特許第6275690号(P6275690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6275690キヌレニン−3−モノオキシゲナーゼインヒビターおよびその医薬組成物ならびにこれらの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275690
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】キヌレニン−3−モノオキシゲナーゼインヒビターおよびその医薬組成物ならびにこれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 62/38 20060101AFI20180129BHJP
   C07C 323/62 20060101ALI20180129BHJP
   C07C 317/44 20060101ALI20180129BHJP
   C07D 203/08 20060101ALI20180129BHJP
   C07D 305/08 20060101ALI20180129BHJP
   C07D 305/06 20060101ALI20180129BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180129BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20180129BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20180129BHJP
   A61K 31/396 20060101ALI20180129BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   C07C62/38CSP
   C07C323/62
   C07C317/44
   C07D203/08
   C07D305/08
   C07D305/06
   A61P43/00 111
   A61P25/28
   A61K31/192
   A61K31/396
   A61K31/337
【請求項の数】24
【全頁数】120
(21)【出願番号】特願2015-504581(P2015-504581)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2015-516967(P2015-516967A)
(43)【公表日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】US2013031051
(87)【国際公開番号】WO2013151707
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】61/620,953
(32)【優先日】2012年4月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511027183
【氏名又は名称】シーエイチディーアイ ファウンデーション,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(72)【発明者】
【氏名】トレド−シャーマン, レティシア エム
(72)【発明者】
【氏名】ドミンゲス, セリア
(72)【発明者】
【氏名】プライム, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル, ウィリアム レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウェント, ナオミ
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−000975(JP,A)
【文献】 特表2001−514634(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01475385(EP,A1)
【文献】 特表2001−509507(JP,A)
【文献】 特表2000−511872(JP,A)
【文献】 特表2008−509105(JP,A)
【文献】 National Center for Biotechnology Information, PubChem Compound Database [online],2007年12月,CID=23288293, <URL:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/23288293>; retrieved on 26 December 2016
【文献】 Venkatesh, C.; Ila, H.; Junjappa, H.; Mathur, Sanjay; Huch, Volka,Domino Carbocationic Rearrangement of Aryl-2-(1-N-methyl/benzyl-3-indolyl)cyclopropyl Ketones: A Serendipitous Route to 1H-Cyclopenta[c]carbazole Framework,Journal of Organic Chemistry,2002年,67(26),9477-9480
【文献】 Database REGISTRY[online],2008年,RN 1053729-71-7, 1017374-17-2, 1017351-31-3, 1017323-42-0, 1017216-35-1, 1017165-29-5, 1017112-16-1; Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 26 December 2016
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 1/00−409/44
C07B 31/00− 61/00
C07D201/00−521/00
A61K 31/00− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
(式中、

【化2】
であり、
11はクロロであり、R12は−Z−R20であり、ここで、
Zは、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−または−CR2122−であり、
21およびR22は、独立して水素、低級アルキル、ヒドロキシルおよび低級アルコキシから選択されるか、あるいはR21とR22が、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている3〜7員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成しており、
20は、任意選択的に置換されているC〜Cアルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、または任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルであり;
13は水素またはハロであり;
Xは、−CR−であり;
およびRは、独立して水素、任意選択的に置換されているアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシおよび任意選択的に置換されている低級アルキルから選択されるか、あるいはRとRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しており;
Lは、−C(O)O−であり;
は、水素であり;
およびRは、独立して水素、ハロ、任意選択的に置換されているアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシおよび任意選択的に置換されている低級アルキルから選択される)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
が、水素、ヒドロキシル、低級アルコキシ、1個もしくは複数のアルキル基で任意選択的に置換されているアミノ、またはハロ、ヒドロキシル、低級アルコキシ、および1個もしくは複数のアルキル基で任意選択的に置換されているアミノから独立して選択される1個もしくは複数の基で任意選択的に置換されている低級アルキルである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
が、水素、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、アミノメチル、(メチルアミノ)メチル、または(ジメチルアミノ)メチルである、請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
が水素または低級アルキルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
が水素またはメチルである、請求項4に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
とRが水素である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
がメチルであり、Rが水素である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
とRがメチルである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
とRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている5員もしくは6員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5員もしくは6員のヘテロシクロアルキルを形成している、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
とRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されているシクロペンチルまたは任意選択的に置換されているピロリジン−3−イルを形成している、請求項9に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
とRが、これらが結合している炭素と一体となって、シクロペンチルまたはピロリジン−3−イルを形成している、請求項10に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
Zが−O−である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
Zが−S−である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
Zが−S(O)−である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
Zが−CR2122−である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項16】
20が、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチル、(2R)−ブタン−2−イル、(2S)−ブタン−2−イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、イソプロピルまたはオキセタン−3−イルである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項17】
が、3−クロロ−4−(シクロプロパンスルフィニル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロパンスルホニル)フェニル、3−クロロ−4−シクロプロポキシ−フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロピルスルファニル)フェニル、3−クロロ−4−イソプロポキシ−フェニル、3−クロロ−4−(オキセタン−3−イルオキシ)フェニル、3−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル、3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル、4−(アジリジン−1−イルメチル)−3−クロロフェニル、4−[(2R)−ブタン−2−イルオキシ]−3−クロロフェニルまたは4−[(2S)−ブタン−2−イルオキシ]−3−クロロフェニルである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項18】
が、水素、アミノメチル、メトキシメチル、メチル、1−アミノエチル、1−メトキシ−エチル、メトキシまたはハロである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項19】
がメチルである、請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項20】
が水素である、請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項21】
下記式
【化3】
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項23】
治療有効量の請求項1〜21のいずれか一項に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む、神経性状態に苦しんでいるまたはそのリスクがある被験体を処置するための医薬。
【請求項24】
神経性状態がハンティングトン病である、請求項23に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において特定のキヌレニン−3−モノオキシゲナーゼインヒビターおよびその医薬組成物、ならびにこれらの使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
キヌレニン−3−モノオキシゲナーゼ(KMO)は、トリプトファン分解経路の酵素であり、これは、キヌレニン(KYN)から3−ヒドロキシキヌレニン(3−HK)(これは、さらに、興奮毒性NMDA受容体アゴニストQUIN(3−ヒドロキシアントラニル酸オキシゲナーゼ)に分解される)への変換を触媒する。3−OH−KYNおよびQUINは相乗的に作用する、すなわち、3−OH−KYNはQUINの興奮毒性作用を有意に増強する。いくつかの研究所での研究により、KYN経路の代謝が3−OH−KYN/QUIN分岐から離れる方向にシフトすると、脳内での神経保護性KYNAの形成が増大し、神経保護がもたらされるという証拠が得られている。脳内において効果を有することに加え、KMOの阻害は、さらに、末梢組織に影響を及ぼすことが想定される。したがって、KMOの阻害は、末梢疾患ならびに脳の疾患の処置に有用であり得る。さらに、KMO阻害とAA(アントラニル酸)の上昇との関係もまた、有意な生物学的効果を有し得る。
【0003】
また、KMO発現は、炎症性の状態において、または免疫刺激後に増大することが報告されている。3−OH−KYN(活性をもつ生成物)は、ビタミンB−6欠乏新生子ラットの脳内に蓄積し、一次培養物の神経細胞に添加した場合、または脳内に局所注射した場合、細胞毒性を引き起こす。最近、比較的低い濃度(ナノモル)の3−OH−KYNにより、ニューロン一次培養物においてニューロンのアポトーシス細胞死が引き起こされ得ることが報告された。実際、構造−活性試験により、3−OH−KYNおよび他のo−アミノフェノールは、これらのキノンイミンへの変換(酸素由来フリーラジカルの同時生成を伴うプロセス)によって開始される酸化反応に供され得ることが示された。このような反応性種の虚血性ニューロン死の病因における関与は、ここ数年間の間で広く研究されており、酸素由来フリーラジカルおよびグルタミン酸媒介性神経伝達が、虚血性ニューロン死の発生において協働していることが示されている。
【0004】
また、最近、KMO活性が虹彩−毛様体において特に高いこと、および新たに形成された3−OH−KYNはレンズ内液中に分泌されることが示された。レンズ内での3−OH−KYNの過剰な蓄積によって白内障が引き起こされることがあり得る。
【0005】
QUINは、NMDA受容体亜群のアゴニストであり、脳領域内に直接注射すると、ほとんどの神経細胞体が破壊され、アンパサン線維と神経末端がスペアリング(spare)される。QUINは、NR2CまたはNR2Dのいずれかのサブユニットを含むNMDA受容体複合体の相対的に不充分なアゴニストであるが、これは、NR2AおよびNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体複合体と比較的高い親和性で相互作用する。QUINの線条体内注射後に見られた神経毒性プロフィールは、ハンティングトン病患者の基底核において見られるものと非常によく似ている:一方、ほとんどの内在線条体ニューロンは破壊され、NADHジアホラーゼ染色ニューロン(現在、これは、一酸化窒素シンターゼを発現することができると考えられている)と神経ペプチドYを含むニューロンが、軸索末端およびアンパサン線維と一緒にスペアリングされるようである。
【0006】
KYNAのインビボ注入により、認知プロセスおよび感情的心的能力に関与している重要な神経伝達物質、例えば、アセチルコリン、ドパミンおよびグルタメートのシナプスからの放出がモジュレートされることが示されている。したがって、脳内のKYNAの上昇は、認知障害および神経伝達物質グルタメート、ドパミンまたはAchのレベルの変化により生じる障害、またはこれらの影響を受ける障害(アルツハイマー病、MCI、PD、統合失調症、HD、OCDおよびツレット病など)に効果を有し得る。
【0007】
インビトロでは、該化合物の神経毒性効果が、種々のモデル系において試験されており、さまざまな結果が得られている:皮質線条体系の器官型培養物をマイクロモル以下の濃度のQUINに慢性的に曝露すると病態の組織学的徴候が引き起こされ、培養神経細胞の慢性曝露後でも同様の結果が得られている。
【0008】
炎症性の神経系障害(実験的アレルギー性脳炎、細菌およびウイルス感染症、前脳の全脳虚血または脊髄の外傷など)のモデルでは、脳内QUINレベルは極めて高い。この脳内QUIN濃度の増大は、興奮性毒の循環濃度の上昇または活性化小グリアもしくは浸潤マクロファージのデノボ合成の増大のいずれかによるものであり得る。レトロウイルス感染マカクザルにおいて、増大した脳内QUIN含量の大部分(およそ98%)は局所生成によるものであることが提案されている。実際、脳の炎症領域内でIDO、KMOおよびキヌレニナーゼの活性の堅固な増大がみられた。
【0009】
これまでの研究では、脳内KYNA含量を増大させ得る剤により、沈静、軽度の無痛覚、痙攣閾値の増大、および興奮毒性または虚血性損傷に対する神経保護が引き起こされることが示されている。報告された上記の証拠に加え、最近、脳内でのKYNA形成を増大させ得るいくつかの化合物は、脳の細胞外空間内のGLU濃度を低下させることにより、グルタミン酸(GLU)媒介性神経伝達の堅固な低減を引き起こし得ることが示されている。
【0010】
KMOの有効なインヒビターであり神経変性障害の処置に使用され得る化合物の必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
式I
【化1】
(式中、

【化2】
であり、
11はクロロであり、R12は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、低級アルキルもしくは低級アルコキシもしくはトリフルオロメチルで任意選択的に置換されているシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールおよび−Z−R20から選択され、ここで、
Zは、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−CR2122−、−OCR2122−、−CR2122O−、−NR23−、−NR23CR2122−、−CR2122NR23−、および−C(O)−から選択され、
21、R22、およびR23は、独立して水素、低級アルキル、ヒドロキシルおよび低級アルコキシから選択されるか、あるいはR21とR22が、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている3〜7員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成しており、
20は、水素、任意選択的に置換されているC〜Cアルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているヘテロアリール、および任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルから選択されるか、あるいは
20とR23が、これらが結合している窒素と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しているか、あるいは
11とR12が、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル環を形成しており;
13は水素またはハロであるか、あるいは
12とR13が、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しており;
Xは、−CR−および−NR−から選択され;
およびRは、独立して水素、任意選択的に置換されているアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシおよび任意選択的に置換されている低級アルキルから選択されるか、あるいはRとRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しており;
は、水素および任意選択的に置換されている低級アルキルから選択され;
Lは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R17)−、−C(O)N(OR16)−、−N(R17)S(O)−、−S(O)N(R17)−、−C(O)N(R17)−S(O)−、−C(=N−OR16)−および共有結合から選択され、ここで、
16は、水素および低級アルキルから選択され;
17は、水素および低級アルキルから選択されるか;あるいは
が、水素、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているヘテロアリール、任意選択的に置換されているシクロアルキル、および任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルから選択されるが;ただし、
Lが−C(O)N(R17)−である場合、Rもまたヒドロキシルまたは低級アルコキシであり得、
Lが−N(R17)S(O)−である場合、Rは水素ではなく、
Lが共有結合である場合、Rは、シアノ、任意選択的に置換されているヘテロアリール、および任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルから選択されるものとするか、あるいは
とR17が、これらが結合している窒素と一体となって、任意選択的に置換されている4〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しており、該環は、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されているアリールまたは任意選択的に置換されているヘテロアリール環と任意選択的に縮合しているか、あるいは
とRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しており;
およびRは、独立して水素、ハロ、任意選択的に置換されているアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシおよび任意選択的に置換されている低級アルキルから選択されるか、あるいは
とRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しているか、あるいは
とRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しているが、
ただし、Rが3−クロロフェニルまたは3,4−ジクロロフェニルであり、かつXが−CH−、−CF−、−CH(CH)−または−C(CH−である場合、−L−Rは−COOHでも、−CHOでも、−C(O)NHでも、−C(O)NHCHでも、−C(O)NHCH−フェニルでも、−C(O)NH−フェニルでも、−C(O)−NH(OH)でも、−C(O)NHSO−フェニルでも、−C(O)O−t−ブチルでも、−C(O)OCHでも、−C(O)−NH−CH(フェニル)−CHCHOHでもないものとする)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを提供する。
【0012】
また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0013】
また、キヌレニン3−モノオキシゲナーゼ活性によって媒介される状態または障害の処置を、かかる処置を必要とする被験体において行う方法であって、該被験体に治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。
【0014】
また、キヌレニン3−モノオキシゲナーゼ活性によって媒介される状態または障害の処置を、かかる処置を必要とする被験体において行う方法であって、該被験体に治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。
【0015】
また、本明細書に記載の少なくとも1種類の医薬組成物と、キヌレニン3−モノオキシゲナーゼ活性によって媒介される状態または障害に苦しんでいる被験体を処置するために該組成物を使用するための使用説明書とを含むパッケージ化医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で用いる場合、以下の文言、語句および記号は、一般的に、使用されている文脈においてそうでないことが示されていない限り、以下に示す意味を有することを意図する。以下の略号および用語は、全体を通して、表示した意味を有する。
【0017】
2つの文字間または記号間のものでないダッシュ(「−」)は、置換基の結合点を示すために用いている。例えば、−CONHは、該炭素原子を介して結合する。
【0018】
「任意選択の」または「任意選択的に」は、続いて記載する事象または状況が存在していてもよく、存在していなくてもよいこと、およびその記載が、該事象または状況が存在する場合、および存在しない場合を含むことを意図する。例えば、「任意選択的に置換されているアルキル」は、「アルキル」と「置換アルキル」(以下に定義)の両方を包含する。当業者には、1個もしくは複数の置換基を含む任意の基に関して、かかる基が、立体上実現可能でない、合成上実現可能でない、そして/または本質的に不安定である、任意の置換または置換パターンを導入するものであることは意図していないことは理解されよう。
【0019】
「アルキル」は、表示した数の炭素原子、通常、1〜20個の炭素原子、例えば、1〜8個の炭素原子(例えば、1〜6個の炭素原子など)を有する直鎖および分枝鎖を包含する。例えば、C〜Cアルキルは、1〜6個の炭素原子の直鎖および分枝鎖のどちらのアルキルも包含する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、3−メチルペンチルなどが挙げられる。アルキレンは、アルキルの別のサブセットであり、アルキルと同じ残基であるが結合点を2つ有するものをいう。アルキレン基は、通常、2〜20個の炭素原子、例えば、2〜8個の炭素原子(例えば、2〜6個の炭素原子など)を有する。例えば、Cアルキレンは共有結合を示し、Cアルキレンはメチレン基である。具体的な数の炭素を有するアルキル残基の名前が挙げられている場合、その炭素数を有するすべての幾何異性体を包含していることを意図する;したがって、例えば、「ブチル」は、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを含んでいることを意図し;「プロピル」は、n−プロピルおよびイソプロピルを含んでいる。「低級アルキル」は1〜4個の炭素を有するアルキル基をいう。
【0020】
「アリール」は、表示した数の炭素原子、例えば、6〜12個または6〜10個の炭素原子を有する芳香族炭素環を示す。アリール基は単環式であっても多環式(例えば、二環式、三環式)であってもよい。一部の場合では、多環式アリール基のどちらの環も芳香族である(例えば、ナフチル)。他の場合では、多環式アリール基は、芳香環と縮合している非芳香環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル)を含み得るが、ただし、該多環式アリール基は親構造に該芳香環内の原子を介して結合するものとする。したがって、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基(該部分は親構造に芳香族炭素原子を介して結合する)はアリール基とみなすが、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル(該部分は親構造に非芳香族炭素原子を介して結合する)はアリール基とみなさない。同様に、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル基(該部分は親構造に芳香族炭素原子を介して結合する)はアリール基とみなすが、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル基(該部分は親構造に非芳香族窒素原子を介して結合する)はアリール基とみなさない。しかしながら、用語「アリール」は、結合点に関係なく、本明細書において定義する「ヘテロアリール」を包含せず、重複もしない(例えば、キノリン−5−イルおよびキノリン−2−イルはどちらもヘテロアリール基である)。一部の場合では、アリールはフェニルまたはナフチルである。一部の特定の場合では、アリールはフェニルである。非芳香環と縮合している芳香族炭素環を含むアリール基のさらなる例は後で記載する。
【0021】
「シクロアルキル」は、表示した数の炭素原子、例えば、3〜10または3〜8または3〜6個の環炭素原子を有する非芳香族の完全飽和炭素環式の環を示す。シクロアルキル基は単環式であっても多環式(例えば、二環式、三環式)であってもよい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニルおよびシクロヘキシル、ならびに架橋型およびケージ化型(caged)の環基(例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン)が挙げられる。また、多環式シクロアルキル基のうちの1つの環が芳香族であってもよいが、ただし、該多環式シクロアルキル基は親構造に非芳香族炭素を介して結合するものとする。例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル基(該部分は親構造に非芳香族炭素原子を介して結合する)はシクロアルキル基であるが、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル(該部分は親構造に芳香族炭素原子を介して結合する)はシクロアルキル基とみなさない。芳香環と縮合しているシクロアルキル基からなる多環式シクロアルキル基の例は後で記載する。
【0022】
「シクロアルケニル」は、表示した数の炭素原子(例えば、3〜10または3〜8または3〜6個の環炭素原子)と、対応するシクロアルキルの隣接している炭素原子から1分子の水素を除去することによって誘導される少なくとも1つの炭素−炭素二重結合とを含む、非芳香族炭素環式の環を示す。シクロアルケニル基は単環式であっても多環式(例えば、二環式、三環式)であってもよい。シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、およびシクロヘキセニル、ならびに架橋型およびケージ化型の環基(例えば、ビシクロ[2.2.2]オクテン)が挙げられる。また、多環式シクロアルケニル基のうちの1つの環が芳香族であってもよいが、ただし、該多環式アルケニル基は親構造に非芳香族炭素原子を介して結合するものとする。例えば、インデン−1−イル(該部分は親構造に非芳香族炭素原子を介して結合する)はシクロアルケニル基とみなされるが、インデン−4−イル(該部分は親構造に芳香族炭素原子を介して結合する)はシクロアルケニル基とみなさない。芳香環と縮合しているシクロアルケニル基からなる多環式シクロアルケニル基の例は後で記載する。
【0023】
「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子(例えば、1、2、3または4個のヘテロ原子)と、炭素である残りの環原子から構成される、表示した数の原子(例えば、5〜12または5〜10員のヘテロアリール)を含む芳香環を示す。ヘテロアリール基は、隣接し合うS原子とO原子を含有しない。一部の実施形態では、ヘテロアリール基内のS原子とO原子の総数は2以下である。一部の実施形態では、ヘテロアリール基内のS原子とO原子の総数は1以下である。特に記載のない限り、ヘテロアリール基は親構造に、結合価が許す場合には、炭素原子によって結合しても、窒素原子によって結合してもよい。例えば、「ピリジル」には、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジル基が包含され、「ピロリル」には、1−ピロリル、2−ピロリルおよび3−ピロリル基が包含される。ヘテロアリール環内に窒素が存在する場合、これは、隣接している原子および基の性質が許す場合には、酸化された状態(すなわち、N−O)で存在していてもよい。さらに、ヘテロアリール環内にイオウが存在する場合、これは、隣接している原子および基の性質が許す場合には、酸化された状態(すなわち、S−OまたはSO)で存在していてもよい。ヘテロアリール基は単環式であっても多環式(例えば、二環式、三環式)であってもよい。
【0024】
一部の場合では、ヘテロアリール基は単環式である。例としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール(例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール)、テトラゾール、フラン、イソオキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール(例えば、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール)、チオフェン、イソチアゾール、チアゾール、チアジアゾール(例えば、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール)、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン(例えば、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン)およびテトラジンが挙げられる。
【0025】
一部の場合では、多環式ヘテロアリール基のどちらの環も芳香族である。例としては、インドール、イソインドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジアゾール、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン、3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン、3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン、1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン、1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン、1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン、3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン、3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−c]ピリジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン、1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン、1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−c]ピリジン、フロ[2,3−b]ピリジン、オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、イソオキサゾロ[5,4−b]ピリジン、[1,2,3]オキサジアゾロ[5,4−b]ピリジン、フロ[3,2−b]ピリジン、オキサゾロ[4,5−b]ピリジン、イソオキサゾロ[4,5−b]ピリジン、[1,2,3]オキサジアゾロ[4,5−b]ピリジン、フロ[2,3−c]ピリジン、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン、イソオキサゾロ[5,4−c]ピリジン、[1,2,3]オキサジアゾロ[5,4−c]ピリジン、フロ[3,2−c]ピリジン、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン、イソオキサゾロ[4,5−c]ピリジン、[1,2,3]オキサジアゾロ[4,5−c]ピリジン、チエノ[2,3−b]ピリジン、チアゾロ[5,4−b]ピリジン、イソチアゾロ[5,4−b]ピリジン、[1,2,3]チアジアゾロ[5,4−b]ピリジン、チエノ[3,2−b]ピリジン、チアゾロ[4,5−b]ピリジン、イソチアゾロ[4,5−b]ピリジン、[1,2,3]チアジアゾロ[4,5−b]ピリジン、チエノ[2,3−c]ピリジン、チアゾロ[5,4−c]ピリジン、イソチアゾロ[5,4−c]ピリジン、[1,2,3]チアジアゾロ[5,4−c]ピリジン、チエノ[3,2−c]ピリジン、チアゾロ[4,5−c]ピリジン、イソチアゾロ[4,5−c]ピリジン、[1,2,3]チアジアゾロ[4,5−c]ピリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン(例えば、1,8−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,5−ナフチリジン、2,7−ナフチリジン、2,6−ナフチリジン)、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、1H−ピラゾロ[3,4−d]チアゾール、1H−ピラゾロ[4,3−d]チアゾールおよびイミダゾ[2,1−b]チアゾールが挙げられる。
【0026】
他の場合では、多環式ヘテロアリール基は、ヘテロアリール環と縮合している非芳香環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル)が含み得るが、ただし、該多環式ヘテロアリール基は親構造に該芳香環内の原子を介して結合するものとする。例えば、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−2−イル基(該部分は親構造に芳香族炭素原子を介して結合する)はヘテロアリール基とみなされるが、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−5−イル(該部分は親構造に非芳香族炭素原子を介して結合する)はヘテロアリール基とみなさない。非芳香環と縮合しているヘテロアリール環からなる多環式ヘテロアリール基の例は後で記載する。
