(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光加入者線終端局装置と、複数の光加入者線終端装置とを備えて、前記光加入者線終端装置のいずれかと前記光加入者線終端局装置との間の経路に異常が発生した場合に他の光加入者線終端装置を介して警報を前記光加入者線終端局装置に転送する警報転送システムであって、
第一の光加入者線終端装置は、
前記光加入者線終端局装置との間の経路の異常を検知する検知部と、
異常が検知され、かつ、前記光加入者線終端局装置に警報を転送可能な自装置の通信可能範囲内に位置する第二の光加入者線終端装置がない場合に、自装置の通信可能範囲内に位置する第二の光加入者線終端装置の識別情報を含めて自装置の通信可能範囲外に位置する他の光加入者線終端装置への警報転送を要求する要求部と、
を備え、
前記第二の光加入者線終端装置は、
前記第一の光加入者線終端装置からの要求に含まれる前記識別情報と、自装置の通信可能範囲内に位置する他の光加入者線終端装置の識別情報とに基づいて警報転送の候補となる一台の光加入者線終端装置を決定する決定部と、
決定された前記光加入者線終端装置に対して前記光加入者線終端局装置への警報転送を要求する要求部と、
を備える警報転送システム。
光加入者線終端局装置と、複数の光加入者線終端装置とを備えて、前記光加入者線終端装置のいずれかと前記光加入者線終端局装置との間の経路に異常が発生した場合に他の光加入者線終端装置を介して警報を前記光加入者線終端局装置に転送する警報転送システムにおける警報転送方法であって、
第一の光加入者線終端装置が、前記光加入者線終端局装置との間の経路の異常を検知する検知ステップと、
前記第一の光加入者線終端装置が、異常が検知され、かつ、前記光加入者線終端局装置に警報を転送可能な自装置の通信可能範囲内に位置する第二の光加入者線終端装置がない場合に、自装置の通信可能範囲内に位置する第二の光加入者線終端装置の識別情報を含めて自装置の通信可能範囲外に位置する他の光加入者線終端装置への警報転送を要求する要求ステップと、
前記第二の光加入者線終端装置が、前記第一の光加入者線終端装置からの要求に含まれる前記識別情報と、自装置の通信可能範囲内に位置する他の光加入者線終端装置の識別情報とに基づいて警報転送の候補となる一台の光加入者線終端装置を決定する決定ステップと、
前記第二の光加入者線終端装置が、決定された前記光加入者線終端装置に対して前記光加入者線終端局装置への警報転送を要求する要求ステップと、
を有する警報転送方法。
光加入者線終端局装置と、複数の光加入者線終端装置とを備えて、前記光加入者線終端装置のいずれかと前記光加入者線終端局装置との間の経路に異常が発生した場合に他の光加入者線終端装置を介して警報を前記光加入者線終端局装置に転送する警報転送システムとして、第一の光加入者線終端装置に相当する第一のコンピュータ及び第二の光加入者線終端装置に相当する第二のコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムであって、
前記第一のコンピュータに対し、
前記光加入者線終端局装置との間の経路の異常を検知する検知ステップと、
異常が検知され、かつ、前記光加入者線終端局装置に警報を転送可能な自装置の通信可能範囲内に位置する第二の光加入者線終端装置がない場合に、自装置の通信可能範囲内に位置する二の光加入者線終端装置の識別情報を含めて自装置の通信可能範囲外に位置する他の光加入者線終端装置への警報転送を要求する要求ステップと、
を実行させ、
前記第二のコンピュータに対し、
前記第一の光加入者線終端装置からの要求に含まれる前記識別情報と、自装置の通信可能範囲内に位置する他の光加入者線終端装置の識別情報とに基づいて警報転送の候補となる一台の光加入者線終端装置を決定する決定ステップと、
前記第二の光加入者線終端装置が、決定された前記光加入者線終端装置に対して前記光加入者線終端局装置への警報転送を要求する要求ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[概要]
本発明における警報転送システムでは、装置故障やリンク断などによる異常を検知したONU(以下、「検知ONU」という。)は、他のONUを介してOLTに警報を通知する。この際、検知ONUは、以下の手順で警報を通知する。まず、検知ONUは、検知ONUの通信可能範囲内に位置する他のONU(以下、「一次ホップONU」という。)に対してOLTへの警報転送を依頼する。警報転送可能な一次ホップONUが存在する場合、検知ONUは警報転送可能な一次ホップONUに警報転送を依頼する。
一方、警報転送可能な一次ホップONUが存在しない場合、検知ONUは一次ホップONUに対して、検知ONUの通信可能範囲外に位置する他のONU(以下、「n次ホップONU」(nは2以上の整数)という。)にOLTへの警報転送依頼を依頼する。この際、検知ONUは、警報とともに転送依頼の履歴情報を一次ホップONUに送信する。転送依頼の履歴情報とは、検知ONUによる警報転送の依頼先の一次ホップONUに関する情報であり、例えば依頼先の一次ホップONUのMACアドレス及び転送可否である。
【0013】
一次ホップONUは、検知ONUからの依頼に応じて、自身の通信可能範囲内に位置するn次ホップONUに対してOLTへの警報転送を依頼する。警報転送可能なn次ホップONUが存在する場合、一次ホップONUは警報転送可能なn次ホップONUのMACアドレスと、履歴情報とに基づいて履歴情報にMACアドレスが存在しない警報転送可能なn次ホップONUを選択する。一次ホップONUは、選択したn次ホップONUの中から警報転送の依頼先を決定する。
一方、警報転送可能なn次ホップONUが存在しない場合、一次ホップONUはn次ホップONUによる警報転送不可を示す転送不可情報を検知ONUに送信する。
以上のように構成されることによって、既存のONU情報のみを利用して無限ホップによる帯域の圧迫を抑制することができる。
以下、詳細に説明する。
【0014】
[詳細]
