(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のパネルによって構成された壁体において、上下方向に隣接する前記パネルの間に形成される横目地と、水平方向に隣接する前記パネルの間に形成される縦目地と、の交差部を防水するものであって、
前記パネルを構成する凹凸形状が形成されたパネル上端のうち、前記横目地と前記縦目地との交差部に面する端部となる防水部材配置部に配置されるとともに、該防水部材配置部において、上方に設置される前記パネルの下端であるパネル下端が覆設される側の面に配設される第1防水部材と、該第1防水部材に積層するように配置された第2防水部材と、により構成されるものであり、
前記第2防水部材は、前記第1防水部材よりも高い弾性を有する部材で形成され、前記第1防水部材の全体に覆設されており、
前記第2防水部材は、前記第1防水部材の前記横目地側の端部から前記横目地側へはみ出すように配置されるとともに、前記第1防水部材の前記縦目地側の端部から前記縦目地側へはみ出すように配置されていることを特徴とする防水部材。
前記第2防水部材において、前記第1防水部材の前記横目地側の端部から前記横目地側へはみ出した部分は、前記パネル上端の横目地側の端部を巻き込んで配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の防水部材。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁として使用される壁体として、様々なものが流通している。その中で、外壁パネルは、軽量かつハンドリングが容易であるため、広く使用されている。
このような外壁パネルは、縦横それぞれに複数個並列して1個の外壁を構成する。
つまり、胴縁に対し、横張りや縦張りをすることにより、水平方向及び上下方向に外壁パネルを複数個並列させて1個の壁体が構成される。
このとき、当然、上下方向の境目及び左右方向の境目が形成されることとなり、これらが、横目地部分及び縦目地部分となる。
これら目地部分は、間隙となっているため、雨水や風等が、屋外から屋内へと侵入する慮があり、このため、当該箇所での防水対策等が必要となる。
このような防水対策として、様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1の技術によれば、パネル間に形成される縦目地部分を、金属製の目地板により屋外側から被覆するとともに、当該目地板部分を更に屋外側から、金属製の化粧カバーで被覆するよう構成されている。そして、目地板と化粧カバーとの間の空隙は、シーリング材により閉塞され、表面止水構造が構築されている。
しかしながら、このように、多くの部品を使用する必要があり、作業が煩雑である。
また、目地部分は、パネルの端部同士が隣接する箇所であるため、複数段が形成されており、形状が複雑である。特に縦目地と横目地が交差する部位においては、複雑な形状の間隙を閉塞する必要あり、これに対応する技術が求められる。
このような複雑な形状においても、より高く防水を行うために特許文献2のような技術が提供されている。
特許文献2の技術によれば、目地部分の防水性を高めるために、目地部分にパッキンを配置している。
このパッキンは、複雑な段部により構成されているパネルの端部同士の接合の際に形成される空間(横目地及び縦目地の交差する空間)に整合する形状に予め成形されている。
このため、複雑な形状に形成される空間を簡易に閉塞することができるようになっている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
また、本実施形態においては、耐火壁を建物の外壁として使用するものとし、当該耐火壁の目地部分の説明を行うが、これに限られることはなく、本発明の趣旨に逸脱しない範囲において、どのような場所に使用されるものであってもよいし、形状等は耐火壁が適用される場所や躯体との取合い等によって適宜変更可能であるものとする。また、縦目地及び横目地の形状や本数等もまた、例に限られることはなく、適宜変更することができることは勿論のことである。
【0011】
図1乃至
図6は、本発明に係る一実施形態を示すものであり、
図1は耐火壁の概略説明図、
図2は外壁パネルの上端部を示す概略説明図、
図3は、防水部材の分解説明図、
図4は防水部材の貼設方法を示す説明図、
図5は防水部材が貼設された状態を示す説明図、
図6は防水部材が配置された耐火壁を示す説明図である。
なお、
図1は、一部内部が露出するように図示している。
【0012】
<耐火壁の構成について>
図1及び