【0027】
「ヘテロシクロアルキル」は、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子(例えば、1、2、3または4個のヘテロ原子)と、炭素である残りの環原子から構成される、表示した数の原子(例えば、3〜10または3〜7員のヘテロシクロアルキル)を有する非芳香族の完全飽和環を示す。ヘテロシクロアルキル基は単環式であっても多環式(例えば、二環式、三環式)であってもよい。ヘテロシクロアルキル基の例としては、オキシラニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルが挙げられる。ヘテロシクロアルキル環内に窒素が存在する場合、これは、隣接している原子および基の性質が許す場合には、酸化された状態(すなわち、N−O)で存在していてもよい。例としては、ピペリジニルN−オキシドおよびモルホリニル−N−オキシドが挙げられる。さらに、ヘテロシクロアルキル環内にイオウが存在する場合、これは、隣接している原子および基の性質が許す場合には、酸化された状態(すなわち、S−Oまたは−SO−)で存在していてもよい。例としては、チオモルホリンS−オキシドおよびチオモルホリンS,S−ジオキシドが挙げられる。また、多環式ヘテロシクロアルキル基のうちの1つの環が芳香族(例えば、アリールまたはヘテロアリール)であってもよいが、ただし、該多環式ヘテロシクロアルキル基は親構造に非芳香族の炭素または窒素原子を介して結合するものとする。例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル基(該部分は親構造に非芳香族窒素原子を介して結合する)はヘテロシクロアルキル基とみなされるが、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル基(該部分は親構造に芳香族炭素原子を介して結合する)はヘテロシクロアルキル基とみなさない。芳香環と縮合しているヘテロシクロアルキル基からなる多環式ヘテロシクロアルキル基の例は後で記載する。
【0028】
「ヘテロシクロアルケニル」は、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子(例えば、1、2、3または4個のヘテロ原子)と、炭素である残りの環原子から構成される、表示した数の原子を有し、かつ、対応するヘテロシクロアルキルの隣接し合う炭素原子、隣接し合う窒素原子または隣接し合う炭素原子と窒素原子から1分子の水素を除去することによって誘導される少なくとも1つの二重結合を有する、非芳香環(例えば、3〜10または3〜7員のヘテロシクロアルキル)を示す。ヘテロシクロアルケニル基は単環式であっても多環式(例えば、二環式、三環式)であってもよい。ヘテロシクロアルケニル環内に窒素が存在する場合、これは、隣接している原子および基の性質が許す場合には、酸化された状態(すなわち、N−O)で存在していてもよい。さらに、ヘテロシクロアルケニル環内にイオウが存在する場合、これは、隣接している原子および基の性質が許す場合には、酸化された状態(すなわち、S−Oまたは−SO−)で存在していてもよい。ヘテロシクロアルケニル基の例としては、ジヒドロフラニル(例えば、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル)、ジヒドロチオフェニル(例えば、2,3−ジヒドロチオフェニル、2,5−ジヒドロチオフェニル)、ジヒドロピロリル(例えば、2,3−ジヒドロ−1H−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1H−ピロリル)、ジヒドロイミダゾリル(例えば、2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾリル、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾリル)、ピラニル、ジヒドロピラニル(例えば、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、3,6−ジヒドロ−2H−ピラニル)、テトラヒドロピリジニル(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル)およびジヒドロピリジン(例えば、1,2−ジヒドロピリジン、1,4−ジヒドロピリジン)が挙げられる。また、多環式ヘテロシクロアルケニル基のうちの1つの環が芳香族(例えば、アリールまたはヘテロアリール)であってもよいが、ただし、該多環式ヘテロシクロアルケニル基は親構造に非芳香族炭素または窒素原子を介して結合するものとする。例えば、1,2−ジヒドロキノリン−1−イル基(該部分は親構造に非芳香族窒素原子を介して結合する)はヘテロシクロアルケニル基とみなされるが、1,2−ジヒドロキノリン−8−イル基(該部分は親構造に芳香族炭素原子を介して結合する)はヘテロシクロアルケニル基とみなさない。芳香環と縮合しているヘテロシクロアルケニル基からなる多環式ヘテロシクロアルケニル基の例は後で記載する。
【0029】
非芳香環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル)と縮合している芳香環(例えば、アリールまたはヘテロアリール)からなる多環式の環の例としては、インデニル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、テトラヒドロキノリニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル、インドリニル、イソインドリニル、2,3−ジヒドロ−1H−インダゾリル、2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾリル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル、1,3−ジヒドロベンゾ[c]イソオキサゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[d]イソオキサゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[b]チオフェニル、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェニル、1,3−ジヒドロベンゾ[c]イソチアゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[d]イソチアゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[d]チアゾリル、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d]チアゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾリル、5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d]チアゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロチアゾロ[5,4−c]ピリジニル、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、イソインドリン−1−オン、1,2−ジヒドロインダゾール−3−オン、1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オン、ベンゾフラン−2(3H)−オン、ベンゾフラン−3(2H)−オン、イソベンゾフラン−1(3H)−オン、ベンゾ[c]イソオキサゾール−3(1H)−オン、ベンゾ[d]イソオキサゾール−3(2H)−オン、ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン、ベンゾ[b]チオフェン−2(3H)−オン、ベンゾ[b]チオフェン−3(2H)−オン、ベンゾ[c]チオフェン−1(3H)−オン、ベンゾ[c]イソチアゾール−3(1H)−オン、ベンゾ[d]イソチアゾール−3(2H)−オン、ベンゾ[d]チアゾール−2(3H)−オン、4,5−ジヒドロピロロ[3,4−d]チアゾール−6−オン、1,2−ジヒドロピラゾロ[3,4−d]チアゾール−3−オン、キノリン−4(3H)−オン、キナゾリン−4(3H)−オン、キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン、キノキサリン−2(1H)−オン、キノキサリン−2,3(1H,4H)−ジオン、シンノリン−4(3H)−オン、ピリジン−2(1H)−オン、ピリミジン−2(1H)−オン、ピリミジン−4(3H)−オン、ピリダジン−3(2H)−オン、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−2(3H)−オン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−2(3H)−オン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2(3H)−オン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2(3H)−オン、1,2−ジヒドロピラゾロ[3,4−d]チアゾール−3−オンおよび4,5−ジヒドロピロロ[3,4−d]チアゾール−6−オンが挙げられる。本明細書において論考しているように、各環をアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル基とみなすかどうかは、該部分が親構造に結合するのに介する原子によって判断される。
【0030】
「アルコキシ」は、酸素橋(oxygen bridge)を介して結合される、表示した数の炭素原子のアルキル基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、2−ペンチルオキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシなどである。さらに、アルコキシ基は、同様に酸素橋を介して結合される、上で定義したシクロアルキル基を包含することが意図される。アルコキシ基は、通常、酸素橋を介して結合される、1〜6個の炭素原子を有するものである。「低級アルコキシ」は1〜4個の炭素を有するアルコキシ基をいう。
【0031】
用語「ハロ」にはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが包含され、用語「ハロゲン」にはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素が包含される。
【0032】
用語「置換されている」は、本明細書で用いる場合、指定した原子上または基上のいずれかの1個もしくは複数の水素が表示した群の選択肢で置き換えられていることを意味するが、ただし、指定した原子の通常の結合価を超えないものとする。置換基がオキソである場合は(すなわち、=O)、該原子上の2個の水素が置き換えられる。置換基および/または可変部の組合せは、かかる組合せによって安定な化合物または有用な合成中間体がもたらされる場合にのみ許容され得る。安定な化合物または安定な構造は、反応混合物からの単離、続く、少なくとも実用的有用性を有する剤としての製剤化に耐えるのに充分に頑強である化合物を意味することを意図する。特に記載のない限り、置換基の名称はコア構造に組み込まれる。例えば、(シクロアルキル)アルキルが可能な置換基として挙げられている場合、この置換基のコア構造との結合点はアルキル部分に存在することは理解されよう。
【0033】
用語「置換」アルキル(例えば、限定されないが低級アルキル)、シクロアルキル、アリール(例えば、限定されないがフェニル)、ヘテロシクロアルキル(例えば、限定されないがモルホリン−4−イル、3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル、インドリン−1−イル、3−オキソピペラジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、およびイソインドリン−2−イル)、ならびにヘテロアリール(例えば、限定されないがピリジニル)は、明白に定義していない限り、1個もしくは複数(例えば、5個まで、例えば、3個までなど)の水素原子が、
−R、−OR、−O(C〜Cアルキル)O−(例えば、メチレンジオキシ−)、−SR、グアニジン、グアニジン水素の1個もしくは複数が低級アルキル基で置き換えられているグアニジン、−NR、ハロ、シアノ、オキソ(ヘテロシクロアルキルの置換基として)、ニトロ、−COR、−CO、−CONR、−OCOR、−OCO、−OCONR、−NRCOR、−NRCO、−NRCONR、−SOR、−SO、−SONR、および−NRSOから独立して選択される置換基によって置き換えられているアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールをそれぞれいい、
ここで、Rは、任意選択的に置換されているC〜Cアルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル、および任意選択的に置換されているヘテロアリールから選択され;
は、H、任意選択的に置換されているC〜Cアルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル、および任意選択的に置換されているヘテロアリールから選択され;
は、水素、および任意選択的に置換されているC〜Cアルキルから選択されるか;あるいは
とRおよびこれらが結合している窒素が、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル基を形成しており;
ここで、任意選択的に置換されている基は、各々、非置換であるか、または独立して、C〜Cアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール−C〜Cアルキル−、ヘテロアリール−C〜Cアルキル−、C〜Cハロアルキル−、−OC〜Cアルキル、−OC〜Cアルキルフェニル、−C〜Cアルキル−OH、−C〜Cアルキル−O−C〜Cアルキル、−OC〜Cハロアルキル、ハロ、−OH、−NH、−C〜Cアルキル−NH、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−NH(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキルフェニル)、−NH(C〜Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールの置換基として)、−COH、−C(O)OC〜Cアルキル、−CON(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)、−CONH(C〜Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C〜Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C〜Cアルキル)C(O)(C〜Cアルキル)、−N(C〜Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C〜Cアルキル、−C(O)C〜Cフェニル、−C(O)C〜Cハロアルキル、−OC(O)C〜Cアルキル、−SO(C〜Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C〜Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C〜Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C〜Cアルキル)、−NHSO(フェニル)、および−NHSO(C〜Cハロアルキル)から独立して選択される1個もしくは複数(例えば、1個、2個または3個)の置換基で置換されている。
【0034】
用語「置換アルコキシ」は、構成要素のアルキルが置換されている(すなわち、−O−(置換アルキル))アルコキシをいい、ここで、「置換アルキル」は本明細書に記載のとおりである。また、「置換アルコキシ」は、グリコシド(すなわち、グリコシル基)およびアスコルビン酸の誘導体も包含している。
【0035】
用語「置換アミノ」は、基−NHRまたは−NRをいい、式中、各Rは、独立して、ヒドロキシ、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているアシル、アミノカルボニル、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているヘテロアリール、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されているアルコキシカルボニル、スルフィニルおよびスルホニル(各々、本明細書に記載のとおり)から選択されるが、ただし、1つだけのRはヒドロキシルであってもよいものとする。また、用語「置換アミノ」は、基−NHRおよびNR(各々、上記のとおり)のN−オキシドもいう。N−オキシドは、対応するアミノ基を、例えば、過酸化水素またはm−クロロペルオキシ安息香酸で処理することによって調製され得る。当業者は、N−酸化を行うための反応条件を熟知している。
【0036】
「アミノカルボニル」は、式−(C=O)(任意選択的に置換されているアミノ)の基を包含し、ここで、置換アミノは本明細書に記載のとおりである。
【0037】
「アシル」は、基(アルキル)−C(O)−;(シクロアルキル)−C(O)−;(アリール)−C(O)−;(ヘテロアリール)−C(O)−;および(ヘテロシクロアルキル)−C(O)−をいい、ここで、該基は親構造にカルボニル官能基を介して結合しており、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは本明細書に記載のとおりである。アシル基は表示した数の炭素原子を有するものであり、ケト基の炭素はその炭素原子の数に含める。例えば、Cアシル基は、式CH(C=O)−を有するアセチル基である。
【0038】
「アルコキシカルボニル」は、カルボニル炭素を介して結合する、式(アルコキシ)(C=O)−のエステル基を意図し、ここで、アルコキシ基は表示した数の炭素原子を有するものである。したがって、C〜Cアルコキシカルボニル基は、その酸素を介してカルボニル連結基に結合した1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基である。
【0039】
「アミノ」は、基−NHを意図する。
【0040】
用語「スルフィニル」は、基:−S(O)−(任意選択的に置換されている(C〜C)アルキル)、−S(O)−任意選択的に置換されているアリール)、−S(O)−任意選択的に置換されているヘテロアリール)、−S(O)−(任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル);および−S(O)−(任意選択的に置換されているアミノ)を包含する。
【0041】
用語「スルホニル」は、基:−S(O)−(任意選択的に置換されている(C〜C)アルキル)、−S(O)−任意選択的に置換されているアリール)、−S(O)−任意選択的に置換されているヘテロアリール)、−S(O)−(任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル)、−S(O)−(任意選択的に置換されているアルコキシ)、−S(O)−任意選択的に置換されているアリールオキシ)、−S(O)−任意選択的に置換されているヘテロアリールオキシ)、−S(O)−(任意選択的に置換されているヘテロシクリルオキシ);および−S(O)−(任意選択的に置換されているアミノ)を包含する。
【0042】
用語「置換アシル」は、基(置換アルキル)−C(O)−;(置換シクロアルキル)−C(O)−;(置換アリール)−C(O)−;(置換ヘテロアリール)−C(O)−;および(置換ヘテロシクロアルキル)−C(O)−をいい、ここで、該基は親構造にカルボニル官能基を介して結合しており、該置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルは本明細書に記載のとおりである。
【0043】
用語「置換アルコキシカルボニル」は、基(置換アルキル)−O−C(O)−をいい、ここで、該基は親構造にカルボニル官能基を介して結合しており、該置換されているアルキルは本明細書に記載のとおりである。
【0044】
「グリコシド」は、糖の酸素または窒素原子に結合した非糖基を含み、かつ加水分解されると該糖がもたらされるいくつかの糖誘導体の任意のものをいう。グリコシル基の一例はグルコシルである。
【0045】
「アスコルビン酸の誘導体」または「アスコルビン酸誘導体」は、アスコルビン酸の酸素または窒素原子に結合した非糖基を含み、かつ加水分解されるとアスコルビン酸(すなわち、(R)−5−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)−3,4−ジヒドロキシフラン−2(5H)−オン)がもたらされるいくつかの誘導体の任意のものをいう。
【0046】
「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、空間での原子の配置のされ方のみが異なる異性体である。「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体である。エナンチオマーのペアの1:1の混合物は「ラセミ」混合物である。ラセミ混合物の表示には適宜、記号「(±)」が使用され得る。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像でない立体異性体である。「メソ化合物」または「メソ異性体」は、光学活性でない構成員である立体異性体の組である。メソ異性体には2つまたは2つより多くの立体中心が含まれているがキラルではない(すなわち、分子内に対称面が存在する)。絶対立体化学は、Cahn−Ingold−Prelog R−Sシステムに従って明記される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各キラル炭素における立体化学は、RまたはSのいずれかによって明記され得る。絶対配置が未知である分割化合物は、ナトリウムD線の波長の平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)に応じて(+)または(−)と表示され得る。本明細書に開示および/または記載した化合物のうち特定のものは1つまたは複数の不斉中心を含むものであり、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、メソ異性体および他の立体異性体形態を生じさせ得る。特に記載のない限り、本明細書に開示および/または記載した化合物には、考えられ得るかかるすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、メソ異性体ならびに他の立体異性体形態(ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間体混合物など)が包含される。エナンチオマー、ジアステレオマー、メソ異性体および他の立体異性体形態は、キラルシントンもしくはキラル試薬を用いて調製されてもよく、慣用的な手法を用いて分割されてもよい。特に指定のない限り、本明細書に開示および/または記載した化合物が、オレフィン性二重結合または他の幾何学的不斉中心を含む場合、該化合物はEとZの両方の異性体を包含していることが意図されている。
【0047】
「互変異性体」は、互変異性化によって相互変換される構造的に相違する異性体である。互変異性化は、異性化の一形態であり、プロトトロピーまたはプロトンシフト互変異性化(これは、酸/塩基化学反応のサブセットとみなされている)が包含される。プロトトロピー互変異性化またはプロトンシフト互変異性化は、結合次数の変化に伴うプロトンの移動(多くの場合、単結合と隣接している二重結合との相互交換)を伴う。互変異性化が可能な場合(例えば、溶液中)、互変異性体の化学平衡に達し得る。互変異性化の一例はケト−エノール互変異性化である。ケト−エノール互変異性化の具体例は、ペンタン−2,4−ジオンおよび4−ヒドロキシペンタ−3−エン−2−オン互変異性体の相互変換である。互変異性化の別の例はフェノール−ケト互変異性化である。フェノール−ケト互変異性化の具体例は、ピリジン−4−オールおよびピリジン−4(1H)−オン互変異性体の相互変換である。本明細書に記載の化合物が互変異性化可能な部分を含むものである場合、特に指定のない限り、該化合物は考えられ得るすべての互変異性体を包含していることが意図される。
【0048】
本明細書に記載の化合物の薬学的に許容され得る形態としては、薬学的に許容され得る塩、プロドラッグ、およびその混合物が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグの形態である。
【0049】
「薬学的に許容され得る塩」としては、限定されないが、無機酸との塩、例えば、塩化水素酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、硝酸塩などの塩;ならびに有機酸との塩、例えば、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、およびアルカン酸塩(酢酸塩など)、HOOC−(CH−COOH(式中、nは0〜4である)などの塩が挙げられる。同様に、薬学的に許容され得るカチオンとしては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム、およびアンモニウムが挙げられる。
【0050】
また、本明細書に記載の化合物が酸付加塩として得られる場合、その遊離塩基は、該酸塩の溶液を塩基性化することにより得られ得る。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に、薬学的に許容され得る付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための慣用的な手順に従って、遊離塩基を適当な有機溶媒に溶解させ、この溶液を酸で処理することにより生成され得る。当業者には、無毒性の薬学的に許容され得る付加塩を調製するために使用され得る種々の合成方法論が認識されよう。
【0051】
用語「プロドラッグ」は、不活性形態またはあまり活性でない形態で投与され、その後(例えば、体内でのプロドラッグの代謝過程によって)活性化合物に変換される物質をいう。プロドラッグの投与の背後にある理論的根拠は、薬物の吸収、分布、代謝および/または排出を最適化することである。プロドラッグは、使用条件下(例えば、体内)で変換を受けて活性化合物(例えば、式Iの化合物または本明細書に開示および/または記載した別の化合物)を形成する、該活性化合物の誘導体を作製することにより得られ得る。プロドラッグの活性化合物への変換は、自然に(例えば、加水分解反応によって)進行し得るか、または、別の因子(例えば、酵素、光、酸もしくは塩基、および/または温度)によって触媒されても誘導されてもよい。該因子は、使用条件に対して内在性のものであってよい(例えば、プロドラッグが投与される細胞内に存在する酵素、または胃の酸性条件)か、または該因子は、外因的に供給されるものであってもよい。プロドラッグは、活性化合物内の1個もしくは複数の官能基を、別の官能基に変換することにより得られてもよく、上記別の官能基は、その後、体に投与されると元の官能基に変換し戻される。例えば、ヒドロキシル官能基はスルホナート、ホスファート、エステルまたはカルボナート基に変換され得、次いで、これらはインビボで加水分解され、ヒドロキシル基に戻り得る。同様に、アミノ官能基は、例えば、アミド、カルバマート、イミン、尿素、ホスフェニル、ホスホリルまたはスルフェニル官能基に変換され得、これらはインビボで加水分解され、アミノ基に戻り得る。カルボキシル官能基は、例えば、エステル(シリルエステルおよびチオエステルを含む)、アミドまたはヒドラジド官能基に変換され得、これらはインビボで加水分解され、カルボキシル基に戻り得る。プロドラッグの例としては、限定されないが、式Iの化合物および本明細書に開示および/または記載した他の化合物中に存在する官能基(例えば、アルコール基またはアミン基)のホスファート、アセタート、ホルマートおよびベンゾアート誘導体が挙げられる。
【0052】
本明細書に開示および/または記載した化合物は、富化された同位体形態、例えば、H、H、11C、13Cおよび/または14Cの含有量が富化されたものであってもよい。一実施形態では、該化合物は少なくとも1個の重水素原子を含むものである。かかる重水素化形態は、例えば、米国特許第5,846,514号および同第6,334,997号に記載された手順によって作製され得る。かかる重水素化化合物により、本明細書に開示および/または記載した化合物の有効性が改善され得、該化合物の作用持続期間が増大し得る。重水素置換化合物は、種々の方法、例えば、Dean,D.,Recent Advances in the Synthesis and Applications of Radiolabeled Compounds for Drug Discovery and Development,Curr.Pharm.Des.,2000;6(10);Kabalka,G.ら,The Synthesis of Radiolabeled Compounds via Organometallic Intermediates,Tetrahedron,1989,45(21),6601−21;およびEvans,E.,Synthesis of radiolabeled compounds,J.Radioanal.Chem.,1981,64(1−2),9−32に記載のものを用いて合成され得る。
【0053】
「溶媒和物」は、溶媒と化合物の相互作用によって形成されるものである。用語「化合物」は、該化合物の溶媒和物を包含することを意図する。同様に、「塩」は、該塩の溶媒和物を包含する。好適な溶媒和物は、水和物(例えば、一水和物および半水和物)などの薬学的に許容され得る溶媒和物である。
【0054】
「キレート」は、化合物が金属イオンに2つ(以上)の点で配位することによって形成されるものである。用語「化合物」は、該化合物のキレートを包含することを意図する。同様に、「塩」は該塩のキレートを包含する。
【0055】
「非共有結合性複合体」は、化合物と別の分子との相互作用によって形成されるものであるが、該化合物と分子との間に共有結合は形成されていない。例えば、複合体形成は、ファン・デル・ワールス相互作用、水素結合、および静電的相互作用(イオン結合とも称される)によって起こり得る。かかる非共有結合性複合体は、用語「化合物」に包含される。
【0056】
用語「水素結合」は、電気陰性原子(水素結合受容体としても知られている)と、第2の比較的電気陰性の原子(水素結合供与体としても知られている)に結合している水素原子との会合の一形態をいう。好適な水素結合の供与体および受容体は、医薬品化学において充分理解されている(G.C.PimentelおよびA.L.McClellan,The Hydrogen Bond,Freeman,San Francisco,1960;R.TaylorおよびO.Kennard,“Hydrogen Bond Geometry in Organic Crystals”,Accounts of Chemical Research,17,pp.320−326(1984))。
【0057】
「水素結合受容体」は、酸素または窒素を含む基、例えば、sp混成型である酸素もしくは窒素、エーテル酸素、またはスルホキシドもしくはN−オキシドの酸素をいう。
【0058】
用語「水素結合供与体」は、酸素、窒素、または環内窒素を含む水素基を有するヘテロ芳香族炭素もしくは環内窒素を含むヘテロアリール基をいう。
【0059】
本明細書で用いる場合、用語「基」、「原子団」または「断片」は同義的であり、官能基または結合もしくは他の分子断片に結合可能な分子断片を示すことを意図する。
【0060】
用語「活性剤」は、生物学的活性を有する物質を示すために用いられる。一部の実施形態では、「活性剤」は、医薬的有用性を有する物質である。例えば、活性剤は抗神経変性治療剤であり得る。
【0061】
「治療有効量」という用語は、ヒトまたは非ヒト被験体に投与すると、治療上の有益性(例えば、症状の改善、疾患進行の遅滞、または疾患の予防など)がもたらされるのに有効な量を意味する。例えば、治療有効量は、KMO活性の阻害に応答性である疾患の症状およびキヌレニン経路の代謝産物(キヌレニン、キヌレン酸、アントラニル酸、3−OH−キヌレニン、3−OHアントラニル酸、またはキノリン酸)のモジュレーションが低減されるのに充分な量であり得る。一部の実施形態では、治療有効量は、神経変性性の経路または疾患の症状が処置されるのに充分な量である。一部の実施形態では、治療有効量は、神経変性疾患の徴候または副作用が低減されるのに充分な量である。一部の実施形態では、治療有効量は、神経細胞死レベルの有意な増大が抑制されるか、または該レベルが有意に低減されるのに充分な量である。一部の実施形態では、治療有効量は、神経細胞死と関連しているQUINレベルの有意な増大が抑制されるか、または該レベルが有意に低減されるのに充分な量である。一部の実施形態では、治療有効量は、神経細胞の健常性と関連しているKYNAレベルの増大がもたらされるのに充分な量である。一部の実施形態では、治療有効量は、QUINレベルの低下およびKYNAレベルの増大と関連している鎮痙特性および神経保護特性が増大するのに充分な量である。一部の実施形態では、治療有効量は、体内での炎症過程(例えば、限定されないが、脳、脊髄、および末梢神経系または髄膜内での炎症)がモジュレートされるのに充分な量である。一部の実施形態では、治療有効量は、有効な免疫応答(例えば、IL−1βもしくはTNF−αなど)の高まり(mount)を担うサイトカインの生成がモジュレートされるのに充分な量、または末梢もしくは脳内の血液脳関門が障害された状態(例えば、多発性硬化症など)において単球/マクロファージの炎症促進性活性が影響を受けるのに充分な量である。
【0062】
また、神経変性障害を処置するための本明細書に記載の方法において、治療有効量は、患者に投与された場合に、神経変性(neurodegenative)疾患の進行を検出可能な程度に遅くするか、または本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが与えられる患者が神経変性疾患の症状を呈するのを予防するのに充分な量であり得る。また、神経変性疾患を処置するための本明細書に記載の一部の方法では、治療有効量は、神経細胞死のレベルの検出可能な減少がもたらされるのに充分な量であり得る。例えば、一部の実施形態では、治療有効量は、QUINの量の検出可能な減少およびキヌレニン、KYNAまたはアントラニル酸の量の増大を引き起こすことによって、ニューロン死のレベルを有意に低下させるのに充分な量である。
【0063】
また、量は、上記の基準または実験条件のうちの少なくとも1つをそれだけで特徴とする場合、異なる基準または実験条件の組の下での一貫性のない、または相反するあらゆる結果に関係なく、治療有効量であるとみなす。
【0064】
用語「阻害」は、生物学的活性または生物学的プロセスのベースライン活性の有意な低下を示す。「KMO活性の阻害」は、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの存在に対する直接的または間接的応答としてのKMO活性が、本明細書に記載の該少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの非存在下でのKMOの活性と比べて低下することをいう。該活性の低下は、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグとKMOとの直接的な相互作用によるもの、あるいは本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、ひいてはKMO活性に影響を及ぼす1つもしくは複数の他の因子との相互作用によるものであり得る。例えば、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの存在によって、KMOに直接結合することにより、(直接的もしくは間接的に)別の因子がKMO活性を低下させるようにすることにより、または(直接的もしくは間接的に)細胞内もしくは生物体内に存在するKMOの量を低減させることにより、KMO活性が減少し得る。
【0065】
「KMO活性の阻害」は、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの存在に対する直接的または間接的応答としてのKMO活性が、本明細書に記載の該少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの非存在下でのKMOの活性と比べて低下することをいう。該活性の低下は、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグとKMOまたはひいてはKMO活性に影響を及ぼす1つもしくは複数の他の因子との直接的な相互作用によるものであり得る。
【0066】
また、KMO活性の阻害は、標準的なアッセイ(後述するアッセイなど)における3−HKおよびQUINの産生の観察可能な阻害をいう。また、KMO活性の阻害は、KYNA産生の観察可能な増大をいう。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、1マイクロモル濃度未満であるかもしくは1マイクロモル濃度に等しいIC50値を有するものである。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、100マイクロモル濃度未満の値未満であるかもしくは100マイクロモル濃度未満の値に等しいIC50値を有するものである。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、10ナノモル濃度未満であるかもしくは10ナノモル濃度に等しいIC50値を有するものである。
【0067】
また、「KMO活性」は、1種もしくは複数種の種々のKMO膜結合タンパク質(例えば、ミトコンドリアに見られる受容体など)の活性化、再分布、再編成もしくはキャッピングも包含するか、または結合部位で再分布およびキャッピングが行われ得、これによりシグナル伝達が開始され得る。また、KMO活性によりキヌレニンのアベイラビリティがモジュレートされ得、これにより、QUIN、KYNA、アントラニル酸および/または3−HKの合成または生成が引き起こされ得る。
【0068】
「KMO活性の阻害に応答性である疾患」は、KMOの阻害によって治療上の有益性、例えば、症状の改善、疾患進行の低減、疾患発症の予防もしくは遅延、炎症応答の予防もしくは改善、または特定の細胞型(例えば、神経細胞など)の異常な活性および/または死滅の抑止がもたらされる疾患である。
【0069】
「処置」または「処置する」は、患者の疾患の任意の処置を意味し、その処置には、例えば、
a)疾患の予防、すなわち、疾患の臨床症状を発現させなくすること;
b)疾患進行の抑止;
c)臨床症状の発現の遅滞もしくは停止;および/または
d)疾患の軽減、すなわち、臨床症状の後退を引き起こすこと
が含まれる。
【0070】
