(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の三次元モデル情報を入力するコンピュータが、該三次元モデル情報に基づいて前記建物内の空間を内側から見た内観の二次元画像を作成する内観画像作成方法において、
前記コンピュータは、
前記空間の平面形状、前記空間の開口、又は前記空間に配置されている建具、設備若しくは家具に基づき、視線の始点である視点の候補を抽出し、
前記空間の平面形状、前記空間の間口、又は前記空間に配置されている建具の前記空間における位置に基づき前記視線の先の注視点の候補を抽出し、
抽出された視点の候補及び注視点の候補の組み合わせから、視線から注視点への視線を設定し、
設定された視線による前記空間の内観画像を作成する
ことを特徴とする内観画像作成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示しているようなウォークスルー体験は、事前に準備が必要であり、設備が整った特別な場所でなければ利用できるものではなく、注文住宅の外観及び内観夫々についての選択の都度に、手軽に行なうことができるものではない。
【0007】
特許文献2には、外観パース図を自動的に作成する方法が開示されているが、内観パース図作成にそのまま適用することは困難である。建築物の外観パース図を描く際の視点としては正面又は玄関部分を臨む角度等、慣用的な視点が存在し、その視点を用いて作成することで顧客の要望を満たす外観パース図が実現できる。これに対し建築物の内観パース図の場合は、建築物の室内空間はその多様な間取りに応じて、広さ、高さ、又は形状等が多種多様である。したがって、建築物に含まれる空間夫々についてどこからどこを見た内観パース図を作成するかの判断は、専門的な知識が豊富であって技術者以外では困難であった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、内観パース図を適切且つ迅速に作成することが可能な内観画像作成装置、内観画像作成方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る内観画像作成装置は、建物の三次元モデル情報を入力し、該三次元モデル情報に基づいて前記建物内の空間を内側から見た内観の二次元画像を作成する内観画像作成装置において、前記空間
の平面形状、前記空間の開口、又は前記空間に配置されている建具、設備若しくは家具に基づき、視線の始点である視点の候補を抽出し、前記空間の平面形状、前記空間の開口、又は前記空間に配置されている建具の前記空間における位置に基づき前記視線の先の注視点の候補を夫々抽出する候補抽出部と、該候補抽出部により抽出された視点の候補及び注視点の候補の組み合わせから視線を設定する視線設定部と、設定された視線による前記空間の内観画像を作成する画像作成部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る内観画像作成装置は、
前記候補抽出部は、前記空間の開口部区間の中点に対応する位置、又は前記空間に配置されている建具の幅方向の中心に対応する位置を視点の候補として抽出することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る内観画像作成装置は、前記視線設定部は、前記視線設定部は、前記抽出された視点の候補及び注視点の候補の組み合わせに長さ又は方角に基づき優先順位を付与する順位付与部と、付与した優先順位
に基づき所定順位までの視線の候
補を表示する視線
候補表示部とを更に備えることを特徴とする。
また本発明に係る内観画像作成装置は、前記順位付与部は、視点から注視点への長さが他よりも長い視線、南から南東に亘る方角へ向いている視線、又は前記空間の開口を注視点とする視線に、より高い順位を付与するようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る内観画像作成装置は、前記三次元モデル情報には、前記空間に配置されている建具、設備若しくは家具を含む内装品の寸法、又は種類を示す内装品情報が含まれており、該内装品情報に対応する三次元モデル情報、並びに前記内装品の色及びテクスチャの情報から、前記内装品を設定された視線から見た内装品画像を作成する内装品画像作成部を更に備え、前記画像作成部は、前記内装品画像を含む内観画像を作成することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る内観画像作成装置は、前記内装品の色、テクスチャ又は三次元モデル情報を、複数のテーマ別に記憶しておくテーマ別記憶部を更に備え、前記内装品画像作成部は、前記複数のテーマ別の前記内装品画像を作成し、前記画像作成部は、前記複数のテーマ別の前記内装品画像を含む内観画像を作成することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る内観画像作成方法は、建物の三次元モデル情報を入力するコンピュータが、該三次元モデル情報に基づいて前記建物内の空間を内側から見た内観の二次元画像を作成する内観画像作成方法において、前記コンピュータは、前記空間
