特許第6275392号(P6275392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275392
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】歯車装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20180129BHJP
   F16H 57/031 20120101ALI20180129BHJP
【FI】
   F16H57/04 F
   F16H57/031
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-63917(P2013-63917)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-190358(P2014-190358A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】重見 貴夫
【審査官】 増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−189178(JP,A)
【文献】 実開昭62−15652(JP,U)
【文献】 特開平9−210185(JP,A)
【文献】 特開2012−255493(JP,A)
【文献】 特開平8−28667(JP,A)
【文献】 特開2006−300242(JP,A)
【文献】 実開昭53−101170(JP,U)
【文献】 特開平7−217725(JP,A)
【文献】 特開2009−174682(JP,A)
【文献】 実開平5−86060(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第2199645(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
F16H 57/031
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車を収容するケーシング内に設けられた潤滑油流路と、
前記ケーシング内に貯められた潤滑油を前記潤滑油流路に送る送油手段と、
前記潤滑油流路に設けられ、前記潤滑油流路を流れる潤滑油中の異物を堆積させる堆積部と、
前記ケーシング内を、前記歯車および潤滑油を収容する貯留空間と、前記貯留空間の上側の天井空間と、に仕切る通路部材と、を備え、
前記通路部材の上面に前記潤滑油流路が設けられ、
前記通路部材は、前記送油手段により前記貯留空間ではね上げられた潤滑油を導入する導入口を有し、
前記通路部材は、第2軸を支持する軸受の上方に設けられた排出口を有し、前記潤滑油流路の潤滑油が前記排出口から前記軸受に滴下され、
前記第2軸は、前記排出口を貫通することを特徴とする歯車装置。
【請求項2】
前記送油手段は、第1軸とともに回転し、前記潤滑油をはね上げる回転板を有し、
前記導入口は、前記回転板の上方に設けられることを特徴とする請求項1記載の歯車装置。
【請求項3】
前記回転板は、前記第1軸に設けられる歯車より大径とされることを特徴とする請求項2に記載の歯車装置。
【請求項4】
前記堆積部は、前記ケーシングに設けられた点検口から視認可能な位置に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の歯車装置。
【請求項5】
前記堆積部が設けられた異物捕捉部材を備え、
前記異物捕捉部材は、前記通路部材に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の歯車装置。
【請求項6】
前記堆積部には、磁石が設置されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機等として使用される歯車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
減速機等の歯車装置では、歯車の動作に伴う歯車、軸受の温度上昇を抑えるため、歯車等の潤滑、冷却が必要となる。このため、ケーシング内に潤滑油を貯め、歯車の回転により軸受に潤滑油を跳ねかける方法や、ポンプにより歯車、軸受に潤滑油を給油する方法が用いられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−266168号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯車装置内には、摩耗により鉄粉等の異物が生じる。異物が潤滑油に混ざって歯車や軸受にまで拡散し、それらに付着すると、これは歯車に噛み込まれて歯車を損傷させたり、軸受の抵抗となるため、捕捉および除去が必要となる。
