(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸性乳飲料を含む各種清涼飲料の需要は、一般に、止渇する目的で消費者が該飲料を摂取する夏場などの気温が高い時期に増大する傾向にあるとされている。しかし、従来の酸性乳飲料は、背景技術の項で述べたとおり、不溶物として含まれている乳タンパク質による影響で白濁したものである。そのため、従来の酸性乳飲料は、炭酸飲料、スポーツドリンク、果実の風味を付与した水様飲料等といった透明度の高い清澄飲料と比べて、止渇飲料としての需要が低下する傾向にあった。
こうした事情を踏まえ、本発明者は、酸性乳飲料のように酸性乳特有の味わいを呈することが可能であり、かつ高清澄な清涼飲料を実現すべく、その設計指針について鋭意検討した。
【0007】
しかし、特許文献1等に開示される従来の酸性乳飲料は、該飲料中に乳タンパク質からなるコロイド粒子が不溶物として含まれている以上、その透明度を向上させるという点において改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、酸性乳を含むことを前提とした飲料の高清澄化技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、従来の酸性乳飲料中に不溶物として含まれていた乳タンパクからなるコロイド粒子の分散状態を改良することにより該飲料の高清澄化を図るのではなく、乳タンパク質を可溶物として含む酸性乳を作製する手法を確立することが、該酸性乳を含むことを前提とした高清澄化飲料を実現するための設計指針として有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明によれば、
乳タンパク質を含み、かつpHが3.5未満である酸性乳を準備する工程と、
70℃以上95℃未満の温度で前記酸性乳を加熱殺菌する工程と、
前記酸性乳の液温が60℃以下となるように前記液温を降温させる工程と、
をこの順で含み、
前記加熱殺菌する工程の後、5分以内に前記降温させる工程を開始し、
前記降温させる工程において、前記液温が65℃以上95℃未満の温度領域にある時間が2分未満となるように前記酸性乳を冷却するものであって、
波長660nmにおける吸光度が0.02以下である酸性乳含有高清澄飲料の製造方法が提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、
乳タンパク質を含み、かつpHが3.5未満である酸性乳を準備する工程と、
70℃以上95℃未満の温度で前記酸性乳を加熱殺菌する工程と、
前記酸性乳の液温が60℃以下となるように前記液温を降温させる工程と、
をこの順で含み、
前記加熱殺菌する工程の後、5分以内に前記降温させる工程を開始し、
前記降温させる工程において、前記液温が65℃以上95℃未満の温度領域にある時間が2分未満となるように前記酸性乳を冷却するものであって、
前記酸性乳の波長660nmにおける吸光度が0.02以下である、酸性乳の高清澄化方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、酸性乳含有高清澄飲料の高清澄化技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<酸性乳含有高清澄飲料>
本発明の酸性乳含有高清澄飲料は、酸性乳由来の風味を有しながらも外観が透明であるという、新たな嗜好性を有する飲料である。また、本発明の酸性乳含有高清澄飲料において、高清澄とは、飲料中に不溶物がほとんどなく、外観において透明性があることを意味する。
【0014】
また、酸性乳含有高清澄飲料は、波長660nmにおける吸光度が0.02以下である。好ましくは、0.009以下であり、より好ましくは、0.006以下である。
ここで、白濁した状態にある従来の酸性乳飲料の波長660nmにおける吸光度は、通常、1以上の値を示す場合がほとんどである。また、止渇飲料の1種として市場に流通している従来のスポーツドリンクの波長660nmにおける吸光度は、通常、0.2程度の値を示す場合がほとんどである。