の平面形状、前記空間の開口、又は前記空間に配置されている建具、設備若しくは家具に基づき、視線の始点である視点の候補を抽出し、前記空間の平面形状、前記空間の間口、又は前記空間に配置されている建具の前記空間における位置に基づき前記視線の先の注視点の候補を抽出し、抽出された視点の候補及び注視点の候補の組み合わせから、視線から注視点への視線を設定し、設定された視線による前記空間の内観画像を作成することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、建物の三次元モデル情報に基づいて前記建物内の空間を内側から見た内観の二次元画像を作成させるコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータに、前記空間
の平面形状、前記空間の開口、又は前記空間に配置されている建具、設備若しくは家具に基づき、視線の始点である視点の候補を抽出するステップ、前記空間の平面形状、前記空間の間口、又は前記空間に配置されている建具の前記空間における位置に基づき前記視線の先の注視点の候補を抽出するステップ、抽出された視点の候補及び注視点の候補の組み合わせから、視線から注視点への視線を設定するステップ、及び設定された視線による前記空間の内観画像を作成するステップを実行させることを特徴とする。
【0016】
本発明では、三次元モデル情報から建物の空間における視線が自動的に設定され、設定された視線による内観画像が作成される。
【0017】
本発明では、三次元モデル情報に含まれる建物の空間の平面形状、開口、建具、設備、若しくは家具の情報に基づき、視点の候補及び注視点の候補が夫々抽出され、抽出された視点の候補と注視点の候補との組み合わせから視線が自動的に設定される。空間の開口、建具、設備、家具の位置を基準として視線が設定されることにより、現実的なイメージを抱かせ得る内観画像の作成が可能である。
【0018】
本発明では、抽出された視点の候補と注視点の候補との組み合わせには、その視点と注視点との間の長さ、視点又は注視点の位置の前記空間における方角とに基づく優先順位が付与される。長い視線の優先順位を高くすることで、空間に含まれる建具、家電、家具、設備等の多様な情報をより多く含む現実的なイメージ図である内観画像の作成が可能である。
【0019】
本発明では、建物の三次元モデル情報に含まれている建具、設備若しくは家具等の内装品の寸法又は種類を示す情報から、別途記憶されてある内装品の三次元モデル情報に基づく立体的な情報に置換され、空間に内装品が配置された様子を示す内装品画像を含む内観画像が作成される。しかも内装品画像は色又はテクスチャが描画されており、より現実的なイメージ図の内観画像の作成が可能である。
【0020】
本発明では、別途記憶されている内装品の色又はテクスチャの情報又は三次元モデル情報は、テーマ別に記憶されており、選択されるテーマに対応する内装品画像の作成が可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、内観パース図を適切且つ迅速に作成することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態における内観画像作成装置の構成を示すブロック図である。内観画像作成装置1は、PC(Personal Computer )を用いる。内観画像作成装置1は、制御部10、一時記憶部11、記憶部12、表示部13、操作部14、通信部15、及び入力部16を備える。
【0025】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit )及びGPU(Graphics Processing Unit)を用いる。制御部10は、記憶部12に記憶されている内観画像作成プログラム1Pを読み出して実行することにより、汎用のPCを内観画像作成装置1として動作させる。一時記憶部11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のRAMを用いる。一時記憶部11は、制御部10の処理によって生成される情報を一時的に記憶する。
