特許第6275440号(P6275440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275440
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】濁度計
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/49 20060101AFI20180129BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   G01N21/49 A
   G01N21/01 B
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-204325(P2013-204325)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2014-157149(P2014-157149A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】特願2013-8667(P2013-8667)
(32)【優先日】2013年1月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592187534
【氏名又は名称】株式会社 堀場アドバンスドテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理一郎
(72)【発明者】
【氏名】木▲崎▼ 寛子
(72)【発明者】
【氏名】松尾 麻希
(72)【発明者】
【氏名】神田 博史
【審査官】 伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−112634(JP,A)
【文献】 特開2008−261770(JP,A)
【文献】 実開昭47−027885(JP,U)
【文献】 特開昭52−152274(JP,A)
【文献】 特開昭59−143940(JP,A)
【文献】 特開2005−140621(JP,A)
【文献】 実開昭52−051681(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
G01N 21/75−21/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を収容する測定空間を形成する有底筒状のセンサヘッドと、
前記測定空間に検査光を照射する光源と、
前記測定空間を通過した透過光を検出する透過光検出器と、
前記測定空間で散乱した散乱光を検出する散乱光検出器とを備え、
前記センサヘッドが、光透過性を有する材料から形成されており、
前記センサヘッドの側壁が、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器を収容する収容空間を有し、
前記センサヘッドの側壁内面が、前記検査光を前記測定空間に導く検査光用光学窓、前記透過光を前記透過光検出器に導く透過光用光学窓及び前記散乱光を前記散乱光検出器に導く散乱光用光学窓となり、
前記センサヘッドの側壁において、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器の間のうちいずれか1つに、前記側壁内部を通過する光を吸収する光吸収部が設けられている濁度計。
【請求項2】
前記光吸収部が、前記センサヘッドの側壁内面に露出している請求項記載の濁度計。
【請求項3】
前記センサヘッドの側壁に光吸収部材が埋設されることにより前記光吸収部が形成され、
前記センサヘッドの径方向における前記光吸収部材の厚さが、前記センサヘッドの側壁の厚さ未満としてある請求項又は記載の濁度計。
【請求項4】
前記収容空間が、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器それぞれに対応して形成されており、
前記各収容空間が、前記センサヘッドの側壁において底壁側から中心軸方向に沿って形成されている請求項1乃至の何れかに記載の濁度計。
【請求項5】
前記センサヘッドの側壁において、前記収容空間とは異なる位置に貫通孔が形成されている請求項1乃至の何れかに記載の濁度計。
【請求項6】
前記検査光用光学窓、前記透過光用光学窓及び前記散乱光用光学窓を清掃する清掃体を備える請求項1乃至の何れかに記載の濁度計。
【請求項7】
前記センサヘッドの側壁内面が、円筒状をなすものであり、
前記清掃体が、前記側壁内面の中心軸回りに回転するものであり、前記側壁内面において中心軸方向の所定範囲に亘って接触する接触部を有している請求項記載の濁度計。
【請求項8】
試料を収容する測定空間を形成する有底筒状のセンサヘッドと、
前記測定空間に検査光を照射する光源と、
前記測定空間を通過した透過光を検出する透過光検出器と、
前記測定空間で散乱した散乱光を検出する散乱光検出器とを備え、
前記センサヘッドが、光透過性を有する材料から形成されており、
前記センサヘッドの側壁が、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器を収容する収容空間を有し、
前記センサヘッドの側壁内面が、前記検査光を前記測定空間に導く検査光用光学窓、前記透過光を前記透過光検出器に導く透過光用光学窓及び前記散乱光を前記散乱光検出器に導く散乱光用光学窓となり、
前記検査光用光学窓、前記透過光用光学窓及び前記散乱光用光学窓を清掃する清掃体をさらに備え、
前記センサヘッドの側壁内面が、円筒状をなすものであり、
前記清掃体が、前記側壁内面の中心軸回りに回転するものであり、前記側壁内面において中心軸方向の所定範囲に亘って接触する接触部を有し、
前記センサヘッドが、その側壁内面及び側壁外面を連通し、中心軸方向に沿って形成されたスリットを有し、
前記清掃体の回転に伴って、前記清掃体により集められた塵が、前記スリットから外部に排出されるように構成されている濁度計。
【請求項9】
