(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は、焼付きおよび機械損失を低減できる上、容積損失も低減できる液圧回転装置のシューおよび液圧回転装置を提供することにある。
【0010】
また、特に、キャビテーションの発生に基づく損傷を抑制できる液圧回転装置のシューおよび液圧回転装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の液圧回転装置のシューは、
ピストンを取り付けるためのピストン装着部と、
被摺動面上を摺動する部分を有する摺動端部と、
上記ピストン装着部の装着面と、上記摺動端部の端面とを連通する潤滑剤供給穴とを備え、
上記摺動端部は、
略平面状の基準面と、
上記基準面から突出する一方、上記潤滑剤供給穴の開口を取り囲むように位置すると共に、上記被摺動面上を摺動する環状のシール部と、
上記基準面から突出して、上記基準面からの軸方向の高さが、上記シール部の上記基準面からの上記軸方向の高さよりも低いと共に、上記開口の全部または一部を取り囲むように同一円周上に位置し、かつ、上記シール部の径方向の内方側に存在する環状溝を介して上記シール部の内側面に対向する第1パッド部と、
上記基準面から突出して、上記基準面からの上記軸方向の高さが、上記シール部の上記高さよりも低いと共に、上記開口の全部または一部を取り囲むように同一円周上に位置し、かつ、上記シール部の径方向の外方側に存在する環状溝を介して上記シール部の外側面に対向する第2パッド部と
を有することを特徴としている。
【0012】
尚、上記「同一円周上」との文言は、第1,2パッド部が、環状である場合には、第1,2パッド部が、上記開口を取り囲む少なくとも一つの円を含んでいれば満たされるものとする。また、第1,2パッド部が、非環状である場合には、第1,2パッド部の各部分(第1,2パッド部は、一つのみの非環状の部分からなっていても良く、二以上の部分からなっていても良い)が、その各部分の周方向の一端から周方向の他端まで延在する円弧を含み、かつ、各部分のその円弧が、同一の円上に位置している円が、少なくとも一つ存在すれば満たされるものとする。
【0013】
本発明によれば、被摺動面に摺動するシール部が環状で、かつ、シール部が、第1パッド部および第2パッド部よりも軸方向のピストン装着部側とは反対側まで突出しているから、シール部を、被摺動面に全周に亘って密接させることができる。したがって、シール部と被摺動面とで潤滑剤の過度な漏洩を抑制できて、潤滑剤を封入でき、容積損失(潤滑剤の漏れ損失)を抑制できる。
【0014】
また、本発明によれば、シール部に環状の溝を介して対向するようにシール部の径方向の外方と内方とで基準面から突出する第1,第2パッド部が、シール部の先端よりも軸方向のピストン装着部側に位置するから、第1,第2パッド部と、被摺動面との間を潤滑剤が通過し易くなって、潤滑剤の径方向の外方側への流れを促進できる。したがって、摩擦力を低減できて、摺動部の焼付きを抑制できると共に、機械損失を抑制できる。
【0015】
従来、加工が容易である等の理由により、ランドの高さを均一にする構成が存在するが、この構成では、摩擦が過大になることがあって、焼付きが発生することがあり、また、過度な摩擦により機械が動きにくくなって機械損失が大きくなることがあるのである。
【0016】
また、本発明によれば、シール部の径方向の外方と内方とに、シール部の先端よりも軸方向のピストン装着部側に位置すると共に、上記基準面から突出する第1,第2パッド部が存在するから、シューが、被摺動面側に強く押圧された場合等で、シューが被摺動面側に変形した場合に、その第1,第2パッド部で面圧を受けることができる。したがって、シューの挙動を安定させることができる。
【0017】
また、本発明によれば、第1パッド部が、シール部の径方向の内方に位置する一方、第2パッド部が、シール部の径方向の外方に位置するから、シール部の径方向の内外で、第1および第2パッド部によって径方向にバランス良くより均一に面圧を受けることができる。したがって、シューの挙動を更に安定させることができる。
【0018】
また、一実施形態では、
上記摺動端部は、上記第1パッド部を上記径方向に横断すると共に、潤滑剤を上記径方向の外方側に流出させる第1潤滑剤流出用溝と、上記第2パッド部を上記径方向に横断すると共に、潤滑剤を上記径方向の外方側に流出させる第2潤滑剤流出用溝とのうちの少なくとも一方を有する。
【0019】
上記実施形態によれば、第1パッド部を径方向に横断する第1潤滑剤流出用溝を有する場合には、第1潤滑剤流出用溝を介して潤滑剤を径方向の外方側に逃がすことができる。したがって、第1パッド部と被摺動面との間の過度な摩擦の発生を更に予防できて、機械損失を更に抑制できる。また、第2パッド部を径方向に横断する第2潤滑剤流出用溝を有する場合には、第2潤滑剤流出用溝を介して潤滑剤を径方向の外方側に逃がすことができる。したがって、第2パッド部と被摺動面との間の過度な摩擦の発生を更に予防できて、機械損失を更に抑制できる。
