【文献】
小幡 恵,スマートグリッド,株式会社アスキー・メディアワークス,2012年 3月 9日,増補改訂版初版,p.98
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば海から遠く離れた場所では、上記特許文献1のような波力を用いた発電を行うことができず、山の北側の斜面では太陽光を用いた発電を行うことができないというように、場所によって得られる有効な発電手法は異なる。そのため、自然エネルギーを用いた発電設備の建設には、対象とする自然エネルギーの有無や発生量等を事前に調査し、目的を達成するために十分は発電量が得られるか否かを評価しなければならない。
【0005】
また、近年では、様々な自然エネルギーを用いた電力の生成技術が開発されており、その発電効率も日々改良されている。そのような中、発電設備を設置できそうな場所を複数指定して、どのような自然エネルギーの発電設備をどの場所に設置すれば、最も多くの電力を生成することができるかを迅速に試算することができれば、コンテナ型データセンタ等の電力を消費する施設の建設において、自然エネルギーの利用促進が期待できる。
【0006】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、指定された複数の地点において最も発電量が多くなる発電手法の組み合わせを迅速に試算できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その第一の態様を挙げるならば、自然エネルギー源を用いた発電設備の発電量を試算する発電量試算装置であって、
自然エネルギーを用いて発電する複数の発電設備のそれぞれについて、自然エネルギーの単位当たりの発電量の情報を格納する設備情報格納部と、
自然エネルギーの計測値を格納する計測値格納部と、
発電設備を設置する複数の設置場所の情報、および、設置候補となる発電設備を示す候補設備の情報の入力を受け付ける受付部と、
それぞれの前記設置場所にいずれかの前記候補設備を割り当て、前記計測値格納部および前記計測値格納部を参照し、それぞれの前記設置場所における前記自然エネルギーの計測値に基づいて当該設置場所に割り当てられた候補設備の発電量を算出し、算出した発電量を全ての前記設置場所について合計した総発電量を試算する処理を、前記設置場所および前記候補設備の複数の組み合わせについて実行する発電量試算部と、
前記発電量試算部が前記設置場所および前記候補設備の組み合わせ毎に試算した総発電量の中で、総発電量が所定条件を満たす前記設置場所および前記候補設備の組み合わせの情報を、その総発電量の情報と共に出力する出力部と
を備える。
【0008】
上記発電量試算装置において、
前記所定条件は、前記発電量試算部が前記設置場所および前記候補設備の組み合わせ毎に試算した総発電量の中で、総発電量が最も大きいことであってもよい。
【0009】
また、上記発電量試算装置の出力部は、
前記発電量試算部が前記設置場所および前記候補設備の組み合わせ毎に試算した総発電量の中で、総発電量が大きい順に前記所定条件を満たす前記設置場所および前記候補設備の組み合わせの情報を、その総発電量の情報と共に表示するようにしてもよい。
【0010】
また、上記発電量試算装置の受付部は、
発電設備により生成された電力を消費する施設の位置を示す情報の入力をさらに受け付け、
前記発電量試算部は、
それぞれの前記設置場所における前記自然エネルギーの計測値に基づいて当該設置場所に割り当てられた候補設備の発電量を算出し、算出した発電量より、当該設置場所から前記施設の位置までの距離に応じた伝送損失を除いた値を全ての前記設置場所について合計して前記総発電量を算出するようにしてもよい。
【0011】
また、上記発電量試算装置は、
前記発電量試算部が試算した前記設置場所および前記候補設備の複数の組み合わせ毎の総発電量に基づいて、それぞれの組み合わせについての発電性能を示す値を算出する発電性能算出部をさらに備えてもよく、
前記出力部は、
総発電量が前記所定条件を満たす前記設置場所および前記候補設備の組み合わせについて、前記発電性能を示す値をさらに出力してもよい。
【0012】
この場合、前記設備情報格納部には、
それぞれの発電設備について、設置コストを示す情報がさらに格納されており、
前記発電性能算出部は、
前記設置場所および前記候補設備の組み合わせ毎に、当該組み合わせについて試算された単位時間当たりの総発電量、単位時間当たりの単位電力量の価格、および、発電設備毎の設置コストに基づいて、それぞれの発電設備のコスト回収期間を前記発電性能を示す値として算出してもよい。
