【課題を解決するための手段】
【0005】
水性シリコーン分散液の調製のための本発明に従うプロセスは、(a)分子当たり平均少なくとも2個のアルケニル基を有するアルケニル含有オルガノポリシロキサンと、(b)分子当たり平均少なくとも2個のSiH部分を有するSiH含有シロキサンと、を混合することと、得られた混合物をポリビニルアルコール(PVA)水溶液中で乳化させて水性シリコーンエマルションを形成することと、を含み、ヒドロシリル化触媒が、PVA水溶液の添加と同時に添加されるか、又は続いて水性シリコーンエマルションに添加され、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)とが、水性シリコーンエマルション中で一緒に反応し、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)とそれらの反応生成物とが、水相中に溶解されたPVAによって分散液形態で安定化される。
【0006】
「分散液」により、我々は、液体又は固体であり得る分散又は不連続な相を有するコロイド材料を意味し、それは、連続液相中に分散され得るか、又は統計的に分配され得る。本発明の水性シリコーン分散液は、液体又は固体であり得るシリコーン材料の分散相を有し、それは、水性連続液相中に分散され得る。エマルションは、連続液相中に分散され得るか、又は統計的に分配され得る分散液相を有するコロイド材料である。アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)及びSiH含有シロキサン(b)は、混合され乳化されるときは液体であるが、ヒドロシリル化触媒の存在でエマルションの分散液相内で反応し得固体シリコーン材料を形成する。本発明の水性シリコーン分散液は、基板に塗布されるときにフィルムを形成することができる。
【0007】
本発明に従うフィルムを形成するために有用な水性分散液は、水相中に分散されたシリコーン組成物を含み、シリコーン組成物は、(a)分子当たり平均少なくとも2個のアルケニル基を有するアルケニル含有オルガノポリシロキサンと、(b)分子当たり平均少なくとも2個のSiH部分を有するSiH含有シロキサンとの反応の生成物を含み、分散液はまた、ヒドロシリル化触媒とPVAとを含み、前記水相中に溶解されたPVAによって分散液形態で安定化される。
【0008】
本発明の水性シリコーン分散液がフィルムとして堆積又は基板上にコーティングされ乾燥されると、反応したシリコーン組成物の分散相は、基板に接触している軟質シリコーンエラストマー層として一緒に接着する。フィルム又はコーティングの露出面は、全面的に又は主としてポリビニルアルコールを含む。フィルム又はコーティングの露出面は、粘着性ではない。したがって、分散液は、平らなホウケイ酸ガラス基板上に試験用多層フィルムを形成することができるとして特徴付けることができ、多層フィルムは、基板と外部のPVA層との間に挟まれ、基板と外側のPVA層と機能的に接触している、内部シリコーン層を含み、内部シリコーン層は、エマルションの液滴の集合体を含み、外部のPVA層は、80度(°)未満の水接触角(θ)により特徴付けることができる。水接触角(θ)は、試験用水滴がその上に堆積された30秒後、ASTM D7334−08に従って測定される。
【0009】
本発明に従う多層フィルムは、PVA層と機能的に接触しているシリコーン層を含み、シリコーン層は、上述のように分散液の液滴の集合体を含み、PVA層は、80度(°)未満の水接触角(θ)により特徴付けることができる。
【0010】
多層フィルムで基板をコーティングする方法は、上述のように水性分散液で基板をコーティングすることと、水相中の水を基板上のコーティングから蒸発させることとを含む。
【0011】
本発明の分散液は、局部塗布により、医薬品的に又は化粧品的に活性な成分を送達する際の使用のために有効である。本発明に従う医薬品又は化粧品組成物は、それぞれ、上述のような水性分散液と、医薬品的に又は化粧品的に活性成分との混和物を含む。本発明に従う医薬品的に又は化粧品的に活性な多層フィルムは、上述のような多層フィルムを含み、多層フィルムのシリコーン層は、それぞれ、医薬品的に又は化粧品的に活性な成分を含有する。
【0012】
哺乳類の疾患又は状態の治療を必要とする哺乳類の疾患又は状態を治療する、本発明に従う方法は、治療的に有効な量の上述のような本発明に従う医薬品的な又は化粧品的な組成物を、哺乳類の皮膚の一部に局部的に塗布することを含む。哺乳類の疾患又は状態の治療を必要とする哺乳類の疾患又は状態を治療する代替的な方法は、治療的に有効な量の本発明の医薬品的に又は化粧品的に活性な多層フィルムを、哺乳類の皮膚の部分に局部的に塗布することを含む。
【0013】
医薬品的に又は化粧品的に活性な成分を伴って、又は伴わずに、本発明の分散液は、例えば、皮膚のしわをマスクする等の皮膚ケアにおいて有用である。哺乳類の皮膚のしわのマスク処置を必要とする哺乳類の皮膚のしわをマスクする、本発明に従う方法は、有効な量の本発明の分散液組成物を哺乳類の皮膚に局部的に塗布することを含む。哺乳類の皮膚のしわのマスク処置を必要とする哺乳類の皮膚のしわをマスクする代替的な方法は、有効な量の本発明の多層フィルムを、哺乳類の皮膚に局部的に塗布することを含む。
【0014】
アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)は、好ましくは、実質的に直鎖状ポリジオルガノシロキサンであるが、代替的に分枝状オルガノポリシロキサンであり得る。好適なアルケニル基の例としては、ビニル、ヘキセニル、アリル、イソプロペニル、又はブテニル基が挙げられる。アルケニル基の結合位置は、例えば、分子鎖上の末端位置及び/又は側枝又は側鎖位置であってもよい。好ましくは、アルケニル含有オルガノポリシロキサンは、分子当たり平均少なくとも2個のビニル基を含有するポリジオルガノシロキサンである。アルケニル含有オルガノポリシロキサン中のアルケニル基以外の有機基は、例えば、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を有するアリール基であり得る。アルケニル基以外の有機基は、例えば、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり得、典型的に、メチル又はエチル基であり得る。
【0015】
アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)は、分子当たり2個を超える、例えば、3〜最大6又はそれ以上のアルケニル基を含有し得るが、アルケニル含有オルガノポリシロキサンは、分子当たり2個のアルケニル基のみを含有することが多くの場合望ましい。アルケニル含有オルガノポリシロキサンは、例えば、アルケニル末端ポリジオルガノシロキサン、例えば、ビニル末端ポリジメチルシロキサンであってもよい。
【0016】
アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)は、例えば、欧州特許第1070734号に記載の構造の分枝状シロキサンであり得る。分枝状シロキサンは、(i)式(SiO
4/2)の1つ以上のQ単位、及びii)(i)と(ii)とが任意の適切な組み合わせで相互結合され得る、式Rb
2SiO
2/2の15〜995個のD単位、及びiii)式RaRb
2SiO
1/2のM単位からなり得、式中、各Ra置換基が、1〜6個の炭素原子を有するアルキニル基及び最大6個の炭素原子を有するアルケニル基からなる群から選択され、各Rb置換基が、1〜6個の炭素原子を有するアルキニル基、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、及びメタクリレート基からなる群から選択される。分枝状シロキサン中の少なくとも2個、典型的に少なくとも3個の置換基は、アルケニル基である。好ましくは、分枝状シロキサン中の少なくとも3個のRa置換基は、アルケニル基である。
【0017】
アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)は、好ましくは、少なくとも100ミリパスカル秒(mPa.s)の動的粘度を有し、25℃で、ASTM D1084−08 Method B(接着粘度のための標準試験方法)又はASTM D4287−00(2010)(錐体/プレートの粘度計を用いる高剪断粘度のための標準試験方法)に記載されるように試験されたときに、例えば、100〜100,000,000mPa.s、特に100〜100,000mPa.sの動的粘度を有し得る。それは、例えば、式CH
2=CH−Si(CH
3)
2O−[Si(CH
3)
2O]
n−Si(CH
3)
2−CH=CH
2のビニルで末端封鎖されたポリジメチルシロキサンであり得、式中、nは、100〜10000、好ましくは、100〜1000の平均数である。
【0018】
アルケニル含有オルガノポリシロキサンは、上述のように、1つ以上のアルケニル含有オルガノポリシロキサンを含むことができる。例えば、それは、少なくとも1つの実質的に直鎖状ポリジオルガノシロキサン及び少なくとも1つの分枝状オルガノポリシロキサンを含み得る。
【0019】
任意に、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)は、アルケニル含有オルガノポリシロキサン樹脂、例えば、R
12R
2SiO
1/2単位、及びR
13SiO
1/2単位から選択される少なくとも1つのSiO
4/2単位及びトリオルガノシロキシ単位を含む樹脂、を含み、R
1は、C
1〜10アルキル基を表し、R
2は、アルケニル基を表す。各R
1基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、2つのシクロペンチル又はシクロヘキシルであり得る。各R
2基は、例えば、ビニルが好ましいが、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、ヘキセニル、又はシクロヘキセニルであり得る。アルケニル含有オルガノポリシロキサン樹脂は、0.4〜5.0質量%のアルケニル基を含んでもよい。アルケニル含有オルガノポリシロキサン樹脂は、例えば、0〜20重量%の成分(a)を含むことができる。
【0020】
SiH含有シロキサン(b)は、例えば、RHSiO
2/2基及びR2HSiO1
/2基、並びに任意に、R
2SiO
2/2基及び/又はR
3SiO
1/2基から選択される基を含むことができ、式中、各Rは、8個を超える炭素原子を有しないアルキル又はアリール基を意味する。基Rは、例えば、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基又はフェニル基、典型的にメチル基であり得る。