「被験体」または「患者」は、処置、観察または実験の対象である、または対象となる動物(例えば、哺乳動物など)をいう。本明細書に記載の方法は、ヒトの治療と獣医学的用途のどちらにも有用であり得る。一部の実施形態では、被験体は哺乳動物であり、一部の実施形態では、被験体はヒトである。
【0071】
式I
【化3】
(式中、

【化4】
であり、
11はクロロであり、R12は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、低級アルキルもしくは低級アルコキシもしくはトリフルオロメチルで任意選択的に置換されているシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールおよび−Z−R20から選択され、ここで、
Zは、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−CR2122−、−OCR2122−、−CR2122O−、−NR23−、−NR23CR2122−、−CR2122NR23−、および−C(O)−から選択され、
21、R22、およびR23は、独立して水素、低級アルキル、ヒドロキシルおよび低級アルコキシから選択されるか、あるいはR21とR22が、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている3〜7員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成しており、
20は、水素、任意選択的に置換されているC〜Cアルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているヘテロアリール、および任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルから選択されるか、あるいは
20とR23が、これらが結合している窒素と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しているか、あるいは
11とR12が、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル環を形成しており;
13は水素またはハロであるか、あるいは
12とR13が、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しており;
Xは、−CR−および−NR−から選択され;
およびRは、独立して水素、任意選択的に置換されているアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシおよび任意選択的に置換されている低級アルキルから選択されるか、あるいはRとRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しており;
は、水素および任意選択的に置換されている低級アルキルから選択され;
Lは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R17)−、−C(O)N(OR16)−、−N(R17)S(O)−、−S(O)N(R17)−、−C(O)N(R17)−S(O)−、−C(=N−OR16)−および共有結合から選択され、ここで、
16は、水素および低級アルキルから選択され;
17は、水素および低級アルキルから選択されるか;あるいは
が、水素、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているヘテロアリール、任意選択的に置換されているシクロアルキル、および任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルから選択されるが;ただし、
Lが−C(O)N(R17)−である場合、Rもまたヒドロキシルまたは低級アルコキシであり得、
Lが−N(R17)S(O)−である場合、Rは水素ではなく、
Lが共有結合である場合、Rは、シアノ、任意選択的に置換されているヘテロアリール、および任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルから選択されるものとするか、あるいは
とR17が、これらが結合している窒素と一体となって、任意選択的に置換されている4〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しており、該環は、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されているアリールまたは任意選択的に置換されているヘテロアリール環と任意選択的に縮合しているか、あるいは
とRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しており;
およびRは、独立して水素、ハロ、任意選択的に置換されているアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシおよび任意選択的に置換されている低級アルキルから選択されるか、あるいは
とRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しているか、あるいは
とRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しているが、
ただし、Rが3−クロロフェニルまたは3,4−ジクロロフェニルであり、かつXが−CH−、−CF−、−CH(CH)−または−C(CH−である場合、−L−Rは−COOHでも、−CHOでも、−C(O)NHでも、−C(O)NHCHでも、−C(O)NHCH−フェニルでも、−C(O)NH−フェニルでも、−C(O)−NH(OH)でも、−C(O)NHSO−フェニルでも、−C(O)O−t−ブチルでも、−C(O)OCHでも、−C(O)−NH−CH(フェニル)−CHCHOHでもないものとする)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを提供する。
【0072】
一部の実施形態では、R12が、水素、クロロ、シクロプロピル、フラン−2−イル、フルオロ、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−3−イル、1H−ピロール−2−イル、トリフルオロメチル、および3−メチルオキセタン−3−イルから選択される。一部の実施形態では、R12がクロロである。
【0073】
一部の実施形態では、R12が−Z−R20である。一部の実施形態では、Zが−O−である。一部の実施形態では、Zが−S−である。一部の実施形態では、Zが−S(O)−である。一部の実施形態では、Zが−CR2122−である。一部の実施形態では、R20が、水素、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチル、(2R)−ブタン−2−イル、(2S)−ブタン−2−イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、イソプロピル、およびオキセタン−3−イルから選択される。
【0074】
一部の実施形態では、Rが、3−クロロフェニル、3−クロロ−4−(1−シクロプロポキシエチル)フェニル、3−クロロ−4−(1H−イミダゾール−2−イル)フェニル、3−クロロ−4−(1H−ピロール−2−イル)フェニル、3−クロロ−4−(1−メトキシシクロプロピル)フェニル、3−クロロ−4−(1−メチルシクロプロピル)フェニル、3−クロロ−4−(3−メチルオキセタン−3−イル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロパンスルフィニル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロパンスルホニル)フェニル、3−クロロ−4−シクロプロポキシ−フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロポキシメチル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノ)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロピルメチル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロピルメチル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロピルスルファニル)フェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、3−クロロ−4−(フラン−2−イル)フェニル、3−クロロ−4−イソプロポキシ−フェニル、3−クロロ−4−メチル−フェニル、3−クロロ−4−(オキセタン−3−イルオキシ)フェニル、3−クロロ−4−(オキセタン−3−イルオキシ)フェニル、3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イル)フェニル、3−クロロ−4−(ピロリジン−3−イル)フェニル、3−クロロ−4−tert−ブチル−フェニル、3−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル、3−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3−クロロ−4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル、3−クロロ−4−[1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル、3−クロロ−4−[シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]フェニル、3−クロロ−4−[シクロプロピル(メチル)アミノ]フェニル、3−クロロ−4−シクロプロパンカルボニルフェニル、3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル、3−クロロ−4−シクロプロピルフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−フルオロフェニル、3−フルオロ−4−クロロ−フェニル、3−フルオロ−4−シクロプロポキシ−フェニル、3−フルオロ−4−イソプロポキシ−フェニル、3−フルオロ−4−メチル−フェニル、3−フルオロ−4−tert−ブチル−フェニル、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、4−(アジリジン−1−イルメチル)−3−クロロフェニル、4−[(2R)−ブタン−2−イルオキシ]−3−クロロフェニル、4−[(2S)−ブタン−2−イルオキシ]−3−クロロフェニル、および4−tert−ブチル−3−クロロフェニルから選択される。
【0075】
一部の実施形態では、R11とR12が、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル環を形成している。
【0076】
一部の実施形態では、R12とR13が、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成している。
【0077】
一部の実施形態では、Rが、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−6−イル(これらの各々は、ハロ、任意選択的に置換されている低級アルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されているヘテロアリール、-OR12、-NR1213、-SR12、-SOR11、-SO11、および-COR12から独立して選択される1個、2個または3個の基で任意選択的に置換されている)から選択される。
【0078】
一部の実施形態では、Rが、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−6−イル(これらの各々は、ハロおよび低級アルキルから独立して選択される1個、2個または3個の基で任意選択的に置換されている)から選択される。
【0079】
一部の実施形態では、Rが、7−クロロ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、7−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、7−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、8−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、7−クロロ−2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル、7−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、7−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、4−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−6−イルおよび4−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−6−イルから選択される。
【0080】
一部の実施形態では、Rが、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル(これらの各々は、ハロ、任意選択的に置換されている低級アルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されているヘテロアリール、−OR12、−NR1213、−SR12、−SOR11、−SO11、および−COR12から独立して選択される1個、2個または3個の基で任意選択的に置換されている)から選択される。一部の実施形態では、Rが、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル(これらの各々は、ハロおよび低級アルキルから独立して選択される1個、2個または3個の基で任意選択的に置換されている)から選択される。一部の実施形態では、Rが、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2,2−ジフルオロ−2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、7−クロロ−2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、7−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、および7−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イルから選択される。
【0081】
一部の実施形態では、Xが−CR−である。一部の実施形態では、Rが、水素、ヒドロキシル、低級アルコキシ、1個もしくは複数のアルキル基で任意選択的に置換されているアミノ、ならびにハロ、ヒドロキシル、低級アルコキシ、および1個もしくは複数のアルキル基で任意選択的に置換されているアミノから独立して選択される1個もしくは複数の基で任意選択的に置換されている低級アルキルから選択される。一部の実施形態では、Rが、水素、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、アミノメチル、(メチルアミノ)メチル、および(ジメチルアミノ)メチルから選択される。一部の実施形態では、Rが水素および低級アルキルから選択される。一部の実施形態では、Rが水素およびメチルから選択される。一部の実施形態では、Rがメチルであり、Rが水素である。一部の実施形態では、RとRがメチルである。一部の実施形態では、RとRが水素である。
【0082】
一部の実施形態では、RとRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている5員もしくは6員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル環を形成している。一部の実施形態では、RとRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されているシクロペンチルまたは任意選択的に置換されているピロリジン−3−イルを形成している。一部の実施形態では、RとRが、これらが結合している炭素と一体となって、シクロペンチルまたはピロリジン−3−イルを形成している。
【0083】
一部の実施形態では、Xが−NR−である。一部の実施形態では、Rがメチル、エチルまたは水素である。一部の実施形態では、Rが水素である。
【0084】
一部の実施形態では、Lが、−C(O)O−、−C(O)N(R17)−および共有結合から選択される。
【0085】
一部の実施形態では、Lが−C(O)O−である。一部の実施形態では、Lが−C(O)O−であり、Rが、水素、任意選択的に置換されているアルキル、および任意選択的に置換されているフェニルから選択される。一部の実施形態では、Lが−C(O)O−であり、Rが、水素、およびヒドロキシル、アミノ、(アルキル)アミノまたは(ジアルキル)アミノで任意選択的に置換されている低級アルキルから選択される。
【0086】
一部の実施形態では、Lが−C(O)N(R17)−である。一部の実施形態では、Lが−C(O)N(R17)−であり、R17が水素である。一部の実施形態では、Lが−C(O)N(R17)−であり、Rが、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシルで任意選択的に置換されている、アルキル、およびフェニルから選択される。一部の実施形態では、Lが−C(O)N(R17)−であり、Rが、水素およびヒドロキシルから選択される。一部の実施形態では、Lが−C(O)N(R17)−であり、Rが水素である。一部の実施形態では、Lが−C(O)N(R17)−であり、RとR17が、これらが結合している窒素と一体となって、任意選択的に置換されている4〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成している。
【0087】
一部の実施形態では、Lが共有結合である。一部の実施形態では、Lが共有結合であり、Rが、シアノおよび任意選択的に置換されているヘテロアリールから選択される。一部の実施形態では、Lが共有結合であり、Rが、1,2,3,4−テトラゾール−5−イルおよび4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−5−オン−3−イルから選択される。
【0088】
一部の実施形態では、Rが、水素、アミノメチル、メトキシメチル、メチル、1−アミノエチル、1−メトキシ−エチル、メトキシ、およびハロから選択される。一部の実施形態では、Rがメチルである。一部の実施形態では、Rが水素である。
【0089】
一部の実施形態では、RとRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成している。一部の実施形態では、RとRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル環を形成している。一部の実施形態では、RとRが、いずれかの介在原子と一体となって、2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル環を形成している。
【0090】
一部の実施形態では、Rが、水素、メチル、アミノ、アミノメチルおよびメチルアミノメチルから選択される。一部の実施形態では、Rが水素である。
【0091】
一部の実施形態では、RとRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成している。一部の実施形態では、RとRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成している。一部の実施形態では、RとRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5員のヘテロシクロアルキル環であって、1個の窒素を含有しているヘテロシクロアルキル環を形成している。
【0092】
また、表1、表2、表3、表4および表5から選択される化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表2-1】
【表2-2】
【表3-1】
【表3-2】
【表4】
【表5】
【0093】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを得るための方法は当業者に自明であり、好適な手順は、例えば、以下の実施例および本明細書中で挙げた参考文献に記載されている。
【0094】
KMOの触媒活性の阻害方法であって、前記KMOを有効量の本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと接触させることを含む方法を提供する。
【0095】
また、KMO活性によって媒介される状態または障害の処置を、かかる処置を必要とする被験体において行う方法であって、該被験体に治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。
【0096】
また、KMO活性によって媒介される神経変性病態(neurodegenerative pathology)の処置を、かかる処置を必要とする被験体において行う方法であって、該被験体に治療有効量の本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。
【0097】
また、3−OH−KYN、QUINおよび/またはKYNAの存在によって(または該存在によって少なくとも一部)媒介される障害の処置方法を提供する。また、脳内でのQUIN、3−OH−KYNの合成の増大またはGLUの放出の増大が関与しており、ニューロンの損傷が引き起こされ得る変性性または炎症性の状態の処置方法を提供する。
【0098】
かかる疾患としては、例えば、ハンティングトン病および他のポリグルタミン障害(例えば、脊髄小脳失調など)、神経変性疾患、精神系または(of)神経系の疾患または障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性(amyotropic)側索硬化症、クロイツフェルト−ヤーコブ病、外傷誘発性神経変性、高圧神経症候群、ジストニー、オリーブ橋小脳萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、癲癇、卒中の結果、脳虚血、虚血性障害、例えば、卒中(局所的虚血)、低酸素症、多発梗塞性認知症、脳の外傷または損傷の結果、脊髄に対する損傷、認知症(例えば、老人性認知症およびAIDS認知症複合など)、AIDS誘発性脳症、他の感染関連脳症、ウイルスまたは細菌性髄膜炎、ウイルス、細菌および他の寄生生物によって引き起こされる感染性疾患、例えば、一般的な中枢神経系(例えば、CNS)感染症(ウイルス、細菌または寄生生物によるものなど)、例えば、灰白髄炎、ライム病(ボレリア・ブルグドルフェリ感染)敗血症性ショック、ならびにマラリア、癌、大脳機能局在、肝性脳症、全身性狼瘡、無痛覚症およびアヘン剤離脱症状を伴う癌、摂食行動、精神障害、例えば、不眠症、鬱、統合失調症、作業記憶における重度の欠陥、長期記憶保持における重度の欠陥、認知低下、注意における重度の欠陥、実行機能における重度の欠陥、情報処理の遅滞(sloweness)、神経活動の遅滞、不安、全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、対人恐怖症、演奏不安、外傷後ストレス障害、急性ストレス反応、適応反応、分離不安障害、アルコール離脱不安、うつ病性障害、発育脳または老齢脳の障害、糖尿病およびその合併症、ツレット症候群、ぜい弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、思考や感情、言語および他人と関わる能力において重度および広汎性の障害を引き起こす障害、気分障害、情動状態の異常を特徴とする心理的障害、例えば限定されないが、双極性障害、単極性うつ病、大うつ病、内因性(ondougenous)うつ病、退行期うつ病、反応性抑うつ、心因性うつ病、基礎疾患(underlying medical condition)によって引き起こされるうつ病、うつ病性障害、循環病、気分変調性障害、全身病状(general medical condition)による気分障害、特定不能な気分障害ならびに物質誘発性気分障害が挙げられる。また、かかる疾患としては、例えば、急性壊死性膵炎、AIDS(疾患)、無痛覚症、無菌性髄膜炎、脳疾患、例えば、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、アスペルガー症候群、レット症候群、広汎発達障害、加齢に伴う脳疾患および発育脳疾患、燃え尽き症候群、一酸化炭素中毒、心停止または心不全および出血性ショック(全脳虚血)、白内障形成および目の加齢、中枢神経系の疾患、脳血管疾患、慢性疲労症候群、慢性ストレス、認知障害、痙攣性障害(例えば、大発作および小発作の異型ならびに複合発生型癲癇など)、真性糖尿病、神経系の疾患(例えば、ジスキネジー、L−DOPA誘導性運動障害、薬物中毒、疼痛および白内障)、薬物依存、薬物離脱症状、摂食障害、ギラン−バレー症候群および他の神経障害(neurophaties)、肝性脳症、免疫疾患、免疫性(immunitary)障害および生物学的応答の改良を目的とした治療的処置(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンの投与)、炎症(全身性炎症応答症候群)、中枢および/または末梢神経系の炎症性障害、傷害(外傷、多発外傷)、精神障害および行動障害、代謝疾患、炎症性疼痛、神経障害性(neurophathic)疼痛または片頭痛、異痛症、痛覚過敏症疼痛、幻想痛、糖尿病性神経障害に関連する神経障害性(neurophatic)疼痛の群から選択される疼痛疾患または障害、多臓器不全、溺水、壊死、脳の新生物、新生物性障害、例えば、リンパ腫および他の悪性血液障害、神経系の疾患(高圧神経症候群、感染)、ニコチン中毒および他の中毒性障害、例えば、アルコール依存症、大麻、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、モルヒネおよびコカイン依存、食欲の変化、睡眠障害、睡眠パターンの変化、エネルギー欠乏、疲労、自尊心(self steem)の低下、不相応な罪に対する自責、死または自殺の頻繁な思考、自殺行為の計画または試行、絶望および無価値の感情、精神運動の煽動または遅滞、思考、集中または決定する能力の低下(神経保護剤として)、疼痛、外傷後ストレス障害、敗血症、脊髄疾患、脊髄小脳性運動失調、全身性エリテマトーデス、脳および脊髄に対する外傷性損傷、ならびに振せん症候群および種々の運動障害(ジスキネジー)も挙げられる。バランス不良、運動緩徐(brakykinesia)、硬直、振せん、話法の変化、顔の表情の喪失、小字症、嚥下困難、流涎、認知症、錯乱、恐怖、性的機能不全、言語障害、決定力の欠陥、激しい発狂、攻撃性、幻覚、感情鈍麻、抽象的思考の欠陥。
【0099】
かかる疾患としては、例えば心血管疾患が挙げられ、これは、心臓および循環器系の疾患および障害をいう。これらの疾患は、多くの場合、異常リポ蛋白血症および/または脂質異常症を伴う。心血管疾患としては、限定されないが、心臓肥大、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、ならびにうっ血性心不全、冠状動脈性心臓病、高血圧症および低血圧症が挙げられる。
【0100】
他のかかる疾患としては、種々の組織および器官の細胞が異常なパターンの成長、増殖、遊走、シグナル伝達、配列および死を示す良性または悪性挙動の過剰増殖性疾患が挙げられる。一般的に、過剰増殖性(hyperpoliferative)疾患は、制御不能な細胞増殖を伴う疾患および障害をいい、限定されないが、癌および良性腫瘍をもたらす器官および組織細胞の制御不能な成長が挙げられる。内皮細胞と関連している過剰増殖性障害は、血管新生疾患、例えば、血管腫、子宮内膜症、肥満、加齢性黄斑変性および種々の網膜症、ならびにアテローム性動脈硬化の処置におけるステント留置の結果として再狭窄を引き起こすECおよび平滑筋細胞の増殖をもたらすことがあり得る。線維芽細胞が関与している過剰増殖性障害(すなわち、線維形成)としては、限定されないが、過剰瘢痕化(scaring)障害(disorer)(すなわち、線維症)、例えば、加齢性黄斑変性、心筋梗塞に伴う心臓リモデリングおよび心不全、過度な創傷治癒、例えば、手術または負傷、ケロイドおよび類線維腫ならびにステンド留置の結果として一般的に生じるものが挙げられる。
【0101】
さらなる疾患としては、移植片拒絶(T細胞の抑制)および対宿主性移植片病、慢性腎臓疾患、全身性炎症性障害、脳の炎症性障害、例えば、マラリアおよびアフリカトリパノソーマ症、卒中、ならびに肺炎球菌髄膜炎が挙げられる。
【0102】
また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが被験体に投与される唯一の活性剤である処置方法を提供し、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが1種もしくは複数種のさらなる活性剤と併せて被験体に投与される処置方法も含む。
【0103】
一般に、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、治療有効量で、同様の有用性をもたらす剤に許容された任意の投与様式のいずれかによって投与される。該化合物(すなわち、活性成分)の実際の量は、数多くの要素、例えば、処置対象の疾患の重症度、被験体の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力、投与の経路および形態、ならびに当業者によく知られた他の要素に依存する。該薬物は、1日少なくとも1回(例えば、1日1回または2回など)で投与され得る。
【0104】
一部の実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは医薬組成物として投与される。したがって、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを、担体、佐剤および賦形剤から選択される少なくとも1種類の薬学的に許容され得るビヒクルと一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0105】
薬学的に許容され得るビヒクルは、処置対象の動物への投与に適したものであるためには、充分に高い純度および充分に低い毒性のものでなければならない。ビヒクルは、不活性なものであってもよく、医薬的有益性を有するものであってもよい。本明細書に記載の上記1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグとともに使用されるビヒクルの量は、本明細書に記載の該化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの単位用量ごとに実用的な投与物質の量がもたらされるのに充分な量である。
【0106】
例示的な薬学的に許容され得る担体またはその成分は、糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロースなど);デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプンなど);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびメチルセルロースなど);粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;固形滑沢剤(例えば、ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムなど);硫酸カルシウム;合成油;植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、およびコーン油など);ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなど);アルギン酸;リン酸緩衝溶液;乳化剤(例えば、TWEENなど);湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど);着色剤;フレーバー剤;錠剤形成剤;安定剤;酸化防止剤;保存料;パイロジェンフリー水;等張性生理食塩水;ならびにリン酸緩衝溶液である。
【0107】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの活性を実質的に妨げない任意選択の活性剤を医薬組成物に含めてもよい。
【0108】
有効濃度の本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを、適当な薬学的に許容され得るビヒクルと混合する。本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが示す溶解性が不充分な場合は、化合物を可溶化させるための方法を使用してもよい。かかる方法は、当業者に知られており、限定されないが、共溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)など)の使用、界面活性剤(例えば、TWEENなど)の使用、または重炭酸ナトリウム水溶液中への溶解が挙げられる。
【0109】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを混合または添加したとき、得られる混合物は液剤、懸濁剤、乳剤などであり得る。得られる混合物の形態は、いくつかの要素、例えば、意図される投与様式および選択されたビヒクルへの、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの溶解性に依存する。処置される疾患の症状を改善するのに充分な有効濃度は経験的に決定され得る。
【0110】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、経口、非経口、静脈内、筋肉内注射、吸入またはスプレー、舌下、経皮、口腔内投与、経直腸により、局所的に、眼科用液剤として、または他の手段によって、単位投薬製剤にて投与され得る。
【0111】
医薬組成物は、経口使用のために、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性の懸濁剤、分散性の散剤もしくは顆粒剤、乳剤、硬質もしくは軟質のカプセル剤、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤などに製剤化され得る。経口使用が意図される医薬組成物は、医薬組成物の製造のための当該技術分野で知られた任意の方法に従って調製され得、かかる組成物には、医薬として美的で口当たりのよい調製物を得るために甘味剤、フレーバー剤、着色剤および保存剤などの1種もしくは複数種の剤が含有され得る。一部の実施形態では、経口医薬組成物には、0.1〜99%の本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが含有される。一部の実施形態では、経口医薬組成物には、少なくとも5%(重量%)の本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが含有される。一部の実施形態では、25%〜50%または5%〜75%の本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが含有される。
【0112】
また、経口投与される医薬組成物としては、液状の液剤、乳剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、シロップ剤なども挙げられる。かかる組成物の調製に適した薬学的に許容され得る担体は、当該技術分野でよく知られている。経口医薬組成物には、保存料、フレーバー剤、甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリンなど)、矯味剤、および着色剤が含有され得る。
【0113】
シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および懸濁剤用の担体の典型的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液状スクロース、ソルビトールおよび水が挙げられる。シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースとともに製剤化され得る。また、かかる医薬組成物には粘滑剤が含有されることもあり得る。
【0114】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、経口液状調製物、例えば、水性もしくは油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤またはエリキシル剤などに組み込まれ得る。さらに、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物は、使用前に水または他の適当なビヒクルを用いる構成用の乾燥製品として提示してもよい。かかる液状調製物には、慣用的な添加剤、例えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖、シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、および水添食用脂)、乳化剤(例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート(monsoleate)、またはアカシア)、非水性ビヒクル(食用油(例えば、アーモンド油、分別ココナッツ油、シリルエステル、プロピレングリコールおよびエチルアルコール)が挙げられ得る)、ならびに保存料(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピルおよびソルビン酸)が含有され得る。
【0115】
懸濁剤では、典型的な懸濁化剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC−591、トラガカントおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられ;典型的な湿潤剤としては、レシチンおよびpolysorbate 80が挙げられ;典型的な保存料としては、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムが挙げられる。
【0116】
水性懸濁剤には、活性物質(1種類または複数種)が、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合された状態で含有される。かかる賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム;分散剤または湿潤剤であり、天然に存在しているホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールから得られる部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトール代用物など)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られる部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタン代用物)であってもよい。また、水性懸濁剤には、1種もしくは複数種の保存料、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピルが含有され得る。
