(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275279
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】ゾーンベースの照明アクセス
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20180129BHJP
H05B 37/02 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
H05B37/02 C
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-564219(P2016-564219)
(86)(22)【出願日】2015年4月27日
(65)【公表番号】特表2017-514139(P2017-514139A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】EP2015059056
(87)【国際公開番号】WO2015162295
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2016年10月24日
(31)【優先権主張番号】14165925.0
(32)【優先日】2014年4月25日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パンダリパンデ アシシュ ヴィジャイ
(72)【発明者】
【氏名】レルケンス アルマンド ミッシェル マリエ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャンユ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンミン
【審査官】
松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/034720(WO,A1)
【文献】
特開2007−127348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/00−39/10
G01S 5/00− 5/14
H04W 4/02− 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルデバイスの位置を決定するのに用いられる測定結果を受信する入力部であって、前記測定結果は前記モバイルデバイスと複数の基準ノードとの間で送信されるワイヤレス信号の測定結果に対応する、当該入力部と、
前記複数の基準ノードを複数のゾーンにマッピングするローカライゼーションデータベースと、
前記ローカライゼーションデータベース内の前記複数のゾーンのそれぞれについて、各ゾーンの前記複数の基準ノードの前記測定結果の組み合わせに基づいて、代表値を決定し、更に、前記複数のゾーンのうちのどの1つ以上のゾーンに、前記モバイルデバイスが属するのかを直接的に決定するために、前記複数のゾーンの前記代表値を互いに比較するローカライゼーションモジュールと、
複数のランプを前記複数のゾーンにマッピングし、前記ローカライゼーションモジュールから、決定された前記1つ以上のゾーンのそれぞれの1つ以上のインデックスを受信し、受信した前記1つ以上のインデックスに基づいて、照明データベースによって、前記決定された1つ以上のゾーンを前記複数のランプのうちの1つ以上のランプに直接的に関連付ける、前記照明データベースと、
前記照明データベースによって、前記決定された1つ以上のゾーンに関連付けられていることを条件に、前記モバイルデバイスに、前記1つ以上のランプの制御へのアクセスを付与する照明アクセスサービスモジュールと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記照明データベースは、
複数のランプセットを前記複数のゾーンにマッピングし、
前記決定された1つ以上のゾーンを、前記照明データベース内の前記複数のランプセットのうちの1つ以上のランプセットに直接的に関連付ける、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記照明データベースは、前記複数のゾーンと前記複数のランプセットとの間に1対1のマッピングを含み、各ゾーンを対応する1つのランプセットにマッピングし、前記決定された1つ以上のゾーンのそれぞれを、その対応するランプセットに直接的に関連付ける、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記照明データベースは、前記複数のゾーンと前記複数のランプセットとの間の1対1のマッピングに限定されず、前記決定された1つ以上のゾーンのそれぞれを、前記複数のランプセットのうちの対応する1つ以上のランプセットに直接的に関連付ける、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記代表値は、各ゾーンの前記複数の基準ノードの前記測定結果の平均値である、請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記測定結果は、前記ワイヤレス信号の受信信号強度の測定結果を含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記測定結果は、前記ワイヤレス信号の飛行時間測定結果を含む、請求項1乃至6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ローカライゼーションモジュールは、ハード検出を行い、これにより、前記モバイルデバイスは、最大平均信号強度測定結果又は最小平均飛行時間を有するゾーンに属すると決定される、請求項5に従属する請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ローカライゼーションモジュールは、前記モバイルデバイスが前記複数のゾーンのうちの候補ゾーンnに属さない確率に対する前記モバイルデバイスが前記候補ゾーンnに属する確率の対数尤度比に基づくソフト検出を行う、請求項1乃至8の何れか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ローカライゼーションモジュールは、前記モバイルデバイスが経時的に前記複数のゾーン間を移動する際の連続性の尤度に追加的に基づいて前記1つ以上のゾーンを決定する、請求項1乃至9の何れか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ワイヤレス信号は、前記モバイルデバイスから前記複数の基準ノードに送信される、請求項1乃至10の何れか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ワイヤレス信号は、前記複数の基準ノードから前記モバイルデバイスに送信される、請求項1乃至10の何れか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の基準ノードは、専用屋内測位ネットワークのアンカーノードである、請求項1乃至12の何れか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記ローカライゼーションモジュールは、ロケーションサーバ上に実装され、前記ロケーションサーバは、前記決定された1つ以上のゾーンのそれぞれのインデックスを、前記照明データベースに送信する、請求項1乃至13の何れか一項に記載のシステム。
【請求項15】
モバイルデバイスの位置を決定するのに用いられる測定結果を受信するステップであって、前記測定結果は前記モバイルデバイスと複数の基準ノードとの間で送信されるワイヤレス信号の測定結果に対応する、当該受信するステップと、
前記複数の基準ノードを複数のゾーンにマッピングするローカライゼーションデータベースを参照するステップと、
前記ローカライゼーションデータベース内の前記複数のゾーンのそれぞれについて、各ゾーンの前記複数の基準ノードの前記測定結果の組み合わせに基づいて、代表値を決定するステップと、
前記複数のゾーンのうちのどの1つ以上のゾーンに、前記モバイルデバイスが属するのかを直接的に決定するために、前記複数のゾーンの前記代表値を互いに比較するステップと、
前記決定された1つ以上のゾーンのそれぞれの1つ以上のインデックスを照明データベースに送信するステップであって、前記照明データベースは、受信した前記1つ以上のインデックスに基づいて、前記照明データベースによって、前記決定された1つ以上のゾーンを1つ以上のランプに直接的に関連付ける、前記ステップと、
前記照明データベースによって、前記決定された1つ以上のゾーンに関連付けられていることを条件に、前記モバイルデバイスに、前記1つ以上のランプの制御へのアクセスを付与するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
通信ネットワークからダウンロード可能であり、並びに/又は、コンピュータ可読及び/若しくは実行可能な媒体上に記憶され、請求項15に記載の方法を実施するためのプログラムコード命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モバイルデバイスが照明を制御することを可能にし、当該モバイルデバイスに、当該モバイルデバイスの位置に応じて、サービスへのアクセスを付与する、当該サービスに関する。
【背景技術】
【0002】
屋内測位システムにおいて、モバイルユーザ端末といったワイヤレスデバイスの位置は、その位置が分かっている複数のワイヤレス基準ノードを含むロケーションネットワークに対して決定できる。これらの位置は、通常、ロケーションデータベースに記録される。ロケーションデータベースは、ノードの位置を調べるために問い合わせされる。これらのワイヤレスノードは、アンカーノードと呼ばれる。例えば各信号のRSSI(受信信号強度インジケータ)、ToA(到着時刻)及び/又はAoA(到来角)である、モバイルデバイスと複数のアンカーノードとの間で送信される信号(通常、RF信号)の測定が行われる。3つ以上のノードからこのような測定が与えられると、三辺測量、多辺測量又は三角測量といった技術、及び/又は、フィンガプリントベースの技術(現在の測定結果を、環境全体の既知の位置において先にサンプリングされた測定結果の「フィンガプリント」と比較する)を使用して、モバイル端末の位置が、ロケーションネットワークに対して決定される。モバイル端末の相対的位置とアンカーノードの既知の位置とが与えられると、今度は、モバイルデバイスの位置が、より絶対的に、例えば地球、地図又はフロアプランに対して決定できる。
【0003】
屋内測位に加えて、衛星のネットワークが基準ノードの役割を果たすGPS又は他の衛星ベースの測位システムといった他のタイプの測位システムも知られている。複数の衛星からの信号測定とこれらの衛星の位置の情報とが与えられると、モバイルデバイスの位置が、同様の原理に基づいて決定される。
【0004】
米国特許出願公開第2014/0106735号は、ポータブル電子デバイスが外部デバイスと通信して場所が決定される方法及びシステムについて開示している。ポータブル電子デバイスは、その場所が決定されると、この情報及び特定情報を、制御プロセッサに送信する。制御プロセッサは、場所及び特定情報に応じて、1つ以上の被制御可能なデバイスを制御する。ポータブル電子デバイスは、NFCタグを介して、又は、Bluetooth(登録商標)4.0プロトコルに従って情報を送信する1つ以上のRFビーコンを介して場所を決定する。
【0005】
デバイスの位置の決定は、「デバイス中心」アプローチ又は「ネットワーク中心」アプローチに従って行われる。デバイス中心アプローチでは、各基準ノードが、ビーコン又はビーコニング信号と呼ばれる各信号を出す。モバイルデバイスが、アンカーノードから受信する信号の測定を行い、これらのノードの位置を、ロケーションサーバから入手し、モバイルデバイス自体において、自身の位置を決定するために計算を行う。一方で、ネットワーク中心アプローチでは、アンカーノードを使用して、モバイルデバイスから受信した信号の測定を行い、ロケーションサーバといったネットワークの要素が、モバイルデバイスの位置を決定するために計算を行う。例えばモバイルデバイスが未加工の測定を行うが、その位置を計算するために、それらをロケーションサーバに転送するハイブリッド又は「支援型」アプローチも可能である。
【0006】