図1は、本発明における警報転送システム100のシステム構成を表す構成図である。警報転送システム100は、OSS10、OLT20及びONU30を備える。OSS10とOLT20及びOLT20とONU30は、光ファイバを介して通信可能な状態に接続される。OSS10には、一台又は複数台のOLT20が接続される。また、OLT20には、一台又は複数台のONU30が接続される。
【0015】
OSS10は、OLT20及びONU30の保守監視を行う。OSS10は、OLT20から転送された警報に応じてONU30に異常が発生したのか、PON区間の経路に異常が発生したのかを特定する。
OLT20は、光加入者線終端局装置である。OLT20は、一次ホップONU又はn次ホップONUから転送された警報を、自装置が接続するOSS10に転送する。
ONU30は、光加入者線終端装置である。ONU30は、自装置の故障又はPON区間のリンク断を検知すると、自装置が接続しているOLT20に警報を通知する。PON区間のリンク断が発生している場合、ONU30は他のONU30(一次ホップONU)に警報を転送する。なお、以下の説明では、検知ONUのPON区間のリンク断が発生している場合を前提として説明する。また、ONU30は、他のONU30(検知ONU又は一次ホップONU)から転送された警報をOLT20又はn次ホップONUに転送する。
【0016】
次に、
図2〜
図8を用いて、本発明におけるONU30のみに焦点を当てて処理の詳細な流れについて説明する。
図2〜
図8には、ONU30−1〜30−7が示されている。ここで、
図2〜
図8では、ONU30−1を検知ONU30−1とし、ONU30−2〜30−5を一次ホップONU30−2〜30−5とし、ONU30−6及び30−7をn次ホップONU30−6及び30−7として説明する。また、
図2及び3における破線31は検知ONU30−1の無線通信可能範囲を表し、
図4〜8における破線32は一次ホップONUの無線通信可能範囲を表す。
【0017】
検知ONU30−1は、無線通信可能範囲31内に位置する一次ホップONU30−2〜30−5に対して警報転送を依頼することを示す第一転送要求を一次ホップONU30−2〜30−5に送信する。第一転送要求には、検知ONU30−1を保守監視しているOSS10に関する情報(以下、「OSS情報」という。)と、検知ONU30−1のMACアドレスとが含まれる。OSS情報は、例えば、IPアドレスである。なお、OSS情報は、ONU30の新規設置時にOSS10と連携を行うことによって取得される。
【0018】
一次ホップONU30−2〜30−5は、検知ONU30−1から送信された第一転送要求を受信する。一次ホップONU30−2〜30−5は、受信した第一転送要求に含まれるOSS情報と、MACアドレスとを検知ONU情報として記憶する。また、一次ホップONU30−2〜30−5は、受信した第一転送要求に基づいてOLT20への転送可否を判定する。具体的には、まず一次ホップONU30−2〜30−5は、受信した第一転送要求に含まれるOSS情報と、自装置が保持しているOSS情報と比較する。第一転送要求に含まれるOSS情報と、自装置が保持しているOSS情報とが一致した場合、次に一次ホップONU30−2〜30−5は自装置が接続しているOLT20との間で通信可能であるか否かを判定する。第一転送要求に含まれるOSS情報と、自装置が保持しているOSS情報とが一致し、かつ、OLT20との間で通信可能である場合、一次ホップONU30−2〜30−5は警報転送可能であると判定する。
【0019】
一方、第一転送要求に含まれるOSS情報と、自装置が保持しているOSS情報とが一致しない場合、又は、OLT20との間で通信可能ではない場合、一次ホップONU30−2〜30−5は警報転送可能ではないと判定する。その後、一次ホップONU30−2〜30−5は、警報転送可能であるか否かを示す判定結果を含む応答を検知ONU30−1に送信する(
図3参照)。応答には、判定結果の他に、一次ホップONUのMACアドレスが含まれる。
【0020】
検知ONU30−1は、一次ホップONU30−2〜30−5から送信された応答を受信する。検知ONU30−1は、受信した応答に含まれるMACアドレスと、判定結果とを転送依頼の履歴情報として記憶する。また、検知ONU30−1は、受信した応答に基づいて警報転送先を決定する。具体的には、警報転送可能である一次ホップONU30−2〜30−5が1台以上ある場合、検知ONU30−1は受信電波強度が最大の一次ホップONU30−2〜30−5を警報転送先に決定する。例えば、一次ホップONU30−5が警報転送先に決定されたとする。この場合、検知ONU30−1は、警報転送先である一次ホップONU30−5に対して警報転送指示を送信する(
図4参照)。警報転送指示には、検知ONU30−1が帰属しているOLT20に関する情報(以下、「OLT情報」という。)が含まれる。OLT情報は、例えば、架番号、ポート番号及びユニット情報である。
【0021】
一次ホップONU30−5は、検知ONU30−1から送信された警報転送指示を受信する。一次ホップONU30−5は、受信した警報転送指示に基づいて、検知ONU30−1が帰属しているOSS情報と、検知ONU30−1のMACアドレスと、OLT情報とを含む警報をOLT20に転送する。警報転送後、一次ホップONU30−5は警報転送の転送結果を検知ONU30−1に送信する。転送結果には、転送が成功したか否かを示す情報が含まれる。
検知ONU30−1は、一次ホップONU30−5から受信した転送結果が失敗を示している場合には、警報転送可能である一次ホップONU30−2〜30−5の中から受信電波強度が強い順に一次ホップONU30−2〜30−5を警報転送先に決定する。そして、上記と同様の処理を行う。
【0022】
一方、警報転送可能である一次ホップONU30−2〜30−5が0台である場合、又は、警報転送が失敗して転送可能な一次ホップONU30−2〜30−5が無くなった場合、検知ONU30−1は全一次ホップONU30−2〜30−5に対してn次ホップONU30−6及び30−7への警報転送を依頼する。n次ホップONUへの警報転送の依頼については、一次ホップONU30−2〜30−5で同様の処理を行うため、一次ホップONU30−5を一例に説明する。
