特許第6275451号(P6275451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275451
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】輸送用冷凍ユニット
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20180129BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   F25D11/00 101D
   F25D19/00 510Z
   F25D19/00 560
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-228631(P2013-228631)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-87093(P2015-87093A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 保治
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 政和
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−236380(JP,A)
【文献】 特開平04−356633(JP,A)
【文献】 実開平05−002511(JP,U)
【文献】 米国特許第05777843(US,A)
【文献】 実開昭56−141918(JP,U)
【文献】 実開平04−072807(JP,U)
【文献】 特開平11−230583(JP,A)
【文献】 特開2011−064437(JP,A)
【文献】 特開2010−121857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の取り付け面に制御用の電子機器類が配設されているコントロールボックスを備えた輸送用冷凍ユニットにおいて、
前記コントロールボックスは、前記取り付け面をボックス本体の奥行方向の中間位置に配置し、その表裏両面を前記取り付け面として前記電子機器類を配設するとともに、該ボックス本体の前面側および背面側の開口部にリッド部材を設けた構成とされ、
前記リッド部材は、前記ボックス本体の前面側および背面側の前記開口部に対し、それぞれ独立して個別に着脱自在もしくは開閉自在に設けられ、
前記コントロールボックスが、ユニット本体の支持部材に対してヒンジを介して回動自在に設置されていることを特徴とする輸送用冷凍ユニット。
【請求項2】
前記コントロールボックスは、前記ボックス本体の前面が前記ユニット本体の前面側に面して配設され、前記取り付け面の裏面に配設されている前記電子機器類に対して、該コントロールボックスを前記ヒンジ回りに回動することによりアクセス可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の輸送用冷凍ユニット。
【請求項3】
前記取り付け面には、その表裏両面に配設されている電子機器類間の配線を通す貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の輸送用冷凍ユニット。
【請求項4】
内部の取り付け面に制御用の電子機器類が配設されているコントロールボックスを備えた輸送用冷凍ユニットにおいて、
前記コントロールボックスは、前記取り付け面をボックス本体の奥行方向の中間位置に配置し、その表裏両面を前記取り付け面として前記電子機器類を配設するとともに、該ボックス本体の前面側および背面側の開口部にリッド部材を設けた構成とされ、
前記リッド部材は、前記ボックス本体の前面側および背面側の前記開口部に対し、一体化されたコの字形状リッド部材が前記ボックス本体の一端側からスライド嵌合されることにより着脱自在もしくは開閉自在に設けられ、
前記コントロールボックスが、ユニット本体の支持部材に対してヒンジを介して回動自在に設置されていることを特徴とする輸送用冷凍ユニット。
【請求項5】
前記コントロールボックスは、前記ボックス本体の前面が前記ユニット本体の前面側に面して配設され、前記取り付け面の裏面に配設されている前記電子機器類に対して、該コントロールボックスを前記ヒンジ回りに回動することによりアクセス可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の輸送用冷凍ユニット。
【請求項6】
前記取り付け面には、その表裏両面に配設されている電子機器類間の配線を通す貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の輸送用冷凍ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部の取り付け面に制御用の電子機器類が配設されているコントロールボックスを備えた輸送用冷凍ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