【0026】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive )を用いる。記憶部12は勿論、HDD以外の記憶装置、例えばフラッシュメモリを用いたSSD(Solid State Drive )を用いてもよい。記憶部12は、制御部10が読み出す内観画像作成プログラム1Pの他、制御部10が表示部13に表示させる建築物の3次元モデル情報のデータを記憶してもよい。また記憶部12は予め、建具、内装品、設備、又は家具等の内装品のテクスチャ情報(画像)及び色の情報を記憶している。また、立体的な内装品については三次元モデル情報を記憶しているとよい。なお内装品に係る情報は、外部の記憶装置に記憶されており、制御部10は通信部15又は入力部16を介してこれらの情報を取得し、記憶部12に記憶するようにしてもよい。
【0027】
表示部13は液晶ディスプレイを用いる。制御部10は、表示部13へ文字及びアイコン等の画像を含む各種操作画面を表示させる。なお表示部13は、液晶ディスプレイ以外のものを用いてもよい。
【0028】
操作部14は、PCのユーザインタフェースであるポインティングデバイス及びキーボード等を用いる。
【0029】
通信部15は、通信接続を実現するデバイス及び送受信回路を用いる。通信部15による通信は無線であってもよいし、有線であってもよい。制御部10は、通信部15を介して、各種情報を外部装置から取り込み記憶部12に記憶させることができる。また、制御部10は、通信部15を介して、作成した画像を外部記憶装置へ出力することができる。
【0030】
入力部16は、有線通信接続を実現するインタフェースである。入力部16は例えばUSB(Universal Serial Bus)インタフェースである。
【0031】
図2は、記憶部12に記憶されている内装品に関する情報の一例を示す説明図である。記憶部12は、
図2に示すように、フローリング(WOODEN_FLOORING_01,WOODEN_FLOORING_02)等の内装部材のテクスチャ情報が複数記憶されているほか、建具及び家具の三次元モデル情報が記憶されている。また家具の三次元モデル情報は、同一の家具(例えば
図2では椅子(CHAIR_01))であっても、異なるテクスチャ情報又は色が対応付けられている。更にテクスチャ情報は夫々、「ナチュラル(NATURAL )」、「モダン(MODERN)」及び「スタイリッシュ(STYLISH )」等のテーマ名が対応付けられており、後述するように選択されたテーマによってテクスチャ又は色が切替可能である。なお、テーマ別に切替可能な情報は、テクスチャ情報又は色のみに限らない。例えば、内装品の三次元モデル情報自体が異なるテーマに対応付けられていてもよい。つまり、同一の種類の椅子、例えばダイニングチェアであっても「ナチュラル」、「モダン」及び「スタイリッシュ」とでは夫々三次元モデル情報が異なる。
【0032】
このように構成される内観画像作成装置1にて制御部10は、内観画像作成プログラム1Pに基づき、通信部15又は入力部16から取得した三次元モデル情報に基づき、選択される空間(部屋)を内部から見た場合のイメージ図(内観パース)を作成して表示部13に表示する。その際に制御部10は、選択される空間の中のどの箇所をどの視点から見たイメージ図を作成するかを自動的に決定し、更にリスト化して選択可能とする。更に制御部10は、三次元モデル情報に含まれる建具、内装部材、設備又は家具の情報を三次元グラフィック画像に置き換え、テクスチャ、陰影等を付加する。これらの機能を実現するための処理手順を、フローチャートを参照して説明する。
【0033】
図3は、内観画像作成装置1の制御部10による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0034】
制御部10は、建築物の三次元モデル情報を入力する(ステップS101)。ここで建築物の三次元モデル情報とは、例えばCADデータである。CADデータは、間取り即ち空間を定義する寸法、壁の厚み等の寸法(高さを含む)情報、更に各空間の名称(「エントランス」「LDK」「リビング」「ダイニング」「キッチン」「主寝室」「子供部屋」等)の情報と、各空間に配置される建具及び窓の種類とを含む。更にCADデータには、キッチン、風呂等の水回りの設備、電気系統の配線、仮に置かれている可動の家具、家電等の内装品の情報を含んでよい。内装品の情報は、設備、家電及び家具の品番等夫々を識別する情報及び寸法の情報である。なお内装品の情報は「洗面台」等の設備の名称、「冷蔵庫」等の家電の名称、若しくは「ダイニングチェア」等の家具の名称であってもよい。