屋内環境におけるユーザ位置に関する情報に基づき、様々なロケーションベースのサービスが提供される。測位システムの1つの応用は、ワイヤレスモバイルデバイスが照明又は他のユーティリティに関連付けられている特定の空間領域又はゾーン内にあることが分かることを条件として、当該ワイヤレスモバイルデバイスに、照明システムといったユーティリティの制御へのアクセスを自動的に提供することである。例えばワイヤレスユーザデバイスが部屋の中にあることが分かり、アクセスをリクエストすることを条件として、当該ワイヤレスユーザデバイスに、当該部屋の照明の制御へのアクセスが提供される。ワイヤレスユーザデバイスの位置が特定され、有効領域内にあると決定されると、照明制御ネットワークを介して、当該デバイスに制御アクセスが提供される。
【0007】
照明システムにおける接続性及びインテリジェンスを拡大させる傾向がある。したがって、ワイヤレスにネットワーク接続された照明システムは、照明システムのより簡単なコミッショニング及び制御という要望において重要な役割を果たす。結果として、アンカーノードが高密度で配置される。例えば1つのランプあたりに1つのワイヤレスノード又は室内のランプのグループに対し1つのワイヤレスノードで配置される。
【0008】
サービスアクセスのための従来の測位ベースのシステムでは、モバイルデバイスの位置は、座標で表されるアンカーノードの位置の情報に基づき、ロケーションネットワークによってその座標が計算される。この場合、アンカーノードの位置は、合理的な精度で、即ち、数十センチメートルのオーダーで分かっていなければならない。ロケーションネットワークは、次に、計算された位置座標を、コミッショニングデータベースと呼ばれるマップデータベースに伝える。制御アクセスは、2通りで提供される。1つの態様では、計算された位置の特定の半径内にあるランプを制御するためのアクセスが提供される。この場合、ランプの座標が、合理的な精度で、即ち、数十センチメートルのオーダーで、コミッショニングデータベースにおいて分かっている必要がある。或いは、デバイスの位置は、ゾーンに変換され、モバイルデバイスは、当該ゾーンに対応するランプのセットへのアクセスが提供される。この場合でも、ゾーンの物理的な境界が、合理的な精度で、明らかに分かっている必要があり、モバイルデバイスの位置は、その座標について、ゾーンの規定された境界と比較される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば照明ネットワークの既存のコミッショニング処理とのより単純な統合を可能にし、及び/又は、1つのランプあたりに1つのノードといったように、基準ノードの密度が増加しても複雑さを減少させる、上記のような精度を必要としないシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示される1つの態様によれば、モバイルデバイスと複数の基準ノードとの間で送信されるワイヤレス信号の測定結果を受信する入力部と、複数の基準ノードを複数のゾーンにマッピングするローカライゼーションデータベースと、ローカライゼーションモジュールとを含むシステムが提供される。実施形態では、基準ノードは、少なくとも、それらの位置に関する情報が入手可能である点で、アンカーノードと呼ばれてもよい。しかし、それらの位置は、必ずしも座標ではない。例えば基準ノードは、専用屋内測位システムのアンカーノードであってよい。測定は、(ネットワーク中心の場合は)モバイルデバイスからノードに送信される信号に対して行われ、(デバイス中心の場合は)ノードからモバイルデバイスに送信される信号に対して行われる。実施形態では、ローカライゼーションモジュールは、ロケーションサーバ上に実装される。
【0011】
ローカライゼーションモジュールは、ローカライゼーションデータベース内の複数のゾーンのそれぞれについて、各ゾーンの複数の基準ノードの測定結果の組み合わせに基づいて、代表値(例えば平均受信信号強度)を決定する。ローカライゼーションモジュールは次に、複数のゾーンのうちのどの1つ以上のゾーンに、(例えばどのゾーンが最大平均信号強度を有するのかに基づいて)モバイルデバイスが属するのかを直接的に決定するために、複数のゾーンの代表値を互いに比較する。ここでは、「直接的に決定する」とは、中間ステップとして、モバイルデバイスの座標系を計算することや、ゾーンの境界を参照することなく、ということを意味する。つまり、ゾーンの境界に対するモバイルデバイスの座標を評価することなく、ということを意味する。
【0012】
システムは更に、複数のランプを複数のゾーンにマッピングする照明データベースを含む。照明データベースは、ローカライゼーションモジュールから(例えばロケーションサーバから)照明データベースに送信される、1つ以上の決定されたゾーンのそれぞれの1つ以上のインデックスを受信する。照明データベースは、受信した1つ以上のインデックスに基づいて、1つ以上の決定されたゾーンを、照明データベース内の複数のランプのうちの1つ以上のランプに直接的に関連付ける。ここでは、「直接的に決定する」とは、中間ステップとして、ランプの座標にも、ゾーンの境界にも参照することなく、ということを意味する。つまり、ゾーンの境界に対するランプの座標を評価することなく、ということを意味する。
【0013】
照明アクセスサービスモジュールが、データベースから1つ以上のランプの指示を受信し、照明データベースによって、1つ以上の決定されたゾーンに関連付けられていることを条件に、モバイルデバイスに、これらの1つ以上のランプの制御へのアクセスを付与する。
【0014】
開示されるゾーンベースのサービスアクセスシステムの従来の位置ベースのアクセスシステムと比較した場合の利点は、前者は、粗い測位情報(例えば数メートル)しか必要としない一方で、後者は、位置及びマップのきめ細かく正確な物理的な指定(例えば数十センチメートルのオーダー)を必要とする点である。したがって、開示されるシステム及び方法は、例えば光コミッショニングデータベースが、どのランプがどの照明ゾーンに属するかのマッピングを含む(が必ずしもランプの正確な位置は含まない)従来の認定照明システムと共に作動することができる。
【0015】
実施形態では、照明データベースは、複数のランプセットを複数のゾーンにマッピングし、照明データベースによって、1つ以上の決定されたゾーンを、複数のランプセットのうちの1つ以上のランプセットに直接的に関連付ける。
【0016】