【0117】
油性懸濁剤は、活性成分を植物油、例えば、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油、または鉱油(例えば、液状パラフィン)中に懸濁させることにより製剤化され得る。油性懸濁剤には、増粘剤、例えば、蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールが含有され得る。口当たりのよい経口調製物を得るために甘味剤(例えば、上記のものなど)およびフレーバー剤を添加してもよい。このような医薬組成物は、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸など)を添加することによって保存され得る。
【0118】
また、医薬組成物は、水中油型の乳剤の形態であってもよい。油相は、植物油(例えば、オリーブ油もしくはピーナッツ油)、または鉱油(例えば、液状パラフィン)またはこれらの混合であり得る。好適な乳化剤は、天然に存在しているゴム(例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴム)、天然に存在しているホスファチド(例えば、ダイズおよびレシチン)、ならびに脂肪酸とヘキシトール無水物から得られるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、ならびに前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。
【0119】
水を添加することによる水性懸濁剤の調製に適した分散性の散剤および顆粒剤では、活性成分が、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1種もしくは複数種の保存料と混合された状態で提供される。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、既に上で挙げたものが例示される。
【0120】
錠剤には、典型的には、薬学的に許容され得る慣用的な佐剤が、不活性な希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトースおよびセルロース);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンおよびスクロースなど);崩壊剤(例えば、デンプン、アルギン酸およびクロスカルメロースなど);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクなど)として含まれる。粉末混合物の流動特性を改善するために流動促進剤(例えば、二酸化ケイ素など)を使用してもよい。見栄えのために着色剤(例えば、FD&C色素など)を添加してもよい。甘味料およびフレーバー剤(例えば、アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、およびフルーツフレーバーなど)は、チュアブル錠に有用な佐剤であり得る。カプセル剤(例えば、時限放出および徐放製剤)には、典型的には、上で開示した1種もしくは複数種の固形希釈剤が含まれる。担体成分の選択は、多くの場合、味、コストおよび貯蔵安定性などの二次的考慮事項に依存する。
【0121】
また、かかる医薬組成物を、慣用的な方法によって、典型的にはpH依存性または時間依存性コーティングで、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが所望の局所的適用の近くで胃腸管にて放出されるように、または種々の時点で放出されて所望の作用を延ばすようにコーティングしてもよい。かかる投薬形態には、典型的には、限定されないが、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックスおよびシェラックのうちの1種もしくは複数種が含まれる。
【0122】
また、経口使用のための医薬組成物は、硬質ゼラチンカプセル剤として提示してもよく(この場合、活性成分は、不活性な固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される)、軟質ゼラチンカプセル剤として提示してもよい(この場合、活性成分は、水または油性媒体、例えば、ピーナッツ油、液状パラフィンもしくはオリーブ油と混合される)。
【0123】
医薬組成物は、滅菌された水性または油性の注射用懸濁剤の形態であってもよい。この懸濁剤は、上に記載した適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、既知技術に従って製剤化され得る。また、滅菌された注射用調製物は、非経口に許容され得る無毒性のビヒクル中の滅菌された注射用の液剤または懸濁剤(例えば、1,3−ブタンジオールでの液剤)であってもよい。中でも、使用されてもよい許容され得るビヒクルは、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液である。また、滅菌された固定油は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に使用されている。この目的には、任意の無刺激性の固定油、例えば、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドが使用され得る。また、脂肪酸(例えば、オレイン酸など)は注射可能物質の調製に有用であり得る。
【0124】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、滅菌された媒体にて非経口投与され得る。非経口投与としては、皮下注射、静脈内、筋肉内、髄腔内注射または注入手法が挙げられる。本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、使用されるビヒクルおよび濃度に応じて、ビヒクルに懸濁させるか、または溶解させるかのいずれかであり得る。好都合には、局所麻酔薬、保存料および緩衝剤などの佐剤をビヒクルに溶解させるのがよい。非経口投与のための多くの医薬組成物では、担体は、組成物全体の少なくとも90重量%を構成する。一部の実施形態では、非経口投与のための担体は、プロピレングリコール、オレイン酸エチル、ピロリドン、エタノール、およびゴマ油から選択される。
【0125】
また、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを、薬物の経直腸投与のための坐剤の形態で投与してもよい。このような医薬組成物は、該薬物を、常温では固形であるが直腸温度では液状であり、したがって直腸内で融解して該薬物を放出する適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製され得る。かかる物質としては、ココアバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0126】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、局部的または局所的適用のため、例えば、皮膚および粘膜(眼内)への局所的適用のために、ゲル剤、クリーム剤およびローション剤の形態で、ならびに目への適用のために製剤化され得る。局所的医薬組成物は、例えば、液剤、クリーム剤、軟膏、ゲル剤、ローション剤、乳状液、洗浄剤、保湿剤、スプレー剤、皮膚貼付剤などの任意の形態であり得る。
【0127】
かかる液剤は、適切な塩と共に0.01%〜10%の等張性液剤(pH5〜7)として製剤化され得る。また、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、経皮投与のために経皮パッチとして製剤化してもよい。
【0128】
本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを含む局所的医薬組成物は、当該技術分野でよく知られたさまざまな担体物質、例えば、水、アルコール、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンAおよびE油、鉱油、プロピレングリコール、PPG−2ミリスチルプロピオネートなどと混合され得る。
【0129】
局所用担体における使用に適した他の物質としては、例えば、エモリエント剤、溶媒、保湿剤、増粘剤および粉末剤が挙げられる。単一で、または1種もしくは複数種の物質の混合物として使用され得るこれらの各型の物質の例は、以下のとおりである。
【0130】
代表的なエモリエント剤としては、ステアリルアルコール、モノリシンオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ−n−ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ココナッツ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノレン酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、およびミリスチン酸ミリスチルが挙げられる;噴射剤(例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、および亜酸化窒素など);溶媒(例えば、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなど);保湿剤(例えば、グリセリン、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、およびゼラチンなど);ならびに粉末剤(例えば、胡粉、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ゴム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾されたケイ酸マグネシウムアルミニウム、有機修飾されたモンモリロナイトクレイ、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびエチレングリコールモノステアレートなど)。
【0131】
また、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、リポソーム送達系、例えば、小型の単層小胞、大型の単層小胞および多層小胞の形態で局所投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどのさまざまなリン脂質から形成され得る。
【0132】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの全身性送達を達成するのに有用な他の医薬組成物としては、舌下、口腔内および経鼻投薬形態が挙げられる。かかる医薬組成物には、典型的には、可溶性充填剤物質(例えば、スクロース、ソルビトールおよびマンニトールなど)、ならびに結合剤(例えば、アカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)のうちの1種もしくは複数種が含まれる。また、上で開示した流動促進剤、滑沢剤、甘味料、着色料、酸化防止剤およびフレーバー剤を含めてもよい。
【0133】
吸入用の医薬組成物は、典型的には、乾燥粉末剤として投与され得る液剤、懸濁剤もしくは乳剤の形態、または慣用的な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタンもしくはトリクロロフルオロメタン)を用いるエーロゾル剤の形態で提供され得る。
【0134】
また、医薬組成物に、任意選択で活性促進剤を含めてもよい。活性促進剤は、種々の様式で促進機能を果たすか、または本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの治療効果とは独立している多種多様な分子から選択され得る。活性促進剤の具体的な類型としては、皮膚浸透促進剤および吸収促進剤が挙げられる。
【0135】
また、医薬組成物に、さらなる活性剤を含有させてもよく、該剤は、種々の様式で本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの治療効果を向上させる機能を果たし得る多種多様な分子から選択され得る。このような任意選択の他の活性剤は、存在させる場合は、典型的には、医薬組成物中に0.01%〜15%の範囲のレベルで使用される。一部の実施形態では、該組成物の0.1重量%〜10重量%を含める。他の実施形態では、該組成物の0.5重量%〜5重量%を含める。
【0136】
また、パッケージ化医薬組成物を提供する。かかるパッケージ化組成物は、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物と、被験体(典型的には、ヒト患者)を処置するために該組成物を使用するための使用説明書を含むものである。一部の実施形態では、使用説明書は、キヌレニン3−モノオキシゲナーゼ活性によって媒介される状態または障害に苦しんでいる被験体を処置するために該医薬組成物を使用するためのものである。パッケージ化医薬組成物には、処方情報を;例えば、患者もしくは保険医療提供者に、またはパッケージ化医薬組成物におけるラベル表示として提供することが包含され得る。処方情報としては、例えば、有効性、投薬量および投与、医薬組成物に関する禁忌および有害反応情報が挙げられ得る。
【0137】
前述のすべてにおいて、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは単独で投与しても、混合物として投与しても、他の活性剤と併用して投与してもよい。
【0138】
本明細書に記載の方法としては、ハンティングトン病の処置のための方法(ハンティングトン病と関連している記憶障害および/または認知障害の処置を含む)であって、被験体に、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、ハンティングトン病の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる剤(例えば、限定されないが、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン(Despiramine)、ノルトリプチリン、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン(Setraline)、テトラベナジン(Terabenazine)、ハロペリドール、クロロプロマジン、チオリダジン、スルピリド(Sulpride)、クエチアピン、クロザピンおよびリスペリドンなど)とを同時または逐次投与することを含む方法が挙げられる。同時投与が使用される方法では、該剤を併用される組成物内に存在させてもよく、別々に投与してもよい。その結果、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、ハンティングトン病の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、テトラベナジン、ハロペリドール、クロロプロマジン、チオリダジン、スルピリド、クエチアピン、クロザピンおよびリスペリドンなど)とを含む医薬組成物もまた提供する。同様に、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物と、ハンティングトン病の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、テトラベナジン、ハロペリドール、クロロプロマジン、チオリダジン、スルピリド、クエチアピン、クロザピンおよびリスペリドンなど)を含む別の組成物とを含むパッケージ化医薬組成物も提供する。
【0139】
また、パーキンソン病の処置のための方法(パーキンソン病と関連している記憶障害および/または認知障害の処置を含む)であって、被験体に、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、パーキンソン病の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる剤(例えば、限定されないが、レボドパ、パーロデル、ペルマックス、ミラペックス、タスマール、コンタン(Contan)、ケマジン(Kemadin)、アーテン、およびコゲンチンなど)とを同時または逐次投与することを含む方法を提供する。同時投与が使用される方法では、該剤を併用される組成物内に存在させてもよく、別々に投与してもよい。また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、パーキンソン病の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、レボドパ、パーロデル、ペルマックス、ミラペックス、タスマール、コンタン、ケマジン、アーテン、およびコゲンチンなど)とを含む医薬組成物を提供する。また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物と、パーキンソン病の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、レボドパ、パーロデル、ペルマックス、ミラペックス、タスマール、コンタン、ケマジン、アーテン、およびコゲンチンなど)を含む別の組成物とを含むパッケージ化医薬組成物を提供する。
【0140】
また、アルツハイマー病と関連している記憶障害および/または認知障害の処置のための方法であって、被験体に、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、アルツハイマー病の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる剤(例えば、限定されないが、レミニール、コグネックス(Cognex)、アリセプト、イクセロン、アカチノール、ネオトロピン、エルデプリル、エストロゲンおよびクリオキノール(Cliquinol)など)とを同時または逐次投与することを含む方法を提供する。同時投与が使用される方法では、該剤を併用される組成物内に存在させてもよく、別々に投与してもよい。また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、アルツハイマー病の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、レミニール、コグネックス、アリセプト、イクセロン、アカチノール、ネオトロピン、エルデプリル、エストロゲンおよびクリオキノールなど)とを含む医薬組成物を提供する。同様に、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物と、アルツハイマー病の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、レミニール、コグネックス、アリセプト、イクセロン、アカチノール、ネオトロピン、エルデプリル、エストロゲンおよびクリオキノールなど)を含む別の組成物とを含むパッケージ化医薬組成物も提供する。
【0141】
また、認知症または認知障害と関連している記憶障害および/または認知障害の処置のための方法であって、被験体に、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、認知症の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる剤(例えば、限定されないが、チオリダジン、ハロペリドール、リスペリドン、コグネックス、アリセプト、およびイクセロンなど)とを同時または逐次投与することを含む方法を提供する。同時投与が使用される方法では、該剤を併用される組成物内に存在させてもよく、別々に投与してもよい。また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、認知症の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、チオリダジン、ハロペリドール、リスペリドン、コグネックス、アリセプト、およびイクセロンなど)とを含む医薬組成物を提供する。また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物と、認知症の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、チオリダジン、ハロペリドール、リスペリドン、コグネックス、アリセプト、およびイクセロンなど)を含む別の組成物とを含むパッケージ化医薬組成物を提供する。
【0142】
また、癲癇と関連している記憶障害および/または認知障害の処置のための方法であって、被験体に、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、癲癇の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる剤(例えば、限定されないが、ジランチン、ルミノール、テグレトール、デパコート、デパケン、ザロンチン、ニューロンチン、バルビタ(Barbita)、ソルフェトン(Solfeton)、およびフェルバトールなど)とを同時または逐次投与することを含む方法を提供する。同時投与が使用される方法では、該剤を併用される組成物内に存在させてもよく、別々に投与してもよい。また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、癲癇の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、ジランチン、ルミノール、テグレトール、デパコート、デパケン、ザロンチン、ニューロンチン、バルビタ、ソルフェトン、およびフェルバトールなど)とを含む医薬組成物を提供する。また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物と、癲癇の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、ジランチン、ルミノール、テグレトール、デパコート、デパケン、ザロンチン、ニューロンチン、バルビタ、ソルフェトン、およびフェルバトールなど)を含む別の組成物とを含むパッケージ化医薬組成物を提供する。
【0143】
また、多発性硬化症と関連している記憶障害および/または認知障害の処置のための方法であって、被験体に、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、多発性硬化症の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる剤(例えば、限定されないが、デトロール、ジトロパン(Ditropan)XL、オキシコンチン、ベタセロン、アボネックス、アザチオプリン(Azothioprine)、メトトレキサート、およびコパクソンなど)とを同時または逐次投与することを含む方法を提供する。同時投与が使用される方法では、該剤を併用される組成物内に存在させてもよく、別々に投与してもよい。また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグと、多発性硬化症の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、デトロール、ジトロパンXL、オキシコンチン、ベタセロン、アボネックス、アザチオプリン、メトトレキサート、およびコパクソンなど)とを含む医薬組成物を提供する。また、本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物と、多発性硬化症の処置に使用される1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(例えば、限定されないが、デトロール、ジトロパンXL、オキシコンチン、ベタセロン、アボネックス、アザチオプリン、メトトレキサート、およびコパクソンなど)を含む別の組成物とを含むパッケージ化医薬組成物を提供する。
【0144】
1種もしくは複数種のさらなる医薬用剤(1種類または複数種)と併用して使用する場合、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、該さらなる医薬用剤(1種類または複数種)の投与の前に投与しても、同時に投与しても後に投与してもよい。
【0145】
本明細書に記載の化合物の投薬量は、さまざまな要素、例えば、数ある考慮事項の中でも、処置対象の具体的な症候群、症状の重症度、投与経路、投薬間隔の頻度、使用される具体的な化合物、該化合物の有効性、毒物学的プロフィール、薬物動態プロフィール、ならびに任意の有害な副作用の存在に依存する。
【0146】
本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、典型的には、KMOインヒビターに対して慣用的な投薬量レベルおよび様式で投与される。例えば、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、単回用量または複数回用量で経口投与によって、一般的には0.001〜100mg/kg/日、例えば、0.01〜100mg/kg/日(例えば、0.1〜70mg/kg/日、例えば、0.5〜10mg/kg/日など)の投薬量レベルで投与され得る。単位投薬形態には、通常、0.01〜1000mgの本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ、例えば、0.1〜50mgの本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが含有され得る。静脈内投与では、本明細書に記載の該少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、単回投薬量または複数回投薬量で、例えば、0.001〜50mg/kg/日(例えば、0.001〜10mg/kg/日、例えば、0.01〜1mg/kg/日など)の投薬量レベルで投与され得る。単位投薬形態には、例えば、0.1〜10mgの本明細書に記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが含有され得る。
【0147】
標識された形態の本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを、本明細書に記載のKMOの活性をモジュレートする機能を有する化合物を特定および/または取得するために、診断薬として使用してもよい。さらに、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグをバイオアッセイの確認、最適化および標準化のために使用してもよい。
【0148】
本明細書において「標識された」とは、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグが、検出可能なシグナルをもたらす標識(例えば、放射性同位体、蛍光タグ、酵素、抗体、粒子(例えば、磁気粒子など)、化学発光タグ、または特異的結合分子など)で直接的または間接的に標識されていることを意図する。特異的結合分子としては、例えば、ビオチンとストレプトアビジン、ジゴキシンと抗ジゴキシンなどのペアが挙げられる。特異的結合構成員について、相補的な構成員は、通常、上で概要を示したような既知の手順に従って、検出をもたらす分子で標識され得る。標識は、検出可能なシグナルを直接もたらすものであっても、間接的にもたらすものであってもよい。
【0149】
本明細書に記載の方法の手順を実施する際、具体的なバッファー、培地、試薬、細胞、培養条件などに対する言及は、限定を意図するものではなく、該論考が提示される具体的な状況において重要または有益であると当業者によって認識され得るすべての関連物質を包含するように読まれるべきであることはもちろん理解されよう。例えば、多くの場合、あるバッファー系または培養培地を別のものに置き換えることが可能であり、それでもなお、(同一ではない場合)同様の結果が得られる。当業者は、必要以上に実験を行うことなくかかる置き換えを行うことができるような、かかる系および方法論の充分な知識を有しており、それを、本明細書に開示した方法および手順の使用において目的に合うよう最適に役立てられよう。
【実施例】
【0150】
(実施例)
本明細書に記載の化合物およびその薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグ、ならびに本明細書に記載の組成物および方法を、以下の非限定的な実施例によってさらに例示する。
【0151】
本明細書で用いる場合、以下の略号は以下の意味を有する。略号を定義していない場合は、一般的に認識されている意味を有する。
CDI=カルボニルジイミダゾール
DCM=ジクロロメタン
DME=ジメチルエーテル
DMEM=ダルベッコ改変イーグル培地
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDC・HCl=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
EtOH=エタノール
EtO=ジエチルエーテル
EtOAc=酢酸エチル
g=グラム
hr=時間
hrs=時間(複数)
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
LiHMDS=リチウムヘキサメチル−ジシラジド
LC/MS=液体クロマトグラフィー/質量分析
mg=ミリグラム
min=分
mL=ミリリットル
mmol=ミリモル
mM=ミリモル濃度
ng=ナノグラム
nm=ナノメートル
nM=ナノモル濃度
PBS=リン酸緩衝食塩水
rt=室温
TBME=t−ブチルメチルエーテル
THF=テトラヒドロフラン
TMOF=オルトギ酸トリメチル
μL=マイクロリットル
μM=マイクロモル濃度
1g/1ml=1体積
【0152】
実験
市販の試薬および溶媒(HPLC等級)を、さらに精製することなく使用した。
【0153】
薄層クロマトグラフィー(TLC)解析は、Kieselgel 60 F254(Merck)プレートを用いて行い、UV光を用いて可視化した。マイクロ波反応は、CEM集束マイクロ波を用いて行った。
【0154】
H NMRスペクトルは、Bruker DRX 500MHz分光計またはBruker DPX 250MHz分光計(重水素溶媒中)で記録した。
【0155】
解析用HPLC−MSは、Agilent HP1100およびShimadzu 2010で行い、システムは、逆相Atlantis dC18カラム(5μm,2.1×50mm)、2分間または3.5分間で5から100%までのBの勾配(A=水/0.1%ギ酸,B=アセトニトリル/0.1%ギ酸)、インジェクション体積3μl、流量=1.0ml/分を使用した。
【0156】
UVスペクトルは215nmで、Waters 2996光ダイオードアレイを用いて、またはShimadzu 2010システムで記録した。UVスペクトルは215nmで、Waters 2487二波長UV検出器またはShimadzu 2010システムを用いて記録した。質量スペクトルは、m/z 150〜850の範囲にわたって2スキャン/秒のサンプリング速度でWaters ZMDを用いて、そして、m/z 100〜1000にわたって2Hzのサンプリング速度でエレクトロスプレーイオン化を用いてShimadzu 2010 LC−MSシステムによって取得するか、または解析用HPLC−MSをAgilent HP1100およびShimadzu 2010で行い、システムは、逆相Water Atlantis dC18カラム(3μm,2.1×100mm)、7分間で5から100%までのBの勾配(A=水/0.1%ギ酸,B=アセトニトリル/0.1%ギ酸)、インジェクション体積3μl、流量=0.6ml/分を使用した。UVスペクトルは215nmで、Waters 2996光ダイオードアレイを用いて、またはShimadzu 2010システムで記録した。
【0157】
実施例1
(+)−(1S,2S)−シクロプロパン−1,2−ジカルボン酸モノメチルエステルをEP1475385(2004)に記載されるとおりに調製した。
【化5】
工程1,方法1:(1S,2S)−メチル2−(カルボノクロリドイル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0158】
DMF(0.16mL,2.08mmol)を、DCM(80mL)中の(+)−(1S,2S)−シクロプロパン−1,2−ジカルボン酸モノメチルエステル(3.0g,20.8mmol)の撹拌溶液に室温にて窒素雰囲気下で滴下した。塩化オキサリル(5.45mL,62.4mmol)を反応混合物に30分間にわたって滴下し、反応液を室温で1時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣をDCM(3×20mL)とともに共エバポレートし、標題化合物(3.42g,98%収率)を黄色油状物として得、これをさらに精製せずに直接使用した。
工程2,方法1:(1S,2S)−メチル2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0159】
例えば、Naoakiら,Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,2005,121−124を参照のこと。
【0160】
トルエン(40mL)中の(3,4−ジクロロフェニル)ボロン酸(4.82g,25.24mmol)およびリン酸カリウム水和物(3:1:1)(7.27g,31.56mmol)との混合物を窒素で15分間脱気した。次いで、ジクロロパラジウム;ビス(トリフェニルホスフィン(phosphane))(0.29g,0.42mmol)を室温で添加した後、トルエン(20mL)中のメチル(1S,2S)−2−(カルボノクロリドイル)シクロプロパン−1−カルボキシレート(3.42g,21.04mmol)の混合物を添加した。次いで、反応混合物を80℃まで昇温させ、この温度で窒素下、5時間撹拌した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、濾過した。固形物をDCM(3×50mL)で洗浄し、濾液を減圧濃縮した。次いで、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出;100%ヘプタンから8:2のヘプタン:EtOACまで)、標題化合物を褐色油状物/固形物として得、これをさらにフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出;100%ヘプタンから9:1のヘプタン:EtOACまで)、標題化合物(2.16g,35%収率)を薄黄色固形物として得た。Tr=2.22分 m/z(ES)(M+H)273.
中間体2,工程2、 メチル(1S,2S)−2−[(3,5−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0161】
Tr=4.88分(7分法)m/z(ES)(M+H)273.
中間体3,工程2、 メチル(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0162】
Tr=2.10分(3.5分法)m/z(ES)(M+H)257.
中間体4,工程2、 メチル(1S,2S)−2−{[3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0163】
Tr=2.26分(3.5分法)m/z(ES)(M−H)305.
中間体5,工程2、 メチル(1S,2S)−2−{[3−クロロ−4−(プロパン−2−イルオキシ)フェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0164】
Tr=2.25分(3.5分法)m/z(ES+)(M+H+)297.
工程3,方法1:(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸
【0165】
NaOH(2M溶液,0.75mL,1.5mmol)を一気に、THF(3mL)中の(1S,2S)−メチル2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート(0.08g,0.3mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温で68時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣を水(5mL)とジエチルエーテル(5mL)との間で分配した。水層を取り出し、2M HClでpH1に酸性化し、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を分取用HPLCによって精製し、標題化合物(0.02g,20%収率)を白色固形物として得た。
【0166】
δ(500 MHz,DMSO)8.21 − 8.31(1 H,m)8.01 − 8.16(1 H,m)7.60(1 H,dd)3.23 − 3.28(1 H,m)2.04 − 2.20(1 H,m)1.41 − 1.56(2 H,m).Tr=3.67分 m/z(ES)(M+H)241,243.
【0167】
以下の化合物を、実質的に上記のようにして調製した。
(1S,2S)−2−[(3,5−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸
【0168】
Tr=4.13分 m/z(ES)(M+H)260.
(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸
【0169】
δ(500 MHz,DMSO)8.21 − 8.31(1 H,m)8.01 − 8.16(1 H,m)7.60(1 H,dd)3.23 − 3.28(1 H,m)2.04 − 2.20(1 H,m)1.41 − 1.56(2 H,m).Tr=3.67分 m/z(ES)(M+H)241,243.
(1S,2S)−2−{[3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボン酸
【0170】
δ(500 MHz,CDCl)8.12(1 H,s)7.99(1 H,d)7.85(1 H,d)3.19(1 H,ddd)2.47(1 H,ddd)1.74(2 H,ddd).Tr=4.11分 m/z(ES)(M−H)291.
(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−メチルフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸
【0171】
δ(500 MHz,CDCl)7.89(1 H,d)7.79(1 H,dd)7.47(1 H,d)3.20(1 H,ddd)2.46(3 H,s)2.37 − 2.43(1 H,m)1.68(2 H,dddd).Tr=3.89分 m/z(ES)(M−H)239.
(1S,2S)−2−{[3−クロロ−4−(プロパン−2−イルオキシ)フェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボン酸
【0172】
δ(500 MHz,CDCl)8.07(1 H,d)7.92(1 H,dd)6.99(1 H,d)4.71(1 H,dt)3.16(1 H,ddd)2.32 − 2.44(1 H,m)1.59 − 1.74(2 H,m)1.44(6 H,d).Tr=4.03分 m/z(ES)(M+H)283、285.