輸送用冷凍ユニットは、冷凍車やトレーラ等に架装され、その保冷庫内の冷却、加温等に供されるものであり、そのユニット本体の内部には、冷凍機を構成する機器類やそれらの構成機器類を駆動するエンジン、モータ等の駆動機器類が搭載されている。また、ユニット本体には、内部に搭載されている冷凍機用の機器類やその駆動機器類の運転・停止を制御するためのコントロールボックスが搭載されている。
【0003】
コントロールボックスは、制御基板や各種リレー等の制御用電子機器類の取り付け面を確保するとともに、それらに対するメンテナンス性を確保するため、電子機器類の取り付け面となるボックス底面が広くされ、深さが浅くされた扁平形状と箱型され、その広くされたボックス底面(取り付け面)に正対する面にリッド部材が設けられた構成とされていた。また、コントロールボックスは、ユニット本体を架装した後も、メンテナンス時に容易にアクセスできるように、ユニット本体の前面または側面に面して配置されている。このため、ユニット本体内の部品レイアウトやフレーム構造の決定、外気を吸気する開口部の確保、メンテナンス性の確保等の点から、コントロールボックスのレイアウトが大きな制約となっていた。
【0004】
そこで、正面面積を大きくした扁平形状のコントロールボックスをユニット本体内において、その前面に面してフレームにヒンジ結合により回動自在に配設し、コントロールボックスの裏面側に配設されている内部機器類をメンテナンスする際、ヒンジを支点にしてコントロールボックスを回動することにより、内部部品をメンテナンス可能としたものが実用に供されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、アンダーマウント型の輸送用冷凍ユニットにおいて、前面パネルの裏面側に、前面に面して蝶番により前面カバーを開閉自在としたコントロールボックス(制御箱)を配設し、該コントロールボックスをレールに沿って前面側の外部に引出し可能とするとともに、その引出し位置で下縁部を支点に下方に旋回可能とし、裏面側に配置されている内部機器類のメンテナンスを容易化したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2004−526120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年の傾向として、車両側の排ガス規制に対する対応のため、車両のモデルチェンジの都度、冷凍ユニットの搭載スペースが狭小化して行く一方であり、これに追随し得る冷凍ユニットの小型化の必要性から、ユニット内の部品集積率が上昇し、余剰空間がなくなる中で、冷却風路やメンテナンス性を確保したユニット構造の設計が求められている。かかる状況下において、比較的大きな占有面積を有する扁平形状のコントロールボックスは、配置が困難になりつつあり、従来通りの機器配置、取り付け、メンテナンス性を確保しながら、コントロールボックスの正面面積を如何にして小さくするかが課題となっている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コントロールボックスを電子機器類の取り付け面を確保しつつ正面面積を低減し、構造の複雑化や組立性、メンテナンス性の悪化を避けながら狭いスペースでのレイアウトを可能とし、小型化の要求を満たす輸送用冷凍ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の輸送用冷凍ユニットは、以下の手段を採用している。
すなわち、本発明にかかる輸送用冷凍ユニットは、内部の取り付け面に制御用の電子機器類が配設されているコントロールボックスを備えた輸送用冷凍ユニットにおいて、前記コントロールボックスは、前記取り付け面をボックス本体の奥行方向の中間位置に配置し、その表裏両面を前記取り付け面として前記電子機器類を配設するとともに、該ボックス本体の前面側および背面側の開口部にリッド部材を設けた構成とされ、該コントロールボックスが、ユニット本体の支持部材に対してヒンジを介して回動自在に設置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、コントロールボックス内において、制御用の電子機器類が配設される取り付け面をボックス本体の奥行方向の中間位置に配置し、その表裏両面を取り付け面として電子機器類を配設するとともに、該ボックス本体の前面側および背面側の開口部にリッド部材を設けた構成とし、該コントロールボックスをユニット本体の支持部材に対してヒンジを介して回動自在に設置した構成としているため、ボックス本体の奥行方向の中間位置に配置した取り付け面の表裏両面に制御用の電子機器類を配設していることから、コントロールボックスの底面一面を取り付け面とした従来のものに比べ、単純にその正面面積を半分にすることができる。