検知ONU30−1は、一次ホップONU30−5に対してn次ホップONU30−6及び30−7への警報転送を依頼することを示す第二転送要求を一次ホップONU30−5に送信する。第二転送要求には、OSS情報と、OLT情報と、検知ONU30−1のMACアドレスと、履歴情報とが含まれる。
【0023】
一次ホップONU30−5は、検知ONU30−1から第二転送要求を受信すると、ポーリングを行い、無線通信可能範囲32内に位置するONU全てに対して返答依頼を送信する(
図5参照)。返答依頼には、返答依頼先を示す一次ホップONU30−5のMACアドレスが含まれる。
図5では、無線通信可能範囲32内に検知ONU30−1、一次ホップONU30−4、n次ホップONU30−6及び30−7が存在する。一次ホップONU30−4、n次ホップONU30−6及び30−7は、一次ホップONU30−5からの依頼に応じてMACアドレスを含む応答を送信する。
【0024】
一次ホップONU30−5は、一次ホップONU30−4、n次ホップONU30−6及び30−7から送信された応答を受信する。これにより、一次ホップONU30−5は、自装置の無線通信可能範囲32内に位置するONUのMACアドレスを取得する。次に、一次ホップONU30−5は、第二転送要求に含まれる履歴情報と、取得したMACアドレスとを比較して、履歴情報に含まれないMACアドレスのONU(以下、「未転送ONU」という。)を選択する。一次ホップONU30−5は、選択結果に応じた処理を行う。具体的には、未転送ONUが1台以上ある場合、一次ホップONU30−5は未転送ONUに対してOSS情報を転送する。一方、未転送ONUが0台である場合、一次ホップONU30−5は警報転送断念を示す通知を検知ONU30−1に送信する。
【0025】
上記のように、履歴情報には一次ホップONU30−4のMACアドレスが含まれるが、n次ホップONU30−6及び30−7のMACアドレスが含まれない。そのため、一次ホップONU30−5は、n次ホップONU30−6及び30−7を選択する。一次ホップONU30−5は、選択したn次ホップONU30−6及び30−7に対して警報転送を依頼することを示す第三転送要求をn次ホップONU30−6及び30−7に送信する。第三転送要求には、OSS情報と、検知ONU30−1のMACアドレスと、応答先を示す一次ホップONU30−5のMACアドレスとが含まれる。
【0026】
n次ホップONU30−6及び30−7は、一次ホップONU30−5から送信された第三転送要求を受信する。n次ホップONU30−6及び30−7は、受信した第三転送要求に含まれるOSS情報と、検知ONU30−1のMACアドレスとを検知ONU情報として記憶する。また、n次ホップONU30−6及び30−7は、受信した第三転送要求に基づいてOLT20への転送可否を判定する。具体的には、まずn次ホップONU30−6及び30−7は、受信した第三転送要求に含まれるOSS情報と、自装置が保持しているOSS情報と比較する。第三転送要求に含まれるOSS情報と、自装置が保持しているOSS情報とが一致した場合、次にn次ホップONU30−6及び30−7は自装置が接続しているOLT20との間で通信可能であるか否かを判定する。第三転送要求に含まれるOSS情報と、自装置が保持しているOSS情報とが一致し、かつ、OLT20との間で通信可能である場合、n次ホップONU30−6及び30−7は警報転送可能であると判定する。
一方、第三転送要求に含まれるOSS情報と、自装置が保持しているOSS情報とが一致しない場合、又は、OLT20との間で通信可能ではない場合、n次ホップONU30−6及び30−7は警報転送可能ではないと判定する。その後、n次ホップONU30−6及び30−7は、判定結果を含む応答を一次ホップONU30−5に送信する(
図7参照)。
【0027】
一次ホップONU30−5は、n次ホップONU30−6及び30−7から送信された応答を受信する。一次ホップONU30−5は、受信した応答に含まれるMACアドレスと、判定結果とを転送依頼の履歴情報として記憶する。また、一次ホップONU30−5は、受信した応答に基づいて警報転送先を決定する。具体的には、警報転送可能であるn次ホップONU30−6及び30−7が1台以上ある場合、一次ホップONU30−5は受信電波強度が最大のn次ホップONU30−6及び30−7を警報転送先に決定する。例えば、n次ホップONU30−6が警報転送先に決定されたとする。この場合、一次ホップONU30−5は、警報転送先であるn次ホップONU30−6に対して警報転送指示を送信する(
図8参照)。警報転送指示には、OLT情報が含まれる。
【0028】
n次ホップONU30−6は、一次ホップONU30−5から送信された警報転送指示を受信する。n次ホップONU30−6は、受信した警報転送指示に基づいて警報をOLT20に転送する。警報転送後、n次ホップONU30−6は警報転送の転送結果を一次ホップONU30−5に送信する。一次ホップONU30−5は、n次ホップONU30−6から受信した転送結果が成功を示している場合には、n次ホップONU30−6から受信した転送結果を検知ONU30−1に送信する。
【0029】
一次ホップONU30−5は、n次ホップONU30−6から受信した転送結果が失敗を示している場合には、警報転送可能であるn次ホップONU30−5及び30−6の中から受信電波強度が強い順にn次ホップONU30−5及び30−6を警報転送先に決定する。そして、上記と同様の処理を行う。警報転送可能であるn次ホップONU30−5及び30−6が0台である場合、又は、警報転送が失敗して転送可能なn次ホップONU30−5及び30−6が無くなった場合、一次ホップONU30−5は警報転送依頼済みのn次ホップONU30−5及び30−6のMACアドレスを検知ONU30−1に送信する。
【0030】
次に、
図9を用いて、上記の処理を行うONU30の具体的な構成について説明する。
図9は、ONU30の機能構成を表す概略ブロック図である。
図9に示すように、ONU30は、第一通信部301、第二通信部302、検知部303、制御部304、記憶部305、判定部306、決定部307及び選択部308を備える。