実施例2
【化6】
工程1、 4−ブロモ−2−クロロ−1−シクロプロポキシベンゼン
【0173】
ブロモシクロプロパン(14.6g,24.0mmol)を一気に、ジメチルアセトアミド(80mL)中の4−ブロモ−2−クロロフェノール(5.0g,24.0mmol)およびセシウムジカルボナート(caesium dicarbonate)(19.6g,60.0mmol)の撹拌溶液に添加した。混合物を150℃に加熱し、この温度で16時間撹拌した。その後、さらにブロモシクロプロパン(14.6g,24.0mmol)を添加し、混合物を150℃でさらに24時間撹拌した。次いで、反応液を室温まで冷却し、氷水(200mL)に注入し、TBME(3×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、水(2×100mL)とブライン(50mL)で逐次洗浄した。有機層を取り出し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:ヘプタン、次いで33%ヘプタン,67%DCM)、標題化合物(5.0g,84%収率)を無色の油状物として得た。Tr=2.41分 m/z(ES)(M+H)248.
工程2、 2−(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン
【0174】
例えば、Pushpinderら,Journal of Medicinal Chemistry,2006,35−38を参照のこと。
【0175】
DMSO(70mL)中の4−ブロモ−2−クロロ−1−シクロプロポキシベンゼン(6.77g,0.027mol)、ビス−(ピナコラト)ジボロン(8.33g,0.033mol)および酢酸カリウム(8.05g,0.082mol)の混合物を室温にて20分間窒素で脱気した。その後、Pd(Cl)(dppf)(1.12g,0.001mol)を一気に添加し、反応混合物を80℃で加熱し、この温度で窒素雰囲気下、6時間撹拌した。次いで、反応液を室温まで冷却し、酢酸エチル(100mL)と水(50mL)との間で分配した。有機層を分離し、水(2×100ml)とブライン(50mL)で逐次洗浄した。有機層を取り出し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:12%DCM,88%ヘプタン、次いで100%DCM)、標題化合物(3.69g,46%収率)を黄色ガム状物として得た。Tr=2.57分 m/z(ES)(M+H)イオン化なし。
工程3、 メチル(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0176】
例えば、塩野義製薬株式会社のEP1839655(2007)を参照のこと。
【0177】
トルエン(6mL)中の2−(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(0.2g,1.23mmol)、メチル(1S,2S)−2−(カルボノクロリドイル)シクロプロパン−1−カルボキシレート(0.31g,1.48mmol)、リン酸カリウム水和物(0.39g,1.85mmol)およびジクロロパラジウム;ビス(トリフェニルホスフィン)(0.02g,0.025mmol)の混合物を窒素で15分間脱気した。次いで、反応混合物を80℃に加熱し、この温度で窒素下、2時間撹拌した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、濃縮した。得られた残渣を水(20mL)中に懸濁させ、酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。次いで、得られた残渣を、Biotage Isoleraを使用して精製し(50gのシリカゲルカートリッジ,溶出;2%EtOAc 1CV;2%から20%までのEtOAcを10CVで;20%EtOAc 5CV)、標題化合物(0.12g,32%収率)を白色の結晶性固形物として得た。Tr=2.15分 m/z(ES)(M+H)295、297.
工程4、 (1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸
【0178】
NaOH(2M溶液,0.97mL,1.9mmol)を一気に、THF(4mL)中のメチル(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート(0.15g,0.39mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣を水(20mL)とジエチルエーテル(20mL)との間で分配した。水層を取り出し、2M HClでpH1に酸性化し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を分取用HPLCによって精製し、標題化合物(0.06g,52%収率)を白色固形物として得た。
(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸
【0179】
δ(500 MHz,DMSO)11.88 − 13.36(m,1 H)8.02 − 8.20(m,2 H)7.48 − 7.64(m,1 H)4.03 − 4.18(m,1 H)3.15 − 3.25(m,1 H)2.01 − 2.14(m,1 H)1.29 − 1.56(m,2 H)0.66 − 0.96(m,4 H).Tr=4.00分 m/z(ES)(M+H)281,283.
実施例3
【化7】
工程1、 (1S,2S)−2−{[3−クロロ−4−(プロパン−2−イルオキシ)フェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボン酸ナトリウム
【0180】
(1S,2S)−2−{[3−クロロ−4−(プロパン−2−イルオキシ)フェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボン酸(0.14g,0.51mmol)を、NaOH(2M溶液,0.23mL,0.46mmol)中で1時間撹拌した。その後、ジエチルエーテルを添加し(2mL)、有機層を取り出し、廃棄した。水層を濃縮し、標題化合物(0.097g,62%収率)をオフホワイト色の固形物として得た。
(1S,2S)−2−{[3−クロロ−4−(プロパン−2−イルオキシ)フェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボン酸ナトリウム
【0181】
δ(500 MHz,DMSO)7.88 − 7.97(2 H,m)7.30(1 H,d)4.78 − 4.89(1 H,m)2.77 − 2.89(1 H,m)1.64 − 1.74(1 H,m)1.33(6 H,d)1.14 −1.25(2 H,m).Tr=4.03分 m/z(ES)(M+H)283,285.
【0182】
以下の化合物を、実質的に上記のようにして調製した。
(1S,2S)−2−{[3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボン酸ナトリウム
【0183】
δ(500 MHz,DMSO)7.99 − 8.16(3 H,m)2.86 − 2.98(1 H,m)1.71 − 1.84(1 H,m)1.14 − 1.39(2 H,m).Tr=4.19分 m/z(ES)(M−H)291.
(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−メチルフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸ナトリウム
【0184】
δ(500 MHz,DMSO)7.94(1 H,d)7.79(1 H,dd)7.58(1 H,d)2.83 − 2.93(1 H,m)2.41(3 H,s)1.68 − 1.78(1 H,m)1.14 − 1.31(2 H,m).Tr=3.98分 m/z(ES)(M+H)239.
(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸ナトリウム
【0185】
δ(500 MHz,DMSO)8.10(2 H,d)7.97 − 8.05(2 H,m)7.57(2 H,t)2.82 − 2.94(2 H,m)1.67 − 1.80(2 H,m)1.17 − 1.34(4 H,m).Tr=3.79分 m/z(ES)(M−H)241.
実施例4
【化8】
工程1、 (1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキサミド
【0186】
塩化オキサリル(2.37mL,27.2mmol)を、DMF(0.07mL)を含むDCM(44mL)中の(1S,2S)−2−{[3−クロロ−4フルオロフェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボン酸(2.2g,9.07mmol)の撹拌溶液に滴下し、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣をDCM(3×30mL)とともに共エバポレートした。残渣をTHF(44mL)に溶解させ、0℃まで冷却し、アンモニア水の飽和溶液(10.0mL,516.7mmol)で処理し(10分間にわたって滴下)、反応混合物を室温まで窒素雰囲気下で昇温させ、1時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣を水(50mL)中に懸濁させ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。次いで、得られた残渣を、Biotage Isoleraを使用して精製し(100gのシリカゲルカートリッジ,溶出;0%EtOAc、100%ヘプタンから100%EtOAcまで)、標題化合物(1.8g,80%収率)を白色固形物として得た。Tr=1.59分 m/z(ES)(M+H)242.
中間体2,工程1、 (1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキサミド
【0187】
Tr=1.72分(3.5分法)m/z(ES)(M+H)258、260.
工程2,方法4:(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボニトリル
【0188】
例えば、WO2009/98144を参照のこと。
【0189】
2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン(1.92g,10.4mmol)を分割して、DMF(19mL)中の(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキサミド(1.8g,7.45mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に滴下し、混合物を1時間撹拌した後、30分かけて室温まで昇温させた。その後、反応混合物を水酸化ナトリウム(0.5M溶液,50mL)に注入し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、連続的に、水(2×50mL)とブライン(30mL)で洗浄した後、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。次いで、得られた残渣を、Biotage Isoleraを使用して精製し(100gのシリカゲルカートリッジ,溶出;0%EtOAc、100%ヘプタンから50%EtOAc,50%ヘプタンまで)、標題化合物(1.6g,93%収率)を無色の油状物として得た。Tr=1.94分 m/z(ES)(M+H)222.
中間体2,工程2、 (1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボニトリル
【0190】
δ(500 MHz,DMSO)8.36(1 H,d)8.05(1 H,dd)7.87(1 H,d)3.79(1 H,ddd)2.35(1 H,ddd)1.69(1 H,ddd)1.52(1 H,ddd).Tr=4.27分 m/z(ES)(M+H)238,240.
工程3,方法4:(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]−N−ヒドロキシシクロプロパン−1−カルボキシイミドアミド
【0191】
例えば、Tkachevら,Synthesis,2000,1148−1159を参照のこと。
【0192】
ジイソプロピルエチルアミン(0.59mL,3.47mmol)を、エタノール(50mL)中の(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボニトリル(0.8g,3.47mmol)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(0.25g,3.47mmol)の撹拌溶液に滴下し、混合物を室温にて窒素雰囲気下で18時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣を水(50mL)中に懸濁させ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。次いで、得られた残渣を、Biotage Isoleraを使用して精製し(100gのシリカゲルカートリッジ,溶出;0%EtOAc、100%ヘプタンから100%EtOAcまで)、標題化合物(0.81g,89%収率)を白色固形物として得た。Tr=1.18分 m/z(ES)(M+H)258.
中間体2,工程3、 (Z,1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]−N’−ヒドロキシシクロプロパ−1−カルボキシイミドアミド
【0193】
Tr=2.86分(3.5分法)m/z(ES)(M+H)273,275.
工程4、 3−[(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−5−オン
【0194】
カルボニルジイミダゾール(0.77g,4.76mmol)およびDBU(0.54mL,3.65mmol)を逐次、ジオキサン(22mL)中の(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]−N−ヒドロキシシクロプロパン−1−カルボキシイミドアミド(0.8g,3.17mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を105℃に窒素雰囲気下で18時間加熱した。その後、反応混合物を室温まで放冷した後、濃縮した。得られた残渣を水(20mL)中に懸濁させ、酢酸エチル(1×10mL)で抽出した。水層を取り出し、HCl(2M溶液)でpH1に酸性化し(acidifed)、酢酸エチル(4×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。次いで、得られた残渣を、Biotage Isoleraを使用して精製した(50gのシリカゲルカートリッジ,溶出;0%EtOAc、100%ヘプタンから100%EtOAcまで)。次いで、得られた残渣を分取用HPLCによってさらに精製し、標題化合物(0.02g,3%収率)を白色固形物として得た。
3−[(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−5−オン
【0195】
δ(500 MHz,DMSO)8.32(dd,2.05 Hz,1 H)8.11(ddd,4.77,2.05 Hz,1 H)7.64(t,1 H)6.53(s,1 H)3.42 −3.49(m,1 H)2.42 − 2.47(m,1 H)1.59 − 1.72(m,2 H).Tr=3.89分 m/z(ES)(M+H)281,283.
【0196】
以下の化合物を、実質的に上記のようにして調製した。
3−[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]−2,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−5−オン
【0197】
δ(500 MHz,DMSO)12.29(1 H,br.s.)8.32(1 H,d)8.02(1 H,dd)7.87(1 H,d)3.47(1 H,ddd)2.44 − 2.49(1 H,m)1.69(1 H,ddd)1.63(1 H,ddd).Tr=4.22分 m/z(ES)(M+H)297,299.
実施例5
【化9】
工程1,方法5:5−[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]−2H−1,2,3,4−テトラゾール
【0198】
例えば、Curranら,Tetrahedron、1999,8997−9006を参照のこと。
【0199】
トリメチルシリルアジド(0.44mL,3.33mmol)およびジブチル(オキソ)スタンナン(0.042g,0.17mmol)を逐次、トルエン(10mL)中の(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボニトリル(0.4g,1.37mmol)の撹拌溶液に添加し、反応混合物を115℃に加熱し、この温度で窒素雰囲気下、18時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解させ、飽和重炭酸ナトリウム(3×10mL)で抽出した。合わせた水性抽出物を合わせ、HCl(6M溶液)でpH1に酸性化した後、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を分取用HPLCによって精製し、標題化合物をアンモニウム塩として得、これを水(2mL)に溶解させ、HCl(6M溶液)でpH1にした後、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、標題化合物(0.26g,55%収率)を白色固形物として得た。
5−[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]−2H−1,2,3,4−テトラゾール
【0200】
δ(500 MHz,DMSO)16.29(1 H,br.s.)8.32(1 H,d)8.04(1 H,dd)7.85(1 H,d)3.49 − 3.55(1 H,m)2.87(1 H,ddd)1.75 − 1.85(2 H,m).Tr=3.87分 m/z(ES)(M+H)283、285.
実施例6
【化10】
工程1、 (1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキサミド
【0201】
EDC(0.07g,0.36mmol)およびHOBt(0.048g,0.36mmol)を逐次、DMF(2mL)中の(1S,2S)−2−{[3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル]カルボニル}シクロプロパン−1−カルボン酸(0.1g,0.36mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温にて窒素雰囲気下で15分間撹拌した。その後、飽和アンモニア水(1mL)を添加し、撹拌をさらに2時間継続した。その後、水(5mL)を添加し、混合物をDCM(2×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、連続的に、飽和重炭酸ナトリウム(50mL)とブライン(30mL)で洗浄した後、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。次いで、得られた残渣を分取用HPLCによって精製し、標題化合物(0.02g,22%収率)を白色固形物として得た。
(1S,2S)−2−[(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキサミド
【0202】
δ(500 MHz,DMSO)8.07(dd,J = 8.67,2.21 Hz,1 H)8.00(d,J = 2.05 Hz,1 H)7.73(br.s.,1 H)7.53 − 7.60(m,1 H)7.06(br.s.,1 H)4.09(tt,J = 5.99,2.92 Hz,1 H)3.04(ddd,J = 8.51,5.04,3.94 Hz,1 H)2.16 − 2.24(m,1 H)1.35(dddd,J = 18.70,8.45,5.64,2.84 Hz,2 H)0.69 − 0.96(m,4 H).Tr=3.87分 m/z(ES)(M+H)280,281.
実施例7
【化11】
工程1、 [(5R,6S,6aR)−6−ヒドロキシ−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]メチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0203】
例えば、Smithら,Journal of Organic Chemistry,1980,5000−5002を参照のこと。
【0204】
トリエチルアミン(0.08mL,0.61mmol)および2,2−ジメチルプロパノイルクロリド(0.07mL,0.61mmol)を逐次、THF(5mL)中の(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸(0.16g,0.61mmol)の撹拌溶液に滴下し、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、混合物を分割して、ピリジン(5mL)中の(1R)−1−[(3aR,5R,6S,6aR)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]エタン−1,2−ジオール(0.4g,1.82mmol)の溶液に添加し、反応混合物を室温にて窒素雰囲気下で18時間撹拌した。得られた混合物を濃縮し、残渣をDCM(50ml)と水(10ml)との間で分配した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。次いで、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:100%酢酸エチル)、標題化合物(0.3g,99%収率)を白色固形物として得た。Tr=2.03分 m/z(ES)(M+Na)485.
工程1、 [(2R,3S,4S,5R)−3,4,5,6−テトラヒドロキシオキサン−2−イル]メチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0205】
ジオキサン中4MのHClの溶液(5ml)を一気に、ジオキサン(5ml)中の[(5R,6S,6aR)−6−ヒドロキシ−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]メチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート(0.3g,0.6mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を濃縮し、次いで、得られた残渣を分取用HPLCによって精製し、標題化合物(0.06g,14%収率)を薄黄色固形物として得た。
[(2R,3S,4S,5R)−3,4,5,6−テトラヒドロキシオキサン−2−イル]メチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0206】
δ(500 MHz,MeOD)8.15(d,J = 2.05 Hz,1 H)7.94 − 8.03(m,1 H)7.71(dd,J = 8.43,2.29 Hz,1 H)5.09(d,J = 3.63 Hz,0.5 H)4.49(d,J = 7.88 Hz,0.5 H)4.37 − 4.47(m,1 H)4.23 − 4.32(m,1 H)3.95 − 4.03(m,0.5 H)3.67(dd,J = 9.30 Hz,0.5 H)3.51(ddd,J = 9.46,5.91,2.13 Hz,0.5 H)3.33 −3.40(m,2 H)3.22 − 3.28(m,1 H)3.14(dd,J = 8.91,7.96 Hz,0.5 H)2.27 − 2.39(m,1 H)1.61 − 1.68(m,1 H)1.54 − 1.61(m,1 H).Tr=3.44分 m/z(ES)(M+H)443,445.
【0207】
以下の化合物を、実質的に上記のようにして調製した。
[(2R,3R,4S,5R,6S)−3,4,5,6−テトラヒドロキシオキサン−2−イル]メチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0208】
Tr=1.62分 m/z(ES)(M+Na)443.
実施例8
【化12】
工程1、 2−メチルプロピル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0209】
塩化オキサリル(0.33mL,3.4mmol)を、1滴のDMFを含むDCM(9mL)中の(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸(0.3g,1.09mmol)の撹拌溶液に滴下し、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、混合物を濃縮し、DCMに再溶解させ、ブタン−1−オール(0.05ml,0.56mmol)を一気に添加し、撹拌をさらに72時間継続した。得られた混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:10%酢酸エチル,90%ヘプタン)、標題化合物(0.16g,58%収率)を無色の油状物として得た。
2−メチルプロピル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0210】
δ(500 MHz,CDCl)8.10(d,J = 2.05 Hz,1 H)7.85(dd,J = 8.35,2.05 Hz,1 H)7.59(d,J = 8.35 Hz,1 H)3.89 − 3.97(m,2 H)3.06 − 3.13(m,1 H)2.39 − 2.46(m,1 H)1.92 − 2.03(m,1 H)1.60 − 1.68(m,2 H)0.96(d,J = 6.62 Hz,6 H).Tr=5.49分 m/z(ES)(M+H)313,315.
【0211】
以下の化合物を、実質的に上記のようにして調製した。
ブチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0212】
δ(500 MHz,DMSO)8.26(d,J = 2.05 Hz,1 H),8.02(dd,J = 2.05,8.35 Hz,1 H),7.83(d,J = 8.35 Hz,1 H),4.08(t,J = 6.62 Hz,2 H),3.30(ddd,J = 3.94,5.44,8.91 Hz,1 H),2.22(ddd,J = 3.86,5.91,8.67 Hz,1 H),1.48 − 1.61(m,4H),1.34(qd,J = 7.40,14.99 Hz,2 H),0.89(t,J = 7.41 Hz,3 H).Tr=5.66分 m/z(ES)(M+H)315,317.
プロパン−2−イル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0213】
δ(500 MHz,CDCl)8.10(d,J = 2.05 Hz,1 H)7.85(dd,J = 8.35,2.05 Hz,1 H)7.59(d,J = 8.35 Hz,1 H)5.01 − 5.10(m,1 H)3.04 − 3.11(m,1 H)2.34 − 2.41(m,1 H)1.59 − 1.65(m,2 H)1.28(m,J = 6.00,6.00 Hz,6 H).Tr=5.25分 m/z(ES)(M+H)299,301.
プロパン−2−イル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0214】
δ(500 MHz,CDCl)8.09(d,J = 2.05 Hz,1 H)7.81 − 7.88(m,1 H)7.58(d,J = 8.35 Hz,1 H)4.16 − 4.26(m,2 H)3.07 − 3.15(m,1 H)2.74(t,J = 6.07 Hz,2 H)2.60(q,J = 7.09 Hz,4 H)2.39 − 2.46(m,1 H)1.55 − 1.71(m,2 H)1.05(t,J = 7.09 Hz,6 H).Tr=3.20分 m/z(ES)(M+H)358,360.
4−tert−ブチルフェニル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0215】
δ(500 MHz,CDCl)8.14(d,J = 1.9 Hz,1 H),7.89(dd,J = 2.0,8.4 Hz,1 H),7.61(d,J = 8.4 Hz,1 H),7.43 − 7.37(m,2 H),7.08 − 7.01(m,2 H),3.27 − 3.20(m,1 H),2.65(ddd,J = 3.8,6.5,8.2 Hz,1 H),1.81 − 1.73(m,2 H),1.33(s,9 H).Tr=5.86分 m/z(ES)(M+Na)413,415.
実施例9
【化13】
工程1、 (2E)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソブタ−2−エン酸
【0216】
例えば、US6323240を参照のこと。
【0217】
AlCl(20.4g,152.9mmol)を分割して、1,2−ジクロロベンゼン(34.6ml,305.9mmol)中の2,5−ジヒドロフラン−2,5−ジオン(5.0g,51.0mmol)の撹拌溶液に室温にて窒素雰囲気下で添加し、反応混合物を50℃に4時間加熱した。その後、混合物を室温まで放冷し、温度を30℃より下に維持しながら冷HCl(6M溶液,120ml)にゆっくり注入した。クエンチした混合物を15分間撹拌した後、ヘキサン(120ml)を添加し、撹拌をさらに30分間継続した。次いで、得られた固形物を濾過によって収集し、真空炉内で4時間乾燥させた後、ジエチルエーテル(50ml)中で還流加熱し、室温まで放冷した。次いで、固形物を濾過し、ジエチルエーテル(10ml)で洗浄し、風乾させ、標題化合物(10.0g,80%収率)を薄黄色固形物として得た。Tr=1.95分 m/z(ES)(M+H)243,245.
工程2、 4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−ブタ−2−エン酸メチルエステル
【0218】
アセトン(50ml)中の4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−ブタ−2−エン酸(4.0g,16.3mmol)、NaHCO(2.74g,32.6mmol)および硫酸ジメチル(3.1ml,32.6mmol)との混合物を、窒素雰囲気下で6時間還流しながら撹拌した。その後、反応混合物を室温まで放冷し、残留固形物を濾過によって除去した。固形物をアセトン(10ml)で洗浄し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をDCM(15ml)に溶解させ、飽和NaHCO(2×10ml)、続いて水(10ml)で逐次洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:10%酢酸エチル,90%ヘプタン)、標題化合物(4.1g,97%収率)を黄色固形物として得た。Tr=2.25分 m/z(ES)(M+H)259,261.
工程3、 3−(3,4−ジクロロ−ベンゾイル)−アジリジン−2−カルボン酸
【0219】
例えば、Wincewiczら,Organic Letters,2007,351−353を参照のこと。
【0220】
4−メチルモルホリン(0.14ml,1.29mmol)を、DCM(20ml)中のアミノジフェニルホスフィネート(0.3g,1.29mmol)の撹拌溶液に滴下し、白色混合物を室温にて窒素雰囲気下で30分間撹拌した後、NaOH(0.15g,3.86mmol)およびメチル(2E)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−4−オキソブタ−2−エノエート(0.5g,1.93mmol)を逐次添加した。得られた混合物を室温でさらに20時間撹拌した。その後、水(30ml)を添加し、混合物をHCl(1M溶液)でpH2〜3に酸性化した。相を分離し、水相をDCM(3×15ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテル(30ml)と共に磨砕し、溶媒をデカンテーションにより除去した。次いで、残渣を分取用HPLCによって精製し、標題化合物(0.021g,4%収率)を薄黄色固形物として得た。
3−(3,4−ジクロロ−ベンゾイル)−アジリジン−2−カルボン酸
【0221】
δ(500 MHz,DMSO)13.12(br.s.,1 H)8.27(d,J = 1.42 Hz,1 H)8.02(dd,J = 8.35,1.89 Hz,1 H)7.85(d,J = 8.35 Hz,1 H)3.84(br.s.,1 H)2.79(br.s.,1 H)2.69(br.s.,1 H).Tr=3.49分 m/z(ES)(M+H)260,262.
実施例10
【化14】
【0222】
例えば、International Journal of Pharmaceutics,2010,39を参照のこと。
工程1,方法11:メチル(2S)−2−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}−6−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]ホルムアミド}ヘキサノエート
【0223】
ジイソプロピルエチルアミン(0.22mL,1.3mmol)を一気に、DMF(8ml)中の(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸(0.11g,0.43mmol)、メチル(2R)−6−アミノ−2−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサノエート(0.11g,0.43mmol)およびHATU(0.16g,0.43mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:30%酢酸エチル,60%ヘプタンから50%酢酸エチル,50%ヘプタンまで)、標題化合物(0.16g,64%収率)を白色ガム状物として得た。δ(500 MHz,CDCl)8.11(d,J = 1.89 Hz,1 H),7.87(dd,J = 1.89,8.35 Hz,1 H),7.58(d,J = 8.35 Hz,1 H),5.98(br.s.,1 H),5.15(d,J = 7.57 Hz,1 H),4.20 − 4.37(m,1 H),3.74(s,3H),3.31(q,J = 6.36 Hz,2 H),3.04 − 3.21(m,1 H),2.11 − 2.27(m,1 H),1.75 − 1.89(m,1 H),1.62 − 1.73(m,2 H),1.49 − 1.62(m,3H),1.34 − 1.49(m,11 H).Tr=2.45分 m/z(ES)(M+Na)524,526.
工程2、 メチル(2S)−2−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}−6−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]ホルムアミド}ヘキサノエート
【0224】
NaOH(2M溶液,2mL,4.3mmol)を一気に、メチル(2S)−2−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}−6−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]ホルムアミド}ヘキサノエートの撹拌溶液に添加した。
【0225】
THF(2mL)中の(0.15g,0.3mmol)および混合物を室温で1時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮し、一気に、ジオキサン中のHClの撹拌溶液(4M溶液,4mL)に添加し、室温で72時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮し、アセトニトリル/水(1:1,3mL)中に懸濁させ、得られた沈殿物を濾過によって収集し、標題化合物(0.05g,40%収率)を白色粉末として得た。
(2S)−2−アミノ−6−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]ホルムアミド}ヘキサン酸
【0226】
δ(500 MHz,DMSO)8.32(t,J = 5.36 Hz,1 H),8.19(d,J = 1.73 Hz,1 H),8.16 − 8.20(m,1 H),8.19(br.s,3H),7.99(dd,J = 1.81,8.43 Hz,1 H),7.83(d,J = 8.51 Hz,1 H),3.85(t,J = 5.75 Hz,1 H),2.99 − 3.15(m,3H),2.23 − 2.32(m,1 H),1.66 − 1.87(m,2 H),1.21 − 1.50(m,6 H).Tr=3.12分 m/z(ES)(M+H)387,389.