照明データベースは、複数のゾーンと複数のランプセットとの間に1対1のマッピングを提供し、各ゾーンを対応する1つのランプセットにマッピングし、1つ以上の決定されたゾーンのそれぞれを、その対応するランプセットに直接的に関連付ける。
【0017】
或いは、照明データベースは、複数のゾーンと複数のランプセットとの間の1対1のマッピングに限定される必要はなく、1つ以上の決定されたゾーンのそれぞれを、複数のランプセットのうちの対応する1つ以上のランプセットに直接的に関連付けてもよい。
【0018】
実施形態では、代表値は、各ゾーンの複数のノードの測定結果の平均値(例えば測定結果の平均値(mean))である。測定結果は、ワイヤレス信号の受信信号強度の測定結果、又は、飛行時間といった距離に関連する特性を含む。
【0019】
更なる実施形態では、ローカライゼーションモジュールは、ハード検出を行い、これにより、モバイルデバイスは、最大平均信号強度測定結果又は最小平均飛行時間を有するゾーンに属すると決定される。
【0020】
或いは、ローカライゼーションモジュールは、モバイルデバイスが複数のゾーンのうちの候補ゾーンnに属さない確率に対するモバイルデバイスが候補ゾーンnに属する確率の対数尤度比に基づくソフト検出を行ってもよい。
【0021】
更に別の実施形態では、ローカライゼーションモジュールは、モバイルデバイスが経時的に複数のゾーン間を移動する際の連続性の尤度に追加的に基づいて1つ以上のゾーンを決定する。
【0022】
本明細書に開示される別の態様によれば、モバイルデバイスと複数の基準ノードとの間で送信されるワイヤレス信号の測定結果を受信するステップと、複数の基準ノードを複数のノードにマッピングするローカライゼーションデータベースを参照するステップと、ローカライゼーションデータベース内の複数のゾーンのそれぞれについて、各ゾーンの複数のノードの測定結果の組み合わせに基づいて、代表値を決定するステップと、複数のゾーンのうちのどの1つ以上のゾーンに、モバイルデバイスが属するのかを直接的に決定するために、複数のゾーンの代表値を互いに比較するステップと、1つ以上の決定されたゾーンのそれぞれの1つ以上のインデックスを、照明データベースに送信するステップであって、照明データベースは、受信した1つ以上のインデックスに基づいて、照明データベースによって、1つ以上の決定されたゾーンを1つ以上のランプに直接的に関連付ける、上記ステップと、照明データベースによって、1つ以上の決定されたゾーンに関連付けられていることを条件に、モバイルデバイスに、1つ以上のランプの制御へのアクセスを付与するステップとを含む方法が提供される。
【0023】
本明細書に開示される別の態様によれば、ロケーションサーバ上で実行される場合に、ローカライゼーションモジュールの動作を行う対応するコンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の理解を助けるために、また、実施形態を具体化する態様を示すために、例として添付図面を参照する。
【0025】
【
図1】
図1は、屋内測位システムを含む環境の概略図である。
【
図2】
図2は、位置に依存して照明の制御を可能にするシステムの概略ブロック図である。
【
図3】
図3は、照明の制御にゾーンベースのアクセスを提供するシステムの概略図である。
【
図4】
図4は、ランプが組み込まれたアンカーノードの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下は、ゾーンベースの測位システムを提供し、サービスアクセスのための様々なシステムブロック間のシグナリング相互作用について説明する。
【0027】
図1は、本開示の実施形態による環境2内に設置される測位システムの一例を示す。環境2は、例えば家、オフィス、店舗フロア、ショッピングモール、レストラン、バー、倉庫、空港、駅等の1つ以上の部屋、廊下若しくはホールを含む屋内空間、庭、公園、通り若しくはスタジアムといった屋外空間、見晴らし台、パゴダ若しくは入口のひさしといった覆いのある空間、又は、車両内部といった任意の他のタイプの囲まれた、開放された又は部分的に囲まれた空間を含む。例示として、
図1の例では、問題の環境2は、建物の内部空間を含む。
【0028】
測位システムは、アンカーノード6の形の複数の基準ノードを含むロケーションネットワーク4を含む。各アンカーノードは、測位システムが動作する環境2内の異なる各固定位置に設置される。例示のために、
図1は、所与の部屋内のアンカーノード6しか示さないが、当然ながら、ロケーションネットワーク4は更に、例えば1つの建物若しくは複合施設の全体に、又は、複数の建物若しくは複合施設に亘って広がっていてもよい。実施形態では、測位システムは、(1つ以上の建物内の)屋内に置かれる少なくとも幾つかのアンカーノード6を含む屋内測位システムである。実施形態では、この屋内測位システムは、アンカーノード6が屋内のみに置かれる完全に屋内の測位システムである。しかし、他の実施形態では、ロケーションネットワーク4が、屋内及び/又は屋外まで広がり、例えばキャンパス、通り又は建物間の空間を覆う広場といった屋外空間に置かれるアンカーノード6を含むことも排除されない。
【0029】
更に別の実施形態では、基準ノード6は、その位置が分かるのであれば、必ずしも固定位置に設置されなくてもよい、又は、屋内測位システムの専用アンカーノードでなくてもよい。例えば基準ノードは、WLANのアクセスポイント12であっても、測位の副次目的に使用されるセルラ目的の基地局であっても、又は、既に位置が特定されている他のモバイルデバイスであってもよい。以下は、屋内測位システム等のアンカーノードである基準ノード6に関して説明されるが、当然ながら、これは、すべての可能な実施形態において必ずしもそうである必要はない。更に、本開示は、ワイヤレスラジオに関して説明されるが、開示される技術は、可視光、超音波又は他の音波等といった他のモダリティにも適用可能である。
【0030】
