【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の目的は、より客観的であり有意義かつ再現可能な方式で、被覆された平坦な製品の摩耗特性の特徴を描写できるように、冒頭で言及し本明細書でこれより前により詳細に説明したタイプの方法および装置を改善および発展させることである。
【0007】
この目的は、平坦な製品の被覆に粘着ストリップが貼り付けられ、平坦な製品は、粘着ストリップを備えるかまたは粘着ストリップを備える予定の領域で曲げられ、粘着ストリップは曲げの後に、粘着ストリップに付着する被覆の摩耗した材料と一緒に引き離され、粘着ストリップのグレートーンは、摩耗痕を形成する摩耗の幅を横切る方向に縞ごとに判定され、縞ごとに判定されたグレートーンに基づいて、グレー幅は摩耗痕の幅および/または摩耗痕の代表的グレートーンとして判定される、請求項1による方法によって達成される。
【0008】
さらに、その目的は、粘着ストリップに付着する摩耗痕を形成する摩耗の幅を横切る方向に、粘着ストリップおよび/または粘着ストリップの表示のグレートーンを縞ごとに判定する検出ユニット、具体的には、画像処理装置が設けられ、縞ごとに判定されたグレートーンに基づいて、グレー幅を摩耗痕および/または摩耗痕の代表的グレートーンの幅として判定する判定手段が設けられる、請求項17のプリアンブルによる装置によって達成される。
【0009】
好ましくは、粘着ストリップは曲げ動作の前に平坦な製品に貼り付けられるが、貼り付けは後から行われることも可能である。しかし、その場合、粘着ストリップによって摩耗材料が完全には取り上げられないので、全ての摩耗材料が分析を受けるとは限らないという危険が大きくなる。好ましくは、平坦な製品は、曲げた後に平坦化し、その後曲げ戻し、続いて初期の状態に復元することができる。したがって、摩耗はより起こりやすくなる。しかし、粘着ストリップは平坦化する前に既に貼付されているべきである。
【0010】
したがって、本発明によれば、粘着ストリップまたは粘着ストリップに付着する摩耗材料の長手方向の軌跡もしくは痕跡は、全体ではなく縞ごとに検査される。さらに、縞ごとの検査は摩耗痕の幅を横切る方向に行われる。したがって、グレートーンに関する多くの個別の値が摩耗痕を横切る方向に測定され、基本的により正確に評価を実行できると、より多くの縞が摩耗痕を横切る方向に検査される。
【0011】
ここで、個別の縞に関して判定されたグレートーンに基づいて、例えば、摩耗痕に関する代表的グレートーンを判定することができる。この代表的グレートーンは被覆の摩耗特性の指標である。代表的グレートーンが高いほど、被覆がパウダリングを受ける傾向が高くなる。したがって、個別の縞が特に暗く見えるかまたは極端に明るく見えるので、多くの個別の縞を評価することによって、主観的な誤った評価の可能性が低くなる。その代わりに、または代表的グレートーンに加えて、グレー幅、すなわち、被覆の粒子によって生じる摩耗痕の幅は、個別の縞のグレートーンから純粋に客観的に判定することもできる。このように、個別の縞のグレートーンに基づいて、例えば、摩耗痕を横切る方向において摩耗痕が始まる位置および終わる位置、ならびに摩耗痕の正確な幅がより明らかになる。言い換えると、摩耗痕は、被覆された平坦な製品の曲げとは関係なく被覆された平坦な製品に付着する汚れ粒子から、より簡単に識別することができる。
【0012】
実際に必ずしも一様ではないグレートーンが摩耗痕を横切る方向にいくつかの点で単に判定されるものではない場合は、再現性のさらなる改善が実現される。したがって、個別の縞に沿ったグレートーンのばらつきを考慮に入れる代表的グレートーンの判定が実行される。これは、好ましくは、個別の縞に沿ってグレートーンを判定することによって行われる。したがって、1本の縞またはいくつかの縞に沿った個別の非常に暗い部分または非常に明るい部分が摩耗特性の判定を著しく偽造することはない。しかし、縞に沿ってグレートーンを統合すること、またはグレートーンを合計する別の手法を用いることも可能である。
【0013】