実施例11
【化15】
工程1、 1−(3,4−ジクロロフェニル)プロパ−2−エン−1−オール(
【0227】
例えば、Toshiyukiら,Tetrahedron Letters,2007,7774−7777を参照のこと。
【0228】
ビニルマグネシウムブロミド(THF中の1.0M溶液,27.4ml,27.4mmol)を、乾燥THF(35ml)中の3,4−ジクロロベンズアルデヒド(4.00g,22.9mmol)の冷(−78℃)撹拌溶液に窒素雰囲気下で滴下した。反応混合物を0℃まで昇温させ、この温度で1時間撹拌した後、−78℃に再冷却し、飽和塩化アンモニウム(50ml)の添加によってクエンチした。水(40ml)とブライン(30ml)を添加し、混合物を酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、標題の生成物(4.66g,96%収率)を無色の油状物として得た。Tr=1.90分 m/z(ES)(M+H)185、187.
工程2、 1−(3,4−ジクロロフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【0229】
IBX(15.3g,24.7mmol)を分割して、DMSO(130ml)中の1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−プロパ−2−エン−1−オール(3.34g,16.5mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温にて窒素雰囲気下で4日間撹拌した。その後、混合物を水(250ml)との間で分配し、DCM(3×100ml)で抽出し、有機層を合わせ、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、Biotage Isoleraを用いて精製し(340gのシリカカラム,1%酢酸エチル/99%ヘプタンから20%酢酸エチル,80%ヘプタンまでで溶出)、標題化合物(2.00g,55%収率)をクリーム色の油状物として得た。Tr=2.15分 m/z(ES)(M+H)201、203.
工程3、 1−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−4−オン
【0230】
例えば、Trostら,Journal of Organic Chemistry,1973,3140を参照のこと。
【0231】
ジメチル−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イル)−スルホニウムテトラフルオロボレート(0.67g,2.89mmol)を分割して、THF(12ml)中の1−(3,4−ジクロロフェニル)プロパ−2−エン−1−オン(0.58g,2.89mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を0℃で10分間撹拌し、その後、水素化ナトリウム(油中60%分散液,0.13g,3.17mmol)を分割して添加し、撹拌をさらに5時間、窒素雰囲気下で継続した。その後、混合物を飽和塩化アンモニウム(50ml)との間で分配し、酢酸エチル(3×100ml)で抽出し、有機層を合わせ、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、Biotage Isoleraを用いて精製し(100gのシリカカラム,1%酢酸エチル/99%ヘプタンから40%酢酸エチル,60%ヘプタンまでで溶出)、標題化合物(0.06g,7%収率)を白色の結晶性固形物として得た。
1−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]−5−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−4−オン
【0232】
δ(500 MHz,CDCl)8.09(d,J = 2.05 Hz,1 H)7.84(dd,J = 8.35,2.05 Hz,1 H)7.60(d,J = 8.35 Hz,1 H)4.30 − 4.52(m,2 H)3.26(dd,J = 8.59,6.23 Hz,1 H)2.23 − 2.55(m,2 H)1.76 − 1.88(m,2 H).Tr=4.40分 m/z(ES)(M+Na)307,309.
実施例12
【化16】
工程1、 (1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]−N−フェニルシクロプロパン−1−カルボキサミド
【0233】
トリエチルアミン(0.005mL,0.04mmol)を一気に、DMF(8ml)中の(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸(0.01g,0.04mmol)、アニリン(0.004mL,0.04mmol)、EDC(0.007g,0.04mmol)およびHOBt(0.001g,0.004mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮し、水(5ml)との間で分配し、酢酸エチル(3×10ml)で抽出し、有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、標題化合物(0.01g,82%収率)を白色固形物として得た。
(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]−N−フェニルシクロプロパン−1−カルボキサミド
【0234】
Tr=4.84分 m/z(ES)(M+H)334、336.
【0235】
以下の化合物を、実質的に上記のようにして調製した。
(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]−N−(2−ヒドロキシエチル)シクロプロパン−1−カルボキサミド
【0236】
δ(500 MHz,CDCl)8.02 − 8.18(1 H,m),7.77 − 7.95(1 H,m),7.49 − 7.65(1 H,m),6.30(1 H,br.s.),3.69 − 3.83(2 H,m),3.43 − 3.55(2 H,m),3.08 − 3.20(1 H,m),2.38(1 H,br.s.),2.20 − 2.29(1 H,m),1.65 − 1.74(1 H,m),1.51 − 1.58(1 H,m).Tr=3.49分 m/z(ES)(M+H)302.
4−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]カルボニル}ピペラジン−2−オン
【0237】
δ(250 MHz,DMSO)8.15(1 H,d,J = 1.98 Hz),7.98(1 H,dd,J = 8.38,1.98 Hz),7.57 − 7.84(2 H,m),3.90 − 4.24(2 H,m),3.60 − 3.83(2 H,m),3.20 − 3.34(2 H,m),3.08 − 3.20(1 H,m),2.54 − 2.62(1 H,m),1.42 − 1.60(2 H,m).Tr=3.52分 m/z(ES)(M+H)341,343.
実施例13
【化17】
工程1、 2−(オキサン−2−イルオキシ)エチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0238】
2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エタノール(0.07mL,0.46mmol)を一気に、クロロホルム(6mL)中の(+)−(1S,2S)−シクロプロパン−1,2−ジカルボン酸モノメチルエステル(0.12g,0.46mmol)の撹拌溶液に添加し、反応混合物を室温にて窒素雰囲気下で72時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:20%酢酸エチル,80%ヘプタン)、標題化合物(0.14g,78%収率)を白色固形物として得た。Tr=2.39分 m/z(ES)(M+Na)409.
工程2、 2−ヒドロキシエチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0239】
濃HCl(5滴)を、2−(オキサン−2−イルオキシ)エチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート(0.14g,0.36mmol)の撹拌溶液に滴下し、反応混合物を室温にて窒素雰囲気下で18時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:1%メタノール,99%DCM)、標題化合物(0.03g,29%収率)を白色固形物として得た。
2−ヒドロキシエチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0240】
δ(250 MHz,CDCl)8.24 − 8.18(1 H,m),7.87 − 7.83(1 H,m),7.62 − 7.56(1 H,m),4.37 4.26(2 H,m),3.93 − 3.84(2 H,m),3.22 − 3.06(1 H,m),2.54 − 2.43(1H,m),1.92 − 1.87(1 H,m),1.71 − 1.63(2H,m)。Tr=3.49分 m/z(ES)(M+H)イオン観測されず。
実施例14
【化18】
工程1、 {[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]カルボニルオキシ}メチル2,2−ジメチルプロパノエート
【0241】
乾燥DMF(4mL)中の2,2−ジメチル−プロピオン酸ヨードメチルエステル(0.26g,1.07mmol)の溶液を10分間にわたって、乾燥DMF(4mL)中の(1S,2S)−2−(3,4−ジクロロ−ベンゾイル)−シクロプロパンカルボン酸ナトリウム(0.2g,0.71mmol)の冷(0℃)撹拌溶液に滴下し、反応液を室温まで昇温させ、撹拌を22時間継続した。その後、DMF(1mL)中の2,2−ジメチル−プロピオン酸ヨードメチルエステル(0.4g,1.65mmol)の溶液を添加し、撹拌をさらに1時間継続した。その後、炭酸カリウム(0.3g,2.14mmol)を分割して添加し、撹拌を14時間継続した。その後、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をブライン(30mL)で処理し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をBiotage Isoleraで精製し(25gカラム,溶出;2%酢酸エチル,98%ヘプタンから20%酢酸エチル,80%ヘプタンまで)、標題の生成物(0.08g,29%収率)を白色の結晶性固形物として得た。
{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]カルボニルオキシ}メチル2,2−ジメチルプロパノエート
【0242】
δ(500 MHz,CDCl)8.09(d,J = 2.05 Hz,1 H)7.79 − 7.91(m,1 H)7.59(d,J = 8.35 Hz,1 H)5.80(s,2 H)3.06 −3.21(m,1 H)2.30− 2.52(m,1 H)1.62 − 1.76(m,2 H)1.23(s,9 H).Tr=5.34分 m/z(ES)(M+Na)395,397.
実施例15
【化19】
工程1,方法17:1−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]カルボニルオキシ}エチルアセテート
【0243】
酢酸1−クロロエチル(0.14g,1.18mmol)を一気に、乾燥DMF(3mL)中の(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸ナトリウム(0.15g,0.54mmol)の撹拌懸濁液に添加し、混合物を70℃に加熱し、この温度で、窒素雰囲気下で6時間撹拌した。その後、反応混合物を水(5mL)添加し、酢酸エチル(4×5ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を水とブラインの1:1の混合物(3×20mL)で洗浄し、水層をEtOAc(2×5mL)で抽出し戻した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル(DCMを使用)に乾燥状態で載せ、乾式フラッシュクロマトグラフィー精製し(溶出;100%ヘプタンから20%酢酸エチル,80%ヘプタンまで)、標題化合物(0.08g,45%収率)を淡褐色固形物として得た。
1−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]カルボニルオキシ}エチルアセテート
【0244】
δ(500 MHz,CDCl)8.07 − 8.13(m,1 H),7.81 − 7.89(m,1 H),7.56 − 7.63(m,1 H),6.85 − 6.93(m,1 H),3.07 − 3.16(m,1 H),2.35 − 2.43(m,1 H),2.05 − 2.15(m,3 H),1.61 − 1.71(m,2 H),1.48 − 1.55(m,3 H).Tr=3.29分 m/z(ES)(M+H)397,399.
【0245】
以下の化合物を、実質的に上記のようにして調製した。
1−{[(プロパン−2−イルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
δ(500 MHz,CDCl)8.03 − 8.13(m,1 H)7.81 − 7.89(m,1 H)7.59(m,J = 8.40,1.30 Hz,1 H)6.75 − 6.86(m,1 H)4.83 − 4.98(m,1 H)3.07 − 3.17(m,1 H)2.36 − 2.44(m,1 H)1.62 − 1.73(m,2 H)1.51 − 1.60(m,3 H)1.24 − 1.38(m,6 H).Tr=5.33分 m/z(ES)(M+Na)411,413.
1−[(エトキシカルボニル)オキシ]エチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0246】
δ(500 MHz,CDCl)8.07 − 8.13(m,1 H)7.82 − 7.89(m,1 H)7.56 − 7.63(m,1 H)6.75 − 6.84(m,1 H)4.16 − 4.30(m,2 H)3.08 − 3.18(m,1 H)2.37 − 2.45(m,1 H)1.62 − 1.73(m,2 H)1.53 − 1.61(m,3 H)1.27 − 1.38(m,3 H).Tr=5.17分 m/z(ES)(M+Na)397,399.
1−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]カルボニルオキシ}エチル(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0247】
δ(500 MHz,CDCl)8.06 − 8.13(m,2 H)7.80 − 7.88(m,2 H)7.55 − 7.63(m,2 H)6.88 − 6.96(m,1 H)3.06 − 3.17(m,2 H)2.36 − 2.46(m,2 H)1.61 − 1.71(m,4 H)1.52 − 1.59(m,3 H).Tr=5.10分 m/z(ES)(M+Na)565,567,569.
実施例16
【0248】
例えば、Molecules,2009,3268−3274を参照のこと。
【化20】
【0249】
工程1、 (3−カルボキシ−2−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]カルボニルオキシ}プロピル)トリメチルアザニウム
【0250】
ジイソプロピルエチルアミン(0.31mL,1.80mmol)を一気に、DMF(5mL)中の(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボン酸(0.16g,0.60mmol)、L−カルニチン(0.11g,0.66mmol)およびHATU(0.23g,0.60mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温で45時間撹拌した後、50℃に加熱し、この温度でさらに8時間撹拌した。その後、得られた混合物を濃縮し、得られた残渣を分取用HPLCによって精製し、標題化合物(0.01g,4%収率)を褐色ガム状物として得た。
(3−カルボキシ−2−{[(1S,2S)−2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]シクロプロピル]カルボニルオキシ}プロピル)トリメチルアザニウム
【0251】
δ(500 MHz,DMSO−d)8.29(br.s.,1 H),8.25(dd,J = 0.32,1.73 Hz,1 H),8.00 − 8.05(m,1 H),7.84(d,J = 8.35 Hz,1 H),5.36 − 5.51(m,1 H),3.55−3.80(part.obsc.m,2 H),3.36(ddd,J = 4.02,5.28,8.83 Hz,1 H),3.11(s,9H),2.54 − 2.62(m,1 H),2.39 − 2.48(m,1 H),2.22 − 2.29(m,1 H),1.60(ddd,J = 3.70,5.71,8.87 Hz,1 H),1.52(ddd,J = 3.63,5.44,8.75 Hz,1 H).Tr=3.12分 m/z(ES)(M+H)402,404.
実施例17
(1S,2S)−2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【化21】
工程1:2−クロロ−6−(2−ヒドロキシエチル)フェノール
【0252】
過ヨウ素酸ナトリウム(8.9g,41.5mmol)を分割して、THF(100mL)と水(100mL)中の2−クロロ−6−(プロパ−2−エン−1−イル)フェノール(3.72g,20.7mmol)の撹拌溶液に0℃で添加した。5分後、四酸化オスミウム(0.1g,0.41mmol)を添加し、撹拌を1.5時間継続した。その後、混合物を氷とブライン(100mL)に注入し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をメタノール(100mL)に溶解させ、0℃まで冷却した後、少量に分けたテトラヒドロホウ酸ナトリウム(1.57g,41.5mmol)で30分間にわたって処理した。その後、反応混合物を室温まで昇温させ、一晩撹拌した。得られた混合物を濃縮し、1M塩酸水溶液(80mL)で処理し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出;ヘプタン中0から40%までの酢酸エチル)、標題化合物(1.41g,36%収率)を黄色油状物として得た。δ(250 MHz,CDCl)7.23(dd,J = 8.0,1.6 Hz,1 H),7.03(dd,J = 7.5,1.6 Hz,1 H),6.81(t,J = 7.8 Hz,1 H),3.95(t,J = 5.9 Hz,2 H),2.95(t,J = 5.8 Hz,2 H).
工程2:7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン
【0253】
ジイソプロピルジアゼン−1,2−ジカルボキシレート(1.97ml,9.9mmol)を分割して、無水THF(25ml)中の2−クロロ−6−(2−ヒドロキシエチル)フェノール(1.4g,7.7mmol)およびトリフェニルホスフィン(2.62g,9.9mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に添加し、反応混合物を窒素雰囲気で15時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣をBiotageによって精製し(Isolera snap 50gカートリッジ,ヘプタン中0から20%までのEtOAcで溶出)、標題化合物(1.46g,92%収率)をオレンジ色の油状物として得た。δ(250 MHz,CDCl)7.16 − 7.02(m,2 H),6.85 − 6.71(m,1 H),4.67(t,J = 8.8 Hz,2 H),3.29(t,J = 8.8 Hz,2 H).
工程3:メチル(1S,2S)−2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−−1−ベンゾフラン−5−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0254】
DCE(2mL)中のメチル(1S,2S)−2−(カルボノクロリドイル)シクロプロパン−1−カルボキシレート(0.39g,2.43mmol)を分割して、DCE(4mL)中の三塩化アルミニウム(0.65g,4.85mmol)の冷(0℃)撹拌溶液に窒素雰囲気下で添加した。7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン(0.5g,2.43mmol)を5分間にわたって滴下し、反応混合物を0℃でさらに1時間撹拌した。その後、混合物を室温まで昇温させた後、一晩撹拌した。次いで、反応混合物を0℃まで冷却した後、分割して、濃HCl(4mL)と氷(20g)の混合物に添加した。次いで、得られた混合物をDCM(3×50mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(30mL)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、Biotage Isoleraを用いて精製し(Snap 50gカートリッジ,ヘプタン中0から35%までのEtOAc中で溶出)、標題化合物(0.14g,21%収率)を白色固形物として得た。δ(250 MHz,CDCl)7.88(d,J = 1.6 Hz,1 H),7.78(d,J = 1.5 Hz,1 H),4.79(t,J = 8.9 Hz,2 H),3.74(s,3H),3.35(t,J = 8.8 Hz,2 H),3.07(ddd,J = 8.6,5.9,3.9 Hz,1 H),2.37(ddd,J = 8.6,6.0,3.8 Hz,1 H),1.58(ddt,J = 12.0,5.9,2.9 Hz,2 H).Tr=2.08分 m/z(ES)(M+H)281.
工程4:(1S,2S)−2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0255】
2M NaOH(0.25mL,0.5mmol)を一気に、ジオキサン(5mL)中のメチル(1S,2S)−2−[(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−−1−ベンゾフラン−6−イル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート(0.07g,0.25mmol)の撹拌溶液に添加し、得られた溶液を室温で18時間撹拌した。その後、反応混合物を1M HClで酸性化し、得られた懸濁液をEtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をTBME(2mL)に一部溶解させ、超音波処理し、得られた沈殿物を濾過によって収集し、真空乾燥し、標題化合物(0.04g,54%収率)を白色粉末として得た。
(1S,2S)−2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0256】
δ(500 MHz,CDCl)7.88(s,1 H),7.78(s,1 H),4.79(t,J = 8.9 Hz,2 H),3.36(t,J = 8.8 Hz,2 H),3.12(ddd,J = 9.4,5.8,3.9 Hz,1 H),2.37(ddd,J = 9.3,5.7,3.9 Hz,1 H),1.70 − 1.60(m,2 H).Tr=2.61分(7分法,低pH)m/z(ES+)(M+H+)267.
(1S,2S)−2−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0257】
δ(500 MHz,CDCl)7.96 − 7.83(m,2 H),6.84(d,J = 8.78 Hz,1 H),4.68(t,J = 8.78 Hz,2 H),3.27(t,J = 8.76 Hz,2 H),3.18(ddd,J = 3.84,5.89,9.44 Hz,1 H),2.35(ddd,J = 3.83,5.65,9.20 Hz,1 H),1.67(ddd,J = 3.50,5.90,9.02 Hz,1 H),1.59(ddd,J = 3.51,5.66,8.96 Hz,1 H).Tr=2.21分,m/z(ES+)(M+H+)233.
【化22】
実施例18
(1S,2S)−2−(8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【化23】
工程1:1−クロロ−2−(プロパ−2−エン−1−イルオキシ)ベンゼン
【0258】
水素化ナトリウム(60%,5.6g,140.02mmol)を、氷浴中で無水DMF(80mL)に懸濁させた後、2−クロロフェノール(11.9mL,116.7mmol)をDMF(20mL)溶液として30分間にわたって滴下した。添加が終了したら、反応混合物を45分間撹拌した。その後、3−ブロモプロパ−1−エン(12.12mL,140.0mmol)を滴下し、反応液を室温まで昇温させ、撹拌をさらに15時間継続した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、得られた残渣を酢酸エチル(200mL)に溶解させ、水(3×200mL)とブライン溶液(50mL)で洗浄した。有機物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、標題化合物(17.5g,89%収率)をオレンジ色の油状物として得、これを、さらに精製せずに直接持ち越した。
工程2:2−クロロ−6−(プロパ−2−エン−1−イル)フェノール
【0259】
メシチレン(150mL)中の1−クロロ−2−(プロパ−2−エン−1−イルオキシ)ベンゼン(17.5g,93.4mmol)の溶液を、撹拌しながら190℃にて48時間窒素下で加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し、濃縮した。得られた残渣をBiotageで精製した(Snap Isolera 340g,100%ヘプタンで溶出)。精製物を2M NaOH(6mL)で処理し、水(50mL)で希釈し、出発物質をTBME(100mL)で抽出した。塩基性の水層を6M HCl(6mL)で酸性化した。水層をTBME(2×100mL)で抽出し、有機抽出物を合わせ、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮し、標題化合物(6.5g,41%収率)を褐色油状物として得た。δ(250 MHz,CDCl)7.34(s,1 H),7.17(s,1 H),6.08 − 5.82(m,1 H),5.60(s,1 H),5.15(d,J = 1.2 Hz,1 H),5.12 − 5.05(m,1 H),3.40(d,J = 6.7 Hz,2 H).
工程3:2−クロロ−6−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール
【0260】
無水THF(20mL)中の2−クロロ−6−(プロパ−2−エン−1−イル)フェノール(1.37g,0.01mol)を室温で、1Mボラン-テトラヒドロフラン(1:1の溶液,7.3mL)の滴下により処理し、撹拌を15時間継続した。その後、5分間にわたって水(0.13mL)を注意深く添加した後、2M NaOH(1.68mL)を15分間にわたって滴下した。次いで、過酸化水素(0.2mL,0.01mol)を滴下し、混合物を室温でさらに1.5時間撹拌した。その後、混合物を水(20mL)で処理し、次いで、酢酸エチル(100mL)と水(50mL)との間で分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(50mL)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO)濾過し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:ヘプタン中0から80%までのEtOAc)、標題化合物(0.69g,43%収率)を薄いオレンジ色の油状物として得、これを直接使用した。
工程4:8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン
【0261】
ジイソプロピルジアゼン−1,2−ジカルボキシレート(0.64ml,3mmol)を分割して、無水THF(15ml)中の2−クロロ−6−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール(0.49g,2.0mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.85g,3.0mmol)の撹拌冷却(0℃)溶液に添加し、反応混合物を窒素雰囲気で15時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣をBiotageによって精製し(Isolera snap 50gカートリッジ,ヘプタン中0から20%までのEtOAcで溶出)、標題化合物(0.36g,83%収率)を薄いピンク色の油状物として得た。δ(250 MHz,CDCl)7.17(d,J = 7.9 Hz,1 H),6.98 − 6.88(m,1 H),6.76(t,J = 7.7 Hz,1 H),4.35 − 4.25(m,2 H),2.81(t,J = 6.5 Hz,2 H),2.11 − 1.93(m,2 H).
工程5:メチル(1S,2S)−2−(8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0262】
DCE(2mL)中のメチル(1S,2S)−2−(カルボノクロリドイル)シクロプロパン−1−カルボキシレート(0.19g,1.19mmol)を分割して、DCE(4mL)中の三塩化アルミニウム(0.32g,2.37mmol)の冷(0℃)撹拌溶液に窒素雰囲気下で添加した。8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン(0.2g,1.19mmol)を5分間にわたって滴下し、反応混合物を0℃でさらに1時間撹拌した。その後、混合物を室温まで昇温させた後、一晩撹拌した。次いで、反応混合物を0℃まで冷却した後、分割して、濃HCl(4mL)と氷(20g)の混合物に添加した。次いで、得られた混合物をDCM(3×50mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(30mL)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、Biotage Isoleraを用いて精製し(Snap 50gカートリッジ,0から45%までのEtOAcを含有するヘプタン中で溶出)、標題化合物(0.15g,43%収率)を薄黄色油状物として得た。δ(250 MHz,CDCl)7.88(d,J = 2.1 Hz,1 H),7.69 − 7.62(m,1 H),4.43 − 4.31(m,2 H),3.73(s,3H),3.08(ddd,J = 8.5,5.9,3.8 Hz,1 H),2.86(t,J = 6.4 Hz,2 H),2.36(ddd,J = 8.5,6.1,3.8 Hz,1 H),2.16 − 1.96(m,2 H),1.58(tdd,J = 7.6,5.9,3.4 Hz,2 H).Tr=2.00分 m/z(ES)(M+H)295.
工程6:(1S,2S)−2−(8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0263】
2M NaOH(0.6mL,1.02mmol)を一気に、ジオキサン(5mL)中のメチル(1S,2S)−2−[(8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)カルボニル]シクロプロパン−1−カルボキシレート(0.15g,0.51mmol)の撹拌溶液に添加し、得られた溶液を室温で18時間撹拌した。その後、反応混合物を1M HClで酸性化し、得られた懸濁液をEtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をTBME(2mL)に一部溶解させ、超音波処理し、得られた沈殿物を濾過によって収集し、真空乾燥し、標題化合物(0.01g,10%収率)を白色粉末として得た。
(1S,2S)−2−(8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0264】
δ(500 MHz,DMSO−d6)12.63(s,1 H),7.95 − 7.79(m,2 H),4.45 − 4.23(m,2 H),3.23 − 3.16(m,1 H),2.87(t,J = 6.35 Hz,2 H),2.06(ddd,J = 3.86,5.82,9.44 Hz,1 H),1.97(p,J = 6.20 Hz,2 H),1.44(ddd,J = 3.25,5.85,8.81 Hz,1 H),1.40(ddd,J = 3.26,5.58,8.70 Hz,1 H).Tr=2.81分(7分法,低pH)m/z(ES+)(M+H+)281,283.
