(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275412
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】レーザ・ビームと荷電粒子ビームの一致位置合せ方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/042 20140101AFI20180129BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20180129BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20180129BHJP
B23K 26/12 20140101ALI20180129BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20180129BHJP
【FI】
B23K26/042
H01J37/317 D
H01J37/28 B
B23K26/12
B23K26/36
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-168166(P2013-168166)
(22)【出願日】2013年8月13日
(65)【公開番号】特開2014-54670(P2014-54670A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】13/607,329
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501419107
【氏名又は名称】エフ・イ−・アイ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・ストロー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エマーソン
【審査官】
奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−334818(JP,A)
【文献】
特開平07−232290(JP,A)
【文献】
特開平11−179579(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0248164(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
H01J 37/28
H01J 37/317
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室と、
前記真空室内で加工物を支持する加工物支持体と、
前記加工物に向かって導かれる荷電粒子ビームを生成する荷電粒子ビーム・システムと、
前記真空室内で前記加工物を処理するレーザ・ビームを生成するレーザ・ビーム・システムと、
前記レーザ・ビームが対物レンズの中心を通り、前記加工物のユーセントリック点に入射するように、前記レーザ・ビームの位置合せをするレーザ・ビーム位置合せシステムであり、第1のレーザ・ビーム位置合せ検出器を前記真空室内に有し、第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を前記真空室の外側に有するレーザ・ビーム位置合せシステムと
を備えるマルチビーム・システム。
【請求項2】
前記レーザ・ビーム位置合せシステムが、前記第1のレーザ・ビーム位置合せ検出器に結合された第1のビーム・ステアリング・ミラーと、前記第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器に結合された第2のビーム・ステアリング・ミラーとを含む、請求項1に記載のマルチビーム・システム。
【請求項3】
前記第1のレーザ・ビーム位置合せ検出器によって検出された位置信号に応答する第1のビーム・ステアリング・コントローラであり、第1の位置に向かってビームを移動させるよう前記第1のビーム・ステアリング・ミラーに指示する第1のビーム・ステアリング・コントローラと、前記第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器によって検出された位置信号に応答する第2のビーム・ステアリング・コントローラであり、第2の位置に向かって前記ビームを移動させるよう前記第2のビーム・ステアリング・ミラーに指示する第2のビーム・ステアリング・コントローラとを含む、請求項2に記載のマルチビーム・システム。
【請求項4】
前記第1の位置および前記第2の位置が前記加工物に対してユーセントリックである、請求項3に記載のマルチビーム・システム。
【請求項5】
前記加工物に導かれる電子の源を生成する電子ビーム源を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチビーム・システム。
【請求項6】
前記レーザ・ビームが対物レンズを透過し、前記レーザ・ビームが前記加工物に対してユーセントリックである、請求項1から5のいずれか一項に記載のマルチビーム・システム。
【請求項7】
荷電粒子ビーム・システム内においてレーザの位置合せをする方法であって、
荷電粒子ビームを生成することができる荷電粒子ビーム源を提供するステップと、
真空室を提供するステップと、
レーザ・ビームを生成することができるレーザ・ビーム源を提供するステップと、
加工物に対してユーセントリックになるように前記レーザ・ビームの位置合せをする前記真空室内の第1のレーザ・ビーム位置合せシステムを提供するステップであって、前記第1のレーザ・ビーム位置合せシステムが、前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せをするステップと、
前記真空室の外側の第2のレーザ・ビーム位置合せシステムを用いて、前記加工物に対してユーセントリックになるように前記レーザ・ビームの位置合せをするステップと
を含む方法。
【請求項8】
レーザの位置合せをする請求項7に記載の方法であって、前記第1のレーザ・ビーム位置合せシステム内および前記第2のレーザ・ビーム位置合せシステム内で位置合せ検出器が使用される方法。
