特許第6275656号(P6275656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275656
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】自動車のための排熱利用装置
(51)【国際特許分類】
   F02G 5/02 20060101AFI20180129BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   F02G5/02 B
   F02G5/02 C
   F01K23/10 P
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-560271(P2014-560271)
(86)(22)【出願日】2013年3月6日
(65)【公表番号】特表2015-510081(P2015-510081A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】EP2013000652
(87)【国際公開番号】WO2013131642
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2014年9月10日
【審判番号】不服2016-16515(P2016-16515/J1)
【審判請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】102012004600.6
(32)【優先日】2012年3月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロジーミル・フランク
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル・ユング
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ユンカー
(72)【発明者】
【氏名】オイゲーン・クレープス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・クロップ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シュトロイレ
【合議体】
【審判長】 佐々木 芳枝
【審判官】 冨岡 和人
【審判官】 松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−16485(JP,A)
【文献】 特開2001−207910(JP,A)
【文献】 特開2011−196209(JP,A)
【文献】 米国特許第6526754(US,B1)
【文献】 特開平10−89015(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1326017(EP,A1)
【文献】 特開2007−177694(JP,A)
【文献】 特開2004−258004(JP,A)
【文献】 特開2002−115573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/02 - 23/10
F02G 5/00 - 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のための排熱利用装置(1)であって、
− 作用媒体が循環する排熱利用循環路(3)と、
− 前記排熱利用循環路(3)に配置された、前記作用媒体の搬送のための搬送装置(5)と、
− 前記排熱利用循環路(3)において前記搬送装置(5)の下流に配置された、前記作用媒体の蒸発のための蒸発器(6)と、
− 前記排熱利用循環路(3)において前記蒸発器(6)の下流に配置された、前記作用媒体の膨張のための膨張機(7)と、
− 前記排熱利用循環路(3)において前記膨張機(7)の下流に配置された、前記作用媒体の凝縮のための凝縮機(8)と、
− 前記自動車の内燃機関(2)の主出力軸(17)とは別軸のパワーテークオフシャフト(4)と直接または間接的に駆動接続された発電機(13)とを備え、
− 前記膨張機(7)が、エネルギー回収のために前記内燃機関(2)の前記パワーテークオフシャフト(4)と直接駆動接続される排熱利用装置(1)において、
前記内燃機関(2)の前記パワーテークオフシャフト(4)は、前記膨張機(7)のローターであること、および
前記排熱利用装置(1)は前記発電機(13)によって駆動可能な電動モーター(18)を含み、前記電動モーター(18)の固定子と相対している前記電動モーター(18)の回転可能なローターは、前記内燃機関(2)の主出力軸(17)と回転不能に接続され、それにより前記電動モーター(18)が前記内燃機関(2)の主出力軸(17)と駆動接続されることを特徴とする排熱利用装置(1)。
【請求項2】
前記発電機(13)は、前記パワーテークオフシャフト(4)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の排熱利用装置(1)。
【請求項3】
前記発電機(13)は、前記パワーテークオフシャフト(4)と作動接続される独立した発電機軸(16)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の排熱利用装置。