第一通信部301は、他のONU30との間で通信を行う。第一通信部301は、例えば、一次ホップONU、n次ホップONU及び検知ONUのいずれかとの間で通信を行う。
第二通信部302は、OLT20との間で通信を行う。第二通信部302は、例えば警報をOLT20に送信する。
検知部303は、自装置の故障及びリンク断を検知する。検知部303は、自装置の故障又はリンク断のいずれかを検知すると、異常が発生した旨を示す通知を制御部304に出力する。
【0031】
制御部304は、記憶部305に記憶されている情報を更新する。また、制御部304は、各転送要求を生成する。例えば、制御部304は、検知部303から異常が発生した旨を示す通知が出力されると、第一転送要求を生成する。
記憶部305には、自装置情報記憶部3051、警報転送依頼情報記憶部3052及び検知ONU情報記憶部3053を含んで構成される。
自装置情報記憶部3051は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。自装置情報記憶部3051は、自装置情報データベースを記憶する。自装置情報データベースは、自装置に関する情報が登録されたデータベースである。
【0032】
警報転送依頼情報記憶部3052は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。警報転送依頼情報記憶部3052は、検知ONU警報転送依頼データベース及び他ONU警報転送依頼データベースを記憶する。検知ONU警報転送依頼データベース及び他ONU警報転送依頼データベースは、警報転送の依頼に関する情報が登録されたデータベースである。検知ONU警報転送依頼データベースは、自装置が検知ONUである場合に利用される。他ONU警報転送依頼データベースは、自装置が検知ONUではない(例えば、1次ホップONUである)場合に利用される。
【0033】
検知ONU情報記憶部3053は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。検知ONU情報記憶部3053は、検知ONUデータベース及び検知ONU履歴データベースを記憶する。検知ONUデータベースは、検知ONUに関する情報が登録されたデータベースである。検知ONU履歴データベースは、検知ONUの転送依頼の履歴に関する情報が登録されたデータベースである。
【0034】
図10及び
図11は、各種データベースの具体例を示す図である。
図10(A)は、自装置情報データベースの具体例を示す図である。自装置情報データベースは、MACアドレス、OLT情報及びOSS情報の各値を記憶している。MACアドレスは、自装置(ONU30)のMACアドレスを表す。OLT情報は、自装置(ONU30)が帰属しているOLT20に関する情報を表す。
図10(A)では、OLT情報の具体例として、架番号、ポート番号及びユニット情報が示されている。架番号は、OLT20の架番号を表す。ポート番号は、自装置(ONU30)が接続しているOLT20のポート番号を表す。ユニット情報は、自装置(ONU30)が接続しているOLT20のユニットの情報を表す。OSS情報は、自装置(ONU30)の保守監視を行っているOSS10に関する情報(例えば、IPアドレス)を表す。
【0035】
図10(B)は、検知ONU警報転送依頼データベースの具体例を示す図である。検知ONU警報転送依頼データベースは、警報転送の依頼に関する情報を表すレコード(以下、「警報転送情報レコード」という。)31を複数有する。警報転送情報レコード33は、転送依頼履歴及びOLTへの転送状態の各値を有する。転送依頼履歴は、検知ONUが警報転送の依頼を要求した履歴を表す。転送依頼履歴は、検知ONUが警報転送の依頼を要求したONU30のMACアドレスが登録される。OLTへの転送状態は、検知ONUが警報転送の依頼を要求したONU30におけるONU30への警報転送の状態を表す。OLTへの転送状態は、例えば◎、○及び×で表される。◎は、ONU30への警報転送が完了したことを表す。○は、ONU30への警報転送が可能であることを表す。×は、ONU30への警報転送が不可能であることを表す。
【0036】
図10(B)に示される例では、検知ONU警報転送依頼データベースには、複数の転送依頼履歴が登録されている。これらの転送依頼履歴は、“BBB”及び“CCC”である。
図10(B)において、検知ONU警報転送依頼データベースの最上段に登録されている警報転送情報レコード33は、転送依頼履歴の値が“BBB”、OLTへの転送状態の値が“×”である。すなわち、MACアドレス“BBB”で識別されるONU30がOLT20への警報転送が不可能であることが表されている。
【0037】
図11(A)は、検知ONUデータベースの具体例を示す図である。検知ONUデータベースは、MACアドレス、OLT情報、OSS情報及びOLT転送可否の各値を記憶している。MACアドレスは、検知ONUのMACアドレスを表す。OLT情報は、検知ONUが帰属しているOLT20に関する情報を表す。OSS情報は、検知ONUの保守監視を行っているOSS10に関する情報(例えば、IPアドレス)を表す。OLT転送可否は、検知ONUがOLT20に警報を転送可能であるか否かを表す。OLT転送可否は、例えば◎、○及び×で表される。
【0038】
図11(B)は、検知ONU履歴データベースの具体例を示す図である。検知ONU履歴データベースは、検知ONUの警報転送依頼の履歴に関する情報を記憶する。検知ONUの警報転送依頼の履歴に関する情報としては、検知ONUが警報転送の依頼を要求したONU30のMACアドレスである。
図11(B)に示される例では、検知ONU履歴データベースには、複数のONU30のMACアドレスが登録されている。これらのONU30のMACアドレスは、“BBB”、“CCC”である。すなわち、検知ONUが警報転送の依頼を要求したONU30がMACアドレス“BBB”で識別されるONU30と、MACアドレス“CCC”で識別されるONU30であることが表されている。
【0039】