【0020】
また、一実施形態では、
上記第1パッド部を通過する上記軸方向の断面において、上記第1パッド部の先端面の内方側の端部は、内方側に行くにしたがって上記基準面からの上記軸方向の高さが低くなるテーパ面である。
【0021】
尚、上記「内方側の端部」は、上記開口側の端部と同じ意味である。
【0022】
後述するように、本願発明者は、接触面圧のシミュレーションで、第1パッド部の先端面の内方側の端部(第1パッド部の先端面における潤滑剤供給穴の開口側の端部)に大きな接触面圧がかかることを見出した。
【0023】
上記実施形態によれば、上記断面において、第1パッド部の内方側の端部が、内方側に行くにしたがって基準面からの軸方向の高さが低くなるテーパ面であるから、第1パッド部の内方側に局所的に大きな接触面圧がかかることを防止できる。したがって、焼付きおよび機械損失を抑制できる。
【0024】
また、一実施形態では、
上記第2パッド部を通過する上記軸方向の断面において、上記第2パッド部の先端面の外方側の端部は、外方側に行くにしたがって上記基準面からの上記軸方向の高さが低くなるテーパ面である。
【0025】
尚、上記「外方側の端部」は、上記開口側とは反対側の端部と同じ意味である。
【0026】
後出するシミュレーションの結果により、シューが低圧領域を通過する場合や、遠心力が大きい領域では、径方向の外側が浮き上がった状態になると考えられる。
【0027】
上記実施形態によれば、断面において、第2パッド部の外方側の端部が、外方側に行くにしたがって基準面からの軸方向の高さが低くなるテーパ面であるから、シューの摺動端部の軸方向の上下動の自由度が大きくなる。したがって、特に、外方側(潤滑剤供給穴の開口側とは反対側)が浮き上がった状態になる領域で、第2パッド部の外方側の端部を被摺動面に対してより円滑にガイドさせることができる。したがって、シューに局所的に過大な力がかかることを防止できて、シール部をより確実に保護できる。
【0028】
また、一実施形態では、
上記摺動端部は、上記基準面から突出して、上記基準面からの上記軸方向の高さが、上記シール部の上記高さよりも低いと共に、上記開口の全部を取り囲むように同一円周上に位置し、かつ、上記第1パッド部の内方側に存在する環状溝を介して上記第1パッド部の内側面に対向するキャビテーション抑制部を有する。
【0029】
上記実施形態によれば、シール部よりも高さが低いキャビテーション抑制面が、第1パッド部よりも内方側のより開口に近い領域に存在しているから、開口の周辺のスペースが削減されて、開口の周辺で生じ易い低圧力の発生を抑制できる。したがって、キャビテーションの発生を抑制できて、損傷を抑制できる。
【0030】
また、本発明の液圧回転装置は、本発明の液圧回転装置のシューを備える。
【0031】
本発明によれば、焼付きおよび機械損失を低減できる上、容積損失も低減できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、焼付きおよび機械損失を低減できる上、容積損失も低減できる液圧回転装置のシューおよび液圧回転装置を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態の斜板式ピストンポンプモータを示す模式断面図である。
【0036】
図1に示すように、この斜板式ピストンポンプモータ(以下、単に、ポンプモータという)は、ハウジング1と、出力軸2と、シリンダブロック3と、複数のピストン5と、環状の斜板6と、シュー7と、弁板8とを備え、ハウジング1は、筒状の本体部9と、カバー4とを有する。上記シリンダブロック3は、本体部9に収容され、カバー4は、本体部9の軸方向の片側の開口を塞いでいる。
【0037】
上記シリンダブロック3は、出力軸2に同軸に連結されている。また、上記出力軸2は、軸受23、24によってハウジング1に対して回動自在に支持されている。上記シリンダブロック3は、出力軸2にスプライン結合され、出力軸2に出力軸2の周方向の相対変位が阻止された状態で結合されている。上記シリンダブロック3は、複数のピストン室10を有し、各ピストン室10は、出力軸2の軸方向に延在し、複数のピストン室10は、出力軸2の周方向に互いに間隔をおいて位置している。上記各ピストン室10は、軸方向の一方側が軸方向に開口している一方、軸方向の他方側はシリンダブロック3の他端壁38により閉鎖されている。
【0038】
上記斜板6は、ハウジング1の前壁13に固定されている。上記斜板6は、出力軸2の中心軸に垂直な平面に対して傾斜している。上記斜板6は、
図1において上方になるにつれて右方に傾斜するように配置されている。上記斜板6のシリンダブロック3側の表面は、被摺動面としての滑り面15になっている。なお、上記斜板6は、傾斜角度が調整できない構成でも良く、または、公知の傾斜角度調整機構で、傾斜角度が調整可能になっていても良くて傾動可能でも良い。
