(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたデジタルデータ受信機では、車両のフロント側とリア側のそれぞれにおいて番組受信を継続しながらサーチ動作を行うことができるが、その前提として、1つのチューナ部を用いて番組受信やサーチ動作を行うことができなければならない。すなわち、電波状態が悪く、1つのチューナ部だけでは番組を視聴することができず、2つのチューナ部を用いたダイバーシティ受信によってはじめて番組受信が可能になるような場合には、番組受信とサーチ動作を並行して行うことはできない。したがって、このような場合には、2つのチューナ部を用いてサーチ動作を行う必要があり、フロント側およびリア側のそれぞれにおいて番組受信が中断されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、優先度が高い位置での番組視聴を可能な限り継続することができるデジタル放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のデジタル放送受信装置は、放送された番組の受信を行うデジタル放送受信装置であって、第1および第2のチューナ部と、第1のチューナ部から出力される信号を用いて復調処理を行う第1の復調処理手段と、第2のチューナ部から出力される信号を用いて復調処理を行う第2の復調処理手段と、第1の復調処理手段の出力に基づいて受信番組に対応する映像および音声を再生する第1の映像・音声再生手段と、第2の復調処理手段の出力に基づいて受信番組に対応する映像および音声を再生する第2の映像・音声再生手段と、第1および第2のチューナ部のそれぞれにおいて受信中の放送局の受信状態を判定する受信状態判定手段と、優先度が高い第1のチューナ部に対応して受信状態判定手段によって受信状態が悪化した旨の判定が行われたときに、優先度が低い第2のチューナ部を用いて所定の受信周波数範囲について放送局を検出するサーチ動作を行って、第1のチューナ部を用いた受信対象となっている放送局よりも受信状態が良好な放送局を検出するサーチ処理手段とを備えている。
【0007】
優先度が高い第1のチューナ部を用いて受信した放送局の受信状態が悪くなった場合に、優先度が低い第2のチューナ部を用いてこの受信状態が悪化した放送局の代わりとなる放送局を検出するサーチ動作を行っているため、第1のチューナ部自身によってサーチ動作を行う場合に比べて、第1のチューナ部に対応する優先度が高い位置での番組視聴を可能な限り継続することができる。
【0008】
また、上述した第1および第2のチューナ部のそれぞれに対応して受信状態判定手段によって受信状態が悪化した旨の判定が行われたときに、優先度が低い第2のチューナ部を用いて、最初に優先度が高い第1のチューナ部を用いた受信対象となっている放送局よりも受信状態が良好な放送局を検出するサーチ動作を行い、次に優先度が低い第2のチューナ部を用いた受信対象となっている放送局よりも受信状態が良好な放送局を検出するサーチ動作を行うことが望ましい。第1のチューナ部を用いて受信した放送局と第2のチューナ部を用いて受信した放送局の両方の受信状態が悪化した場合であっても、第2のチューナ部を用いたサーチ動作を第1のチューナ部を用いて受信中の放送局について先に実施することにより、第1のチューナ部を用いて受信する放送局の受信状態を速やかに改善することができる。
【0009】
また、上述した第1および第2の映像・音声再生手段のいずれか一方のみによる映像および音声の再生が行われる場合に、第1および第2のチューナ部を用いたダイバーシティ受信が行われることが望ましい。映像および音声の再生系統を1つにした場合に、ダイバーシティ受信を行うチューナ部の数を増やすことができ、受信品質の向上が可能となる。
【0010】
また、上述した第1の映像・音声再生手段に接続されて映像を表示する第1の表示装置は、車両のリア座席側に配置され、第2の映像・音声再生手段に接続されて映像を表示する第2の表示装置は、車両のフロント座席側に配置されることが望ましい。これにより、車両のリア座席側での視聴を優先させることができる。
【0011】
また、上述した第1の映像・音声再生手段に接続されて映像を表示する第1の表示装置が車両のリア座席側に配置され、第2の映像・音声再生手段に接続されて映像を表示する第2の表示装置が車両のフロント座席側に配置される第1の設定と、第1の映像・音声再生手段に接続されて映像を表示する第1の表示装置が車両のフロント座席側に配置され、第2の映像・音声再生手段に接続されて映像を表示する第2の表示装置が車両のリア座席側に配置される第2の設定とを、利用者の指示に応じて選択する優先度選択手段をさらに備えることが望ましい。これにより、車両のリア座席側での視聴とフロント座席側での視聴のいずれを優先させるかを利用者が選択することができ、車両の搭乗者の内容(何人か、大人か子供かなど)に応じた適切な優先度設定が可能となる。
