(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の基板と、第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に液晶を封止するシールとを備え、前記第1の基板を鉛直上方から見て中央部が表示エリアであり、前記表示エリアの外周が額縁部である液晶表示装置において、
前記第1の基板の前記額縁部は、
前記表示エリアに近い領域に、順次積層された有機絶縁膜と透明導電膜と配向膜との積層膜を有する平坦部と、
前記表示エリアから遠い領域に、前記有機絶縁膜で形成され、前記表示エリアを連続して取り囲む溝構造と、を有し、
前記溝構造は、第1の溝と、前記第1の溝よりも前記表示エリアから遠い第2の溝と、を有し、
前記第2の溝の幅は、前記第1の溝の幅よりも狭く、
前記溝構造と前記表示エリアの間に、前記透明導電膜の端部がある、ことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置は狭額縁化の方向にあり、配向膜においてもパターン精度の向上が求められている。発明者等は、インクジェット方式は、インクを塗布する位置の精度がフレキソ印刷に比べて高く、インク消費量が少なく、高精度化・狭額縁化に好適であるため、狭額縁な液晶表示装置への適用を検討した。しかしながら、インクジェット印刷の場合、フレキソ印刷に比べてインクの粘度が低く流れ易いためインクが塗布されたパターン外周部での印刷精度の確保が難しい。発明者等は偶々、或る液に対する濡れ性が低い材料で形成された開口部には、当該液が浸入し難い現象に気付き、この現象を印刷用インクの流れ止めに利用できないかと考えた。濡れ性(浸水性、疎水性)の観点で従来技術を調査した結果、特許文献1が見出された。特許文献1には、基板に対して非接触な配向膜印刷方式によって配向膜を印刷する液晶表示装置における、配向膜の印刷位置(パターニング)精度を良くし、さらにその膜厚の均一性を向上させるために、基板に対して非接触な配向膜印刷方式により配向膜を形成した液晶表示装置において、シール材と表示エリアの間に印刷制御パターンを設けることにより、配向材の濡れ広がりを制御し膜厚を均一にできる配向膜を形成すること、印刷制御パターンは、撥水性の高い領域、微小な凹構造または凸構造または柱状体により構成できることが開示されている。なお、特許技術文献2、3には、配向膜の濡れ性に関する記載はない。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を狭額縁な液晶表示装置へ適用する場合、配向膜材料をはじきやすい部材で凹凸形状の繰り返しパターンを用いても凹凸の間からのはみ出しにより配向膜端部の位置制御が不十分である虞がある。
【0007】
本発明の目的は、狭額縁であっても信頼性が高い液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一実施形態として、第1の基板と、第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に液晶を封止するシールとを備え、前記第1の基板を鉛直上方から見て中央部が表示エリアであり、前記表示エリアの外周が額縁部である液晶表示装置において、
前記第1の基板の前記額縁部は、前記表示エリアに近い領域に、順次積層された有機絶縁膜と透明導電膜と配向膜との積層膜を有する平坦部と、前記表示エリアから遠い領域に、前記有機絶縁膜で形成され、前記表示エリアを連続して取り囲む溝構造と、を有
し、
前記溝構造は、第1の溝と、前記第1の溝よりも前記表示エリアから遠い第2の溝と、を有し、
前記第2の溝の幅は、前記第1の溝の幅よりも狭いことを特徴とする液晶表示装置とする。
【0009】
また、表示エリアと、前記表示エリアの外周の額縁部とを有する液晶表示装置において、
前記額縁部は、前記表示エリアに近い領域に、順次積層された有機絶縁膜と透明導電膜と配向膜との積層膜を有する平坦部と、前記表示エリアから遠い領域に、前記有機絶縁膜で形成され、前記表示エリアを取り囲
み、第1の溝及び前記第1の溝よりも前記表示エリアから遠い第2の溝とを含み、前記第2の溝の幅は、前記第1の溝の幅よりも狭い溝構造とを有し、
前記溝構造
は溝構造が寸断されている箇