【0005】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、潤滑油中の異物を効果的に捕捉できる歯車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は歯車装置に関する。歯車装置は、歯車を収容するケーシング内に設けられた潤滑油流路と、ケーシング内に貯められた潤滑油を潤滑油流路に送る送油手段と、潤滑油流路に設けられ、潤滑油流路を流れる潤滑油中の異物を堆積させる堆積部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様の歯車装置によれば、異物を堆積部に堆積させて捕捉するため、潤滑油中の異物を効果的に捕捉できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る歯車装置の構成を示す正面断面図である。
図2】第1実施形態に係る歯車装置の構成を示す平面断面図である。
図3】(a)は第1実施形態に係る堆積部の構成を示す正面断面図であり、(b)はその側面断面図である。
図4】(a)は第1変形例に係る堆積部の構成を示す斜視断面図であり、(b)は第2変形例に係る堆積部の構成を示す正面断面図である。
図5】(a)は第3変形例に係る堆積部の構成を示す正面断面図であり、(b)はその側面断面図である。
図6】第2実施形態に係る歯車装置の構成を示す平面断面図である。
図7】(a)は第2実施形態に係る異物捕捉部材の構成を示す正面断面図であり、(b)はその側面断面図である。
図8】第3実施形態に係る歯車装置の構成を示す正面断面図である。
図9】第3実施形態に係る歯車装置の構成を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1図2は、第1実施形態に係る歯車装置10の構成を示す。この歯車装置10は、出力軸17cの軸方向が鉛直方向となるように設置される。歯車装置10は直交軸減速機であり、箱状のケーシング11、潤滑油流路37を備える。ケーシング11は、その内部に一体に平板状の路部材31が設けられ、金属材料を鋳造等して成形される。なお、ケーシング11は、全ての部分が一体的に形成される必要はなく、複数の分割体を組み合わせた構成とされてもよい。例えば、通路部材31をケーシング11と別体として、通路部材31をケーシング11に固定するようにしてもよい。また、ケーシング11を上下に2分割される構成としてもよいし、ケーシング11の通路部材31よりも上方の部分を別体として、通路部材31を上方から覆うようにその上方の部分を配置して固定してもよい。
【0010】
ケーシング11は、通路部材31により内部空間が上下に仕切られる。ケーシング11は、通路部材31より下側の貯留空間13と、上側の天井空間15とを有する。貯留空間13には、複数の歯車13a〜13dが収容され、その下方に潤滑油16が貯められる。ケーシング11には、内部を点検するための点検口19が設けられる。点検口19は、蓋部材23により開閉され、蓋部材23は、ケーシング11にねじで着脱可能に取り付けられる。
【0011】
ケーシング11内には、入力軸17a、歯車軸17b、出力軸17cが設けられる。入力軸17aは、ケーシング11に第1軸受18aを介して回転自在に支持され、第1傘歯車13aが固定される。第1傘歯車13aは、潤滑油16に一部が漬かって設置される。歯車軸17bは、ケーシング11に第2軸受18bを介して回転自在に支持され、第2傘歯車13bと第1小径歯車13cとが固定される。出力軸17cは、ケーシング11に第3軸受18cを介して回転自在に支持され、第1大径歯車13dが固定される。入力軸17aは、モータ(図示せず)に連結される。各軸17a〜17cは、各歯車13a〜13dが噛み合っており、モータで入力軸17aが駆動されると、入力軸17aの回転が減速されて出力軸17cに伝達される。
【0012】
また、入力軸17aには、第1傘歯車13aに隣接して回転板13iが固定されている。回転板13iは、第1傘歯車13aよりも大径とされ、その一部が潤滑油16に漬かっている。入力軸17aとともに回転板13iが回転することにより、回転板13iに付着した潤滑油16が上方にはね上げられる。
【0013】
通路部材31は、導入口33、第1排出口35a、第2排出口35bを備える。導入口33は、回転板13iの上方に設けられ、矩形状に形成される。第1排出口35aは、歯車軸17b、第2軸受18bの上方に設けられ、円形状に形成される。第2排出口35bは、第3軸受18cの上方に設けられ、円形状に形成され、出力軸17cが貫通する。
【0014】
潤滑油流路37は、通路部材31の上面に形成される。回転板13iの回転によりケーシング11内に貯められた潤滑油16がはね上げられ、導入口33を通して潤滑油流路37に潤滑油16が送られる。潤滑油16の一部は、導入口33から各排出口35a、35bまで流れ、第1排出口35aから第2軸受18b、第2傘歯車13bに滴下し、第2排出口35bから第3軸受18cに滴下する。図2の二点鎖線で示す矢印Aは潤滑油16が流れる方向の一例を示す。回転板13iは、ケーシング11に貯められた潤滑油16を、その上方の潤滑油流路37に送る送油手段となる。なお、第1傘歯車13aの回転によっても潤滑油16ははね上げられる。したがって、第1傘歯車13aの回転によって十分な潤滑油16を導入口33に供給できるような場合には、回転板13iを設けなくてもよい。以下、導入口33から排出口35a、35bにかけての方向をX方向とし、X方向と直交する水平方向をY方向とする。
【0015】