試料を収容する測定空間を形成する有底筒状のセンサヘッドと、
前記測定空間に検査光を照射する光源と、
前記測定空間を通過した透過光を検出する透過光検出器と、
前記測定空間で散乱した散乱光を検出する散乱光検出器とを備え、
前記センサヘッドが、光透過性を有する材料から形成されており、
前記センサヘッドの側壁が、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器を収容する収容空間を有し、
前記センサヘッドの側壁内面が、前記検査光を前記測定空間に導く検査光用光学窓、前記透過光を前記透過光検出器に導く透過光用光学窓及び前記散乱光を前記散乱光検出器に導く散乱光用光学窓となり、
前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器を保持する単一の保持部材をさらに備え、前記保持部材を前記センサヘッドに装着することにより、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器が、前記収容空間に収容される濁度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料の濁度を測定する濁度計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の濁度センサとしては、特許文献1に示すように、液体試料を収容する筒状の測定セルと、当該測定セルの外部に設けられた光源、透過光検出器及び散乱光検出器と、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器を収容するセンサ収容部とを備えたものがある。センサ収容部には、前記測定セルの軸方向両端部が、シール部材を介して固定されている。そして、前記センサ収容部及び前記測定セルの間に形成される空間内に前記光源、前記透過光検出器及び散乱光検出器が固定されている。
【0003】
また、測定セルは、前記光源に対応する第1透光窓、前記透過光検出器に対応する第2透光窓、及び前記散乱光検出器に対応する第3透光窓を有しており、前記第1、第2及び第3透光窓が、光透過性を有する材料から形成され、前記第1、第2及び第3透光窓以外の本体部分が、遮光性を有する材料から形成されている。
【0004】
しかしながら、上記の濁度センサは、センサ収容部及び測定セルの間に形成される空間内に光源、透過光検出器及び散乱光検出器が収容されるので、測定セルの軸方向両端部のシール部材の劣化等により、液体試料が前記空間内に浸入して、光源、透過光検出器又は散乱光検出器の故障等の要因となってしまう。また、測定セル及びセンサ保持部をシール部材を介して組み立てる必要があり、組み立て作業が煩雑になるだけでなく、外部からの衝撃により破損しやすいという問題もある。
【0005】
また、測定セルにおいて、前記各透光窓と前記各透光窓以外の本体部分とが別材料により構成されているので、それら透光窓及び本体部分のシール性を確保する必要があり、長期間の使用により、そのシール性が劣化してしまう恐れがある。また、測定セルの本体部分に各透光窓を嵌め合わせて、且つそのシール性を確保する必要があり、組み立て作業が煩雑になるだけでなく、外部からの衝撃により透光窓が外れる心配もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−60364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、シンプルで且つ壊れにくい頑丈な構造にしつつ、シール箇所を少なくすることで長期安定性に優れた濁度計を提供することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る濁度計は、試料を収容する測定空間を形成する有底筒状のセンサヘッドと、前記測定空間に検査光を照射する光源と、前記測定空間を通過した透過光を検出する透過光検出器と、前記測定空間で散乱した散乱光を検出する散乱光検出器とを備え、前記センサヘッドが、光透過性を有する材料から形成されており、前記センサヘッドの側壁が、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器を収容する収容空間を有し、前記センサヘッドの側壁内面が、前記検査光を前記測定空間に導く検査光用光学窓、前記透過光を前記透過光検出器に導く透過光用光学窓及び前記散乱光を前記散乱光検出器に導く散乱光用光学窓となることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、測定空間を形成するセンサヘッドを光透過性材料から形成し、このセンサヘッドの側壁に光源及び各検出器を収容する収容空間を形成しているので、従来の測定セル及びセンサ収容部を単一の部材により構成することができ、シンプルで且つ壊れにくい頑丈な構造にしつつ、シール箇所を少なくすることができる。また、センサヘッドの側壁内面を検査光用光学窓、透過光用光学窓及び散乱光用光学窓としているので、光学窓及びその他の部分を単一の部材により構成することができ、シンプルで且つ壊れにくい頑丈な構造にしつつ、シール箇所を少なくすることができる。さらに、センサヘッドが筒状をなすものであり、センサヘッド外部からの外乱光が、透過光用光学窓及び散乱光用光学窓に入りにくくすることができ、透過散乱法を用いた濁度計において、その測定精度を向上させることができる。
【0010】
前記センサヘッドの側壁において、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器の間のうちいずれか1つに光吸収部が設けられていることが望ましい。これならば、光吸収部がセンサヘッドの側壁内部を通過する光や、側壁内面に当たって反射光となる光を吸収するので、それら光からなる迷光が透過光検出器又は散乱光検出器(特に散乱光検出器)によって受光されることを抑えることができ、正確な測定を可能にすることができる。特に、前記光吸収部が、前記センサヘッドの側壁において、前記光源及び前記散乱光検出器の間に設けられていることが望ましい。