図11(C)は、他ONU警報転送依頼データベースの具体例を示す図である。他ONU警報転送依頼データベースは、警報転送情報レコード34を複数有する。警報転送情報レコード34は、転送先候補ONU情報、転送先候補ONUへの転送可否及びOLTへの転送状態の各値を有する。転送先候補ONU情報は、警報転送の候補となるONU30に関する情報を表す。転送先候補ONU情報は、警報転送の候補となるONU30のMACアドレスが登録される。転送先候補ONUへの転送可否は、警報転送の候補となるONU30に対する警報転送が可能であるか否かを表す。転送先候補ONUへの転送可否は、例えば◎、○及び×で表される。OLTへの転送状態は、転送先候補ONUにおけるONU30への警報転送の状態を表す。OLTへの転送状態は、例えば◎、○及び×で表される。
【0040】
図11(C)に示される例では、他ONU警報転送依頼データベースには、複数の転送先候補ONU情報が登録されている。これらの転送先候補ONU情報は、“CCC”及び“DDD”である。
図11(C)において、他ONU警報転送依頼データベースの最上段に登録されている警報転送情報レコード34は、転送先候補ONU情報の値が“CCC”、転送先候補ONUへの転送可否の値が“×”、OLTへの転送状態の値が“×”である。すなわち、MACアドレス“CCC”で識別される転送先候補のONU30に対する警報転送が不可能であり、転送先候補のONU30におけるOLT20への警報転送が不可能であることが表されている。
【0041】
図9に戻ってONU30の説明を続ける。
判定部306は、自装置情報記憶部3051に記憶されているOSS情報と、検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースに登録されているOSS情報とに基づいて警報転送の可否を判定する。
決定部307は、他のONU30から送信された判定結果に基づいて警報転送先となるONU30を決定する。
選択部308は、警報転送依頼情報記憶部3052に記憶されている他ONU警報転送依頼データベースに登録されているMACアドレスと、検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONU履歴データベースに登録されているMACアドレスとに基づいて転送先候補となるONU30を選択する。
【0042】
図12は、警報転送システム100における処理の流れを示すシーケンス図である。
図12の処理は、異常が検知された場合に開始される。なお、
図12の処理開始時には、警報転送依頼情報記憶部3052に記憶されているデータベースと、検知ONU情報記憶部3053に記憶されているデータベースとには何の情報も登録されていないものとする。また、
図12では、説明の簡単化のため検知ONUを1台、一次ホップONUを2台(一次ホップONU−1及び一次ホップONU−2)、n次ホップONUを1台として説明する。また、
図12では、検知ONUが帰属しているOSS10に1次ホップONUから警報転送が可能な場合について説明する。
【0043】
検知ONUの制御部304は、検知部303から通知が出力されると、自装置情報記憶部3051に記憶されているMACアドレスと、OSS情報とを含む第一転送要求を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、通信可能範囲内のONU30に第一転送要求を送信する(ステップS101)。
【0044】
一次ホップONU−1の第一通信部301は、検知ONUから送信された第一転送要求を受信する。第一通信部301は、受信した第一転送要求を制御部304に出力する。制御部304は、出力された第一転送要求に含まれるMACアドレスと、OSS情報とを検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースに登録する。この処理により、一次ホップONU−1が記憶する検知ONUデータベースのMACアドレス及びOSS情報が登録される。ただし、一次ホップONU−1が記憶する検知ONUデータベースのOLT情報及びOLT転送可否の項目については何の情報も登録されない。
【0045】
次に、一次ホップONU−1の判定部306は、自装置情報記憶部3051に記憶されているOSS情報と、検知ONUデータベースのOSS情報とを比較することによってOLT20への警報転送の可否を判定する(ステップS102)。判定方法は、上述した通りである。判定部306は、判定結果を検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に登録する。ここで、判定結果としてOLT20への警報転送が可能である場合、判定部306は検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に“○”を登録する。制御部304は、判定部306の判定結果(例えば、○)と、自装置のMACアドレスとを含む応答を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、応答を検知ONUに送信する。
【0046】
一次ホップONU−2の第一通信部301は、検知ONUから送信された第一転送要求を受信する。第一通信部301は、受信した第一転送要求を制御部304に出力する。制御部304は、出力された第一転送要求に含まれるMACアドレスと、OSS情報とを検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースに登録する。この処理により、一次ホップONU−2が記憶する検知ONUデータベースのMACアドレス及びOSS情報が登録される。ただし、一次ホップONU−2が記憶する検知ONUデータベースのOLT情報及びOLT転送可否の項目については何の情報も登録されない。
【0047】
次に、一次ホップONU−2の判定部306は、自装置情報記憶部3051に記憶されているOSS情報と、検知ONUデータベースのOSS情報とを比較することによってOLT20への警報転送の可否を判定する(ステップS103)。判定方法は、上述した通りである。判定部306は、判定結果を検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に登録する。ここで、判定結果としてOLT20への警報転送が可能である場合、判定部306は検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に“○”を登録する。制御部304は、判定部306の判定結果(例えば、○)と、自装置のMACアドレスとを含む応答を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、応答を検知ONUに送信する。