【0039】
上記シュー7は、円板状の摺動端部18と、円柱状の球体装着部19とを一体に形成してなっている。上記シュー7の軸方向の斜板6側の端面51は、斜板6の滑り面15に摺動自在に当接している。また、上記球体装着部19は、球状の装着凹所を有している。この装着凹部は、ピストン装着部を構成している。上記ピストン5は、斜板6側の先端側に球体部17を有している。この球体部17は、球体装着部19の球状の装着凹所に回動自在に装着されている。また、上記ピストン5は、略円柱状の嵌合部20と、連結部21とを有し、嵌合部20は、連結部21を介して球体部17につながっている。上記嵌合部20の外周面は、ピストン室10の内周面に軸方向に進退可能に嵌合している。
【0040】
上記ピストン室10においてピストン5よりもピストン5の先端側は、圧力室となっている。この圧力室は、ピストン室10の軸方向の他端壁38側に存在している。上記シリンダブロック3は、各圧力室に連通可能な弁板接続穴48を有している。上記各弁板接続穴48は、ピストン室10の圧力室と、シリンダブロック3の軸方向の斜板6側とは反対側の端面50との間を軸方向に貫通している。
【0041】
上記弁板8は、シリンダブロック3の端面50と、カバー4の軸方向のシリンダブロック3側の端面53との間に配置されている。上記弁板8は、図示しないピン等の周知の締結部材によってカバー4に固定されている。上記シリンダブロック3の端面50は、弁板8に対して摺接するようになっている。
【0042】
上記カバー4に形成される作動油供給口43から作動油を供給すると、弁板8において特定の位相に存在する供給孔を介して
図1の紙面に対して手前側に配置されるシリンダブロック3の各ピストン室10に作動油が供給されるようになっている。するとピストン5は、伸長してシュー7を斜板6側に押圧する。上記斜板6は、
図1に示されるように下方に向かうにつれて左方となるように傾斜して配置されるので、ピストン5によって斜板6に押付けられるシュー7には下方に力が作用する。したがって、
図1において手前側に配置されるピストン5が伸長しながら下方に変位するから、シリンダブロック3およびシリンダブロック3に連結される出力軸2が、
図1の左方から見たとき時計まわりに回転駆動するようになっている。
【0043】
また、
図1の紙面に対して奥側に配置される各ピストン5は、シリンダブロック3の回転とともに上方に移動しながら斜板6からの力を受けて縮退する。すると、上記ピストン室10内の作動油が、弁板8の排出孔およびカバー4の作動油排出口44から外部に排出される。このようにして出力軸2を回転駆動するようになっている。
【0044】
また、この斜板式ピストンポンプモータは、出力軸の回転動力によって、上の動作の逆の動作を行うことができて、出力軸の回転動力を作動油の流れに変えることができる。このことから、この斜板式ピストンポンプモータは、ピストン室10内に作動油を吸入し、ピストン室10内から吐出する、又は、ピストン室10内に作動油が供給され、ピストン室10内から排出する一連の動作を行うことができて、ポンプやモータとして動作させることができるようになっている。
【0045】
また、弁板8の上記供給孔からシリンダブロック3のピストン室10に供給される作動油の一部を、ピストン5に形成される油孔およびシュー7の潤滑剤供給穴(
図2に52で示す)を介して、シュー7の端面51と斜板6の滑り面15との間に供給するようになっている。このようにして、作動油をシュー7の端面51と斜板6の滑り面15とを潤滑する潤滑剤として使用している。
【0046】
尚、詳述しないが、上記各シュー7は、図示しない環状の押え板に装着されている。また、上記シリンダブロック3の内周部には、ハウジング1の前壁13側に突出し、板ばね支持部として機能するリテーナ40が形成されている。このリテーナ40と、上記押え板との間には図示しない環状の板ばねが介在している。この板ばねは、シュー7の浮き上がりを抑制する役割を担っている。
【0047】
図2は、シュー7とピストン5の一部とを示すシュー7の軸方向の模式断面図である。
【0048】
上述のように、上記シュー7は、ピストン装着部としての装着凹部55と、端面51と、潤滑剤供給穴52とを有する。
図2に示すように、上記装着凹部55は、シュー7の軸方向の断面において略円形の表面からなっている。上記装着凹部55は、軸方向の一方側のみに開口している。尚、シュー7の軸方向は、潤滑剤供給穴52の中心軸の延在方向と一致している。
【0049】
上記端面51は、シュー7の軸方向の装着凹部55側とは反対側の端面で構成されている。また、