環境2は、ワイヤレスデバイス8を自分自身が持っている(例えばバッグ又はポケット内で運ばれる又はにある)ユーザ10によって使用される。ワイヤレスデバイス8は、スマートホン若しくは他のモバイルホン、タブレット又はラップトップコンピュータといったモバイルユーザ端末の形を取る。所与の時間において、モバイルデバイス8は、ロケーションネットワーク4を使用して決定される現在の物理的位置を有する。実施形態では、モバイルデバイス8の位置は、ユーザ10の位置と実質的に同じであると見なされ、モバイルデバイス8の位置を決定する際、実際に関心があるのは、ユーザ10の位置である。別の例は、追跡される人又は物体の周囲に配置される(例えば物体に取り付けられる又は物体の中に配置される)モバイル追跡デバイスである。例としては、車若しくは他の車両、又は、包装用の箱、ボックス若しくは他の容器が挙げられる。以下は、モバイルユーザデバイスに関して説明されるが、当然ながら、これは、すべての実施形態において必ずしも限定されるわけではなく、最も一般的には、デバイス8は、様々な位置又はまだ分かっていない決定されるべき位置において見つけられる可能性を有する任意のワイヤレスデバイスである。更に、モバイルデバイス8の位置は、関連のユーザ10、即ち、モバイルデバイス8がその周囲に配置される人又は物体の位置と区別しないで言及される。
【0031】
図1及び
図2を参照するに、環境2は更に、(1つ以上のサイトにおける1つ以上のサーバユニットを含む)ロケーションサーバ14との通信を可能にする少なくとも1つのワイヤレスアクセスポイント又はルータ12を含む。1つ以上のワイヤレスアクセスポイント12は、各アンカーノード6が、少なくとも1つのそのようなアクセスポイント12のワイヤレス通信範囲内にあるように配置される。以下は、1つのアクセスポイント12に関して説明されるが、当然ながら、実施形態において、環境2全体に分布する1つ以上のアクセスポイント12及び/又はワイヤレスルータを使用して同じ機能が実施可能である。ワイヤレスアクセスポイント12は、ローカル有線若しくは無線ネットワークを介してといったようにローカル接続を介して、又は、インターネットのようにワイドエリアネットワーク若しくは相互接続ネットワークを介して、ロケーションサーバ14に結合される。ワイヤレスアクセスポイント12は、Wi−Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)又はBluetooth(登録商標)といった短距離無線アクセス技術に従って動作する。各アンカーノード6は、当該技術を使用して、アクセスポイント12を介して、したがって、ロケーションサーバ14とワイヤレス通信することができる。或いは、アンカーノード6がロケーションサーバ14と有線接続されることも排除されないが、以下は、アクセスポイント12等を介するワイヤレス接続に関して説明される。
【0032】
モバイルデバイス8も、例えばWi−Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)又はBluetooth(登録商標)である関連の無線アクセス技術を使用して、ワイヤレスアクセスポイント12を介して通信し、これにより、ロケーションサーバ14と通信する。これに代えて又は加えて、モバイルデバイス8は、1つ以上の3GPP規格に従って動作するネットワークといったワイヤレスセルラネットワークといった他の手段を介して、ロケーションサーバ14と通信する。更に、モバイルデバイス8は、たまたま範囲内にあるどのアンカーノード6ともワイヤレス通信することができる。実施形態では、この通信は、アクセスポイント12と通信するために使用された無線アクセス技術(例えばWi−Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)又はBluetooth(登録商標))と同じ無線アクセス技術を介して実施されるが、これは、すべての可能な実施形態において、必ずしもそうであるとは限らない。例えばアンカーノード6は、何らかの専用位置特定無線技術を用いて、モバイルデバイス8にブロードキャストする。
【0033】
一般に、以下に説明される通信はいずれも、上記オプション又は各エンティティ6、8、12、14間の通信のための他のオプションの何れかを使用して実施されるが、簡潔さのために、様々な可能性について、毎回、必ずしも繰り返さない。
【0034】
アンカーノード6とモバイルデバイス8との間の信号は、その測定結果が、モバイルデバイス8の位置を決定するために使用される信号である。デバイス中心アプローチでは、各アンカーノード6が、信号をブロードキャストし、モバイルデバイス8が傾聴し、現在、範囲内にあると分かる1つ以上のアンカーノードを検出し、各アンカーノードの信号測定を行う。各アンカーノード6は、その信号を繰り返し、例えば周期的に(一定間隔で)ブロードキャストする。検出された各アンカーノード6からの信号に行われる測定は、例えば信号強度(例えばRSSI)、飛行時間(ToF)、到来角(AoA)及び/又は距離若しくは位置によって変化する任意の他の特性の測定を含む。
【0035】
ネットワーク中心アプローチでは、モバイルデバイス8が、信号をブロードキャストし、アンカーノード6が傾聴し、現在、範囲内にあるアンカーノード6のうちの1つ以上における信号のインスタンスを検出する。この場合、モバイルデバイス8が、その信号を繰り返し、例えば周期的に(一定間隔で)ブロードキャストする。モバイルデバイス8からの信号の各インスタンスに行われる測定は、信号強度(例えばRSSI)、飛行時間(ToF)、到来角(AoA)及び/又は距離若しくは位置によって変化する任意の他の特性の測定を含む。ハイブリッドアプローチの一例では、アンカーノード6が測定を行うが、測定結果を、モバイルデバイス8に送信する。
【0036】
上記測定が開始され行われるやり方は、様々なオプションがある。例えばモバイルデバイスが、測定がそれに基づく伝送を開始しても、ネットワークが、当該伝送を開始してもよい。両方が可能であるが、残りの処理、特に飛行時間の測定がどのように実施されるかに何らかの影響を与える。
【0037】
飛行時間測定は、1方向伝送遅延又は2方向伝送遅延(往復時間(RTT))を確立することによって得られる。ネットワークにおけるすべての関連要素が同期されたクロックを有するか又は共通のクロックを基準とすることができる場合、1方向遅延の測定で十分である。この場合、モバイルデバイス8が、伝送のタイムスタンプ(時間又は時間+日付)(また、好適には、例えば不正アクセスを得るべく、悪意のある関係者がリプレーアタックを行う又は偽のメッセージ時間を提供することを阻止するためにメッセージ内容にかけるメッセージハッシュ)をメッセージに追加しつつ、単一のメッセージ伝送で測定を開始する。その一方で、測定が、同期されたクロック又は共通のクロックに基づかない場合、アンカー又は基準ノード6は、モバイルデバイス8から個々のメッセージを戻し、往復飛行時間を決定することによって、依然として測定を行うことができる。後者は、測定を試みるノードからの調整が伴う場合がある。
