特許第6275659号(P6275659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275659
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】連続式焼成炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/02 20060101AFI20180129BHJP
   F27B 9/30 20060101ALI20180129BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   F27B9/02
   F27B9/30
   F27D17/00 105G
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-31409(P2015-31409)
(22)【出願日】2015年2月20日
(65)【公開番号】特開2016-153704(P2016-153704A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2016年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591076109
【氏名又は名称】エヌジーケイ・キルンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 倫弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩治
【審査官】 瀧澤 佳世
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−195755(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/137286(WO,A1)
【文献】 特開2007−139289(JP,A)
【文献】 特開2004−205144(JP,A)
【文献】 特開2011−007462(JP,A)
【文献】 特開2002−168571(JP,A)
【文献】 特開平05−125451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/02
F27B 9/30
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を焼成する連続式焼成炉であって、
被処理物を焼成する第1の焼成部と、被処理物を焼成する第2の焼成部と、を少なくとも有する炉体と、
前記第1の焼成部内に配置され、前記第1の焼成部の一端に投入される被処理物を前記第1の焼成部の他端に搬送する第1の搬送装置と、
前記第2の焼成部内に配置され、前記第2の焼成部の一端に投入される被処理物を前記第2の焼成部の他端に搬送する第2の搬送装置と、
前記第1の焼成部内のガスを排出する第1排気流路と、
前記第2の焼成部内のガスを排出する第2排気流路と、を備えており、
前記第1の焼成部は前記第2の焼成部の上方に配置されると共に、前記第1の焼成部と前記第2の焼成部とは互いに隔離されており、
前記第2排気流路は、前記第2の焼成部内であって前記第2の搬送装置の上方の空間に開口する流入口と、前記流入口から流入するガスを前記炉体の外部に導く排気流路部と、を有しており、
前記排気流路部は、
前記第1の焼成部の下方で、かつ、前記第2の搬送装置の上方を、前記第2の搬送装置の搬送方向と交差し、かつ、水平方向に伸びる第1流路部と、
前記第1流路部の下流端に接続され、前記第2の搬送装置の搬送方向と平行に伸びる第2流路部と、
前記第2流路部の下流端に接続され、前記第2の搬送装置の搬送方向と交差する方向に伸びる第3流路部と、を有しており、
前記第2流路部が、前記炉体の壁内に設けられている、連続式焼成炉。
【請求項2】
前記炉体は、前記第1の焼成部と前記第2の焼成部との間に配置され、前記第1の焼成部と前記第2の焼成部とを隔離する隔壁を有しており、
前記第2排気流路の前記流入口は、前記隔壁に形成されており、
前記第2排気流路の前記第1流路部は、前記隔壁内を被処理物の搬送方向と交差する水平方向に伸びている、請求項1に記載の連続式焼成炉。
【請求項3】
前記第2排気流路は、前記第2の焼成部内であって前記第2の搬送装置の上方の空間に配置され、前記第2の焼成部の一方の側壁から他方の側壁まで伸びる排気管を有しており、
前記排気管には、管壁を貫通する貫通孔が形成されており、
前記第2排気流路の前記流入口は、前記排気管に形成された前記貫通孔であり、
前記排気流路部の第1流路部は、前記排気管内の流路であることを特徴とする、請求項1に記載の連続式焼成炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、被処理物を焼成する連続式焼成炉に関する。詳細には、連続式焼成炉から炉外にガスを排出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