【0021】
SiH含有シロキサン(b)は、分子当たり平均少なくとも2個のSiH部分を有する。本発明は、分子当たり2個のアルケニル基のみを含有するアルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)と共に分子当たり2個のSiH部分のみを含有するSiH含有シロキサン(b)の使用を含むが、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)が分子当たり2個を超えるアルケニル基を含有するか、又はSiH含有シロキサン(b)が分子当たり2個を超えるSiH部分を含有するか、のいずれかであることが望ましい。アルケニル含有オルガノポリシロキサンが(a)分子当たり2個のアルケニル基のみを含有し、SiH含有シロキサン(b)が分子当たり2個のSiH部分のみを含有する場合、それらは、ヒドロシリル化触媒の存在で一緒に反応し、鎖延長を受け、増加した分子量及び増加した粘度の直鎖状ポリシロキサンを形成するが、概して、架橋を受けずエラストマー性シリコーン材料を形成しない。アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)が分子当たり2個を超えるアルケニル基を含有するか、又はSiH含有シロキサン(b)が分子当たり2個を超えるSiH部分を含有するか、のいずれかの場合、それらは、ヒドロシリル化触媒の存在で一緒に反応し、架橋を受け、それによってエラストマー性シリコーン材料を形成する。好ましくは、SiH含有シロキサンは、分子当たり平均2個を超えるSiH部分、例えば、2.5〜200個のSiH部分、更に好ましくは、3〜20個のSiH部分を有する。
【0022】
SiH含有シロキサン(b)は、例えば、ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)又はジメチルシロキサンメチルハイドロジェンシロキサンコポリマーであり得る。SiH含有シロキサンは、例えば、4〜200個のシロキサン単位を含むことができ、4〜20個のシロキサン単位を有するオリゴマーであってもよい。SiH含有シロキサンは、例えば、25℃で1〜300mPa.sの動的粘度を有することができる。
【0023】
エラストマー性シリコーン材料が、2〜30個の炭素原子を有する炭化水素基又はポリオキシアルキレン基等の側枝基を含有すべきであることが所望される場合、SiH含有シロキサンは、このような基を含有するように修飾され得る。例えば、ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)又はジメチルシロキサンメチルハイドロジェンシロキサンコポリマーは、ヒドロシリル化触媒の存在で、2〜30個の炭素原子と例えば、1−アルケン等の1個の末端アルケニル基とを有する炭化水素、又は1個の末端アルケニル基を有するポリオキシアルキレンと、予め反応させることができる。このような反応前でのアルケニル基対SiH部分のモル比は、得られるSiH含有シロキサン(b)が分子当たり少なくとも2個、好ましくは2個を超えるSiH部分をなおも含有する側枝基を有するように、十分に低くなければならない。
【0024】
SiH含有シロキサン(b)のSiH部分対アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)のアルケニル基のモル比は、好ましくは、0.5:1〜1.5:1、更に好ましくは、0.6:1〜1.2:1の範囲である。SiH含有シロキサン(b)対アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)の重量比は、使用される試薬に応じて広く様々であり得るが、概して、1:1000〜10:1の範囲、特に1:200〜6:1の範囲、及び多くの場合1:500〜1:5の範囲である。
【0025】
ヒドロシリル化反応を触媒するための触媒は、当該技術分野において既知であり、市販されている。このようなヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムから選択される金属であり得る。あるいは、ヒドロシリル化触媒は、このような金属の化合物(例えば、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、二塩化白金)、及び低分子量オルガノポリシロキサンと上記化合物との錯体、又はマトリックス若しくはコア/シェル型構造にマイクロカプセル化された白金化合物であり得る。白金と低分子量オルガノポリシロキサンの錯体としては、白金を有する1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化されてもよい。例示的なヒドロシリル化触媒は、米国特許第3,159,601号、同第3,220,972号、同第3,296,291号、同第3,419,593号、同第3,516,946号、同第3,814,730号、同第3,989,668号、同第4,784,879号、同第5,036,117号、及び同第5,175,325号、並びに欧州特許第0 347 895 B号に説明される。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒及びその調製方法は、米国特許第4,766,176号及び同第5,017,654号に例示されている通り、当該技術分野において既知である。
【0026】
触媒の適切な量は、使用される特定の触媒、並びに使用される特定のアルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)及びSiH含有シロキサン(b)に依存する。白金含有触媒は、組成物中のアルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)及びSiH含有シロキサン(b)の総重量に基づいて、白金の少なくとも2百万分率(ppm)を提供するように十分な量で存在し得る。典型的には、白金は、同様の基準で4〜150重量ppmの白金を提供するのに十分な量で存在する。触媒を、単一種類として、又は2種以上の異なる種類の混合物として添加してよい。
【0027】
SiH含有シロキサン(b)のSiH部分及びアルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)のアルケニル基は、ヒドロシリル化触媒の存在で一緒に反応する。反応の生成物は、式
≡Si−CH2−CH(Y)−(A)a−Si≡
のシロキサン鎖の間の連結により特徴付けられ、
示されるSi原子は、各々、異なるシロキサン鎖の部分を形成し、a=0又は1であり、Aが存在する場合、通常1〜4個の炭素原子を有する炭化水素連鎖を表し、Yは、水素又は1又は2個の炭素原子を有するアルキル基を表す。アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)及びSiH含有シロキサン(b)は、実質的に完全に反応させられ得、よって分散液に存在する反応生成物は、実質的に未反応のアルケニル基を含まないか、又は実質的に未反応のSiH基(すなわち、立体障害又は他の理由のため反応するのが遅い任意の残存性SiH及び/又はアルケニルを除いて反応した)を含まないか、のいずれかであり、又は部分的に反応させられ得る。
【0028】
PVAは、概して、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)及びSiH含有シロキサン(b)を分散するために有用な任意のPVAであり得、任意の市販のポリビニルアルコールであってもよく、例えば、80%〜99.9%、好ましくは、85%〜99%の範囲の加水分解度を有してもよい。Hoppler粘度計(DIN 53015)により判定される、20℃の4%水溶液の粘度として測定される、PVAの粘度は、例えば、3〜60mPa.sの範囲であり得る。種々の好適なPVAは、「Mowiol(商標)」というKuraray America Incにより市販される、例えば、Mowiol 18〜88、Mowiol 8〜88、Mowiol 30−88、Mowiol 30〜92、及びMowiol 20〜98である。種々の好適なPVAはまた、「Elvanol(商標)」でありDuPont Incから入手可能である。
【0029】
本発明のプロセスの第1の工程では、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)及びSiH含有シロキサン(b)は、任意のヒドロシリル化触媒なしで一緒に混合される。アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)及びSiH含有シロキサン(b)は、両方とも概して液体である。次いで、得られる液体混合物は、PVA水溶液中に乳化され、水性シリコーンエマルションを形成し、そこで、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物の液滴が、PVA水溶液の連続水相中に分散される。
【0030】
アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物が乳化されるPVA水溶液中のその濃度は、水溶液の重量に基づいて例えば、2〜40重量%のPVA、好ましくは、5〜30重量%であり得る。アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物が乳化されるPVA水溶液中のその量は、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物の重量に基づいて、例えば、2〜100重量%であり得る。PVA水溶液の量は、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物の重量に基づいて好ましくは、4〜50重量%、更に好ましくは、5〜40重量%である。エマルションを形成する際にそれによって混合されたPVAの量は、好ましくは、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物の重量に基づいて1.2重量%〜20重量%のポリビニルアルコールであり、更に好ましくは、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物の重量に基づいて1.5〜15重量%のPVAである。
【0031】