これに対し、本発明の酸性乳含有高清澄飲料は、従来の酸性乳飲料やスポーツドリンク等の止渇飲料と比べて、非常に透明性の高いものであるといえる。
なお、波長660nmにおける吸光度は、例えば、紫外可視分光光度計(UV−1600(株式会社島津製作所製))を用いて測定することができる。
【0015】
また、本発明の酸性乳含有高清澄飲料は、pHが3.5未満の酸性乳を含む。さらに、飲料の高清澄化という観点において、本発明の目的を損なわない範囲であれば、各種栄養成分、抽出物、甘味料、着色料、希釈剤、酸化防止剤等の食品添加物を含むものであってもよい。これらは、後述する酸性乳を準備する工程(第1の工程)において、酸性乳中に含ませてもよい。
また、本発明の酸性乳含有高清澄飲料は、炭酸ガスを含んでもよい。これにより、酸性乳含有高清澄飲料の嗜好性を高めることができる。
【0016】
<酸性乳含有高清澄飲料の製造方法>
本実施形態に係る酸性乳含有高清澄飲料の製造方法は、次の第1〜5の工程をこの順で含む。
第1の工程は、乳タンパク質を含み、かつpHが3.5未満である酸性乳を準備する工程である。
第2の工程は、70℃以上95℃未満の温度で酸性乳を加熱殺菌する工程である。
第3の工程は、上記第2の工程(加熱殺菌する工程)の後、酸性乳の液温が60℃以下となるように上記液温を降温させる工程である。また、第3の工程(降温させる工程)において、液温が65℃以上95℃未満の温度領域にある時間が2分未満となるように酸性乳を冷却する。
さらに、第4の工程は、前記酸性乳に炭酸ガスを圧入する工程、第5の工程は、前記酸性乳を容器に充填する工程である。
以下、詳細に説明する。
【0017】
第1の工程おいては、まず、乳タンパク質を含み、かつpHが3.5未満である酸性乳を準備する。
酸性乳とは、pHを3.5未満に制御することができるものであればよい。例えば、乳酸菌およびビフィズス菌などの微生物を用いて乳原料を発酵させて調製された発酵乳、または果汁および酸味料等の酸性成分を用いて乳原料を発酵させることなく調製された非発酵乳が挙げられる。
酸性乳を調製するために用いられる乳原料としては、乳タンパク質を含むものであればよく、公知のものを使用することができる。例えば、生乳、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、部分脱脂乳、練乳、粉乳等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸性乳は、乳タンパク質が不溶物として含まれている従来の酸性乳飲料であってもよい。すなわち、市販の殺菌済み酸性乳飲料についてpHが3.5未満となるように調製して得られた酸性乳であってもよい。
さらに、酸性乳は、各種栄養成分、抽出物、甘味料、着色料、希釈剤、酸化防止剤等の食品添加物を予め含むものであってもよく、第1の工程において、調製した酸性乳に上記の食品添加物を混合してもよい。
【0018】
酸性乳のpHを3.5未満とすることにより、該酸性乳中に含まれる乳タンパク質の水に対する溶解性を向上させることができる。
さらに、酸性乳のpHは、飲料中に乳タンパク質が不溶物として析出することを防ぐ観点から、好ましくは、pH3.4以下であり、より好ましくは、pH3.3以下である。
一方、酸性乳のpHは、酸性乳含有高清澄飲料中の香気成分が劣化することを抑制する観点から、たとえば、pH2.8以上とすることができる。下限値以上とする結果、飲料の嗜好性を向上させることができる。
なお、乳タンパク質の等電点は、一般に、pH4.6であることが知られている。かかる等電点の値は、上記乳タンパク質の主成分として知られているカゼインの等電点(pH4.6)に起因している。
【0019】
酸性乳の乳タンパク質含有量は、酸性乳含有高清澄飲料全量に対する乳タンパク質含有量は、好ましくは、5ppm以上100ppm以下であり、より好ましくは、10ppm以上70ppm以下である。こうすることで、酸性乳含有高清澄飲料中に乳タンパク質が不溶物として析出することを抑制することができる。