【0035】
制御部10は、取得した三次元モデル情報に基づき、建築物に含まれる空間(部屋)の内、内観画像の作成対象となる空間のリストを作成し、表示部13に表示する(ステップS102)。表示部13には例えば、「エントランス」、「LDK」、「リビング」、「ダイニング」、「キッチン」又は「子供部屋」等の名称又は間取りによって選択が可能となるようにリストが表示される。内観画像の作成対象となる空間は、空間の名称又は空間の広さに基づいて予め定められる。なお制御部10は全空間をリストとするようにしてもよい。
【0036】
制御部10は、表示された空間のリストから空間の選択を受け付ける(ステップS103)。そして制御部10は、選択された空間に含まれる建具、設備、又は家具等の内装品を示す情報に基づき、個々の3次元モデル情報及びテクスチャ情報を含むオブジェクト情報を取得する(ステップS104)。ステップS104で取得されるオブジェクト情報は、記憶部12に記憶されているか、又は外部記憶装置から通信部15若しくは入力部16により取得したものであってもよい。
【0037】
なおステップS104において制御部10は、選択された空間に内装品が含まれていない場合、その空間の種別に応じて予め記憶されてある内装品を配置するようにしてもよい。この場合制御部10は、選択された空間が「リビング」である場合、「リビング」に配置されるものとして予め「リビング」に対応付けて記憶してある家電又は家具、更には植物、絵、時計等のインテリア小物の三次元モデルに基づいて内装品を描画する。
【0038】
制御部10は、選択された空間における視線設定処理を実行する(ステップS105)。ステップS105において制御部10は、選択された空間の画像を適切に表現するための視線を自動的に設定する。なお視線設定処理の詳細は後述する。
【0039】
制御部10は、ステップS105で得られた視線情報リストを表示部13に表示し(ステップS106)、選択を受け付ける(ステップS107)。そして制御部10は、選択された視線に基づき、ステップS104で取得したオブジェクト情報を用い、クロス、フローリング等の内装部材、ドア、窓等の建具、キッチン等の設備、又は椅子、テーブル等の家具の内装品を前記空間内に配置した内観画像を作成する(ステップS108)。
【0040】
更に制御部10は、ステップ108で作成した内観画像に対し、陰影、鏡面効果等を加える加工処理を実行する(ステップS109)。ステップS109において制御部10は、三次元モデル上に光源を設定して陰影処理を実行してもよいが、この場合は高い処理能力を要する。したがって本実施の形態では制御部10は、作成した内観画像に対し、所定の角度へ向けて階調が変化するグラデーション画像を影フィルターとして天井面、壁面、床面、家具等に重畳することで陰影又は鏡面効果を加える(特許文献2参照)。これにより陰影を付加した画像を迅速に得ることが可能である。
【0041】
そして制御部10は、加工後の内観画像を表示部13に表示させる(ステップS110)。表示される内観画像は、三次元モデルに対して天井、壁にクロスが貼られ、床面には絨毯、フローリング部材、又は畳のテクスチャが描かれ、配置されているカーテン、照明が描かれ、更には仮に配置されている設備、家具、家電等が描かれている。また内観画像には、植物、絵、時計などのインテリア小物の画像が含まれていることが好ましい。
【0042】
制御部10は、内装品のテーマの切替アイコンを表示部13に表示させ(ステップS111)、切替アイコンの選択を受け付け(ステップS112)、選択された切替アイコンに対応するテーマのテクスチャ又は色の内装品を含む内観画像を再作成する(ステップS113)。
【0043】
そして制御部10は、再作成した内観画像を表示部13に再表示させ(ステップS114)、処理を終了する。再表示される内観画像は、クロスの色又はテクスチャが変更され、絨毯、フローリング部材又は畳の色又はテクスチャが変更され、設備、家具、家電等の色又はテクスチャが変更されて再作成されたものである。なお色及びテクスチャについては、作成された内観画像に対して、パーツごとに色及びテクスチャのみが変更可能な構成であってもよい。
【0044】
なお
