(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275244
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器内で切換工程を実行するための方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/12 20060101AFI20180129BHJP
H02H 7/055 20060101ALI20180129BHJP
H01F 29/04 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
H02J3/12
H02H7/055
H01F29/04 502L
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-505753(P2016-505753)
(86)(22)【出願日】2014年3月21日
(65)【公表番号】特表2016-519922(P2016-519922A)
(43)【公表日】2016年7月7日
(86)【国際出願番号】EP2014055733
(87)【国際公開番号】WO2014161729
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】102013103360.1
(32)【優先日】2013年4月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035459
【氏名又は名称】マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】シュトロフ・トーマス
【審査官】
高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−191514(JP,A)
【文献】
特開昭50−021215(JP,A)
【文献】
特開昭51−083152(JP,A)
【文献】
特公昭47−026254(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F29/00−29/14,
H02H7/04−7/055,
H02J3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負時タップ切換器(1)内でタップ付き変圧器(2)の巻線タップ(n)と巻線タップ(n+1)との間の切換工程を第1切換接点(V1)及び第2切換接点(V2)によって実行するための方法において、
・前記切換工程が、複数の段階(I〜IX)に区分され、
・使用されるそれぞれの前記第1切換接点(V1)及び前記第2切換接点(V2)の危険な切換状態及び危険でない切換状態が確認され、
・それぞれの前記段階(I〜IX)が監視され、
・意図した切換工程の開始時に、電圧監視装置(8)によって、監視システム(7)内でパラメータ化された決定論理に応じて、供給電圧の値が、決定基準値として検出され、当該電圧供給が存在するときにだけ、前記切換工程のその次の規定された段階(I〜IX)に切り換えられ、
・切換工程中の、電源電圧又は供給電圧の電圧低下時には、すなわち電気駆動部(5)のエネルギー供給の減少時には、その次に続く、危険でないと確認される切換状態の次の段階に新たに切り換えられることによって、制御装置(6)内のコンデンサに存在する残留エネルギーを使用して、切換シーケンスに対して確認されたそれぞれの前記第1切換接点(V1)及び前記第2切換接点(V2)のそれぞれの危険な切換状態が解消されることを特徴とする方法。
【請求項2】
・電圧が、選択された1つの位相線(I1,I2,I3)に印加されているか否かが、切換の起動後に第1段階(I)において電圧監視装置(8)によって検査され、
・当該切換は、電圧が印加されていないときは中止され、
・当該切換は、電圧が印加されているときは継続されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
・前記電気駆動部(5)が、第2段階(II)中に前記制御装置(6)によって操作されるときに、第2切換接点(V2)を開き、
・前記電気駆動部(5)のエネルギー供給が、当該開放中に監視システム(7)によって監視され、
・電圧が、前記電気駆動部(5)のエネルギー供給時に低下すると、前記制御装置(6)のコンデンサからのエネルギーが、前記第2切換接点(V2)を完全に開くために使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
・第2選択器可動接点(W2)が、第3段階(III)中に隣接した巻線タップ(n+1)に接近することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
・前記電気駆動部(5)が、第4段階(IV)中に前記制御装置(6)によって操作される結果、前記第2切換接点(V2)を閉じ、