潤滑油流路37には、その流路表面37aである通路部材31の上面に複数の堆積部39が設けられる。堆積部39は、通路部材31の導入口33と排出口35a、35bとの間に設けられる。堆積部39は、潤滑油流路37を潤滑油16が流れる方向と交差する方向に延びる溝41により構成される。溝41は、通路部材31に一体的に形成されている。堆積部39は、点検口19の下方に設けられる。すなわち、堆積部39は、点検口19から視認可能な位置に設けられる。
【0016】
図3(a)は堆積部39の正面断面図を示し、(b)は側面断面図を示す。堆積部39の溝41は、その溝41の表面とつながるX方向両側の流路表面37aより窪んで設けられる。堆積部39は、潤滑油16が流れる方向の前側に設けられた前壁面39aと、Y方向の両側に設けられた側壁面39bとを有する。前壁面39a、側壁面39bは、ほぼ鉛直に設けられる。
【0017】
潤滑油16中には、摩耗により生じた鉄粉等の金属粉や金属破片の異物25が含まれる。潤滑油16より比重の大きい異物25は、潤滑油16の流れに乗って流路表面37aを転がりつつ、潤滑油流路37に沿って運ばれる。異物25は、溝41により構成される堆積部39まで到達すると、その溝41内に沈んで堆積する。溝41内で潤滑油16の流れが生じても、前壁面39aや側壁面39bにより異物25が堰き止められ、異物25の抜け出しが抑えられる。
【0018】
第1実施形態に係る歯車装置10によれば、異物25を堆積部39に堆積させて捕捉するため、潤滑油16中の異物25を効果的に捕捉できるとともに、異物25を捕捉するための構造を簡単にでき、経済性に優れる。また、堆積部39に堆積した異物25を吸引、摘む、拭く等して簡単に除去でき、メンテナンス性に優れる。また、点検口19から視認可能な位置に堆積部39が設けられるため、異物25の堆積状況を簡単に確認でき、その堆積量から歯車13a〜13d等の摩耗状況を容易に推測できる。また、ケーシング11の鋳物の型を変更したり、通路部材31上を切削すれば、低コストで通路部材31の上面に堆積部39が設けられる。また、堆積部39の溝41が流路表面37aより窪んでいるため、潤滑油流路37の潤滑油16の流れを大きく阻害せずに異物25を捕捉できる。
【0019】
なお、堆積部39の前壁面39aは、異物25の流れる方向の前側に向けて上り勾配や下り勾配で傾斜していてもよい。上り勾配で傾斜する場合、堆積部39からの異物25の抜け出しを抑えるため、その鉛直面に対する傾斜角度は、たとえば、0°〜45°とすると好ましく、0°〜30°とするとより好ましい。下り勾配で傾斜する場合、堆積部39から異物25がより抜け出にくくなる。
【0020】
図4(a)は、第1変形例としての堆積部39の斜視断面図を示す。堆積部39は、流路表面37a上に設けられた凸部43から構成されてもよい。図示の例では、凸部43がY方向に延びる突条として設けられる。凸部43は、その凸部43の表面とつながるX方向両側の流路表面37aより上側に突出して設けられる。凸部43は、矩形状の他、三角形状、半円状等に形成される。潤滑油16により運ばれる異物25は、凸部43まで到達すると、凸部43により堰き止められて堆積する。これら突条としての凸部43や、溝41としての凹部は、直線状の他、曲線状、波線状等に延びて形成されてもよい。
【0021】
図4(b)は、第2変形例としての堆積部39の正面断面図を示す。堆積部39は、窪み45としての凹部から構成されていてもよい。この他に、堆積部39は、突起としての凸部から構成されていてもよい。これら凹部や凸部は、たとえば、半球状、柱状、円錐状等に形成される。
【0022】
図5は、第3変形例としての堆積部39を示す。堆積部39は、溝41の表面である溝底面に磁石47が設置されている。磁石47は、溝41の延びるY方向に沿って設置される。磁石47は、フェライト磁石等の永久磁石で構成される。潤滑油16により運ばれる鉄粉等の異物25は、溝41まで到達すると、磁石47の吸引力により溝41から抜け出にくくなり、堆積部39での堆積量が増加する。
【0023】
この磁石47の設置箇所は、溝41の表面であれば特に限定されない。また、堆積部39が凸部43から構成される場合、その凸部43の表面に磁石47が設置されてもよい。また、磁石47は、堆積部39に着脱可能に設置されてもよい。磁石47を堆積部39から取り外せば、磁石47に吸着した異物25をケーシング11外で容易に除去できる。
【0024】
(第2実施形態)
図6図7は第2実施形態に係る歯車装置10の構成を示す。以下の実施形態では、第1実施形態で説明した要素と同一の要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。歯車装置10は、異物捕捉部材51を更に備える。異物捕捉部材51は、Y方向に長い平板状に形成される。異物捕捉部材51は、樹脂材料から構成されるが、金属材料等で構成されてもよい。
【0025】
異物捕捉部材51は、通路部材31と別体に設けられる。通路部材31には、Y方向に長い溝状の嵌合部49が形成され、嵌合部49には異物捕捉部材51が嵌め合わされる。すなわち、異物捕捉部材51は、通路部材31に着脱可能に取り付けられる。異物捕捉部材51は、その上面が通路部材31の上面とほぼ面一に設けられる。
【0026】