連続式焼成炉(例えば、ローラーハースキルン等)を用いて、被処理物を焼成することがある。この種の連続式焼成炉では、通常、炉体の一端に投入された被処理物は炉体の他端に向かって搬送される。被処理物は、炉体の一端から他端まで搬送される間に焼成される。被処理物が焼成される際には、被処理物からガスが発生することがある。被処理物から発生するガスが炉内に滞留すると、被処理物の汚染といった問題が生じる。このため、炉内のガスを円滑に排気するための排気流路を備えた焼成炉が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の技術では、焼成炉の上壁に排気流路が形成される。排気流路は、焼成炉の上壁内を上方に伸びており、焼成炉内の排ガスは焼成炉の上壁から炉外に排出される。これによって、被処理物から発生するガスがスムーズに炉外に排出され、被処理物から発生するガスが炉内に滞留することが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−294521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
連続式焼成炉の中には、スペース効率を向上するため、被処理物を焼成する焼成部を複数設け、これら複数の焼成部を上下方向に積層して配置したものがある。このような連続式焼成炉では、最上段に配置された焼成部については、その上壁に排気流路を形成し、上壁から炉外にガスを排出することはできる。しかしながら、最上段以外の焼成部については、その上方に他の焼成部が配置されているため、当該焼成部の上壁に上方に伸びる排気流路を形成することができない。このため、最上段以外の焼成部については、焼成部内のガスをスムーズに排出することができないという問題があった。
【0006】
本明細書は、複数の焼成部を上下方向に積層して配置した連続式焼成炉において、最上段以外の焼成部においてもガスをスムーズに排出することができる連続式焼成炉を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示する連続式焼成炉は、被処理物を焼成する第1の焼成部と、被処理物を焼成する第2の焼成部と、を少なくとも有する炉体と、第1の焼成部内に配置され、第1の焼成部の一端に投入される被処理物を第1の焼成部の他端に搬送する第1の搬送装置と、第2の焼成部内に配置され、第2の焼成部の一端に投入される被処理物を第2の焼成部の他端に搬送する第2の搬送装置と、第1の焼成部内のガスを排出する第1排気流路と、第2の焼成部内のガスを排出する第2排気流路と、を備えている。第1の焼成部は第2の焼成部の上方に配置されると共に、第1の焼成部と第2の焼成部とは互いに隔離されている。第2排気流路は、第2の焼成部内であって第2の搬送装置の上方の空間に開口する流入口と、流入口から流入するガスを炉体の外部に導く排気流路部と、を有している。排気流路部は、第1の焼成部の下方で、かつ、第2の搬送装置の上方を、第2の搬送装置の搬送方向と交差し、かつ、水平方向に伸びる第1流路部を有している。
【0008】
上記の連続式焼成炉では、第2の焼成部内のガスを排出する第2排気流路は、第2の搬送装置の上方を、第2の搬送装置の搬送方向と交差し、かつ、水平方向に伸びる第1流路部を有している。このため、第1流路部の位置や長さ等を調整することで、第2の搬送装置の上方の任意の位置に流入口を配置することができ、第2の焼成部内のガスをスムーズに排出することができる。ここで、上記の「水平方向」には、完全に水平となる場合だけでなく、水平方向に対して傾斜したり湾曲したりしている場合も含まれる。このため、例えば、第2の焼成部の天井形状がアーチ状となっている場合は、そのアーチ状に合わせて第1流路部が湾曲している場合も、ここでいう「水平方向に伸びている」に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の連続式焼成炉の概略構成を示す図。
図2】実施例1の連続式焼成炉の縦断面図(投入口側から搬出口側を見た図であり、図1のII−II線断面図)。
図3】実施例1の連続式焼成炉に設けられる排気流路の構成を説明するための図。
図4図3のIV−IV線断面図。
図5】変形例の連続式焼成炉の縦断面図(図2と同様、投入口側から搬出口側を見た図)。
図6】変形例の連続式焼成炉に設けられる排気流路の構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0011】