【0012】
また、複数のチューナ部の中から、受信状態が良好な一方のチューナ部を優先度が高い第1のチューナ部として用い、受信状態が悪い他方のチューナ部を優先度が低い第2のチューナ部として用いることが望ましい。これにより、受信状態が良好な側の視聴継続をできるだけ優先させることが可能となる。
【0013】
また、上述したチューナ部は、地上デジタル放送によって配信される放送波を受信することが望ましい。また、上述したサーチ処理手段によるサーチ対象となる放送局は、中継局および系列局の少なくとも一方であることが望ましい。これにより、いわゆる車載の地デジ受信機において、優先度が高い側の視聴を継続しながら、確実に中継局や系列局を探すことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態の地上デジタル放送受信機について、図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態の地上デジタル放送受信機の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の地上デジタル放送受信機100は、車両に搭載されており、4つのチューナ部10、12、14、16、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)復調部30、32、MPEGデコーダ40F、40R、デジタル−アナログ変換器(D/A)42F、42R、スピーカ44F、44R、表示処理部46F、46R、表示装置48F、48R、制御部50を含んで構成されている。
【0016】
チューナ部10、12、14、16のそれぞれは、指定された放送局に対応する受信周波数の放送波をアンテナを介して受信する。OFDM復調部30、32のそれぞれは、複数のチューナ部から入力される放送信号(IF信号)に対してOFDM復調処理を行い、TS(トランスポートストリーム)信号を出力する。本実施形態では、複数のチューナ部から入力される放送信号を用い、これらの放送信号の位相を調整した後に合成して受信する合成ダイバーシティ構成が採用され、使用するチューナ部の数が多い程C/Nを向上させることができる。
【0017】
本実施形態では、2つのチューナ部10、12から出力される2つのIF信号を合成してOFDM復調処理を行う2合成ダイバーの動作が一方のOFDM復調部30によって行われるとともに、他の2つのチューナ部14、16から出力される2つのIF信号を合成してOFDM復調処理を行う2合成ダイバーの動作が他方のOFDM復調部32によって行われる。なお、4つのチューナ部10〜16から出力される4つのIF信号を合成する4合成ダイバーの動作を行う際には、OFDM復調部30、32の一方の出力信号がOFDM復調部30、32の他方に入力されてIF信号の合成およびOFDM復調処理が行われる。
【0018】
一方のMPEGデコーダ40Fは、フロント座席側で視聴する映像および音声に対応する処理を行っており、OFDM復調部30から出力されるTS信号に含まれる受信番組の音声および映像のMPEG信号をデコードし、音声データおよび映像データを出力する。なお、実際には、OFDM復調部30から出力されるTS信号はデマルチプレクサに入力されて、利用者が視聴を希望している番組に対応する音声および映像のMPEG信号が分離されるが、このような番組の受信動作自体は従来手法と同じであって、
図1では概略構成のみが図示されている。
【0019】
他方のMPEGデコーダ40Rは、リア座席側で視聴する映像および音声に対応する処理を行っており、OFDM復調部32から出力されるTS信号に含まれる受信番組の音声および映像のMPEG信号をデコードし、音声データおよび映像データを出力する。なお、実際には、OFDM復調部32から出力されるTS信号はデマルチプレクサに入力されて、利用者が視聴を希望している番組に対応する音声および映像のMPEG信号が分離されるが、このような番組の受信動作自体は従来手法と同じであって、
図1では概略構成のみが図示されている。
【0020】
一方のデジタル−アナログ変換器42Fは、MPEGデコーダ40Fから出力される音声データをアナログ音声信号に変換し、スピーカ44Fから出力する。表示処理部46Fは、MPEGデコーダ40Fから出力される映像データを表示に適した形式(例えば、NTSC形式)の映像信号に変換して表示装置48Fに表示する。スピーカ44Fおよび表示装置48Fは、フロント座席の利用者(搭乗者)による番組内容の視聴が可能な位置に配置されている。
【0021】