【請求項4】
前記パワーテークオフシャフト(4)は、ホイール駆動(14)によって、前記発電機軸(16)と駆動接続されることを特徴とする、請求項3に記載の排熱利用装置(1)。
【請求項5】
− 前記パワーテークオフシャフト(4)は、前記発電機(13)が前記膨張機(7)の前記内燃機関(2)と反対を向いた側に配置されるように、前記膨張機(7)を通して同軸で案内され、または、
− 前記パワーテークオフシャフト(4)は、前記発電機(13)が前記膨張機(7)の前記内燃機関(2)の方を向いた側の前記パワーテークオフシャフト(4)に配置されるように、前記発電機(13)を通して同軸で案内されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排熱利用装置(1)。
【請求項6】
前記発電機(13)は発電機モーターとして構成され、前記発電機モーターは、前記自動車の惰行モード状態においては発電機として電力の生産のために作用し、前記自動車の駆動モード状態においては電動モーターとして前記自動車の前記パワーテークオフシャフト(4)の駆動のために作用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排熱利用装置(1)。
【請求項7】
− 主出力軸(17)およびパワーテークオフシャフト(4)を備えた内燃機関(2)と、
− 請求項1〜6のいずれか一項に記載の排熱利用装置(1)と、を有する自動車。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関(2)と排熱利用装置(1)を備えた自動車の作動のための方法であって、
− 前記方法に従い、前記自動車の惰行モード状態の間、前記膨張機(7)の作動エネルギーと前記パワーテークオフシャフト(4)の作動エネルギーが、前記発電機(13)によって電力に転換され、
− 前記方法に従い、前記自動車の駆動モード状態の間、前記膨張機(7)の作動エネルギーが前記パワーテークオフシャフト(4)を通して前記自動車の駆動系(20)へ導入され、
− 前記方法に従い、前記駆動モード状態において出力向上のために前記発電機(13)が電動モーターとして作動され、前記電動モーターの作動エネルギーが前記パワーテークオフシャフト(4)を通して前記自動車の駆動系(20)へ導入される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関を備えた自動車のための排熱利用装置に関する。本発明はさらに、このような排熱利用装置を備えた自動車、およびこのような排熱利用装置を備えた自動車のための作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
好ましくはランキンサイクルまたはクラウジウス−ランキンサイクルに基づいて作動する、従来の排熱利用設備は、通常作用媒体が循環する排熱利用循環路を含んでいる。排熱利用循環路には作用媒体の流れの方向において連続して、作用媒体の搬送のための搬送装置、作用媒体の蒸発のための蒸発器、作用媒体の膨張のための膨張機、および作用媒体の凝縮のための凝縮機が配置される。
【0003】
特許文献1には、選択的または同時に内燃機関および電動モーターによって駆動することができる自動車について記載されている。
【0004】
特許文献2には、内燃機関と電動モーターを含むハイブリッド車が開示されている。電動モーターは排熱利用設備によって作動することができる。電動モーターはこの際ギアの駆動のためにも、また電池の充電のためにも利用することができる。電池に貯蔵された電力は再び必要に応じて電動モーターの駆動のために利用することができる。
【0005】
特許文献3には、多気筒の内燃機関の熱交換器が開示されている。熱交換器は、自動車の中に取り付けられた排熱利用装置として構成することもできる。排熱利用装置はここでも蒸発器を含み、これは上昇した温度と高まった圧力によって蒸気を発生させ、この際熱源として内燃機関の排ガス等の排熱が利用される。膨張機を利用して高圧蒸気の膨張により回転軸が駆動され、凝縮器によって蒸気が再び凝縮される。膨張装置により、機械的な連結を通して内燃機関の出力軸も発電機も駆動され、これは例えば電気エネルギー貯蔵装置、特に再充電可能な電池を充電することができる。
【0006】
特許文献4には、ハイブリッド車の排ガスの排熱利用のためのランキンサイクル・システムについて記載されている。このシステムは、自動車のための駆動源としての内燃機関および発電機モーターを含む。システムの出力トルクはギアに伝導され、自動車の駆動機構に追加の駆動力をもたらすため、または充電可能な電池を充電するために利用される。自動車を加速する間には排ガスの熱エネルギーはシステムによって利用され、自動車を減速する間には、発電機モーターのための再生可能な電気出力を用意するために自動車の運動エネルギーが転換され、これによって内燃機関の燃費を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE 24 00 760
【特許文献2】US 4,405,029
【特許文献3】EP 1 249 585 A1