図2により、本実施形態に係る耐火壁1について説明する。
本実施形態においては、耐火壁1として、外壁を構成する壁体の例を説明する。
本実施形態に係る耐火壁1は、外壁パネル11、下張部材12、フレーム13、を有して構成されている。
外壁パネル11は、所謂金属サンドイッチパネルであり、芯材11A、表面材11B、裏面材11C、を有して構成されている。
芯材11Aは、矩形ボード状に形成された耐火部材で構成されており、その表面には、金属製の表面材11Bが貼設されるとともに、裏面には金属製の裏面材11Cが貼設されている。
芯材11Aを構成する耐火部材は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、どのようなものが使用されていてもよいが、本実施形態においては、ロックウール保温板が使用されている。
また、この表面材11B及び裏面材11Cについてもまた、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、どのような薄板でもよいが、本実施形態では、アルミニウム鋼板が使用されている。
【0013】
なお、本実施形態においては、
図1に示すように、屋外側を耐火壁1の表面側とし、屋内側を耐火壁1の裏面側とする。
また、本実施形態において、外壁パネル11は、表裏面に金属板を配置した金属サンドイッチパネルの構造を取る例を示したが、これに限られることはなく、少なくとも裏面材11Cが配置されていればよい。
つまり、表面材11Bに関しては、必須構成ではなく、金属板以外の矩形板状体が貼設されていてもよいし、シート材が貼設されたような構成であってよい。
【0014】
更に、本実施形態においては、耐火壁1は、その外装として、複数個の外壁パネル11が整列して構成されている。
このため、高さ方向に沿って並列した外壁パネル11,11間には、横目地M1が形成されるとともに、水平方向に沿って並列した外壁パネル11,11間には、縦目地M2が形成されることとなる。
しかしながら、これに限られることはなく、本発明の趣旨に逸脱しない範囲において、1単位の耐火壁1を構成するための外壁パネル11の個数や形状、及び、張り方等は適宜変更できるものとする。
なお、外壁パネル11の更に詳細な端部構成や、横目地M1と縦目地M2との交差部分(
図1のX部分)の構成については、本明細書に記載される発明の主要構成であるため、後に詳述する。
【0015】
本実施形態に係る下張部材12は、耐火性能を有する不燃性の矩形板状態である。本実施形態においては、石膏ボードが使用されている。
なお、本実施形態に係る下張部材12としての石膏ボードは、厚さが6mm以上、好適には、6.0mm〜9.0mm、更に好適には9.0mm〜10mm程度に設定されるとよい。なお、本実施形態においては、厚さ9.5mmの石膏ボードを、下張部材12として使用した。
この下張部材12は、裏面材11Cの裏面側(屋内側であって、芯材11Aと接する側と反対側の面)に貼設されている。
ただし、下張部材12としては、不燃材料であれば、どのようなものであっても好適に使用することが可能であるが、建設省告示において、国土交通大臣により定められた部材から選択されると更に好適である。例えば、繊維混入ケイ酸カルシウム板等が挙げられる。
本実施形態において、下張部材12は、裏面材11Cの裏面側(屋内側)一面に亘って貼設されているが、これに限られず、部分的な配置(特に、左右方向端部や中央部分に配設されていると好適である)であってもよい。
【0016】
本実施形態に係るフレーム13は、矩形に組まれた枠体であり、上方枠13A(図示せず)、下方枠13B、左右(
図2における方向)2個の縦枠13C(図示せず)、3個の胴縁13D、を有して構成されている。
なお、当該構成は一例であり、胴縁13Dの本数、配置等は適宜変更することが可能である。
上方枠13A及び下方枠13Bは、同長同形状の軽量鉄骨製の長尺部材であり、縦枠13Cは、軽量鉄骨製の略コ字形状断面の長尺部材である。
【0017】
上方枠13Aの両端部と、下方枠13Bの両端部と、の間に縦枠13C,13Cがわたされることにより、矩形の枠状体が形成されており、左右の縦枠13C,13Cの間に、この縦枠13Cと同長同形状の胴縁13Dが配置されている。
この胴縁13Dは、縦枠13C,13Cと平行となるように、上方枠13Aと下方枠13Bとの間にわたされている。本実施形態においては、左右方向中央部付近に1本の胴縁13Dが配置され、左右の縦枠13C,13Cに近接して、胴縁13D,13Dが一本ずつ配置されている。また、本実施形態において胴縁13Dは、リップ付溝型鋼形状に形成されている。