【0038】
信号強度測定の場合は、これを実施するのも様々なオプションがある。信号強度からの距離の決定は、発信源と目的地との間、この場合は、モバイルデバイス8とアンカー又は基準ノード6との間の空間に亘る信号強度の減少に基づく。これは、例えば受信した信号強度の、伝送された信号強度の事前情報(即ち、ノード6又はモバイルデバイス8が常に所与の強度で伝送することが分かっている又は想定される場合)との比較、信号自体に埋め込まれる伝送された信号強度の指示との比較、又は、別のチャネルを介して(例えばロケーションサーバ14を介して)ノード6若しくはノード6の測定を行うデバイス8に通信される伝送された信号強度との比較に基づく。
【0039】
これらのアプローチ若しくは他のアプローチの何れか1つ又は組み合わせが、本明細書に開示されるシステムと共に適用可能である。どのアプローチが選択されても、複数のアンカーノード6から又はそれぞれにおいて、上記信号測定結果が利用可能となると、今度は、ロケーションネットワーク4に対するモバイルデバイス8の位置に関する決定を行うことができる。
【0040】
ネットワーク中心アプローチでは、アンカーノード6が、モバイルデバイス8から受信した信号の測定を行い、これらをロケーションサーバに転送する。ロケーションサーバ14は、すぐにより詳細に説明されるように、これらの測定結果を使用して、モバイルデバイス8の近似位置を決定するロケーションモジュール15を含む。或いは、デバイス中心アプローチでは、モバイルデバイス8が、アンカーノード6から受信した信号の測定を行い、ロケーションモジュール15は、モバイルデバイス8に組み入れられる。支援型アプローチも可能であり、例えばモバイルデバイス8が測定を行うが、測定結果を、ロケーションサーバ14上のロケーションモジュール15に転送する。又は、反対に、ノードが測定を行うが、測定結果を、モバイルデバイス8上のロケーションモジュール15に転送する。なお、
図2は、様々なデバイス中心アプローチ、ネットワーク中心アプローチ及び支援型アプローチの可能性を例示するために、あらゆる方向における矢印を示すが、任意の所与の実施態様では、図示されるすべての通信が必ずしも双方向性である必要も、又は、存在している必要もない。
【0041】
どのアプローチが使用されても、この位置は、今度は、モバイルデバイス8が、ロケーションベースのサービスへのアクセスが付与されるのかどうかを評価するために使用される。このために、モバイルデバイス8の位置に依存して、サービスへのアクセスを条件付きで付与するサービスアクセスシステム16が提供される。ネットワーク中心アプローチでは、ロケーションサーバ14が、モバイルデバイス8の決定された位置を、例えばローカル有線又は無線ネットワーク、及び/又は、インターネットといったワイドエリアネットワーク若しくは相互接続ネットワークを介する接続を介して、サービスアクセスシステム16に提出する。サービスアクセスシステム16は、当該位置を評価し、当該位置がサービスの規定(又はたまたま実施されている任意の他のアクセスルール、例えばユーザ10の身元を検証すること)と整合していることを条件に、モバイルデバイス8に関連の領域におけるサービスへのアクセスを付与する。デバイス中心アプローチでは、モバイルデバイスが、その決定された位置を、ワイヤレスアクセスポイント12又はセルラ接続といった他の手段を介する接続を介して、サービスアクセスシステム16に提出する。或いは、ロケーションサーバ14が、位置をモバイルデバイス8に送信し、モバイルデバイスが、その位置を順にサービスアクセスシステム16に転送してもよい。
【0042】
サービスアクセスシステム16は、環境2内に設置される又は配置される照明ネットワークへのアクセスを制御する。環境2は、複数のランプと、サービスアクセスシステム16を含む照明制御システムとを含む。なお、ランプは、ここでは、LEDベースのランプ又はガス放電ランプといった任意の照明器具を指し、従来のフィラメント電球に限定されない(しかし、当然ながら、従来のフィラメント電球もオプションの1つである)。ランプは、例えば天井及び/又は壁に設置されていても、及び/又は、1つ以上の独立型ユニットを含んでもよい。
【0043】
図4を参照するに、実施形態では、各アンカーノード6は、
図1において6と番号が付される各ユニットが実際には各ランプ6’に組み入れられる又は同じ場所に置かれるアンカーノード6に相当するように、1つのランプあたりに1つのアンカーノード6で、各ランプ6’と同じユニット又は固定具6’’に組み入れられるか、又は、実質的に同じ場所に配置される。しかし、これは、必ずしもすべての実施形態にそうでなくてよく、別個のアンカーアノードとランプとを有し、必ずしも互いに同じ数でなくてもよい他の構成も使用可能である。
【0044】
ランプ6’は、モバイルデバイス8からの照明制御コマンドを受信する。実施形態では、これは、アンカーノード6及び/又はモバイルデバイス8がワイヤレスアクセスポイント12と通信するために使用する無線アクセス技術、及び/又は、例えばWi−Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)又はBluetooth(登録商標)である位置測定を行うために、モバイルデバイス8とアンカーノード6との間で信号を通信するために使用される無線アクセス技術と同じ無線アクセス技術を使用して、ワイヤレスアクセスポイント12を介して達成される。或いは、モバイルデバイス8は、ランプ6’と、例えば別個の有線又は無線ネットワークといった他の手段によって通信してもよい。何れにせよ、照明コントローラのサービスアクセスシステム16は、モバイルデバイス8がランプ6’を制御することが可能にされるか否かを制御するために、また、可能にされる場合は、どのランプを制御することが可能にされるかを制御するために、1つ以上の位置依存制御ポリシで構成される。例えば1つの制御ポリシは、ユーザ10が、特定のゾーン(例えば部屋又は部屋の中の領域)内にある光源を制御するために、ユーザのモバイルデバイス8を、当該ゾーン内又は特定の規定される付近のゾーン内にあることが分かった場合にのみ、使用できると規定する。実施形態では、モバイルデバイス8は、そのコマンドを、サービスアクセスシステム16を介して送信する。サービスアクセスシステム16は、それらを関連のランプ6’に、これらのランプへのアクセスが付与されている場合にのみ、転送する。或いは、モバイルデバイス8は、そのコマンドを、ランプ6’又は関連の照明コントローラに直接送信し、サービスアクセスシステム16は、ランプ6’又はコントローラに、コマンドに応じるかどうかを指示してもよい。