【0011】
また、前記光吸収部が、前記センサヘッドの側壁内面に露出していることが望ましい。これならば、側壁内面に当たって生じる反射光を低減することができるので、透過光検出器又は散乱光検出器(特に散乱光検出器)によって受光されることを抑えることができ、正確な測定を可能にすることができる。
【0012】
光吸収部の具体的な実施の態様としては、前記センサヘッドの側壁に光吸収部材が埋設されることにより前記光吸収部が形成され、前記センサヘッドの径方向における前記光吸収部材の厚さが、前記センサヘッドの側壁の厚さ未満としてあることが望ましい。これならば、前記センサヘッドの側壁を周方向に亘って連続した形状としながら前記光吸収部材を設けることができ、前記センサヘッドの剛性を確保して変形を防止できる。
【0013】
前記収容空間が、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器毎にそれぞれ形成されており、前記各収容空間が、前記センサヘッドの側壁において底壁側から中心軸方向に沿って形成されていることが望ましい。このとき、各収容空間を形成する測定空間側の壁部(内側壁部)が光学窓となる。これならば、各収容空間の相対位置により光源、透過光検出器及び散乱光検出器の相対位置を位置決めすることができる。また、各収容空間に光源、透過光検出器及び散乱光検出器を固定することで、光源、透過光検出器及び散乱光検出器の位置ずれを防止することができる。さらに、光源、透過光検出器及び散乱光検出器毎に収容空間を形成することで、センサヘッドの肉厚部分を増やすことができ、センサヘッドの機械的強度を増すことができる。その上、各収容空間が、センサヘッドの側壁において底壁側から中心軸方向に沿って形成されているので、センサヘッドの外側周面と当該センサヘッドに取り付けられる演算機器等収容体(ケーシング)との間をシールするだけで良く、別途各収容空間を水密にするためのシール構造を不要にすることができる。
【0014】
前記センサヘッドの側壁において、前記収容空間とは異なる位置に貫通孔が形成されていることが望ましい。このように側壁に貫通孔が形成されているので、測定空間における試料の置換速度及び置換効率を向上させることができる。また、この貫通孔は、空気抜き用の孔としても機能し、また、塵を排出するための孔としても機能する。
【0015】
前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器を保持する単一の保持部材を備え、前記保持部材を前記センサヘッドに装着することにより、前記光源、前記透過光検出器及び前記散乱光検出器が、前記収容空間に収容されることが望ましい。これならば、光源、透過光検出器及び散乱光検出器が共通の保持部材により保持されているので、光源、透過光検出器及び散乱光検出器をセンサヘッドの収容空間に収容する組み立て作業を容易にすることができる。また、光源、透過光検出器及び散乱光検出器の相対位置関係を保持部材により規定しておくことで、組み立て後の相対位置の位置調整を簡単にすることができ、また測定時にセンサヘッドに外部から衝撃、振動が加わった際に、光源、透過光検出器及び散乱光検出器の位置ずれを防止することができる。
【0016】
前記検査光用光学窓、前記透過光用光学窓及び前記散乱光用光学窓を清掃する清掃体を備えることが望ましい。この清掃体により、前記検査光用光学窓、透過光用光学窓及び散乱光用光学窓を清掃することにより、光学窓に付着した気泡又は測定試料中の不純物(例えば細菌や付着性藻類など)を除去して、検査光の光量低下、透過光の光量低下及び散乱光の光量低下を解消することができ、正確な測定を可能にすることができる。なお、清掃体としては、各光学窓に対応してそれぞれ設けられたものであっても良いし、1つの清掃体が、前記各光学窓それぞれを清掃するものであっても良い。
【0017】
前記センサヘッドの側壁内面が、円筒状をなすものであり、前記清掃体が、前記側壁内面の中心軸回りに回転するものであり、前記側壁内面において中心軸方向の所定範囲に亘って接触する接触部を有しており、前記接触部が、前記中心軸に対して当該中心軸回りの周方向に傾斜していることが望ましい。このように清掃体が、側壁内面の中心軸回りに回転して前記各光学窓を清掃するものであり、その接触部が、中心軸に対して当該中心軸回りの周方向に傾斜しているので、清掃体の回転により、掻き集められた塵が、接触部の回転方向後方側に移動する。これにより、塵を測定空間から排出させることができる。
【0018】
前記センサヘッドが、その側壁内面及び側壁外面を連通し、中心軸方向に沿って形成されたスリットを有し、前記回転体の回転に伴って、前記清掃体により集められた塵が、前記スリットから外部に排出されるように構成されていることが望ましい。これならば、清掃体により集められた塵をセンサヘッドの外部に排出することができ、清掃体の清掃能力の低下を防ぐことができる。
【0019】
ここで、清掃体の接触部の延伸方向とスリットの延伸方向とが異なるように構成されていれば、清掃体がスリットに嵌ることで回転不能となることを防止することができる。また、回転不能に至らないまでも、回転する毎に清掃体がスリットに嵌ることで清掃体が摩耗して清掃能力が低下することを防止することができる。
【0020】
前記清掃体が、前記側壁内面の中心軸回りに回転する回転体に保持されており、前記回転体が、円筒状をなすものであり、前記検査光を通過させる検査光用通過孔、前記透過光を通過させる透過光用通過孔及び前記散乱光を通過させる散乱光用通過孔を有していることが望ましい。このように回転体に検査光用通過孔、透過光用通過孔及び散乱光用通過孔を形成することで、それ以外の部分が遮光板として機能し、迷光が透過光検出器及び散乱光検出器によって受光されることを抑えることができ、正確な測定を可能にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