【0013】
あるいは、前記発電性能算出部は、
前記設置場所および前記候補設備の組み合わせ毎に試算された総発電量の中で、総発電量が前記所定条件を満たす前記設置場所および前記候補設備の組み合わせについて、単位時間内の総発電量の変動幅を示す変動情報を、発電性能を示す情報として算出してもよい。
【0014】
また、上記発電量試算装置の設備情報格納部は、
それぞれの発電設備について、当該発電設備を設置可能な領域を示す領域情報をさらに格納し、
前記発電量試算部は、
前記設備情報格納部を参照して、前記設置場所を含む領域情報に対応付けられている発電設備を、当該設置場所に設置可能な候補設備として割り当てて当該候補設備の発電量を算出してもよい。
【0015】
また、本発明の第二の態様は、自然エネルギー源を用いた発電設備の発電量を試算する発電量試算装置における発電量試算方法であって、
前記発電量試算装置が、
自然エネルギーの計測値を収集してメモリに格納する計測値収集ステップと、
発電設備を設置する複数の設置場所の情報、および、設置候補となる発電設備を示す候補設備の情報の入力を受け付ける受付ステップと、
それぞれの前記設置場所にいずれかの前記候補設備を割り当て、自然エネルギーを用いて発電する複数の発電設備のそれぞれについて、自然エネルギーの単位当たりの発電量の情報を格納する設備情報格納部および計測値が格納されたメモリを参照し、それぞれの前記設置場所における前記自然エネルギーの計測値に基づいて当該設置場所に割り当てられた候補設備の発電量を算出し、算出した発電量を全ての前記設置場所について合計した総発電量を試算する処理を、前記設置場所および前記候補設備の複数の組み合わせについて実行する発電量試算ステップと、
前記発電量試算ステップにおいて前記設置場所および前記候補設備の組み合わせ毎に試算した総発電量の中で、総発電量が所定条件を満たす前記設置情報および前記候補設備の組み合わせの情報を、その総発電量の情報と共に出力する出力ステップと
を実行する。
【0016】
また、本発明の第三の態様は、コンピュータを、自然エネルギー源を用いた発電設備の発電量を試算する発電量試算装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
自然エネルギーの計測値を収集してメモリに格納する計測値収集機能と、
発電設備を設置する複数の設置場所の情報、および、設置候補となる発電設備を示す候補設備の情報の入力を受け付ける受付機能と、
それぞれの前記設置場所にいずれかの前記候補設備を割り当て、自然エネルギーを用いて発電する複数の発電設備のそれぞれについて、メモリに格納された自然エネルギーの単位当たりの発電量の情報および自然エネルギーの計測値を参照し、それぞれの前記設置場所における前記自然エネルギーの計測値に基づいて当該設置場所に割り当てられた候補設備の発電量を算出し、算出した発電量を全ての前記設置場所について合計した総発電量を試算する処理を、前記設置場所および前記候補設備の複数の組み合わせについて実行する発電量試算機能と、
前記発電量試算機能が前記設置場所および前記候補設備の組み合わせ毎に試算した総発電量の中で、総発電量が所定条件を満たす前記設置場所および前記候補設備の組み合わせの情報を、その総発電量の情報と共に出力する出力機能と
を実現させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、指定された複数の地点において最も発電量が多くなる発電手法の組み合わせを迅速に試算することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る発電量試算システム10の構成の一例を示すシステム構成図である。発電量試算システム10は、複数の計測器12、1つ以上のデータベースサーバ13、および発電量試算装置20を備える。
【0021】
それぞれの計測器12は、通信回線11に接続されており、日射量や気温、風力などの自然エネルギーを1つ以上計測し、計測結果を、その自然エネルギーの種別および計測日時を示す情報と共に、通信回線11を介して、いずれかのデータベースサーバ13へ送信する。
【0022】
データベースサーバ13は、1つ以上の自然エネルギーの計測結果を、複数の計測器12から通信回線11を介して随時収集して保持する。
【0023】
発電量試算装置20は、通信回線11を介して、計測器12によって計測された各計測地点の自然エネルギーの計測値を各データベースサーバ13から通信回線11を介して随時収集する。