所を有し、互いに隣接する溝の寸断された箇所が、互いに隣接する溝の間隔Sよりも大きな間隔Lだけ離れて形成されていることを特徴とする液晶表示装置とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、狭額縁であっても信頼性が高い液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】透明導電膜(ITO)が形成された有機絶縁膜のITO上に塗布された配向膜液の端部における表面エネルギーを説明するための模式断面図である。
【
図2A】ITOが形成され、ITO端部に溝が設けられた有機絶縁膜のITO上に塗布された配向膜液の端部における表面エネルギーを説明するための模式断面図である。
【
図2B】
図2Aの構成において、配向膜液の濡れ拡がりを説明するための模式鳥瞰図である。
【
図2C】
図2Aの構成において、配向膜液が過剰な場合の配向膜液の拡がりを説明するための模式断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施例に係る液晶表示装置において、配向膜液が少ない場合における額縁部の概略断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施例に係る液晶表示装置において、配向膜液が多い場合における額縁部の概略断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る液晶表示装置の概略平面図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に係る液晶表示装置におけるTFT基板の製造工程を説明するためのフロー図である。
【
図7】本発明の第1の実施例に係る液晶表示装置における対向基板(CF基板)の製造工程を説明するためのフロー図である。
【
図8】本発明の第2の実施例に係る液晶表示装置における額縁部の概略断面図である。
【
図9】本発明の第3の実施例に係る液晶表示装置における額縁部の概略断面図である。
【
図10】本発明の第4の実施例に係る液晶表示装置における額縁部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明者等は、配向膜液(インク)が塗布されたパターンの端部(外周部)位置を高精度に制御する構成について検討した。その結果、液晶表示装置を構成する部材の形状や濡れ性を考慮することにより、インクの流れを抑制しパターン外周部の印刷精度を確保できることが分かった。
【0013】
図1は透明導電膜(ITO)が形成された有機絶縁膜のITO上に塗布された従来の配向膜液300の端部における表面エネルギー(表面張力)の関係を説明するための模式断面図を、
図2AはITOが形成され、ITO端部に溝が設けられた有機絶縁膜のITO上に塗布された本実施の形態における配向膜液300の端部における表面エネルギーの関係を説明するための模式断面図を示す。
図1において、配向膜液300の端部の表面エネルギーのバランスは、
γs(ITO)L+γLcosθ=γs(有機膜) …(1)
となる。ここで、γs(ITO)LはITO/配向膜液界面の表面エネルギー、γLは配向膜液/空気界面の表面エネルギー、γs(有機膜)は有機膜/空気界面の表面エネルギーを意味する。また、
図2Aの溝の端部における配向膜液300の表面エネルギーのバランスは、
γs(ITO)L+γLcosθ’=γs(有機膜) …(2)
となる。段差エッジ部分では、溝の傾斜角αの影響と表面が有機絶縁膜のため、γs(有機膜)<γs(ITO)の関係が得られ、見掛け上の接触角θ’は平坦なITO表面端部の場合のθより大きく(θ≦θ’≦α+θ)なる。そのため、
図2Bに示すように、溝端部に沿った方向301に配向膜液300が濡れ拡がり、溝を乗り越える方向への配向膜液300の濡れ拡がりは抑制される。配向膜液300が過剰な場合には溝の中へ拡がるが、
図2Cに示すように溝を挟んだ堰(凸部)上端部に沿った方向に配向膜液300が濡れ拡がり、堰を乗り越える方向への配向膜液300の濡れ拡がりは抑制される。
【0014】
