特許第6275431号(P6275431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6275431圧力検知装置およびこれを使用した吸気圧測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275431
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】圧力検知装置およびこれを使用した吸気圧測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/06 20060101AFI20180129BHJP
   G01L 19/14 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   G01L19/06 Z
   G01L19/14
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-192828(P2013-192828)
(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公開番号】特開2015-59798(P2015-59798A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】大川 尚信
(72)【発明者】
【氏名】須田 康博
(72)【発明者】
【氏名】石田 弘
(72)【発明者】
【氏名】上村 秀樹
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−107927(JP,A)
【文献】 特開2008−292268(JP,A)
【文献】 特開2013−145226(JP,A)
【文献】 特表2001−515588(JP,A)
【文献】 特開2013−44270(JP,A)
【文献】 米国特許第8117909(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0203359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 19/00−19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに圧力センサが保持されている圧力検知装置において、
前記ハウジングに、検知空間を囲む外壁部と、前記検知空間の内部に位置する内壁部とが一体に形成されて、前記検知空間の内部に、センサ収納部と逃げ空間とが前記内壁部で区画されて形成され、
前記センサ収納部は後方に向けて凹状に形成されて、その内部に前記圧力センサが収納され、前記センサ収納部の内部で前記圧力センサが弾性体で覆われており、
前記逃げ空間は、前記センサ収納部よりも重力方向に向く下側に位置し、前記逃げ空間には、前記圧力センサを覆うのと同じ弾性体が設けられていないことを特徴とする圧力検知装置。
【請求項2】
前記弾性体の表面が凹湾曲面であり、弾性体の表面は、前記センサ収納部の開口縁部まで形成されている請求項記載の圧力検知装置。
【請求項3】
前記センサ収納部の中心は、前記検知空間の中心よりも上方に位置している請求項1または2記載の圧力検知装置。
【請求項4】
前記逃げ空間は、前記内壁部の前端部よりも後方へ窪む凹形状である請求項1ないし3のいずれかに記載の圧力検知装置。
【請求項5】
前記内壁部の前端部が、前記外壁部の前端部よりも後方に位置している請求項記載の圧力検知装置。
【請求項6】
前記ハウジングには、前記センサ収納部から外れた位置に回路配置部が形成されており、前記逃げ空間は、前記回路配置部の前方に形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の圧力検知装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載された圧力検知装置を保持する筐体が設けられ、この筐体に、内燃機関の吸気圧力を前記検知空間へ導入する吸気孔が形成されていることを特徴とする吸気圧測定装置。
【請求項8】
前記外壁部の全端面が、前記筐体に密着させられている請求項7記載の吸気圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検知装置およびこれを使用して内燃機関の吸気圧を検知する吸気圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、内燃機関の吸気量を測定するための吸気圧測定装置が開示されている。