【請求項9】
荷電粒子ビーム・システムと一緒にレーザ・システムを使用する方法であって、
荷電粒子ビームを生成するステップと、
前記荷電粒子ビームを加工物の表面に導くステップと、
前記加工物の表面で使用するレーザ・ビームを生成するステップと、
第1および第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を使用して、前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せをするステップであって、前記第1のレーザ・ビーム位置合せ検出器は前記荷電粒子ビーム・システムの真空室内に位置し、前記第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器は前記真空室外に位置するステップと
を含む方法。
【請求項10】
第1および第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を使用して、前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せをするステップが、前記レーザ・ビームが対物レンズの中心を通るように、前記レーザ・ビームの位置合せをすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1および第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を使用して、前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せをするステップが、前記第1のレーザ・ビーム位置合せ検出器に結合された第1のビーム・ステアリング・ミラーを使用して、前記レーザ・ビームの位置合せをするステップを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
第1および第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を使用して、前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せをするステップが、前記第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器に結合された第2のビーム・ステアリング・ミラーを使用して、前記レーザ・ビームの位置合せをするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1および第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を使用して、前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せをする際に、前記レーザ・ビームと前記第1のビーム・ステアリング・ミラーとの位置合せと、前記レーザ・ビームと前記第2のビーム・ステアリング・ミラーとの位置合せとが繰り返し実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加工物上のスポットを前記レーザ・ビームによって機械加工するステップと、
機械加工された前記スポットの位置を前記加工物のユーセントリック点と比較するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
機械加工された前記スポットの位置を前記ユーセントリック点と比較する際に機械加工された前記スポットの位置が前記ユーセントリック点と一致しない場合、前記第1および第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を使用して、前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せを繰り返す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せをするステップが、
前記加工物に向かって前記荷電粒子ビームを導く前記荷電粒子ビーム・システムのユーセントリック点に前記レーザ・ビームを調整するステップと、
前記加工物上のスポットを前記レーザ・ビームによって機械加工するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記加工物に向かって電子ビームを導く電子ビーム・システムを用いて前記加工物を画像化するステップと、
前記電子ビームを用いて生成された画像を使用して、機械加工された前記スポットの位置を前記ユーセントリック点と比較するステップと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1および第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を使用して、前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せをするステップが、
前記レーザ・ビームが前記加工物に向かってレーザ入射ポート窓を透過して前記真空室に入るように、前記レーザ・ビームを位置決めするステップと、
前記第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器からの情報に基づいて、前記レーザ・ビームが、対物レンズの前に位置する指定された第2の点に向けられ、前記対物レンズを通過するように、前記レーザ・ビームを調整するステップと、
前記レーザ・ビームの経路上の指定された位置へ前記第1のレーザ・ビーム位置合せ検出器を移動させるステップと、
前記第1のレーザ・ビーム位置合せ検出器を用いて前記対物レンズ上の前記レーザ・ビームの位置を監視するステップと、
