されてもよい。このようなスカベンジャーの例には、アルキルチオール、例えば、ジチオスレイトール、1-プロパンチオール、または1-デカンチオールが含まれるが、これに限定されない。
【0265】
必要に応じて、選択ペプチドに対してC末端アミド化が行われてもよい。このプロセスは、HATUおよびDIEAの存在下で塩化アンモニウム、塩化エチルアンモニウム、および塩酸セミカルバジドを含有する溶液中で、室温で行われてもよい。
【0266】
実施例26:光塩基発生剤組成物
光塩基発生剤組成物を調製し、前記のようにアレイ上でのポリペプチド合成の成績を確かめるために試験した。それぞれの光塩基発生剤組成物は、表2および表3に示した構造および一般式を有する光塩基発生剤を含んだ。光塩基発生剤は市販のものであったか、または前記のように合成した。
【0267】
光塩基発生剤組成物の調製を以下の通りに行った。1〜3重量%のポリメチルメタクリレート[PMMA]の混合物をシクロヘキサノンに添加し、24時間、十分に攪拌した。24時間攪拌した後に、光塩基発生剤の分子量に応じて1.5〜5重量%の光塩基発生剤を溶液中で混合し、24時間、十分に攪拌した。次いで、0.1Mの適切なアミノ酸を溶液に添加し、室温で10時間、攪拌した。
【0268】
上記の実施例17(トリメシン酸)において説明したように、カルボン酸表面を有するウェーハを調製した。次いで、活性化エステルの寿命を求めるために様々なカップリング試薬を試験した。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド[EDC]およびN-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]をSigma Aldrichから入手した。1,3-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]をAdvanced ChemTechから入手した。ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)をAnaspecから入手した。(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)[HATU]およびベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート[PyBOP]をAapptecから入手した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン[DIEA]はAlfa Aesarから入手した。
【0269】
光塩基発生剤組成物の成績を以下の通りに試験した。アミノ酸カップリングを前記のように行った。ポリマー、アミノ酸、および光塩基発生剤を含有する各組成物をウェーハ上にスピンコーティングし、ベークした。次に、ウェーハを248nm放射線に曝露し、次いで、ハードベークした。アミノ酸が放射線に曝露された領域のみ、Fmocアミノ酸は脱保護された。248nm放射線に曝露された直後に、アミノ酸は活性化カルボン酸基にカップリングされた。使用したアミノ酸のリストを表8に示した。次いで、ウェーハをアセトンおよびIPAではがした。
【0270】
(表8)光塩基発生剤アッセイにおいて使用したアミノ酸のリスト
【0271】
カップリングされていない活性化COOH基をキャッピングするためにエタノールアミンを使用した。これは、ポリマー、エタノールアミン、および脱イオン水の混合物をウェーハ上にスピンコーティングし、次いで、コーティングされたウェーハをベークすることによって行った。次いで、ウェーハを脱イオン水ではがし、次のアミノ酸をカップリングするために同じプロセスを繰り返した。
【0272】
選択されたFmoc保護アミノ酸を用いて上記の方法を繰り返すことによって、アミノ酸配列をチップ上の予め決められた場所に合成し、合成工程ごとの収率測定値を用いることによってポリペプチド合成成績を確かめた。これは、1回につき1個のアミノ酸をカップリングし、最後に、ウェーハ上のカルボン酸基を活性化し、それぞれの工程収率を得るためにアミノメチルフルオレセインをカップリングすることによって行った。
【0273】
実施例27:保護アミノ酸および保護されていないアミノ酸の合成効率
一段階脱保護・カップリングを、光塩基の存在下での保護されていないアミノ酸および保護されていないアミノ酸のカップリングと比較して検証した。上記の実施例17(トリメシン酸)において説明したように、カルボン酸表面を有するウェーハを調製した。
【0274】
合成中に使用したアミノ酸は、シトルリン(CIT)、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、スレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、およびチロシン(Tryosine)(Y)であった。保護されていないアミノ酸およびFmoc保護アミノ酸をAnaspecから入手した。