【0048】
検知ONUの第一通信部301は、一次ホップONU−1及び一次ホップONU−2から送信された応答を受信する。第一通信部301は、受信した応答を制御部304に出力する。制御部304は、受信した応答に含まれるMACアドレスと、判定結果とを警報転送依頼情報記憶部3052に記憶されている検知ONU警報転送依頼データベースに登録する。具体的には、制御部304は、MACアドレスを転送依頼履歴の項目に登録し、判定結果をOLTへの転送状態の項目に登録する。決定部307は、一次ホップONU−1及び一次ホップONU−2から送信された応答に含まれる判定結果に基づいて警報転送先となるONU30を決定する(ステップS104)。具体的には、警報転送可能である一次ホップONUが1台以上であるため、決定部307は受信電波強度が最大の一次ホップONUを警報転送先に決定する。ここで、一次ホップONU−1が警報転送先に決定されたとする。
【0049】
制御部304は、自装置情報記憶部3051に記憶されているOLT情報を含む警報転送指示を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、警報転送指示を一次ホップONU−1に送信する(ステップS105)。
一次ホップONU−1の第一通信部301は、検知ONUから送信された警報転送指示を受信する。第一通信部301は、受信した警報転送指示を制御部304に出力する。制御部304は、警報転送指示に含まれるOLT情報を、検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースのOLT情報の項目に登録する。その後、制御部304は、検知ONUデータベースに含まれるMACアドレスと、OLT情報と、OSS情報とを含む警報を生成する。そして、制御部304は、第二通信部302を制御して、警報をOLT20に転送する(ステップS106)。
【0050】
制御部304は、警報の転送後、第一通信部301を制御して、転送結果を検知ONUに送信する(ステップS107)。
検知ONUの第一通信部301は、一次ホップONU−1から送信された転送結果を受信する。第一通信部301は、受信した転送結果を制御部304に出力する。制御部304は、出力された転送結果で、検知ONU警報転送依頼データベースにおける一次ホップONU−1に対応するOLTへの転送状態の項目を更新する。例えば、転送結果が転送完了を示す場合、制御部304は検知ONU警報転送依頼データベースにおける一次ホップONU−1に対応するOLTへの転送状態の項目の値を、転送完了を示す情報(例えば、◎)に更新する。一方、転送結果が転送不可能を示す場合、制御部304は検知ONU警報転送依頼データベースにおける一次ホップONU−1に対応するOLTへの転送状態の項目の値を、転送不可能を示す情報(例えば、×)に更新する。また、制御部304は、転送結果に応じた動作を行う。具体的には、制御部304は、転送結果が転送不可能を示す場合には、受信電波強度が強い順にステップS105以降の処理を実行する。一方、転送結果が転送完了を示す場合には、処理を終了する。
【0051】
図13及び
図14は、警報転送システム100における処理の流れを示すシーケンス図である。
図13及び
図14の処理は、異常が検知された場合に開始される。なお、
図13及び
図14の処理開始時には、警報転送依頼情報記憶部3052に記憶されているデータベースと、検知ONU情報記憶部3053に記憶されているデータベースとには何の情報も登録されていないものとする。また、
図13及び
図14では、説明の簡単化のため検知ONUを1台、一次ホップONUを2台(一次ホップONU−1及び一次ホップONU−2)、n次ホップONUを1台として説明する。また、
図13及び
図14では、検知ONUが帰属しているOSS10に1次ホップONUから警報転送が不可能な場合について説明する。
【0052】
検知ONUの制御部304は、検知部303から通知が出力されると、自装置情報記憶部3051に記憶されているMACアドレスと、OSS情報とを含む第一転送要求を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、通信可能範囲内のONU30に第一転送要求を送信する(ステップS201)。
一次ホップONU−1の第一通信部301は、検知ONUから送信された第一転送要求を受信する。第一通信部301は、受信した第一転送要求を制御部304に出力する。制御部304は、出力された第一転送要求に含まれるMACアドレスと、OSS情報とを検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースに登録する。この処理により、一次ホップONU−1が記憶する検知ONUデータベースのMACアドレス及びOSS情報が登録される。ただし、一次ホップONU−1が記憶する検知ONUデータベースのOLT情報及びOLT転送可否の項目については何の情報も登録されない。
【0053】
次に、一次ホップONU−1の判定部306は、自装置情報記憶部3051に記憶されているOSS情報と、検知ONUデータベースのOSS情報とを比較することによってOLT20への警報転送の可否を判定する(ステップS202)。判定方法は、上述した通りである。判定部306は、判定結果を検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に登録する。ここで、判定結果としてOLT20への警報転送が不可能である場合、判定部306は検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に“×”を登録する。制御部304は、判定部306の判定結果(例えば、×)と、自装置のMACアドレスとを含む応答を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、応答を検知ONUに送信する。