このように構成した本発明によれば、光透過性材料からなるセンサヘッドの側壁に光源及び各検出器を収容する収容空間を形成し、センサヘッドの側壁内面を各光学窓としているので、濁度計をシンプルで且つ壊れにくい頑丈な構造にすることができ、シール箇所を少なくすることができる。したがって、長期安定性に優れた濁度計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の濁度計を模式的に示す斜視図。
図2】同実施形態の濁度計の要部を模式的に示す縦断面図。
図3】同実施形態の測定位置における要部を模式的に示す横断面図。
図4】同実施形態のセンサヘッドを模式的に示す斜視図。
図5】同実施形態のセンサヘッドを模式的に示す縦断面図。
図6】同実施形態のセンサヘッドを模式的に示す平面図。
図7】同実施形態の保持部材を模式的に示す断面図。
図8】同実施形態の保持部材を模式的に示す平面図。
図9】同実施形態の清掃体及び回転体を模式的に示す底面図。
図10】同実施形態の清掃体及び回転体を模式的に示す側面図。
図11】同実施形態の清掃体の移動過程を模式的に示す展開図。
図12】変形実施形態の測定位置における要部を模式的に示す横断面図。
図13】変形実施形態の清掃体及び回転体を模式的に示す底面図。
図14】変形実施形態の清掃体及び回転体を模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
以下に本発明に係る濁度計の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
第1実施形態に係る濁度計100は、例えば下水処理場、浄水場等の水処理施設における処理水の濁度や固体浮遊物質濃度(SS濃度)、又は工事現場から出る泥水の濁度や固体浮遊物質濃度(SS濃度)を測定する浸漬(投げ込み)型のものである。なお、この濁度計100は、測定範囲が0〜1000度(ホルマジン、カオリン)、0〜1000mg/L(カオリン)であり、最小分解能が0.01度、0.01mg/Lである。
【0025】
具体的にこの濁度計100は、図1に示すように、浸漬型のセンサ本体2と、当該センサ本体2に防水タイプの電気ケーブルCAを介して電気的に接続された計器本体3とを備えている。
【0026】
センサ本体2は、図1図3に示すように、概略円柱形状をなし、試料を収容する測定空間Saを形成する有底筒状のセンサヘッド4と、測定空間Saに検査光L1を照射する光源5と、測定空間Saを通過した透過光L2を検出する透過光検出器6と、測定空間Saで散乱した散乱光を検出する散乱光検出器7とを備えている。なお、光源5は、例えば近赤外領域をピーク波長に持つ発光ダイオード(LED)であり、透過光検出器6及び散乱光検出器7は、例えばピーク感度波長が前記LEDのピーク波長近傍となるフォトダイオードである。また、センサヘッド4の底壁41側には、電源、メモリ機能部を有する演算部、演算された水質の測定データ等を時系列的に記録するデータロガーを内蔵する演算機器等収容体8が取り付けられる。なお、センサヘッド4と演算機器等収容体8とは、Oリング等のシール部材S1を介して、水密ケースを構成する。
【0027】
本実施形態のセンサヘッド4は、図2図6に示すように、一端が開口するとともに他端が底壁(上壁)41により閉塞された有底の概略円筒形状をなすものである。このセンサヘッド4は、内部に断面概略円形状の内側周面4aを有し、当該内側周面4aにより測定空間Saが形成される。
【0028】
また、前記センサヘッド4は、光透過性を有する材料から一体成形されたものである。光透過性を有する材料としては、ガラス、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、シリコン樹脂等が考えられるが、本実施形態では、透光性に優れ、汚れに強いPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素系樹脂を用いている。なお、このセンサヘッド4は、フッ素系樹脂を切削加工により一体形成されている。
【0029】
そして、このセンサヘッド4の円筒状をなす側壁42には、特に図3及び図4に示すように、光源5を収容するための光源収容空間Sb1、透過光検出器6を収容するための透過光検出器収容空間Sb2及び散乱光検出器7を収容するための散乱光検出器収容空間Sb3が形成されている。これらの収容空間Sb1〜Sb3は、センサヘッド4の側壁42において底壁41側から中心軸方向に沿って形成されている(図5等参照)。
【0030】
光源収容空間Sb1及び透過光検出器収容空間Sb2は、中心軸Cを挟んで対向して形成されており、散乱光検出器収容空間Sb3は、光源収容空間Sb1及び透過光検出器収容空間Sb2の対向方向に直交する方向に設けられている(図3及び図6参照)。このように各収容空間Sb1〜Sb3は、光源5、透過光検出器6及び散乱光検出器7の位置関係に対応して側壁42の肉厚内に形成されている。
【0031】
さらに、特に図3に示すように、センサヘッド4の側壁42内面が、検査光L1を測定空間Saに導く検査光用光学窓M1、透過光L2を透過光検出器6に導く透過光用光学窓M2、及び、散乱光L3を散乱光検出器7に導く散乱光用光学窓M3となる。このようにセンサヘッド4は、光学窓M1〜M3とそれ以外の部分とが単一材料により一体成形されている。
【0032】
具体的には、側壁42において、光源収容空間Sb1を形成する測定空間Sa側の壁部が検査光用光学窓M1として機能し、透過光検出器収容空間Sb2を形成する測定空間Sa側の壁部が透過光用光学窓M2として機能し、散乱光検出器収容空間Sb3を形成する測定セル側の壁部が散乱光用光学窓M3として機能する。これにより、センサヘッド4において、光源5からの検査光L1を測定空間Saに導くための検査光用光学窓M1と、測定空間Saを通過した透過光L2を透過光検出器6に導く透過光用光学窓M2とが対向して形成される。また、測定空間Saで散乱した散乱光L3を散乱光検出器7に導く散乱光用光学窓M3が、検査光用光学窓M1及び透過光用光学窓M2の対向方向に直交する方向に形成される。