【0275】
ウェーハ上のカルボン酸表面を、脱イオン水に溶解した4重量%EDCおよび2重量%NHSの活性化混合物を用いて10分間活性化した。この後に、ウェーハを脱イオン水で3分間洗浄した。
【0276】
実験1[E1]:アミノ酸カップリングを以下の通りに行った。コポリマー(2.5重量%のPMMAを1.5重量%のポリエチレングリコールに添加した)および1重量%の保護されていないアミノ酸を含有するカップリング溶液をウェーハ上にスピンコーティングし、ベークした。この反応から、表面に存在する活性化カルボン酸へのアミノ酸カップリングにおいて保護されていないアミノ基が生じた。ウェーハの表面上にある、アミノ酸にカップリングしなかった活性化COOH基をキャッピングするためにエタノールアミンを使用した。これは、ポリマー、エタノールアミン、および脱イオン水の混合物をウェーハ上にスピンコーティングし、次いで、コーティングされたウェーハをベークすることによって行った。次いで、ウェーハを脱イオン水ではがした。
【0277】
実験2[E2]:アミノ酸カップリングを以下の通りに行った。コポリマー(2.5重量%のPMMAを1.5重量%のポリエチレングリコールに添加した)、5重量%の光塩基発生剤、および1重量%の保護されていないアミノ酸を含有するフォトレジストカップリング溶液をウェーハ上にスピンコーティングし、ベークし、ウェーハを248nm放射線に曝露した。この反応から、表面に存在する活性化カルボン酸へのアミノ酸カップリングにおける保護されていないアミノ基が生じた。ウェーハの表面上にある、アミノ酸にカップリングしなかった活性化COOH基をキャッピングするためにエタノールアミンを使用した。これは、ポリマー、エタノールアミン、および脱イオン水の混合物をウェーハ上にスピンコーティングし、次いで、コーティングされたウェーハをベークすることによって行った。次いで、ウェーハを脱イオン水ではがした。この実験では、活性化エステルに対する塩基の影響が試験され、カップリングプロセスにおける塩基の影響が試験された。
【0278】
実験3[E3]:アミノ酸カップリングを以下の通りに行った。コポリマー(2.5重量%のPMMAを1.5重量%のポリエチレングリコールに添加した)、1重量%の保護されていないアミノ酸、および2.5重量%の光塩基発生剤を含有するフォトレジストカップリング溶液をウェーハ上にスピンコーティングし、ベークした。Fmoc保護アミノ酸は248nm放射線に曝露された時に脱保護された。これによって、アミノ酸の中のアミノ基は、表面に存在する活性化カルボン酸に空間特異性をもってカップリングできるようになった。ウェーハの表面上にある、アミノ酸にカップリングしなかった活性化COOH基をキャッピングするためにエタノールアミンを使用した。これは、ポリマー、エタノールアミン、および脱イオン水の混合物をウェーハ上にスピンコーティングし、次いで、コーティングされたウェーハをベークすることによって行った。次いで、ウェーハを脱イオン水ではがした。
【0279】
全アミノ酸について実験E1、E2、およびE3を行った。各実験についてベースラインとしてキャッピングされた後に活性化されたウェーハ上にアミノメチルフルオレセインを直接添加することによって(キャップ+ACT+FLU)、また、ウェーハを活性化し、アミノメチルフルオレセインをカップリングすることによって(ACT+FLU)、各実験のカップリング効率を求めた。得られた結果を
図7に示した。
【0280】
結果から分かるように、蛍光強度は3つ全ての実験にわたって比較的均一であるように見えた。保護されていないアミノ酸およびFmoc保護アミノ酸のカップリングは同様のカップリング効率を示した。E2およびE3に存在する塩基性条件下でのカップリングは収率にも活性化エステルにも悪影響を及ぼさなかった。
【0281】
実施例28:カップリング収率に及ぼす光塩基発生剤濃度の影響
フォトレジスト溶液に含まれる光塩基発生剤の濃度は1〜30%の範囲、好ましくは、5〜15重量%の範囲でもよい。ペプチドカップリング用のフォトレジスト溶液に使用した光塩基発生剤の重量パーセントを変えて、カップリング収率を測定した。アミノ酸Fmoc-Ala-OHをウェーハにカップリングした。上記の実施例25において説明したように、フォトレジスト溶液に含まれる様々な光塩基発生剤濃度の下でアミノ酸カップリングを行った。エタノールアミンを用いて未反応カルボン酸をキャッピングした。新たにカップリングされたアラニンからのカルボン酸基を以下の通りに活性化した。4重量%EDCおよび2重量%NHSを脱イオン水に10分間溶解し、ウェーハ上にコーティングした。次いで、ウェーハを脱イオン水で3分間洗浄した。アミノメチルフルオレセインを新たにカップリングされたアラニンにカップリングすることによってカップリング収率をチェックした。
【0282】