図2に示すように、上記摺動端部18は、軸方向の装着凹部55側とは反対側に凹凸を有している。詳しくは、上記摺動端部18は、軸方向の装着凹部55側とは反対側に、シール部60と、第1パッド部61と、第2パッド部62と、基準面65とを有し、基準面65は、略平面からなっている。上記シール部60、第1パッド部61および第2パッド部62は、基準面65から基準面65の法線方向(この法線方向は、シュー7の軸方向に一致)に突出している。上記第1パッド部61は、シール部60に対して径方向に間隔をおいた状態でシール部60よりも径方向の内方側に位置する一方、第2パッド部62は、シール部60に対して径方向に間隔をおいた状態でシール部60よりも径方向の外方側に位置している。尚、
図2では、理解を容易にするため、摺動端部18の凹凸を、誇張して描いている。
【0050】
上記潤滑剤供給穴52は、貫通穴である。上記潤滑剤供給穴52は、シュー7の中心軸に沿って延在している。上記シュー7の軸方向は、潤滑剤供給穴52の中心軸の延在方向に一致している。上記潤滑剤供給穴52は、装着凹部55の装着面の軸方向の端面51側の端部と、端面51とを連通している。上記潤滑剤供給穴52は、端面51の中央に開口し、端面51の中心は、潤滑剤供給穴52の開口の中心と略一致している。上記装着凹部55および潤滑剤供給穴52は、潤滑剤供給穴52の軸中心を通過する平面に対して略面対称となっている。尚、一例では、
図2にhで示す、基準面65とシール部60の先端面との距離を、0.2〜1.0mmにとることができるが、基準面とシール部の先端面との距離を、0.2〜1.0mm以外の距離とすることもできる。
【0051】
図3は、上記端面51を、軸方向の外方側から見たときの平面図である。
【0052】
図3に示すように、上記シール部60は、環状の突出部である。
図3に示す平面図において、上記シール部60の径方向の外方側の縁と、シール部60の径方向の内方側の縁とは、潤滑剤供給穴の開口77の中心を略中心とする円で構成されている。上記シール部60の径方向は、シュー7の径方向に一致している。この明細書では、径方向や、内方側や、外方側と行った場合、それは、シュー7の径方向や、シュー7の径方向の内方側や、シュー7の径方向の外方側のことを指すことにする。
【0053】
図3に示す平面図において、上記第1パッド部61は、互いに間隔をおいて位置する二つの円弧状の部分81,82からなっている。
図3に示す平面図において、二つの円弧状の部分81,82は、開口77の中心を中心とする同一の円周上に位置している。上記摺動端部18は、軸方向の摺動部側に二つの第1潤滑剤流出用溝75を有している。二つの第1潤滑剤流出用溝75は、開口77の中心を通過する一の直線上を延在している。上記各第1潤滑剤流出用溝75は、第1パッド部61の二つの円弧状の部分81,82の間を径方向に横断している。
【0054】
上記第2パッド部62は、互いに間隔をおいて位置する二つの円弧状の部分83,84からなっている。
図3に示す平面図において、二つの円弧状の部分83,84は、開口77の中心を中心とする同一の円周上に位置している。上記摺動端部18は、軸方向の摺動部側に二つの第2潤滑剤流出用溝76を有している。二つの第2潤滑剤流出用溝76は、開口77の中心を通過する一の直線上を延在している。上記各第2潤滑剤流出用溝76は、第2パッド部62の二つの円弧状の部分83,84の間を径方向に横断している。上記各第1および第2潤滑剤流出用溝75,76は、潤滑剤供給穴52の開口77を介して供給される潤滑剤としての作動油を径方向の外方側に逃がして流出させる役割を担っている。
【0055】
図3に示すように、上記第1潤滑剤流出用溝75の延在方向は、第2潤滑剤流出用溝76の延在方向に略直交している。このようにして、上記第1潤滑剤流出用溝75と、第2潤滑剤流出用溝76とを通過して、外部に漏れる作動油が、端面51のより広い領域を経由するようにし、その作動油の油圧でシュー7を滑り面15に対して浮上させると同時に、作動油が外部に漏れにくいようにしている。
【0056】
図3に示すように、上記第1パッド部61および第2パッド部62の夫々は、開口77の一部を取り囲むように存在している。上記第1パッド部61は、シール部60の径方向の内方側に存在する環状溝71を介してシール部60の内側面90に径方向に対向し、第2パッド部62は、シール部60の径方向の外方側に存在する環状溝72を介してシール部60の外側面91に径方向に対向している。
図2および
図3に示すように、上記シール部60の径方向の幅、第1パッド部61の径方向の幅、第2パッド部62の径方向の幅、環状溝71の径方向の幅および環状溝72の径方向の幅は、略同一となっている。尚、
図3にφDで示す端面51の直径としては、例えば、15〜60[mm]を採用できるが、当該直径の値が、15〜60[mm]以外の値であっても良いのは、勿論である。
【0057】
図4は、シュー7の軸方向の模式断面図の一部であり、シール部60、第1パッド部61および第2パッド部62の周辺を示す模式断面図である。
【0058】