従って、配向膜液の塗布パターン精度が向上し、表示エリアとシールの間隔を狭くできるため液晶表示装置の表示パネルの狭額縁化に有効である。なお、周辺で配向膜が盛り上がるなど段差が生じる場合には、光配向を用いることにより良好な配向処理を行うことができる。
【0015】
本実施の形態では、TFT基板側の基板の表示エリアを取り囲む4辺に渡って有機絶縁膜に連続した溝を設けた。溝を設けることにより、単に濡れ難い材料を配置した溝無構造に比べて配向膜液の拡がりを抑制することができる。また、溝の側壁の傾斜は垂直に近いほど配向液膜の拡がりを抑制することができる。液晶表示装置を構成する部材で濡れ性が良いものとしては、ITO(接触角θ:3度)が挙げられる。濡れ性の悪い材料としては、アクリル系透明有機絶縁膜(接触角θ’:20度)が挙げられる。溝構造の傾斜角αを60度とした場合、溝端部での配向膜液の接触角は63〜80度に増大させることができ、配向膜液の濡れ拡がりをより抑制することが可能となる。更に、ITOや無機絶縁膜、有機絶縁膜に有機シラン分子(R−SiX:R=アルキル基、X=Cl,OCH3,OC2H5)を界面吸着させ、脱水縮合することでR−Si−O−酸化物表面の撥水表面処理が可能であり、より配向膜液をはじきやすくすることができ、配向膜液の濡れ拡がりを抑制する効果が高くなる。表面処理可能な下地はITO、SiO、SiNxでも、更に有機絶縁膜でも対応可能である。有機絶縁膜の場合には、上記界面活性剤で処理する前に、大気圧プラズマや紫外線によるオゾン(O3)処理などにより表面改質することで、表面処理の効果を増強することが出来る。
【0016】
なお、対向基板(CF基板)側は、スペーサを利用して額縁状の堰(壁状の凸部)を設けることで配向膜の流れを抑制することができる。また、本発明はインクジェット印刷に限らず、フレキソ印刷で配向膜を形成する場合にも適用することができる。
【0017】
以下、本発明について実施例により詳細に説明する。なお、同一符号は同一構成要素を示す。
【実施例1】
【0018】
本発明の第1の実施例について図を用いて説明する。
図3は、本発明の第1の実施例に係る液晶表示装置において、配向膜液が少ない場合における額縁部の概略断面図である。本実施例において、TFT等が形成されたTFT基板110に設けられたITO120の下層の透明有機絶縁層111aを利用して表示エリアの外周に溝(凹形状)構造115を少なくとも1つ(本実施例では4重)設け、表示エリアに近い側の透明有機絶縁膜111aの平坦部(図の左側部分)には透明導電膜(ITO又はIZO)120が形成され、溝(凹形状)の傾斜部および底部は有機絶縁膜で形成され、前記溝構造で配向膜液の濡れ拡がりを制限する。前記平坦部は透明導電膜(ITO又はIZO)又は無機絶縁膜の濡れ性が良い表面からなり、溝の傾斜部から外側(表示エリアから遠い方向:図の右側)は平坦部よりも濡れ性が悪い有機絶縁膜などの表面とすることで、その上層に塗布形成する配向膜端部の拡張性(濡れ拡がり)を抑制することができる。透明有機絶縁膜111aの厚さは約2μm、ITOの厚さは約50nm、配向膜300’の厚さは約100nm、溝の側壁の角度αは約60度、溝と突起のそれぞれの幅は約20μmとした。表示エリアの外周に複数の溝を設ける場合には、透明有機絶縁膜111bが壁状(凸形状)に複数残るように溝構造115を形成すれば良い。
【0019】
カラーフィルタやブラックマトリクス等が形成された対向基板(CF基板)200にはオーバーコート(OC)膜210が形成されており、TFT基板とCF基板との間の距離を規定するためにOC膜上に設けられる柱状スペーサ220a用の有機絶縁膜を利用して表示エリアの外周に環状の堰(凸形状)220bを設け、配向膜液の濡れ拡がりを抑制する構造とした。OC膜の膜厚は約1μm、柱状スペーサ220a及び環状の堰220bの高さは約4μm、配向膜の厚さは約100nmとした。対向基板とTFT基板との間はシール材400によりシールされる。
【0020】
次に、配向膜液が過剰の場合の例について
図4を用いて説明する。配向膜液が過剰の場合、透明電極120/透明有機絶縁膜111aの表面エネルギー差と表示エリアの外周に形成した多重の溝構造115で、配向膜液の拡張を防止し塗布パターンエッジを確保する。このような状況では、上記溝構造115がない場合、配向膜液の端部は1〜2mmの幅をもち、所望の位置に制御できない。一方、本実施例の溝構造を適用することで、0.2mm幅で所望の位置に制御できる。なお、配向膜300’が