【0045】
図3は、ゾーンベースの測位システムの簡略化されたブロック図を示す。測位情報が関心の対象である水平のユーザ平面は、複数のゾーンに論理的に分割される。例えば図示される例では、ゾーンi、ii、iii、ivに分割される。これらのゾーンは、例えばこれらのゾーンを特定の用途又はサービスに合わせることによって画成されても、一般的に画成されてもよい。
【0046】
以下は、ロケーションネットワークが、モバイルデバイス8の位置を、座標ではなく、ゾーンという粗い精度でのみ決定し、これを、モバイルデバイスの座標をゾーンの境界に比較することなく、どのランプ6’についてモバイルデバイス8が制御することが許可されているのかに関する決定に、直接的に解釈する構成について説明する。
【0047】
このために、ロケーションサーバ14は、アンカーノードのゾーンへのマッピングの情報で構成される。ロケーションサーバ14は、各アンカーノード6の識別子を、当該ノードが属する対応する1つ以上のゾーン(ゾーンは重なり合ってもよい)にマッピングするロケーションデータベース20を含む。ステップ100において、ローカライゼーションモジュール15は、(ネットワーク中心の場合は)ノード6から、又は、(デバイス中心の場合は)モバイルデバイス8から信号測定結果を受信する。ローカライゼーションモジュール15は、次に、これらの信号測定結果を、ロケーションデータベース20と連動して使用し、モバイルデバイスがどのゾーンに明白に属しているのかを決定する。ここでは、「属する」とは、モバイルデバイス8がどのゾーン内にあるか、又は、どのゾーンに最も近いのかを意味する。
【0048】
このために、ローカライゼーションモジュール15は、各ゾーンのアンカーノード6の信号測定結果に基づいて、代表測定結果を決定する。つまり、各ゾーンについて、ローカライゼーションモジュール15は、(ネットワーク中心の場合は)当該ゾーンに属するアンカーノード6において、又は、(デバイス中心の場合は)当該ゾーンの属するアンカーノード6から受信される信号に基づき、代表測定結果を計算する。代表測定結果は、当該ゾーンにおけるノード6のすべての信号測定結果の組み合わせ、例えば平均値(mean)といった平均、例えば平均信号強度若しくは飛行時間、又は、当該ゾーンにおけるノード6の代表セクションの組み合わせ、例えば最大信号強度又は最小飛行時間を有する信号のセレクションの平均であってよい。これらの代表測定結果は、どのゾーン(又はどの複数のゾーン)に、モバイルデバイス8があるように又は最も近いように見えるかを決定するために比較される。
【0049】
アンカーノードのゾーンへのマッピングを使用して信号測定結果を処理すると、ローカライゼーションモジュール15は、したがって、モバイルデバイス8が、特定のセットSAに含まれるインデックスを有する1つ以上のゾーンに属することを決定する。ステップ200において、1つ以上の決定されたゾーンの1つ以上のインデックスは、コミッショニングマップデータベース19に、モバイルデバイス8の識別子IDxと共に伝えられる。
【0050】
コミッショニングデータベース19は、ランプ6’のゾーンへのマッピング、好適には、所与のゾーンにおける照明を決定するランプ6’のセットを有する照明データベースである。コミッショニングデータベース19は、したがって、セットSLによってインデックスが付けられる、どのランプ6’が、ローカライゼーションモジュール15によって当該セットに対して示される決定されるゾーンに対応するかを決定する。即ち、セットSAに基づいて、コミッショニングデータベース19は、それに対して、デバイスIDxを有するユーザに制御アクセスが提供されるランプインデックスのセットSLを決定する。ステップ300において、セットSLは、次に、コミッショニングデータベース19から照明サービスアクセスブロック16に示され、これに応えて、ステップ400において、照明アクセスサービス16は、デバイスIDxに、これらのランプを制御するアクセスを提供する。
【0051】
図3のための例示的なマッピングは、次の通りである(ここでは、1つのアンカーノード6a〜6lあたりに1つのランプを想定する)。
【表1】
【0052】
例えばロケーションサーバ14上のローカライゼーションモジュール15は、モバイルデバイスが、ゾーンiiに属すると決定したとする。ステップ200において、ローカライゼーションモジュール15は、ゾーンiiのインデックスと、モバイルデバイス8の識別子IDxとを、ロケーションサーバ14からコミッショニングデータベース19に送信する。コミッショニングデータベース19は、ゾーンiiにマッピングされているランプ{6b、6c、6d、6e}を調べ、ステップ300において、これらのランプのインデックスを、モバイルデバイス8の識別子IDxと共に、アクセスサーバ16上の照明制御サービスに送信する。ステップ400において、照明アクセスサービス16は、識別子IDxによって識別されるモバイルデバイス8に、示されるランプ{6b、6c、6d、6e}(及びこれらのランプのみ)の制御へのアクセスを付与する。
【0053】
なお、実施形態では、アンカーノード6は、2つ以上のゾーンに属する場合もある。更に、実施形態では、アンカーノード6がランプと同じ場所に設置されていない場合、セットSLは、(上記マッピング例とは異なり)必ずしもセットSAと同じではない。
【0054】
1つの特定の実施形態では、各ゾーンは、当該ゾーンの共通照明コントローラを共有するランプ6’によって画成される。即ち、1つのゾーンのランプのセットは、交通の照明コントローラを共有し、別のゾーンのランプのセットは、別の照明コントローラを共有する。
【0055】