(特徴1) 本明細書が開示する連続式焼成炉では、排気流路部は、第1流路部の下流端に接続され、第2の搬送装置の搬送方向と平行に伸びる第2流路部と、第2流路部の下流端に接続され、第2の搬送装置の搬送方向と交差する方向に伸びる第3流路部と、をさらに有していてもよい。このような構成によると、第1流路部を流れるガスは、第2流路部によって流れる方向が変えられ、さらに、第3流路部によって流れる方向を変えられてから炉外に排出される。このため、排気ガス中の異物は第2流路部より下流側で固化し易く、第1流路部で排気ガス中の異物が固化することが抑制される。流入口に接続されている第1流路部での異物の固化を抑制できるため、焼成部内の被処理物の汚染を抑制することができる。
【0012】
(特徴2) 本明細書が開示する連続式焼成炉では、炉体は、第1の焼成部と第2の焼成部との間に配置され、第1の焼成部と第2の焼成部とを隔離する隔壁を有していてもよい。そして、第2排気流路の流入口は隔壁に形成されており、第2排気流路の第1流路部は隔壁内を被処理物の搬送方向と交差する水平方向に伸びていてもよい。このような構成によると、流入口及び第1流路部が隔壁(第2の焼成部の天井)に設けられるため、第2の搬送装置の上方の任意の位置に流入口を配置することができる。このため、第2の焼成部内のガスをスムーズに排出することができる。
【0013】
(特徴3) 本明細書が開示する連続式焼成炉では、第2排気流路は、第2の焼成部内であって第2の搬送装置の上方の空間に配置され、第2の焼成部の一方の側壁から他方の側壁まで伸びる排気管を有していてもよい。排気管には管壁を貫通する貫通孔が形成されていてもよい。そして、第2排気流路の流入口は、排気管に形成された貫通孔であり、排気流路部の第1流路部は排気管内の流路であってもよい。このような構成よると、第2の焼成部内に配置した排気管を利用して、第2の焼成部内のガスを炉外に排出する。このため、排気管の位置や、排気管に形成される貫通孔の位置を調整することで、第2の搬送装置の上方の任意の位置に流入口を配置することができる。このため、第2の焼成部内のガスをスムーズに排出することができる。
【実施例】
【0014】
(第1実施例) 以下、図面を参照して実施例に係る連続式焼成炉10について説明する。図1,2に示すように、連続式焼成炉10は、炉体20と、炉体20内に設けられた第1焼成部12(第1の焼成部の一例)及び第2焼成部14(第2の焼成部の一例)を備えている。図から明らかなように、第1焼成部12は第2焼成部14の上方に配置され、第1焼成部12と第2焼成部14は隔壁20dによって隔離されている。
【0015】
炉体20は、天井壁20aと、底壁20gと、側壁20b,20c,20e,20fと、隔壁20dを備えている。第1焼成部12は、天井壁20aと側壁20b,20cと隔壁20dによって周囲を囲まれている。第2焼成部14は、隔壁20dと側壁20e,20fと底壁20gによって周囲を囲まれている。これによって、各焼成部12,14には、トンネル状の加熱領域16a〜16cが形成されている。
【0016】
第1焼成部12には第1ローラコンベア22(第1の搬送装置の一例)が配置され、第2焼成部14には第2ローラコンベア32(第2の搬送装置の一例)が配置されている。第1ローラコンベア22は、炉体20の側方に配置された駆動装置28によって駆動される。第2ローラコンベア32は、炉体20の側方に配置された駆動装置38によって駆動される。各焼成部12,14の加熱領域16aの一端には、被処理物を投入する投入口18aが形成されている。各焼成部12,14の加熱領域16cの他端には、被処理物を搬出する搬出口18bが形成されている。第1ローラコンベア22は、第1焼成部12の投入口18aに投入された被処理物を、第1焼成部12の搬出口18bまで搬送する。第2ローラコンベア32は、第2焼成部14の投入口18aに投入された被処理物を、第2焼成部14の搬出口18bまで搬送する。各焼成部12,14に投入された被処理物は、投入口18aから搬出口18bまで搬送される間に焼成される。被処理物としては、例えば、リチウムイオン電池の正極材や負極材等が挙げられる。連続式焼成炉10を用いてリチウムイオン電池の正極材や負極材を焼成する場合、これら被処理物は匣鉢Wに収容して搬送することができる。本実施例の連続式焼成炉10では、ローラコンベア22,32上に複数の匣鉢Wを炉体20の幅方向に並んだ状態で搬送することができる。
【0017】
第1焼成部12の加熱領域16a〜16cのそれぞれにはヒータ24a,24bが配置されている。ヒータ24aは第1ローラコンベア22の上方に配置され、ヒータ24bは第1ローラコンベア22の下方に配置されている。第2焼成部14の加熱領域16a〜16cのそれぞれにはヒータ34a,34bが配置されている。ヒータ34aは第2ローラコンベア32の上方に配置され、ヒータ34bは第2ローラコンベア32の下方に配置されている。ヒータ24a,24b,34a,34bは電源装置80に接続されている。電源装置80から各ヒータ24a,24b,34a,34bに電力が供給されることで、各ヒータ24a,24b,34a,34bが発熱し、被処理物が加熱される。なお、隣接する加熱領域(例えば、16aと16b)の境界には、仕切り板26,36が配置されている。これによって、各加熱領域16a〜16cの雰囲気温度が個別に制御される。