他方のデジタル−アナログ変換器42Rは、MPEGデコーダ40Rから出力される音声データをアナログ音声信号に変換し、スピーカ44Rから出力する。表示処理部46RFは、MPEGデコーダ40Rから出力される映像データを表示に適した形式(例えば、NTSC形式)の映像信号に変換して表示装置48Rに表示する。スピーカ44Rおよび表示装置48Rは、リア座席の利用者(搭乗者)による番組内容の視聴が可能な位置に配置されている。
【0022】
制御部50は、地上デジタル放送受信機100の番組受信動作と中継局や系列局のサーチ動作を含む全体を制御する。このために、制御部50は、受信状態判定部52、サーチ処理部54を備えている。
【0023】
受信状態判定部52は、フロント座席に対応する受信動作を行う2つのチューナ部10、12を用いて受信した放送波の受信状態を判定するとともに、リア座席に対応する受信動作を行う2つのチューナ部14、16を用いて受信した放送波の受信状態を判定する。
【0024】
サーチ処理部54は、OFDM復調部30による復調処理の対象となっているチューナ部10、12に対して中継局(あるいは系列局)を検出するための周波数切替指示を送り、切り替えられた受信周波数におけるOFDM復調信号(TS信号)に基づく中継局の有無判定や、中継局が存在する場合にはその中継局のC/N判定などを行って中継局(あるいは系列局)のサーチ動作を実施する。
【0025】
上述したチューナ部14、16が第1のチューナ部に、チューナ部10、12が第2のチューナ部に、OFDM復調部32が第1の復調処理手段に、OFDM復調部30が第2の復調処理手段に、MPEGデコーダ40Rが第1の映像・音声再生手段に、MPEGデコーダ40Fが第2の映像・音声再生手段に、受信状態判定部52が受信状態判定手段に、サーチ処理部54がサーチ処理手段にそれぞれ対応する。
【0026】
本実施形態の地上デジタル放送受信機100はこのような構成を有しており、次に、リア座席側の2つのチューナ部14、16によって受信した放送波(放送局)の受信状態が悪化したときにフロント座席側の2つのチューナ部10、12を用いて中継局をサーチする動作について説明する。
【0027】
本実施形態の地上デジタル放送受信機100では、フロント座席側とリア座席側で別々の放送局を選局してそれぞれに対応する番組を視聴することができる。また、このような並行した視聴では、リア座席側の優先度が高く、フロント座席側の優先度が低く設定されている。このため、リア座席側に対応する放送局の受信状態が悪化したときに、フロント座席側の視聴を一時中断して中継局のサーチ動作が行われる。
【0028】
地上デジタル放送ではMPEG2−TS(Transport Stream)規格に準拠した構造を有する放送波が配信される。MPEG2−TSは、TSヘッダ部と、ペイロード部(データ本体)とを有する。TSヘッダ部とペイロード部とで188バイトのトランスポート・パケットが構成されている。また、このMPEG2−TSで伝送されるデータには、PAT(Program Association Table)、PMT、NIT、BITなどがある。
【0029】
PAT:番組(プログラム)番号ごとにその番組構成を記述しているテーブル(PMT)を伝送しているトランスポート・パケットのPID(Packet Identification、パケット識別情報)が記述されている。PAT自身のPIDは、固定値(0x0000)を有する。このPATは、所定時間以内に1回受信される。
【0030】
PMT:このトランスポート・パケットのペイロード部に、1つの番組を構成するビデオ、オーディオなどの個別ストリームが伝送されているトランスポート・パケットのPIDのリストや付属情報(サービス識別等)が記述されている。
【0031】
NIT:このトランスポート・パケットのペイロード部に、放送局のネットワーク識別が記述されている。
【0032】
BIT:このトランスポート・パケットのペイロード部に系列局情報が含まれる。BITのPIDは、固定値(0x0024)を有する。 このBITの拡張ブロードキャスタ記述子にはaffiliation_id(系列局識別)が含まれている。
【0033】
図2は、リア座席側で受信中の放送局(放送波)の受信状態が悪化した場合のサーチ動作手順を示す流れ図である。2つのチューナ部10、12を用いた2ダイバー構成のダイバーシティ受信が行われ、フロント座席の利用者が指定したフルセグメントデジタル放送の受信番組の音声がスピーカ44Fから出力され、映像が表示装置48Fの画面に表示される。また、2つのチューナ部14、16を用いた2ダイバー構成のダイバーシティ受信が行われ、リア座席の利用者が指定したフルセグメントデジタル放送の受信番組の音声がスピーカ44Rから出力され、映像が表示装置48Rの画面に表示される(ステップ100)。このような受信動作と並行して、受信状態判定部52は、リア座席側で受信中の放送局の受信状態のみが悪化したか否か(ステップ102)、リア座席側およびフロント座席側のそれぞれで受信中の放送局の受信状態が両方とも悪化したか否か(ステップ104)を判定する。いずれにも該当しない場合にはステップ102、104の判定においてともに否定判断が行われ、ステップ100の受信動作とこれらの判定動作が繰り返される。