PVA水溶液対ポリシロキサン混合物の低い比率では、例えば、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物の重量に基づいて15重量%未満のPVA水溶液であり、非ニュートン性の「厚い相」が形成され、それは、シリコーンポリマー単体より低剪断速度で一層粘着性であり、多くの場合降伏応力(粘塑性的動作)を呈する。このような厚い相の形成は、疎水性シロキサン試薬と水相との更なる完全な混合を可能にし、したがってエマルションの形成を補助する。乳化の初期段階では、PVA水溶液対ポリシロキサン混合物の量は、厚い相の形成のために上に定義したように15重量%未満であり得る。このような厚い相は、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物の重量に基づいて例えば、2〜10重量%のPVA水溶液を含有することができる。任意に、PVAの一部のみが、乳化の初期段階で使用される。厚い相は、水又は更なるPVA水溶液で希釈され得、やや粘着性の少ないエマルションを形成する。得られるエマルション中のアルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物の濃度は、必要であれば希釈されるが、エマルションの総重量に基づいて例えば、25〜90重量%の範囲であり得、典型的にエマルションの総重量に基づいて40〜80重量%の範囲であり得る。
【0032】
乳化は、概して、回転及び固定ミキサ等の高剪断ミキサで行われる。エマルションの粒径は、所望の場合、例えばホモジナイザー又はマイクロフルイダイザー等の増加された剪断力を適用する装置、又はソノレーター(超音波ミキサ)等の後続の工程で減少され得、液滴の体積中位径が、0.3〜30μm(マイクロメートル)の範囲であるエマルションを生成する。
【0033】
エマルションは、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物が任意の非ポリマー界面活性剤なしで乳化されるPVA水溶液中から調製することができる。「界面活性剤」により、我々は、両親媒性である、つまり、それが、その分子内に疎水性である部分及び親水性である部分を含有する、有機化合物を意味する。「非ポリマー界面活性剤」により、我々は、1600未満の分子量の界面活性剤を意味する。PVAは、このような界面活性剤ではなく、それはポリマーである。PVAは、残存性酢酸塩基の存在のため、ある程度両親媒性であってもよいが、両親媒性に修飾されたPVAを使用する必要はない。
【0034】
したがって、フィルムを形成する水性シリコーン分散液は、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物、ポリビニルアルコール水溶液、及びヒドロシリル化触媒から、任意の非ポリマー界面活性剤なしで調製され得る。我々は、PVA水溶液での乳化により調製された水性シリコーン分散液が、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性の界面活性剤等の従来の非ポリマー界面活性剤を用いて、同じアルケニル含有オルガノポリシロキサン及びSiH含有シロキサン試薬から調製されたフィルムと比較すると、大幅に改善された機械的破壊強度を有する凝縮性フィルムとして堆積され得ることを見出した。分散液は、好都合に流延することにより堆積され得るが、代替的に、スプレー工法、展延工法、又はカレンダー工法により堆積され得る。本発明に従う好ましいプロセスでは、非ポリマー界面活性剤は、乳化において使用されないか、又は水性シリコーン分散液に続いて添加されない。
【0035】
しかしながら、非ポリマーで両親媒性の界面活性剤は、PVA水溶液に加えて、本発明のプロセスで使用され得る。非ポリマーの界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、又は両性の界面活性剤であり得、概して、PVA対非ポリマー界面活性剤の重量比が乾燥重量基準で少なくとも2.5:1であるような量で、使用され得る。非イオン性界面活性剤が、PVA対非イオン性界面活性剤の重量比が好ましくは、少なくとも5:1、更に好ましくは、7:1を超えて存在する場合、所望であれば、自立性フィルムとして扱われ得るのに十分な機械的強度を有するフィルムを形成する。カチオン性又はアニオン性界面活性剤が、PVA対カチオン性又はアニオン性界面活性剤の重量比が、好ましくは、少なくとも2.5:1、更に好ましくは、5を超えて存在する場合、所望であれば、自立性フィルムとして扱われ得るのに十分な機械的強度を有するフィルムを形成する。非ポリマー界面活性剤は、通常、水性シリコーン分散液の総重量の2%未満で存在する。非ポリマー界面活性剤は、使用された場合、通常、乳化前にPVA水溶液を有するアルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物に添加されるが、乳化後に水性シリコーンエマルションに添加することができる。
【0036】
好適な非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドとC
4〜16アルコール、特にポリエチレングリコール長鎖(12〜14C)アルキエーテル等の長鎖脂肪アルコール又は長鎖脂肪酸との縮合物、エチレンオキシドとアミン又はアミドとの縮合物、エチレンとプロピレンオキシドとの縮合生成物、グリセロールのエステル、ショ糖、ソルビトール、脂肪酸アルキロールアミド、ショ糖エステル、フルオロ−界面活性剤、脂肪アミンオキシド、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテル、ポリオキシアルキレンアルコキシレートエステル、及びポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0037】
カチオン性界面活性剤の例としては、例えば、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、牛脂トリメチルアンモニウムクロリド及びココトリメチルアンモニウムクロリド、脂肪アミン及び脂肪酸アミド並びにその誘導体、塩基性ピリジニウム化合物、ベンズイミダゾリン及びポリプロパノールポリエタノールアミン系の第四級アンモニウム塩基等のハロゲン化物等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0038】
アニオン性界面活性剤の例としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、並びにアルキルスルホン酸及びその塩、アルキルスルホン酸、硫酸アルキルエーテル、硫酸脂肪酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、アシルサルコシネート、アルキルカルボキシレート、脂肪酸、及び酸又は塩形態でのリン酸塩エステル等のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩が挙げられる。
【0039】
アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)及びSiH含有シロキサン(b)は、所望の場合、乳化前に賦形剤油と混合されることができる。「油」により、我々は、水と非相溶性の液体を意味する。賦形剤油は、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物と相溶性であるべきである。賦形剤油は、概して、乳化の条件下でアルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)のアルケニル基又はSiH含有シロキサン(b)のSiH基と反応性である、官能基を含有しない。油は、例えば、形成されるエラストマーシリコーン用の軟化剤又は減水剤であってもよく、又は例えば、皮膚軟化剤として皮膚ケアにおいて利益を有する油であってもよい。油は、シリコーン分散液中に組み込まれる医薬品的に又は化粧品的に活性な材料用の賦形剤であってもよく、油は、賦形剤及び医薬品的に又は化粧品的に活性な材料等の混合物であってもよい。乳化前に混合されるこのような油の量は、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との重量に基づいて、最大50重量%、例えば、1〜40重量%、及び好ましくは、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との重量に基づいて、2〜20重量%であり得る。
【0040】
所望される場合、触媒は乳化後にエマルションに添加され得るが、ヒドロシリル化触媒は、好ましくは、例えば、乳化前に触媒をPVA水溶液中に混合することにより、PVA水溶液と共にエマルションに同時に添加される。触媒がアルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との混合物に接触するとき、(a)のアルケニル基と(b)のSiH部分との反応が開始される。したがって、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との重合は、エマルションの分散液相内で起こる(エマルション重合)。重合は、ヒドロシリル化触媒の存在で周囲温度にて起こる。0〜100℃の範囲の任意の温度が使用され得るが、周囲温度の重合が、便宜上好まれ得る。例えば、50〜100℃の範囲での高温が、更に迅速な重合をもたらすために好まれ得る。
【0041】
分散液のpHがpH6未満、更に具体的にはpH5未満であることが好まれ得る。これは、白金触媒の存在でのPVAの加水分解の可能性を回避し、それにより、分散液は、蓄積して安定して留まり、かつ分散液から堆積されたフィルムの機械的特性及び接触角等のその特性を保持する。水酸化ナトリウムを含むクエン酸等の緩衝剤は、pHを所望の値に制御するように、エマルションに添加され得る。
【0042】
任意に、賦形剤との混和物中の医薬品的に又は化粧品的に活性な材料は、乳化後、いつでもエマルションに添加され得る。任意の賦形剤を含む医薬品的に又は化粧品的に活性な材料の量は、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との重量に基づいて、最大50重量%、例えば、1〜40重量%、及び好ましくは、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との重量に基づいて、2〜20重量%であり得る。
【0043】
充填剤は、乳化後、いつでもエマルションに添加され得る。充填剤は、例えば、親水性シリカ等の強化性充填剤であり得、又は例えば、シリカで処理されたコーティングのシリコーンクロスポリマー粉末又はシリコーンエラストマー粉末等の化粧料充填剤であり得る。充填剤は、粒子状固体として添加され得、又は例えば、シリコーンエラストマー粉末の非イオン性水性懸濁液等の懸濁液として添加され得る。
【0044】
