【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、独立請求項によって規定される。従属請求項は、有利な実施形態を規定する。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、目的は、請求項1に記載のレンチキュラー手段によって達成される。
【0011】
本発明によるディスプレイ装置のレンチキュラー手段の効果は、次のとおりである。本発明のレンチキュラー手段は、それのレンチキュラー側にプロファイル表面を備えるレンチキュラーシートなどの、知られている自動立体視ディスプレイ装置と同様の層を備え、
プロファイル表面は、立体視画像を知覚できるようになるように、相互に異なる方向に前記画素のそれぞれのグループから出力を誘導するためにレンチキュラー素子のアレイを画定する。さらに、レンチキュラーシートは、第1の屈折率を有する。本発明の自動立体視ディスプレイ装置のレンチキュラー手段は、機能性分子を備える電気光学材料をさらに備える。電気光学材料は、第2の屈折率を有し、レンチキュラーシートのプロファイル表面のレンチキュラー側に第1の側が配置される。電気光学材料の第2の屈折率は、電気光学材料の第2の屈折率がレンチキュラーシートの屈折率と実質的に同じである第1の値と、電気光学材料の屈折率が第1の屈折率と異なる第2の値との間でそれに電位を選択的に印加することによって切り換え可能である。かつ、本発明の自動立体視ディスプレイ装置のレンチキュラー手段は、電気光学材料と第1の配向層との間の界面の近くに機能性分子の配向を強制するために第2の側で電気光学材料に当接する第1の配向層を備え、第2の側はレンチキュラーシートから反対方向に向いている。
【0012】
本発明では、光学的に表示機能に影響を与えない第1の透明キャリア箔を付加すると、製造プロセスにおいて多種多様な選択肢が広がる。層スタックのそれぞれの層は、これらが形成されているレンチキュラー手段のスタックに付加される前に、リールツーリール処理でコーティング、噴霧、等のような従来の堆積技術をまず第1に用いて透明キャリア箔に設けられ得る。さらにまた、レンチキュラー手段のスタックへの透明キャリア箔の付加は、一体化される層がすべて、それ自体リールツーリール処理に適していることを条件として、リールツーリール処理で行われ得る。これは、通常、折り畳み不能の厚いガラス基板への層の付加を除外する。別様に表現すれば、形成されているレンチキュラー手段のスタックに付加される透明キャリア箔は、(正しい材料および厚さを選択することによって)リールツーリール処理にそれ自体適している。両方の態様の組合せは、経済的な実現可能な方法で大量生産に適しているプロセスにする。リールツーリール処理は、それ自体当業者によく知られている。リールツーリール/ロールツーロール/リールツーリール(用語R2Rで包含される)処理は、それ自体当業者によく知られている。
【0013】
本発明者らは、ディスプレイ装置の大量生産を目的とする場合は、自動立体視ディスプレイ装置のレンチキュラー手段の従来の層スタックは問題を引き起こすことを理解している。特に、電気光学材料(たとえば、液晶材料)に隣接し、かつ/またはそれと相互に作用する層を設けると、従来の処理が複雑になり、大量生産に適さなくなる。
【0014】
この種の「問題の多い」層には、配向層(たとえば、レンチキュラースタックのポリイミド層)があり、これは、液晶材料と第1の配向層との間の界面に近い液晶材料に液晶分子の配向を強制するために必要である。(ポリイミド層などの)配向層の欠点は、これがスタックに付加された後に摩擦することを必要とすることである。ポリイミド層の摩擦は、機械的なかつ細心の注意を要するステップを伴う。ポリイミド層をまず第1に透明キャリア箔に設けることによって、摩擦を行うことをより容易にし、さらに、この種の摩擦は、大量生産を容易にするリールツーリール処理で行われ得る。ポリイミド層の摩擦は、それ自体当業者によく知られている。
【0015】
さらに、本発明のディスプレイ装置の実施形態においては、この種の「問題の多い」層はまた、それ自体レンチキュラーシートを含むことができる(後ほどこの説明において、レンチキュラーシートと電気光学材料との間にいかなる配向層も全くない、有利な実施形態が説明される)。
【0016】
語法「それぞれの側に配置されている」は、電気光学材料とレンチキュラーシートとの間に第1の配向層(またはさらなる配向層)などの、前記それぞれの層の間に他の層があり得るという選択肢が含まれるように解釈されなければならない。
【0017】