【0018】
また、各焼成部12,14の加熱領域16a〜16cのそれぞれには、雰囲気ガスを加熱領域16a〜16cのそれぞれに導入する導入流路(図示省略)が形成されている。導入流路は、各加熱領域16a〜16cの搬出口18b側の端部であって、ローラコンベア22,32の下方に配置されている。導入流路から各加熱領域16a〜16cに雰囲気ガスが導入されることで、各加熱領域16a〜16cの焼成雰囲気が制御される。各焼成部12,14の加熱領域16a〜16cのそれぞれに雰囲気ガスが導入されるため、各焼成部12,14の加熱領域16a〜16cのそれぞれには、雰囲気ガスを排出するための第1排気流路40又は第2排気流路60が設けられる。以下、第1排気流路40と第2排気流路60について説明する。
【0019】
第1排気流路40は、第1焼成部12の各加熱領域16a〜16cに設けられている。第1排気流路40は、第1焼成部12の各加熱領域16a〜16c内のガスを炉体20の外部に排気する。第1排気流路40は、天井壁20aに設けられている。具体的には、第1排気流路40は、流入口42a,42bと、流入口42a,42bに接続された取込部44a,44bと、取込部44a,44bに接続された排気流路部を備えている。
【0020】
流入口42a,42bは、天井壁20aに形成されており、第1ローラコンベア22の上方の空間に開口する。流入口42a,42bの位置は、天井壁20aの幅方向(炉体20の幅方向であって、被処理物の搬送方向に直交する方向)の中央よりの位置に形成されている。加熱領域16a〜16c内のガスは、天井壁20aの幅方向中央より上部の位置に滞留し易い。このため、流入口42a,42bを天井壁20aの幅方向中央よりの均等な位置に設けることで、加熱領域16a〜16c内のガスがスムーズに炉外に排出される。取込部44a,44bは、天井壁20a内を流入口42a,42bから上方に向かって伸びている。排気流路部は、天井壁20a内に設けられ、その下流端50aが炉体20の側面から炉外に突出している。なお、第1排気流路40の排気流路部は、後述する第2排気流路60の排気流路部と同一構成であるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0021】
なお、第1排気流路40は、各加熱領域16a〜16cの投入口18a側の端部に設けられている。雰囲気ガスを導入する導入流路が各加熱領域16a〜16cの搬出口18b側の端部に設けられることから、各加熱領域16a〜16cでは、搬出口18b側の端部から投入口18a側の端部に向かって雰囲気ガスが流れることとなる。
【0022】
第2排気流路60は、第1排気流路40と同様に、第2焼成部14の各加熱領域16a〜16cに設けられている。第2排気流路60は、隔壁20dに設けられており、第2焼成部14の各加熱領域16a〜16c内のガスを炉体20の外部に排気する。
【0023】
第2排気流路60は、流入口62a,62bと、流入口62a,62bに接続された取込部64a,64bと、取込部64a,64bに接続された排気流路部(66a,66b;68;70(図3,4参照))を備えている。流入口62a,62bは、隔壁20dに形成されており、第2ローラコンベア32の上方の空間に開口する。流入口62a,62bの位置は、隔壁20dの幅方向の中央よりの位置に形成されている。これにより、隔壁20dの中央部付近に滞留するガスをスムーズに炉外に排出することができる。取込部64a,64bは、隔壁20d内を流入口62a,62bから上方に向かって伸びている。排気流路部(66a,66b;68;70)は、隔壁20d内に設けられ、その下流端70aが炉体20の側面から炉外に突出している。すなわち、排気流路部(66a,66b;68;70)は、第1焼成部12の下方で、第2ローラコンベア32の上方に配置されている。排気流路部(66a,66b;68;70)の構成については、後で詳述する。
【0024】
なお、第2排気流路60は、第1排気流路40と同様、各加熱領域16a〜16cの投入口18a側の端部に設けられている。第2焼成部14においても、雰囲気ガスを導入する導入流路が各加熱領域16a〜16cの搬出口18b側の端部に設けられることから、各加熱領域16a〜16cでは、搬出口18b側の端部から投入口18a側の端部に向かって雰囲気ガスが流れることとなる。
【0025】