したがって、本発明の水性シリコーン分散液の組成物は、5〜90重量%のアルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)、0.025〜75重量%のSiH含有シロキサン(b)、0.0002〜0.02重量%のヒドロシリル化触媒、0.3〜18重量%のPVA、8〜94重量%の水、及び、任意に、0〜50重量%の、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)又はSiH含有シロキサン(b)と相溶性だが反応性ではない水と非相溶性の、油、及び/又は0〜50重量%の、医薬品的に又は化粧品的に活性な材料であってそれによって任意の賦形剤を含む、活性な材料、及び/又は0〜0.5重量%の非イオン性界面活性剤、及び/又は0〜1.5重量%のカチオン性界面活性剤を含み、全て、水性シリコーン分散液の総重量に基づく。
【0045】
「医薬品的に活性な」材料は、医薬品的又は医療の利益を提供する任意の化合物又は化合物の混合物を意味する。したがって、医薬品的に活性な材料は、活性成分又は活性薬物成分として考慮され、概して、米国保健社会福祉省並びに食品医薬品局(the United States Department of Health & Human Services Food and Drug Administration)により使用され定義され、連邦規則集のタイトル21チャプターI、パート200〜299及びパート300〜499に含まれる、材料を含む。「化粧品的に活性な」材料は、化粧品的及び/又は美的利益を提供するように毛髪又は皮膚を処置する目的のために添加されたパーソナルケア処方における添加剤である任意の化合物又は化合物の混合物を意味する。
【0046】
医薬品的に活性な材料は、薬理活性又は他の診断、療法、緩和、治療における直接効果、又は疾患予防を供給する、若しくはヒト又は他の動物の身体の構造又は任意の機能に影響を及ぼすように意図される任意の成分を含むことができる。医薬品的に活性な材料は、薬物の生成における化学変化を受け得、指定される活性又は作用を供給するように意図された修飾形態で薬物中に存在し得る、それらの成分を含むことができる。
【0047】
医薬品的に活性な材料のいくつかの代表的な例としては、薬剤、ビタミン、ミネラル、ホルモン、運動選手の足、陰金、又は白せん、及びアクネ活性成分の治療のための抗生活性成分、抗真菌活性成分等の局部抗菌剤、収れん剤活性成分、脱臭剤活性成分、イボ除去剤活性成分、魚の目及びタコ除去剤活性成分、頭部、恥骨(毛ジラミ)、身体のシラミ治療のための殺シラミ薬活性成分、フケ、脂漏性皮膚炎、又は乾せんの管理のための活性成分、及び日焼け防止及び治療薬が挙げられる。
【0048】
化粧品的に活性な材料の例として、皮膚軟化剤、ろう、保湿剤、皮脂吸収剤又は皮脂制御剤、植物又は植物性の抽出物、色素、着色剤、条件剤、UV吸収剤及び日焼け止め剤、タンパク質及びアミノ酸並びその誘導体、芳香剤、制汗剤、色みケアの添加剤、真珠光沢剤、抗酸化剤、皮膚漂白剤及び皮膚保護剤が挙げられる。
【0049】
ビタミンの例としては、アルコール、酸、ステロール、及びキノンなどの種々の異なる有機化合物がある。それらは、2つの溶解性グループに分類され得、それらは、脂溶性ビタミン及び水溶性ビタミンである。パーソナルケア処方において有用性のある脂溶性ビタミンには、レチノール(ビタミンA)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、フィトナジオン(ビタミンK1)、及びトコフェロール(ビタミンE)がある。パーソナルケア処方において有用性を有する水溶性ビタミンとしては、アスコルビン酸(ビタミンC)、チアミン(ビタミンB1)、ナイアシン(ニコチン酸)、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、リボフラビン(ビタミンB2)、パントテン酸(ビタミンB5)、ビオチン、葉酸、ピリドキシン(ビタミンB6)、及びシアノコバラミン(ビタミンB12)が挙げられる。ビタミンの追加例として、ビタミンの誘導体、例えば、パルミチン酸レチニル(ビタミンAパルミテート)、酢酸レチニル(ビタミンAアセテート)、リノール酸レチニル(ビタミンAリノレート)、プロピオン酸レチニル(ビタミンAプロピオネート)、酢酸トコフェリル(ビタミンEアセテート)、リノール酸トコフェリル(ビタミンEリノレート)、コハク酸トコフェリル(ビタミンEスクシナート)、トコフェレス−5、トコフェレス−10、トコフェレス−12、トコフェレス−18、トコフェレス−50(エトキシ化ビタミンE誘導体)、PPG−2トコフェレス−5、PPG−5トコフェレス−2、PPG−10トコフェレス−30、PPG−20トコフェレス−50、PPG−30トコフェレス−70、PPG−70トコフェレス−100(プロポキシル化及びエトキシル化ビタミンE誘導体)、トコフェリルリン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸テトラヘキサデシル、マレイン酸アスコルビルトコフェリル、アスコルビルトコフェリルリン酸カリウム又はニコチン酸トコフェリルが挙げられる。
【0050】
本発明に従うプロセスで使用される医薬品的に活性な材料は、活性薬物成分であり得る。使用することができる一部の好適な薬物有効成分の代表例は、ハイドロコルチゾン、ケトプロフェン、チモロール、ピロカルピン、アドリアマイシン、マイトマイシンC、モルヒネ、ヒドロモルフォン、ジルチアゼム、テオフィリン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ヘパリン、ペニシリンG、カルベニシリン、セファロチン、セフォキシチン、セフォタキシム、5−フルオロウラシル、シタラビン、6−アザウリジン、6−チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ブレオマイシン、アウロチオグルコース、スラミン、メベンダゾール、クロニジン、スコポラミン、プロプラノロール、塩酸フェニルプロパノールアミン、ウアバイン、アトロピン、ハロペリドール、イソソルビド、ニトログリセリン、イブプロフェン、ユビキノン、インドメタシン、プロスタグランジン、ナプロキセン、サルブタモール、グアナベンズ、ラベタロール、フェニラミン、メトリホナート及びステロイドである。本発明の目的のための活性薬物成分としてはまた、過酸化ベンゾイル及びトレチノイン等の抗アクネ剤、グルコン酸クロロヘキサジエン等の抗細菌性剤、硝酸ミコナゾール等の抗真菌性剤、抗炎症剤、副腎皮質ステロイド剤、ジクロフェナク等の非ステロイド性抗炎症剤、クロベタゾールプロピオネート等の抗乾せん剤、リドカイン等の麻酔剤、かゆみ止め剤、抗皮膚炎剤が挙げられる。
【0051】
医薬品的に活性な材料は、酵素等のタンパク質であり得る。酵素として、市販のもの、改良型、組み換え型、野生型、自然界にみられない変異型、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、好適な酵素として、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、及びこれらの混合物が挙げられる。ヒドロラーゼとして、プロテアーゼ(細菌性、真菌性、酸性、中性、又はアルカリ性)、アミラーゼ(α又はβ)、リパーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、リゾチーム(lisozymes)、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。前記プロテアーゼとしては、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パンクレアチン、及び他の哺乳類酵素、パパイン、ブロメライン、及び他の植物性酵素、スブチリシン、エピデルミン、ナイシン、ナリンギナーゼ(L−ラムノシダーゼ)ウロキナーゼ、及び他の細菌性酵素が挙げられるが、これらに限定されない。前記リパーゼとしては、トリアシル−グリセロールリパーゼ、モノアシル−グリセロールリパーゼ、リポタンパク質リパーゼ、例えばステアプシン、エレプシン、ペプシン、他の哺乳類、植物性、細菌性リパーゼ、及びこれらの精製物が挙げられるが、これらに限定されない。前述の酵素として天然パパインが好ましい。更に、刺激ホルモン、例えばインスリンをこれら酵素と共に用いて、酵素の有効性を強化することができる。
【0052】
医薬品的に又は化粧品的に活性な材料は、日焼け防止剤であってもよい。日焼け防止剤は、太陽光曝露の有害な影響から皮膚を保護するための当該技術分野において既知の任意の日焼け防止剤から選択することができる。日焼け防止化合物は、典型的に、紫外(UV)線を吸収する、有機化合物、無機化合物、又はそれらの混合物から選択される。紫外線吸収剤及び日焼け防止剤には、約290〜320ナノメートルの紫外線(UV−B領域)を吸収するものと、320〜400ナノメートル範囲の紫外線(UV−A領域)を吸収するものとがある。
【0053】
日焼け防止剤のいくつかの例は、アミノ安息香酸、シノキサート、ジエタノールアミンメトキシシンナマート、ジガロイルトリオレアート、ジオキシベンゾン、エチル−4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾアート、グリセリルアミノベンゾアート、ホモサラート、ジヒドロキシアセトンを有するローソン、メンチルアントラニラート、オクトクリレン、エチルヘキシルメトキシシンナマート、オクチルサリチラート、オキシベンゾン、パラジマートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、赤色ペトロラタム、スリソベンゾン、二酸化チタン、及びトロラミンサリチラートである。
【0054】