図4に示すように、シール部60、第1パッド部61および第2パッド部62の夫々は、シュー7の軸方向の断面において、略矩形の形状を有している。上記シール部60の先端面93、第1パッド部61の先端面94、第2パッド部62の先端面95および基準面65の夫々は、平面である。上記シール部60の先端面93、第1パッド部61の先端面94、第2パッド部62の先端面95および基準面65の夫々の法線方向は、シュー7の軸方向に略一致している。また、
図4において、環状溝71の底面65a、環状溝72の底面65bおよび第1パッド部61の径方向の内方側に存在する内方側面65cの夫々は、基準面65の一部をなしている。上記底面65a、底面65bおよび内方側面65cは、同一の平面上に位置している。
【0059】
図4に示すように、上記基準面65からのシール部60の高さは、基準面65からの第1パッド部61の高さよりも高くなっており、基準面65からの第2パッド部62の高さよりも高くなっている。また、上記基準面65からの第1パッド部61の高さは、基準面65からの第2パッド部62の高さに略一致している。
【0060】
図4に示すように、基準面65とシール部60の先端面93との距離(基準面65からのシール部60の高さ)をhとしたとき、シール部60の先端面93と第1パッド部61の先端面94との距離や、シール部60の先端面93と第2パッド部62の先端面95との距離を、0.005h〜0.1hとすることができる。しかしながら、基準面からのシール部の高さhに対する、シール部の先端面と第1パッド部の先端面との距離の比や、基準面からのシール部の高さhに対する、シール部の先端面と第2パッド部の先端面との距離の比を、それ以外の値にとっても良いことは勿論である。
【0061】
上記第1実施形態によれば、滑り面15に摺動するシール部60が環状で、かつ、シール部60が、第1パッド部61および第2パッド部62よりも軸方向のピストン装着部側とは反対側まで突出しているから、シール部60を、滑り面15に全周に亘って密接させることができる。したがって、シール部60と滑り面15とで作動油の過度な漏洩を抑制でき、作動油を封入できて、容積損失(潤滑剤の漏れ損失)を抑制できる。
【0062】
また、上記第1実施形態によれば、シール部60に環状の溝を介して対向するようにシール部60の径方向の外方と内方とで基準面65から突出する第1,第2パッド部61,62が、シール部60の先端よりも軸方向のピストン装着部側に位置するから、第1,第2パッド部61,62と、滑り面15との間を作動油が通過し易くなって、作動油の径方向の外方側への流れを促進できる。したがって、摩擦力を低減できて、摺動部の焼付きを抑制できると共に、機械損失を抑制できる。
【0063】
従来、加工が容易である等の理由により、ランドの高さを均一にする構成が存在するが、この構成では、摩擦が過大になることがあって、焼付きが発生することがあり、また、過度な摩擦により機械が動きにくくなって機械損失が大きくなることがあるのである。
【0064】
また、上記第1実施形態によれば、シール部60の径方向の外方と内方とに、シール部60の先端よりもシール部60の先端よりも軸方向のピストン装着部側に位置すると共に、基準面65から突出する第1,第2パッド部61,62が存在するから、シュー7が、滑り面15側に強く押圧された場合等でシュー7が滑り面15側に変形した場合に、第1,第2パッド部61,62で面圧を受けることができる。したがって、シュー7の挙動を安定させることができる。
【0065】
また、上記第1実施形態によれば、第1パッド部61が、シール部60の径方向の内方に位置する一方、第2パッド部62が、シール部60の径方向の外方に位置するから、シール部60の径方向の内外で、第1および第2パッド部61,62で径方向にバランス良くより均一に面圧を受けることができる。したがって、シュー7の挙動を更に安定させることができる。
【0066】
また、上記第1実施形態によれば、第1パッド部61を径方向に横断する第1潤滑剤流出用溝75を有するから、第1潤滑剤流出用溝75を介して作動油を径方向の外方側に逃がすことができる。したがって、第1パッド部61と滑り面15との間の過度な摩擦の発生を更に予防できて、機械損失を更に抑制できる。また、第2パッド部62を径方向に横断する第2潤滑剤流出用溝76を有するから、第2潤滑剤流出用溝76を介して作動油を径方向の外方側に逃がすことができる。したがって、第2パッド部62滑り面15との間の過度な摩擦の発生を更に予防できて、機械損失を更に抑制できる。
【0067】
尚、上記第1実施形態では、シュー7が、第1パッド部61を径方向に横断する二つの第1潤滑剤流出用溝75と、第2パッド部62を径方向に横断する二つの第2潤滑剤流出用溝76とを有していたが、この発明では、シューは、第1パッド部を径方向に横断する第1潤滑剤流出用溝と、第2パッド部を径方向に横断する第2潤滑剤流出用溝とのうちの一方の溝のみを有しても良く、また、それらの両方の溝を有さなくても良い。また、シューが、第1パッド部と第2パッド部のうちの少なくとも一方を横断する溝を有する場合、その溝は、厳密に径方向に延在していなくても良く、径方向の延在成分を有する方向であれば如何なる方向に延在しても良い。また、シューは、第1パッド部を横断する溝を、一以上の如何なる数、有しても良く、第2パッド部を横断する溝を、一以上の如何なる数、有しても良い。また、シューは、第1パッド部を横断する溝を、周方向のどこの位相に有しても良く、第2パッド部を横断する溝を、周方向のどこの位相に有しても良い。