【0054】
一次ホップONU−2の第一通信部301は、検知ONUから送信された第一転送要求を受信する。第一通信部301は、受信した第一転送要求を制御部304に出力する。制御部304は、出力された第一転送要求に含まれるMACアドレスと、OSS情報とを検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースに登録する。この処理により、一次ホップONU−2が記憶する検知ONUデータベースのMACアドレス及びOSS情報が登録される。ただし、一次ホップONU−2が記憶する検知ONUデータベースのOLT情報及びOLT転送可否の項目については何の情報も登録されない。
【0055】
次に、一次ホップONU−2の判定部306は、自装置情報記憶部3051に記憶されているOSS情報と、検知ONUデータベースのOSS情報とを比較することによってOLT20への警報転送の可否を判定する(ステップS203)。判定方法は、上述した通りである。判定部306は、判定結果を検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に登録する。ここで、判定結果としてOLT20への警報転送が可能である場合、判定部306は検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に“×”を登録する。制御部304は、判定部306の判定結果(例えば、×)と、自装置のMACアドレスとを含む応答を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、応答を検知ONUに送信する。
【0056】
検知ONUの第一通信部301は、一次ホップONU−1及び一次ホップONU−2から送信された応答を受信する。第一通信部301は、受信した応答を制御部304に出力する。制御部304は、受信した応答に含まれるMACアドレスと、判定結果とを警報転送依頼情報記憶部3052に記憶されている検知ONU警報転送依頼データベースに登録する。具体的には、制御部304は、MACアドレスを転送依頼履歴の項目に登録し、判定結果をOLTへの転送状態の項目に登録する。決定部307は、一次ホップONU−1及び一次ホップONU−2から送信された応答に含まれる判定結果に基づいて警報転送先となるONU30を決定する(ステップS204)。
【0057】
具体的には、警報転送可能である一次ホップONUが0台であるため、制御部304は自装置情報記憶部3051に記憶されているMACアドレスと、OLT情報と、OSS情報と、警報転送依頼情報記憶部3052に記憶されている検知ONU警報転送依頼データベースに登録されている全ての転送依頼履歴(MACアドレス)とを含む第二転送依頼を生成する。そして、制御部304は、第一通信部301を制御して、通信可能範囲内のONU30(一次ホップONU−1及び一次ホップONU−2)に第二転送依頼を送信する(ステップS205)。ここで、一次ホップONU−1及び一次ホップONU−2は、第二転送依頼に対して同様の処理を行うため、一次ホップONU−1を例に説明する。
【0058】
一次ホップONU−1の第一通信部301は、検知ONUから送信された第二転送要求を受信する。第一通信部301は、受信した第二転送要求を制御部304に出力する。制御部304は、出力された第二転送要求に含まれるMACアドレスと、OLT情報と、OSS情報とを検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースに登録する。また、制御部304は、第二転送要求に含まれる転送依頼履歴を、検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONU履歴データベースに登録する。その後、制御部304は、第一通信部301を制御して、ポーリングを行い、無線通信可能範囲内に位置するONU全てに対して返答依頼を送信する(ステップS206)。
【0059】
一次ホップONU−2の第一通信部301は、一次ホップONU−1から送信された返答依頼を受信する。第一通信部301は、受信した返答依頼を制御部304に出力する。制御部304は、出力された返答依頼に応じて、自装置のMACアドレスを含む応答を生成する。そして、制御部304は、第一通信部301を制御して、生成した応答を一次ホップONU−1に送信する(ステップS207)。
【0060】
n次ホップONUの第一通信部301は、一次ホップONU−1から送信された返答依頼を受信する。第一通信部301は、受信した返答依頼を制御部304に出力する。制御部304は、出力された返答依頼に応じて、自装置のMACアドレスを含む応答を生成する。そして、制御部304は、第一通信部301を制御して、生成した応答を一次ホップONU−1に送信する(ステップS208)。
【0061】
一次ホップONU−1の第一通信部301は、一次ホップONU−2及びn次ホップONUから送信された応答を受信する。第一通信部301は、受信した応答を制御部304に出力する。制御部304は、出力された応答に含まれるMACアドレスを警報転送依頼情報記憶部3052に記憶されている他ONU警報転送依頼データベースの転送先候補ONU情報の項目に登録する。この処理により、一次ホップONU−1が記憶する他ONU警報転送依頼データベースの転送先候補ONU情報が登録される。ただし、一次ホップONU−1が記憶する他ONU警報転送依頼データベースの転送先候補ONUへの転送可否及びOLTへの転送状態の項目については何の情報も登録されない。
【0062】
次に、選択部308は、他ONU警報転送依頼データベースに登録されている転送先候補ONU情報(MACアドレス)と、検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONU履歴データベースに登録されている転送依頼履歴(MACアドレス)とに基づいて未転送ONUを選択する(ステップS209)。選択部308は、選択した未転送ONUの情報を制御部304に通知する。ここでは、未転送ONUは、n次ホップONUであるため、選択部308はn次ホップONUの情報を制御部304に通知する。制御部304は、検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースに登録されているMACアドレスと、OSS情報と、自装置のMACアドレスとを含む第三転送要求を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、第三転送要求をn次ホップONUに送信する(ステップS210)。