【0024】
また、発電量試算装置20は、設置候補となる発電設備、発電設備の設置場所、および電力を消費する設備(例えばコンテナ型データセンタ)の設置場所の情報をユーザから受け付けた場合に、収集した自然エネルギーの過去の計測値に基づいて、各設置場所にいずれかの発電設備を設置した場合に予想される発電量を試算し、発電量の合計が多い順に発電設備の組合せの情報を出力する。
【0025】
図2は、発電量試算装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。発電量試算装置20は、計測値収集部21、計測値格納部22、設備情報格納部23、損失情報格納部24、発電量試算部25、発電性能算出部26、出力部27、受付部28、および電力単価情報格納部29を有する。
【0026】
計測値格納部22には、例えば
図3に示すように、それぞれの自然エネルギーの種別220毎に、計測値テーブル221が格納される。それぞれの計測値テーブル221には、それぞれの自然エネルギーの計測が行われた計測地点を示す位置情報222毎に、詳細計測値テーブル223が格納される。それぞれの詳細計測値テーブル223には、計測器12によって計測された計測値224、および、その計測値224が計測された計測日時225が格納される。
【0027】
設備情報格納部23には、例えば
図4に示すように、それぞれの発電設備を識別する設備ID230に対応付けて、当該発電設備が利用する自然エネルギーの種別231、当該発電設備の発電効率232、当該発電設備1台あたりの設備単価233、当該発電設備の設置コスト234、当該発電設備の維持費用235、および当該発電設備の設置可能情報236が予め格納されている。
【0028】
例えば、太陽光発電は、山の北側の斜面のように太陽光が射し込まない場所には設置できず、波力発電や潮力発電は、波打ち際や海上でなければ設置することができない。そのため、設置可能情報236には、対応する発電設備が設置可能な位置を示す情報、例えば対応する発電設備が設置可能な領域を示す情報が格納されている。
【0029】
また、維持費用235は、例えば発電設備の平均的な、または、製造元が保証する寿命に、年間にかかる平均的なメンテナンス費用を掛け合わせることで得られる値である。
【0030】
なお、設備情報格納部23内の情報の少なくとも一部は、各発電設備の製造元や設置業者のサーバから通信回線11を介して取得してもよい。また、発電量試算装置20内に設備情報格納部23を設けずに、設備情報格納部23内の情報が必要になった段階で、発電量試算部25や発電性能算出部26が、各発電設備の製造元や設置業者のサーバから通信回線11を介して設備情報格納部23内の情報を取得するようにしてもよい。
【0031】
損失情報格納部24には、発電設備の設置場所から電力を消費する設備の設置場所までの送電距離と、それに応じて増加する送電損失との関係を示す、例えば
図5に示すような情報が予め格納されている。
【0032】
電力単価情報格納部29には、例えば
図6に示すように、各電力会社を識別する電力会社ID290に対応付けて、当該電力会社が電力を供給する地域の範囲291、当該電力会社が設定している昼間(例えば7時から23時まで)の電力の単価を示す日中単価292、および、当該電力会社が設定している夜間(23時から翌朝7時まで)の電力の単価を示す夜間単価293が予め格納されている。
【0033】
なお、発電量試算装置20内に電力単価情報格納部29を設けずに、電力単価情報格納部29内の情報が必要になった段階で、発電量試算部25や発電性能算出部26が、各電力会社のサーバから通信回線11を介して取得するようにしてもよい。
【0034】
図2に戻って説明を続ける。計測値収集部21は、所定のタイミングで(例えば定期的に)、各データベースサーバ13から自然エネルギーの種別毎に、計測地点、計測日時、および計測値の情報を収集し、計測値格納部22に格納する。
【0035】
受付部28は、マウスやキーボード等の入力装置200を介して、設置候補となる発電設備の設備ID、発電設備の設置場所の座標、および、電力を消費する設備の設置場所の座標の情報をユーザから受け付け、受け付けたこれらの情報を発電量試算部25へ送る。発電設備の設置場所の座標は、複数指定することができる。
【0036】