【0033】
また、図4及び図5に示すように、センサヘッド4の側壁42における底壁41側、つまり、センサヘッド4における測定空間Saの底面側には、収容空間Sb1〜Sb3とは周方向において異なる位置に1又は複数の貫通孔4Hが形成されている。この貫通孔4Hは、側壁42を厚み方向に貫通するものであり、センサヘッド4を浸漬させた際に、空気抜きの孔として機能するだけでなく、測定空間Saにおける試料の置換速度及び置換効率を向上させるものである。また、後述する清掃体11により集められた塵を排出するものである。
【0034】
このように構成されたセンサヘッド4において、前記光源5、前記透過光検出器6及び前記散乱光検出器7は、図1図7及び図8に示すように、単一の保持部材9により保持されて、前記センサヘッド4に取り付けられる。
【0035】
具体的に保持部材9は、特に図7及び図8に示すように、前記センサヘッド4の底壁41の上面(外面)に固定される固定板91と、当該固定板91から下方に延出した光源固定用の光源取付部92a、透過光検出器固定用の透過光検出器取付部92b及び散乱光検出器固定用の散乱光検出器取付部92cとを備えている。これら光源取付部92a、透過光検出器取付部92b及び散乱光検出器取付部92cは、固定板91において、センサヘッド4の各収容空間Sb1〜Sb3に対応した位置に設けられている。なお、固定板91には、後述する回転軸131が貫通する貫通孔91Hが形成されている。
【0036】
光源取付部92aには、前記LED5を有するLED基板51が取り付けられる。本実施形態では、光源取付部92aの外側面にLED基板51が取り付けられ、LED5に対応する部分に、LED5を収容する収容孔92a1が形成されている。透過光検出器取付部92b及び散乱光検出器取付部92cにはそれぞれ、前記フォトダイオード6、7を有するフォトダイオード基板61、71が取り付けられる。本実施形態では、各検出器取付部92b、92cの外側面にフォトダイオード基板61、71が取り付けられ、フォトダイオード6、7に対応する部分に、フォトダイオード6、7を収容する収容部92b1、92c1が形成され、散乱光L3又は透過光L2を通過させるスリット孔92b2、92c2が形成されている。なお、いずれのフォトダイオード6、7からの検出信号も演算機器等収容体8に収容された演算部(図示しない)に出力される。
【0037】
このように単一の保持部材9に光源5、透過光検出器6及び散乱光検出器7が固定されているので、センサヘッド4の各収容空間Sb1〜Sb3への光源5及び各光検出器6、7の取り付けを容易にすることができる。また、光源5、透過光検出器6及び散乱光検出器7の相対位置関係を保持部材9により規定しておくことで、組み立て後の位置調整を簡単にすることができ、また測定時にセンサヘッド4に外部から衝撃、振動が加わった際に、それらの相対位置をずれにくくすることができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、保持部材9の固定板91をセンサヘッド4の底壁41にねじ固定した状態で、各取付部92a〜93cが各収容空間Sb1〜Sb3を形成する内面に当接して位置決めされるように構成されている。具体的には、各取付部92a〜93cの内側面及び下面が、各収容空間Sb1〜Sb3を形成する内側面及び底面に当接して位置決めされるように構成されている。このように各取付部92a〜93cが各収容空間Sb1〜Sb3を形成する内面に当接して位置決めされているので、光源5、透過光検出器6及び散乱光検出器7の相対位置のずれをより一層低減することができる。なお、各取付部92a〜93cを、各収容空間Sb1〜Sb3の一面に当接させておけば、光源5、透過光検出器6及び散乱光検出器7の位置ずれを低減することができる。ここで、各取付部92a〜93cを、各収容空間Sb1〜Sb3の一面に押し付けておけばなお良い。
【0039】
そして、本実施形態では、図1図3図9及び図10に示すように、前記検査光用光学窓M1、前記透過光用光学窓M2及び前記散乱光用光学窓M3を清掃する清掃機構10を備えている。
【0040】
この清掃機構10は、検査光用光学窓M1、透過光用光学窓M2及び散乱光用光学窓M3の汚れを払拭するものであり、検査光用光学窓M1、透過光用光学窓M2及び散乱光用光学窓M3の汚れを払拭して清掃する清掃体11(図9及び図10参照)と、測定空間Sa内に配置されて前記清掃体11を保持する回転体12(図9及び図10参照)と、当該回転体12を前記測定空間Sa内で回転させる駆動部13と、清掃体11の位置を検出するための位置検出部14とを備える。
【0041】
清掃体11は、ゴム等の弾性部材から形成されており、本実施形態では、3つの清掃体11が回転体12の外側周面に設けられている。
【0042】
各清掃体11は、センサヘッド4における側壁42の内面4aの中心軸C回りに回転するものであり、側壁42の内面4aにおいて中心軸C方向の所定範囲に亘って接触する接触部111を有している。具体的に接触部111は、回転に伴って、側壁42内面における各光学窓M1〜M3の全体を摺動する範囲に亘って形成される。
【0043】
また、接触部111は、中心軸Cに対して当該中心軸C回りの周方向に傾斜している。本実施形態では、接触部111の上端が下端よりも回転方向前方に位置するように傾斜している(図10参照)。このように接触部111が傾斜しているので、清掃体11の回転により、接触部111に掻き集められた塵が、回転方向後方である接触部111の下端に移動して、センサヘッド4の下端開口を介して測定空間Saから排出させる。
【0044】