さらに、粘着ストリップ上の摩耗痕の個別の縞に沿ったグレートーンが人の眼によって主観的に判定されず、この目的に適した検出ユニットによって判定される場合は、摩耗特性の判定の改善が実現される。このようにして、摩耗痕の評価の客観化が最終的に実現される。例えば、感光性センサがその目的に適している。しかし、評価は画像処理装置を用いて実行することもできる。画像処理装置は、摩耗痕を直接的に評価することもでき、摩耗痕または粘着ストリップの表示を評価することもできる。摩耗痕の直接的な評価の場合は、スキャナによって摩耗痕を走査することができる。その代わりに、摩耗痕の表示を走査することもできるが、これは基本的により複雑でありエラーを受けやすい。例えば、好ましくは既知の画像フォーマットの、摩耗痕または粘着ストリップのデジタル化された記録が、摩耗痕または粘着ストリップの表示として適している。記録は、カメラ、好ましくはデジタルカメラによって生み出すことができる。グレー幅および/または代表的グレートーンを判定する判定手段は、具体的には、グレートーンの評価はソフトウェアを用いて実行するコンピュータ化された判定手段とすることができる。
【0014】
本文脈では、具体的には、縞ごとに測定される摩耗痕のグレートーンの再現可能な比較および/またはグレートーンの再現可能な評価が望ましいことが理解される。したがって、本発明によれば、代表的グレートーンを判定するために、縞ごとに摩耗痕のグレートーンを検出する際にならびに縞ごとに判定されるグレートーンから摩耗痕の全体の代表的グレートーンを判定する際に平均グレートーンを得ることが好ましい。基本的に、縞に沿ったおよび/または摩耗痕を横切る方向に代表的グレートーンを統合するかまたは別の手法で判定することもできる。
【0015】
被覆された平坦な製品は、具体的には、金属、鋼、軽金属および/または平坦な複合製品であり、これらは、例えば、ストリップ、シート材料、ブランクまたはプレートバー材料として存在することができる。平坦な製品は熱間圧延または冷間圧延することができる。さらに、溶融亜鉛めっき鋼の平坦な製品が好ましい。具体的には、ガルバニール処理された鋼シートが好ましい。したがって、摩耗は、好ましくは、亜鉛めっき層の摩耗、具体的には、いわゆるパウダリングである。亜鉛めっき層はさらに、具体的には亜鉛‐鉄層である。
【0016】
被覆された平坦な製品の曲げは、好ましくは、長手方向の曲げ線に沿って平坦な製品をV字形に曲げることによって実行される。このために、平坦な製品は、好ましくは、必要な場合はいくつかの部分に分断された長手方向の曲げ縁部を有する曲げウェッジを用いて曲げられる。次いで、平坦な製品は再度平坦に曲げることができる。
【0017】
粘着ストリップに関しては、摩耗が粘着ストリップにコントラストを形成し、したがって粘着ストリップから十分に明確に区別される場合が好ましい。これに関連して粘着ストリップが実質的に透明である場合が特に好ましい。コントラストを良好にするためには、平坦な製品の初期試料の表面をエタノールによってまたは別の洗浄剤を用いて洗浄することもできる。
【0018】
方法および装置の好ましい実現形態を、明示的に方法と装置とを区別することなく共に本明細書で以下に記述する。しかし、好ましい方法および装置の特徴は当業者には文脈から明らかになるであろう。
【0019】
本発明の第1の好ましい実現形態では、摩耗または摩耗痕の幅方向におけるグレートーンパターンが、測定される縞のグレートーンから作製することが想定される。そのために、装置はグレートーンパターンを作る手段を備える。グレートーンパターンの作製は適切なソフトウェアを用いることで実行することができる。次いで、対応するグレートーンパターンの助けにより、適切に再現可能な方式で、グレー幅は、グレートーンパターン、したがって摩耗痕の幅として判定することができ、かつ/または代表的グレートーンは、グレートーンパターン、したがって、摩耗痕の代表的グレートーンとして判定することができる。
【0020】
さらに、摩耗特性の特徴を描写するための、判定される特性値の再現性および妥当性に関して、グレートーンパターンに基づいて、グレー幅は、グレートーン限界値を超えるグレートーンパターンの幅として判定され、かつ/または代表的グレートーンは、グレートーン限界値を超える全てのグレートーンの代表的グレートーンとして判定される場合が好都合である。このようにして、摩耗のせいではなく、例えば、平坦な製品の検査される試料の汚染によるグレートーンが評価に影響することを概して防止することができる。
【0021】