発電量試算部25は、設置候補となる発電設備の設備ID、発電設備の設置場所の座標、および、電力を消費する設備の設置場所の座標の情報を受付部28から受け取った場合に、それぞれの発電設備の設置場所の座標について、設置候補となる発電設備を1つずつ割り当てる。このとき、設置場所の座標が、発電設備の設置可能情報として設備情報格納部23に格納されている領域に含まれない場合、発電量試算部25は、当該設置場所に当該発電設備を割り当てない。
【0037】
次に、発電量試算部25は、設備情報格納部23を参照して、それぞれの発電設備が利用する自然エネルギーの種別を特定し、特定した自然エネルギーの種別について計測値格納部22を参照し、当該発電設備が割り当てられた設置場所の座標付近の詳細計測値テーブル223を特定し、特定した詳細計測値テーブル223から計測日付毎の計測値を取得する。
【0038】
なお、発電設備が割り当てられた設置場所の座標から所定距離(例えば30m)以内に、特定した自然エネルギーの種別についての計測地点が計測値テーブル221内に存在する場合、発電量試算部25は、その計測地点の詳細計測値テーブル223を、発電設備が割り当てられた設置場所の座標付近の詳細計測値テーブル223として特定する。
【0039】
一方、発電設備が割り当てられた設置場所の座標から所定距離以内の計測地点が計測値テーブル221内に存在しない場合、発電量試算部25は、例えば、発電設備が割り当てられた設置場所の座標に近い順に、所定数(例えば3箇所)の計測地点の詳細計測値テーブル223を計測値テーブル221内で特定し、特定した複数の詳細計測値テーブル223において、各計測日時の計測値の平均を、計測日付毎の計測値として取得する。
【0040】
次に、発電量試算部25は、それぞれの発電設備の設置場所に割り当てた発電設備について、電力を消費する設備の設置場所までの距離に基づいて損失情報格納部24を参照し、送電損失を抽出する。そして、発電量試算部25は、設備情報格納部23から対応する発電効率を取得し、取得した発電効率と、抽出した送電損失と、計測値とを用いて、下記の算出式(1)により計測日時毎の予想発電量を算出する。
予想発電量=発電効率×計測値−送電損失 ・・・(1)
【0041】
なお、本実施形態において、発電量試算部25は、離散的に計測されたそれぞれ計測値に関し、次の計測値が計測される日時までの時間帯においてはその計測値が継続しているものと仮定して予想発電量を算出する。
【0042】
次に、損失情報格納部24は、計測日時に対応する電力単価を電力単価情報格納部29から抽出し、予想発電量と掛け合わせることでその時間帯の電力価格を算出する。ここで算出された電力価格は、発電することにより購入する必要がなくなった費用を示している。
【0043】
発電量試算部25は、ユーザから指定された設置場所の座標および発電設備の全ての組合せについて計測日時毎の予想発電量および電力価格を算出し、例えば
図7に示すような構造のデータとしてメモリに格納し、電力を消費する設備の設置場所の座標の情報と共に、コスト回収期間の算出を発電性能算出部26に指示する。
【0044】
図7に例示したように、メモリには、ユーザから指定されたそれぞれの設置場所の座標300毎に、予想発電量テーブル301が格納される。それぞれの予想発電量テーブル301には、それぞれの発電設備の設備ID302毎に、詳細予想発電量テーブル303が格納される。それぞれの詳細予想発電量テーブル303には、計測値が計測された計測日時304に対応付けて、当該計測値が計測された時間帯の予想発電量305、および、その時間帯の電力価格306が格納される。
【0045】
発電性能算出部26は、コスト回収期間の算出を発電量試算部25から指示された場合に、メモリに格納された情報(
図7)を参照して、発電設備の設置場所の座標および発電設備の組合せ毎に、算出した予想発電量および電力価格をそれぞれ合計して、年間の予想発電量および総電力価格を算出する。
【0046】
そして、発電性能算出部26は、発電設備の設置場所と発電設備の各組合せについて組合せIDを割り当て、例えば
図8に示すように、組合せID310および設置場所の位置情報311に対応付けて、設備ID312、年間予想発電量313、および総電力価格314をメモリに格納する。
【0047】
次に、発電性能算出部26は、メモリに格納された情報(
図8)、設備情報格納部23内のデータ、および電力単価情報格納部29内のデータを用いて、下記の算出式(2)により、組合せIDおよび設置場所の位置情報の組合せ毎に、コスト回収期間を算出する。
コスト回収期間=(設備単価+設置費用+維持費用)÷総電力価格 ・・・(2)
【0048】
次に、発電性能算出部26は、組合せID毎に、各設置場所に割り当てられた発電設備の年間予想発電量を合計して総発電量を算出する。そして、発電性能算出部26は、例えば