この吸気圧測定装置は、ケースに形成された空気室の内部に圧力検知装置である素子部が設置されている。この素子部にはSiダイヤフラムを有するチップが搭載されている。ケースに導入孔が形成され、内燃機関の吸気圧が導入孔から空気室に導入され、前記素子部に搭載されたチップで圧力が検知される。ケースには、導入孔の開口部の周囲に堰となる凸部が形成されている。
【0003】
この吸気圧測定装置は、冬や寒冷地で使用されるときに空気室内で結露した水分が、突部で堰き止められて、導入孔に入るのを阻止できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−186969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された吸気圧測定装置は、水分が導入孔に入るのを阻止する凸部がケース側に形成されているが、圧力検知装置である素子部には何ら水分に対する対策が成されていない。
【0006】
特許文献1の図1図2に記載された素子部は、表面に凹部が形成されて、この凹部内に圧力信号を検知するチップが収納された構造である。素子部には、チップを収納する凹部が形成されているのみであり、凹部以外では表面が平坦面である。素子部の表面に付着した水分を前記凹部以外の領域に導くための対策がなされていないため、素子部側に付着した水分が前記凹部内のチップの表面に付着しやすい。
【0007】
特に、特許文献1に記載されたものは、凹部内のチップの表面が重力方向へ向く下向きに配置されているため、チップの表面には、水分が自重で落下できる大きさに成長するまで溜まり続ける。そのため、チップの表面に付着した水分が除去されにくい構造である。
【0008】
チップに水分が付着すると、水分の質量がチップのダイヤフラムに作用し、正確な吸気圧測定ができなくなる。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、圧力センサが収納されたセンサ収納部に水分が付着しにくい構造の圧力検知装置およびこれを使用した吸気圧測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ハウジングに圧力センサが保持されている圧力検知装置において、
前記ハウジングに、検知空間を囲む外壁部と、前記検知空間の内部に位置する内壁部とが一体に形成されて、前記検知空間の内部に、センサ収納部と逃げ空間とが前記内壁部で区画されて形成され、
前記センサ収納部は後方に向けて凹状に形成されて、その内部に前記圧力センサが収納され、前記センサ収納部の内部で前記圧力センサが弾性体で覆われており、
前記逃げ空間は、前記センサ収納部よりも重力方向に向く下側に位置し、前記逃げ空間には、前記圧力センサを覆うのと同じ弾性体が設けられていないことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の圧力検知装置は、外壁部で囲まれた検知空間の内部に、凹状のセンサ収納部と、センサ収納部から外れた位置にある逃げ空間が形成されている。検知空間に入り込んだ水分または内部空間で生成された水分は逃げ空間に移行しやすくなり、センサ収納部に収納された圧力センサに水分の影響が直接に作用する確率を低下させることができる。
【0012】
本発明は、前記センサ収納部では、前記圧力センサが弾性体で覆われているものとして構成できる。そして、前記弾性体の表面が凹湾曲面であり、弾性体の表面は、前記センサ収納部の開口縁部まで形成されているものが好ましい。
【0013】
弾性体の表面が凹湾曲面であり、前記表面が開口縁部に連続するように形成されていると、弾性体の表面に付着した水分が、逃げ空間へ流れやすくなり、弾性体の表面に水分が残りにくくなる。
【0014】
本発明は、前記逃げ空間は、前記センサ収納部よりも、重力方向に向く下側に位置しているため、外壁部に囲まれた検知空間において、逃げ空間をセンサ収納部よりも下側に配置することで、検知空間内の水分を逃げ空間に誘導できるようになる。
【0016】
本発明では、前記逃げ空間が、前記逃げ空間と前記センサ収納部とを区画している内壁部の前端部よりも後方へ窪む逃げ凹部内に形成されているものとして構成できる。
【0017】
この場合に、前記内壁部の前端部が、前記外壁部の前端部よりも後方に位置しているものが好ましい。
【0018】