図4に示すように濡れ拡がりが抑制されて平坦性が悪くなった場合には、光配向膜を用いることにより良好な配向処理が可能で表示不良にはなり難い。
【0021】
次に、溝構造115の平面構造について
図5を用いて説明する。
図5は本実施例に係る液晶表示装置100の概略平面図である。溝構造115は表示エリア101の外周に設けられる。溝構造115は、複数の溝がそれぞれ表示エリア101の外周を寸断することなく連続溝として形成されていることが望ましい。しかしながら、それぞれの溝を連続して形成できず、例えば、表示エリア101の4辺のうち、少なくとも1辺に1ヶ所、溝構造が寸断されるような場合、隣接する溝の寸断された箇所が、隣接溝の間隔Sよりも大きな間隔L(>S)だけ離れるように形成することにより、溝が寸断された箇所を伝わって配向液が外部に漏れることを抑制し、配向液の外周の寸法の乱れを防止することができる。その際、溝の数を3つ(3重)以上とすることが有効である。符号116は溝構造が寸断されている箇所を示す。上記条件を満たす範囲において、複数箇所で溝構造を寸断することができる。また、一辺と他辺であっても上記間隔条件を満たす限り、溝構造を寸断することができる。なお、液晶表示装置は図示されていない駆動回路部を有し、有機絶縁膜の下側に形成された図示しない配線により表示エリアの画素毎に配置されたTFTと接続されている。
【0022】
次に、
図6と
図7とを用いて、それぞれTFT基板及びCF基板の作製手順について説明する。なお、TFT基板及びCF基板とも公知の製造技術を用いて作製することができる。TFT基板は
図6に示すように、先ず薄膜トランジスタ(TFT)を形成する。層構成としては、チャネルやソース領域、ドレイン領域が形成されるポリシリコン層、ゲート絶縁膜となる絶縁膜層、走査信号線であるゲート配線となるメタル層、ドレイン領域に対するコンタクトホールを有する絶縁膜、ドレイン領域に接続され映像信号配線となるメタル層等々を、スパッタ、CVDなどによって形成し、所望のパターンとなるようにフォトリソグラフィなどによってパターニングする(TFT形成ステップS601)。次いで、その上層に有機絶縁膜をスピンコート又はスリットコートなどによって形成し、フォトリソグラフィなどによって上記ステップで形成したTFTのソース領域と画素電極との電気的接続のためのコンタクトホール等のパターニングを行う(有機絶縁膜形成ステップS602)。その際に、表示エリアの外周部に溝構造を併せて形成する。引き続き、その上層にコモン電極となるITO電極を形成し、表示エリア内部および外周部の溝構造に合わせて所望のITO形状にパターニングする(コモン電極形成ステップS603)。次に、コモン電極上層に層間絶縁膜となるSiN膜やSiO2膜などの無機絶縁膜をCVD法などによって形成し、表示エリア内部および外周部の溝構造に合わせて所もの形状にパターニングする(層間絶面膜形成ステップS604)。次いで、層間絶縁膜上層に画素電極となるITOをスパッタなどによって形成し、表示エリア内部は櫛歯状のスリットパターンとし、外周部の溝構造部においては所望の形状となるようにパターニングする(画素電極形成ステップS605)。画素電極をパターニングした後、配向膜をインクジェット法により塗布形成し、レべリングにより平坦化しイミド化焼成した後に、配向規制力を付与して液晶を一定方向に配向させるためにラビングや光配向を行う(配向膜形成ステップS606)。なお、配向膜は印刷法により塗布することもできる。
【0023】
対向基板(CF基板)は
図7に示すように、先ず遮光ブラックマトリクス(BM)層を形成し、所望のマトリクスパターンとなるようにフォトリソグラフィなどによってパターニングする(BM形成ステップS701)。次に、その上層にカラーフィルタ(CF)の赤色R、緑色G、青色B(又は+白色White)の各レジスト材料を順次スピンコート又はスリットコートなどによって形成し、フォトリソグラフィなどによってパターニングする(CF層形成ステップS702)。次いで、その上層に透明な有機絶縁膜からなるオーバーコート層をスピンコート又はスリットコートなどによって形成する(OC層形成ステップS703)。引き続き、その上層に透明な有機絶縁膜材料をスピンコート又はスリットコートなどによって形成し、所望の位置(主に表示エリア)に柱状スペーサを、表示エリア外周部に額縁状に凸形状の堰をパターニングする(柱状スペーサ並びに堰の形成ステップS704)。柱状スペーサ並びに堰をパターニングした後、配向膜を印刷又はインクジェット法により塗布形成し、レべリングにより平坦化しイミド化焼成した後に、配向規制力を付与することにより液晶を一定方向に配向させるためにラビングや光配向を行う(配向膜形成ステップS705)。