回転体12は、例えば黒色の樹脂からなる概略円筒形状をなすものであり、その外側周面に前記清掃体11が設けられている。具体的には、回転体12は、前記センサヘッド4の内側周面4aに対向する側壁部121と、前記側壁部121の軸方向一端側に形成されて、前記センサヘッド4の底壁41に対向する底壁部122とを有する有底円筒形状をなすものである。そして、側壁部121には、前記清掃体11を弾性変形させて嵌め込むための取付孔121Hが形成されている(図9参照)。本実施形態の清掃体11は、長手方向に延びる長尺状をなすものであり、上述したように中心軸Cに傾斜して設けるべく、前記取付孔121Hが中心軸Cに対して周方向に傾斜して形成されている。これにより、回転体12の取付孔121Hに清掃体11を固定することで、清掃体11の接触部111が、中心軸Cに対して周方向に傾斜して設けられることになる。
【0045】
また、特に図3に示すように、回転体12の側壁部121には、検査光L1を通過させる検査光用通過孔12a、透過光L2を通過させる透過光用通過孔12b及び散乱光L3を通過させる散乱光用通過孔12cが形成されている。これら通過孔12a〜12cは、回転体12が測定位置にある状態において、検査光用通過孔12aがセンサヘッド4の検査光用光学窓M1に対向し、透過光用通過孔12bがセンサヘッド4の通過光用光学窓M2に対向し、散乱光用通過孔12cがセンサヘッド4の散乱光用光学窓M3に対向するように形成されている。このように、回転体12の側壁部121に各光学窓M1〜M3に対向して各通過孔12a〜12cを形成しているので、その他の部分が、遮光板として機能する。これにより、迷光が透過光検出器6及び散乱光検出器7によって受光されることを抑えることができ、正確な測定を可能にすることができる。
【0046】
また、回転体12の側壁部121において、3つの清掃体11は、1つの短辺と2つの長辺からなる二等辺三角形の頂点となるように設けられており、前記短辺両端の頂点にある清掃体11が、散乱光用通過孔12cを挟むように設けられている。これにより、回転体12が測定位置にある状態で、前記短辺両端の頂点にある清掃体11が、前記散乱光用光学窓M3を挟むように設けられて、迷光の影響を受け易い散乱光測定において、その影響をより一層低減することができる。
【0047】
また、回転体12の底壁部122及び底壁部122と側壁部121との角部には、貫通孔12Hが形成されている(図9及び図10参照)。この貫通孔12Hは、測定空間Saにおける試料の置換速度及び置換効率を向上させるものである。また、この貫通孔12Hは、センサヘッド4を浸漬させた際に、空気抜きの孔としても機能する。
【0048】
駆動部13は、図1に示すように、回転体12を回転させることにより清掃体11を中心軸回りに回転させるものであり、一端部に回転体12が接続される回転軸131と、当該回転軸131を回転させるステッピングモータ等のモータ132とを備えている。なお、モータ132は、センサヘッド4及び演算機器等収容体8からなる水密ケース内に固定されている。
【0049】
回転軸131は、前記センサヘッド4の底壁41の中央部を貫通して設けられている。回転軸131と底壁41の中央部に形成された貫通孔41Hとの間には軸シールS2が設けられている。この軸シールS2は、センサヘッド4の底壁41の上面に形成された軸シール収容部41mに収容されることにより、回転軸131及び貫通孔41Hの間を液密にシールする。
【0050】
位置検出部14は、図1に示すように、回転軸131に設けられた検知片141の位置を検出することによって、清掃体11(回転体12)の位置を検出するものであり、フォトインタラプタ142により構成されている。具体的に位置検出部14は、回転体12が測定位置にある状態を検出するものであり、当該測定位置に対応する位置に前記検知片141が設けられ、当該測定位置にある検知片141をフォトインタラプタ142が検出する。ここで、測定位置とは、回転体12の各通過孔12a〜12cがセンサヘッド4の各光学窓M1〜M3に対応する位置(図3参照)である。そして、フォトインタラプタ142が検知片141を検出した直後、例えばモータ132がステッピングモータの場合には数パルス後に、制御機器(不図示)によりモータ132を止める。
【0051】
このように構成された清掃機構10は、演算機器等収容体8に収容される制御機器により例えば定期的(例えば数時間又は数日おき)に各光学窓M1〜M3を自動清掃するようにしても良いし、計器本体3に設けられた清掃キーによりユーザが適宜清掃操作できるようにしても良い。
【0052】
さらに本実施形態では、図3及び図4に示すように、センサヘッド4の側壁42に、その側壁42の内面4a及び側壁42外面4bを連通し、中心軸方向に沿ってスリット4Xが形成されている。このスリット4Xは、センサヘッド4の側壁42に形成された中心軸方向に沿って形成された長孔であり、本実施形態では、上述した貫通孔4Hに連通している。なお、スリット4Xをセンサヘッド4の側壁42において下端に開口するように形成することも考えられるが、センサヘッド4の機械的強度を向上させるために、スリット4Xが下端に開口せず、センサヘッド4の下端が連続した構造としている。
【0053】
そして、図11に示すように、回転体12の回転に伴い、清掃体11がスリット4Xを通過することにより、清掃体11により集められた塵が、スリット4Xから外部に排出されるように構成されている。このように清掃体11により集められた塵を、スリット4Xから外部に排出することで、清掃体11の清掃能力の低下を防ぐことができる。
【0054】
ここで、スリット4Xの延伸方向が中心軸C方向に沿った方向であるのに対して、清掃体11の接触部111の延伸方向が中心軸Cに対して中心軸C回りの周方向に傾斜した方向であり、スリット4Xの延伸方向と清掃体11の接触部111の延伸方向が交わるように構成されているので、清掃体11の接触部111を、スリット4Xに嵌ることなくスムーズに回転させることができる。これにより、清掃体11を保持する回転体12が回転不能になることを防ぎ、又は回転不能に至らないまでも、回転する毎にスリット4Xに嵌ることで清掃体11が摩耗しやすくなり、清掃能力が低下することを防止することができる。
【0055】
<第1実施形態の効果>