図9に示すように、総発電量321、ならびに、設置場所の位置情報322毎の発電設備の設備ID323およびコスト回収期間324を、組合せID320に対応付けた構造のデータをメモリに格納し、電力を消費する設備の設置場所の座標の情報と共に、出力部27に画面表示を指示する。
【0049】
出力部27は、発電性能算出部26から画面表示を指示された場合に、例えば
図10に示すような画面データ40を作成して表示装置201に表示する。出力部27は、
図9に示した情報を、総発電量の多い順に順位付けして領域42に表示する。ユーザがマウス等の入力装置200によりスライダ43を操作することで、出力部27は、総発電量の順位が低い組合せについての配置や各設備のコスト回収期間を表示することができる。
【0050】
また、領域42において、例えば順位の情報をクリックする等により組合せの1つが指定されると、出力部27は、領域41において、指定された組合せについて、電力を消費する施設の位置や、各発電設備の設置場所を地図上に表示する。最初の画面では、最も総発電量の多い組合せについての情報が領域41に表示される。
【0051】
また、領域42において、例えば順位の情報をクリックする等により組合せの1つが指定されると、出力部27は、指定された組合せについて、所定期間(例えば、日、月、または年)内における各発電設備の発電量の変化を積み上げ棒グラフで領域44に表示する。最初の画面では、最も総発電量の多い組合せについてのグラフが領域44に表示される。マウス等の入力装置によりタグ45がユーザによって選択されると、その期間の積み上げ棒グラフが領域44に表示される。
【0052】
画面データ40を参照することにより、ユーザは、最も発電量の多い発電手法の組合せを迅速に把握することができる。また、領域42には、発電性能の一例として、各発電設備をその場所に配置して稼動させた場合のコスト回収期間が表示されるため、発電量だけでなく、コストパフォーマンスも考慮した発電設備の選択および配置を迅速に決定することができる。
【0053】
図11は、発電量試算装置20の動作の一例を示すフローチャートである。設置候補となる発電設備の設備ID、発電設備の設置場所、および電力を消費する設備の設置場所の情報を受け付けた場合、発電量試算装置20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0054】
まず、受付部28は、受け付けた発電設備の設備IDおよび設置場所、ならびに電力を消費する設備の設置場所の情報を発電量試算部25へ送る。発電量試算部25は、発電設備の設置場所として指定された設置場所の中で未選択の設置場所を1つ選択し(S100)、指定された発電設備の設置IDの中で未選択の設備IDを1つ選択する(S101)。
【0055】
次に、発電量試算部25は、ステップS101で選択した設備IDに対応付けられている設置可能情報を設備情報格納部23内で特定し、ステップS100で選択した設置場所が、特定した設置可能情報で示される領域に含まれているか否かを判定することにより、当該設備IDに対応する設備が当該設置場所に設置可能か否かを判定する(S102)。設置可能でない場合(S102)、発電量試算部25は、ステップS105に示す処理を実行する。
【0056】
設置可能である場合(S102:Yes)、発電量試算部25は、ステップS101で選択した設備IDに対応付けられている自然エネルギーの種別を設備情報格納部23内で特定し、特定した種別について計測値格納部22を参照し、ステップS100で選択した設置場所付近の詳細計測値テーブル223を特定し、特定した詳細計測値テーブル223から計測日付毎の計測値を取得する。
【0057】
そして、発電量試算部25は、それぞれの発電設備の設置場所に割り当てた発電設備について、電力を消費する設備の設置場所までの距離に基づいて送電損失を損失情報格納部24から抽出し、ステップS101で選択した設備IDに対応付けられている発電効率を設備情報格納部23から取得する。そして、発電量試算部25は、取得した発電効率と、抽出した送電損失と、計測値とを用いて、前述の算出式(1)により計測日時毎の予想発電量を算出する(S103)。
【0058】
次に、損失情報格納部24は、計測日時に対応する電力単価を電力単価情報格納部29から抽出し、予想発電量と掛け合わせることで計測日時毎の電力価格を算出する(S103)。そして、発電量試算部25は、