更に、どのゾーン(又はどの複数のゾーン)にモバイルデバイス8が属するかを決定するために、信号測定結果を処理する可能な実施形態は、幾つかある。
【0056】
第1のこのような実施形態では、ゾーンを決定するために、ハード検出が使用される。つまり、ローカライゼーションモジュール15は、様々なゾーンについての平均信号強度(例えばRSSI)を比較し、最大平均信号強度を有するゾーンが、モバイルデバイス8が属していると決定されるゾーンと見なされる。例えば
図3の例では、アンカーノード6c〜6eの平均RSSIが他の組み合わせよりも高いと決定される場合に、ゾーンiiが選択される。或いは、最小飛行時間を有するゾーンを探すことも可能である。
【0057】
代替案は、対数尤度比に基づくソフト検出を使用することである。つまり、ローカライゼーションモジュール15は、モバイルデバイス8が上記ゾーンのうちの1つの候補ゾーンnに属さない確率に対するモバイルデバイス8が候補ゾーンnに属する確率の対数尤度率に基づき、ソフト検出を行う。例えばローカライゼーションモジュール15は、各候補ゾーンnについて、対数尤度比:
log[Pr(zone=n|RSSI)/Pr(zone\neq_n|RSSI)]
を計算する。ただし、Pr(zone=n|RSSI)は、受信した信号強度の所与のセットについて、モバイルデバイス8がゾーンnにある確率であり、Pr(zone\neq_n|RSSI)は、受信した信号強度の同じ所与のセットについて、モバイルデバイス8がゾーンnにない確率である。様々なゾーンにおけるRSSIの確率分布が、例えば事前フィンガプリント及び/又はクラウドソースデータ(即ち、環境全体の様々な位置においてどのような信号強度が経験されたかに関する先に収集されたレポートのセット−位置特定のためのフィンガプリント技術自体は当技術分野において知られている)を使用して集められる。したがって、リアルタイムで、Pr(RSSI|zone=n)が得られる。次に、ベイズ(Bayes)の法則を適用し、ユーザも同等に任意のゾーンにいる可能性があると想定することによって、対数尤度率が得られる。しかし、あるゾーンにある/いる確率が分かる又は推定されると、即ち、ユーザが、特定の瞬間において、ゾーンnにいる(Pr(|zone=n))と分かる又は推定されると、この情報又は推定値を、ユーザは等しい確率で任意のゾーンにいるという仮定を用いることなく、追加で使用することができる。
【0058】
次に、ロケーションモジュール15は、様々な候補ゾーンnについての対数尤度比を比較し、最も高い対数尤度比を有するゾーンを、モバイルデバイスがその中にあると決定されるゾーンとして選択する。或いは、ユーザは、粗い測位で、2つ以上のゾーンに属すると見なされてもよい。例えばユーザは、ユーザのデバイスが各ゾーンへの所属の特定の閾値LLRよりも大きい閾値を有するどのゾーンへのアクセスも許可される。この後者の場合、ユーザは、必要であるよりも多いランプへのアクセスを得るが、ランプへのアクセスは、依然として満足がいく程度に信頼性がある。
【0059】
上記の何れかと併せて使用されてよい別の技術は、精度を向上させるためにIDxを追跡することである。つまり、ローカライゼーションモジュール15は、モバイルデバイス8が属する1つ以上のゾーンを、モバイルデバイス8が経時的にゾーン間を移動する際の連続性の尤度に追加的に基づいて決定する。例えばユーザが、最後の決定において、ゾーンiiにいた場合、次の決定において、ユーザは、ゾーンivよりも、ゾーンi、ii又はiiiにいる可能性の方が高い。例えばこれは、次の通りに行われる。
【0060】
Sjが、j番目のゾーンを示し、RSSI(n,k)が、時間kにおけるアンカーノードnからのRSSI値を示すとする。追跡スコアは、次の通りに構築される:
【数1】
【0061】
時間kにおいて、ユーザは、ゾーンj
*にいると宣言される。
【数2】
【0062】
当然ながら、本発明は、コンピュータプログラム、特に本発明を実現するように適応された担体上又は担体内のコンピュータプログラムにも適用される。プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソース、及び、例えば部分的にコンパイルされた形又は本発明による方法の実施における使用に適した任意の他の形式にあるオブジェクトコードの形であってよい。
【0063】
コンピュータプログラムプロダクトに関連する別の実施形態は、本明細書に説明されるシステム及び/又はプロダクトの少なくとも1つの各手段に対応するコンピュータ実行可能命令を含む。これらの命令は、サブルーチンに分割され、及び/又は、静的若しくは動的にリンク付けられてよい1つ以上のファイルに記憶されてもよい。
【0064】
上記されたように、本発明は更に、コンピュータプログラムプロダクトの形に具現化されてもよい。担体上に提供される場合、コンピュータプログラムの担体は、プログラムを運ぶことができる任意の実体又はデバイスであってよい。例えば担体は、例えばCD−ROM又は半導体ROMであるROM、又は、例えばハードディスクである磁気記録媒体といった記憶媒体を含む。更に、担体は、電気又は光学ケーブルを介して、又は、無線若しくは他の手段によって伝達される電気又は光学信号といった送信可能な担体であってもよい。プログラムが上記信号において具現化される場合、担体は、上記ケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって構成される。或いは、担体は、プログラムが埋め込まれる集積回路であってもよい。集積回路は、関連の方法を行うように、又は、関連の方法の実行において使用されるように適応される。
【0065】
当然ながら、上記実施形態は、例としてのみ説明されたものである。開示された実施形態の変形態様は、図面、開示内容及び添付の請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され、実施される。請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に記憶及び/又は分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するといった他の形式で分配されてもよい。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。