このように構成した第1実施形態の濁度計100によれば、測定空間Saを形成するセンサヘッド4を光透過性材料から形成し、このセンサヘッド4の側壁42に光源5及び各検出器6、7を収容する収容空間Sb1〜Sb3を形成しているので、シンプルで且つ壊れにくい頑丈な構造にしつつ、シール箇所を少なくすることができる。また、センサヘッド4の側壁42の内面4aを検査光用光学窓M1、透過光用光学窓M2及び散乱光用光学窓M3としているので、光学窓M1〜M3及びその他の部分を単一の部材により構成することができ、シンプルで且つ壊れにくい頑丈な構造にしつつ、シール箇所を少なくすることができる。さらに、センサヘッド4が筒状をなすものであり、センサヘッド4外部からの外乱光が透過光用光学窓M2及び散乱光用光学窓M3に入射し難くすることができ、透過散乱法を用いた濁度計100において、その測定精度を向上させることができる。
特に本実施形態では、センサヘッド4におけるシール部分が、センサヘッド4の底壁41側における演算機器等収容体8が取り付られる部分と、センサヘッド4の底壁41における回転軸131が貫通する部分のみであり、従来の濁度計に比べて、シール箇所を少なくすることができる。
【0056】
<第2実施形態>
次に本発明に係る濁度計の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態において、前記第1実施形態と対応する部材には同一の符号を付している。
【0057】
第2実施形態に係る濁度計100は、前記第1実施形態とは、主としてセンサヘッド4及び回転体12の構成が異なる。
【0058】
本実施形態のセンサヘッド4は、図12に示すように、センサヘッド4の側壁42において、光源5及び透過光検出器6の間、光源5及び散乱光検出器7の間、並びに、透過光検出器6及び散乱光検出器7の間に、光吸収部15が設けられている。
【0059】
具体的に各光吸収部15は、センサヘッド4の側壁42の内面に露出するように設けられており、センサヘッド4の側壁42に光吸収部材15a〜15cが埋設されることにより形成されている。つまり、センサヘッド4の側壁42において、光源5及び透過光検出器6の間に設けられた光吸収部材15aが、内面に露出するように埋設されており、光源5及び散乱光検出器7の間に設けられた光吸収部材15bが、内面に露出するように埋設されており、透過光検出器6及び散乱光検出器7の間に設けられた光吸収部材15cが、内面に露出するように埋設されている。
【0060】
各光吸収部材15a〜15cは、例えばポリフェニレンオキシド(PPO)等の黒色の樹脂から形成されている。また、各光吸収部材15a〜15cの内面は、センサヘッド4の側壁42の内側周面に沿った部分円形状をなしている。
【0061】
さらに、センサヘッド4の径方向における光吸収部材15a〜15cの厚さは、センサヘッド4の側壁42の厚さ未満になるように構成されている。つまりセンサヘッド4は、その側壁42における外径部分が、周方向全体に亘って連続する円筒状をなしており、センサヘッド42における内径部分に、各光収容部材15a〜15cが収容される収容凹部が形成された形状となる。これにより、センサヘッド4の剛性を確保して変形を防止している。
【0062】
そして、光吸収部材15a〜15cは、それぞれセンサヘッド4の側壁42にねじ4zによって固定されている。具体的には、光吸収部材15a〜15cをねじ4zによりセンサヘッド4に固定すべく、センサヘッド4には、貫通孔43が形成され、光吸収部材15a〜15cには、ねじ孔151が形成されている。
【0063】
本実施形態の回転体12は、図12図14に示すように、回転体12の側壁部121において、検査光用通過孔12a及び透過光用通過孔12bの間に、光源5から出た直接光及び散乱により生じる散乱光等の迷光を通過させる反射防止用通過孔12dが形成されている。
【0064】
この反射防止用通過孔12dは、回転体12の側壁部121の内面で反射して生じる反射光を低減して、各光検出器6、7で受光され難くするものであり、側壁部121において散乱光用通過孔12cに対向して設けられている。具体的に反射防止用通過孔12dは、側面視において例えば概略矩形状をなすものであり、周方向に沿った開口幅寸法は、散乱光用通過孔12cの開口幅寸法よりも大きくなるように構成されている。また、反射防止用通過孔12の側面視における軸方向寸法は、散乱光用通過孔12cの軸方向寸法よりも大きくなるように構成されている。このように回転体12の側壁部121に反射防止用通過孔12dが形成されているので、回転体12の側壁部121の内面で反射して生じる反射光が各光検出器6、7で受光されることを抑制することができる。回転体12の内面は、センサヘッド4の内面のように清掃体11等によって清掃されないため、汚れやすく、当該汚れにより反射光が生じ易いが、反射防止用通過孔12dを形成することによって、回転体12の内面が汚れる等により生じる反射光を低減することができ、回転体12の内面で反射した迷光が透過光検出器6及び散乱光検出器7によって受光されることを抑えることができ、正確な測定を可能にすることができる。
【0065】
そして、本実施形態の濁度計100では、回転体12の各通過孔12a〜12cがセンサヘッド4の各光学窓M1〜M3に対応する測定位置において、反射防止用通過孔12dが、光吸収部材15aに対向するように形成されている。具体的に反射防止用通過孔12dと光吸収部材15aとの位置関係は、中心軸Cと検査光L1との交点から反射防止用通過孔12dを見たときに、当該反射防止用通過孔12dから光吸収部材15aのみが見えるように構成されている。このように反射防止用通過孔12dと光吸収部材15aが対向しているので、反射防止用通過孔12dを設けて回転体12の側壁部121での反射を抑える構成において、さらに、反射防止用通過孔12dを通過した光がセンサヘッド4の側壁42内面で反射することを防止して、側壁42の内面で生じる反射光が各検出器6、7で受光されることを防ぐことができる。
【0066】