また、ボックス本体の前面側および背面側の開口部に設けているリッド部材を開くもしくは取り外すことにより、取り付け面の表面側に配設されている電子機器類に対して、直にメンテナンスすることができるとともに、取り付け面の裏面側に配設されている電子機器類に対して、コントロールボックスをヒンジ回りに回動して裏面側を前面側に回すことによりメンテナンスすることができ、しかもコントロールボックスをヒンジ回りに回動した状態することにより、その裏面側に配置されている内部機器類に対してもメンテナンスすることが可能となる。従って、コントロールボックスの構成を複雑化することなく、正面面積を略半分にして、組立性やメンテナンス性を確保しつつレイアウトの自由度を高め、狭いスペースでの内部機器類や冷却風路等のレイアウトを可能とし、ユニット本体の小型化に対する要求を満たすことができる。
【0011】
さらに、本発明の輸送用冷凍ユニットは、上記の輸送用冷凍ユニットにおいて、前記コントロールボックスは、前記ボックス本体の前面が前記ユニット本体の前面側に面して配設され、前記取り付け面の裏面に配設されている前記電子機器類に対して、該コントロールボックスを前記ヒンジ回りに回動することによりアクセス可能とされていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、コントロールボックスが、ボックス本体の前面がユニット本体の前面側に面して配設され、取り付け面の裏面に配設されている電子機器類に対して、該コントロールボックスをヒンジ回りに回動することによりアクセス可能とされているため、ユニット本体の前面パネルを開いてコントロールボックスを露出させ、リッド部材を開くまたは取り外すことにより、取り付け面の表面側に配設されている電子機器類をメンテナンスすることができる一方、コントロールボックスをヒンジ回りに回動し、裏面側を前面側に回してリッド部材を開くまたは取り外すことにより、取り付け面の裏面側に配設されている電子機器類をメンテナンスすることができ、しかも、この状態とすることでコントロールボックスの裏面側に配置されている内部機器類に対してもメンテナンスすることが可能となる。従って、コントロールボックスの取り付け面の表裏両面に設けられている電子機器類およびコントロールボックスの裏面側に配置されている内部機器類に対するメンテナンスの容易性を確保することができる。
【0013】
さらに、本発明の輸送用冷凍ユニットは、上述のいずれかの輸送用冷凍ユニットにおいて、前記取り付け面には、その表裏両面に配設されている電子機器類間の配線を通す貫通穴が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、取り付け面に、その表裏両面に配設されている電子機器類間の配線を通す貫通穴が設けられているため、取り付け面の表裏両面に配設されている電子機器類間を繋ぐ配線を取付け面に設けられている貫通穴を通して配線することができる。これによって、取り付け面を多層構造とすることなく、コントロールボックスの正面面積を略半減化し、その表裏2面の取付け面間の配線構造をも簡素化することができる。
【0015】
さらに、本発明の輸送用冷凍ユニットは、上述のいずれかの輸送用冷凍ユニットにおいて、前記リッド部材は、前記ボックス本体の前面側および背面側の前記開口部に対し、それぞれ独立して個別に着脱自在もしくは開閉自在に設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、リッド部材が、ボックス本体の前面側および背面側の開口部に対し、それぞれ独立して個別に着脱自在もしくは開閉自在に設けられているため、ボックス本体の前面および背面の開口部に対して、独立して個別に設けられている防塵、防水用リッド部材を個別に開くまたは取り外すことにより、コントロールボックス内の取り付け面の表裏両面に配設されている電子機器類をそれぞれメンテナンスすることができる。従って、必要に応じて、両リッド部材を個別に着脱もしくは開閉することによりメンテナンスすることができ、その容易性を確保することができる。
【0017】
さらに、本発明の輸送用冷凍ユニットは、上述のいずれかの輸送用冷凍ユニットにおいて、前記リッド部材は、前記ボックス本体の前面側および背面側の前記開口部に対し、一体化されたコの字形状リッド部材が前記ボックス本体の一端側からスライド嵌合されることにより着脱自在もしくは開閉自在に設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、リッド部材が、ボックス本体の前面側および背面側の開口部に対し、一体化されたコの字形状リッド部材がボックス本体の一端側からスライド嵌合されることにより着脱自在もしくは開閉自在に設けられているため、ボックス本体の前面側および背面側の開口部に対して、スライド嵌合されることにより着脱自在もしくは開閉自在に設けられているコの字形状の防塵、防水用リッド部材を開くまたは取り外すことにより、コントロールボックス内の取り付け面の表裏両面に配設されている電子機器類をそれぞれメンテナンスすることができる。