【0068】
また、上記第1実施形態では、第1潤滑剤流出用溝75および第2潤滑剤流用溝76が、直線形状を有していた。しかしながら、この発明では、パッド部を横断する溝のうちの少なくとも一つは、直線形状でない曲線形状等であっても良い。例えば、
図5、すなわち、変形例のシューの
図3に対応する図に示すように、シュー107のパッドを横断する溝175,176は、凹面からなる側面を有しても良い。
【0069】
また、上記第1実施形態では、シール部の径方向の幅と、第1パッド部の径方向の幅と、第2パッド部の径方向の幅と、シール部と第1パッド部との間にある環状溝の径方向の幅と、シール部と第2パッド部との間にある環状溝の径方向の幅とが、略同一であった。しかしながら、この発明では、第1パッド部の径方向の幅と、第2パッド部の径方向の幅と、シール部と第1パッド部との間にある環状溝の径方向の幅と、シール部と第2パッド部との間にある環状溝の径方向の幅とのうちの少なくとも一つの幅は、他の幅と異なる長さであっても良い。この発明では、上述の各径方向の幅を、仕様に基づいて自由に決定しても良い。
【0070】
また、本発明では、シューは、銅合金や、摺動端面が銅からなる鋼材等で構成すると好ましいが、金属製の材質であれば、材質として用いられることができる。
【0071】
また、本発明の液圧回転装置は、ピストン室の数は、偶数であっても、奇数であってもどちらでも良い。また、上記第1実施形態では、ピストン5が球体部17を有し、シュー7が球体装着部19を有していたが、この発明では、ピストンが球体装着部を有し、シューが球体部を有する構成であっても良い。このように、本発明の液圧回転装置は、上記実施形態に対して周知の如何なる変形を施したものであっても良い。
【0072】
また、上記第1実施形態では、液圧回転装置が、斜板式ポンプモータであったが、この発明の液圧回転装置は、モータ機能のみを有する斜板式モータであっても良く、ポンプ機能のみを有する斜板式ポンプであっても良い。また、この発明の液圧回転装置は、斜軸式ピストンポンプモータであっても、斜軸式ピストンポンプであっても、斜軸式ピストンモータであっても良い。本発明の液圧回転装置は、作動液体の液圧差に基づいて、回転軸が回転する如何なるモータであっても良く、回転軸の回転によって、作動液体が吐出される如何なるポンプであっても良い。
【0073】
図6は、第2実施形態のシュー207における
図4に対応する模式断面図である。尚、第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果および変形例については、記載を省略する。
【0074】
図6に示すように、第2実施形態では、シール部260の形状が、第1実施形態と略一致している一方、第1パッド部261の先端面294が、径方向の内方側に行くにしたがってシール部260の先端面293からの軸方向の距離が長くなる形状を有し、第2パッド部262の先端面295が、径方向の外方側に行くにしたがってシール部260の先端面293からの距離が長くなる形状を有する点が、第1実施形態と異なっている。換言すれば、上記第1パッド部261を通過するシュー207の軸方向の断面において、第1パッド部261の先端面294は、内方側に行くにしたがって基準面265からの軸方向の高さが低くなるテーパ面となっている。また、上記第2パッド部262を通過するシュー207の軸方向の断面において、第2パッド部262の先端面295は、外方側に行くにしたがって基準面265からの軸方向の高さが低くなるテーパ面となっている。
【0075】
尚、
図6において、基準面265と、シール部260の先端面293とは、平行となっている。また、
図6において、参照番号271は、環状溝を示し、参照番号271は、環状溝を示し、参照番号265aは、環状溝271の底面を示し、参照番号265bは、環状溝272の底を示し、参照番号265cは、第1パッド部261よりも径方向の内方側に位置する内方側面を示している。環状溝271の底面265a、環状溝272の底面265bおよび内方側面265cの夫々は、同一の平面上に位置している。環状溝271の底面265a、環状溝272の底面265bおよび内方側面265cの夫々は、基準面265の一部を構成している。
【0076】
図6に示すように、第2実施形態では、基準面265からの第1パッド部261の先端面294の径方向の外方側の端の距離が、基準面265からのシール部260の距離に略一致し、基準面265からの第2パッド部262の先端面295の径方向の内方側の端の距離も、基準面265からのシール部260の距離に略一致している。