さらに、語法「第1の透明キャリア箔に設けられる」は、本発明のディスプレイ装置が、第1の透明キャリア箔と第1の配向層との層の間に第1の電極層などの、他の層があり得るという選択肢を含むように解釈されるべきである。
【0018】
形状構成「配向層」がこの説明に用いられる場合には、これは、電気光学材料に分子(たとえば、液晶分子)の配向を固定するのに適した層として解釈されなければならない。この配向層がポリイミドを含む場合は、これは、層が(たとえば、ラビング用布で)摩擦されているということを意味する。LCDディスプレイ用のポリイミド層の摩擦は、それ自体よく知られているプロセスである。
【0019】
この説明において、語法「第1のもの」がいくつかの選択肢からの選択と関連して用いられる場合には、これは、いくつかの選択肢から1つのものを選択することとして解釈されなければならない。
【0020】
この説明において、語法「第2のもの」がいくつかの選択肢からの選択と関連して用いられる場合には、これは、第1のものに比べて異なるものとして解釈されなければならない。
【0021】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態は、リールツーリール処理に適している第2の透明キャリア箔をさらに備える。さらに、この実施形態においては、レンチキュラーシートおよび第1の配向層のうちの第2のものは、第2の透明キャリア箔に設けられる。この実施形態は、より問題の多い層が本発明に従って対処されると(これは、これらの層がそれぞれの透明キャリア箔に設けられてから、それらがレンチキュラー手段のスタックに加えられるということを意味する)、ディスプレイ装置は経済的な実現可能な方法で大量生産に、それだけより適切になるので、有利である。
【0022】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、レンチキュラーシートは、電気光学材料に直接設けられ、レンチキュラーシートのレンチキュラー側は、電気光学材料のための配向層として機能するために改変されている。レンチキュラーシートを適合させる1つの方法は、レンチキュラーシートの表面を摩擦することによってである。これは、配向層のうちの1つを完全になしで済ますことができ、それによりデバイスの製造方法があまり複雑かつ高価にならないので、有利な実施形態である。本発明者らは、配向層の機能を引き継ぐようにレンチキュラーシートのレンチキュラー側を改変することができることを理解している。これは、配向層について行われるのと同じようにレンチキュラーシートの表面を摩擦することによってであり得る。
【0023】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態は、レンチキュラーシートと電気光学材料との間に第2の配向層をさらに備える。この実施形態は、以前に言及した実施形態の変形を構成する。レンチキュラーシートと電気光学材料との間の第2の配向層の付加は、知られているディスプレイ装置の層構造により類似した層構造にする(知られているディスプレイ装置の層スタックにおいては、いかなる透明キャリア箔もないことが留意されなければならない)。
【0024】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態は、電気光学材料の第1の側に設けられる第1の電極層と、電気光学材料の第2の側に設けられる第2の電極層とをさらに備え、第2の側は、第1の側の反対側にあり、第1の電極層および第2の電極層は、前記電位を印加するように構成される。
【0025】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、第1の電極層および第2の電極層のうちの第1のものは、第1の透明キャリア箔に設けられている。第1の電極層は、(第1の透明キャリア箔が電気光学材料の第1の側に設けられる場合には)たとえば第1の透明キャリア箔とレンチキュラーシートとの間で、または、(第1の透明キャリア箔が電気光学材料の、第1の側と反対側の第2の側に設けられる場合には)第1の透明キャリア箔と第1の配向層との間で、第1の透明キャリア箔に設けられ得ることが有利である。
【0026】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、第1の電極層および第2の電極層のうちの第2のものは、第2の透明キャリア箔に設けられる。第2の電極層は、(第2の透明キャリア箔が電気光学材料の第1の側に設けられる場合には)たとえば第2の透明キャリア箔とレンチキュラーシートとの間で、または、(第2の透明キャリア箔が電気光学材料の、第1の側と反対側の第2の側に設けられる場合には)第2の透明キャリア箔とそれぞれの配向層との間で、第2の透明キャリア箔に設けられ得ることが有利である。