【0020】
また、酸性乳のBrix値は、酸性乳含有高清澄飲料の嗜好性を向上させる観点から、好ましくは、1°以上10°以下であり、より好ましくは、3°以上9°以下であり、さらに好ましくは、4°以上8°以下である。
【0021】
また、酸性乳の酸度は、酸性乳含有高清澄飲料の嗜好性を向上させる観点から、好ましくは、0.05質量%以上0.3質量%以下であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上0.2質量%以下である。
なお、本実施形態に係る酸性乳の「酸度」とは、該酸性乳中に含まれている酸の量をクエン酸の相当量として換算した値、すなわち、クエン酸酸度(質量%)として表した数値を指す。
【0022】
酸性乳の無脂乳固形分含有量は、酸性乳含有高清澄飲料全量に対する無脂乳固形分含有量は、好ましくは、0.001質量%以上0.1質量%以下であり、さらに好ましくは、0.002質量%以上0.05質量%以下である。こうすることで、酸性乳含有高清澄飲料中に、上記無脂乳固形分の1成分である乳タンパク質が不溶物として析出することを抑制することができる。
【0023】
第2の工程おいては、準備した酸性乳を70℃以上95℃未満の温度で加熱殺菌する。70℃以上とすることにより、加熱殺菌前の酸性乳が白濁したものである場合、すなわち、乳タンパク質が酸性乳中に分散した状態にある場合であったとしても、酸性乳中に不溶物として含まれている乳タンパク質を可溶化することができる。一方、95℃未満とすることで、酸性乳含有高清澄飲料に特有の香味を効果的に保持できるようになる。
【0024】
酸性乳の加熱殺菌方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0025】
第3の工程においては、酸性乳の液温を60℃以下の温度まで降温させる。このとき、酸性乳の加熱殺菌温度に関係なく、該酸性乳の冷却を開始してから該酸性乳の液温が最初に60℃以下となるまでの間において、該酸性乳の液温が65℃以上95℃未満の温度領域にある時間が2分未満となるように酸性乳を冷却することが重要である。こうすることで、加熱殺菌後の酸性乳中に可溶物として含まれている乳タンパク質が、時間経過および液温の低下に伴って不溶化することを抑制できる。また香味の劣化を抑制する観点から、上記の酸性乳の液温を降温させる温度は45℃以下であることが好ましい。
【0026】
また、第3の工程において、準備した酸性乳を加熱殺菌した後、酸性乳の液温を降温させる工程は、加熱殺菌処理を終えてから、5分以内に開始する。こうすることで、加熱殺菌したことにより昇温した酸性乳が、加熱殺菌後の保管時に自然冷却されることを抑制することができる。その結果、加熱殺菌後の酸性乳中に可溶物として含まれている乳タンパク質が、熱変性により不溶化して析出することを抑制できる。
さらに、乳タンパク質の析出を抑制する観点から、酸性乳の液温を降温させる工程は、加熱殺菌処理を終えてから、3分以内に開始することが好ましく、2分以内に開始することがより好ましい。
【0027】
また、第3の工程において、酸性乳の液温が65℃以上95℃未満の温度領域にある時間は、2分未満であるが、好ましくは、1秒以上1分以下であり、より好ましくは、1秒以上30秒以下であり、さらに好ましくは、1秒以上10秒以下である。こうすることにより、高温状態が保たれることによって乳タンパク質が熱変性するのを抑制し、乳タンパク質の水に対する溶解度、すなわち乳タンパク質の可溶性を保持したまま、酸性乳を冷却することができる。
【0028】
第3の工程において、酸性乳の冷却を開始してから、該酸性乳の液温が最初に60℃となるまでの時間は、好ましくは、2分未満であり、より好ましくは、1秒以上1分以下であり、さらに好ましくは、1秒以上30秒以下であり、最も好ましくは、1秒以上10秒以下である。こうすることで、加熱殺菌後の酸性乳中に可溶物として含まれている乳タンパク質が、熱変性により不溶化して析出することを効果的に防ぐことができる。