前記第1のレーザ・ビーム位置合せ検出器からの情報に基づいて、前記レーザ・ビームが、前記加工物に対して位置合せされた指定された第1の点に向けられ、前記加工物に対してユーセントリックになるように位置合せされるように、前記レーザ・ビームを調整するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の点に前記レーザ・ビームを調整した後、前記レーザ・ビームが前記第2の点に向けられるように、前記第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器からの情報に基づいて、前記レーザ・ビームの位置を監視し調整するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記レーザ・ビームを指定された前記第1の点および指定された前記第2の点に調整することが、前記レーザ・ビームが前記第1の点および前記第2の点の両方に位置合せされるまで繰り返し実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記加工物上のスポットを前記レーザ・ビームによって機械加工するステップと、
機械加工された前記スポットの位置を前記加工物のユーセントリック点と比較するステップと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
機械加工された前記スポットの位置を前記ユーセントリック点と比較する際に機械加工された前記スポットの位置が前記ユーセントリック点と一致しない場合、前記第1および第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を使用して、前記加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビームの位置合せを繰り返す、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム・システムに関し、より詳細には、荷電粒子ビーム・システム内においてレーザ・ビームの位置合せをするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム・システムは、集積回路、磁気記録ヘッド、フォトリソグラフィ・マスクなどの小型デバイスの製造、修復および検査を含むさまざまな用途で使用されている。荷電粒子ビームはイオン・ビームおよび電子ビームを含む。
【0003】
集束ビーム中のイオンは一般に、表面から材料を物理的に追い出すことによってマイクロ機械加工するのに十分な運動量を有する。電子はイオンよりもはるかに軽いため、電子ビームは一般に、エッチング剤蒸気と基板の間の化学反応を誘起することによって材料を除去することに限定される。イオン・ビームおよび電子ビームを使用すると、最も高性能の光学顕微鏡によって達成することができる倍率および分解能よりも大きな倍率および高い分解能で表面を画像化することができる。
【0004】
イオン・ビームは、たとえ画像化目的で使用されたときでも試料の表面を傷つける傾向を有するため、イオン・ビーム・カラムはしばしば電子ビーム・カラムと組み合わされてデュアル・ビーム・システムを構成する。このようなシステムはしばしば、ターゲットに対する最小限の損傷で高分解能画像を提供することができる走査電子顕微鏡(SEM)と、加工物を改変する目的および画像を形成する目的に使用することができる集束ビーム・システム、成形ビーム・システムなどのイオン・ビーム・システムとを含む。液体金属集束イオン・ビーム(LMIS FIB)と電子ビームとを含むデュアル・ビーム・システムはよく知られている。
【0005】
多くの例の集束イオン・ビーム(FIB)ミリング(milling)は、ある種のマイクロ機械加工用途に対して受け入れがたいほどに低速である。フェムト秒レーザを用いたミリングなど他の技法を使用して材料をより迅速に除去することもできるが、それらの技法の分解能は、一般的なLMIS FIBシステムの分解能よりも低い。レーザは一般に、荷電粒子ビームよりもはるかに大きな速度で基板にエネルギーを供給することができ、そのため、レーザの材料除去速度(レーザ・パルス繰返し速度1kHzで一般に最大7×10
6μm
3/s)は一般に、荷電粒子ビームの材料除去速度(ガリウムFIBで一般に0.1から3.0μm
3/s)よりもはるかに大きい。レーザ・システムは、レーザ・アブレーションを含む異なるいくつかの機構を使用してマイクロ機械加工を達成する。レーザ・アブレーションでは、小さな体積にエネルギーを急速に供給することによって基板から原子を爆発的に放出させる。本明細書では、レーザ・ビームを使用して基板から材料を迅速に除去するこのような方法を総称してレーザ・ビーム・ミリングと呼ぶ。
【0006】
荷電粒子ビーム・システムをレーザ・ビーム・システムと組み合わせると、両方のシステムの利点を示すことができる。例えば、高分解能LMIS FIBをフェムト秒レーザと組み合わせると、同じシステム内でのミリング用途の範囲を広げるために、レーザ・ビームを使用して材料を迅速に除去し、イオン・ビームを使用して高精度のマイクロ機械加工を達成することができる。電子ビーム・システムを単独でまたはFIBとともに組み込むと、試料の非破壊的な画像化が可能になる。
【0007】
図1は、荷電粒子ビーム・カラム101とレーザ104の組合せを有する先行技術のデュアル・ビーム・システム100を示す。このようなデュアル・ビーム・システムは、本出願の譲受人に譲渡された、参照によって本明細書に組み込まれるMarcus Straw他の「Combination Laser and Charged Particle Beam System」という名称の米国特許出願公開第2011/0248164号明細書に記載されている。この背景技術の項に含まれているからといって、米国特許出願公開第2011/0248164号明細書は先行技術とは認められない。
図1の略図に示されているように、レーザ104からのレーザ・ビーム102は、真空室108内に位置するレンズ106によって集束して収束レーザ・ビーム120となる。レーザ・ビーム102は窓110から真空室に入る。荷電粒子ビーム112に隣接して配置された単一のレンズ106または一群のレンズ(図示せず)を使用して、(荷電粒子ビーム集束カラム101によって生成された)荷電粒子ビーム112が試料114上の位置116に衝突するときに、レーザ・ビーム120が荷電粒子ビーム112と一致し共焦点を結ぶか、または荷電粒子ビーム112に隣接した位置に集束するような態様で、レーザ・ビーム120を集束させる。