なお、本実施形態においては、左右方向中央部付近に配置された胴縁13Dが、縦目地M2に近接するよう構成されている(つまり、縦目地M2もまた、左右方向中央部付近に形成されていることとなる)。
【0018】
このように構成された胴縁13Dは、外壁パネル11の裏面側に取付けられる。
具体的には、裏面材11Cの屋内側面に貼設された下張部材12の屋内側面に取付けられることとなる。
そして、フレーム13を構成する胴縁13Dが建物の荷重支持部材である柱H1に取付けられることとなる。
なお、本実施形態においては、縦目地M2が形成されている部分の屋内側において、柱H1と胴縁13Dが連結される構成を示した。
【0019】
<外壁パネルの端部構成について>
次いで、外壁パネル11の端部構成について説明する。
本実施形態に係る外壁パネル11の上下方向両端部は、外壁パネル11の張り始めであるスタータ4に係合させたり、外壁パネル11,11を上下方向に並列させるために、特殊形状に形成されている。
図2は、外壁パネル11の上端側の一部を示しているが、本実施形態においては、外壁パネル11の上端部には、特殊な段形状が形成されている。
なお、外壁パネル11の下端部は、上端部に形成された段に嵌合するような、凹凸逆形状の段差が形成されていてもよいし、外壁パネル11,11の上下方向の継ぎ目(これが、横目地M1となる)において、上方に位置する外壁パネル11の上端部分の段差形状を被覆できる形状に形成されていてもよい。
本実施形態においては、
図2(b)の二点鎖線で示すように、直上に並列する外壁パネル11の上端部分の段差形状を被覆できる構成とした。
【0020】
以下、説明のため、外壁パネル11の上端側を「パネル上端111」と、下端側を「パネル下端112」と、中央側の壁体となる部分を「パネル本体113」と、各々記す。
パネル上端111には、パネル本体113の表面よりも裏面側に下がった上端段差部111Aが形成されている。つまり、裏面側が面一の状態で、この上端段差部111Aの厚みが、パネル本体113の厚みよりも薄くなるような態様で段差が形成されている。
そして、この上端段差部111Aは、パネル本体113の上端から、裏面方向に向かい垂直に垂下する上端側上下方向当接壁111aと、この上端側上下方向当接壁111aの裏面方向に垂下した端部から下方向に延出する上端側表裏方向対向壁111bとを有して構成されている。
そして、この上端側表裏方向対向壁111bの上下方向中央部付近には、左右方向に延びる溝部Vが形成されている。この溝部Vは、裏面側へ向かって矩形に窪む溝である。
【0021】
パネル下端112には、パネル本体113の表面よりも表面側に下がった下端段差部112Aが形成されている。つまり、表面側が面一の状態で、この下端段差部112Aの厚みが、パネル本体113の厚みよりも薄くなるような態様で段差が形成されている。
そして、この下端段差部112Aは、パネル本体113の下端から、表面方向に向かい垂直に垂下する下端側上下方向当接壁112aと、この下端側上下方向当接壁112aの表面方向に垂下した端部から上方向に延出する下端側表裏方向対向壁112bとを有して構成されている。
【0022】
そして、上方に配置される外壁パネル11と、下方に配置される外壁パネル11と、の境界部分(つまり、横目地M1部分)は、
図2(b)に示すように連結されることとなる。
つまり、下方に配置される外壁パネル11の上端側表裏方向対向壁111bと、上方に配置される下端側表裏方向対向壁112bと、が対向した状態で、上方に配設される外壁パネル11の下端面が、上端側上下方向当接壁111aに当接し、下方に配置される外壁パネル11の上端面が、下端側上下方向当接壁112aに当接するように配置されて連結される。
そして、これら上方に配置される外壁パネル11を構成するパネル下端112と、下方に配置される外壁パネル11を構成するパネル上端111と、の間には、防水部材5が配設されることとなる。
詳しく説明すると、パネル上端111のうち、横目地M1と縦目地M2とが交差する位置に面する角部分に防水部材5は、配置され、その後、パネル下端112が配置されることとなる。
なお、パネル上端111のうち、横目地M1と縦目地M2とが交差する位置に面する角部分が、「防水部材配置部」に相当する。
以下、この防水部材5の構成と配設方法について詳しく説明する。
【0023】
本実施形態に係る防水部材5は、第1防水部材51と、第2防水部材52と、を有して構成されている。
なお、第1防水部材51と、第2防水部材52とは、施工時には、別個の部材として準備されているものであるが、施工後には、一体となって機能するものである。