・前記電気駆動部(5)のエネルギー供給が、当該閉鎖中に前記監視システム(7)によって監視され、
・電圧が、前記電気駆動部(5)のエネルギー供給時に低下すると、前記制御装置(6)のコンデンサからのエネルギーが、前記第2切換接点(V2)を完全に閉じるために使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
・第5段階(V)中に、第1選択器可動接点(W1)が、1つの巻線タップ(n)に接触し、第2選択器可動接点(W2)が、隣接した巻線タップ(n+1)に接触し、
・前記第1切換接点(V1)及び前記第2切換接点(V2)が閉じられていて、
・循環電流(Ik)が、このときに発生することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
・第6段階(VI)中に、電圧が、選択された1つの位相線(I1,I2,I3)に印加されているか否かが、当該切換を継続させる前に前記電圧監視装置(8)によって検査され、
・当該切換は、電圧が印加されていないときは中止され、
・当該切換は、電圧が印加されているときは継続されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
・第7段階(VII)中に、第1選択器可動接点(W1)が、隣接した巻線タップ(n+1)に接近することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
・第8段階(VIII)中に、前記電気駆動部(5)が、制御装置(6)によって操作され、このときに前記第1切換接点(V1)を閉じ、
・前記電気駆動部(5)のエネルギー供給が、当該閉鎖中に監視システム(7)によって監視され、
・電圧が、前記電気駆動部(5)のエネルギー供給時に低下すると、前記制御装置(6)のコンデンサからのエネルギーが、前記第1切換接点(V1)を完全に閉じるために使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
・第9段階(IX)において、当該切換が終了されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷時タップ切換器内でタップ付き変圧器の巻線タップと巻線タップとの間の切換工程を実行するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の負荷時タップ切換器が、タップ付き変圧器の異なる巻線タップ間を停電させずに切り換えるために長年にわたって世界中で使用されている。特に北米で普及しているいわゆるリアクトル切換器は、遅い連続切換を可能にする切換リアクタンスを有する。速い抵抗切換原理にしたがう負荷時タップ切換器は、タップ付き変圧器の、切り換えようとするそれぞれの巻線タップを無電流状態で選択するための選択器と、現在の巻線タップを当該予め選択された新しい巻線タップに実際に切り換えるための切換開閉器とから構成されている。このため、当該切換開閉器は、通常は切換接点と抵抗接点とを有する。この場合、当該切換接点は、当該それぞれの巻線タップをロードダイバータに直接に接続するために使用され、当該抵抗接点は、一時的な接続、すなわち1つ又は複数の切換抵抗によるブリッジのために使用される。しかしながら、近年の発展した切換開閉器は、絶縁油中の機械式の切換接点を有する切換開閉器から乖離している。この代わりに、真空切換セルが、切換要素として益々使用されている。
【0003】
真空バルブを有するこのような負荷時タップ切換器は、例えば独国特許出願公開第102009043171号明細書から公知である。ここでは、切換開閉器が、蓄勢機構によって駆動可能な、少なくとも1つのカム板を有する駆動軸を支持している。この場合、当該カム板の前面に配置された2つの制御カムが、円形とは違うカム状の輪郭を有する。ロッカーレバーを介して真空バルブに連結されているそれぞれ1つのローラが、当該それぞれの制御カムに形成された当該輪郭をなぞるように当該輪郭に接して転動される。
【0004】
上記負荷時タップ切換器の構造的構成に起因して、当該負荷時タップ切換器では、接触系によって急激に切り換えるためのばね蓄勢機構が必要である。従来の技術から公知の蓄勢機構は、当該負荷時タップ切換器のそれぞれの操作の開始時に駆動軸によって付勢される、すなわち張力が、当該蓄勢に印加される。当該公知の蓄勢機構は、主に付勢機構と解放機構とから構成されている。蓄勢機構のばねが、エネルギー蓄勢機構としてこの付勢機構とこの解放機構との間に配置されている。このような蓄勢機構は、例えば、独国特許第19855860号明細書及び独国特許第2806282号明細書から読み取り可能である。当該長年にわたって使用されているエネルギー蓄勢機構にもかかわらず、当該装置の機能が、常に正常に作動するとは限らない。負荷時タップ切換器が、長年にわたって使用されると、圧縮ばね又は引張ばねが破損し、したがって切換を阻止することが起こり得る。さらに、機構が、最終位置に到達せず、すなわち切換軸が、完全に回転せず、切換接点が、当該最終位置に到達しないことが起こり得る。その結果、最悪の場合には、タップ付き変圧器全体の破壊に至ることがある。