図8に示したように、光塩基発生剤濃度が低いと脱保護は弱く、カップリング収率は低くなった。同様に、光塩基発生剤濃度が高いと脱保護は強いが、カップリング収率は低くなった。光塩基発生剤の最適濃度は5〜25%の範囲であった。
【0283】
実施例29:単回活性化工程後の複数のアミノ酸のカップリング
カルボン酸の活性化エステルは長期間安定しているので、アレイに取り付けられた完全なアミノ酸層を形成するために、単回活性化工程後に25回以上のカップリングサイクルを終えることができる。全アミノ酸を付加した後に、ウェーハをキャッピングし、任意で、活性化、カップリング、およびキャッピングのサイクルを繰り返した。単回活性化工程後に異なる回数およびウェーハ上の場所で複数のカップリングできることを以下の実験によって検証した。
【0284】
脱イオン水に溶解した4重量%のEDCおよび2重量%のNHSの活性化混合物を用いてコーティングすることによって、ウェーハ上のカルボン酸表面を10分間活性化した。この後に、ウェーハを脱イオン水で3分間洗浄した。
【0285】
アミノ酸カップリングを以下の通りに行った。ポリマー、アミノ基が感光性保護基で保護されたアミノ酸を含有するフォトレジストカップリング溶液をウェーハ上にスピンコーティングし、ベークした。次に、ウェーハを248nm放射線に曝露し、次いで、ハードベークした。ウェーハが248nm放射線に曝露された領域のみ、アミノ酸から保護基が除去された。この放射線曝露領域において、表面上にある活性化カルボン酸はアミノ酸の脱保護アミン基にカップリングされた。次いで、ウェーハをアセトンおよびIPAではがした。次いで、次のアミノ酸を含有するフォトレジストカップリング溶液を使用し、この次のアミノ酸を前のアミノ酸にカップリングするために前記と同じ工程に従った。
【0286】
活性化カルボン酸への連続付加サイクルの場合、一個一個付加した後に、前述したキャッピング工程を行わなかったが、アミノ酸層を完成するために付加を全て行った後にだけ前述したキャッピング工程を行った。活性化カルボン酸へのアミノ酸カップリングは露光によって制御された。カップリングはウェーハの曝露されていない領域では起こらなかった。
【0287】
個々の活性化およびキャッピングのアミノ酸カップリング収率を計算し、1活性化サイクルでの異なる部位への異なるアミノ酸のマルチカップリングとその後のキャッピングと比較した。活性化し、アミノメチルフルオレセインをウェーハにカップリングすることによってカップリング効率を求めた。この場合、カップリング工程が全て完了した後に、結合しなかった活性化カルボン酸をキャッピングした。
【0288】
図9の蛍光強度測定値から、1活性化サイクルでの各アミノ酸の個別カップリングは1活性化サイクルでの複数アミノ酸のカップリングと似ていることが分かった。このことは、安定した活性化エステルを用いた本発明者らの方法によるマルチカップリングプロセスから、従来のペプチド合成法と比較して高い処理量が得られることを証明した。
【0289】
実施例30:感光基保護アミノ酸を用いたCOOH支持体上でのペプチド合成
カルボン酸表面を有するウェーハを、上記で説明したようにトリメシン酸(実施例17)を用いて調製し、脱イオン水に溶解した4重量%EDCおよび2重量%NHSの活性化混合物を用いて10分間活性化した。この後に、各アレイのカルボキシル表面を脱イオン水で3分間洗浄した。2,2-ジメチル-3,5-ジメチオキシ(dimethyoxy)-ベンジルオキシ-ベンゾカルボナート[DDZ]保護アミノ酸をAnaspecから入手した。
【0290】
アミノ酸カップリングを以下の通りに行った。コポリマー(2.5重量%のPMMAを1.5重量%のポリエチレングリコールに添加した)および1重量%のアミノ酸を含有するフォトレジストカップリング溶液をウェーハ上にスピンコーティングし、ベークした。次に、レチクルを用いてウェーハを248nm放射線に選択的に曝露し、次いで、ハードベークした。ウェーハが248nm放射線に曝露された領域のみ、DDZ保護アミノ酸は脱保護された。同時にベーク中に、脱保護アミノ酸は、ウェーハに取り付けられた活性化カルボン酸にカップリングされた。次に、ウェーハをアセトンおよびIPAではがした。
【0291】
カップリングされていない活性化COOH基をキャッピングするためにエタノールアミンを使用した。これは、ポリマー、エタノールアミン、および脱イオン水の混合物をウェーハ上にスピンコーティングし、次いで、コーティングされたウェーハをベークすることによって行った。次いで、脱イオン水で洗浄することによってウェーハをはがした。次のアミノ酸を1つ1つカップリングするために、同じカップリング・キャッピングプロセスを繰り返した。レチクルを用いて、個々のアミノ酸を全て、チップ上の選択されたスポットにカップリングした。ある範囲の放射線曝露エネルギーを用いて、各アミノ酸のカップリング収率をチェックした。これは、1回につき1個の酸をカップリングし、最後に、活性化し、アミノメチルフルオレセインをカップリングすることによって行った。
【0292】