図3のフローチャートに示した処理の内、ステップS112にて切替アイコンが選択されない場合は、ステップS112〜S114の処理は省略される。また、ステップ106及びS107の処理手順は省略してもよい。リストから選択されることは必須ではなく、初期的に設定された視線に基づいて内観画像が作成され、その後、他の視線が選択可能となってもよい。
【0045】
図4は、視線設定処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。以下制御部10は、選択された空間の平面図に基づき、該平面図上における視線、即ち視線の始点の平面図上の位置を視点E(eye )とし、視線の先の平面図上の位置を注視点L(look)とした視点E及び注視点L間を結ぶ線分を特定する処理を実行する。
【0046】
制御部10は、選択された空間の平面形状に基づき、入隅(コーナー)及び各辺の中点(中央)を視点Eの候補として抽出する(ステップS501)。
【0047】
次に制御部10は、選択された空間に関する動線に基づき、開口部の区間の中点を視点Eの候補として抽出する(ステップS502)。なお制御部10は開口部の内、選択されている空間に該開口部によって通じる他の空間も内観画像の作成対象である開口部については、ステップS502の抽出対象から除外するとよい。
【0048】
更に制御部10は、選択された空間の境界壁に配置されている内部建具(ドア、戸、又は襖等の出入り口(収納の建具は除く))の中心を視点Eの候補として抽出する(ステップS503)。
【0049】
制御部10は、選択された空間に配置されている家具又は設備を基準とした位置(家具又は設備品を利用する際の立ち位置、又は座った位置)を視点Eの候補として抽出する(ステップS504)。なお家具は全ての家具ではなく、住宅に住む顧客の居場所として頻度が高いもの、例えば「椅子」「ソファ」「キッチン」等として予め記憶しておく。
【0050】
制御部10は、選択された空間の三次元モデル情報に、視点Eが指定されている場合、これを候補として抽出する(ステップS505)。
【0051】
制御部10は、ステップS501〜S505にて抽出した視点Eの候補の内、視点E同士が所定の距離(距離の数値又は辺の長さに対する割合)以内に存在するものを候補から除外する(ステップS506)。なおステップS506では、制御部10は例えばステップS505で抽出した候補(指定)を最も優先し、次にステップS504で抽出した候補(家具の中心)、次にステップS503で抽出した候補(内部建具の中心)、次にステップS502で抽出した候補(開口部区間の中点)を優先して距離が近い視点E同士の内の一方を優先させる。
【0052】
次に制御部10は、選択された空間の平面形状の重心を注視点Lの候補として抽出する(ステップS507)。
【0053】
制御部10は、選択された空間の開口部の区間の中点を注視点Lの候補として抽出する(ステップS508)。なお制御部10は開口部の内、選択されている空間に該開口部によって通じる他の空間が内観画像の作成対象外である開口部については、ステップS508の抽出対象から除外するとよい。
【0054】
更に制御部10は、選択された空間の境界壁に配置されている外部建具(ここでは開口部が比較的大きい吐き出し、腰窓等が好ましい)の中心を注視点Lの候補として抽出する(ステップS509)。
【0055】
制御部10は、選択された空間に配置されている設備又は家電(キッチン、テレビ等)の中心を注視点Lの候補として抽出する(ステップS510)。
【0056】
そして制御部10は、ステップS507〜S510にて抽出した注視点Lの候補の内、注視点L同士が所定の距離(距離の数値又は辺の長さに対する割合)以内に存在するものを候補から除外する(ステップS511)。なおステップS511では、制御部10は例えばステップS510で抽出した候補(設備の中心)を最も優先し、次にステップS509で抽出した候補(外部建具の中心)、次にステップS508で抽出した候補(開口部区間の中点)を優先して距離が近い注視点L同士の内の一方を優先させる。
【0057】
制御部10は抽出された視点Eの候補及び注視点Lの候補を結ぶ視線を各作成する(ステップS512)。なおステップS512において制御部10は、選択された空間の平面形状に基づき抽出した視点Eについては、注視点Lと結んだ視線を作成しない。これら入隅又は辺の中点から抽出された視点Eについては、制御部10は所定の向きへの視線を作成する。
【0058】
そして制御部10は、選択されている空間の周壁及び内部に設けられている壁、並びに、内部に配置されている家具、家電、又は設備と、視線とが交差するか否かを夫々判断し、交差する視線を除外して絞り込みを行なう(ステップS513)。なおステップS513において制御部10は、選択された空間の平面形状から抽出した視点Eからの視線については除外対象から外してよい。