【0024】
上記フローで作製したTFT基板とCF基板との間に液晶を狭持しシール材でシールすることにより
図3や
図4に示した液晶表示装置を製造することができる。
【0025】
本実施例によれば、表示エリアの外周部において表示エリア取り囲む連続した有機絶縁膜の溝を設けることにより、狭額縁であっても信頼性が高い液晶表示装置を提供することができる。また、溝構造が寸断される場合であっても、隣接する溝構造の寸断された箇所が、隣接溝の間隔Sよりも大きな間隔Lだけ離れるように形成する(L>S)ことにより、溝構造が寸断された箇所を伝わって配向液が外部に漏れることを抑制し、配向液の外周の寸法の乱れを防止することができる。
【0026】
なお、有機絶縁膜に溝構造を形成する際、ハーフトーン露光等の既存の技術を使用することで、溝形成箇所における有機絶縁膜を全て除去するのではなく、溝の底部の有機絶縁膜を一部残した構造であってもよい。その場合、複数形成される溝の一部の溝においては溝全体の有機膜を除去し、残りの溝に関しては底部の有機絶縁膜を残すものであってもよい。また、有機絶縁膜をパターニングして溝を形成する際、溝の上端部については平坦部からなだらかに傾斜部に移行する形状となる場合がある。透明導電膜又は無機絶縁膜の端部は、平坦部と傾斜部との間の移行部(なだらかに傾斜が変わる部分)上に位置させることも可能である。
【実施例2】
【0027】
本発明の第2の実施例に係る液晶表示装置について
図8を用いて説明する。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
【0028】
図8は、本実施例に係る液晶表示装置における額縁部の概略断面図である。TFT基板は下層の透明有機絶縁膜111aを利用して表示エリアの外周に溝(凹形状)を少なくとも1つ(本実施例では3重)含む溝構造115が設けられ、且つ、表示エリアに近い平坦部には透明導電膜(ITO又はIZO)120又は無機絶縁膜(SiNx又はSiO)と有機絶縁膜111aとの境界領域が形成され、溝(凹形状)の傾斜部および底部は有機絶縁膜で形成され、前記溝構造で配向膜液の濡れ拡がりを制限する。ITO/有機絶縁膜の境界領域の表面エネルギー差と、表示エリアの外周に形成した多重(本実施例では3重)の溝凹形状で、配向膜液の濡れ拡がりを抑制し塗布パターンエッジの位置制御性を向上することができる。なお、角度αは約50度、溝と突起のそれぞれの幅は約30μmとした。
【0029】
上記溝構造115がない場合、配向膜液の端部は1〜2mmの幅をもち、所望の位置に制御できない。一方、本実施例の溝構造を適用することで、0.1mm幅で所望の位置に制御できる。なお、配向膜300’が
図8に示すように濡れ拡がりが抑制されて平坦性が悪くなった場合には、光配向膜を用いることにより良好な配向処理が可能である。
【0030】
また、CF基板は柱状スペーサ用有機絶縁層を利用して表示エリアの外周に額縁状の堰(壁状の凸部)220bを設け、配向膜液の濡れ拡がりを抑制する構造を有する。
【0031】
本実施例によれば、表示エリアの外周部において表示エリア取り囲む連続した有機絶縁膜の溝を設けることにより、狭額縁であっても信頼性が高い液晶表示装置を提供することができる。また、溝構造の内側(表示エリア側)の平坦部にITO/有機絶縁膜の表面エネルギー差を形成することで、更に配向膜液の濡れ拡がりを抑制する効果が高まり、配向膜液端部の位置制御性を向上することができる。
【実施例3】
【0032】
本発明の第3の実施例に係る液晶表示装置について
図9を用いて説明する。なお、実施例1又は2に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
【0033】