【0034】
一方、リア座席側の受信状態のみが悪化するとステップ102の判定において肯定判断が行われ、フロント座席側のチューナ部10、12やOFDM復調部30を用いたサーチ処理部54によるサーチ動作が開始される(ステップ106)。このサーチ動作によって、リア座席側で視聴していた放送局と同じ内容の番組を放送している中継局が検出される。
【0035】
また、リア座席側とフロント座席側の両方において受信状態が悪化するとステップ104の判定において肯定判断が行われ、フロント座席側のチューナ部10、12やOFDM復調部30を用いたサーチ処理部54によるサーチ動作が開始される(ステップ108)。このサーチ動作によって、リア座席側で視聴していた放送局と同じ内容の番組を放送している中継局と、フロント座席側で視聴していた放送局と同じ内容の番組を放送している中継局とが別々に検出される。
【0036】
図3は、リア座席側の受信状態悪化に対応して行われる中継局サーチ動作の流れ図である。
図2に示した106において開始された中継局サーチの詳細な動作手順が示されている。中継局サーチが開始されると、サーチ処理部54は、リア座席側で視聴の対象となっている放送波に対応する最初の中継局周波数に受信周波数を設定する(ステップ200)。例えば、リア座席側で受信中の放送波に含まれるNIT等に基づいて中継局の周波数(中継局周波数)を知ることができ、サーチ方向に沿って一の中継局周波数が選択される。
【0037】
次に、サーチ処理部54は、この中継局周波数に中継局が存在するか否かを判定する(ステップ202)。中継局が存在する場合には肯定判断が行われ、サーチ処理部54は、リア座席側で受信中の放送局よりもC/Nが良好か否かを判定する(ステップ204)。良好な場合には肯定判断が行われ、サーチ処理部54は、この中継局を中継局候補リストに追加する(ステップ206)。この中継局候補リストは、制御部50内あるいは制御部50の外部に接続されたメモリ(図示せず)に格納される。
【0038】
次に、あるいは、ステップ202の判定(中継局判定)やステップ204の判定(C/N比較)において否定判断がなされた後に、サーチ処理部54は、全てのチャンネル(中継局周波数)についてサーチが終了したか否かを判定する(ステップ208)。終了していない場合には否定判断が行われ、ステップ200に戻って次の中継局周波数が設定される。
【0039】
また、全てのチャンネルについてサーチが終了した場合にはステップ208の判定において肯定判断が行われる。次に、サーチ処理部54は、中継局リストの中から最良の(最もC/Nが良好な)中継局を選択する(ステップ210)。その後、サーチ処理部54は、リア座席側で受信中の放送局をこの中継局に切り替えた後(ステップ212)、フロント座席側で受信する放送局を、
図2のステップ106のサーチ動作開始前に受信していた放送波に切り替える。このようにして、リア座席側の受信状態のみが悪化した場合の一連の中継局サーチ動作が終了する。
【0040】
図4は、リア座席側およびフロント座席側の両方の受信状態悪化に対応して行われる中継局サーチ動作の流れ図である。
図2に示した108において開始された中継局サーチの詳細な動作手順が示されている。この中継局サーチには、受信状態が悪化したリア座席側の放送局に対応する中継局を検出する動作(第1のサーチ動作)と、受信状態が悪化したフロント座席側の放送局に対応する中継局を検出する動作(第2のサーチ動作)とが含まれており、第1のサーチ動作が実施された後に第2のサーチ動作が実施される。
【0041】
また、第1のサーチ動作については、
図3に示した動作手順に含まれるステップ200〜212の動作と同じであり、これらについての説明は省略する。
【0042】
第1のサーチ動作が終了した後、第2のサーチ動作が開始される。まず、サーチ処理部54は、フロント座席側で視聴の対象となっている放送波に対応する最初の中継局周波数に受信周波数を設定する(ステップ220)。例えば、フロント座席側で受信中の放送波に含まれるNIT等に基づいて中継局の周波数(中継局周波数)を知ることができ、サーチ方向に沿って一の中継局周波数が選択される。
【0043】