UV吸収剤の更なる例としては、アセトアミノサロール、アラントインPABA、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン1−12、3−ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファー加水分解コラーゲンスルホンアミド、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンジルサリチラート、ボルネロン、ブメトリオゾール(bumetriozole)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ブチルPABA、セリア/シリカ、セリア/シリカタルク、シノキサート、DEA−メトキシシンナメート、ジベンゾオキサゾールナフタレン、ジ−t−ブチルヒドロキシベンジリデンカンファー、ジガロイルトリオレアート、ジイソプロピルメチルシンナマート、ジメチルPABAエチルセテアリルジモニウムトシラート、ジオクチルブタミドトリアゾン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、ビスエチルフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルジイソプロピルシンナマート、エチルメトキシシンナマート、エチルPABA、ウロカニン酸エチル、エトロクリレンフェルラ酸、グリセリルオクタノアートジメトキシシンナマート、グリセリルPABA、グリコールサリチラート、ホモサラート、イソアミルp−メトキシシンナマート、イソプロピルベンジルサリチラート、イソプロピルジベンゾリルメタン、イソプロピルメトキシシンナマート、メンチルアントラニラート、メンチルサリチラート、4−メチルベンジリデン、カンファー、オクトクリレン、オクトリゾール、オクチルジメチルPABA、エチルヘキシルメトキシシンナマート、オクチルサリチラート、オクチルトリアゾン、PABA、PEG−25 PABA、ペンチルジメチルPABA、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、メトキシケイ皮酸カリウム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸カリウム、赤色ペテロラタム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム、ウロカニン酸ナトリウム、TEA−フェニルベンゾイミダゾールスルホネート、TEA−サリチラート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、二酸化チタン、トリPABAパンテノール、ウロカニン酸、及びVA/クロトネート/メタクリルオキシベンゾフェノン−1コポリマーがある。
【0055】
化粧品的に活性な材料は、芳香剤又は香料であってもよい。香料は、任意の香料又は香料産業において一般に使用されている芳香剤活性成分であり得る。これらの組成物は、典型的に、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン系炭化水素、複素環式窒素又はイオウ含有化合物のように種々の様々な化学物質、並びに、天然又は合成由来の精油の部類に属する。これらの香料成分のうちの多くは、Perfume and Flavour Chemicals,1969,S.Arciander,Montclair,N.J.等の標準教科書参照物に詳細に説明される。香水は、香料ケトン及び香料アルデヒドにより例示され得るがこれらに限定されない。香料ケトンを例証すると、ブッコキシム、イソジャスモン、メチルベータナフチルケトン、じゃ香インダノン、トナリド/じゃ香プラス、アルファ−ダマスコーン、ベータ−ダマスコーン、デルタ−ダマスコーン、イソ−ダマスコーン、ダマセノン、ダマローズ(Damarose)、ジヒドロジャスモン酸メチル、メントン、カルボン、カンファー、フェンコン、アルファ−イオノン、ベータ−イオノン、ガンマ−メチルいわゆるイオノン、フル−ラモン(Fleuramone)、ジヒドロジャスモン、シス−ジャスモン、イソ−E−スーパー、メチル−セドレニル−ケトン又はメチル−セドリロン(Cedrylone)、アセトフェノン、メチル−アセトフェノン、Pパラ−メトキシ−アセトフェノン、メチル−ベータ−ナフチル−ケトン、ベンジル−アセトン、ベンゾフェノン、パラ−ヒドロキシ−フェニル−ブタノン、セロリケトン又はライブスコーン(Livescone)、6−イソプロピルデカハイドロ−2−ナフトン、ジメチル−オクテノン、フレスコメンテ(Freskomenthe)、4−(1−エトキシビニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサノン、メチル−ヘプテノン、2−(2−(4−メチル−3−シクロヘキセ−1−ニル)プロピル)−シクロペンタノン、1−(p−メンテ−6(2)−ニル)−1−プロパノン、4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−ブタノン、2−アセチル−3,3−ジメチル−ノーボマン(Norbomane)、6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4(5H)−インダノン、4−ダマスコール、ドルシニル(Dulcinyl)又はカッシオン(Cassione)、ゲルソン(Gelsone)、ヘキサロン(Hexalon)、イソシクレモン(Isocyclemone)E、メチルシクロシトロン、メチル−ラベンダー−ケトン、オリボン(Orivon)、パラ−三級−ブチル−シクロヘキサノン、ヴェルドーネ、デルホン(Delphone)、ムスコン、ネオブテノン(Neobutenone)、プリカトン(Plicatone)、ベロウトン(Veloutone)、2,4,4,7−テトラメチル−オク−6−エ−3−ノン、及びテトラメラン(Tetrameran)である。香料アルデヒドの例としては、アドキサル、アニスアルデヒド、サイマール、エチルバニリン、フロールヒドラル(florhydral)、ヘリオナル、ヘリオトロピン、ヒドロキシシトロネラール、コアボン(koavone)、ラウリン酸アルデヒド、リラール、メチルノニルアセトアルデヒド、P.T.ブチナル(bucinal)、フェニルアセトアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、バニリン、2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール、3−ドデセン−1−オール、アルファ−n−アミルシンナミックアルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、3−(4−tertブチルフェニル)−プロパナール、2−メチル−3−(パラ−メトキシフェニルプロパナール、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2(1)−シクロヘキセ−1−ニル)ブタナール、3−フェニル−2−プロペナール、シス−/トランス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール、3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オール、[(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシ]アセトアルデヒド、4−イソプロピルベンズアルデヒド、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−8,8−ジメチル−2−ナフトアルデヒド、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、2−メチル−3−(イソプロピルフェニル)プロパナール、1−デカナール、デシルアルデヒド、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、4−(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]−デシリデン−8)−ブタナール、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデネカルボキシアルデヒド、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、パラ−エチル−アルファ、アルファ−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、アルファ−メチル−3,4−(メチレンジオキシ)−ヒドロシンナムアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、アルファ−n−ヘキシルシンナミックアルデヒド、m−シメン−7−カルボキシアルデヒド、アルファ−メチルフェニルアセトアルデヒド、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナール、ウンデセナール、2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、4−(3)(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−カルボキシアルデヒド、1−ドデカナール、2,4−ジメチルシクロヘキセン−3−カルボキシアルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、7−メトキシ−3,7−ジメチルオクタン−1−オール、2−メチルウンデカナール、2−メチルデカナール、1−ノナナール、1−オクタナール、2,6,10−トリメチル−5,9−ウンデカジエナール、2−メチル−3−(4−tertブチル)プロパナール、ジヒドロシンナミックアルデヒド、1−メチル−4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、5又は6メトキシル0ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−1又は2−カルボキシアルデヒド、3,7−ジメチルオクタン−1−オール、1−ウンデカナール、10−ウンデセン−1−オール、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、1−メチル−3−(4−メチルペンチル)−3−シクルヘキセン(cyclhexene)カルボキシアルデヒド、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−オクタナール、トランス−4−デセナール、2,6−ノナジエナール、パラトリルアセトアルデヒド、4−メチルフェニルアセトアルデヒド、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセ−1−ニル)−2−ブテナ1、オルト−メトキシシンナミックアルデヒド、3,5,6−トリメチル−3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、3,7−ジメチル−2−メチレン−6−オクテナール、フェノキシアセトアルデヒド、5,9−ジメチル−4,8−デカジエナール、ピオニーアルデヒド(peony aldehyde)(6,10−ジメチル−3−オクサ−5,9−ウンデカジエ−1ナール)、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−1−カルボキシアルデヒド、2−メチルオクタナール、アルファ−メチル−4−(1−メチルエチル)ベンゼンアセトアルデヒド、6,6−ジメチル−2−ノルピネン−2−プロピオンアルデヒド、パラメチルフェノキシアセトアルデヒド、2−メチル−3−フェニル−2−プロペ−1ナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、ヘキサヒドロ−8,8−ジメチル−2−ナフトアルデヒド、3−プロピル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプ−5−テン−2−カルバルデヒド、9−デセナール、3−メチル−5−フェニル−1−ペンタナール、メチルノニルアセトアルデヒド、ヘキサナール、トランス−2−ヘキセナール、1−p−メンテン−q−カルボキシアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、及びこれらの混合物である。香水又は香料の更なる例として、メチル−2−n−ヘキシル−3−オクソ−シクロペンタンカルボキシレート、ガンマ−ドデカラクトン、メチルフェニルカルビニルアセテート、4−アセチル−6−tert−ブチル−1,1−ジメチルインダン、パチョリ、オリバナム樹脂状物質、ラブダナム、べチベル、コパイババルサム、モミバルサム、メチルアントラニレート、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、リナロール、シトロネロール、テルピニルアセテート、サリチル酸ベンジル、フェノキシエチルイソブチレート、セドリルアセタール、オーベピン、及びエチレンブラシレートである。