【特許文献4】EP 1 326 017 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、排熱利用装置、およびこのような排熱利用装置を利用した自動車のための、改善された実施形態を提示することである。本発明の課題はさらに、このような自動車のための改善された作動方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は独立クレームに基づく装置または方法によって解決される。好ましい実施形態は下位クレームの対象である。
【0010】
本発明に基づく排熱利用装置は、作用媒体がその中を循環する排熱利用循環路を含む。排熱利用装置は排熱利用循環路に配置された作用媒体の搬送のための搬送装置と、搬送装置の排熱利用循環路下流に配置された作用媒体の蒸発のための蒸発器とを含む。さらに排熱利用装置は、蒸発器の排熱利用循環路下流に配置された作用媒体の膨張のための膨張機と、排熱利用循環路において膨張機の下流に配置された作用媒体の凝縮のための凝縮器とを含む。
【0011】
膨張機はここでエネルギー回収のために、直接内燃機関のパワーテークオフシャフトと駆動接続される。このようにして、自動車の内燃機関の出力の駆動力が支持され得る。さらに、パワーテークオフシャフトと直接的または間接的に駆動接続された発電機を用意することによって、上述の直接的なエネルギー回収に加えて、さらに電力の生産も可能となる。このように生産された電力は特に電動モーターの駆動のために利用することができ、これによって再び内燃機関の主出力軸が支持されながら駆動され得る。その代わりに、または追加的に、生産された電力が、例えば充電可能な電池のような、これに適したエネルギー貯蔵装置に一時的に貯蔵されることも考えられる。このような電池に一時的に貯蔵された電力によって内燃機関の主出力軸に配置された電動モーターを駆動することができるか、または発電機がいわゆる発電機モーターとして構成されている場合は、発電機は作動のために電動モーターとしてエネルギー貯蔵装置に貯蔵された電力により駆動されることができ、こうして同様にパワーテークオフシャフトによって内燃機関の駆動力を支持することができる。上述したような本発明に基づき構成された排熱利用装置によって、内燃機関の効率を著しく向上させることができる。
【0012】
ある実施形態では膨張機はローターと、回転不能にローターと接続された、作用媒体の膨張の際に解放されるエネルギーによって駆動可能なタービンホイールとを備え、この際内燃機関のパワーテークオフシャフトは膨張機のローターである。このため「直接的な駆動接続」のもとでは本発明に基づいて、膨張機は直接内燃機関のパワーテークオフシャフトに配置され、このためパワーテークオフシャフトは同時に膨張機のローターとしても機能するものと理解される。このようにして、同程度に省スペースであり技術的に簡易な、またこのため安価な、本発明に基づく排熱利用装置の構成が可能となる。
【0013】
発展形の実施形態では、発電機はパワーテークオフシャフトに配置されてもよい。こうして膨張機と発電機は両方とも内燃機関のパワーテークオフシャフトに配置され、これによって、本発明に基づく排熱利用装置のためのスペースの需要をさらに削減することができる。
【0014】
その代わりに、発電機を、パワーテークオフシャフトと作動接続される独立した発電機軸に配置することも考えられる。このようにして発電機は、例えば技術的な理由から必要な場合は、膨張機から空間的に離して配置することができる。
【0015】
パワーテークオフシャフトがホイール駆動によって、特にベルト駆動またはチェーン駆動または歯車駆動によって発電機軸と駆動接続されると好ましい。このようにしてパワーテークオフシャフトのトルクを技術的に簡易なやり方で、さらに省スペースな形で、パワーテークオフシャフトから空間的に距離を置いて配置された発電機の発電機軸に伝達することができる。ホイール駆動はギアユニットも含んでもよく、これによってある一定の発電機の発電機軸と出力軸との間の伝達率を実現することができる。この実施形態でも、同程度に順応性があり、またコンパクトな排熱利用装置の構造が可能となる。
【0016】
特にコンパクトであり、このため省スペースな実施形態では、パワーテークオフシャフトは、発電機またはホイール駆動が膨張機の内燃機関と反対を向いた側に配置されるように、前記膨張機を通して同軸で案内されてもよい。その代わりに、パワーテークオフシャフトは、発電機またはホイール駆動を通して同軸で案内されてもよく、これによって発電機またはホイール駆動は、膨張機の内燃機関の方を向いた側のパワーテークオフシャフトに配置される。
【0017】
発電機によって生産された電力を出力向上のために自動車の駆動機構に再び導入することができるように、排熱利用装置はさらに発電機によって駆動可能な電動モーターを含んでもよい。ここで電動モーターは内燃機関の主出力軸と駆動接続されてもよい。
【0018】