つまり、本実施形態に係る防水部材5は、単純な二層構造部材ではない。つまり、本実施形態に係る防水部材5は、部材成形時において、二層構造物として作成されたものではなく、施工時に「1個の二層構造部材」として取り扱われるものではない。この構造により、本実施形態に係る防水部材5は、従来の技術に比して、極めて高い効果を奏するものとなる。以下、詳しく説明する。
【0024】
本実施形態に係る第1防水部材51は、矩形平板体である。
この第1防水部材51は、例えば、合成樹脂(ゴムを含む)系のシート材が使用されると好適であり、本実施形態においては、ブチルゴム系樹脂フィルムが使用されている。
なお、第1防水部材51は、パネル上端111に形成された段差(凹凸)形状に追随してある程度埋める必要があるため、展性、弾性、追従性を有する必要がある。
このため、展性、弾性、追従性を有するシート状の矩形平板体が望ましい。
また、
図3に示すように、本実施形態においては、第1防水部材51の上下方向の長さをt1、左右方向の長さをt2、厚さをt3とする。
【0025】
また、本実施形態に係る第2防水部材52も同じく、矩形平板体である。
しかしながら、本実施形態に係る第2防水部材52は、発泡性の合成樹脂により形成されている。つまり、スポンジ状の材質で構成されているものである。
この第2防水部材52は、例えば、ニトリル系ゴム、ブチル系ゴム等、を使用することができる。本実施形態においては、エチレン系ゴムであるエチレンプロピレンゴム(EPDM)が使用されている。
【0026】
本実施形態に係る第2防水部材52は、上記第1防水部材51に積層するように配置され、上方に配置される外壁パネル11を構成するパネル下端112と、下方に配置される外壁パネル11を構成するパネル上端111との間の形成される複雑な形状を有する間隙を主として埋めるための部材である。
このため、この第2防水部材52は、第1防水部材51よりも、高い弾性を有し(換言すれば、硬度が低く)、形状に対する高い追従性が求められる。
また、防水を担うため、発泡材の中でも、独立気泡の部材であることが望ましい。このように、独立気泡の部材であると、連続気泡の部材に比して、吸水性が低く、比較的低い圧縮率にて止水が可能となる。
更に、
図3に示すように、本実施形態においては、第2防水部材52の上下方向の長さをt4、左右方向の長さをt5、厚さをt6とする。
【0027】
次いで、第1防水部材51と第2防水部材52と、のサイズについて説明する。
本実施形態においては、第1防水部材51に比して、第2防水部材52の方が大きくなるように構成されている。
つまり、長さt4>長さt1、長さt5>長さt2、厚さt6>厚さt3となるように構成されている。
このように構成されている理由を以下に述べる。
【0028】
<防水部材の取付けと機能について>
次いで、防水部材5の取付けとそれに伴う機能について説明する。
図4に示すように、横目地M1と縦目地M2との交差部に配置されるパネル上端111に第1防水部材51を貼設する。
第1防水部材51は、上端側表裏方向対向壁111bの縦目地M2側端部に貼設される。
このように第1防水部材51を貼設することによって、溝部Vにより形成されている凹凸形状をある程度補填することができる。
この貼設は、例えば、第1防水部材51を、一方側の面に接着剤が塗布された部材で構成することにより実現するとよい。
そして、この第1防水部材51に積層するように、第2防水部材52が配置される。
上記のように、第1防水部材51に比して大きいサイズに形成された第2防水部材52は、その端部が横目地M1側及び縦目地M2側にはみ出すように積層される。
【0029】
このように配置された防水部材5の納まりを
図5に示した。
図5は、防水部材5を配置して、下方に配置される外壁パネル11のパネル下端112が取付けられた状態を、
図4のY方向からの見た図である。
なお、
図5は、説明のために、凹凸形状や、第2防水部材52の形状を多少誇張して模式的に示している。
【0030】
図5に示すように、第2防水部材52の横目地M1側端部は、パネル上端111の上端部を巻き込むように配置される。
なお、同様に、第2防水部材52の縦目地M2側端部は、パネル上端111の縦目地M2側に少し突出していると好適である。
図5に示すように、上方に配置される外壁パネル11のパネル下端112が配置されると、第2防水部材52の形状追従性により、第1防水部材51が配置された溝部Vは、第2防水部材52で充填される。
【0031】
そして、本実施形態においては、第1防水部材51と第2防水部材52とのサイズ関係を、上記のように、長さt4>長さt1、長さt5>長さt2、厚さt6>厚さt3とした。