【0059】
なおステップS513においては、選択されている空間の平面図において交差するか否かを判断するのみならず、高さ情報を用いて立体的に交差するか否かを判断して絞り込みを行なってもよい。例えば制御部10は、視点Eの候補には床面からの高さ1000〜1200mm、注視点Lには視点Eと同高さ(注視点Lが家具の場合は800mm等としてもよい)と高さを設定する。いずれの高さも、顧客の視線の高さを基準とするとよい。そして制御部10は、三次元的に壁、家具、家電、又は設備と交差するか否かを判断し、これらの障害物に視界が遮られる視線については除外するようにしてもよい。またこのとき制御部10は、作成した視線に基づき内観画像を各作成し、作成した内観画像について壁以外の家具、家電又は設備に対応する画素が画像内の所定の割合以上を占める場合に、当該視線は視界が遮られる視線であるとして除外するようにしてもよい。
【0060】
次に制御部10は、絞り込みによって得られた視線に優先順位を付与する(ステップS514)。ステップS514において制御部10は、視線の長さが長いほど優先順位を高くする。更に制御部10は、同一の長さの視線については、視線の方角に基づいて優先順位を付与してもよい。例えば制御部10は、南向き又は南東向きの視線の優先順位を高くする。また視点Eの空間における位置が北西側であるか、南東側であるかにより判別し、空間の開口部をできる限り視線の先とするように北西側にあるものの優先順位を高くするようにしてもよい。
【0061】
そして制御部10は、付与された優先順位の上位である複数の視線の視線情報リストを作成し(ステップS515)、
図3のフローチャートにおけるステップS106へ処理を戻す。なおステップS515において制御部10は、例えば上位3つ等、数を絞って視線を抽出し、優先順位の高さ順の視線情報リストを作成するとよい。なお視線情報リストは視点E及び注視点Lの空間内における座標情報のリストである。
【0062】
また制御部10はステップS515において、視線情報リストの内、最も優先順位が高い視線を初期的な視線として設定してから処理を
図3のフローチャートにおけるステップS108へ戻すようにしてもよい。
【0063】
図3及び
図4のフローチャートにて説明した処理について具体例を挙げて説明する。
図5は、三次元データに対応する建物の間取り図の一例である。制御部10は、通信部15又は入力部16から
図5に示す三次元データを入力するとまず、
図5の「エントランス」、「リビング」、「ダイニング」及び「キッチン」をリスト化し、選択を受け付ける(S102、S103)。以下では
図5中の符号Rで示す空間に対応する「リビング」が選択されたものとして説明する。
【0064】
図6は、抽出される視点Eの候補例を示す説明図である。
図6は、選択された空間、即ち「リビング」の平面図が示されており、「リビング」の平面形状を囲う矩形が示されている。
図6に示すように、制御部10はステップS501にて矩形の四隅を入隅として黒丸で示す視点Eの候補を抽出し、更に、四辺の各中央を同様に黒丸で示す視点Eの候補として抽出する。
【0065】
図7は、抽出される視点Eの他の候補例を示す説明図である。
図7は
図6同様「リビング」の平面図上で視点Eの候補を黒丸で示している。
図7に示すように制御部10は、ステップS502にて「リビング」に繋がる開口部の区間の中点を夫々視点Eの候補として抽出する。ただし制御部10は、内観画像の作成対象の他の空間である「ダイニング」と繋がる開口部については
図7中の破線の丸及び矢印で示すように、抽出対象から除外するとよい。
【0066】
図8は、抽出される視点Eの他の候補例を示す説明図である。
図8は
図6同様「リビング」の平面図上で視点Eの候補を黒丸で示している。
図8に示すように制御部10は、ステップS503にて、「エントランス」から繋がる内部建具である引き戸の中心を視点Eの候補として抽出する。
【0067】
図9は、抽出される視点Eの他の候補例を示す説明図である。
図9は
図6同様「リビング」の平面図上で視点Eの候補を黒丸で示している。
図9に示すように制御部10は、ステップS504にて「リビング」に配置されている「ソファ」の座面位置を視点Eの候補として抽出する。なお家具を視点Eの候補とする場合は、家具の種別毎に予め視点Eの候補とするべき位置を定めておき、記憶しておくとよい。
【0068】
図10は、抽出された視点Eからの絞り込みの例を示す説明図である。