【0008】
レーザ・ビーム・システムを荷電粒子ビーム・システムと統合することには重大な課題がある。荷電粒子ビームとともに使用されるレーザ・ビームを空間的に安定させる際に問題が生じることがある。レーザの安定性は、出力開口に対するレーザの方向およびレーザの初期位置を正確に維持するレーザの能力によって決まる。しかしながら、レーザ・ビームの位置は、温度、レーザ内の機械的振動および他の環境条件が変化することにより、時間とともにドリフトすることがある。したがって、このドリフトを補償するためにレーザ・ビームの定期的な再位置合せが必要である。荷電粒子ビーム・システム内においてレーザ・ビームの位置合せをするプロセスは現在のところ、時間がかかる非常に根気の要る手動プロセスであり、かなりの専門技術を必要とする。レーザ・ビーム・システム内における自動化されたビームの位置決めはよく知られている。「Automatic beam alignment system for a pulsed infrared laser」、Review of Scientific Instruments 80、013102(2009)を参照されたい。ビームの適切な位置合せを維持するため、過去のシステムは通常、ビーム位置検出器から信号を受け取り、その結果として、電動式光学要素(例えば調整可能なミラー)に対してコマンドを発するコントローラを使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0248164号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Automatic beam alignment system for a pulsed infrared laser」、Review of Scientific Instruments 80、013102(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
残念なことに、現在、手動でレーザ・ビームの位置合せをすること以外に、荷電粒子ビーム・システム内においてレーザ・ビームの位置合せを都合よく実施することができる実用的なシステムはない。荷電粒子ビーム・システムの小さな試料室は、ビーム位置合せシステムに必要な構成要素を収容することを困難にする。求められているのは、手動で位置合せを実行する必要なしに、荷電粒子ビーム・システム内においてレーザ・ビームの位置合せを都合よく実施する方法および装置である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、電子ビームまたは集束イオン・ビームとともに実現された荷電粒子ビーム・システム内においてレーザ・ビームの位置合せを実行する方法および装置であって、システムのユーセントリック点(eucentric point)と一致する位置合せを提供する方法および装置を提供することにある。本発明の好ましい一実施形態によれば、ビーム位置決めシステムを使用してこのタイプの位置合せを提供する。
【0013】
本発明の他の目的は、真空室と、真空室内に位置する加工物支持体と、荷電粒子ビームを生成する荷電粒子ビーム・システムと、レーザ・ビームを生成するレーザ・ビーム・システムと、レーザ・ビームの位置合せをするレーザ・ビーム位置合せシステムであり、レーザ・ビーム位置
合せ検出器を真空室内に有するレーザ・ビーム位置合せシステムとを有するシステムを提供することにある。このシステムは、真空室の外側に位置する第2の
レーザ・ビーム位置
合せ検出器と、レーザ・ビームの位置が荷電粒子ビーム・システムのユーセントリック点に一致するようにレーザ・ビームを調整するビーム・ステアリング・ミラー(beam steering mirror)とを有する。
【0014】
本発明の他の目的は、レーザ・ビームを調整する方法であって、荷電粒子ビームを生成することができる荷電粒子ビーム源を提供すること、真空室を提供すること、レーザ・ビームを生成することができるレーザ・ビーム源を提供すること、およびレーザ・ビーム源を荷電粒子ビーム・システムのユーセントリック点に位置合せすることを可能にするレーザ・ビーム位置合せシステムを提供することを含む方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、荷電粒子ビーム・システムと一緒にレーザ・システムを使用する方法であって、加工物の表面で使用される荷電粒子ビームを生成するステップと、加工物の表面で使用されるレーザ・ビームを生成するステップとを含み、このレーザ・ビームが、加工物に対してユーセントリックになるように位置合せされる方法を提供することにある。このレーザ・ビームの位置合せプロセスは、システムの真空室内に位置する位置合せ検出器と真空室の外側に位置する位置合せ検出器とを使用して実行される。
【0016】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0017】
次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】荷電粒子ビーム・サブシステムとレーザ・ビーム・サブシステムとを含む先行技術のデュアル・ビーム・システムの略図である。
【
図2】レーザ・ビーム位置合せシステムを示す本発明の一実施形態の略図である。
【
図3】マルチビーム・システムに組み込まれたレーザ・ビーム位置合せシステムを示す本発明の一実施形態の略図である。
【
図4】レーザ・ビーム位置合せプロセスの諸ステップを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を一律の尺度で描くことは意図されていない。これらの図面では、さまざまな図に示されている同一の構成要素またはほぼ同一の構成要素が、同様の符号によって示されている。見やすくするため、全ての図面の全ての構成要素に符号が付けられているわけではない。
【0020】