【0077】
尚、第2実施形態では、基準面265と、シール部260の先端面293との距離をhとしたとき、例えば、シール部260の先端面293と、第1パッド部261の先端面294との最大の距離や、シール部260の先端面293と、第2パッド部262の先端面295との最大の距離を、0.005h〜0.1hとすることができる。しかしながら、基準面とシール部の先端面との距離hに対する、シール部の先端面と第1パッド部の先端面との最大の距離の比や、基準面とシール部の先端面との距離hに対する、シール部の先端面と第2パッド部の先端面との最大の距離の比を、それ以外の値とすることもできる。
【0078】
図7は、参考例のシュー507の摺動端部518のプロファイルを示すシュー507の軸方向の模式断面図の一部であり、径方向において中心から径方向の外端までの摺動端部518の凹凸を示す模式断面図である。また、
図8は、
図7に示すシューに関してシミュレートされた半径位置(径方向の位置)と接触面圧との関係を示す図である。
【0079】
図8のシミュレーションに示すように、シール部560および第1,第2パッド部561,562を有する参考例の摺動端部518では、第1パッド部561の内方側(径方向の内側)の端部に過大な接触面圧がかかることがわかる。また、第2パッド部562の外方側(径方向の外方側)の端部には、大きな接触面圧がかからないこともわかる。したがって、シュー507が低圧領域を通過する場合や遠心力が大きい領域では、シューの径方向の外側が浮き上がり易い状態になると考えられる。
【0080】
上記第2実施形態によれば、シュー207の軸方向の断面において、第1パッド部261の先端面294が、その存在位置が内方側に行くにしたがって軸方向のピストン装着部側に移動するテーパ面であるから、第1パッド部261の径方向の内方側の端部に局所的に大きな接触面圧がかかることを防止できる。したがって、焼付きおよび機械損失を抑制できる。
【0081】
また、上記第2実施形態によれは、シュー207の軸方向の断面において、上記第2パッド部262の先端面295が、その存在位置が外方側に行くにしたがって軸方向のピストン装着部側に移動するテーパ面であるから、シュー207の軸方向の上下動の自由度が大きくなる。したがって、特に、径方向の外側が浮き上がった状態になる領域で、シール部260に過度な力がかかることを抑制できて、シール部260をより確実に保護できる。また、そのような領域で、第2パッド部262の径方向の外方側の端部を斜板の滑り面(被摺動面)に対してより円滑にガイドできて、シュー207の挙動を安定させることができる。
【0082】
尚、上記第2実施形態では、第1パッド部261の先端面294の全面がテーパ面であったが、第1パッド部を通過する軸方向の断面において、少なくとも、第1パッド部の先端面の内方側(径方向の内方側)の端部が、内方側(径方向の内方側)に行くにしたがって基準面からの軸方向の距離が短くなるテーパ面であれば良く、第1パッド部の先端面の全面がテーパ面でなくても良い。
【0083】
また、上記第2実施形態では、第2パッド部262の先端面295の全面がテーパ面であったが、第2パッド部を通過する軸方向の断面において、少なくとも、第2パッド部の先端面の外方側(径方向の外方側)の端部が、外方側(径方向の外方側)に行くにしたがって基準面からの軸方向の距離が短くなるテーパ面であれば良く、第2パッド部の全面がテーパ面でなくても良い。
【0084】
図9は、第3実施形態のシュー307の軸方向の模式断面図の一部であり、摺動端部318の潤滑剤供給穴352の開口377付近を示す模式断面図の一部である。尚、第3実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果および変形例については、記載を省略する。
【0085】
第3実施形態のシュー307は、図示しないシール部および第2パッド部と、第1パッド部361とに加えて、キャビテーション抑制部363を有する。上記キャビテーション抑制部363は、環状の構造を有し、軸方向の断面において略矩形の形状をしている。上記キャビテーション抑制部363の先端面390は、平面である基準面365と平行になっている。上記キャビテーション抑制部363の先端面390の法線方向は、シュー307の軸方向に一致している。
【0086】
図9に示すように、上記キャビテーション抑制部363は、基準面365から軸方向に突出している。上記キャビテーション抑制部363は、第1パッド部361に対して径方向に間隔をおいた状態で潤滑剤供給穴352の開口を取り囲んでいる。上記キャビテーション抑制部363は、第1パッド部361よりも内方側(径方向の内方側)に位置している。上記キャビテーション抑制部363と、第1パッド部361との径方向の間には、環状の溝381が存在している。
【0087】