図10は
図6同様「リビング」の平面図上で絞り込みの結果、残された視点Eの候補を黒丸で示し、除外された視点Eの候補を破線の丸にて示している。
図10に示すように制御部10はステップS506にて、内部建具である引き戸の中心である視点Eの候補と、入隅の1つである視点Eの候補とでは、距離が例えば910mm(例えばモジュールに基づく単位長さ、吋モジュール、メータモジュールであってもよい)以内であるために引き戸の隣の入隅は、候補から除外する。また制御部10は、開口部の区間の中点である視点Eの候補と、入隅又は各辺の中点である視点Eの候補とでは、距離が同様にして910mm以内であるために、入隅又は各辺の中点は、候補から除外する。
【0069】
図11は、抽出される注視点Lの候補例を示す説明図である。
図11は「リビング」の平面図上で注視点Lの候補を黒三角で示している。
図11に示すように制御部10は、ステップS507にて、「リビング」の平面形状である矩形の重心を注視点Lの候補として抽出する。
【0070】
図12は、抽出される注視点Lの他の候補例を示す説明図である。
図12は「リビング」の平面図上で注視点Lの候補を黒三角で示している。
図12に示すように制御部10は、ステップS508にて、「リビング」に繋がる開口部の区間の中点を夫々注視点Lの候補として抽出する。ただし制御部10は、内観画像の作成対象である「ダイニング」と繋がる開口部以外の開口部における中点については
図12中の破線で示すように、抽出対象から除外する。
【0071】
図13は、抽出される注視点Lの他の候補例を示す説明図である。
図13は「リビング」の平面図上で注視点Lの候補を黒三角で示している。
図13に示すように制御部10は、ステップS509にて「リビング」の境界壁に配置されている大きな「窓」の中心を注視点Lの候補として抽出する。
【0072】
図14は、抽出された注視点Lからの絞り込みの例を示す説明図である。
図11〜
図13で示した例の場合、距離が例えば910mm以内の所定の距離以内に存在するものが無いと判断されるため、
図11〜
図13にて抽出された3つの注視点Lが全て示されている。
【0073】
図15は、作成された視線の一例を示す説明図である。
図15は「リビング」の平面図上で視点Eの候補を黒丸で示し、注視線Lの候補を黒三角で示している。
図15に示すように制御部10はステップS512において、部屋の開口部、内部建具の中心及び家具の重心により抽出された視点Eと、部屋の重心、開口部及び外部建具の中心により抽出された注視点Lとを結んで視線とする。そして制御部10はステップS512において、部屋の形状に基づき抽出した視点Eに対し、所定の距離ずらした位置から所定の向きへの直線を視線とする。
【0074】
そして制御部10は、
図15に示すように、作成された視線の内の最も長い視線に最も高い優先順位「1」を付与する。
図15に示す場合、「エントランス」から「リビング」へ繋がる内部建具である引き戸の中心である視点Eから、「ダイニング」へ繋がる開口部の区間の中心である注視点Lまでの視線に、最も高い優先順位が付与されている。次に「リビング」の北東部の隅の開口部の区間の中心である視点Eから、外部建具である大きな窓の中心である注視点Lまでの視線に、第2番目に高い優先順位が付与されている。そして次に、「リビング」の北側のスクリーンを含む開口部の区間の中心である視点Eから、外部建具である大きな窓の中心である注視点Lまでの視線に、第3番目に高い優先順位が付与されている。
【0075】
図16は、表示部13に表示される視線情報リストの内容例を示す説明図である。
図16は、制御部10が内観画像作成プログラム1Pを読み出すことによって表示部13に表示される画面例を示している。
図16に示す画面例は例えば、住宅販売に係るオペレータが内観画像作成装置1の操作部14を用い、建築予定の住宅のその時点における三次元モデル情報を通信部15から読み込ませ、制御部10の動作によって作成された空間リストから「リビング」を選択する操作を行なった場合に表示される。
【0076】
図16の画面例には、「リビング」において制御部10の処理によって設定された視線に各対応する複数の矢印アイコン131が各表示されている。そして、
図15の説明図で示したように優先順位が高い視線の内、第3番目までの視線に対応する矢印アイコン131が表示されている。そして最も優先順位が高い「エントランス」から「リビング」へ繋がる内部建具である引き戸の中心から、「ダイニング」へ繋がる開口部の区間の中心までの視線に対応する矢印アイコン131が太く強調されて表示されている。