レーザ・ビーム・システムを荷電粒子システムと統合することには、レーザ・ビームの位置合せに必要な時間および専門技術に関する困難が伴う。真空室内においてレーザ・ビームの位置合せをする一般的な方法は、非常に冗長で時間がかかる手動プロセスである。本発明の実施形態は、荷電粒子ビーム・システム内においてレーザ・ビームを手動で位置合せする一般的な方法にはない利点を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、荷電粒子ビーム・システム内においてレーザ・ビームの位置合せをレーザ位置センサを使用して実行するシステムを提供する。
【0021】
図2は、荷電粒子ビーム・システム内で使用する好ましい一実施形態に基づくレーザ・ビーム位置合せシステム201の略図である。レーザ・ビーム源205がレーザ・ビーム204を生成する。レーザ・ビーム204の方向を制御するため、2つの高速ステアリング・ミラー(fast steering mirror)202、203が配置されている。高速ステアリング・ミラー(FSM)は、レーザ・ビームの方向を制御するためにミラーを機械的に傾ける能力を有する。FSMは当業者によく知られており、本明細書でさらに説明する必要はない。当技術分野では、走査ミラー(scanning mirror)を含む他のタイプのビーム・ステアリング・ミラーも知られている。ガルバノメータ(galvanometer)に基づく走査ミラーをFSMの代わりに使用することができ、このタイプのミラーも当業者によく知られている。高速ステアリング・ビーム・ミラー202および203は伝送路207および208によって高速ステアリング・ミラー・コントローラ206および213に接続される。高速ステアリング・ミラー内では、高速ステアリング・ミラーが高速ステアリング・ミラー・コントローラから受け取った電気信号を使用するために、ボイス・コイル(voice coil)、またはガルバノメータである装置もしくはガルバノメータのように動作する装置が使用される。高速ステアリング・ミラー・コントローラ206および213は、レーザ・ビームの細かなポインティング(pointing)およびトラッキング(tracking)を制御する。
【0022】
高速ステアリング・ミラー202は、コントローラ206を介してカッド・セル検出器(quad cell detector)210に結合される。カッド・セル検出器210は、荷電粒子ビーム・システム201の室壁209の外側に位置する。室壁209は、荷電粒子ビーム・システム201の真空室を外部から分離する。高速ステアリング・ミラー202および203で反射された後、レーザ・ビーム204は、ビーム・サンプラまたはビーム・スプリッタ211によって分割されて、第2のビーム223を形成する。ビーム・スプリッタ211は、ビームを2つの成分ビームに分割する従来のビーム・スプリッタである。この2つの成分ビーム間のパワー分割は、ビーム・スプリッタの反射係数および透過係数によって決定される。第2のビーム223はカッド・セル検出器210に導かれる。第2のビーム223は一般に、分割された2つのビームのうちの弱い方のビームである。カッド・セル検出器210およびカッド・セル検出器215は、レーザ・ビーム源の位置合せまたはレーザ・ビーム源の位置を検出することができる従来の位置合せ検出器とすることができる。位置感応検出器(position sensitive detector)(PSD)は別のタイプの位置合せ検出器である。PSDは一般に、入射光または入射レーザ・ビームを、連続する位置データに変換する光電デバイスである。言い換えると、PSDは、入射光ビームの位置を検出し記録することができる。PSDは、象限検出器(quadrant detector)構成または2軸横効果検出器(dual axis lateral effect detector)を含むさまざまな構成を有することができる。これらの2つのタイプの検出器の目的は、光軸と直交するX−Y平面内におけるビームの重心(centroid)の位置を感知することである。PSDからXおよびY位置を測定するために、PSDには4つの電極(図示せず)が取り付けられており、光吸収(photoabsorption)によって生み出された4つの電流を、あるアルゴリズムが処理する。カッド・セル検出器210は一般に固定されており、レーザ・ビーム204の位置データをFSMコントローラ206に提供する。次いで、FSMコントローラ206が高速ステアリング・ミラー202を調整して、レーザ・ビームが位置合せ点220を通るようにする。レーザ・ビーム204は窓212を通って真空室に入り、真空室内で、このレーザ・ビームは対物レンズ214によって集束する。
【0023】
カッド・セル検出器215は、コントローラ213および高速ステアリング・ミラー203に結合される。カッド・セル検出器215は真空室の室壁209の内側に位置する。カッド・セル検出器215は、高速ステアリング・ミラー・コントローラ213および高速ステアリング・ミラー203と協働して、レーザ・ビーム204の位置を位置合せ点221に機械的に一致させる。室内カッド・セル検出器215は、遠隔操作によって、比較的に良好な位置決め精度および比較的に高い再現性で位置決めすることができる。他のタイプの位置合せ検出器が、レーザ位置合せの検出または位置検出を実行することもできる。カッド・セル検出器は一般に、その表面を横切る2つのギャップを有する一様な円板である。カッド・セル検出器は、円板のそれぞれの四分円から4つの信号を生成する。円板のそれぞれの四分円の信号強度が等しくなるまで、円板上でレーザ・ビームを変化させる。レーザ・ビーム204の通路を空けるため、リトラクタ(retractor)222によって室内カッド・セル検出器215を後退また移動させることができる。リトラクタ222は、真空室360の外側から遠隔制御することができる。リトラクタ222は、カッド・セル検出器215の位置合せ位置から、レーザ・ビームの通路から離れたある位置までカッド・セル検出器215を移動させることができる任意の機構とすることができる。この機構は、X−Y−Z方向に手動で調整されるレバーとすることができ、またはカッド・セル検出器215をX−Y−Z方向に電子的に調整することができる電子構成要素とすることができる。この機構は、リトラクタ222が、カッド・セル検出器215を適切な位置まで正確に繰り返し移動させ、さらにカッド・セル検出器215を適切な位置から正確に繰り返し移動させることを可能にするものでなければならない。リトラクタ222は、対物レンズ214の光軸に対して位置合せされる。本発明の一実施形態では、対物レンズ214が、カッド・セル検出器215に対する物理的停止機構(図示せず)を提供する。リトラクタには、位置合せされた適切な位置までカッド・セル検出器215をスライドさせ、さらに位置合せされた適切な位置からカッド・セル検出器215をスライドさせる、電子制御されたアクチュエータ・アームが含まれるであろう。