図7に示したように、ステップS100で選択した設置場所の位置情報、および、ステップS101で選択した設備IDに対応付けて、計測日時毎の予想発電量および電力価格をメモリに保存する(S104)。
【0059】
次に、発電量試算部25は、指定された設備IDを全て選択したか否かを判定する(S105)。未選択の設備IDがある場合(S105:No)、発電量試算部25は、再びステップS101に示した処理を実行する。
【0060】
一方、設備IDを全て選択した場合(S105:Yes)、発電量試算部25は、指定された設置場所を全て選択したか否かを判定する(S106)。未選択の設置場所がある場合(S106:No)、発電量試算部25は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0061】
一方、設置場所を全て選択した場合(S106:Yes)、発電量試算部25は、発電性能算出部26にコスト回収期間の算出を指示する。発電性能算出部26は、指定された発電設備の設備IDおよび設置場所の全ての組合せについてそれぞれ組合せIDを割り当て(S107)、未選択の組合せIDを1つ選択する(S108)。
【0062】
次に、発電性能算出部26は、ステップS108で選択した組合せIDに対応する組合せに含まれるそれぞれの設置場所に割り当てられた発電設備の設備IDに基づいてメモリ内のデータ(
図7)を参照し、年間の予想発電量および電力価格の平均をそれぞれ算出し、例えば
図8に示した構造のデータとしてメモリに格納する。
【0063】
次に、発電性能算出部26は、ステップS108で選択した組合せIDに対応する組合せに含まれる全ての設置場所に割り当てられた発電設備の年間の予想発電量を合計して総発電量を算出する(S109)。そして、発電性能算出部26は、
図8に示した情報、設備情報格納部23内のデータ、および電力単価情報格納部29内のデータを用いて、前述の算出式(2)により、コスト回収期間を算出する(S110)。
【0064】
次に、発電性能算出部26は、例えば
図9に示したように、総発電量321、ならびに、設置場所の位置情報322毎の発電設備の設備ID323およびコスト回収期間324を、ステップS108で選択した組合せID320に対応付けた構造のデータとしてメモリに格納する(S111)。
【0065】
次に、発電性能算出部26は、組合せIDを全て選択したか否かを判定する(S112)。未選択の組合せIDがある場合(S112:No)、発電性能算出部26は、再びステップS108に示した処理を実行する。一方、組合せIDを全て選択した場合(S112:Yes)、発電性能算出部26は、電力を消費する設備の設置場所の座標の情報と共に、出力部27に画面表示を指示する。
【0066】
出力部27は、メモリに格納された情報(
図9)、および、電力を消費する設備の設置場所の座標等の情報を用いて、例えば
図10に示した画面データ40を作成して表示装置201に表示し(S113)、発電量試算装置20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0067】
図12は、発電量試算装置20の機能を実現するコンピュータ50のハードウェア構成の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ50は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory)52、ROM(Read Only Memory)53、HDD(Hard Disk Drive)54、通信インターフェイス(I/F)55、入出力インターフェイス(I/F)56、およびメディアインターフェイス(I/F)57を備える。
【0068】
CPU51は、ROM53またはHDD54に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM53は、コンピュータ50の起動時にCPU51によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ50のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0069】
HDD54は、CPU51によって実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス55は、通信回線11を介して他の機器からデータを受信してCPU51へ送ると共に、CPU51が生成したデータを、通信回線11を介して他の機器へ送信する。
【0070】