【化24】
実施例19
(1S,2S)−2−(4−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【化25】
工程1:2−アミノ−5−ブロモ−3−クロロフェノール
【0265】
臭素(1.08ml,20.9mmol)を、DCM(100ml)中の2−アミノ−3−クロロフェノール(2.00g,13.9mmol)の氷冷溶液に滴下した。添加が終了した後、反応混合物を1時間撹拌し、次いで濾過した。収集した灰色固形物をDCM(4×10ml)で洗浄し、吸引乾燥し、粗製生成物を灰黒色粉末として得た。この粉末を飽和NaHCO水溶液(20ml)とDCM(50ml)との間で分配した。層を分離し、水層をDCM(3×50ml)で抽出した。合わせたDCM抽出物を水(25ml)とブライン(25ml)で洗浄し、次いで乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、標題化合物を暗赤褐色粉末として得た(1.7g,およそ50%NMR純度で27%)。δ(500 MHz,DMSO)δ 10.13(s,1 H),6.90(d,J = 2.16 Hz,1 H),6.76(d,J = 2.17 Hz,1 H),4.81(s,2 H).Tr=1.74分 67% m/z 222,224,226(M+H)
工程2:6−ブロモ−4−クロロ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−オン
【0266】
2−アミノ−5−ブロモ−3−クロロフェノール(1.55g,3.5mmol)をTHF(20ml)に溶解させた。CDI(2.73g,16.9mmol)を添加し、反応液を65℃で撹拌した。2時間後、反応液を室温まで冷却し、濃縮し、オレンジ色の固形物を得た。残渣をEtOAc(100mL)に再度溶解させ、有機相を水(50mL)、2M HCl(3×50mL)、水(100mL)およびブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。濾過および濃縮により、標題化合物(1.7g,97%収率)を赤褐色粉末として得た。δ(500 MHz,DMSO−d)12.28(s,1 H),7.61(d,J = 1.60 Hz,1 H),7.51(d,J = 1.61 Hz,1 H).Tr(3分)=1.87分 m/z(ES)246,248(M−H)
【0267】
中間体2,工程2:(5−ブロモ−7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−オン)δ(500 MHz,DMSO−d)12.01(br.s.,1 H)7.44(d,J = 1.73 Hz,1 H)7.26(d,J = 1.73 Hz,1 H).Tr(3分)=1.87分 m/z(ES)246,248(M−H)
工程3:6−ブロモ−4−クロロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−オン
【0268】
6−ブロモ−4−クロロ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−オン(1.26g,3.1mmol)を無水DMF(20mL)に溶解させ、反応液を氷浴中で冷却した。水素化ナトリウム(油中60%,0.31g,7.7mmol)を分割して添加し、反応液を氷浴中で1時間撹拌した。ヨウ化メチル(0.4ml,6.5mmol)を添加し、反応液を室温で2時間撹拌した。反応液を氷水浴中で冷却した。水(30mL)を注意深く添加した後、EtOAc(50mL)を添加した。層を分離し、水層をEtOAc(2×50mL)で再度抽出した。合わせた有機層を水(4×30mL)とブライン(2×30mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。濾過および濃縮により標題化合物(1.3g,75%収率)を褐色粉末として得た。δ(500 MHz,DMSO−d)7.68(d,J = 1.71 Hz,1 H),7.53(d,J = 1.74 Hz,1 H),3.54(s,3 H).
【0269】
中間体2,工程3:(5−ブロモ−7−クロロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−オン)δ(500 MHz,CDCl)7.30(d,J = 1.73 Hz,1 H)7.03(d,J = 1.73 Hz,1 H)3.41(s,3 H);Tr(3分)=1.97分 m/z(ES)イオン化なし。
工程4,方法7:4−クロロ−3−メチル−6−(トリメチルスタンニル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−オン
【0270】
6−ブロモ−4−クロロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−オン(0.65g,1.19mmol)および塩化リチウム(55mg,1.31mmol)を無水ジオキサン(25ml)に溶解させ、窒素で1分間、脱酸素化した。ヘキサメチルジスタンナン(246μl,1.19mmol)およびPd(PPh(137mg,0.12mmol)を添加し、反応液を100℃で18時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:10%酢酸エチル,90%ヘプタン)、標題化合物(210mg,44%収率)を赤オレンジ色の固形物として得た。δ(500 MHz,CDCl)7.23 − 7.17(m,1 H),7.16 − 7.10(m,1 H),3.69(s,3H),0.41 − 0.25(m,9 H).
【0271】
中間体2,工程4:7−クロロ−3−メチル−5−(トリメチルスタンニル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−オン δ(500 MHz,CDCl)7.17(s,1 H),6.91(s,1 H),3.43(s,3H),0.35(s,9H);Tr(3分)=2.61分 m/z(ES)344,346,348.
工程5:メチル(1S,2S)−2−(4−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0272】
4−クロロ−3−メチル−6−(トリメチルスタンニル)−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−オン(210mg,0.52mmol)およびメチル(1S,2S)−2−(カルボノクロリドイル)シクロプロパン−1−カルボキシレート(85mg,0.52mmol)を無水トルエン(5ml)に溶解させ、窒素流で1分間脱酸素化した。PdCl(PPh(18mg,0.02mmol)を添加し、反応液を110℃で窒素下、1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濃縮し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出:25%酢酸エチル,75%ヘプタン)、標題化合物(101mg,59%収率)を淡いオレンジ色の粉末として得た。δ(500 MHz,CDCl)7.23 − 7.17(m,1 H),7.16 − 7.10(m,1 H),3.69(s,3H),0.41 − 0.25(m,9 H).Tr(3分)=2.11分 m/z(ES)(M+H)310,312.
【0273】
中間体2,工程5:(1S,2S)−2−(7−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート δ(500 MHz,DMSO−d)8.00(d,J = 1.53 Hz,1 H),3.71−3.65(m,3H),3.47−3.38(m,4H),2.27(ddd,J = 8.6,5.9,3.8 Hz,1 H),1.57(ddd,J = 8.9,5.8,3.4 Hz,1 H),1.50(ddd,J = 8.7,5.5,3.5 Hz,1 H);Tr(3分)=1.94分 m/z(ES)(M+H)310,312.
工程6および7:(1S,2S)−2−[3−クロロ−5−ヒドロキシ−4−(メチルアミノ)ベンゾイル]シクロプロパン−1−カルボン酸
【0274】
メチル(1S,2S)−2−(4−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート(80mg,0.25mmol)をジオキサン(5ml)に溶解させ、2M NaOH(0.5ml,1.0mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。さらに2M NaOH(0.5ml,1.0mmol)を添加し、反応混合物を室温で64時間撹拌した。反応混合物を1M HClで中和し、DCM(2×10ml)で抽出した。水層を1M HClでpH3に調整し、IPA−CHCl(1:1;2×10ml)で抽出した。IPA−CHCl抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、黄色油状物を得た。水層を2M NaOHでpH7に調整し、再度、IPA-CHCl(1:1;2×10ml)で抽出した。IPA−CHCl抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をTHF(5ml)に再溶解させ、CDI(73mg,0.46mmol)を添加し、混合物を65℃に2時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、濃縮し、暗赤固形物を得た。粗製生成物を逆相酸性分取用HPLCによって精製し(HO/MeCN/0.1%ギ酸)、標題化合物(24mg,54%収率)を白色粉末として得た。
(1S,2S)−2−(4−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0275】
δ(500 MHz,DMSO)12.62(br.s,1 H),8.01(d,J = 1.41 Hz,1 H),7.98(d,J = 1.42 Hz,1 H),3.61(s,3H),3.29 − 3.25(part.obsc.m,1 H),2.11(ddd,J = 3.87,5.92,9.55 Hz,1 H),1.49(ddd,J = 3.29,5.95,8.93 Hz,1 H),1.43(ddd,J = 3.31,5.50,8.70 Hz,1 H).Tr=2.40分 97% m/z 296,298(M+H)
(1S,2S)−2−(7−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−5−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0276】
1H NMR(500 MHz,DMSO−d6)δ 12.73(s,1 H),7.99(s,1 H),7.93(s,1 H),3.50 − 3.41(part.obsc.m,4H),2.19 − 2.09(m,1 H),1.47(dt,J = 36.9,8.8 Hz,2 H).Tr=2.45分 100% m/z(M+H) 296,298.
【化26】
実施例20
【化27】
工程1:2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イルトリメチルスタンナン
【0277】
n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6Mの溶液,3.1ml,4.98mmol)を窒素下で、乾燥THF(20ml)中の6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン(1.00g,4.65mmol)の撹拌溶液に−78℃で滴下した。45分後、塩化トリメチルスズ(THF中1.0M溶液,5.0ml,5mmol)を、5分間にわたって滴下した。20分後、反応混合物を室温まで昇温させ、一晩放置した。反応混合物をブライン(100ml)に注入し、酢酸エチル(3×80ml)で抽出し、合わせた乾燥(NaSO)有機抽出物を真空にてエバポレートし、標題化合物(1.363g,98%)を無色の油状物として得た。δ(500 MHz,CDCl)6.78(d,J = 1.1 Hz,1 H),6.74(dd,J = 7.7,1.1 Hz,1 H),6.67(d,J = 7.7 Hz,1 H),4.06(s,4H),0.06(s,9 H).Tr=2.42分;イオン化なし。
工程2:メチル(1S,2S)−2−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0278】
2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イルトリメチルスタンナン(700mg,2.34mmol),(1S,2S)−2−(メトキシカルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸(571mg,3.51mmol)、PdCl(PPh(82mg,0.12mmol)およびトルエン(8mL)の混合物を混合物中に15分間、窒素流を通して起泡させることによって脱気し、次いで110℃で2時間撹拌した。反応液を冷却し、次いでシリカゲル(Merck 9385,8mL)に吸収させた。その結果のシリカをBiotage機器(シリカゲルの100gカートリッジ)で精製し(酢酸エチル−ヘプタン(5%EtOAc,1CV;5%から40%EtOAcまでを10CVで;40%EtOAc,2CV)で溶出)、所望の生成物(373mg,58%)を薄黄色油状物として得た。δ(500 MHz,CDCl)7.61 − 7.57(m,2 H),7.00 − 6.86(m,1 H),4.33(ddd,J = 20.0,5.8,2.6 Hz,4H),3.13(ddd,J = 9.4,5.8,3.9 Hz,1 H),2.36(ddd,J = 9.5,5.8,3.9 Hz,1 H),1.59(dddd,J = 25.1,9.1,5.8,3.4 Hz,2 H).).Tr=1.86分;100% m/z(ES+)263(M+H).
工程3:(1S,2S)−2−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0279】
1,4−ジオキサン(8ml)中のメチル(1S,2S)−2−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボキシレート (347mg,1.32mmol)の溶液を2M水酸化ナトリウム水溶液(595μl,1.19mmol)で室温にて処理し、窒素下で22時間撹拌した。反応混合物を真空にてエバポレートし、水(25ml)で処理し、エーテル(3×30ml)で抽出し、エーテル性抽出物を廃棄した。水相をPTFEフリット(0.45μM)に通して濾過した。この水溶液を凍結乾燥し、泡状物(300mg)を得た。DMSO(3ml)中のこの泡状物の溶液を2M塩酸水溶液(0.6ml)で処理し、低pH HPLCによって精製した。得られたガム状物を40℃でさらに真空乾燥し、標題化合物(104mg,31%)を無色のガム状物として得た。
【0280】
(1S,2S)−2−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸 δ(500 MHz,CDCl)7.62 − 7.56(m,2 H),6.99 − 6.93(m,1 H),4.33(ddd,J = 20.6,5.8,2.6 Hz,4H),3.18(ddd,J = 9.5,5.9,3.8 Hz,1 H),2.37(ddd,J = 9.3,5.7,3.8 Hz,1 H),1.65(dddd,J = 33.1,9.1,5.8,3.5 Hz,2 Hz).LCMS Tr=2.16分;99% m/z(ES+)249(M+H).
【化28】
実施例21
【化29】
工程1:4−ブロモ−2−クロロ−1−シクロプロポキシ−ベンゼン
【0281】
ブロモシクロプロパン(87.5g,0.723mol)を分割して、10分間にわたってジメチルアセトアミド(450mL)中の4−ブロモ−2−クロロフェノール(30.0g,0.145mol)およびセシウムジカルボナート(118g,0.362mol)の撹拌溶液に添加した。混合物を150℃に加熱し、この温度で16時間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、氷水(600mL)に注入し、TBME(3×400mL)で抽出した。有機層を合わせ、水(2×200mL)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、中間体1(31.2g,72%収率)を薄いオレンジ色の油状物として得、これを精製せずに直接使用した。H NMR(500 MHz,CDCl)δ ppm 7.51 − 7.45(m,1 H)7.34(dd,J = 8.8,2.4 Hz,1 H)7.21 − 7.13(m,1 H)3.84 − 3.74(m,1 H)0.93 − 0.77(m,4 H).Tr=2.46分(3.5分法)m/z(ES)(M+H)イオン化は観察されず。
工程2:(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)トリメチルスタンナン
【0282】
ジオキサン(1.1L,事前にNで脱気)中の4−ブロモ−2−クロロ−1−シクロプロポキシ−ベンゼン(111g,417mmol)の溶液に、塩化リチウム(19.45g,458.7mol)、Pd(PPh(24.1g,20.8mmol)およびヘキサメチル二スズ(150g,458.7mmol)を添加した。反応混合物を100℃に90分間加熱し、次いで冷却し、揮発性物質を蒸発させた。残渣を1kgのシリカでの乾式フラッシュクロマトグラフィーによって精製し(10%EtOAc-ヘプタンを使用)、生成物を淡黄色油状物(151g(115%)の収量)として得た。これを1.5kgのシリカでの乾式フラッシュクロマトグラフィーによって再精製し(ヘプタンから10%EtOAc-ヘプタンまでの勾配を使用)、所望の生成物(85g.65%収率)をかすかに黄色の油状物として得た。Tr=2.75分(3.5分法)m/z(ES)(M+Na)352.
工程3:メチル(1S,2S)−2−(3−クロロ−4−シクロプロポキシベンゾイル)シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0283】
トルエン(400ml,事前にNで脱気)中の(3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル)トリメチルスタンナン(20.7g,62mmol)の溶液に、トルエン(100ml,脱気したもの)とPdCl(PPh(2.19g,3mmol)中の新たに調製したメチル(1S,2S)−2−(カーボンクロリドイル)シクロプロパン−1−カルボキシレート(10.1g,62mmol)の溶液を添加した。反応混合物をさらに5分間脱気した後、110℃に90分間加熱した。反応混合物を一晩放冷した後、揮発性物質を蒸発させた。残渣を500gのシリカでの乾式フラッシュクロマトグラフィーによって精製し(ニートのヘプタンから20%THF-ヘプタンまでを使用)、生成物を粘着性のオフホワイト色の固形物(10.9g,59%収率)として得た。エーテル(100ml)およびヘプタン(50ml)と共に磨砕することにより、白色固形物(4.54g)を98%UV純度で得た。δ(250 MHz,DMSO−d6)8.39 − 7.78(m,2 H),7.56(d,J = 8.47 Hz,1 H),4.09(dt,J = 3.05,5.97 Hz,1 H),3.66(s,3H),3.28(ddd,J = 3.90,5.79,8.68 Hz,1 H),2.19(ddd,J = 3.86,5.90,8.57 Hz,1 H),1.74 − 1.26(m,2 H),1.00 − 0.64(m,4 H)..Tr=2.14分 m/z(ES)(M+H)295.
工程4:(1S,2S)−2−(3−クロロ−4−シクロプロポキシベンゾイル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0284】
ジオキサン(7〜10容量)中のメチル(1S,2S)−2−(3−クロロ−4−シクロプロポキシベンゾイル)シクロプロパン−1−カルボキシレート(純粋なもの、または純粋でないもののいずれか)の溶液に、水性NaOH(2M,0.9当量,該メチルエステルの純度に対して調整)を添加し、混合物を一晩撹拌した。次いで、ジオキサンを回転式エバポレータで注意深く除去した。ガム状残渣を水/EtOAc(各々、およそ10容量)に溶解させ、EtOAc層を分離し、水層をEtOAc(5容量)でさらに抽出した。水層を回転式エバポレータで注意深くエバポレートし、ガム状の泡状固形物を得た。このガム状物を水に再度溶解させ、一晩凍結乾燥し、所望の物質を自由流動性のオフホワイト色の粉末として得た。31.67g。
【0285】
この時点で有意な脂肪族不純物が存在したので、この物質を希HClで処理し、遊離酸(95wt%回収)を得た。アセトンを用いた乾式フラッシュクロマトグラフィーおよび1:1のTHF−ヘプタンを用いたカラムクロマトグラフィーでは、該物質の取り扱い(hand)の質は実質的に改善されなかった。最後に、最小限量のEtOAc(およそ20%)を用いたヘプタンからの再結晶により、ナトリウム塩に再変換するのに充分に高純度の酸を2回回収した。これを凍結乾燥し、21.45gの白色粉末を得、そのうち21.007gが解析に供した後も残存した。
(1S,2S)−2−(3−クロロ−4−シクロプロポキシベンゾイル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0286】
δ(500 MHz,DO)7.99(d,J = 7.68 Hz,2 H),7.55(d,J = 9.03 Hz,1 H),4.03(tt,J = 2.82,6.02 Hz,1 H),3.11(dt,J = 4.84,8.99 Hz,1 H),2.14(ddd,J = 3.94,6.36,9.68 Hz,1 H),1.54(ddt,J = 3.75,6.19,10.26 Hz,2 H),1.28 − 0.45(m,4 H).Tr=3.0分;99%;m/z 281,283(M+H).
【化30】
実施例22
【化31】
工程1:エチル(1S,2S)−2−2[(ベンジルオキシ)メチル]−1−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート(Chem.Comm.,2010,46,5867−5869参照)
【0287】
n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液,80mL,200.0mmol)を、乾燥DME(80mL)中の2−(ジエトキシ−ホスホリル)−プロピオン酸エチルエステル(47.6g,200.0mmol)の撹拌溶液に室温にて窒素雰囲気下で滴下した。5分後、(2S)−2−[(ベンジルオキシ)メチル]オキシラン(3.28g,20.00mmol)を分割して添加した後、ヘプタン(140mL)とDME(40mL)を添加し、反応混合物を密封オートクレーブ内で130℃にて20時間加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(400mL)に注入した。混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をBiotageカラムで精製し(HPSIL,100g,酢酸エチル-ヘプタン ヘプタン中20%EtOAcから98%EtOAcまでの勾配で溶出)、標題化合物(2.28g,46%収率)を無色の油状物として得た。δ(500 MHz,CDCl)7.40 − 7.29(m,5H),4.55(d,J = 14.3 Hz,2 H),4.11(dd,J = 7.1,2.7 Hz,2 H),3.68(dd,J = 10.6,5.8 Hz,1 H),3.38(dd,J = 10.6,8.5 Hz,1 H),1.95 − 1.77(m,1 H),1.42(dd,J = 9.4,4.2 Hz,1 H),1.32(s,3H),1.26(t,J = 7.1 Hz,3H),0.56(dd,J = 6.5,4.2 Hz,1 H).Tr=2.24分 m/z(ES)(M+H)249.
工程2:エチル(1S,2S)−2−(ヒドロキシメチル)−1−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート(J.Org.Chem.,2002,67,4520−4525参照)
【0288】
10%パラジウム担持炭素(2.00g,200.0mmol)を、エタノール(130mL)中の(1S,2S)−2−ベンジルオキシメチル−1−メチル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(2.3g,9.18mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物に窒素を2回パージした後、エバキュエーションし、水素を再充填した。次いで、得られた混合物を室温で18時間撹拌した。その後、混合物を濾過し、濾液を濃縮し、標題化合物(1.45g,99%収率)を無色の油状物として得た。δ(500 MHz,CDCl)4.04(qd,J = 7.1,3.0 Hz,2 H),3.78(dd,J = 11.7,5.9 Hz,1 H),3.47(dd,J = 11.7,8.8 Hz,1 H),1.75(tt,J = 9.0,6.3 Hz,1 H),1.33(dd,J = 9.3,4.2 Hz,2 H),1.29(s,3H),1.18(t,J = 7.1 Hz,3H),0.49(dd,J = 6.5,4.3 Hz,1 H).
工程3:(1S,2S)−2−(エトキシカルボニル)−2−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸(Org.Lett.,2003,5,4669参照)
【0289】
重炭酸ナトリウム(4.83g,55.6mmol)、過ヨウ素酸ナトリウム(10.75g,50.2mmol)および三塩化ルテニウム(0.19g,0.91mmol)を逐次、クロロホルム(90mL)、アセトニトリル(90mL)および水(135mL)中の(1S,2S)−2−ヒドロキシメチル−1−メチル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(1.44g,9.13mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。その後、混合物を6M塩酸(10mL)の添加によってpH1に酸性化し、混合物をDCM(4×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をジクロロメタン(20mL)中で撹拌し、次いで濾過した。得られた黒色油状物をシリカゲル(25g)に通して濾過し(30:69:1の酢酸エチル-ヘプタン-酢酸で溶出)、標題化合物(1.42g,90%収率)を無色の油状物として得た。δ(500 MHz,CDCl)12.3 − 10.1(br s,1 H),4.08(q,J = 7.1 Hz,2 H),2.28(dd,J = 8.6,6.5 Hz,1 H),1.57(dd,J = 8.6,4.3 Hz,1 H),1.38(s,3H),1.27(dd,J = 6.5,4.3 Hz,1 H),1.20(t,J = 7.1 Hz,3 H).Tr=1.48分 m/z(ES)(M+H)173.
工程4:エチル(1S,2S)−2−(3,4−ジクロロベンゾイル)−1−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート
【0290】
塩化オキサリル(0.46mL,5.23mmol)を窒素下で、DCM(11mL)中の(1S,2S)−1−メチル−シクロプロパン−1,2−ジカルボン酸1−エチルエステル(0.3g,1.74mmol)およびDMF(14μl,0.17mmol)の撹拌溶液に滴下した。1時間後、溶液を濃縮し、続いてDCM(3×10mL)とともに共エバポレートした。得られた残渣をトルエン(1mL)に溶解させ、分割して、トルエン(6mL)中の(3,4−ジクロロ−フェニル)−トリメチル−スタンナン(0.53g,1.71mmol)の撹拌溶液に添加した。溶液を窒素流下で15分間脱気し、次いで、110℃にて窒素雰囲気下で20時間撹拌した。その後、混合物を室温まで冷却し、濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルからシリカゲル(Merck9385,8mL)上に吸収させた。その結果として生じたシリカをBiotage機器で精製し(100gカラム,溶出;ヘプタンと共に、2%EtOAcから20%EtOAcまでの勾配)、標題化合物(0.21g,35%収率)を無色の油状物として得た。δ(500 MHz,CDCl)7.96(d,J = 2.0 Hz,1 H),7.71(dd,J = 8.3,2.0 Hz,1 H),7.49(d,J = 8.3 Hz,1 H),4.17(q,J = 7.1 Hz,2 H),3.13(dd,J = 8.1,6.7 Hz,1 H),1.63 − 1.55(m,2 H),1.25(t,J = 7.1 Hz,3H),1.19(s,3 H).Tr=2.35分 m/z(ES)(M+H)301.
工程5:(1S,2S)−2−(3,4−ジクロロベンゾイル)−1−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸
【0291】
2M NaOH(0.15mL,0.31mmol)を一気に、ジオキサン(5mL)中のエチル(1S,2S)−2−(3,4−ジクロロベンゾイル)−1−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート(0.08g,0.28mmol)の撹拌溶液に添加し、得られた溶液を室温で18時間撹拌した。その後、反応混合物を1M HClで酸性化し、得られた懸濁液をEtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。得られた残渣を分取用HPLCによって精製し、標題化合物(0.03g,39%収率)を白色固形物として得た。
(1S,2S)−2−(8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−カルボニル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0292】
δ(500 MHz,CDCl)9.94 − 12.01(m,1 H)8.06(d,J = 1.89 Hz,1 H)7.81(dd,J = 8.35,2.05 Hz,1 H)7.59(d,J = 8.35 Hz,1 H)3.29(dd,J = 8.20,6.62 Hz,1 H)1.72 − 1.81(m,2 H)1.30(s,3 H).Tr=3.29分(7分法,低pH)m/z(ES+)(M+H+)273 / 275.
【化32】
実施例23
【化33】
工程1:2−(メトキシカルボニル)−3−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸
【0293】
メタノール(4mL)中の水酸化カリウム(0.54g,9.58mmol)の溶液を10分間にわたって、ジメチル3−メチル−トランス−1,2−シクロプロパンジカルボキシレート(1.5g,8.7mmol)の撹拌溶液に滴下し、反応混合物を65℃に加熱し、この温度で3時間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却し、濃縮した。得られた残渣を水(20mL)に溶解させ、混合物を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を廃棄し、水層を1M HClでpH1に酸性化した。次いで、この酸性の水層を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(50mL)で洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、標題化合物(1.14g,83%収率)を無色の油状物として得た。化合物はジアステレオ異性体の混合物として単離した。Tr=1.14分 m/z(ES)(M+H)イオン化なし;1.10分 m/z(ES)(M+H)イオン化なし。
工程2:メチル2−(カルボノクロリドイル)−3−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート
【0294】
塩化オキサリル(1.7mL,18.9mmol)を、10分間にわたって、1滴のDMFを含むDCM(20mL)中の2−(メトキシカルボニル)−3−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸(1.0g,6.3mmol)の撹拌溶液に滴下し、混合物を窒素雰囲気下で室温にて3時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、標題化合物(1.12g,99%収率)を薄黄色油状物として得、これをさらに精製せずに直接持ち越した。
工程3:メチル2−[メトキシ(メチル)カルバモイル]−3−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート
【0295】
N−メトキシメタンアミン塩酸塩(0.68g,6.98mmol)を一気に、メチル2−(カルボノクロリドイル)−3−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート(1.12g,6.34mmol)の冷(0℃)撹拌溶液に添加した。次いで、ピリジン(1.13mL,13.9mmol)を5分間にわたって滴下し、反応混合物を室温まで昇温させた後、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。その後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(50mL)、10%クエン酸(300mL)、水(50mL)およびブライン(20mL)で逐次洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、標題化合物(1.1g,85%収率)をオレンジ色の油状物として得た。Tr=1.36分 m/z(ES)(M+H)202(76% 純度);1.33分 m/z(ES)(M+H)202(24% 純度)。
工程4:メチル2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]−3−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート
【0296】
3,4−ジクロロフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M溶液,16.2mL,8.13mmol)を20分間にわたって、THF中のメチル2−[メトキシ(メチル)カルバモイル]−3−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート(1.1g,5.4mmol)の冷(−50℃)撹拌溶液に滴下し、反応液を−50℃にて窒素雰囲気下で1時間撹拌した後、1時間かけて0℃まで昇温させた。その後、反応混合物を室温まで昇温させ、飽和塩化アンモニウム溶液(20mL)の添加によってクエンチした。混合物を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、合わせた有機層を水(50mL)とブライン(50mL)で逐次洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮した。得られた残渣をBiotage isoleraで精製した(溶出:8%酢酸エチル,92%ヘプタンから15%酢酸エチル,85%ヘプタンまで)。精製により2組のジアステレオ異性体(diastereosiomer)の単離がもたらされた(合わせた総量:0.82g,53%収率):ジアステレオ異性体1((1S,2S,3S)および(1R,2R,3R)エナンチオマーの混合物として)ならびにジアステレオ異性体2((1S,2S,3R)および(1R,2R,3S)エナンチオマーの混合物として)。
【0297】
ジアステレオ異性体1(1S,2S,3S)と(1R,2R,3R):δ(500 MHz,CDCl)8.08(d,J = 2.05 Hz,1 H),7.84(dd,J = 8.35,2.05 Hz,1 H),7.53 − 7.63(m,1 H),3.67 − 3.81(m,3 H),2.97 − 3.08(m,1 H),2.56(dd,J = 9.62,4.41 Hz,1 H),2.04(dquin,J = 9.52,6.17,6.17,6.17,6.17 Hz,1 H),1.32 − 1.42(m,3 H).