グレートーン限界値は、これに関連して、手動で、またより具体的には例えば、経験的な特性値の助けによって、予め定めることができる。しかし、好ましくは、グレートーン限界値は、例えば、グレートーン限界値を判定する手段によって評価されるそれぞれのグレートーンパターンに基づいて指定される。これに関連して、グレートーン限界値はグレートーンパターンの勾配の助けによって判定することができる。例えば、グレートーン限界値は、グレートーンパターンに急上昇が見られる値に固定することができる。しかし、基本的に、グレートーン限界値が、評価されるそれぞれのグレートーンパターンに基づいて自動的に、より具体的には、例えば、対応する予め設定された値によるソフトウェアに基づいて判定される場合が好ましい。
【0022】
被覆の摩耗特性の複雑でない特徴描写のために、各縞について代表的な、具体的には平均のまたは統合した縞のグレートーンを判定することが適切である。その代わりに、またはそれに加えて、同じ手順を用いて、例えば個別の縞のグレートーンに基づいて摩耗の縞に関する代表的グレートーンを判定することができる。
【0023】
単純かつ正確であり、かつ好ましくは自動化された、個別の縞のグレートーンの判定は、光度測定によって、より具体的には、好ましくは、直接的に、または画像処理装置によって粘着ストリップのデジタル化された記録の助けによって実行することができる。画像処理装置、および必要な場合は、対応する画像処理のための適切なソフトウェアソリューションが、基本的に従来技術により既に知られており、この点でさらに説明する必要はない。
【0024】
粘着ストリップを評価するために、好ましくはデジタル化された、少なくとも1つの記録を粘着ストリップから生成することができる。そのときに、グレートーンは、その少なくとも1つの記録に基づいて、より具体的には特に本明細書で先に言及したような画像処理装置によって縞ごとに判定することができる。この場合、記録は、好ましくは、透過光または入射光で照明される粘着ストリップから行うことができる。透過光とは、粘着ストリップのうちカメラの反対側を向いた方から粘着ストリップが照明されることを意味する。一方、入射光とは、カメラが粘着ストリップから記録を行うのと同じ側から粘着ストリップの照明が行われることを意味する。
【0025】
評価の質は、基本的に、粘着ストリップからいくつかの記録が取られ、新たな表示のためにコントラストおよび鮮鋭度の深度を改善するようにこれらの記録が重ねられる場合に向上させることができる。これに関連して、記録は異なる照明時間で行うことができ、個別の記録は露出過度および/または露出不足になることがある。その代わりに、またはそれに加えて、一部の記録が透過光の照明によって一部は入射光の照明によって生み出されることから、記録を区別することもできる。
【0026】
その代わりに、またはそれに加えて、粘着ストリップのより正確な評価のために、粘着ストリップは、摩耗の、具体的には摩耗痕の幅を横切る方向にグレートーンを判定するために縞ごとに走査することができる。したがって、この場合、検出されるのは縞全体ではないが、グレートーンの判定が縞に沿って少しずつ行われる。縞ごとの走査は、この場合、必要な場合は市販のスキャナによって実行することができる。市販のスキャナは、粘着ストリップまたは粘着ストリップの表示を縞ごとにまたはスキャナによっては線ごとに走査し、代表的グレートーンを各線に割り当てる。
【0027】
評価の再現性および妥当性を改善するために、グレートーンは、摩耗、具体的には、摩耗痕の幅を横切る方向に少なくとも20の縞、好ましくは少なくとも50の縞、特に少なくとも100の縞から判定することができる。
【0028】
良好な評価結果は、グレートーン限界値が最小グレートーンから最大グレートーンの値の範囲の10%〜40%、好ましくは15%〜35%、特に20%〜30%にある場合に得ることができることも分かっている。例えば、グレートーン判定は、黒の場合の0から純白の場合の255まで延びる目盛りに基づくことができる。この場合、グレートーン限界値が160(37%)と24(6%)との間、好ましくは、170(33%)と220(14%)との間、特に約180(29%)から選択される場合が好ましい。
【0029】