CPU51は、入出力インターフェイス56を介して、表示装置201等の出力装置、および、マウスやキーボード等の入力装置200を制御する。CPU51は、入出力インターフェイス56を介して、入力装置200から信号を取得する。また、CPU51は、生成した信号を、入出力インターフェイス56を介して出力装置へ出力する。
【0071】
メディアインターフェイス57は、記録媒体58に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM52を介してCPU51に提供する。CPU51は、当該プログラムを、メディアインターフェイス57を介して記録媒体58からRAM52上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体58は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0072】
コンピュータ50のCPU51は、RAM52上にロードされたプログラムを実行することにより、計測値収集部21、発電量試算部25、発電性能算出部26、出力部27、および受付部28の各機能を実現する。また、ROM53やHDD54には、計測値格納部22、設備情報格納部23、損失情報格納部24、および電力単価情報格納部29内のデータが格納される。
【0073】
コンピュータ50のCPU51は、これらのプログラムを、記録媒体58から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信回線11を介してこれらのプログラムを取得して実行してもよい。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0075】
上記説明から明らかなように、本実施形態の発電量試算システム10によれば、指定された複数の地点において最も発電量が多くなる発電手法の組み合わせを迅速に試算することができる
【0076】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、上記した実施形態において、発電量試算装置20は、総発電量の多い順に、設置場所および発電設備の組合せの情報を画面データ40として表示するが、本発明はこれに限られず、総発電量の最も多い設置場所および発電設備の組合せの情報を画面データ40として表示するようにしてもよい。
【0077】
また、上記した実施形態において、発電量試算装置20は、1つの設置場所に、1つの発電設備を設置することを前提に処理を進めるが、本発明はこれに限られず、1つの設置場所に複数の発電設備を設置するようにしてもよい。この場合、ユーザは、それぞれの発電設備の設置場所について、その場所に設置可能な発電設備の台数を、設置候補となる発電設備毎に指定し、発電量試算装置20は、その範囲で各設置場所に指定された発電設備を割り当てて総発電量およびコスト回収期間を算出するようにしてもよい。
【0078】
また、上記した実施形態では、指定された設置場所が、指定された発電設備の設置可能情報に含まれていれば、組合せとしてその発電設備がその設置場所に割り当てられるが、他の形態として、それぞれの発電設備の設置場所について、割り当てを除外する発電設備の情報をユーザが指定できるようにしてもよい。これにより、設置場所と発電設備の組合せの数を減らすことができ、計算機の処理負荷を軽減することができる。
【0079】
また、上記した実施形態において、発電量試算装置20は、各発電設備の発電性能を示す指標の一例としてコスト回収期間を算出して表示するが、本発明はこれに限られず、各発電設備の発電性能を示す指標として、発電設備の設置面積や生成される電力の変動幅、騒音の低さ等の情報を算出して表示するようにしてもよい。
【0080】
また、上記した実施形態において、発電量試算装置20は、各発電設備の設置場所や電力を消費する設備の設置場所の指定を2次元座標で受け付けるが、本発明はこれに限られず、3次元の座標として受け付けてもよい。これにより、送電距離に応じた送電損失をより精度よく求めることができる。また、各計測地点の位置情報に標高の情報が含まれていれば、各電力設備の設置場所の標高に応じて、より適切な自然エネルギーの計測値を用いた精度の高い予測電力量の算出も可能となる。
【0081】
また、上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0082】
また、上記した実施形態では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。