その代わりに、または追加として、発展形の実施形態では、発電機自体がいわゆる発電機モーターとして構成されてもよく、これによって、これは自動車の惰行モード状態においては発電機として電力の生産のために作用し、また自動車の駆動モード状態においては電動モーターとして自動車のパワーテークオフシャフトの駆動のために作用することができる。このため駆動モード状態ではいわゆる「ブースター」のやり方において、自動車の駆動機構に対して追加的な駆動力を、主出力軸(独立した電動モーターによって)またはパワーテークオフシャフト(発電機モーターとして構成された発電機によって)を通して利用可能とすることができる。この際、電動モーターまたは発電機モーターの作動のために必要なエネルギーは、例えば充電可能な電池のような、これに適した電気エネルギー貯蔵装置から取り出すことができる。この電気エネルギー貯蔵装置の充電は、例えば自動車が惰行モード状態にある場合は、発電機によって行うことができる。このような作動状態においては、自動車の加速、ましてや減速はなされず、このため発電機により生産された電力は自動車の駆動機構によって必要とされず、代わりに電気エネルギー貯蔵装置に後の利用のために一時的に貯蔵することができる。
【0019】
さらに発展形の実施形態では、発電機は電気エネルギー貯蔵装置、特に電池の選択的な充電、または主出力軸の駆動への切替えが可能であるように形成されてもよい。このようにして、発電機によって生産された電力をエネルギー効率よく再利用することができる。
【0020】
本発明はさらに、主出力軸とパワーテークオフシャフトを備えた、また上述した特徴の一つまたは複数の特徴を備えた排熱利用装置を有する自動車の内燃機関に関する。本発明は、このように構成された自動車の作動方法にも関する。
【0021】
本発明のさらなる重要な特徴および利点は、下位クレーム、図面、および図に基づき、これに属する図の説明によりもたらされる。
【0022】
前述の特徴および後述する特徴は、それぞれ記載された組み合わせにおいてのみならず、その他の組み合わせまたは独立した形でも、本発明の枠組みから逸脱することなく利用可能であるものと理解される。
【0023】
本発明の好ましい実施例は図に示すとともに後術の記載において詳細に説明され、この際、同じ参照符号が同じ、または類似の、または機能的に同じ構成部分に付される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に基づく排熱利用装置の実施例の概略図である。
図2図1の実施例の第一の発展形態の簡略な概略図である。
図3図1の実施例の第二の発展形態の簡略な概略図である。
図4図1の実施例の第三の発展形態の簡略な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1では本発明に基づく排熱利用装置を1で示す。排熱利用装置1は自動車の一部であってもよく、この部分は図1において全体として25で示され、またパワーテークオフシャフト4を含む内燃機関2を含む。排熱利用装置1は自動車内の内燃機関2とともに配置されてもよい(図1には示していない)。排熱利用装置1は排熱利用循環路3を含み、この中を作用流体または作用媒体が循環する。排熱利用循環路3は特にランキンサイクルまたはクラウジウス−ランキンサイクルとして構成されることができる。
【0026】
排熱利用装置1はさらに搬送装置5、蒸発器6、膨張機7および凝縮機8を含み、これらは排熱利用循環路3において作用流体または作用媒体の搬送方向5の下流に連続して配置される。搬送装置5は高圧に対する作用流体または作用媒体の搬送のために機能する。搬送装置5が容積ポンプとして構成され、ここで駆動モーター9と連結され得ると適切である。蒸発器6は排熱利用循環路3において搬送装置5の下流に配置され、作用流体または作用媒体の蒸発のために機能し、ここでは蒸発器6が内燃機関2の排熱に役立つ。実施例に基づき、蒸発器6はさらに熱を伝達する形で内燃機関2の排ガス設備10と連結され、ここではこれに相応する熱流が矢印によって参照符号11で示されている。内燃機関2はさらに給気設備12を備えてもよい。
【0027】
膨張機7は排熱利用循環路3において蒸発器6の下流に配置され、作用流体または作用媒体の低圧点への膨張のために機能する。この際膨張機7は、例えばタービンとしてローターとともに、およびローターと回転不可能に接続されたタービンホイールとともに構成されてもよい。例えばピストン式膨張機を挙げることもできる。タービンホイールにはこの場合ピストン式膨張機のクランク軸が相応する。
【0028】
凝縮機8は排熱利用循環路3において膨張機7の下流に配置され、作用流体または作用媒体の凝縮のために機能する。ここで、参照符号15により矢印で示すように、作用流体または作用媒体から熱が奪われる。膨張機7はエネルギー回収の目的で、直接内燃機関のパワーテークオフシャフト4と駆動接続される。これは特に、パワーテークオフシャフト4が同時に膨張機7のローターとしても機能することを意味する。膨張機7によってこのために作用流体または作用媒体からエネルギーが奪われ、これは機械的作業の形でなされ、これによって内燃機関2のパワーテークオフシャフト4が駆動される。
【0029】
さらに排熱利用装置1は発電機13も備え、これも同様にパワーテークオフシャフト4と直接的または間接的に駆動接続される。図1には間接的な駆動接続を示しており、これは例えばホイール駆動14の形で実現可能であり、これによって内燃機関1のパワーテークオフシャフト4が、発電機13の発電機軸16と送電のために作動接続状態にあることができる。ホイール駆動14はここでベルト駆動、チェーン駆動または/および歯車駆動として構成されてもよい。しかしながら基本的には、間接的な駆動力伝達の意味において、パワーテークオフシャフト4から、これと距離を置いた、すなわち独立した発電機軸16への駆動力の伝達に適する全ての構成要素が意図され得る。ここでは特に従来のギアユニットも考慮される。