潤滑油流路37は、通路部材31と異物捕捉部材51との上面に形成される。堆積部39は、第1実施形態と異なり、通路部材31の上面ではなく、異物捕捉部材51の上面に設けられる。これ以外の点で堆積部39の形状は第1実施形態と同じである。
【0027】
異物捕捉部材51は、Y方向の両側から上方に設けられた立設部53と、各立設部53から側方に突出した把持部55とを備える。把持部55を作業員が把持して異物捕捉部材51を持ち上げれば、通路部材31から異物捕捉部材51を簡単に取り外せる。
【0028】
第2実施形態に係る歯車装置10によれば、堆積部39が異物捕捉部材51の上面に設けられるため、異物捕捉部材51を通路部材31から取り外して、堆積部39に堆積した異物25をケーシング11外で容易に除去できる。
【0029】
なお、異物捕捉部材51は、嵌め合いの他、ねじ等の他の取付手段で通路部材31に取り付けてもよい。また、異物捕捉部材51は、板状であれば円板状等でもよいし、他の形状でもよい。
【0030】
(第3実施形態)
図8図9は第3実施形態に係る歯車装置10の構成を示す。歯車装置10は平行軸減速機である。この歯車装置10は、出力軸17cの軸方向が水平方向となるように設置される。入力軸17aは、ケーシング11に第1軸受18aを介して支持され、第2小径歯車13eが固定される。歯車軸17bは、ケーシング11に第2軸受18bを介して支持され、第2大径歯車13fと第3小径歯車13gとが固定される。出力軸17cは、ケーシング11に第3軸受18cを介して支持され、第3大径歯車13hが固定される。各歯車13e〜13hは噛み合っている。
【0031】
通路部材31は、第1実施形態と異なり導入口33が形成されていない。ケーシング11には、貯留空間13に設けられた給油口61と、天井空間15に設けられた排油口63とを有する吸引管65が接続される。吸引管65は、その途中位置にポンプ67が設置され、ポンプ67の駆動により、給油口61から排油口63を通して潤滑油16が潤滑油流路37まで送られる。すなわち、ポンプ67は、吸引管65を通して潤滑油流路37まで潤滑油16を送る送油手段となる。
【0032】
本実施形態では、第3小径歯車13gが潤滑油16に漬かっておらず、歯車13gの上方に第3排出口35cが形成される。また、各軸受18a〜18cの近傍にある軸17a〜17cの上方に第4排出口35dが形成される。吸引管65により潤滑油流路37に送られた潤滑油16の一部は、第3排出口35cから歯車13gに滴下される。また、その潤滑油16の一部は、第4排出口35dから軸17a〜17cに滴下され、軸17a〜軸17cの表面から各軸受18a〜18cまで伝わる。このように、通路部材31の排出口35a〜35dは、給油対象となる歯車13a〜13gや軸受18a〜18cの位置に対応した位置に設けられる。なお、歯車13eと歯車13fの噛合い部の上方位置にも排出口を設け、潤滑油流路37の潤滑油16が排出口を通して噛合い部に滴下されるようにしてもよい。
【0033】
堆積部39は、通路部材31の給油口61の近傍、すなわち、通路部材31の潤滑油16の流入側に設けられる。これにより、通路部材31の流入側から流出側である各排出口35c、35dまで潤滑油16が流れるときに、流路表面37aの広い範囲に潤滑油16が拡散する前に異物25を効果的に捕捉できる。
【0034】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0035】
上述の実施形態では、歯車装置10として、平行軸歯車減速機や直交軸歯車減速機を説明したが、ケーシング11内に歯車を有すれば、減速機構の種類は特に限定されず、例えば、差動歯車機構でもよい。
【0036】
また、第1実施形態および第2実施形態の歯車装置においては、送油手段として入力軸17aに固定された回転板13iを採用し、第3実施形態3の歯車装置においては、送油手段としてポンプ67を採用した。しかし、これに限定されず、第1実施形態および第2実施形態の歯車装置において送油手段としてポンプ67を採用してもよいし、第3実施形態の歯車装置において送油手段として回転板13iを採用してもよい。
【0037】
第3実施形態の歯車装置において回転板13iを採用する場合には、入力軸17aに回転板13iを固定するとともに、回転板13iの上方に導入口33を設ける。さらに、導入口33の周囲に仕切り壁を設置して、導入口33から通路部材31に供給された潤滑油16が仕切り壁に沿って案内され、堆積部39の上流側に供給されるようにするとよい。さらに、送油手段は、ケーシング11内の潤滑油16を潤滑油流路37に送ることができるものであればよく、回転板13iやポンプ67に限定されない。
【0038】
潤滑油流路37により、歯車、軸受以外の予め定めた位置に潤滑油16が送られてもよい。また、潤滑油流路37は、貯留空間13に貯められた潤滑油16が送油手段により送られてから、予め定めた位置に到達するまでに潤滑油16が通れば、通路部材31の上面以外に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10:歯車装置、11:ケーシング、17:潤滑油、21:通路部材、37:潤滑油流路、39:堆積部、51:異物捕捉部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9