実施例31:Fmoc保護アミノ酸および光酸発生剤を用いたペプチド合成
カルボン酸表面を有するウェーハ上にあるポリペプチドの配列特異性および最終収率を以下の通りに試験した。
【0293】
カルボン酸表面を有するウェーハを、上記で説明したようにトリメシン酸(実施例17)を用いて調製した。脱イオン水に溶解した4重量%EDCおよび2重量%NHSの活性化混合物を使用して、ウェーハ上のカルボン酸表面を10分間活性化した。この後に、ウェーハを脱イオン水で3分間洗浄した。
【0294】
アミノ酸カップリングを以下の通りに行った。コポリマー(2.5重量%のPMMAを1.5重量%のポリエチレングリコールに添加した)、1重量%のFmoc保護アミノ酸、5%のN-Boc-ピペリジン、および2.5%の光酸発生剤を含有するフォトレジストカップリング溶液をウェーハ上にスピンコーティングし、ベークした。次に、ウェーハを248nm放射線に曝露し、次いで、ハードベークした。曝露された領域のみ、ピペリジンから保護基Bocが除去された。ピペリジンはアミノ酸からFmoc保護を除去した。表面にある活性化カルボン酸は、曝露領域において脱保護アミノ酸のアミン基にカップリングされた。次いで、ウェーハをアセトンおよびIPAではがした。複数のカップリングの場合、次のアミノ酸を含有する新たなフォトレジストカップリング溶液を用いて前記の活性化・カップリングのサイクルを繰り返した。
【0295】
前記の方法を用いてカルボン酸ウェーハ上にRHSVV(天然配列)およびその変異配列GHSVV(変異配列)を合成することによって、この方法を用いたペプチド合成の正確度および効率を測定した。
【0296】
合成後、アミノ酸の側鎖を以下のプロトコールに従って脱保護した。トリフルオロ酢酸[TFA]をSigma Aldrichから入手した。ペンタメチルベンゼン[PMB]およびチオアニソールをVWRから入手した。酢酸に溶解した33重量%臭化水素[HBr]の溶液をSigma Aldrichから入手した。
【0297】
ウェーハをTFAで10分間洗浄した。0.4重量%のPMBおよび0.4%のチオアニソールを含む溶液をTFAに溶解した。十分に攪拌した後に、4%のHBrを溶液に添加し、ウェーハをこの溶液で2回、それぞれ60分間洗浄した。次いで、ウェーハをTFAで5分間、IPAで5分間、次いで、DMFで5分間洗浄した。次いで、ウェーハをDMFに溶解した5%DIEAで5分間中和し、次いで、DMFで5分間洗浄し、最後に、IPAで5分間洗浄した。
【0298】
チップに対する抗体の配列特異的結合を以下の通りに行った。合成された天然配列および変異配列を含有するチップをメタノールで5分間洗浄し、次いで、TBS緩衝液で5分間洗浄した。PBST、1%BSA、および抗p53抗体を含有する一次抗体溶液をウェーハの表面上で、37℃で1時間インキュベートした。チップをPBSTで5分間3回洗浄した。この後に、チップを二次抗体溶液と37℃で1時間インキュベートした。二次抗体はPBST、1%BSA、およびヤギ抗マウスIgGを含有した。チップをPBSTで5分間3回洗浄した。この後に脱イオン水で2回、それぞれ5分間洗浄した。抗p53抗体の濃度を変えて、上記のプロセスを用いてカップリング効率を検証した。
【0299】
図10に示した結果は、上記の一段階脱保護・カップリング検証プロセスを用いて成長させた配列と一致した。この方法を用いて、正しい配列に対する1pg/mLの抗体濃度の結合を検出することができる。結合強度は、試験範囲の下端から抗体濃度の増加と共に対数直線的増加を示し、100pg/ml〜1μg/mlでプラトーに達する。このことから、保護されたピペリジン塩基を用いたカップリング溶液中に、光塩基発生剤の代わりに光酸発生剤が用いられることが証明された。
【0300】
実施例32:ペプチドおよびタンパク質マイクロアレイ調製用の光誘起カルボジイミド
本実施例はアミノ保護基に頼らず、光誘起カルボジイミド化学と光マスクを通した選択的光照射またはマイクロミラーのような自動曝露法を用いて、アレイの表面に取り付けられたカルボン酸が選択的に活性化されるのを可能にした。テトラゾールチオンがカルボジイミドを形成するための一般的な活性化化学をスキーム2に示した。光活性化カルボジイミドによってカルボン酸基を活性化した後に、保護されていないアミン基を有するアミノ酸またはペプチド鎖をアレイに添加し、活性化カルボン酸にカップリングした。
【0301】
タンパク質アレイを調製するためのプロセスフロー:
実施例13に記載のように、COOH支持体を用いてウェーハを調製した。3種類の活性化溶液のうちの1つを下記のように調製した。4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオン、1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-4-エチル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン、および1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンをSigma Aldrich Inc.から入手した。ポリビニルピロリドンをPolysciences Inc.から入手した。