上記の逃げ凹部を形成することで、センサ収納部の表面から流れた水分を逃げ空間で保持しやすくなる。
【0019】
または本発明は、前記ハウジングには、前記センサ収納部から外れた位置に回路配置部が形成されており、前記逃げ空間は、前記回路配置部の前方に形成されているものである。
【0020】
さらに、本発明の吸気圧測定装置は、前記圧力検知装置を保持する筐体が設けられ、この筐体に、内燃機関の吸気圧力を前記検知空間へ導入する吸気孔が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、例えば吸気圧測定装置に搭載される圧力検知装置において、検知空間内に入り込んだ水分または検知空間内で発生する水分を逃げ空間に導けるようにして、センサ収納部に直接に水分が付着するのを防止しやすくなる。
【0022】
水分を圧力センサから逃がす対策を圧力検知装置に形成しているため、従来のように、圧力検知装置を搭載する吸気圧測定装置の筐体に水分を逃がす対策を施したものに比べて、圧力センサを収納したセンサ収納部に水分が至るのを直接的に阻止しやすくなる。
【0023】
したがって、水分により圧力検知の誤動作が生じにくくなり、高精度な圧力検知を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施の形態の圧力検知装置の斜視図、
図2】第1の実施の形態の圧力検知装置の正面図、
図3】第1の実施の形態の圧力検知装置を図2のIII−III線で切断した断面図であり、さらに、圧力検知装置が吸気圧測定装置の筐体に保持された状態を示す断面図、
図4】本発明の第2の実施の形態の圧力検知装置の正面図、
図5】第2の実施の形態の圧力検知装置を図4のV−V線で切断した断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1ないし図3に、本発明の第1の実施の形態の圧力検知装置10が示され、図3には、圧力検知装置10が搭載された吸気圧測定装置1の一部が示されている。各図では、X1方向が前方でX2方向が後方、Y1方向が右方向でY2方向が左方向、Z1方向が上方でZ2方向が下方である。
【0026】
図3に示す吸気圧測定装置1は、2輪車に装備されている内燃機関に付属するものであり、筐体2に、圧力検知装置10とスロットルポジションセンサが一緒に搭載されている。筐体2に吸気管3が一体に形成されており、内燃機関の吸気圧力は、吸気管3の内部の吸気孔4から圧力検知装置10に与えられる。
【0027】
図1ないし図3に示すように、圧力検知装置10にはハウジング11が設けられている。ハウジング11はPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂で形成されている。ハウジング11には3個の端子板12と、2個の板部13が埋設されている。端子板12と板部13は銅板である。
【0028】
ハウジング11と端子板12ならびに板部13はいわゆるインサート成形法によって一体化される。この成型方法では、Y方向に連続する第1のフープ材に端子板12が一定の間隔で形成され、第1のフープ材と平行にY方向に延びる第2のフープ材に、一定の間隔で板部13が形成されている。端子板12と板部13とが成形型のキャビティ内に設置され、PPSの溶融樹脂がキャビティ内に射出されてハウジング11が成形されるとともにハウジング11と端子板12ならびに板部13が一体化される。その後に、端子板12と板部13とがそれぞれフープ材から分離される。
【0029】
図1に示すように、ハウジング11に、前方(X1方向)へ突出する外壁部14が一体に形成されている。外壁部14は円筒形状に形成されており、ハウジング11は、外壁部14で囲まれた内部領域が検知空間15となっている。図3に示すように、吸気圧測定装置1では、筐体2の内部にプリント配線基板6が設置されており、圧力検知装置10の端子板12が、プリント配線基板6のスルーホールに挿通され、ハンダフィレット7によって、プリント配線基板6の表面のランド部に固定されている。そして、外壁部14の前端面14aが、筐体2の内面の凹部5に密着させられて、吸気孔4を通過した吸気圧が検知空間15に与えられるようになっている。
【0030】
図1図2に示すように、検知空間15の内部に内壁部16が形成されている。内壁部16の前端面16aは、外壁部14の前端面14aよりも後方側(検知空間15の底部側)に後退している。図2に示すように、内壁部16は円筒形状に湾曲して形成されており、右端部16bが外壁部14に連結され、左端部16cが外壁部14に連続している。右端部16bと左端部16cとの間(範囲α)では、内壁部16が外壁部14と一体化され、実質的な内壁部16は、範囲α以外の領域であるβの範囲に限られている。