【0024】
図3は、材料を迅速に除去するための(レーザ306によって生成された)集束レーザ・ビーム216を、材料をさらに処理するための(FIBカラム304によって生成された)集束イオン・ビーム(FIB)352および材料除去プロセスを監視するための(SEMカラム302によって生成された)電子ビーム350と組み合わせた、本発明の好ましい一実施形態に基づくシステム300を示す。レーザ306は、第1のステアリング・ミラー202に向かってレーザ・ビーム308を導き、第1のステアリング・ミラー202は、レーザ・ビーム308を反射して第1の反射ビーム312を形成する。第1の反射ビーム312は第2のステアリング・ミラー203に向かって導かれ、第2のステアリング・ミラー203は、第1の反射ビーム312を反射して第2の反射ビーム322を形成する。第2の反射ビーム322は透明な窓212を通して真空室360内に導かれる。「透明」は、この窓が、使用している特定のタイプのレーザの波長に対して透過性であることを意味する。ステアリング・ミラー202および203(または類似の反射要素)は、試料320上のレーザ・ビーム216の位置を調整する目的に使用される。
【0025】
対物レンズ214が、(実質的に平行なビームとすることができる)レーザ・ビーム322を集束させて、試料320の表面または表面付近に焦点を有する集束レーザ・ビーム216を形成する。いくつかの実施形態では、好ましいことに、機械加工中の試料320の中の材料のアブレーションしきい値より大きなフルエンス(fluence)でレーザ・ビーム216を動作させることができる。本発明の好ましい実施形態は、十分なフルエンスを供給する既存のまたは将来開発される任意のタイプのレーザを使用することができる。好ましいレーザは、ナノ秒からフェムト秒の短いパルス・レーザ・ビームを発射する。適当なレーザは例えば、Ti:サファイヤ発振器または増幅器、ファイバ型レーザ(fiber−based laser)、イッテルビウム・ドープまたはクロム・ドープ薄ディスク・レーザ(thin disk laser)などである。レーザを使用した熱誘起化学脱離(thermally induced chemical desorption)プロセス、レーザ光化学プロセスなどの他の実施形態は、加工物と反応してもアブレーションを生じないより小さなフルエンスを有するレーザを使用することができる。このシステムでは、カッド・セル検出器210および215を読みとって計算された調整によって、高速ステアリング・ミラー202および203の操作を正確に制御することができ、その結果、レーザ・ビームが対物レンズ214の中心を通り、最終的にターゲット320のユーセントリック点に入射するように、レーザ・ビームを位置合せすることができる。レーザ・ビームの精度をより高め、および集束レーザ・ビームによって検出器が損傷することを防ぐために、カッド・セル検出器214は、実用上可能な範囲で、対物レンズ214の出力のできるだけ近くに配置される。
【0026】
試料320は一般に精密ステージ(図示せず)上に配置される。精密ステージは、試料をX−Y平面内で平行移動させることができることが好ましく、さらに、3次元構造体を製造する際の柔軟性を最大にするために、加工物をZ軸に沿って平行移動させることができ、試料を傾け、回転させることができるとより好ましい。システム300は、任意選択で、電子ビーム・カラム302もしくはイオン・ビーム・カラム304またはその両方などの1つまたは複数の荷電粒子ビーム・カラムを含み、この荷電粒子ビーム・カラムは、レーザ・アブレーション・プロセスを監視するために試料を画像化する目的、または(FIBミリングなどの)他の処理作業もしくは画像化作業を実行する目的に使用することができる。イオン・ビーム・カラム304は一般に、試料表面320のレーザ・ビーム318の焦点または焦点の近くに集束させることができるイオン・ビーム352を形成する。FIBカラム304は、画像化および/またはFIBミリングを実行するためにイオン・ビーム352で基板表面を走査することもできる。システム300はさらに、電子ビーム350または集束イオン・ビーム352の存在下で基板320と反応する前駆体ガスを供給するガス注入システム330を含むことができる。
【0027】
先行技術においてよく知られているとおり、電子ビーム・カラム302は、電子を生成する電子源(図示せず)と、試料表面320をSEM画像化する目的に使用することができる微細集束電子ビーム350を形成する電子−光学レンズ(図示せず)とを備える。電子ビーム350は、偏向コイルまたは偏向板(図示せず)によって試料320の表面で位置決めすることができ、試料320の表面を走査することができる。これらのレンズおよび偏向コイルの動作は、電源および制御ユニット(図示せず)によって制御される。これらのレンズおよび偏向ユニットは、電場、磁場またはこれらの組合せを使用することによって電子ビームを操作することができることに留意されたい。
【0028】
試料室360は、真空コントローラ(図示せず)によって制御された機械式高真空ポンピング・システムを使用して試料室から排気するための1つまたは複数のガス出口を含むことが好ましい。試料室360はさらに、そこから室内にガスを所望の圧力で導入することができる1つまたは複数ガス入口を含むことが好ましい。
【0029】
図4は、