従って、必要に応じて、一体形とされたコの字形状リッド部材を着脱もしくは開閉することによりメンテナンスすることができ、その容易性を確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、ボックス本体の奥行方向の中間位置に配置した取り付け面の表裏両面に制御用の電子機器類を配設していることから、コントロールボックスの底面一面を取り付け面とした従来のものに比べ、単純にその正面面積を半分にすることができる。また、ボックス本体の前面側および背面側の開口部に設けているリッド部材を開くもしくは取り外すことにより、取り付け面の表面側に配設されている電子機器類に対して、直にメンテナンスすることができるとともに、取り付け面の裏面側に配設されている電子機器類に対して、コントロールボックスをヒンジ回りに回動して裏面側を前面側に回すことによりメンテナンスすることができ、しかもコントロールボックスをヒンジ回りに回動した状態することによって、その裏面側に配置されている内部機器類に対してもメンテナンスすることが可能となるため、コントロールボックスの構成を複雑化することなく、その正面面積を略半分にして、組立性やメンテナンス性を確保しつつレイアウトの自由度を高め、狭いスペースでの内部機器類や冷却風路等のレイアウトを可能とし、ユニット本体の小型化に対する要求を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る輸送用冷凍ユニットの正面図である。
図2図1に示す輸送用冷凍ユニットの平面図である。
図3】上記輸送用冷凍ユニットのコントロールボックスの平面図(A)およびその正面図(B)である。
図4】上記コントロールボックスの第2実施形態の平面図(A)およびその正面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図3を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る輸送用冷凍ユニットの正面図が示され、図2には、その平面図、図3には、コントロールボックスの平面図(A)および正面図(B)が示されている。
本実施形態の輸送用冷凍ユニット1として、アンダーマウント型のエンジン駆動式輸送用冷凍ユニット1が例示されている。輸送用冷凍ユニット1のユニット本体2は、支持部材である枠状のユニットフレーム3(図3にその一部が示されている。)の周囲6面を外面パネルで覆った箱形形状とされている。
【0022】
ユニット本体2の前面パネル4は、図1および図2に示されるように、上面パネル5に上縁部がヒンジ7を介して結合され、上方に開閉可能とされており、この前面パネル4を上方に開放することにより、ユニット本体2の内部に配設されている機器類に対してアクセス可能とされている。また、このユニット本体2には、車両走行方向の前方側端面となる図示の左側面パネルに吸込グリルが設けられており、ラム圧および後述する送風ファンを介して外気が吸込まれ、その外気は、以下に説明するコンデンサ、ラジエータを通風した後、他の構成機器類の周囲を流通し、後方側端面となる図示の右側面パネルより外部に排出される構成とされている。
【0023】
ユニット本体2内には、公知の如く、冷凍機を構成する圧縮機、コンデンサ、レシーバおよびアキュームレータ等のコンデンシングユニット側の機器類と、コンデンサに対して外気を通風するための送風ファンと、冷凍機を駆動する専用のエンジン(サブエンジンとも云う。)と、サブエンジンの停止時、商用電源により駆動され、冷凍機を駆動する電動モータと、サブエンジンまたは電動モータによって駆動されるオルタネータと、ラジエータおよびエアクリーナ等のサブエンジン用補機類が搭載されている。なお、サブエンジンの排気管8に接続されている排気マフラ9が、ユニット本体2の背面パネル6の外面に沿うように設置されている。
【0024】
また、ユニット本体2内には、冷凍機の構成機器類やサブエンジン、電動モータ等の駆動機器類の運転・停止を制御するためのコントロールボックス10が設けられている。コントロールボックス10は、箱形形状でユニット本体2内において前面パネル4の裏面にその前面が面するように配置されている。また、このコントロールボックス10は、図3に示されるように、前面および背面が開口されている四角形状で奥行方向に所定の厚さ寸法を有するボックス本体11と、ボックス本体11内の奥行方向の中間位置に設けられている取り付け面12と、ボックス本体11の前面および背面の開口部に着脱自在または開閉自在に設けられ、その開口部を閉鎖するリッド部材13,14と、取り付け面12に設けられた配線用の貫通穴15とを備えた構成とされている。
【0025】