【0030】
図2に簡略な概略図として示す直接的な駆動接続に基づき、発電機13は直接内燃機関2のパワーテークオフシャフト4に配置されており、すなわち、パワーテークオフシャフト4は同時に発電機13のローターとして機能する。図2に示す発展形態ではパワーテークオフシャフト4はここで同軸に発電機13によって実行され、こうして発電機13が、パワーテークオフシャフト4上で膨張機7の内燃機関2の方を向いた側に配置される。
【0031】
図1の実施例に基づき、排熱利用装置1はさらに電動モーター18を含んでもよく、これは内燃機関2の主出力軸17と駆動接続状態にある。さらに、電動モーター18の固定子と相対している電動モーター18の回転可能なローターは、内燃機関2の主出力軸17と回転不能に接続されてもよい。電動モーター18はこの際、発電機13によって発電された電力によって駆動されてもよく、こうして内燃機関2の主出力軸17のために追加的な駆動力をもたらす。発電機13から電動モーター18への電力の伝達は、例えば従来の電線の形などにより、これに適した電力伝達手段19によってなされてもよい。電動モーター18により発電された追加の駆動力は、主出力軸17を通して直接自動車の駆動機構20に伝達されてもよい(図2を参照)。
【0032】
さらに発電機13は図1に示すように、電気エネルギー貯蔵装置21、特に充電可能な電池の充電のために利用してもよい。この種の電気エネルギー貯蔵装置21の充電は発電機13により発電された電力によって、まさに、内燃機関2により駆動される自動車によってトルクが要求されない場合、例えば自動車が加速されないか、それどころか減速する必要がある場合になされると好ましい。このような自動車の作動状態は通常、惰行モード状態と呼ばれる。この場合は、電動モーター18は、主出力軸17、従って駆動機構20に補助的なトルクを与えることは必要ないか、または要求されない。こうして、発電機13により発電された電力が、後の利用のために電気エネルギー貯蔵装置21に一時的に貯蔵されることになる。
【0033】
電気エネルギー貯蔵装置21に貯蔵された電力は必要があれば様々なやり方で再利用されてもよく、例えば様々な自動車の構成要素、特に様々な電気負荷に電力を供給するために、あるいは、主出力軸17に追加のトルクを与えるべき場合に電動モーター18を駆動するためにも再利用され得る。この場合、電気エネルギー貯蔵装置21に貯蔵された電力は、例えば従来の送電線のようなこれに適した電気的伝達手段22によって、電気エネルギー貯蔵装置21から電動モーター18に伝達することができる。
【0034】
有利な発展形態では、内燃機関2の出力向上のために、発電機13がいわゆる発電機モーターとして形成され、これによって必要に応じてそれ自身が電動モーターとして作動してもよく、こうして電動モーターとして作動される発電機13の駆動力が、パワーテークオフシャフト4によって自動車の駆動系20に伝達される。発電機モーターはこの際電気エネルギー貯蔵装置21に貯蔵された電力によって駆動されてもよい。このような出力向上のための発電機モーターの利用は、内燃機関2の「ブースター」の作動状態とも称される。
【0035】
別の発展形態では発電機13は、電気エネルギー貯蔵装置21の選択的な充電、または内燃機関2の主出力軸17の駆動(電動モーター18によって)への切替えが可能であるように構成されてもよい。電気エネルギー貯蔵装置21の充電はこの際、前述のように、まさに自動車が惰行モード状態にある場合になされるものとする。
【0036】
発電機13または/および電動モーター18の制御のために(作動状況の切替えを含む)、排熱利用装置1においてこれに適した制御装置(図示せず)がもたらされる。
【0037】
図3および4に示す、発電機13とパワーテークオフシャフト4との間の直接的な駆動接続の特に省スペースな発展形態では、パワーテークオフシャフト4は同軸で膨張機7によって実行されてもよく、これにより、発電機13(図3)またはホイール駆動14(図4)は、膨張機7の内燃機関2と反対を向いた側に配置される。
【0038】
図1から4に基づく実施例に記載の内燃機関2は、本発明に基づき自動車25のための作動方法の枠組みにおいて利用してもよく、これは本発明に基づく図1のような排熱利用装置1の他に、さらにパワーテークオフシャフト4を備えた内燃機関2を有する。本発明に基づく作動方法に応じて、自動車25はここで様々な作動状況で作動することができる。
【0039】
このようにして本発明に基づき、自動車25が惰行モード状態にある間、膨張機7の作動エネルギーとパワーテークオフシャフト4の作動エネルギーが発電機13により電力に転換される。
【0040】
これに対して自動車25が駆動モード状態にある間、膨張機7の作動エネルギーはパワーテークオフシャフト4によって自動車25の駆動系20へ伝達される。いわゆる「ブースター作動状態」である駆動モード状態の特別な発展形態では、駆動モード状態において出力向上のために発電機13は電動モーターとして作動され、電動モーター13の作動エネルギーがパワーテークオフシャフト4によって自動車2の駆動系20へ伝達される。
図1
図2
図3
図4