図3のレーザ・ビーム・システム300の位置合せをする一実施形態に基づくアルゴリズムの諸ステップを示す流れ図である。このアルゴリズムを開始する前に、ステップ401で、レーザ・ビームを粗く集束させ、レーザ・ビームが点220を通るようにレーザ・ビームを位置合せしなければならない。このステップは、システムを換気し、分離テーブルを使用する場合には分離テーブルを浮かした状態で実行すべきである。さらに、レーザ・ビーム204がレーザ入射ポート(laser injection port)(LIP)窓212を透過して真空室360に入るように、レーザ・ビーム204を位置決めする。一般に、この粗い集束が適切であると、真空室が開放されているときに、目に見えるプラズマが形成される。プラズマからのこの発光によって、ユーザは、レーザ・ビームの焦点を、カラムのユーセントリック点の近くに大まかに配置することができる(LIP窓214は、室外から手動でX、YおよびZ方向に平行移動させることができる)。LIP窓214は、X方向およびY方向に移動させることができ、試料の表面でビームを位置決めする。LIP窓214は、ビームの焦点を所望の位置に導くことができるように、例えばレーザ・ビームの位置がシステムのユーセントリック点と一致するように、Z軸に沿って移動させることができる。ビームを手動で粗く集束させ、位置決めした後、ポンプによってシステム300から排気し、電子ビームをオンにする。粗く集束させるためのこの手動操作は一般に、システム300に対するレーザの位置合せを最初に実施するときにだけ実施すればよい。
【0030】
ステップ402で、カッド・セル215を、予め位置合せしておいたレーザ・ビーム経路上の位置へ移動させる。ステップ403で、ビーム・スプリッタ211上のレーザ・ビーム204の位置を、カッド・セル検出器210の位置において監視する。カッド・セル検出器210からのビーム位置情報を(高速ステアリング・ミラー202およびコントローラ206によって)使用可能な信号に変換する。ステップ404および411で、コントローラ206が高速ステアリング・ミラー202のボイス・コイルと協働し、高速ステアリング・ミラー202のボイス・コイルが、ビームを点220と一致するように導くのに必要な精密調整を提供する。ビームの位置が点220と適切に一致するまで、ステップ404および411を繰り返し実行する。
【0031】
ビームの位置を点220と適切に一致させた後、ステップ405で、対物レンズ214におけるビームの位置をカッド・セル検出器215によって監視する。カッド・セル検出器210と同様に、カッド・セル検出器215からのビーム位置情報を(高速ステアリング・ミラー203およびコントローラ213によって)電圧に変換し、その電圧を、高速ステアリング・ミラー203のボイス・コイルに印加する。コントローラ213を用いた高速ステアリング・ミラー203の調整を、ステップ407でビームの位置が点221と一致するまで繰り返し、順番に、反復的に実施する。ビームが点221上に適切に入射した場合、ステップ408で、ビーム・スプリッタ211におけるビームの位置をカッド・セル検出器210によって再び監視する。ステップ409で、ビームを監視して、ビームが点221上に入射するようにする。ビームの位置が点220と221の両方と一致するまでこのプロセス全体を繰り返す。
【0032】
点220および221と一致するようにビームの位置合せを実施した後、LIP窓212を通してビームを入射させる。高速ステアリング・ミラー203上でビームの位置を確認する。高速ステアリング・ミラー203は、試料320の表面をビームで走査する目的に使用されるため、高速ステアリング・ミラー203を使用して、ビームが試料320の表面の中心に入射するようにビームを導く必要がある。ビームが高速ステアリング・ミラー203の中心に入射していない場合、この走査が、走査範囲にわたって線形でない可能性がある。ビームが高速ステアリング・ミラー203の中心に入射していない場合には、走査の範囲が1方向に制限される可能性もある。高速ステアリング・ミラー203が試料320の表面の中心に対応していない場合、ステップ410で、ビームを試料の中心に入射させるために必要なだけ、ミラー・アセンブリ全体をX/Y方向に移動させる。このプロセスではミラーの角度は一般に変更されない。
【0033】
システムのユーセントリック点と一致するようにレーザ・ビームを位置合せした後、ビームが試料に入射することを可能にするため、リトラクタ222を使用して、カッド・セル検出器215をビーム経路外へ移動させる。使用時には、レーザ・ビームを、荷電粒子システムのユーセントリック点に集束させる。このユーセントリック点は一般に、電子カラム302の端部からある既知の距離のところにある。焦点距離がシステムのユーセントリック点と同じとなるように電子ビーム350の焦点を調整し、その焦点が試料上に来るまで加工物の高さを調整する。次いでレーザ・スポットで試料の表面を機械加工し、システムのユーセントリック点と比較する。レーザ・スポットがユーセントリック点にない場合には、正しい位置に達するまでLIP窓212を手動で調整する。以上に詳述した位置合せ手順を繰り返し、レーザ・スポットの手動位置決めを再び実行する。このビームの位置がユーセントリック点と一致し、レーザ・ビームがユーセントリック点に位置決めされ、電子ビーム350の位置がユーセントリック点と一致するまで、このプロセス全体を反復する。この位置合せが完了したら、LIP窓212の位置を固定する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、マルチビーム・システムは、真空室と、真空室内で加工物を支持する加工物支持体と、加工物に向かって導かれる荷電粒子ビームを生成する荷電粒子ビーム・システムと、真空室内で加工物を処理するレーザ・ビームを生成するレーザ・ビーム・システムと、前記レーザ・ビームの位置合せをするレーザ・ビーム位置合せシステムであり、レーザ・ビーム位置合せ検出器を前記真空室内に有するレーザ・ビーム位置合せシステムとを備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、レーザ・ビーム位置合せシステムが、第2のビーム位置合せ検出器を前記真空室の外側に含む。いくつかの実施形態では、レーザ・ビーム位置合せシステムが、前記レーザ・ビーム位置