【0005】
本出願人の最新の負荷時タップ切換器は、上記の従来の技術とは違って切換を実行するための機械式の蓄勢機構を有しない。当該操作は、電気駆動部によって直接に実行される。しかしながら、このような電気駆動部に対するエネルギー供給が、切換中に突然に停止すると、危険な切換位置が、当該負荷時タップ切換器内で発生し得る。当該危険な切換位置は、特に切換接点の閉鎖の直前又は開放の直後に発生する。この場合、例えば、真空バルブの内部の接点が溶着し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009043171号明細書
【特許文献2】独国特許第19855860号明細書
【特許文献3】独国特許第2806282号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、負荷時タップ切換器の信頼性を向上させるように、負荷時タップ切換器内で切換工程を実行するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する方法によって解決される。
【0009】
この場合、本発明に共通の技術的思想は、負荷時タップ切換器の切換工程を実行するための方法において、当該切換工程に基づく切換シーケンスを複数の段階に区分し、使用されるそれぞれの切換接点の危険な切換状態及び危険でない切換状態を確認し、当該それぞれの段階を切換工程中に監視し、監視システム内でパラメータ化された決定論理に応じて、意図した切換工程の開始時に電圧監視装置によって検出した供給電圧の値を決定基準値として処理し、供給電圧が検出可能であるときにだけ、当該切換工程を開始するか又は当該切換工程のその次に規定された段階に移行し、さらに、切換工程中に、電源電圧又は供給電圧の電圧低下時には、すなわち電気駆動部のエネルギー供給の減少時には、その次に続く、危険でないと確認される切換状態の次の段階に新たに切り換えられることによって、制御装置内のコンデンサに存在するエネルギーを使用して、切換シーケンスに対して確認された当該それぞれの切換接点のそれぞれの危険な切換状態が解消されることにある。
【0010】
この場合、本発明によれば、電圧が、選択された1つの位相線に印加されているか否かが、切換の起動後に第1段階において電圧監視装置によって検査される。当該切換は、電圧が印加されていないときは中止され、電圧が印加されているときは継続される。
【0011】
電気駆動部が、本発明の方法の第2段階中に制御装置によって操作される。この場合、この電気駆動部は、第2切換接点を開く。この電気駆動部のエネルギー供給が、当該開放中に監視システムによって監視される。電圧が、この電気駆動部のエネルギー供給時に低下すると、当該制御装置のコンデンサからのエネルギーが、当該第2切換接点を完全に開くために使用される。したがって、引き続き、第2選択器可動接点が、第3段階中に隣接した巻線タップに接近する。
【0012】
上記電気駆動部が、本発明の方法の第4段階中に制御装置によって操作される結果、上記第2切換接点が閉じられる。この電気駆動部のエネルギー供給が、当該閉鎖中に上記監視システムによって監視され、電圧が、この電気駆動部のエネルギー供給時に低下すると、当該制御装置のコンデンサからのエネルギーが、当該第2切換接点を完全に閉じるために使用される。
【0013】
本発明の方法の第5段階中に、上記第1選択器可動接点が、1つの巻線タップに接触し、上記第2選択器可動接点が、隣接した巻線タップに接触する。したがって、上記第1切換接点及び上記第2切換接点が閉じられている。循環電流Ikが、この期間中に発生する。
【0014】
本発明の方法の第6段階中に、電圧が、選択された1つの位相線に印加されているか否かが、当該切換を継続させる前に上記電圧監視装置によって検査される。当該切換は、電圧が印加されていないときは中止され、電圧が印加されているときは継続される。後続する第7段階中に、上記第1選択器可動接点が、隣接した巻線タップに接近する。
【0015】
本発明の方法の第8段階中に、上記電気駆動部が、制御装置によって操作され、第1切換接点V1が閉じられる。当該閉鎖中に、当該電気駆動部のエネルギー供給が、監視システムによって操作され、電圧が、この電気駆動部のエネルギー供給時に低下すると、当該制御装置のコンデンサからのエネルギーが、当該第1切換接点を完全に閉じるために使用される。
第9段階において、上記切換が終了される。
【0016】
以下に、本発明の方法を例示的に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】危険な切換位置が回避される切換工程を実行するために必要な手段を有する負荷時タップ切換器の概略図である。
【
図2a】リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。