【0298】
ジアステレオ異性体2(1S,2S,3R)と(1R,2R,3S):δ(500 MHz,CDCl)8.10(d,J = 2.05 Hz,1 H),7.85(dd,J = 8.35,2.05 Hz,1 H),7.53 − 7.63(m,1 H),3.71 − 3.76(m,3 H),3.18(dd,J = 9.85,4.65 Hz,1 H),2.49(dd,J = 5.60,4.81 Hz,1 H),2.08 − 2.20(m,1 H),1.15(d,J = 6.31 Hz,3 H).
【0299】
各ジアステレオ異性体混合物を、以下の工程5に記載のようにして別々に使用した。
工程5:2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]−3−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸(1S,2S,3Sおよび1R,2R,3R)
【0300】
NaOH(2M溶液,0.41mL,0.83mmol)を一気に、THF(5mL)中のメチル2−[(3,4−ジクロロフェニル)カルボニル]−3−メチルシクロプロパン−1−カルボキシレート(0.28g,0.92mmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を室温で72時間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣を水(10mL)に溶解させた。水層をジエチルエーテル(2×25mL)とDCM(2×50mL)で洗浄した後、2M HClでpH1に酸性化した。次いで、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を水(10mL)とブライン(10mL)で逐次洗浄した後、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、標題化合物(0.16g,64%収率)を白色固形物として得た。次いで、得られたエナンチオマーをキラルHPLCによって分離した。
(1S,2S,3Sまたは1R,2R,3R)−2−(3,4−ジクロロベンゾイル)−3−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸
【0301】
δ(500 MHz,DMSO−d)12.39 − 12.86(m,1 H),8.19(d,J = 1.89 Hz,1 H),7.95 − 8.04(m,1 H),7.84(d,J = 8.35 Hz,1 H),3.08 − 3.17(m,1 H),2.26− 2.35(m,1 H),1.83 − 1.95(m,1 H),1.29(d,J = 6.31 Hz,3 H).Tr=4.20分(7分法)m/z(ES)(M+H)273,275.
(1S,2S,3Sまたは1R,2R,3R)−2−(3,4−ジクロロベンゾイル)−3−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸
【0302】
δ(500 MHz,DMSO−d)12.43 − 12.79(m,1 H),8.18(d,J = 2.05 Hz,1 H),7.98(dd,J = 8.35,2.05 Hz,1 H),7.83(d,J = 8.35 Hz,1 H),3.08 − 3.17(m,1 H),2.30(dd,J = 9.62,4.57 Hz,1 H),1.82 − 1.94(m,1 H),1.28(d,J = 6.31 Hz,3 H).Tr=4.20分(7分法)m/z(ES)(M+H)273,275.
(1R,2R,3Sまたは1S,2S,3R)−2−(3,4−ジクロロベンゾイル)−3−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸
【0303】
δ(500 MHz,CDCl)8.10(d,J = 2.05 Hz,1 H),7.85(dd,J = 8.35 2.05 Hz,1 H),7.59(d,J = 8.35 Hz,1 H),3.22(dd,J = 9.77,4.57 Hz 1H),2.50(t,J = 5.12 Hz,1 H),2.19(dt,J = 9.77,6.07 Hz,1 H),1.16(d,J = 6.31 Hz,3 H).Tr=3.27分(7分法)m/z(ES)(M+H)273/275.
(1S,2S,3Rまたは1R,2R,3S)−2−(3,4−ジクロロベンゾイル)−3−メチルシクロプロパン−1−カルボン酸
【0304】
δ(500 MHz,CDCl)8.10(d,J = 1.89 Hz,1 H),7.85(dd,J = 8.35,2.05 Hz,1 H),7.59(d,J = 8.35 Hz,1 H),3.22(dd,J = 9.85,4.49 Hz,1 H),2.50(t,J = 5.12 Hz,1 H),2.19(dt,J = 9.93,6.07 Hz,1 H),1.16(d,J = 6.31 Hz,3 H).Tr=3.27分(7分法)m/z(ES)(M+H)273/275.
(1S,2S)−2−(3−クロロ−4−シクロプロポキシベンゾイル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0305】
δ(500 MHz,DMSO)12.58(br.s.,1 H),8.11(d,J = 2.05 Hz,1 H),7.90 − 7.97(m,1 H),7.83(d,J = 8.35 Hz,1 H),3.14(d,J = 5.67 Hz,1 H),2.32(d,J = 5.67 Hz,1 H),1.37 − 1.48(m,3H),1.05(s,3 H).Tr=3.47分(7分法)m/z(ES)(M+H)287.
(1R,2R)−2−(3−クロロ−4−シクロプロポキシベンゾイル)シクロプロパン−1−カルボン酸
【0306】
δ(500 MHz,DMSO)12.58(br.s.,1 H),8.11(d,J = 2.05 Hz,1 H),7.91 − 7.99(m,1 H),7.83(d,J = 8.35 Hz,1 H),3.14(d,J = 5.67 Hz,1 H),2.32(d,J = 5.67 Hz,1 H),1.42(s,3H),1.05(s,3 H).Tr=3.47分(7分法)m/z(ES)(M+H)287.
【化34】
実施例24
【化35】
【0307】
以下の例は上記の方法に従って調製され得る。
【化36-1】
【化36-2】
【化36-3】
【化36-4】
【化36-5】
実施例25
【化37】
【0308】
以下の例は上記の方法に従って調製され得る。
【化38-1】
【化38-2】
【化38-3】
【化38-4】
【化38-5】
実施例26
【化39】
【0309】
以下の例は上記の方法に従って調製され得る。
【化40-1】
【化40-2】
【化40-3】
【化40-4】
【化40-5】
【0310】
実施例27
以下の経路(A、B、C、D、EおよびF)は、後続の表に示した化合物の合成のための方法を示す。
【化41】
【化42】
【0311】
実施例28
以下の経路(G)は、後続の表に示した化合物の合成のための一般的な方法を示す。
経路G:
【化43】
【化44】
【0312】
実施例29
以下の経路(H)は、後続の表に示した化合物の合成のための一般的な方法を示す。
経路H:
【化45】
【化46】
【0313】
実施例30
以下の例は上記の方法に従って調製され得る。
【化47】
【0314】
実施例31
L−キヌレニン(KYN)のヒドロキシル化による生成物3−ヒドロキシ−キヌレニン(3OH−KYN)の形成をLC/MSによってモニタリングするための一般化手順を以下に記載する。生成物は、MSを用いた多重反応モニタリングによって定量する。
主な試薬:
化合物:ストック濃度:100%DMSO中10mM。
細胞系:CHO GST HIS KMO細胞系,1E4細胞/ウェル/100μl(96ウェル細胞プレート内)。
基質:L−キヌレニン(Sigma:カタログ番号K3750,ストック濃度:100mMリン酸カリウムバッファー(pH7.4)中10mM)。
アッセイ条件:
培地:OptiMem(Reduced Serum Medium 1×,+L−グルタミン+HEPES−フェノールレッド;GIBCO:カタログ番号11058)。
アッセイ体積:200μl。
プレート形式:96ウェルプレート,透明(Corning)。
読み出し:生成物特異的MRMを用いた生成物(3OH−KYN)の定量。
読取り装置:LC/MS/MS。
アッセイプロトコル:
・100%DMSO中で化合物の連続希釈物(係数3)を調製する(最高濃度=6.67mM,100%DMSO)
[8点:6.67mM;2.22mM;0.74mM;0.247mM;0.082mM;0.027mM;0.009mM;0.003mM]。
・OptiMem培地中で各化合物濃度の300倍濃縮溶液(最高濃度22.22μM,0.3%DMSO)を調製する
[22.2μM;7.41μM;2.47μM;0.82μM;0.27μM;0.09μM;0.03μM;0.01μM]。
・基質(10mM)を培地中1.1mMの濃度に調製する。
・細胞プレート内の培地を廃棄する。
・細胞をOptiMem(100μl/ウェル)で洗浄し、再度培地を廃棄する。
・アッセイミックス:90μlのOptiMem/ウェル+90μlの化合物/ウェル(各濃度)
[最終化合物の最高濃度:10μM;0.15%DMSO]
[最終化合物の最低濃度:0.004μM;0.15%DMSO]。
・プレインキュベーション:37℃で30分間。
・20μl/ウェルの1.1mM基質溶液を添加する(最終アッセイ濃度:100μM)。
・陽性対照:200μlのOptiMem。
・陰性対照:180μlのOptiMem+20μlの1.1mM基質。
・37℃で約24時間インキュベートする。
・各ウェル内の100μlを透明な96ウェルプレート(Corning)に移す。
・100μl/ウェルの10%トリクロロ酢酸(TCA)含有水を添加する。
・プレートを4000rpmで3分間遠心分離する。
・生成物をLC/MSによって検出する(50μl/ウェルをインジェクション;20μl容の試料ループの2.5倍過剰を充填)。
データ解析:IC50を、自動フィッティングアルゴリズム(A+ Analysis)を用いて計算する。
【0315】
実施例32
L−キヌレニン(KYN)のヒドロキシル化による生成物3−ヒドロキシ−キヌレニン(3OH−KYN)の形成をLC/MSによってモニタリングする方法を以下に記載する。生成物は、多重反応モニタリングによって定量する。
主な試薬:
化合物:ストック濃度:100%DMSO中10mM。
酵素:EvotecにおいてCHO−GST HIS KMO細胞からのミトコンドリアの単離によって調製されたKMO酵素。
基質:L−キヌレニン(Sigma:カタログ番号K3750)
[ストック濃度:100mMリン酸カリウムバッファー(pH7.4)中10mM]。
アッセイ条件:
バッファー:100mMリン酸カリウム,pH7.4,200μM NADPH,0.4U/ml G6P−DH(グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ),3mM G6P(D−グルコース6−リン酸)。
アッセイ体積:40μl。
プレート形式:384ウェルプレート,透明(Matrix)。
読み出し:生成物特異的MRMを用いた生成物(3OH−KYN)の定量。
読取り装置:LC/MS/MS。
アッセイプロトコル:
・100%DMSO中で化合物の連続希釈物(係数3)を調製する(最高濃度=10mM,100%DMSO)
[8点:10mM;3.33mM;1.11mM;0.37mM;0.12mM;0.04mM;0.0137mM;0.0045mM,0.0015mM]。
・アッセイバッファー中で各化合物濃度の3.33倍濃縮溶液を調製する(最高濃度300μM,3%DMSO)
[濃度:300μM;100μM;33.3μM;11.1μM;3.70μM;1.23μM;0.41μM;0.137μM]。
・基質(10mM)をアッセイバッファー中1mMの濃度に調製する。
・アッセイミックス:4μlの化合物/ウェル(各濃度)+24μlのアッセイバッファー/ウェル+8μlのKMOヒト酵素+4μlの1mM基質(終濃度=100μM)
[最終化合物の最高濃度:30μM;0.3%DMSO]
[最終化合物の最低濃度:0.0137μM;0.3%DMSO]。
・陽性対照:4μlの50μM FCE28833(アッセイバッファー[0.5%DMSO]中)(最終アッセイ濃度=5μM)+24μlのアッセイバッファー/ウェル+8μlのKMOヒト酵素+4μlの1mM基質(終濃度=100μM)。
・陰性対照:28μlのアッセイバッファー/ウェル+8μlのKMOヒト酵素+4μlの1mM基質(終濃度=100μM)。
・室温で400分間インキュベートする。
・40μl/ウェルの10%トリクロロ酢酸含有水を添加してアッセイを終了させ、タンパク質を沈殿させる。
・プレートを4000rpmで3分間遠心分離する。
・LC/MSによって生成物を検出する(50μl/ウェルをインジェクション;20μl容の試料ループの2.5倍過剰を充填)。
データ解析:IC50を、自動フィッティングアルゴリズム(A+ Analysis)を用いて計算する。
【0316】
実施例33
L−キヌレニン(KYN)のヒドロキシル化による3−ヒドロキシ−キヌレニン(3OH−KYN)の形成をLC/MSによってモニタリングする方法を記載する。生成物は、多重反応モニタリング(MRM法)によって定量する。
主な試薬:
化合物:ストック濃度:100%DMSO中10mM。
酵素:Evotecにおいてマウス肝臓(4〜6週齢)からミトコンドリア単離によって文献に記載のようにして調製されたKMO酵素。
基質:L−キヌレニン(Sigma:カタログ番号K3750,ストック濃度:100mMリン酸カリウムバッファー(pH7.4)中10mM)。
アッセイ条件:
バッファー:100mMリン酸カリウム,pH7.4,200μM NADPH,0.4U/ml G6P−DH(グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ),3mM G6P(D−グルコース6−リン酸)。
アッセイ体積:40μl。
プレート形式:384ウェルプレート,透明(Matrix)。
読み出し:生成物特異的MRMを用いた生成物(3OH−KYN)の定量。
読取り装置:LC/MS/MS。
アッセイプロトコル:
・100%DMSO中で化合物の連続希釈物(係数3)を調製する(最高濃度=10mM,100%DMSO)
[8点:10mM;3.33mM;1.11mM;0.37mM;0.12mM;0.04mM;0.0137mM;0.0045mM,0.0015mM]。
・アッセイバッファー中で各化合物濃度の3.33倍濃縮溶液を調製する(最高濃度300μM,3%DMSO)
[濃度:300μM;100μM;33.3μM;11.1μM;3.70μM;1.23μM;0.41μM;0.137μM]。
・基質(10mM)をアッセイバッファー中1mMの濃度に調製する。
・アッセイミックス:4μlの化合物/ウェル(各濃度)+24μlのアッセイバッファー/ウェル+8μlのKMOマウス酵素+4μlの1mM基質(終濃度=100μM)
[最終化合物の最高濃度:30μM;0.3%DMSO]
[最終化合物の最低濃度:0.0137μM;0.3%DMSO]。
・陽性対照:4μlの50μM FCE28833(アッセイバッファー(0.5%DMSO)中)[最終アッセイ濃度=5μM]+24μlのアッセイバッファー/ウェル+8μlのKMOマウス酵素+4μlの1mM基質[終濃度=100μM]。
・陰性対照:28μlのアッセイバッファー/ウェル+8μlのKMOマウス酵素+4μlの1mM基質[終濃度=100μM]。
・室温で40分間インキュベートする。
・40μl/ウェルの10%トリクロロ酢酸含有水を添加してアッセイを終了させ、タンパク質を沈殿させる。
・プレートを4000rpmで3分間遠心分離する。
・LC/MSによって生成物を検出する(20μl/ウェルをインジェクション,10μlの試料ループの2倍過剰を充填)。
データ解析:IC50を、自動フィッティングアルゴリズム(A+ Analysis)を用いて計算する。
【0317】
実施例34
実施例33のアッセイプロトコルと実質的に同様のアッセイプロトコルを使用し、以下の化合物を試験した。
【化48-1】
【化48-2】
【化49】
【0318】
いくつかの実施形態を示し、記載したが、これらに対して、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに種々の改良および置き換えが行われ得る。例えば、請求項の構成の解釈では、本明細書において以下に示す特許請求の範囲は、なんら文言よりも狭く解釈されることを意図せず、したがって、本明細書の例示的な実施形態が特許請求の範囲に読み替えられることを意図しない。したがって、本発明は、特許請求の範囲の実例として記載したものであって限定するものではないことが理解される。
以下は、本発明の実施形態の一つである。
(1)式I
【化50】
(式中、

【化51】
であり、
11はクロロであり、R12は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、低級アルキルもしくは低級アルコキシもしくはトリフルオロメチルで任意選択的に置換されているシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールおよび−Z−R20から選択され、ここで、
Zは、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−CR2122−、−OCR2122−、−CR2122O−、−NR23−、−NR23CR2122−、−CR2122NR23−、および−C(O)−から選択され、
21、R22、およびR23は、独立して水素、低級アルキル、ヒドロキシルおよび低級アルコキシから選択されるか、あるいはR21とR22が、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている3〜7員のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成しており、
20は、水素、任意選択的に置換されているC〜Cアルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているヘテロアリール、および任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルから選択されるか、あるいは
20とR23が、これらが結合している窒素と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しているか、あるいは
11とR12が、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル環を形成しており;
13は水素またはハロであるか、あるいは
12とR13が、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しており;
Xは、−CR−および−NR−から選択され;
およびRは、独立して水素、任意選択的に置換されているアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシおよび任意選択的に置換されている低級アルキルから選択されるか、あるいはRとRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しており;
は、水素および任意選択的に置換されている低級アルキルから選択され;
Lは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R17)−、−C(O)N(OR16)−、−N(R17)S(O)−、−S(O)N(R17)−、−C(O)N(R17)−S(O)−、−C(=N−OR16)−および共有結合から選択され、ここで、
16は、水素および低級アルキルから選択され;
17は、水素および低級アルキルから選択されるか;あるいは
が、水素、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているヘテロアリール、任意選択的に置換されているシクロアルキル、および任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルから選択されるが;ただし、
Lが−C(O)N(R17)−である場合、Rもまたヒドロキシルまたは低級アルコキシであり得、
Lが−N(R17)S(O)−である場合、Rは水素ではなく、
Lが共有結合である場合、Rは、シアノ、任意選択的に置換されているヘテロアリール、および任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキルから選択されるものとするか、あるいは
とR17が、これらが結合している窒素と一体となって、任意選択的に置換されている4〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しており、該環は、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されているアリールまたは任意選択的に置換されているヘテロアリール環と任意選択的に縮合しているか、あるいは
とRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しており;
およびRは、独立して水素、ハロ、任意選択的に置換されているアミノ、ヒドロキシル、低級アルコキシおよび任意選択的に置換されている低級アルキルから選択されるか、あるいは
とRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しているか、あるいは
とRが、いずれかの介在原子と一体となって、任意選択的に置換されている5〜7員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5〜7員のヘテロシクロアルキルを形成しているが、
ただし、Rが3−クロロフェニルまたは3,4−ジクロロフェニルであり、かつXが−CH−、−CF−、−CH(CH)−または−C(CH−である場合、−L−Rは−COOHでも、−CHOでも、−C(O)NHでも、−C(O)NHCHでも、−C(O)NHCH−フェニルでも、−C(O)NH−フェニルでも、−C(O)−NH(OH)でも、−C(O)NHSO−フェニルでも、−C(O)O−t−ブチルでも、−C(O)OCHでも、−C(O)−NH−CH(フェニル)−CHCHOHでもないものとする)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(2)Xが−CR−である、(1)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(3)Rが、水素、ヒドロキシル、低級アルコキシ、1個もしくは複数のアルキル基で任意選択的に置換されているアミノ、ならびにハロ、ヒドロキシル、低級アルコキシ、および1個もしくは複数のアルキル基で任意選択的に置換されているアミノから独立して選択される1個もしくは複数の基で任意選択的に置換されている低級アルキルから選択される、(2)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(4)Rが、水素、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、アミノメチル、(メチルアミノ)メチル、および(ジメチルアミノ)メチルから選択される、(3)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(5)Rが水素および低級アルキルから選択される、(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(6)Rが水素およびメチルから選択される、(5)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(7) とRが水素である、(2)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(8)Rがメチルであり、Rが水素である、(2)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(9)RとRがメチルである、(2)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(10)RとRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されている5員もしくは6員のシクロアルキルまたは任意選択的に置換されている5員もしくは6員のヘテロシクロアルキル環を形成している、(2)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(11)RとRが、これらが結合している炭素と一体となって、任意選択的に置換されているシクロペンチルまたは任意選択的に置換されているピロリジン−3−イルを形成している、(10)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(12)RとRが、これらが結合している炭素と一体となって、シクロペンチルまたはピロリジン−3−イルを形成している、(11)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(13)Xが−NR−である、(1)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(14)Rが水素である、(13)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(15)R12が、水素、クロロ、シクロプロピル、フラン−2−イル、フルオロ、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−3−イル、1H−ピロール−2−イル、トリフルオロメチル、および3−メチルオキセタン−3−イルから選択される、(1)〜(14)のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(16)R12がクロロである、(15)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(17)R12が−Z−R20である、(1)〜(14)のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(18)Zが−O−である、(17)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(19)Zが−S−である、(17)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(20)Zが−S(O)−である、(17)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(21)Zが−CR2122−である、(17)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(22)R20が、水素、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチル、(2R)−ブタン−2−イル、(2S)−ブタン−2−イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、イソプロピル、およびオキセタン−3−イルから選択される、(14)〜(21)のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(23)Rが、3−クロロフェニル、3−クロロ−4−(1−シクロプロポキシエチル)フェニル、3−クロロ−4−(1H−イミダゾール−2−イル)フェニル、3−クロロ−4−(1H−ピロール−2−イル)フェニル、3−クロロ−4−(1−メトキシシクロプロピル)フェニル、3−クロロ−4−(1−メチルシクロプロピル)フェニル、3−クロロ−4−(3−メチルオキセタン−3−イル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロパンスルフィニル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロパンスルホニル)フェニル、3−クロロ−4−シクロプロポキシ−フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロポキシメチル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノ)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロピルメチル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロピルメチル)フェニル、3−クロロ−4−(シクロプロピルスルファニル)フェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、3−クロロ−4−(フラン−2−イル)フェニル、3−クロロ−4−イソプロポキシ−フェニル、3−クロロ−4−メチル−フェニル、3−クロロ−4−(オキセタン−3−イルオキシ)フェニル、3−クロロ−4−(オキセタン−3−イルオキシ)フェニル、3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イル)フェニル、3−クロロ−4−(ピロリジン−3−イル)フェニル、3−クロロ−4−tert−ブチル−フェニル、3−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル、3−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、3−クロロ−4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル、3−クロロ−4−[1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル]フェニル、3−クロロ−4−[シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]フェニル、3−クロロ−4−[シクロプロピル(メチル)アミノ]フェニル、3−クロロ−4−シクロプロパンカルボニルフェニル、3−クロロ−4−シクロプロポキシフェニル、3−クロロ−4−シクロプロピルフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−フルオロフェニル、3−フルオロ−4−クロロ−フェニル、3−フルオロ−4−シクロプロポキシ−フェニル、3−フルオロ−4−イソプロポキシ−フェニル、3−フルオロ−4−メチル−フェニル、3−フルオロ−4−tert−ブチル−フェニル、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、4−(アジリジン−1−イルメチル)−3−クロロフェニル、4−[(2R)−ブタン−2−イルオキシ]−3−クロロフェニル、4−[(2S)−ブタン−2−イルオキシ]−3−クロロフェニル、および4−tert−ブチル−3−クロロフェニルから選択される、(1)〜(14)のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(24)Rが、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−6−イルから選択され、該2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−6−イルの各々は、ハロ、任意選択的に置換されている低級アルキル、任意選択的に置換されているシクロアルキル、任意選択的に置換されているヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されているヘテロアリール、−OR12、−NR1213、−SR12、−SOR11、−SO11、および−COR12から独立して選択される1個、2個または3個の基で任意選択的に置換されている、(1)〜(14)のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(25)Rが、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−6−イルから選択され、該2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、および2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−6−イルの各々は、ハロおよび低級アルキルから独立して選択される1個、2個または3個の基で任意選択的に置換されている、(24)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(26)Rが、7−クロロ−1−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、7−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、7−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル、8−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、2H−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、7−クロロ−2,3,3a,7a−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、8−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−6−イル、7−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、7−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール−5−イル、4−クロロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−6−イルおよび4−クロロ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−6−イルから選択される、(25)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(27)Rが、水素、アミノメチル、メトキシメチル、メチル、1−アミノエチル、1−メトキシ−エチル、メトキシ、およびハロから選択される、(1)〜(26)のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(28)Rがメチルである、(27)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(29)Rが水素である、(27)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(30)Lが、−C(O)O−、−C(O)N(R17)−および共有結合から選択される、(1)〜(29)のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(31)Lが−C(O)O−である、(30)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(32)Rが、水素、任意選択的に置換されているアルキル、および任意選択的に置換されているフェニルから選択される、(31)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(33)Rが、水素、および、ヒドロキシル、アミノ、(アルキル)アミノまたは(ジアルキル)アミノで任意選択的に置換されている低級アルキルから選択される、(32)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(34)Lが−C(O)N(R17)−である、(30)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(35)R17が水素である、(34)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(36)Rが、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシルで任意選択的に置換されている、アルキル、およびフェニルから選択される、(34)または(35)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(37)Rが、水素およびヒドロキシルから選択される、(36)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(38)Rが水素である、(37)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(39)RとR17が、これらが結合している窒素と一体となって、任意選択的に置換されている4〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成している、(34)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(40)Lが共有結合である、(30)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(41)Rが、シアノおよび任意選択的に置換されているヘテロアリールから選択される、(40)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(42)Rが、1,2,3,4−テトラゾール−5−イルおよび4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−5−オン−3−イルから選択される、(41)に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(43)表1〜5のいずれか1つに挙げられた化合物から選択される化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ。
(44)(1)〜(43)のいずれかに記載の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ、および少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
(45)キヌレニン3−モノオキシゲナーゼ活性によって媒介される状態または障害の処置を、かかる処置を必要とする被験体において行う方法であって、該被験体に(1)〜(43)のいずれかに記載の治療有効量の少なくとも1種類の化合物またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを投与することを含む方法。
(46)前記状態または障害が神経変性病態を伴うものである、(45)に記載の方法。