【0077】
オペレータが矢印アイコン131のいずれかを選択する操作を行なった場合、制御部10がこれを検知し、対応する内観画像を描画作成し(S108)、加工処理(S109)を行なって内観画像を表示する(S110)。このようにして、オペレータは三次元モデル情報の読み込み、内観画像の作成対象の空間の選択、及び視線の選択という容易な手順で、バランス美に長けた内観画像を表示させることが可能である。
【0078】
次に、実際に作成される内観画像の内容例を、図面を参照して説明する。
図17は、表示部13に表示される視線情報リストの他の内容例を示す説明図である。
図17の例は、
図5〜
図16に示した空間の例とは異なる三次元モデル情報を制御部10が取得した場合であって、「LDK」という空間が選択された場合の例を示している。制御部10は、「LDK」の空間に対し、家電(冷蔵庫)に対する利用者の立ち位置を視点Eとして空間の平面形状における重心を注視点Lとした視線、平面形状における入隅又は中点を視点Eとして空間の重心を注視点Lとした視線等をリスト化している。そして制御部10は、夫々の視線に対応する矢印アイコン131を表示し、特に、キッチンの家電(冷蔵庫)に対する利用者の立ち位置を視点Eとする視線と、該視線の対角の位置関係にあり、ソファが配置されている場所を視点Eとする視線とに対応する矢印アイコン131を強調して表示している。
【0079】
図18及び
図19は、内観画像の一例を示す説明図である。
図18は、
図17に示されている視線情報リストの内、キッチンの家電(冷蔵庫)に対する利用者の立ち位置を視点Eとする視線に対応する矢印アイコン131が選択された場合に作成される内観画像を示している。
図18に示すように
図17中に示されているような平面の間取り図から、より現実的なイメージを抱かせる内観画像の表示が可能である。キッチンの家電に対する利用者の立ち位置を視点Eとする視線が自動的に設定され、これにより顧客が希望する視点の内観画像を得ることが可能である。
【0080】
図19は、
図17に示されている視線情報リストの内、
図18の対角関係にある矢印アイコン131が選択された場合に作成される内観画像を示している。
図19に示すように、
図17に示されているような平面の間取り図から、現実的な内観画像の表示が可能である。キッチン設備を注視点Lとする視線が自動的に設定され、これにより具体的なイメージを想起させ、注文住宅の完成に期待を抱かせ得る現実的な内観画像を手軽に表示させることが可能である。
【0081】
本実施の形態に係る内観画像作成装置1を用いることにより、
図18及び
図19に示したような内観画像を手軽に表示部13に表示させることができる。更に、本実施の形態における内観画像作成装置1では、内観画像に自動的に配置される内装品について、色又はテクスチャ、又は三次元モデルそのものを切り替えた異なるテーマの内観画像を得ることができる。したがって顧客は、注文住宅の設計又はインテリアの打ち合わせにてフローリング部材、巾木、内部建具、外部建具又はクロス等の内装部材の色又は素材の選択を行なう際に、内観画像作成装置1にて作成される内観画像を確認しながら、選択が可能である。これにより、顧客の満足度が飛躍的に向上することが期待される。
【0082】
なお
図18及び
図19にて作成される内観画像が三次元モデル情報を読み込んでから表示されるまでには、例えば数十秒を要する程度で済むようにしてある。更に色又はテクスチャのみの変更に要する時間は(例えば即座に、遅くとも数秒以内)短くなる。
【0083】
なお本実施の形態において表示された内観画像は、表示部13に表示されることなしに、記憶部12に記憶されるか、又は通信部15により外部サーバ装置に送信され、後に他の表示装置にて表示されるようにしてもよいことは勿論である。
【0084】
また、制御部10は、作成された内観画像を記憶部12又は外部サーバ装置に記憶させる場合、その元となる三次元モデル情報を識別する情報と、その中の空間を識別する情報とに加え、視線の情報(視点Eと注視点Lとの座標情報)が対応付けて記憶させるとよい。そして制御部10は、視線が選択される都度、その選択された視線の情報を空間の種別と対応付けて記憶しておき、空間の種別毎に、より選択される可能性が高い視線に対して優先順位を高められるように、優先順位の付与の基準にフィードバックするようにしてもよい。この場合、優先順位の基準は別途書き換え可能に構成されているとよい。
【0085】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。