上記キャビテーション抑制部363の内周面は、潤滑剤供給穴352の内周面の一部をなしている。上記キャビテーション抑制部363は、第1パッド部361よりも軸方向のピストン装着部側に位置している。また、上記キャビテーション抑制部363の径方向の寸法は、第1パッド部361の径方向の寸法よりも短くなっている。
【0088】
また、この実施形態では、
図9にpφで示す潤滑剤供給穴352の穴の直径は、例えば、0.5〜3.0mmの範囲の値とすることができる。また、一例では、キャビテーション抑制部363の外側面395の外径は、潤滑剤供給穴352の穴の直径の1.1倍から3.0倍とすることができる。また、基準面365から図示しないシール部の先端面までの距離をhとするとき、基準面365とキャビテーション抑制部363の先端面390との軸方向の距離を0.05h〜0.95hとしている。
【0089】
この実施形態では、各種寸法をこのように規定することにより、作動油の噴流の量をしぼってキャビテーションの発生を効率的に抑制する同時に、金属摩耗粉が潤滑剤供給穴352につまることを抑制している。しかしながら、これらの値は、一例であって、各種寸法を、上記以外にしても良いことは勿論である。
【0090】
上記第3実施形態によれば、第1パッド部361よりも基準面365からの高さが低いキャビテーション抑制部363が、第1パッド部361よりも内方側(径方向の内側)のより開口に近い領域に存在しているから、開口の周辺のスペースが削減されて、開口の周辺に生じ易い低圧力の発生を抑制できる。したがって、キャビテーションの発生を抑制できて、損傷を抑制できる。キャビテーション抑制部363を形成して、潤滑剤供給穴352の穴の開口を斜板の滑り面に接近させることにより、キャビテーションの発生を大きく抑制できるのである。
【0091】
尚、上記第3実施形態では、キャビテーション抑制部363の内周面が、潤滑剤供給穴352の内周面の一部をなしていたが、この発明では、キャビテーション抑制部の内周面は、潤滑剤供給穴の内周面の一部をなしていなくても良く、キャビテーション抑制面は、第1パッド部の径方向の内方側に位置していれば良い。尚、キャビテーション抑制部は、潤滑剤供給穴の開口の縁部につながっていれば、キャビテーションの発生を効率的に抑制できて好ましいことは言うまでもない。
【0092】
また、上記第3実施形態では、キャビテーション抑制部363の先端面390が、第1パッド部361の先端面394よりも軸方向のピストン装着部側に位置していたが、この発明では、キャビテーション抑制部の先端面は、シール部の先端面よりも軸方向のピストン装着部側に位置していれば良く、第1パッド部の先端面よりも軸方向のピストン装着部側とは反対側に位置しても良い。また、上記第3実施形態では、キャビテーション抑制部363の径方向の寸法が、第1パッド部361の径方向の寸法よりも短くなっていたが、キャビテーション抑制部の径方向の寸法は、第1パッド部の径方向の寸法と同じでも良く、キャビテーション抑制部の径方向の寸法は、第1パッド部の径方向の寸法よりも長くても良い。
【0093】
尚、上で説明した全ての実施形態および全ての変形例のうちの二つ以上の構成を組み合わせて、更なる実施形態のシューや液圧回転装置を実現できることは勿論である。
【0094】
例えば、
図10は、そのようなシュー407の一例の軸方向の模式断面図である。
【0095】
図10に示すように、このシュー407の摺動端部418は、シール部460と、第1パッド部461と、第2パッド部462と、キャビテーション抑制部463とを有し、径方向の内側から外側に向けて、キャビテーション抑制部463、第1パッド部461、シール部460、第2パッド部462の順に並んでいる。各径方向に隣接する面の間には、環状溝が存在している。上記第1パッド部461および第2パッド部462の夫々は、シール部460よりも軸方向のピストン装着部450側に位置し、キャビテーション抑制部463は、第1パッド部461よりも軸方向のピストン装着部450側に位置している。
【0096】
図10に示すように、上記シュー407の軸方向の断面において、上記第1パッド部461は、第1パッド部461の先端面494における径方向の内方側の端部に、内方側(径方向の内方側)に行くにしたがってシール部460の先端面493からの軸方向の距離が長くなるテーパ面470を有し、第2パッド部462は、第2パッド部462の先端面495における径方向の外方側の端部に、外方側(径方向の外方側に行くにしたがってシール部460の先端面493からの軸方向の距離が長くなるテーパ面471を有する。
【0097】
この実施形態のシュー407は、上述の構成を有するから、潤滑剤供給穴452を通過してきた弁板側からの矢印Aで示作動油を、摺動端部418の端面451と斜板の滑り面415の間を矢印B1,矢印B2で示す外方側(径方向の外方側)に適量流動させることができて、キャビテーション、容積損失および機械損失を抑制することができる。