【
図2b】リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。
【
図2c】リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。
【
図2d】リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。
【
図2e】リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。
【
図2f】リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。
【
図2g】リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。
【
図2h】リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。
【
図2i】リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。
【
図3】切換工程中の異なる段階を有する概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、タップ付き変圧器2内に存在するリアクトル切換原理にしたがう負荷時タップ切換器1が示されている。このタップ付き変圧器2は、高電圧側3と低電圧側4とから構成されている。この場合、負荷時タップ切換器2は、高電圧側3に配置されている。高電圧側3及び低電圧側4がそれぞれ、3つの位相線L1,L2,L3,I1,I2,I3を有する。負荷時タップ切換器1が、電気駆動部5により操作される。制御装置6が、この電気駆動部5の個々の切換操作を起動させる。この制御装置6は、監視システム7を介して電気駆動部5に接続されていて、且つ以下ではSUV8と記されている電圧監視装置8に接続されている。このSUV8は、低電圧側4の個々の位相線I1,I2及びI3の電圧を監視する。エネルギーが、この低電圧側4のこれらの位相線のうちの1つの位相線I1と電線9とを通じて電気駆動部5に供給される。しかしながら、この低電圧側4に存在するそれぞれの位相線I1,I2又はI3が、当該エネルギー供給のために適している。
【0019】
複数のバッファコンデンサが、制御装置6の内部に配置されている。これらのバッファコンデンサは、所定のエネルギー量を充電することができる。大抵は、これらのバッファコンデンサは、この制御装置6の構成要素であるが、事後的に設けられてもよい。タップ付き変圧器の、1つのタップnから1つの中間ステップn+1/2を経由して次のタップn+1に負荷時タップ切換器1を切り換える工程の起動時に、1つの位相線I1,I2又はI3からのエネルギーが、この負荷時タップ切換器1の内部に存在する切換接点V1,V2、特に真空ポンプを開くか又は閉じるために使用される。危険な切換位置が、この切換工程時、特にこれらの切換接点のいわゆる負荷時開閉時に発生する。これらの切換接点が、負荷を印加されているときに、すなわち電流を通電されているときに、負荷時開閉が発生する。この場合、アークが、これらの切換接点の内部で発生する。当該アークは、これらの切換接点の寿命に影響を及ぼし、しかも、非常に長い点弧期間には破壊を引き起こし得る。
【0020】
図2a〜2iには、リアクトル切換原理にしたがって作動する負荷時タップ切換器の例示的な切換工程が示されている。当該負荷時タップ切換器1は、第1切換接点V1及び第2切換接点V2と、第1選択器可動接点W1及び第2選択器可動接点W2と、第1切換リアクタンスX1及び第2切換リアクタンスX2とから構成されている。さらに、ロードダイバータYが、この第1切換リアクタンスX1とこの第2切換リアクタンスX2との間に配置されている。当該切換工程は、タップ付き変圧器2の、1つのタップ巻線の第1タップnから1つのタップ巻線の隣接した第2巻線タップn+1まで実行される。この場合、中間位置n+1/2が、固定式の作動位置として可能である。
【0021】
切換工程を開始するため(
図2b)、第2切換接点V2が開かれる。その結果、最初に、第2選択器可動接点W2が、巻線タップnから無通電式に解放され得る。引き続き(
図2c)、この第2選択器可動接点W2が、第2タップn+1まで移動する。当該第2巻線タップn+1の到達後に(
図2d)、切換接点V2が閉じられる。これと同時に、いわゆる循環電流Ikが流れる(
図2e)。上記切換リアクタンスX1及びX2は、当該負荷時タップ切換器1がこの切換位置に停止し続け得ることを可能にする。この切換位置は、中間位置n+1/2と記される。当該第1真空バルブV1の開放時に(
図2f)、循環電流Ikが遮断され、当該第1選択器可動接点W1が、当該第2巻線タップn+1の方向に移動する(
図2g)。この第1選択器可動接点W1が、この第2巻線タップn+1に到達すると(
図2h)、当該第1切換接点V1が閉じられる(
図2i)。