【0056】
植物又は植物性抽出物の例は、ココナツ、緑茶、白茶、紅茶、トクサ、ヒマワリ、小麦胚、オリーブ、ブドウ、ザクロ、アンズ、ニンジン、トマト、タバコ、マメ、ジャガイモ、アズキマメ、カテキュー、オレンジ、キュウリ、アボカド、スイカ、バナナ、レモン、ヤシ、ディル、セイヨウワサビ、カラスムギ、インドセンダン、テンサイ、ブロッコリ、カボチャ、ダイズ、オオムギ、クルミ、亜麻、チョウセンニンジン、ケシ、アボカド、エンドウマメ、又はゴマ抽出物等の油溶性又は水溶性の形態において植物(草本、根、花、果実、又は種子)由来である。
【0057】
皮膚軟化剤の例としては、揮発性又は不揮発性シリコーン油、ポリプロピルシルセスキオキサン及びフェニルトリメチコン等のシリコーン樹脂、ジメチコンクロスポリマー等のシリコーンエラストマー、C30〜45アルキルメチコン等のアルキルメチルシロキサン、スクアレン、パラフィン油、ペトロラタム油、及びナフタレン油等の揮発性又は不揮発性の炭化水素化合物、水素添加された又は部分的に水素添加されたポリイソブテン、イソエイコサン、スクアラン、イソパラフィン、イソドデカン、イソデカン又はイソヘキサデカン、分枝状C
8〜C
16エステル、イソヘキシルネオペンタノエート、イソノニルイソノナノエート、セトステアリルオクタノエート、イソプロピルミリステート、パルミチン酸誘導体、ステアレート誘導体、イソステアリルイソステアレート等のエステル油、及び、ヘプタン酸、オクタノエート、デカン酸、又はアルコール又はポリアルコールのリシノール酸、又はこれらの混合物、麦芽、ヒマワリ、ブドウ種子、トウゴマ、シア、アボカド、オリーブ、ダイズ、スイートアーモンド、ヤシ、ナタネ、綿実、ヘーゼルナッツ、マカダミア、ホホバ、カシス、又はオオマツヨイグサ油等の植物由来の油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、オレイン酸、リノール酸、又はリノレン酸等の高脂肪酸が挙げられる。
【0058】
ろうの例としては、蜜ろう、ラノリンろう、米ろう、カルナウバろう、キャンデリラろう、及びミクロクリスタリンろう、パラフィン、地ろう、ポリエチレンワックス等の炭化水素ろうが挙げられる。
【0059】
保湿剤の例としては、プロピレングリコール及びブチレングリコール等の低分子量脂肪族ジオール、グリセリン及びソルビトール等のポリオール、及びポリエチレングリコール200等のポリオキシエチレンポリマー、及びヒアルロン酸及びその誘導体が挙げられる。
【0060】
皮脂吸収剤又は皮脂調整剤の例として、シリカシリレート、シリカジメチルシリレート、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋メチルメタクリレート及びアルミニウムデンプンオクテニルサクシネートが挙げられる。
【0061】
条件剤の例としては、シリコーン油、シリコーンガム、及びこれらの混合物等のシリコーン条件剤、アモジメチコン、アミノプロピルフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、シリコーンクオタニウム−16/グリシドキシジメチコンクロスポリマー、シリコーンクオタニウム−16などの有機修飾シリコーンオイル及びこれらの混合物が挙げられる。条件剤の更なる例は、グアル誘導体、セルロースエーテルの第四級窒素誘導体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムのホモポリマー、アクリルアミド及び塩化ジメチルジアリルアンモニウムのコポリマー、エステル又はアミド連鎖によりポリマーに付着されるカチオン性窒素官能基を含有するアクリル酸又はメタクリル酸に由来するホモポリマー又はコポリマー、N,N’−ビス−(2,3−エポキシプロピル)−ピペラジン又はピペラジン−ビス−アクリルアミド、及びピペラジンの重縮合生成物、及び、ビニルピロリドン及び第四級窒素官能基を有するアクリル酸エステルのコポリマーを含む、カチオン性条件剤である。
【0062】
化粧品的に活性な材料として使用するために好適なタンパク質又はアミノ酸及びその誘導体としては、小麦、ダイズ、米、トウモロコシ、ケラチン、エラスチン、又はシルクから抽出されたタンパク質及びそれらから由来するアミノ酸が挙げられる。タンパク質は、加水分解された形態であってもよい。タンパク質は、四級化されてもよい。
【0063】
化粧品的に活性な材料として使用するために好適な酸化防止剤のいくつかの例としては、アセチルシステイン、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ポリペプチド、ジパルミチン酸アスコルビル、ペクチニン酸アスコルビルメチルシラノール、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、BHA、p−ヒドロキシアニソール、BHT、t−ブチルヒドロキノン、コーヒー酸、カメリアシネンシスオイル、アスコルビン酸キトサン、グリコール酸キトサン、サリチル酸キトサン、クロロゲン酸、システイン、塩酸システイン、デシルメルカプトメチルイミダゾール、エリソルビン酸、ジアミルヒドロキノン、ジ−t−ブチルヒドロキノン、チオジプロピオン酸ジセチル、ジシクロペンタジエン/t−ブチルクレゾール共重合体、トリオレイン酸ジガロイル、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、ジオレイルトコフェニルメチルシラノール、イソクエルシトリン、ジオスミン、アスコルビル硫酸二ナトリウム、ルチニル二硫酸二ナトリウム、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジトリデシル、没食子酸ドデシル、フェルラ酸エチル、フェルラ酸、ヒドロキノン、塩酸ヒドロキシアミン、硫酸ヒドロキシアミン、チオグリコール酸イソオクチル、コウジ酸、マデカシコシド(madecassicoside)、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸マグネシウム、メラトニン、メトキシ−PEG−7コハク酸ルチニル、メチレンジ−t−ブチルクレゾール、アスコルビン酸メチルシラノール、ノルジヒドログアイアレチン酸、没食子酸オクチル、フェニルチオグリコール酸、フロログリシノール、アスコビルトコフェリルリン酸カリウム、チオジグリコール酸アミド、亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、ロスマリン酸、ルチン、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビル/コレステリルリン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ソルビチルフルフラール、ティーツリー(メラレウカアフテミフォリア)オイル、酢酸トコフェリル、アスコルビン酸テトラヘキシルデシル、テトラヒドロジフェルロイルメタン、リノール酸/オレイン酸トコフェリル、チオジグリコール、コハク酸トコフェリル、チオジグリコール酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、チオタウリン、レチノール、トコフェレス−5、トコフェレス−10、トコフェレス−12、トコフェレス−18、トコフェレス−50、トコフェロール、トコフェルソラン、リノール酸トコフェリル、ニコチン酸トコフェリル、トコキノン、o−トリルビグアニド、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ユビキノン、及びジブチルジチオカルバミン酸亜鉛がある。
【0064】
皮膚漂白剤の例は、ヒドロキノンである。皮膚保護剤のいくつかの例としては、アラントイン、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カラミン、ココアバター、タラ肝油、コロイド状オートミール、ジメチコン、グリセリン、カオリン、ラノリン、鉱油、ペトロラタム、サメ肝油、重炭酸ナトリウム、タルク、ウィッチヘーゼル(アメリカマンサク)、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛がある。
【0065】
このような医薬品的に又は化粧品的に活性な材料と共に使用される賦形剤は、概して、有機液体(油及び溶剤)、シリコーン、及びこれらの混合物から選択される。皮膚軟化剤として上に列挙された有機液体及びシリコーン材料の多くはまた、医薬品的に又は化粧品的に活性な材料のための賦形剤として好適である。賦形剤として好適な有機液体は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル、及び芳香族ハロゲン化物に例示されるが、これらに限定されない。炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11〜C13)、Isopar H(C11〜C12)、並びに他のミネラル油、ペトロラタム及び水素添加されたポリデセンが挙げられる。エーテル及びエステルとして、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジカプリリルエテール、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールnブチルエーテル、エチル−3エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルイソステアレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、オクチルパルミテートが挙げられる。アルコールの例としては、グリセロール、エタノール、ペンチレングリコール及びプロピレングリコールが挙げられる。賦形剤の成分として好適な更なる有機キャリア流体としては、脂肪、油、脂肪酸、及び脂肪族アルコールが挙げられる。