【0029】
また、加熱殺菌してから液温が60℃以下となるように冷却した後の状態にある酸性乳の波長660nmにおける吸光度は、0.02以下である。好ましくは、0.009以下であり、より好ましくは、0.006以下である。これにより、透明度の高い酸性乳含有高清澄飲料を得ることができる。
【0030】
第4の工程は、得られた酸性乳に炭酸ガスを圧入する工程である。炭酸ガスの圧入方法は、公知の方法を用いることができる。炭酸飲料とすることにより、酸性乳含有高清澄飲料の嗜好性を向上させることができる。
炭酸ガスの圧力は、嗜好性にあわせて適宜調整できるが、1〜5ガスボリュームであることが好ましく、1.5〜3.5ガスボリュームであることがより好ましい。
なお、炭酸ガス圧力(ガスボリューム)は、標準状態(1気圧、0℃)において、酸性乳含有高清澄飲料全体の体積に対して、酸性乳含有高清澄飲料に溶けている炭酸ガスの体積を表したものである。
【0031】
第5の工程は、得られた酸性乳を容器に充填する工程である。これにより、容器入り酸性乳含有高清澄飲料を得ることができる。
なお、容器に充填する酸性乳の液温は、特に限定されない。
また、容器としては、例えば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。酸性乳含有高清澄飲料を外観から観察し、透明性、色などを確認できる観点から、透明な容器であることが好ましく、具体的には透明性に優れたペットボトルが挙げられる。また、取扱性、流通性、携帯性等の観点から、ペットボトルであることが好ましい。
【0032】
次に、本実施形態に係る酸性乳含有高清澄飲料の製造方法による効果について、説明する。
本実施形態に係る酸性乳含有高清澄飲料の製造方法によれば、上記第2の工程における酸性乳の加熱殺菌温度を「70℃以上95℃未満」に制御する条件と、上記第3の工程における酸性乳の液温を「60℃以下」となるように降温させ「65℃以上95℃未満」の温度領域にある時間が2分未満に制御する条件とを組み合わせ、酸性乳に与える温度プロファイルがこれらの条件を満たすことで、冷却後の酸性乳が白濁することを効果的に抑制することができる。かかる理由の詳細は明らかではないが、上記の温度条件により、酸性乳中の乳タンパク質の熱変性を抑制し、水に対する溶解度が適度に保持されることで、乳タンパクの析出が抑制され、不溶物の発生を抑制できる。その結果、透明性の高い高清澄飲料が得られると考えられる。
さらに、本実施形態に係る酸性乳含有高清澄飲料の製造方法によれば、加熱殺菌温度が「70℃以上95℃未満」であるため、酸性乳含有高清澄飲料の香味を効果的に保持できるようになる。
【0033】
<酸性乳の高清澄化方法>
本実施形態に係る酸性乳の高清澄化方法は、次の第1〜5の工程をこの順で含む。
第1の工程は、乳タンパク質を含み、かつpHが3.5未満である酸性乳を準備する工程である。
第2の工程は、70℃以上95℃未満の温度で酸性乳を加熱殺菌する工程である。
第3の工程は、上記第2の工程(加熱殺菌する工程)の後、酸性乳の液温が60℃以下となるように上記液温を降温させる工程である。また、第3の工程(降温させる工程)において、液温が65℃以上95℃未満の温度領域にある時間が2分未満となるように酸性乳を冷却する。
さらに、第4の工程は、前記酸性乳に炭酸ガスを圧入する工程、第5の工程は、前記酸性乳を容器に充填する工程である。
また、加熱殺菌してから液温が60℃以下となるように冷却した後の状態にある酸性乳の波長660nmにおける吸光度は、0.02以下であるが、好ましくは、0.009以下であり、より好ましくは、0.006以下である。
【0034】