ボックス本体11内に設けられている取り付け面12の表裏両面には、ボックス本体11の前面および背面の開口からアクセスできるように、制御基板や各種リレー等の制御用電子機器類(図示省略)が配設され、それらの電子機器類間を接続する電気配線が貫通穴15を介して配線可能とされている。なお、表裏両面に制御用の電子機器類が配設される取り付け面12は、ボックス本体11内の奥行方向の中間位置に設けられているが、ここでの中間位置とは、必ずしもボックス本体11の奥行方向寸法の1/2位置を意味するものではなく、前面と背面との間の位置を意味するものである。
【0026】
さらに、コントロールボックス10は、ユニット本体2内の前面パネル4の裏面位置において、ユニットフレーム(支持部材)3に対し、ヒンジ16を介して回動自在に結合されており、図3(A)に示す矢印方向に回動可能な構成とされている。具体的には、コントロールボックス10の前面側の一端部が、ユニットフレーム3の縦フレームに対し上下複数箇所でヒンジ16を介して結合されることにより、コントロールボックス10がヒンジ16の縦軸回りにユニット本体2の前面側へと略180度回動可能に取り付けられ、これによって、コントロールボックス10の背面側がユニット本体2の前面に面して位置されることが可能な構成とされている。
【0027】
なお、コントロールボックス10は、ユニット本体2内の前面パネル4の裏面位置に収容設置されたとき、ヒンジ16により結合されている端部と反対側の端部がユニット本体2内の固定部材等にネジ止め固定される構成とされており、取り付け面12の裏面側に配設されている電子機器類に対してアクセスする際あるいはコントロールボックス10の裏面側に配置されている内部機器類に対してアクセスする際に、止めネジを外すことによってユニット本体2の前面側へと回動可能とされている。
【0028】
また、上記2枚のリッド部材13,14は、ボックス本体11内に配設されている電子機器類に対して防塵、防水機能を有するものであり、ボックス本体11の前面および背面の開口部にそれぞれ独立して個別に着脱自在または開閉自在に設けられ、電子機器類に対するメンテナンス時等に、必要に応じて、2枚のリッド部材13,14を個別に着脱もしくは開閉できる構成とされている。
【0029】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記の輸送用冷凍ユニット1において、コントロールボックス10は、ユニット本体2内の前面パネル4の裏面位置に、その前面がユニット本体2の前面側に面するように配置され、ユニットフレーム3に対し、ヒンジ16を介してその垂直方向軸回りに回動自在に設置されており、また、コントロールボックス10自体は、ボックス本体11の奥行方向の中間位置に取り付け面12が設けられ、その取り付け面12の表裏両面に制御用の電子機器類が配設された構成とされている。
【0030】
このため、コントロールボックスの底面一面を取り付け面としたコントロールボックスに比べ、単純にその正面面積を半分にし、小型化することができる。また、単に2層構造として正面面積を半分にしたものに対して、構造の複雑化や組立性およびメンテナンス性の悪化を回避することができる。つまり、ボックスを2層構造とした場合、各層の底面を二重構造等にして防水しなければならないだけでなく、奥側の層に対するメンテナンス性を確保するには、手前側の層を開閉または着脱可能な構成としなければならず、各層間の配線接続がし難くなるとともに、奥側の層に対するメンテナンスがし難くなる等、構造の複雑化や組立性、メンテナンス性が低下することは避けられない。
【0031】
しかるに、本実施形態では、ボックス本体11の奥行方向の中間位置に取り付け面12を設けており、その取り付け面12の表裏両面に対して制御用の電子機器類を配設した構成としているため、構造を特段複雑化することなく、簡単にその正面面積を半分にすることができる。また、ボックス本体11の前面側および背面側の開口部に設けているリッド部材13,14を開くもしくは取り外すことにより、取り付け面12の表面に配設されている電子機器類に対して、直にメンテナンスすることができるとともに、取り付け面12の裏面側に配設されている電子機器類に対しては、コントロールボックス10をヒンジ16回りに回動して裏面側を前面側に回すことによりメンテナンスすることができる。
【0032】
しかも、コントロールボックス10を上記の如くヒンジ16回りに回動した状態することにより、コントロールボックス10の裏面側に配置されている機器類に対しても、その前面側が開放されるため、メンテナンスすることが可能となる。
従って、コントロールボックス10の構成を特に複雑化することなく、正面面積を略半分にして、組立性やメンテナンス性を確保しつつレイアウトの自由度を高め、狭いスペースでの内部機器類や冷却風路等のレイアウトを可能とし、ユニット本体2の小型化に対する要求を満たすことができる。
【0033】