【0066】
賦形剤は、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデアメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル−3−{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル−3,3,ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサンペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、又はポリジフェニルシロキサン等の1〜1,000mPa.sの範囲で25℃にて粘度を有する低粘度オルガノポリシロキサンであってもよい。
【0067】
フィルムは、本発明の水性シリコーン分散液を基板上にコーティングすること、及び水相中の水を基板上のコーティングから蒸発させてフィルムを形成することにより、本発明に従って形成され得る。基板は、自立性フィルムとしてフィルムが流延表面から除去される流延表面であり得るか、又は本発明に従うフィルムによるコーティングを必要とする、基板であり得る。生成されたフィルムは、PVA層と機能的に接触しているシリコーン層を含む多層フィルムである。シリコーン層は、水性シリコーン分散液の液滴の集合体を含む。PVA層は、試験用水滴がその上に堆積された30秒後、θがASTM D7334−08に従って測定されたときの、80度(°)未満の水接触角(θ)により特徴付けることができる。
【0068】
したがって、本発明の水性シリコーン分散液は、平らなホウケイ酸ガラス基板上に試験用多層フィルムを形成することができるとして特徴付けることができ、多層フィルムは、基板と外部のPVA層との間に挟まれ、基板と外側のPVA層と機能的に接触している、内部シリコーン層を含み、内部シリコーン層は、分散液の液滴の集合体を含み、外側のPVA層は、試験用水滴がその上に堆積された30秒後、θがASTM D7334−08に従って測定されたときの、80度(°)未満の水接触角(θ)により特徴付けることができる。
【0069】
本発明の水性シリコーン分散液が基板上に堆積され、水が蒸発されるとき、基板上に形成されたコーティングフィルムは、基板とPVA層との間にシリコーン層を挟むように、基板に接触してシリコーン層を含む。本発明に従うコーティングされた基板では、基板は、PVA層と機能的に接触しているシリコーン層を含む多層フィルムでコーティングされ、多層フィルムのシリコーン層は、基板とPVA層との間にシリコーン層を挟むように、基板に接触している。乾燥粘着式自立性フィルムは、例えば、基板上の本発明の水性シリコーン分散液の堆積後、5〜10分で達成され得る。
【0070】
我々は、本発明のフィルム又はコーティングが、分散液の粒径、使用されるPVAの純度、及びフィルム中のPVA対シリコーンの割合に応じて、光沢又はマットのいずれかであり得ることを見出した。PVAの割合が高いと、より小さい分散された粒子、及び更なる光沢のフィルム又はコーティングを形成する傾向があり、PVAの割合が低いと、より大きい分散された粒子、及び更なるマットのフィルム又はコーティングを形成する傾向がある。PVAの割合は、フィルム又はコーティングが光沢か又はマットかを決定するように、制御され得る。これは、化粧品的な用途において有利であり得る。使用されるPVA分散液の純度及び粒径はまた、フィルム又はコーティングの態様に影響し、所望のフィルム外観を供給するように選択することができる。より完全に加水分解されたPVAは、マットなフィルムを生成する傾向がある。より高い分子量のPVAは、光沢のフィルムを生成する傾向がある。
【0071】
本発明に従うフィルムのシリコーン層は、好ましくは、ヒドロシリル化触媒の存在で分散液の分散相において、アルケニル含有オルガノポリシロキサン(a)とSiH含有シロキサン(b)との反応により、エラストマー性シリコーン材料に架橋される。シリコーン層は、好ましくは、乾燥重量を基準にして60〜99重量%の多層フィルムを含む。
【0072】
したがって、本発明の水性シリコーン分散液は、堆積後に乾燥すると、フィルムを形成する1部シリコーンエラストマーエマルションである。ヒドロシリル化反応は、分散相内で起こり、軟質エラストマーを形成する。堆積後に反応する2部システムを必要とする、ほとんどのヒドロシリル化フィルム形成技術とは対照的に、乾燥すると、フィルムは、更なる反応を必要とすることなく形成される。これは、部分的に、エマルション安定剤として機能することに加えて、PVAがフィルム形成特性を有すためであり、かつ、部分的に、エラストマーシリコーン分散相の液滴が、一緒に接着するのに十分に軟質であるためである。本発明の水性シリコーン分散液の更なる利益は、ヒドロシリル化反応が分散相内で起こり、速い硬化がフィルム形成に必要とされないとき、低量の白金触媒のみが必要とされるという点である。
【0073】
本発明の多層フィルムは、PVA中の両親媒性界面活性剤により安定化される類似のオルガノポリシロキサン及びシロキサンの試薬のエマルション及び分散液から調製されるフィルムと比較すると、実質的に増加した機械抵抗を有することを我々は見出した。
【0074】
本発明の水性シリコーン分散液は、局部塗布により、医薬品的に又は化粧品的に活性な成分を患者に送達するための様々な方法において、医薬品的な及び化粧品的な治療において使用することができる。それぞれ、水性シリコーン分散液と医薬品的に又は化粧品的に活性な成分との混和物を含む医薬品又は化粧品組成物は、哺乳類の皮膚の一部分に治療的に有効な量の組成物を局部的に塗布することにより、このような治療を必要とする哺乳類の疾患又は状態を治療するために使用することができる。組成物は、医薬品的に又は化粧品的に活性な成分が皮膚上に及び皮膚を通って吸収される哺乳類のその皮膚上にフィルムを形成する。代替的に、水性シリコーン分散液と医薬品的に又は化粧品的に活性な成分との混和物を含む医薬品又は化粧品組成物は、フィルムとして堆積され得、得られる医薬品的に又は化粧品的に活性な多層フィルムは、哺乳類の皮膚の一部分に治療的に有効な量のフィルムを局部的に塗布することにより、このような治療を必要とする哺乳類の疾患又は状態を治療するために使用することができる。医薬品的に又は化粧品的に活性な成分は、哺乳類の皮膚上で及び皮膚を通ってフィルムから吸収される。
【0075】
本発明の分散液が化粧品的に活性な成分を送達するために使用され得るパーソナルケア組成物としては、皮膚ケア組成物、毛髪ケア組成物、及びネイルケア組成物が挙げられる。皮膚ケア組成物としては、シャワーゲル、石鹸、ヒドロゲル、クリーム、ローション、バルサム、ファンデーション、口紅、アイライナー及びブラシ、プライマー、コンシーラー、コレクター、及びペンシルが挙げられる。皮膚ケア組成物中に本発明のシリコーン水性分散液を使用する利益としては、皮膚の水分補給、保護、長期持続、皮膚の癒合、SPF(太陽光線保護指数)の向上、洗脱への耐性、張り、及び/又は引き締めが挙げられ得る。毛髪ケア組成物としては、シャンプー、コンディショナー、ゲル、ポマード、外皮のコーティング、美容液、スプレー、毛染め製品、及びマスカラが挙げられる。毛髪ケア組成物中に本発明のシリコーン水性分散液を使用する利益としては、改善されたスタイリング、媒染剤、コンディショニング、色の定着、及び/又は縮れ防止効果があり得、睫毛にシリコーン水性分散液を使用する利益としては、濃厚化、耐水性、及び/又は睫毛を伸ばすこと(伸長)が挙げられ得る。ネイルケア組成物としては、カラーコート、ベースコート、ネイルハードナーが挙げられる。ネイルケア組成物中にシリコーン水性分散液を使用する利益としては、改善された保護、長期持続効果、耐スクラッチ性、及び/又は接着が挙げられ得る。本発明の水性シリコーン分散液は、水中油型化粧品製剤又は油中水型化粧品製剤に製剤化され得る。
【0076】
本発明の分散液が医薬品的に活性な成分を送達するために使用され得るヘルスケア組成物としては、絆創膏、クリーム、軟膏、接着剤(sticks)、スプレー、及び医薬用マニキュア液が挙げられる。
【0077】
本発明の水性シリコーン分散液はまた、追加の化粧品的に活性な成分を必要とすることなく化粧品的な処置において使用することができる。例えば、水性シリコーン分散液は、皮膚のしわをマスクするように使用することができる。哺乳類の皮膚のしわのマスク処置を必要とする哺乳類の皮膚のしわをマスクする、本発明に従う方法は、有効な量の本発明の水性シリコーン分散液を、哺乳類の皮膚に局部的に塗布することを含む。
【0078】
自然な見栄えを残しつつ皮膚の傷又はしわを隠す、望ましい感覚性の肌触りと一緒に良い見栄えを提供する等の有益な特性を組み合わせる皮膚ケア製品の必要性が存在する。いくつかの既知の製品は、欠陥をマスクする力を有し、自然な見栄えをもたらすものもあり、他は、望ましい感覚性の肌触りを提供するが、これらすべての性質を単一の製品で達成することは困難なことである。市場の様々な化粧品製剤は、地肌を隠すことにより皮膚の欠陥をマスクする。このような製品は、概して、不透明又は半透明であり、皮膚上の非透明層に堆積し、それによって、地肌の濃淡及び/又は色を隠す。様々な異なる皮膚の濃淡に正確に合わせるように意図された市販の製品が存在するが、各個別の皮膚の濃淡に正確に合わせることは、ほぼ不可能である。結果として、ある照射条件の下、特に自然な昼光の下では、化粧品製剤の存在は、目立つ可能性があり、これは、望ましくない。更に、各個人の皮膚は、毛穴及び他の平らでない表面を有する。皮膚上に不透明又は半透明層を堆積させることにより皮膚の自然な外観を隠すように意図された製剤は、皮膚のこれらの毛穴及び平らでない表面を埋める傾向があるが、これもまた、特に自然光の下で又は長時間の着用後に、概して、目に見える。更に、特により温暖な及びより湿度の高い気候では、地肌の外観を隠す製剤は、皮膚の平らでない表面(すなわち、毛穴、しわ)の中へ溶け込み、それら自体を堆積させるか、又は固化した外観を有するかのいずれかである傾向があり、これらは両方とも、望ましくない。様々な照射条件の下で皮膚の自然な見栄えを維持する製品の必要性が存在する。
【0079】