つまり、長さt4>長さt1、長さt5>長さt2となるように構成されているため、第2防水部材52は、第1防水部材51を完全に被覆した状態で、横目地M1及び縦目地M2へと、その端部をはみ出させることができる。
【0032】
そして、このはみ出た部分によって、パネル上端111の上端部を巻き込むことができる。
このように巻き込んだ状態で、上方に設置される外壁パネル11のパネル下端112が接合されるため、下方に設置される外壁パネル11のパネル上端111と上方に設置される外壁パネル11のパネル下端112との接合部分に形成される空隙を効率的に埋めることができる。
そして、縦目地M2側にはみ出させた端部は、後に、この縦目地M2へ配置される目地キャップ6(
図1参照)との間でシールとして機能させることができる。
更に、本実施形態における第2防水部材52は、工場又は現場で容易にカットすることができるため、適用箇所や状況に応じて、この巻き込み代のサイズを簡易に変更することができる。これは、メーカが、外壁パネル11の専用部品として提供する既成のパッキンにおいては、実現できないことである。
【0033】
なお、このような巻き込みに関しては、必ずしも、横目地M1側(
図5参照)で行われる必要はなく、適用時の状況に応じて、縦目地M2側にも同様の構成を適用してもよいことは勿論である。
また、本実施形態においては、前述のように、防水部材5を設置し、上方に配置される外壁パネル11のパネル下端112を設置すると、このパネル下端112からの押圧によって、第2防水部材52が、圧縮されながらパネル上端111の形状に追従するようになるが、このとき、この押圧により、第1防水部材51と第2防水部材52が圧着して一体化する。
このように、本実施形態においては、どのような形状にも沿うように防水部材5を形成することができ(設置とともに形成がなされる)、これは、メーカが、外壁パネル11の専用部品として提供する既成のパッキンにおいては、実現できないことである。
【0034】
また、本実施形態において、第1防水部材51は、合成樹脂系(合成ゴムを含む)のシート状の部材であるが、第2防水部材52は、発泡性の合成樹脂により形成されている。
これにより、第1防水部材51は、下地を作るとともに、パネル上端111に形成されている複雑な凹凸形状をある程度埋め、これに、発泡性樹脂(所謂、スポンジ状)の第2防水部材52を積層することにより、高い形状追従性を付与し、防水性を高めたものである。
しかも、本実施形態によれば、第1防水部材51も第2防水部材52も、工場若しくは現場で容易にカットすることができるため、適用できる外壁パネル11の自由度が非常に高い。
このように、本実施形態に係る防水部材5は、形状追従性が非常に高く、よって、適用される外壁パネルの自由度が非常に高い。
これは、メーカが、外壁パネル11の専用部品として提供する既成のパッキンにおいては、実現できないことである。
【0035】
そして、このように、防水部材5を配置した後に、上方に設置される外壁パネル11のパネル下端112を覆設した状態を
図6に示した。
図6において、縦目地M2に対し向かって右側の状態が、上方の外壁パネル11のパネル下端112を覆設した状態であり、比較のために、縦目地M2に対して向かって左側に覆設前の状態を示した。
なお、例えば、横目地M1側に第2防水部材52をはみ出させた状態で配置した場合であっても、当該部分は、目地キャップ6(
図1参照)で被覆される位置であるため、外観上の問題はない。
【0036】
以上のように、本実施形態においては、横目地M1と縦目地M2との交差部分を効率良く防水することができる。
上記のように、防水部材5は、第1防水部材51と第2防水部材52とにより構成されており、両者の共働によって防水機能を発揮する。
つまり、シール状の第1防水部材51で下地を作り、その上方に発泡材で形成された第2防水部材52を積層する。この第2防水部材52は、形状追従性が高いため、パネル上端111の複雑な凹凸形状に対応し、空隙を効果的に埋める。
また、本実施形態に係る第1防水部材51と第2防水部材52とは、工場若しくは現場で簡易にサイズ調整できるため、自由度及び汎用性が高い。
このような機能は、メーカが、外壁パネル11の専用部品として提供する既成のパッキンにおいては、実現できないことである。
また、第1防水部材51と第2防水部材52は、設置するときには、別個のものであるが、設置後は、押圧力により圧着して一体となる。よって、防水性が高まるとともに、付け替え等も容易である。
【0037】