また、コントロールボックス10は、ボックス本体11の前面がユニット本体2の前面側に面して配設され、取付け面12の裏面に配設されている電子機器類に対して、コントロールボックス10をヒンジ16回りに回動することによりアクセス可能な構成とされているため、ユニット本体2の前面パネル4を開いてコントロールボックス10の前面を露出させ、リッド部材13を開くまたは取り外すことにより、取付け面12の表面側に配設されている電子機器類をメンテナンスすることができる。
【0034】
一方、コントロールボックス10をヒンジ16回りに回動し、裏面側を前面側に回してリッド部材14を開くまたは取り外すことにより、取り付け面12の裏面側に配設されている電子機器類をメンテナンスすることができ、しかも、この状態とすることでコントロールボックス10の裏面側に配置されている内部機器類に対してもメンテナンスすることが可能となる。これによって、コントロールボックス10の取の付け面12の表裏両面に設けられている電子機器類およびコントロールボックス10の裏面側に配置されている内部機器類に対するメンテナンスの容易性を確保することができる。
【0035】
さらに、上記取り付け面12には、その表裏両面に配設されている電子機器類間の配線を通す貫通穴15が設けられている。このため、取り付け面12の表裏両面に配設されている電子機器類間を繋ぐ配線を取り付け面12に設けられている貫通穴15を通して配線することができ、従って、取り付け面12を多層構造とすることなく、コントロールボックス10の正面面積を略半減化し、その表裏2面の取り付け面12間の配線構造をも簡素化することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、2枚のリッド部材13,14が、ボックス本体11の前面側および背面側の開口部に対し、それぞれ独立して個別に着脱自在もしくは開閉自在に設けられている。このため、ボックス本体11の前面および背面の開口部に独立して個別に設けられている防塵、防水用のリッド部材13,14を個別に開くまたは取り外すことにより、コントロールボックス10内の取り付け面12の表裏両面に配設されている電子機器類をそれぞれメンテナンスすることができる。従って、必要に応じて、両リッド部材13,14を個別に着脱もしくは開閉することによりメンテナンスすることができ、その容易性を確保することができる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、リッド部材17の構成が異なる。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、ボックス本体11の前面側および背面側の開口部を閉鎖するリッド部材を一体構造のリッド部材17としている。つまり、ボックス本体11の前面側および背面側の開口部を各々閉鎖可能な一対のリッド部材の一端同士を連結して一体化したコの字形状のリッド部材17とし、ボックス本体11の一端側から他端側にスライド嵌合することにより着脱自在もしくは開閉自在としたものであり、2つの開口部を同時に開閉できる構成としている。
【0038】
上記の如く、ボックス本体11の前面側および背面側の開口部に対し、一体化されたコの字形状リッド部材17がボックス本体11の一端側からスライド嵌合されることにより着脱自在もしくは開閉自在に設けられた構成とされているため、ボックス本体11の前面側および背面側の開口部に対して、スライド嵌合されることにより着脱自在もしくは開閉自在に設けられているコの字形状の防塵、防水用リッド部材17を開くまたは取り外すことによって、コントロールボックス10内の取り付け面12の表裏両面に配設されている電子機器類をそれぞれメンテナンスすることができる。従って、必要に応じて、一体形とされたコの字形状リッド部材17を着脱もしくは開閉することによりメンテナンスすることができ、その容易性を確保することができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、アンダーマウント型のエンジン駆動式輸送用冷凍ユニット1に適用した例について説明したが、これに限らず、一体型の輸送用冷凍ユニットや、圧縮機を車両の走行用エンジンで駆動するタイプの輸送用冷凍ユニット等にも幅広く適用できることは云うまでもない。
【0040】
また、ユニット本体2内に配置される冷凍機の構成機器類や駆動機器類の配置構成についても、上記実施形態で説明したものに限らず、例えば、ユニット本体2の前面パネル4の一端部側に吸込みグリルを設け、ユニット前面から外気を吸込み、コンデンサやラジエータに通風後、背面パネル6側から外部に排気するようにレイアウトした構成のユニット等にも同様に適用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0041】
1 輸送用冷凍ユニット
2 ユニット本体
3 ユニットフレーム(支持部材)
4 前面パネル
10 コントロールボックス
11 ボックス本体
12 取り付け面
13,14 リッド部材
15 貫通穴
16 ヒンジ
17 コの字形状リッド部材

図1
図2
図3
図4