【0031】
ハウジング11では、内壁部16で囲まれた領域にセンサ収納部17が凹状に形成されている。センサ収納部17は、図2に示すように、正面から見た開口形状が円形である。図3にも示すように、センサ収納部17の底部に、圧力センサ21と、集積回路(ASIC)を内蔵したICパッケージ22が固定されている。
【0032】
圧力センサ21は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造であり、圧力を受けるダイヤフラム部と、ダイヤフラム部の変形を検知するピエゾ抵抗素子や圧電素子などの歪検知素子とを有している。ICパッケージ22内の集積回路には、圧力センサ21からの検知出力を増幅するアンプや温度センサならびに前記温度センサで測定された温度に基づく温度補償回路などが内蔵されている。圧力センサ21とICパッケージ22とはワイヤボンディングで配線されているが、各図ではワイヤボンディングの図示を省略している。
【0033】
センサ収納部17内では、ICパッケージ22が上側(Z1側)に位置し、圧力センサ21が下側(Z2側)に位置している。センサ収納部17内において圧力センサ21は内壁部16の内面に接近した位置に配置されている。圧力センサ21の中心を通過する中心線O上において、センサ収納部17の開口寸法をL1とし、圧力センサ21と内壁部16との距離をL2とすると、比(L2/L1)は1/3以下となっている。
【0034】
図3に示すように、センサ収納部17の底部に固定された圧力センサ21とICパッケージ22は、弾性体23で覆われている。弾性体23はゲル状の粘弾性体であり、例えばゲル状のシリコーン樹脂やフッ素樹脂である。弾性体23は液体状の樹脂材料がセンサ収納部17の凹部に供給されてから硬化されるため、その表面23aは凹湾曲面となる。
【0035】
センサ収納部17の内部に液体状の樹脂材料が供給され硬化される過程で、樹脂材料の表面が、表面張力により、センサ収納部17の開口縁部(内壁部16の前端面16aの内側縁部または角部)まで連続する。そのため、図3のE部に示すように、弾性体23の凹湾曲面となる表面23aは、センサ収納部17の開口縁部(内壁部16の前端面16aの内側縁部または角部)まで連続して形成される。すなわち、表面23aと前端面16aは、境界部において、段差ができないように連続する。
【0036】
そのため、弾性体23の表面23aに付着した水分は、前端面16aに向けて流れ出やすくなる。
【0037】
ハウジング11の検知空間15の内部では、センサ収納部17以外の領域に逃げ空間18が形成されている。図3に示すように、逃げ空間18は、センサ収納部17を形成している(センサ収納部17を区画している)前記内壁部16の前端面16aよりも後方(X2方向)へ向けて窪む逃げ凹部内に形成されている。図2に示すように、逃げ空間18は、外壁部14と内壁部16との間であって、内壁部16と外壁部14とが連結されている右端部16bから左端部16cに至る範囲にわたって形成されている。
【0038】
図2に示すように、内壁部16の右端部16bから左端部16cに至る範囲βは、円筒状の内壁部16の中心、すなわちセンサ収納部17の中心に対して180度以上の範囲で形成されている。
【0039】
図1ないし図3に示すように、吸気圧測定装置1が2輪車などの内燃機関に設置されるときは、圧力検知装置10は端子板12が上向き(Z1向き)に設置され、外壁部14で囲まれた検知空間15内では、センサ収納部17が上側(Z1側)に位置し、逃げ空間18が、センサ収納部17よりも重力に向かう側である下側(Z2側)に位置している。
【0040】
吸気圧測定装置1では、筐体2の吸気孔4から内燃機関の吸気圧が導入され、圧力検知装置10の検知空間15に吸気圧が与えられる。吸気圧はゲル状の弾性体23を介して圧力センサ21で検知され、その検知出力がICパッケージ22内の集積回路で電気的に処理される。
【0041】
内燃機関の吸気に含まれる水分や、温度差による結露などが検知空間15の内部に付着することがある。この水分がセンサ収納部17の弾性体23の表面23aに付着しても、弾性体23の表面23aが凹湾曲面であるので、この表面23aを伝わって自重で落下し、水分が逃げ空間18に入り込みやすくなる。弾性体23の表面23aは、内壁部16の前端部16aに段差なく連続しているため、表面23aに付着した水分は、表面23aを流れて前端面16aに至り、さらに逃げ空間18に逃げることができるようになる。