【0063】
n次ホップONUの第一通信部301は、一次ホップONU−1から送信された第三転送要求を受信する。第一通信部301は、受信した第三転送要求を制御部304に出力する。制御部304は、出力された第三転送要求に含まれる検知ONUのMACアドレスと、OSS情報とを検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースに登録する。この処理により、n次ホップONUが記憶する検知ONUデータベースのMACアドレス及びOSS情報が登録される。ただし、n次ホップONUが記憶する検知ONUデータベースのOLT情報及びOLT転送可否の項目については何の情報も登録されない。
【0064】
次に、n次ホップONUの判定部306は、自装置情報記憶部3051に記憶されているOSS情報と、検知ONUデータベースのOSS情報とを比較することによってOLT20への警報転送の可否を判定する(ステップS211)。判定方法は、上述した通りである。判定部306は、判定結果を検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に登録する。ここで、判定結果としてOLT20への警報転送が可能である場合、判定部306は検知ONUデータベースのOLT転送可否の項目に“○”を登録する。制御部304は、判定部306の判定結果(例えば、○)と、自装置のMACアドレスとを含む応答を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、応答を一次ホップONU−1に送信する(ステップS211)。
【0065】
一次ホップONU−1の第一通信部301は、n次ホップONUから送信された応答を受信する。第一通信部301は、受信した応答を制御部304に出力する。制御部304は、受信した応答に含まれる判定結果に基づいて警報転送先となるONU30を決定する(ステップS212)。具体的には、警報転送可能である未転送ONUが1台以上であるため、決定部307は受信電波強度が最大の未転送ONUを警報転送先に決定する。ここで、n次ホップONUが警報転送先に決定されたとする。制御部304は、検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースに登録されているOLT情報を含む警報転送指示を生成する。制御部304は、第一通信部301を制御して、警報転送指示をn次ホップONUに送信する(ステップS213)。
【0066】
n次ホップONUの第一通信部301は、1次ホップONU−1から送信された警報転送指示を受信する。第一通信部301は、受信した警報転送指示を制御部304に出力する。制御部304は、警報転送指示に含まれるOLT情報を、検知ONU情報記憶部3053に記憶されている検知ONUデータベースのOLT情報の項目に登録する。その後、制御部304は、検知ONUデータベースに含まれるMACアドレスと、OLT情報と、OSS情報とを含む警報を生成する。そして、制御部304は、第二通信部302を制御して、警報をOLT20に転送する(ステップS214)。
【0067】
制御部304は、警報の転送後、第一通信部301を制御して、転送結果を1次ホップONU−1に送信する(ステップS215)。
1次ホップONU−1の第一通信部301は、n次ホップONUから送信された転送結果を受信する。第一通信部301は、受信した転送結果を制御部304に出力する。また、制御部304は、出力された転送結果に応じた動作を行う。具体的には、制御部304は、転送結果が転送不可能を示す場合には、受信電波強度が強い順にステップS210以降の処理を実行する。一方、転送結果が転送完了を示す場合、制御部304は、第一通信部301を制御して、転送結果を検知ONUに転送する。
【0068】
以上のように構成されたONU30によれば、帯域圧迫を抑制することが可能となる。検知ONUは、1次ホップONUに対して、n次ONU30への警報転送を依頼する際に、検知ONUが既に警報転送を依頼したONU30の情報である履歴情報も含める。これにより、1次ホップONUは、既に警報転送の依頼がなされたONU30の情報を把握することができる。つまり、1次ホップONUが、既に警報転送の依頼がなされたONU30を除いたONU30に対して警報転送を行うことができる。したがって、警報を転送しつづけてしまうことが無くなる。そのため、帯域圧迫を抑制することが可能になる。さらに、警報を転送しつづけてしまうことによるONU30の負荷を軽減することもできる。
【0069】
また、上記のように、1次ホップONUは、履歴情報に基づいて転送先候補のONU30を決定する。この履歴情報は、既存のONU30の情報である。そのため、簡単な構成で帯域圧迫を抑制することが可能になる。
【0070】
<変形例>
本実施形態では、決定部307が、受信電波強度に基づいて転送候補先となる他のONU30を決定する構成を示したが、転送候補先となる他のONU30を決定する方法はこれに限定される必要はない。例えば、決定部307は、警報転送可能であることを示す判定結果を含む応答の早い順に、転送候補先となる他のONU30を決定するように構成されてもよい。
図1では、警報転送システム100が複数台のOSS10を備えている例を示しているが、警報転送システム100は一台のOSS10を備えるように構成されてもよい。
【0071】
上述した実施形態におけるONU30の少なくとも一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0072】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。