我々は、PVAを含む本発明の水性シリコーン分散液が、独自のソフトフォーカス効果を与えることができることを見出した。皮膚から跳ね返った光は、散発性である。これは、地肌の濃淡を見せつつ、しわ、目尻のしわ、内在性及び外在性の皮膚老化及び良性色素障害の兆候、疲れた皮膚及び/又はたるんだ皮膚、しみ、脂性の皮膚及び/又は汚い皮膚、及びUV損傷した皮膚又は荒れた皮膚等の皮膚の欠陥を隠す。PVAを含むシリコーン分散液の使用は、皮膚への美的利益及び快適さを提供する。
【0080】
用語「ソフトフォーカス」は、鮮明な解像度を伴わずに、観察する目によって見られる物体をもたらす、光学効果を説明するようにここで使用される。したがって、ソフトフォーカス効果を提供する化粧品又は皮膚ケア製剤は、皮膚へ塗布されると、しわ、毛穴、色素のシミ等の望ましくない特性を伴って見られ、フォーカスがぼやけ、鮮明な解像度で見られない、地肌をもたらす。それゆえ、皮膚は、裸眼には、依然として自然に見えつつ、より滑らかで、若く、かつより平らに見える。ソフトフォーカス効果は、ソフトフォーカスでは、光が拡散される又は散乱されるが、光が依然として皮膚に到達し観察する目に逆照射するという点で、透明効果又は外観とは異なる。
【0081】
このようなソフトフォーカス効果を定量的に評価するための方法のうちの1つは、単一の特定の角度で透過された又は反射された光対異なる方向に散乱された光の測定を通じたものである。検討中の試料材料のフィルムは、固定された間隙で棒状のアプリケータを用いて、ガラススライド上にまずコーティングされる。間隙距離がフィルムの厚さを決定する。この量は、皮膚に塗布する皮膚ケア製剤の通常の量を表す。次いで、フィルムを、周囲条件の下で乾燥させ、全ての揮発性含量を蒸発させる。
【0082】
次いで、コーティングされたガラススライドを、入射光が試料を通じて照射される分光計に配置する。分光計は、可視及びUV領域に対応する波長(800〜200nm)の範囲内での測定が可能である。入射光は、部分的に透過され、部分的に反射され、部分的に吸収される。全透過率、拡散透過率、全反射率、及び拡散反射率を測定する。全透過率(TT)は、先渡しの試料の領域範囲の半分内で収集される透過された光である。拡散透過率(DT)は、全透過率から入射光の方向の周りの8°の先渡しの立体角内で収集される光を差し引いたものである。全反射率(TR)は、後方試料の領域範囲の半分内で収集される反射された光である。入射角に等しい所定の角度で反射される光は、正反射(SR)と呼ばれる。拡散反射率(DR)は、全反射率から正反射を差し引いたものである(DR=TR−SR)。これらの数量は、典型的に入射光線の強度のパーセントとして表される。吸収された光の量(AB)は、全透過率(TT)と全反射率(TR)とを合わせたものを100%から引くことにより測定される。したがって、AB=100%−(TT+TR)である。
【0083】
ソフトフォーカスの特性を呈する試料材料のため、試料材料により吸収される入射光の量は、25%未満である。最も好ましくは、試料材料により吸収される入射光の量は、10%未満である。本開示に従う組成物の特に所望のソフトフォーカス効果は、DTが可能な限り高い、光の大部分が反射又は吸収されるのではなく透過される場合のものである。組成物により多量の光が吸収されると、皮膚は輝く代わりに、つやがなく又は暗く見え、これは望ましくない。入射光の大部分が組成物に正反射すると、皮膚は明るく見え得るが、反射は、皮膚からではなく組成物からであり、よって地肌は見られない。望ましい効果は、組成物による最小量の吸収、及び比較的低量の全反射を有するものである。組成物を通じて透過された又は組成物から反射された光からの拡散された光のより高い画分は、不鮮明な効果、すなわち、皮膚が更に平らに見える効果をもたらす。言い換えれば、より高いDT/TT及びDR/TRの比率がより望ましい。先に記載の全ての測定値は、具体的な厚さのフィルム上での測定に基づく。異なるフィルムの厚さは、上のパラメータのための異なる測定値を産出し得、例えば、フィルムが厚ければ厚いほど、TTがより低くなり、ABがより高くなる。
【0084】
本発明の水性シリコーン分散液が、皮膚の欠陥をマスクするためにこのように使用されるとき、それは、固体粒子、例えば、シリカの粒子、アルミナ、雲母、粘土、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、窒化ホウ素、ゼオライト、ラポナイト、タルク、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー粉末及びその懸濁液、アクリル及びアクリレートホモポリマー及びコポリマー、ナイロン、ポリエチレン、コロイド状の金属、デンプン等の自然粉末、又はこれらの任意の組み合わせを有利に含有する。粒子状の固体は、未処置であり得るか、又は上の材料の任意の処置された形態であり得、例えば、粒子は、疎水化、親水化(hydrophilisation)、及び/又は溶化のために処置された表面であり得る。粒子状の固体は、100ナノメートル〜100マイクロメートル、あるいは、1〜50マイクロメートル、あるいは、2〜20マイクロメートルの平均粒径を有し得る。固体粒子は、例えば、球状、実質的に球状、半球状、又は不規則等の形状を有し得る。粒子は、固体及び不透過性であり得る、又は多孔性若しくは中空状の粒子であってもよい。水性シリコーン分散液はまた、シリコーン流体、炭化水素流体、又はシリコーンガムとシリコーン流体又はシリコーンガムと炭化水素流体とのブレンド等の1つ以上のろう及び/又は流体を含有し得る。
【0085】
本発明の水性シリコーン分散液はまた、工業向けのコーティング用途において使用されることができる。例えば、それは、紙上にコーティングされることができ、剥離特性を与える。
【0086】
以下の比較例は、本発明のいくつかの態様及び有利点を例示するのに有用であり得る。それらは、従来技術であるとして解釈されるべきではない。
【0087】
比較例C1
この実施例は、米国特許第−B−6306411号の実施例1に基づく。105.11gの脱イオン水及びAshlandにより供給された3.97gのヒドロキシエチルセルロースの溶液を、まず調製した。64gのDOW CORNING(登録商標)9509シリコーンエラストマー懸濁液を、歯科用カップに計量して、続いてヒドロキシエチルセルロース溶液を計量して、Speedmixer(登録商標)DAC 450ミキサの中に配置し、カップを1分間最大速度で素早く回転させた。次いで、12.93gのAvalure(登録商標)UR450(これは何であろうか)及び2gのグリセロールをカップ中に引き続いて添加し、1分間最大速度で素早く回転させた。
【0088】
1mmのフィルムを、Elcometer 3580 Casting Knife Film Applicatorを用いて上で調製した混合物から調製する。フィルムは、機械抵抗試験を行うには不十分で脆性過ぎた。
【0089】
比較例C2
9.09gのDow Corning(登録商標)9701の化粧品粉末(ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、及びシリカを含み、日本国特許公開公報第JP−A−10/175816号に記載されるプロセスにより製造された)を、歯科用カップに計量して、18重量%の溶液中の6.03gのMowiol 18〜88及び11.25gの水を続いて計量した。カップを閉じて、Speedmixer(登録商標)DAC 450ミキサ内に配置し、カップを1分間最大速度で素早く回転させた。
【0090】
1mmのフィルムを、Elcometer 3580 Casting Knife Film Applicatorを用いて上で調製した混合物から調製した。フィルムをまず形成し、次いでフィルムは脆性になり、固い破片のフレークの状態になった。
【0091】
比較例C3
およそ50,000mPa.sの粘度を有する29.89gのビニル末端官能性直鎖状シロキサンを、歯科用カップ中に計量し、続いて0.36重量%の水素化官能基を含有する7mPa.sの0.167gの水素化官能性シロキサンオリゴマーを計量した。カップを閉じて、Speedmixer(登録商標)DAC 450ミキサ内に配置し、カップを1分間最大速度で素早く回転させた。非イオン性界面活性剤としての0.56gのポリオキシエチレン(6)トリデシルエーテル、及び0.09gのSyloff 4000の触媒(15ppmの白金を提供)を、カップ中に添加した。カップを閉じて、Speedmixer(登録商標)DAC 450ミキサ内に配置し、カップを1分間最大速度で素早く回転させた。1.25gの脱イオン水をカップ中に添加し、カップを1分間最大速度で素早く回転させた。したがって、形成された濃縮されたエマルションを、必要な量の脱イオン水で漸増式に希釈し、合計は41.23gに到達した。各水の添加の後、カップを最大速度で1分間撹拌した。
【0092】
ヒドロシリル化が、エマルション中で起こり、1mmのフィルムを、調製の翌日Elcometer 3580 Casting Knife Film Applicatorを用いて、得られた分散液から調製した。表1は、フィルムの特性を列挙する。フィルムは、機械抵抗を有しない。
【0093】
本発明は、以下の実施例によって例示され、実施例では、部及びパーセントは、別途記載のない限り、重量による。実施例では、アルケニル含有オルガノポリシロキサンの引用された粘度は、Shibaura System KK,V型,No.4により6rpmでASTM D 1084に続いて23℃で測定された回転粘度である。SiH含有シロキサンの引用された粘度は、ASTM D−445に続いて23℃で測定されたガラス毛管粘度である。ポリビニルアルコールの粘度を、Hoppler粘度計(DIN 53015)より判定される20℃で4%の水溶液の粘度として測定する。
【0094】
本発明に従い生成されるフィルムの機械抵抗を、テクスチュロメータを用いて評価する。あらかじめ堆積し、その基板から剥離した1mm厚のフィルムの30cmの直径ディスクを、支持材と支持材との間に固定し、直径1cmのフィルムの一部分を支持解除する。直径5mmのステンレス鋼の球状の探針は、フィルムと接触する。探針は、1秒間に1.10mmの速度で下向きに移動し、フィルムと接触すると、それは、1.5〜2cmの間を下に行く。フィルムを破壊するのに必要な力及び距離を記録し、これらから、破壊強度を計算する。結果を表1に示す。少なくとも200gの破壊力及び少なくとも150g.cmの破壊強度は、十分に強いフィルムを示すと見なされる。
【0095】
多くの実施例では、水性シリコーン分散液をガラス顕微鏡スライドに塗布し、フィルムを形成した。次いで、フィルムを2時間にわたって残し室温で乾燥させた。水の液滴を、乾燥したフィルム上に堆積させ、堆積の60秒後、水滴とフィルムとの接触角(CA)を測定した。