【0302】
光活性化カルボン酸活性化溶液1:2.5重量%の4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオンを2.5重量%のポリビニルピロリドンと共に95%DI水に溶解し、完全に溶解するようにマグネチックスターラ内で一晩回転させた。
【0303】
光活性化カルボン酸活性化溶液2:2.5重量%の1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-4-エチル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンを2.5重量%のポリビニルピロリドンと共に95%DI水に溶解し、完全に溶解するようにマグネチックスターラ内で一晩回転させた。
【0304】
光活性化カルボン酸活性化溶液3:2.5重量%の1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンを2.5重量%のポリビニルピロリドンと共に95%DI水に溶解し、完全に溶解するようにマグネチックスターラ内で一晩回転させた。
【0305】
チオンを含む上記の活性化溶液の1つをウェーハ上にコーティングし、85℃で90秒間ベークした。タンパク質をカップリングする領域を選択するために光マスクを用いて、コートを248nm、10〜100mJ/cm
2に曝露した。曝露された領域では、チオンはカルボジイミドに変換された(例えば、スキーム2を参照されたい)。活性化溶液3の1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンから1,3-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-カルボジイミドへの光活性化変換は248nmおよび10〜100mJ/cm
2で行われた(例えば、スキーム3を参照されたい)。カルボジイミドは、アミノ基に結合する準備ができたカルボニル基を形成することによって、アレイに取り付けられたカルボン酸基を活性化した。次いで、活性化溶液をチップから洗浄した。カルボン酸基はある一定の時間、活性化されたままである。脱イオン水に溶解した5%ポリビニルピロリドンに溶解した50μg/mLのTNF-αを含むタンパク質カップリング溶液を調製し、ウェーハ上に2000rpmでコーティングした。次いで、チップの活性化カルボン酸を含む領域に対するTNFαカップリングを完成するために、ウェーハを37℃で5分間ベークした。TNFαの代わりにIL-6を使用し、チップ上の異なる領域を活性化して上記のプロセスを繰り返した。カルボジイミドの部位特異的光活性化を介してカルボン酸基を部位特異的活性化し、活性化部位にタンパク質を取り付けるためのプロセス全体を
図11に図示した。
【0306】
TNFαおよびIL-6がチップ上の正しい場所に取り付けられたことを確かめるために、抗TNFαおよび抗IL-6抗体をチップに添加した。抗体および緩衝液溶液は全てLife Technologiesから入手した。アッセイを以下の通りに行った。抗TNFα抗体および抗IL-6抗体をPBST緩衝液で1:1000に希釈した。チップをPBST緩衝液で5分間3回洗浄した。抗体溶液をチップに添加し、暗所で、37℃で1時間インキュベートした。次いで、チップをPBST緩衝液で5分間3回洗浄した後に、脱イオン水で5分間3回洗浄した。次いで、チップを蛍光スキャナに入れてスキャンした。
【0307】
アレイ上にある2種類のタンパク質のデータを
図12に示した。シグナル強度を0から65000までの段階で表した。各タンパク質への結合を4回繰り返して(すなわち、特徴1〜4)行った。
図12に示したように、TNF-αおよびIL-6タンパク質はそれぞれ、タンパク質添加前に上記の方法によって光活性化されたそれぞれの部位に結合した。従って、ポリペプチドを活性化カルボン酸基に取り付けるための光活性化カルボジイミド化学によって、IL-6およびTNF-αはアレイに場所特異的に取り付けられた。
【0308】
実施例33:ペプチド合成用の光誘起カルボジイミド
本実施例では、遊離カルボン酸基の部位特異的光活性化カルボジイミド活性化および光活性化カルボン酸部位への保護されていないアミノ酸の取り付けを用いたチップアレイ上でのペプチドC→N合成法を行った。実施例13において説明したように、COOH基を有するウェーハを調製した。カップリング反応に使用した溶液は以下の通りであった。
【0309】