【0022】
したがって、この切換工程は、新規の複数の段階に区分され得る。第1段階(I)(
図2a)では、当該切換が起動される。第2段階(II)では、第2切換接点V2が開かれる。第3段階(III)(
図2c)では、第2選択器可動接点W2が、隣接した第2巻線タップn+1に接近する。第4段階(IV)では、当該第2切換接点V2が閉じられる。第5段階(V)(
図2d)では、2つの切換接点V1及びV2が閉じられている。第6段階(VI)では、第1切換接点V1が開かれる。第7段階(VII)(
図2g)では、上記第1選択器可動接点W1が、当該隣接した第2巻線タップn+1に接近する。第8段階(VIII)では、当該第1切換接点V1が閉じられる。
第9段階(IX)では、当該切換工程が終了している。
【0023】
図3には、本発明の方法が、概略的なフローチャートによって示されている。この場合、第1段階(I)における切換工程の起動時に、電圧が、エネルギーを供給するために選択された位相線I1,I2,I3に印加されているか否かが、SUV8によって最初に検査される。電圧が、エネルギーを供給するために選択された位相線I1,I2,I3に印加されていないときは、当該切換工程は実行されず、当該負荷時タップ切換器1が、この位置に留まるか、又は、当該タップ付き変圧器2の全体が遮断される。当該電圧が印加されているときは、電気駆動部5が、制御装置6によって作動される。
【0024】
上記第2切換接点V2が、この第2段階(II)中に開かれる。この段階は、危険な切換状態とみなすことができる。何故なら、当該第2切換接点V2が、完全に開かれていないときに、アークが消弧しないおそれがあるからである。監視システム7が、この期間中に電気駆動部5のエネルギー供給を監視する。この段階(II)中に、電圧が低下すると、すなわちエネルギー供給が減少すると、このことが、当該監視システム7によって検出され、制御装置6内に存在する、既に前もって充電されているコンデンサからのエネルギーを使用して補償される。すなわち、当該第2切換接点V2が完全に開かれる。
【0025】
当該開放が完全に終了すると、第3段階(III)において、第2選択器可動接点W2が、隣接した第2巻線タップn+1に接近する。第2切換接点V2の閉鎖中に、すなわち第4段階(IV)において、エネルギー供給が、監視システム7によって監視される。この段階(IV)も、同様に危険な切換状態とみなすことができる。何故なら、当該第2切換接点V2が完全に閉じられていないときに、点弧が発生し、引き続き当該アークが消弧しないおそれがあるからである。電圧が低下すると、すなわちエネルギー供給が減少すると、このことが、当該監視システム7によって検出され、制御装置6内に存在する、既に前もって充電されているコンデンサからのエネルギーを使用して補償される。すなわち、当該第2切換接点V2が完全に閉じられる。第5段階において、すなわち当該第2切換接点V2が、その後に閉じられた後に、いわゆる循環電流Ikが発生する。この切換状態は、危険でない。
【0026】
上記第1切換接点V1の開放前に、すなわち段階(VI)の前に、電圧が、エネルギー供給のために選択された位相線I1,I2,I3に印加されているか否かが検査される。電圧が、エネルギー供給のために選択された位相線I1,I2,I3に印加されていないときは、当該切換工程は実行されず、当該負荷時タップ切換器が、この位置に留まるか、又は、当該タップ付き変圧器の全体が遮断される。第7段階(VII)では、上記第1選択器可動接点W1が、当該隣接した巻線タップn+1に接近する。第8段階(VIII)では、当該第1切換接点V1が閉じられる。監視システム7が、この期間中に電気駆動部5のエネルギー供給を監視する。この期間中に、電圧が低下すると、すなわち当該エネルギー供給が減少すると、このことが、当該監視システム7によって検出され、制御装置6内に存在する、既に前もって充電されているコンデンサからのエネルギーを使用して補償される。最後の段階では、当該切換工程が終了している。
【0027】
第1切換接点V1及び第2切換接点V2が、巻線タップnから次の巻線タップn+1までの負荷時タップ切換器1の切換工程中に危険な切換状態に決してならないことが、本発明の方法によって常に保証される。したがって、タップ付き変圧器2の全体が破壊されることが回避されるだけではなくて、負荷時タップ切換器の切換接点V1及びV2が破壊されることも回避される。当該破壊は、損害の大きい影響をエネルギー供給源に及ぼし得る。
【符号の説明】
【0029】
1 負荷時タップ切換器
2 タップ付き変圧器
3 高電圧側
4 低電圧側
5 電気駆動部
6 制御装置
7 監視システム
8 電圧監視装置
9 電線
L1 位相線
L2 位相線
L3 位相線
I1 位相線
I2 位相線
I3 位相線
X1 第1切換リアクタンス
X2 第2切換リアクタンス
Y ロードダイバータ
V1 第1切換接点、第1真空バルブ
V2 第2切換接点、第2真空バルブ
W1 第1選択器可動接点
W2 第2選択器可動接点