【0042】
しかも、逃げ空間18は内壁部16の前端面16aよりも後方へ向けて窪んだ逃げ凹部内に形成されているため、逃げ空間18に入り込んだ水分が弾性体23の表面23aに逆流することもない。
【0043】
図2に示すように、逃げ空間18は、円筒状の内壁部16の下側で、180度以上の範囲βに形成されている。そのため、検知空間15内での逃げ空間18の容積を十分に広く確保でき、検知空間15に入り込んだ水分または検知空間15に発生した水分を、センサ収納部17に触れない下側の領域に留めやすくなる。その結果、弾性体23の前面23aに水分が付着しにくくなり、圧力センサ21が水分の圧力を受けて本来検知すべき圧力値に誤差が発生するという現象を防止しやすくなる。
【0044】
図4図5に示す本発明の第2の実施の形態の圧力検知装置110は、吸気圧測定装置1の筐体2内において、端子板112が下向きとなるように固定される。圧力検知装置110のハウジング111には、円筒形状の外壁部114が前方へ向けて一体に形成されており、外壁部114で囲まれた検知空間115が形成されている。
【0045】
検知空間115の上方部分に凹状に形成されたセンサ収納部117が形成されて、センサ収納部117の底部に圧力センサ21が固定されている。センサ収納部117は圧力センサ21を覆うゲル状の弾性体23で埋められており、弾性体23の表面23aが凹湾曲面である。この場合も、弾性体23の表面23aは表面張力によって内壁部116の前端面116aに段差を形成することなく連続している。
【0046】
図4図5に示すように、ハウジング111には、センサ収納部117よりも重力に向かう方向である下側に回路配置部119が形成されている。図5に示すように、回路配置部119は、検知空間115の底部に凹状に形成されて、その底部にICパッケージ22が固定されている。そして、ICパッケージ22を収納した凹部が樹脂材119bで塞がれている。
【0047】
回路配置部119の前面119aはほぼ平面形状である。前記前面119aは、センサ収納部117を区画している内壁部116の前端面116aとほぼ同じ平面上に位置している。
【0048】
外壁部114で囲まれた検知空間115内では、上方に圧力センサ21が配置され、下側にICパッケージ22を収納した回路配置部119が形成されているため、検知空間115内では、回路配置部119の前面119aの前方の領域に内容積の大きい逃げ空間118が形成されている。
【0049】
図5に示すように、逃げ空間118は、センサ収納部117の下縁部から外壁部114の内面の最下端までの距離Lbの範囲で形成されている。圧力センサ21の中心と外壁部114の内面の最上端までの距離Lcと、検知空間115の上下の開口寸法Laとの比(Lc/La)は1/4以下であり、距離Lcと距離Lbの比(Lc/Lb)は1/3以下である。
【0050】
第2の実施の形態の圧力検知装置110では、ICパッケージ22を収納した回路配置部119の前方に内容量の大きい逃げ空間118が形成されているため、検知空間115の内部に入り込んだ水分や検知空間115で発生した水分が逃げ空間118に導かれるようになり、弾性体23の前面23aに水分が付着しにくくなる。
【0051】
センサ収納部117には圧力センサ21のみが収納されているため、センサ収納部117の占める面積は小さくなり、検知空間115の内部では、前記センサ収納部117以外の領域に大きな内容量の逃げ空間118が形成される。
【0052】
センサ収納部117に付着した水分は、弾性体23の表面23aの凹湾曲面から内壁部116の前端部116aに流れ、そのまま逃げ空間118内に流れ出るため、弾性体23の前面23aに水分が残りにくくなる。
【0053】
したがって、圧力センサ21で検知される圧力値が水分の存在によって誤った値となる現象を防止しやすくなる。
【符号の説明】
【0054】
1 吸気圧測定装置
2 筐体
4 吸気孔
10 圧力検知装置
11 ハウジング
12 端子板
14 外壁部
14a 前端部
15 検知空間
16 内壁部
16a 前端部
16b 右端部
16c 左端部
17 センサ収納部
18 逃げ空間
21 圧力センサ
22 ICパッケージ
23 弾性体
110 圧力検知装置
111 ハウジング
114 外壁部
116 内壁部
117 センサ収納部
118 逃げ空間
119 回路配置部
図1
図2
図3
図4
図5