合せ検出器に結合されたビーム・ステアリング・ミラーを含む。いくつかの実施形態では、レーザ・ビーム位置合せシステムが、前記レーザ・ビーム位置合せ検出器に結合された第1のビーム・ステアリング・ミラーと、真空室の外側に位置する第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器に結合された第2のビーム・ステアリング・ミラーとを含む。いくつかの実施形態では、マルチビーム・システムが、第1のビーム位置合せ検出器によって検出された位置信号に応答する第1のビーム・ステアリング・コントローラであり、第1の位置に向かってビームを移動させるよう第1のステアリング・ミラーに指示する第1のビーム・ステアリング・コントローラと、第2のビーム位置合せ検出器によって検出された位置信号に応答する第2のビーム・ステアリング・コントローラであり、第2の位置に向かってビームを移動させるよう第2のステアリング・ミラーに指示する第2のビーム・ステアリング・コントローラとを含む。いくつかの実施形態では、第1の位置および第2の位置が加工物に対してユーセントリックである。
【0036】
いくつかの実施形態では、マルチビーム・システムが、加工物に導かれる電子ビームを生成する電子ビーム源を含む。いくつかの実施形態では、レーザ・ビーム位置合せシステムが、第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器を前記真空室の外側に含む。いくつかの実施形態では、レーザ・ビーム位置合せシステムが、前記レーザ・ビーム位置合せ検出器に結合されたビーム・ステアリング・ミラーを含む。いくつかの実施形態では、レーザ・ビーム位置合せシステムが、真空室の外側に位置する第2のレーザ・ビーム位置合せ検出器に結合された第2のビーム・ステアリング・ミラーを含む。いくつかの実施形態では、マルチビーム・システムが、第1のビーム位置合せ検出器によって検出された位置信号に応答する第1のビーム・ステアリング・コントローラであり、第1の位置に向かってビームを移動させるよう第1のステアリング・ミラーに指示する第1のビーム・ステアリング・コントローラと、第2のビーム位置合せ検出器によって検出された位置信号に応答する第2のビーム・ステアリング・コントローラであり、第2の位置に向かってビームを移動させるよう第2のステアリング・ミラーに指示する第2のビーム・ステアリング・コントローラとを含む。いくつかの実施形態では、第1の位置および第2の位置が試料に対してユーセントリックである。いくつかの実施形態では、レーザ・ビームが対物レンズを透過し、レーザ・ビームがターゲットに対してユーセントリックである。
【0037】
いくつかの実施形態では、レーザ・ビームが対物レンズを透過し、レーザ・ビームがターゲットに対してユーセントリックである。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム・システム内においてレーザの位置合せをする方法は、荷電粒子ビームを生成することができる荷電粒子ビーム源を提供するステップと、真空室を提供するステップと、レーザ・ビームを生成することができるレーザ・ビーム源を提供するステップと、前記レーザ・ビーム源の位置合せをするレーザ・ビーム位置合せシステムを提供するステップと、前記レーザ・ビーム位置合せシステムが、加工物に対してユーセントリックになるように、前記レーザ・ビーム源の位置合せをするステップとを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記レーザ・ビーム源の位置合せをするステップが真空室内で実行される。いくつかの実施形態では、レーザの位置合せをするこの方法が、試料に対してユーセントリックになるようにレーザ・ビームの位置合せをする第2の位置合せシステムを、真空室の外側に含む。いくつかの実施形態では、レーザ・ビームが、真空室の外側でターゲットに対してユーセントリックである態様で、第1の位置合せシステム内および第2の位置合せシステム内で位置合せ検出器が使用され、レーザ・ビームが、真空室の外側でターゲットに対してユーセントリックである。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム・システムと一緒にレーザ・システムを使用する方法は、荷電粒子ビームを生成するステップと、荷電粒子ビームを加工物の表面に導くステップと、加工物の表面で使用するレーザ・ビームを生成するステップと、加工物に対してユーセントリックになるように、レーザ・ビームの位置合せをするステップとを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記システムの真空室内に位置する位置合せ検出器を使用して前記レーザ・ビームの位置合せが実施される。いくつかの実施形態では、前記真空室の外側に第2の位置合せ検出器が位置する。
【0042】
以上に説明した発明は幅広い適用可能性を有し、上記の例に記載され示された多くの利益を提供することができる。実施形態は、用途によって大幅に異なり、全ての実施形態が全ての利点を提供するというわけでなく、本発明によって達成可能な全ての目的を達成するわけではない。例えば、好ましい一実施形態では、TEM試料が、1マイクロメートル未満のスポットに集束するガリウム・イオン・ビームを生成するガリウム液体金属イオン源を使用して製作される。このような集束イオン・ビーム・システムは、例えば本出願の譲受人であるFEI Companyから販売されている。しかしながら、以上の説明の多くは、FIBミリングの使用を対象としているが、所望のTEM試料を処理するのに使用するミリング・ビームは、例えば電子ビーム、レーザ・ビーム、または例えば液体金属イオン源もしくはプラズマ・イオン源からの集束もしくは整形イオン・ビーム、あるいは他の任意の荷電粒子ビームを含むことができる。さらに、以上の説明の多くは半導体ウェーハを対象としているが、本発明は、適当な任意の基板または表面に対して使用することができる。
【0043】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0044】
201 レーザ・ビーム位置合せシステム
202、203 高速ステアリング・ミラー
204 レーザ・ビーム
205 レーザ・ビーム源
210 カッド・セル検出器
211 ビーム・スプリッタ
214 対物レンズ
222 リトラクタ