さらに、回転体12に反射防止用通過孔12dを形成したことに伴い、本実施形態の回転体12は、図12図14に示すように、散乱光用通過孔12cを挟むように2つの清掃体11が設けられる構成としている。この場合、2つの清掃体11がセンサヘッド4の内面に接触して生じる反力に対抗して回転体12の位置を維持するために、回転体12の側壁部121において、反射防止用通過孔12dの上下に、センサヘッド4の側壁42の内面に当接するように肉厚になっている肉厚部121Bが形成されている。
【0067】
その上、本実施形態では、図12に示すように、センサヘッド4の側壁42及び光吸収部材15bに、センサヘッド4の側壁42の内面、清掃体11又は回転体12を洗浄するための洗浄用ノズル44が形成されている。この洗浄用ノズル44は、センサヘッド4の外部と測定空間Saとを連通するものであり、センサヘッド4の外部から測定空間Saに向かって縮径した流路を有している。なお、図12では、洗浄用ノズル44が、光吸収部材15bに形成されているが、その他の光吸収部材15a、15cに形成されていても良いし、光吸収部材15a〜15c以外の側壁42に形成しても良い。このように洗浄用ノズル44を形成することによって、水等の洗浄液を貫通孔44及び貫通孔152を通して測定空間Saに導入することができ、容易にセンサヘッド4の側壁42内面、回転体12又は清掃体11を洗浄することができる。
【0068】
<第2実施形態の効果>
このように構成した第2実施形態の濁度計100によれば、センサヘッド4の側壁42に光吸収部材15a〜15cを埋設して光吸収部15を設けているので、センサヘッド4の側壁42の内部を通過する光や、側壁42の内面に当たって反射光となる光を吸収することができ、それらの光からなる迷光が透過光検出器6及び散乱光検出器7(特に散乱光検出器7)によって受光されることを抑えることができる。これにより、正確な測定を可能にすることができる。
【0069】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、光源5、透過光検出器6及び散乱光検出器7それぞれに対応して収容空間Sb1〜Sb3を形成しているのが、それらのうち少なくとも2つを収容する収容空間を形成しても良い。このように少なくとも2つを収容する収容空間を形成することで、センサヘッド4を軽量化することができる。
【0070】
また、前記実施形態では、清掃体11の接触部111が、その下端が上端よりも周方向前方に位置するように傾斜するものであっても良い。これならば、センサヘッド4の底壁41側に形成された貫通孔4Hを介して排出することができる。
【0071】
さらに、清掃体11の数は、前記各実施形態に限られない。例えば前記第1実施形態では、1つ又は2つの清掃体11を有するものであっても良いし、4つ以上の清掃体11を有するものであっても良い。散乱光検出器に迷光が受光されることを防止するためには、少なくとも2つ以上の清掃体を有することが望ましい。
【0072】
その上、前記実施形態では、単一の保持部材9に光源5、透過光検出器6及び散乱光検出器7を保持させて、それらを同時にセンサヘッド4に収容するように構成しているが、それらを単一の保持部材9の保持させることなく、別々に各収容空間Sb1〜Sb3に収容するように構成しても良い。これならば、光源5、透過光検出器6及び散乱光検出器7の何れか1つを交換する場合に、他の2つをセンサヘッド4から取り外す必要が無く、交換作業を簡単にすることができる。
【0073】
加えて、前記実施形態では、清掃体11が側壁42内面の中心軸C回りに回転するものであったが、清掃体11が側壁42の内面4aを中心軸Cに沿って進退移動するように構成しても良い。
【0074】
さらにその上、前記実施形態の位置検出機構14は、回転軸131に設けられた検知片141をフォトインタラプタ142で検出するものであったが、回転体12を回転させた際に、透過光検出器6又は散乱光検出器7から得られる光量信号を用いて検出するようにしても良い。例えば、透過光検出器6からの光量信号を用いて位置を検出する場合、測定位置にある状態で光量信号が最大値となるため、この最大値を用いて、回転体12が測定位置にあると検出することができる。
【0075】
さらに加えて、前記実施形態では、スリット4Xの延伸方向が中心軸C方向に沿った方向であり、清掃体11の接触部111の延伸方向が中心軸C方向から傾斜した方向であったが、スリット4Xの延伸方向を中心軸C方向から傾斜した方向としても良い。なお、この場合、円筒状をなすセンサヘッド4に対して傾斜したスリット4Xを形成することが困難であるため、前記実施形態の構成が好ましい。
【0076】
また、センサヘッド4は、円筒状をなすものの他、断面矩形状又は断面多角形状をなす筒状をなすものであっても良い。
【0077】
前記第2実施形態では、光源5、透過光検出器6及び散乱光検出器7のそれぞれの間に光吸収部15(光吸収部材15a〜15c)を設けているが、それらのうち少なくとも1つに光吸収部15を設ける構成としても良い。この場合、光源5と当該光源からの設置距離が近い散乱光検出器7との間に光吸収部15を設けることが好ましい。
【0078】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
100・・・濁度計
Sa ・・・測定空間
L1 ・・・検査光
L2 ・・・透過光
L3 ・・・散乱光
C ・・・中心軸
4 ・・・センサヘッド
41 ・・・底壁
42 ・・・側壁
4X ・・・スリット
Sb1・・・光源収容空間
Sb2・・・透過光検出器収容空間
Sb3・・・散乱光検出器収容空間
M1 ・・・検査光用光学窓
M2 ・・・透過光用光学窓
M3 ・・・散乱光用光学窓
5 ・・・光源
6 ・・・透過光検出器
7 ・・・散乱光検出器
8 ・・・演算機器等収容部
9 ・・・保持部材
10 ・・・清掃機構
11 ・・・清掃体
12 ・・・回転体
12a・・・検査光用通過孔
12b・・・透過光用通過孔
12c・・・散乱光用通過孔
12d・・・反射防止用通過孔
12H・・・貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14