ガルバニール処理された鋼の平坦な製品の場合は、亜鉛めっき被覆の鉄含有量と被覆のパウダリングの傾向との間に関連があり、そのため、パウダリングの傾向が亜鉛めっき被覆の鉄含有量と共に上昇する。これに関連して、基本的に亜鉛めっき被覆がより高い鉄含有量を有するほど、平坦な製品はより強く長く焼なましされる。したがって、被覆された平坦な製品を検査するためにこの関連を用いることが適切なことがあり、グレー幅および/または代表的グレートーンが被覆の鉄含有量に応じて判定される。これは、具体的には、一様のグレートーン限界値に対して、または異なるグレートーン限界値には互いに独立に、行うことができる。したがって、例えば、グレートーン限界値の少なくとも1つの判定された相関性に基づいて、グレートーン限界値が正しそうな結果を導くかどうかを確かめるかまたはチェックすることができる。理想的には、少なくとも1つのグレートーン限界値または特定のグレートーン限界値に関して判定される鉄含有量に対するグレー幅および/または代表的グレートーンおよび/または代表的グレートーンの値の対が、良好な相関性および正しそうな曲線形状を生み出すはずである。
【0030】
好ましくは、平坦な製品の試料の鉄含有量は、被覆された平坦な製品に関して一旦判定された、グレートーン幅および/または代表的グレートーンの鉄含有量に対する依存度に基づいて判定することができ、好ましくは、一様のグレートーン限界値に関してまたは異なるグレートーン限界値については別々に判定されていた。そのときに、それに加えて、グレー幅および/または代表的グレートーンを判定することが単に必要である。したがって、この評価から鉄含有量について結論を出すことも可能になる。そのときにグレー幅および/もしくは平均グレートーンは、またはしかし鉄含有量は直接的に、摩耗特性を判定する量として指定することができる。
【0031】
グレートーン幅および/または代表的グレートーンの鉄含有量に対する依存度および相関性は、異なるグレートーン限界値に関して判定され、このことから、対応する平坦な製品のグレートーン幅および/または代表的グレートーンを判定するために、好ましいグレートーン限界値を得ることができる。この場合、好ましくは、一方のグレー幅および/または代表的グレートーンと他方の鉄含有量との値の対が、できるだけ正しそうでありできるだけこのパターンに良好に相関するパターンを有する、グレートーン限界値が選択される。相関性が不良の場合は、補正曲線によって非常に不正確にしか近似することができない測定値の群が得られる。相関性が良好な場合は、どの測定値も補正曲線、特に補正直線の非常に近くにあり、したがってその補正曲線は測定値の非常に近くに近似する。
【0032】
その代わりに、またはそれに加えて、特定の被覆された平坦な製品に関して、グレー幅および/または代表的グレートーンだけでなく、鉄含有量も、例えば分析的に判定することができる。そのときに、好ましくは、一様のグレートーン限界値のためにまたは異なるグレートーン限界値のために別々に判定され、被覆された平坦な製品のために一旦判定された
、鉄含有量に対す
るグレー幅および/または代表的グレートーンの依存度に基づいて、対応する測定値が、対応する依存度に適合する程度をチェックすることができる。これは、以前に判定された数学的な依存度へのこの値の
組み合わせの相関性に関する特性値によって表現することができる。特性値が示す、以前に判定された依存度からの偏差が大き過ぎる場合は、必要な場合は調整を行わなければならないかまたは新たな較正を実行しなければならない。さらに、好ましくは、特性値は測定ごとに見られないが、その代わりに、過剰な妥当性を個別の線外値に与えないように一定の数の連続する測定が実行される。
【0033】
相関性に関する特性値は、被覆された平坦な製品の摩耗特性の判定に関して、例えば品質保証のために用いることができる。したがって、必要な場合は、十分な正確性および再現性を有して摩耗特性の判定が実行されることを示す証拠を提示することができる。例えば、そのために、特性値は所定の特性値限界と比較することができる。偏差が所定の値より大きい場合は、そのことを提示および/または表示することができる。これは、対応する調整または新たな較正を実行するために機能することができる。その代わりに、またはそれに加えて、判定されたグレー幅および/または代表的グレートーンは、対応する値の大きさが縮小されることを示す追加の情報と組み合わせることもできる。
【0034】
例示的な一実施形態を単に例示する図面の助けにより、図面を参照しながら、本明細書で以下に本発明を詳細に説明する。