図9は、本実施例に係る液晶表示装置における額縁部の概略断面図である。TFT基板は下層の透明有機絶縁膜111aを利用して表示エリアの外周に溝(凹形状)を複数(本実施例では4重)含む溝構造115が設けられ、且つ、表示エリアに近い平坦部には透明導電膜(ITO又はIZO)120が形成され、溝(凹形状)の傾斜部および底部は有機絶縁膜で形成され、前記溝(凹形状)の幅が2μm〜1mmであり、前記複数の溝(凹形状)構造の間隔が、表示エリアから外周に向かうに従って少なくとも2段階に徐々に狭くなっており、前記溝構造で配向膜液の濡れ拡がりを制限する。上述のように表示エリアの外周に形成した複数の溝凹形状を形成し、且つ、それらの溝の幅が、外周に向かうに従って徐々に狭くなっている(表示エリアに近い側の溝の幅が最も大きい)構成にすることで、配向膜液の拡張を効率的に抑制することが可能となる。また、溝構造は表示エリアを越える余剰な配向膜液量を減じる作用があるため、最初に大きな溝を形成することで、配向膜液が拡がる際の余剰分を大きく減じることができ、次の溝構造(凹凸)を乗り越える液量が低減されるため配向膜液の濡れ拡がりを抑制する効果を高めることができる。なお、本実施例における溝の幅は、X1が約80μm、X2が約50μm、X3が約30μm、X4が約15μmである。
【0034】
上記溝構造115がない場合、配向膜液の端部は1〜2mmの幅をもち、所望の位置に制御できない。一方、本実施例の溝構造を適用することで、0.2mm幅で所望の位置に制御できる。なお、配向膜300’が
図9に示すように濡れ拡がりが抑制されて平坦性が悪くなった場合には、光配向膜を用いることにより良好な配向処理が可能である。
【0035】
また、CF基板は柱状スペーサ用有機絶縁層を利用して表示エリアの外周に額縁状の堰(壁状の凸部)220bを設け、配向膜液の濡れ拡がりを抑制する構造を有する。
【0036】
本実施例によれば、表示エリアの外周部において表示エリアを取り囲む連続した有機絶縁膜の溝を設けることにより、狭額縁であっても信頼性が高い液晶表示装置を提供することができる。また、表示エリアから遠ざかるに従って幅の狭い溝を有する溝構造とすることにより、配向膜液の濡れ拡がりを抑制する効果を高めることができる。
【実施例4】
【0037】
本発明の第4の実施例に係る液晶表示装置について
図10を用いて説明する。なお、実施例1乃至3の何れかに記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
【0038】
図10は、本実施例に係る液晶表示装置における額縁部の概略断面図である。TFT基板は下層の透明有機絶縁膜111aを利用して表示エリアの外周に溝(凹形状)を少なくとも1つ(本実施例では3重)含む溝構造115が設けられ、且つ、表示エリアに近い平坦部には透明導電膜(ITO又はIZO)120又は無機絶縁膜(SiNx又はSiO)と有機絶縁膜111aとの境界領域が形成され、溝(凹形状)の傾斜部および底部は有機絶縁膜で形成され、前記溝(又は堰)構造のうち少なくとも1つに対応するようにシール材400が形成され、前記シール材の一部が配向膜パターンの端部と重なっており、前記溝構造で配向膜液の濡れ拡がりを制限する。なお、角度αは約50度、溝と突起のそれぞれの幅は約10μmとした。
【0039】
上記溝構造115がない場合、配向膜液の端部は1〜2mmの幅をもち、所望の位置に制御できない。一方、本実施例の溝構造を適用することで、0.1mm幅で所望の位置に制御できる。なお、配向膜300’が
図10に示すように濡れ拡がりが抑制されて平坦性が悪くなった場合には、光配向膜を用いることにより良好な配向処理が可能である。
【0040】
また、CF基板は柱状スペーサ用有機絶縁層を利用して表示エリアの外周に額縁状の堰(壁状の凸部)220bを設け、配向膜液の濡れ拡がりを抑制する構造を有する。
【0041】
本実施例によれば、表示エリアの外周部において表示エリア取り囲む連続した有機絶縁膜の溝を設けることにより、狭額縁であっても信頼性が高い液晶表示装置を提供することができる。また、シール材の一部が配向膜パターンの端部と重なっている構成(一部分重なっている構成)とすることにより、狭額縁化に有効である。
【0042】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。