3種類の活性化溶液のうちの1つを下記のように調製した。4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオン、1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-4-エチル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン、および1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンをSigma Aldrich Inc.から入手した。ポリビニルピロリドンをPolysciences Inc.から入手した。
【0310】
活性化溶液1:2.5重量%の4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオンを2.5重量%のポリビニルピロリドンと共に95%DI水に溶解し、完全に溶解するようにマグネチックスターラ内で一晩回転させた。
【0311】
活性化溶液2:2.5重量%の1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-4-エチル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンを2.5重量%のポリビニルピロリドンと共に95%DI水に溶解し、完全に溶解するようにマグネチックスターラ内で一晩回転させた。
【0312】
活性化溶液3:2.5重量%の1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンを2.5重量%のポリビニルピロリドンと共に95%DI水に溶解し、完全に溶解するようにマグネチックスターラ内で一晩回転させた。
【0313】
カップリング溶液を以下の通りに調製した:
カップリングアミノ酸溶液1:アミノ酸カップリング分子アラニンを含有する溶液を以下の通りに調製した。ポリマーポリ(メチルメタクリレート)(すなわち、PMMA)をN-メチルピロリドンおよび乳酸エチルの1:1溶媒溶液に溶解した。溶液中のPMMA最終濃度は1重量%であった。アラニンはカップリング分子であり、2重量%の最終濃度となるように溶液に添加した。他のアミノ酸をカップリングする場合、アラニンの代わりに他の任意のアミノ酸を使用することができる。
【0314】
カップリングアミノ酸溶液2:アミノ酸カップリング分子アラニンを含有する別の溶液を以下の通りに調製した。ポリマーPMMAを溶媒N-メチルピロリドンに溶解した。溶液中のPMMA最終濃度は1重量%であった。アラニンはカップリング分子であり、2重量%の最終濃度となるように溶液に添加した。他のアミノ酸をカップリングする場合、アラニンの代わりに他の任意のアミノ酸を使用することができる。
【0315】
カップリングアミノ酸溶液3:アミノ酸カップリング分子アラニンを含有する溶液を以下の通りに調製した。ポリマーPMMAおよびポリビニルピロリドンをそれぞれ溶媒N-メチルピロリドンに溶解した。溶液中のPMMAおよびポリビニルピロリドンの最終濃度はそれぞれ1重量%であった。アラニンはカップリング分子であり、2重量%の最終濃度となるように溶液に添加した。他のアミノ酸をカップリングする場合、アラニンの代わりに他の任意のアミノ酸を使用することができる。
【0316】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリビニルピロリドンをPolysciences Inc.から入手した。
【0317】
固相N→C合成法
チオンを含む上記の活性化溶液の1つをウェーハ上にコーティングし、85℃で90秒間ベークした。タンパク質をカップリングする領域を選択するために光マスクを用いて、コートを248nm、10〜100mJ/cm
2に曝露した。曝露された領域では、チオンはカルボジイミドに変換された(例えば、スキーム2を参照されたい)。活性化溶液3の1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンから1,3-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-カルボジイミドへの光活性化変換は248nmおよび10〜100mJ/cm
2で行われた(例えば、スキーム3を参照されたい)。カルボジイミドは、アミノ基に結合する準備ができたカルボニル基を形成することによって、アレイに取り付けられたカルボン酸基を活性化した。次いで、活性化溶液をチップから洗浄した。カルボン酸基は少なくとも15分間活性化されたままであった。
【0318】
次いで、活性化カルボン酸基とアミノ酸とを反応させるために、前記の3種類のアミノ酸カップリング溶液のうちの1つをウェーハの上部に層状に積み重ねた。アミノ酸を活性化カルボン酸基にカップリングした。次いで、溶液を洗浄した。新たにカップリングされたアミノ酸は部位特異的な場所で活性化カルボン酸に結合したままであった。レチクルにより指定された活性化カルボン酸の場所に所望のアミノ酸を添加して、支持体上の特定の場所に配列特異的ペプチド鎖を作製するように、このプロセスを繰り返した。