ここで、第2排気流路60の排気流路部(66a,66b;68;70)について、図2〜4を参照して説明する。図2〜4に示すように、排気流路部は、取込部64aに接続された第1流路部66aと、取込部64bに接続された第1流路部66bと、第1流路部66a,66bに接続された第2流路部68と、第2流路部68に接続された第3流路部70により構成されている。第1流路部66a,66bは、被処理物の搬送方向と直交する方向に伸びており、取込部64a,64bの下流端より隔壁20dの幅方向中央に向かって水平に伸びている。第2流路部68は、第1流路部64a,64bの下流端より被処理物の搬送方向と平行に伸びている。第3流路部70は、第2流路部68の下流端より炉体20の側面に向かって、第1流路部64a,64bの伸びる方向と平行に伸びている。第2流路部68が被処理物の搬送方向と平行に伸びていることから、第3流路部70は、第1流路部64a,64bに対して、投入口18a側に配置されている。なお、第1排気流路40の排気流路部は、第2排気流路60の排気流路部(66a,66b;68;70)と同様に構成されていることから、第1排気流路40の排気流路部も、第1流路部と第2流路部と第3流路部を備える。
【0026】
上述した各排気流路40,60では、流入口42a,42b,62a,62bから流入したガスは、取込部44a,44b,64a,64b及び排気流路部を流れ、炉体20の外部に排気される。排気流路部では、第1流路部66aを流れるガスと第1流路部66bを流れるガスとが第2流路部68の上流端で合流し、その合流したガスが第2流路部68及び第3流路部70を流れることとなる。このため、排ガス中の異物(例えば、タール等)は第2流路部68で固化し易く、第1流路部66a,66bで固化することが抑制される。このため、第1流路部66a,66bから焼成部12,14内に固化した異物が落下し、被処理物が汚染されるといった事態が生じることを抑制することができる。
【0027】
なお、上記の実施例では、炉体20の天井壁20aに第1排気流路40を形成すると共に、第1焼成部12と第2焼成部14とを隔離する隔壁20dに第2排気流路60を形成したが、本明細書に開示の技術は、このような形態に限られない。例えば、図5に示すように、焼成部12,14内に配置された排気管82,84を用いて排気流路を構成してもよい。
【0028】
すなわち、第1焼成部12には、第1ローラコンベア22及びヒータ24aの上方に排気管82が配置されている。排気管82は、第1焼成部12の側壁20bから側壁20cまで伸びている。排気管82の下端には複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。第1焼成部12内のガスは、貫通孔を通って排気管82内に吸引され、排気管82内の流路を通って炉体20の外部に排気される。
【0029】
同様に、第2焼成部14には、第2ローラコンベア32及びヒータ34aの上方に排気管84が配置されている。排気管84は、第2焼成部12の側壁20eから側壁20fまで伸びている。排気管82の下端には、図示しない複数の貫通孔(流入口の他の一例)が形成されている。第2焼成部14内のガスは、貫通孔を通って排気管84内に吸引され、排気管84内の流路(第1流路部の他の一例)を通って炉体20の外部に排気される。すなわち、図6に示すように、排気管84の下流端には第2流路部86の上流端が接続され、第2流路部86の下流端には第3流路部88が接続されている。第2流路部86は、側壁20f内を被処理物の搬送方向と平行に伸びている。第3流路部88は、排気管84の伸びる方向と平行に伸びている。排気管84内のガスは、第2流路部86及び第3流路部88を通って炉外に排気される。第2流路部86及び第3流路部88を設けることで、排気管84内のガスが冷却されることを抑制し、排気管84内で異物が固化することが抑制される。これによって、排気管84の貫通孔から第2焼成部14内に異物が落下し、被処理物が汚染されるといった事態を抑制することができる。
【0030】
図5に示す連続式焼成炉100のように排気管82,84を用いても、各焼成部12,14内のガスをスムーズに排気することができる。排気管82,84を利用することで、貫通孔の数や位置を比較的に自由に設定することができ、焼成部12,14内のガスをよりスムーズに排出することができる。なお、排気管を利用して排気流路を構成する場合、焼成部の中央付近の貫通孔を大径とし、側壁近傍の貫通孔を小径としてもよい。このように構成すると、焼成部の中央付近のガスが多く吸引される一方で、側壁近傍のガスの吸引量が抑えられる。これによって、焼成部内の温度を均一に保つことが容易となる。
【0031】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0032】
10,100 連続式焼成炉
12 第1焼成部
14 第2焼成部
16a,16b,16c 加熱領域
18a 投入口
18b 搬出口
20 炉体
22,32 ローラコンベア
24,34 ヒータ
26 仕切り板
28,38 駆動装置
40 第1排気流路
42a,42b,62a,62b 流入口
44a,44b,64a,64b 取込部
66a,66b 第1流路部
68 第2流路部
50,70 第3流路部
80 電源装置
82,84 排気管
86 第2流路部
88 第3流路部
図1
図2
図3
図4
図5
図6