【0027】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、ディスプレイパネルは、LEDパネル、LCDパネル、およびプラズマパネルを備えるグループの1つを備える。本発明の実施形態はレンチキュラー手段に液晶技術を使用するということにもかかわらず、本発明は、それ自体LCDパネルに限定されるものではない。画素のアレイを有する任意の種類のディスプレイパネルは、立体視画像を知覚できるようになるように、2つ以上のインターリーブされたサブ画像を備える画像を生成するのに適している。
【0028】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、前記第1の透明キャリア箔は、ポリマー材料を備える。
【0029】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、前記第2の透明キャリア箔は、ポリマー材料を備える。
【0030】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、前記電気光学材料は、液晶材料を備える。
【0031】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、前記第1の配向層は、ポリイミド(PI)材料を備える。
【0032】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、前記第2の配向層は、ポリイミド(PI)材料を備える。
【0033】
本発明の自動立体視ディスプレイ装置の一実施形態においては、前記電極層は、酸化インジウムチタン(ITO)材料、またはカーボンナノチューブ、または他の透明導電層を備える。
【0034】
本発明の第2の態様によれば、目的は、本発明のレンチキュラー手段を備える、請求項9に記載の自動立体視ディスプレイ装置によって達成される。本発明は、現存するディスプレイパネルにアドオンとして、またはこの実施形態の場合のように、レンチキュラー手段およびディスプレイパネルの組合せとして売られ得る。
【0035】
本発明の第3の態様によれば、目的は、本発明の自動立体視ディスプレイ装置を備える、請求項10に記載の電子デバイスによって達成される。本発明は、携帯型デバイス(たとえばスマートフォン、PDA、ラップトップ、タブレットPCなど)、医療用画像化、仮想現実、ゲームおよびCADの分野の適用領域でこの種の電子デバイスに適用され得ることが有利である。
【0036】
本発明の第4の態様によれば、目的は、請求項11に記載のディスプレイ装置を製造する方法によって達成される。既に以前に説明したように、本発明は、大量生産に適している自動立体視ディスプレイ装置を提供することを目的とする。このために、ディスプレイ装置のレンチキュラー手段は、リールツーリール処理に適している、それぞれの透明キャリア箔に設けられる前記それぞれの機能層を備えるそれぞれのサブスタックの形の、それぞれの機能層を設けることによって改変される。換言すれば、それぞれの機能層は、それぞれの透明キャリア箔にまず第1に設けられ、その後、結果として得られるサブスタックが、レンチキュラー手段の中間スタックに付加される。
【0037】
本発明による方法の一実施形態においては、本方法は、i)リールツーリール処理に適している第2の透明キャリア箔を備える、層の第2のサブスタックを設けるステップであり、レンチキュラーシートおよび第1の配向層のうちの第2のものが、第2の透明キャリア箔に設けられるステップと、ii)第2のサブスタックをレンチキュラー手段の中間層スタックに付加するステップとをさらに含む。この実施形態においては、本発明の原理が、スタックのさらなる層に繰り返され、これは、本方法をリールツーリール処理で実施するのにより適するようにし、本方法を大量生産により適するようにする。
【0038】
本発明による方法の一実施形態においては、層の第1のサブスタックの形成は、リールツーリール処理で行われる。この実施形態の利点は、本方法が経済的に実現可能な方法で大量生産により適していることである。
【0039】
本発明による方法の一実施形態においては、層の第2のサブスタックの形成は、リールツーリール処理で行われる。
【0040】
本発明による方法の一実施形態においては、層の第1のサブスタックの付加は、リールツーリール処理で行われる。
【0041】
本発明による方法の一実施形態においては、層の第2のサブスタックの付加は、リールツーリール処理で行われる。
【0042】
本発明のこれらのおよび他の態様は、後に説明される実施形態から明らかであり、それを参照して解明されるであろう。