本実施形態に係る酸性乳高清澄化方法によれば、酸性乳を高清澄化することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記実施形態では、酸性乳含有高清澄飲料が炭酸ガスを含む場合について説明したが、嗜好性に応じて、炭酸ガスを含まなくてもよい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
<酸性乳の準備>
白濁した状態にある市販の殺菌済み乳酸菌飲料に対して、果糖ぶどう糖液糖6.0質量%と、砂糖1.2質量%と、食塩0.02質量%とを、予め水に溶解させてから添加し、混合した。なお、上記市販の殺菌済み乳酸菌飲料は、必要に応じて、予め水で希釈したものを使用した。
次いで、得られた混合液のpHが3.3となるように、クエン酸、乳酸、およびクエン酸三ナトリウムからなる所定量の酸味料を適量、当該混合液中に添加し、pHを調整した。
得られた溶液を、後述する実施例および比較例の酸性乳含有高清澄飲料を作製するために用いる酸性乳として準備した。
なお、得られた酸性乳は、いずれも、無脂乳固形分(質量%)0.01、乳タンパク質量(ppm)36、Brix値6.0°、クエン酸酸度0.2質量%であった。
【0038】
<実施例および比較例>
上述した方法で準備した酸性乳に対して、表1に示す殺菌温度で30秒間、加熱殺菌処理を実施した。
次いで、得られた殺菌処理済み酸性乳の液温が、下記表1に示す冷却処理後の液温となるように10秒間弱の冷却処理を施した。その直後に該酸性乳を透明な容器に充填し、2分間保持した。このとき、上記冷却処理は、加熱殺菌処理の終了後5秒以内に開始した。また、冷却処理終了後から上述した2分間の保持を完了するまでの間において、該酸性乳の液温が表1に示す冷却処理後の液温から2℃以上低下することはなかった。
その後、容器内に充填されている該酸性乳の液温が20℃となるように水冷した。このようにして得られた容器詰め酸性乳を、各実施例および各比較例に係る酸性乳含有高清澄飲料とした。
得られた各酸性乳含有高清澄飲料について、次の評価を実施し、結果を表1に示した。
【0039】
<評価>
・不溶物の量;各酸性乳含有高清澄飲料の外観について、熟練したパネラーが以下の評価基準に従って目視にて評価を実施した。
5:不溶物は含まれていなかった。
4:酸性乳含有高清澄飲料として、実用上問題ないレベルであるが、極わずかの不溶物が含まれていた。
3:酸性乳含有高清澄飲料として、実用上問題ないレベルであるが、少量の不溶物が含まれていた。
2:酸性乳含有高清澄飲料として、実用上問題がある程度の不溶物が含まれていた。
1:酸性乳含有高清澄飲料として、実用上問題がある程度の不溶物が大量に含まれていた。
【0040】
また、酸性乳含有高清澄飲料を香味について評価したところ、実施例の酸性乳含有高清澄飲料はいずれも、酸性乳含有高清澄飲料特有の香味が効果的に保持されていた。
【0041】
・波長660nmにおける吸光度:分光光度計を用いて各酸性乳含有高清澄飲料の波長660nmにおける吸光度を測定した。なお、吸光度測定は、20℃の温度条件下、石英セルを用いて実施した。
【0042】
【表1】
【0043】
各実施例の酸性乳含有高清澄飲料は、いずれも、透明性に優れ、かつ不溶物量の少ない高清澄化された飲料であった。一方、比較例の酸性乳含有高清澄飲料は、波長660nmにおける吸光度が各実施例と同様の値を示すという点において透明性に優れたものであるが、不溶物が沈殿したものであった。そのため、比較例の酸性乳含有高清澄飲料は、実用上、改善の余地を有したものであった。
【解決手段】酸性乳含有高清澄飲料の製造方法は、乳タンパク質を含み、かつpHが3.5未満である酸性乳を準備する工程と、70℃以上95℃未満の温度で前記酸性乳を加熱殺菌する工程と、前記酸性乳の液温が60℃以下となるように前記液温を降温させる工程と、をこの順で含み、前記加熱殺菌する工程の後、5分以内に前記降温させる工程を開始し、前記降温させる工程において、前記液温が65℃以上95℃未満の温度領域にある時間が2分未満となるように前記酸性乳を冷却するものであって、酸性乳含有高清澄飲料の波長660nmにおける吸光度が0.02以下である。