このように、本実施形態に係る防水部材5は、縦目地M2と横目地M1との交差部分に配置されるものであり、第1防水部材51と第2防水部材52との2種の部材により構成されている。
外壁パネル11の上端側であるパネル上端111には、一般的に、下方に配置される外壁パネル11の下端側であるパネル下端112と接合させるために凹凸形状が形成されている。
つまり、パネル上端111には複雑な凹凸形状が形成されているため、この部分を防水することが困難であった。
そのため、本実施形態においては、防水部材5を、第1防水部材51と、この第1防水部材51よりも高い弾性を有する第2防水部材52と、により構成した。
つまり、これにより、第1防水部材51により下地を作り、この第1防水部材51よりも高弾性の第2防水部材52を、パネル上端111に形成された凹凸形状に追従させることができる。換言すれば、この高弾性の第2防水部材52により、効率的にパネル上端111の凹凸形状を塞ぐことができる。
しかも、この第1防水部材51及び第2防水部材52は、別個に準備されたものを工場や現場における組立時に一体化する仕様であるため、簡易にサイズ等調整することができる。また、第2防水部材52の形状追従性を利用して、パネル上端111の凹凸形状を充填するため、パネル上端111の凹凸形状に対する特異性はなく、どのような外壁パネル11に対しても使用することができるという自由度を有する。
このような機能は、パネルの専用部品として、メーカが提供する既成のパッキンにおいては、実現できないことである。
このように、本発明に係る防水部材5においては、簡易な構成かつ低コストで、高い防水性能を確保しながら、汎用性の高い防水部材を提供ことができる。
【0038】
また、このとき、第2防水部材52は、発泡性の合成樹脂により形成されていると好適である。
この発泡性の合成樹脂とは、換言すれば、スポンジ状の合成樹脂である。
このように、第2防水部材52をスポンジ状とすることにより、高弾性力と、高い形状追従性を持たせることができる。よって、効率的に防水を行うことが可能となり好適である。
また、この発泡性の合成樹脂としては、防水性を勘案すると、連続気泡の樹脂よりも、独立気泡の樹脂の方が好ましい。
なお、第1防水部材51としては、好適には、シート状の合成樹脂であるとよい。
更に、この合成樹脂という概念には、合成ゴムも含むものとする。
【0039】
更に、第1防水部材51は、シート状の合成樹脂により構成されるとともに、第2防水部材52の厚さは、第1防水部材51の厚さよりも大きくなるように形成されていると、防水性及び形状追従性において好適である。
また、このとき、第2防水部材52は、第1防水部材51よりも、大きな平面サイズに形成されていると、高い形状追従性を有する第2防水部材52が大きく形成されるため、防水性において好適である。
【0040】
また、第2防水部材52は、パネル上端111と、上方に配置される外壁パネル11のパネル下端112と、に圧縮挟持された状態で、第1防水部材51に圧着されていると好適である。
このように構成されていると、第1防水部材51と第2防水部材52は、設置するときには、別個のものであるが、設置後は、押圧力により圧着して一体となる。よって、防水性を高めることができるとともに、付け替え等も容易である。
【0041】
更に、第2防水部材52は、第1防水部材51の全体に覆設されており、第2防水部材52は、第1防水部材51の横目地M1側の端部から横目地M1側へはみ出すように配置されるとともに、第1防水部材51の縦目地M2側の端部から縦目地M2側へはみ出すように配置されていると好適である。
また、このとき、第2防水部材52において、第1防水部材51の横目地M1側の端部から横目地M1側へはみ出した部分は、パネル上端111部の横目地M1側の端部を巻き込んで配置されると好適である。
【0042】
このように、第2防水部材42の端部を、横目地M1側及び縦目地M2側へとはみ出させた。このはみ出た箇所は、他部品との境界において高い防水性を発揮する。
特に、第1防水部材51の横目地M1側の端部から横目地M1側へはみ出した部分は、パネル上端111の横目地M1側の端部を巻き込んで配置されるため、パネル下端112と組合わされた状態において、当該部分で高い防水性を発揮する。
【0043】
なお、縦目地M2側にはみ出した部分は、縦目地M2を屋外側からカバーする目地キャップ6が配設された状態において、当該部分で高い防水性を発揮する。
つまり、第2防水部材52は、上下方向に長尺に形成された目地キャップ6により、縦目地M2の屋外側から被覆されており、これにより、更に防水性が高まるとともに、意匠性においてもまた有利である。