次に、サーチ処理部54は、この中継局周波数に中継局が存在するか否かを判定する(ステップ222)。中継局が存在する場合には肯定判断が行われ、サーチ処理部54は、フロント座席側で受信中の放送局よりもC/Nが良好か否かを判定する(ステップ224)。良好な場合には肯定判断が行われ、サーチ処理部54は、この中継局を中継局候補リストに追加する(ステップ226)。この中継局候補リストは、制御部50内あるいは制御部50の外部に接続されたメモリ(図示せず)に格納される。
【0044】
次に、あるいは、ステップ222の判定(中継局判定)やステップ224の判定(C/N比較)において否定判断がなされた後に、サーチ処理部54は、全てのチャンネル(中継局周波数)についてサーチが終了したか否かを判定する(ステップ228)。終了していない場合には否定判断が行われ、ステップ220に戻って次の中継局周波数が設定される。
【0045】
また、全てのチャンネルについてサーチが終了した場合にはステップ228の判定において肯定判断が行われる。次に、サーチ処理部54は、中継局リストの中から最良の(最もC/Nが良好な)中継局を選択する(ステップ230)。その後、サーチ処理部54は、フロント座席側で受信する放送局をこの中継局に切り替える(ステップ232)。このようにして、リア座席側およびフロント座席側の両方の受信状態が悪化した場合の一連の中継局サーチ動作が終了する。
【0046】
このように、本実施形態の地上デジタル放送受信機100では、優先度が高いリア座席側のチューナ部14、16を用いて受信した放送局の受信状態が悪くなった場合に、優先度が低いフロント座席側のチューナ部10、12を用いてこの受信状態が悪化した放送局の代わりとなる放送局を検出するサーチ動作を行っているため、リア座席側のチューナ部14、16を用いてサーチ動作を行う場合に比べて、チューナ部14、16に対応する優先度が高い位置(リア座席)での番組視聴を可能な限り継続することができる。
【0047】
また、リア座席側のチューナ部14、16を用いて受信した放送局とフロント座席側のチューナ部10、12を用いて受信した放送局の両方の受信状態が悪化した場合に、フロント座席側のチューナ部10、12を用いたサーチ動作をリア座席側で受信中の放送局について先に実施することにより、リア座席側のチューナ部14、16を用いて受信する放送局の受信状態を速やかに改善することができる。
【0048】
また、リア座席側およびフロント座席側のいずれか一方のみで番組視聴を行う場合には、全てのチューナ部10〜16を用いたダイバーシティ受信に切り替えており、映像および音声の再生系統を1つにした場合に、ダイバーシティ受信を行うチューナ部の数を増やすことができ、受信品質の向上が可能となる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、リア座席側に対応して2つのチューナ部14、16を、フロント座席側に対応して2つのチューナ部10、12を用いたが、これらのチューナ部の数(組み合わせ)はこれら以外であってもよい。例えば、リア座席側に1つのチューナ部14を用い、フロント座席側に1つのチューナ部10を用いるようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、リア座席側における視聴を優先させたが、反対にフロント座席側における視聴を優先させるようにしてもよい。あるいは、リア座席側とフロント座席側の視聴のいずれを優先させるかを利用者の指示に応じて選択できるようにしてもよい。このために、例えば制御部50内に優先度選択部56(優先度選択手段に対応する)を備えるようにしてもよい。フロント座席側における番組視聴と、リア座席側における番組視聴とが別々に行われる場合に、優先度選択部56は、そのいずれの番組視聴を優先させるかを利用者の指示に応じて選択する。利用者の指示は、例えば図示しない操作部を用いて行われる。このように、車両のリア座席側での視聴とフロント座席側での視聴のいずれを優先させるかを利用者が選択することにより、車両の搭乗者の内容(何人か、大人か子供かなど)に応じた適切な優先度設定が可能となる。
【0051】
また、上述した実施形態では、リア座席側における視聴を優先させたが、ある時点で受信状態が良好な側の番組視聴を優先させ、リア座席側のチューナ部14、16を用いた番組受信とフロント座席側のチューナ部10、12を用いた番組受信の優先度を設定するようにしてもよい。これにより、受信状態が良好な側の視聴継続をできるだけ優先させることが可能となる。
【0052】
また、上述した実施形態では、サーチ動作によって中継局を検出するようにしたが、系列局を検出するようにしてもよい。あるいは、中継局が検出できない場合に続けて系列局を検出するようにしてもよい。これにより、車載のデジタル放送受信装置において、優先度が高い側の視聴を継続しながら、確実に中継局や系列局を探すことが可能となる。