【実施例】
【0062】
実施例1
本実施例は、本発明の1又は複数の優れた利益を説明する。抄紙に由来する廃水を(パルプ除去後に)受け取った廃液プラントにおいて、新たな嫌気性蒸解釜が使用されていた。本発明以前に、上記プラントは、カルシウムの沈殿及び/又はスケーリングによる嫌気性蒸解釜の性能の喪失を報告し、またカルシウムの沈殿/スケーリングによる上記蒸解釜の閉塞を報告した。上記プラントは、清掃(スケールの除去)するために蒸解釜を閉鎖しなければならなかった。これは、プラントの大幅な停止時間、及び蒸解釜を清掃するための予定外の費用をもたらした。プラントの管理者は問題の原因又は解決策がわからなかった。本発明者は、本発明が当該技術分野でうまくはたらくかどうかを確認するための実験的試験を提案した。蒸解釜に入った廃水となった工程水を処理した。具体的には、製紙工場のパルパーにおいて、また白水(WW)サイロの最上層(top ply)において300g/トンの量のクロラミン(主としてモノクロラミン)を用いて工程水(パルプを含有していた)を処理した。これを継続して行った。パルププロセスの開始時(ヘッドボックス前)における工程水中の(水に溶解した)カルシウムイオン濃度の量を計測し、また蒸解釜に入る直前のカルシウム濃度の量を計測し、カルシウムにおける相違を決定した。本発明を使用する以前に、カルシウムイオン濃度は2000ppmに増加した。これは非常に良くない、望ましくない出来事であった。一旦、2日〜3日に亘って(継続的に)本発明の方法を使用し、カルシウム濃度の相違を再度決定すると、カルシウム濃度の変化は最終的にはマイナス2500ppmに低下した。換言すると、蒸解釜において溶解したカルシウムの量は、製紙工場におけるパルピング開始時のカルシウム量と比べて、2500ppm超低下した。これは、蒸解釜のファウリングを防止する、驚くべき好転であった。また、カルシウム含有量の減少により、生じた汚泥は嫌気性汚泥であり、化学廃棄物ではないものとすることができる。
【0063】
さらに、工程水(廃水)を生じるパルプ工場では、パルプは再生パルプ(再生包装を含む)であり、高いデンプン含有量を有していた。本発明の使用以前には、上述のように、パルプの加工処理の間、水と混合する際に初期デンプン含有量が著しく低下し、これによりパルプから形成されるウェットシートのデンプン含有量が著しく減少した。本発明者によって、デンプンはアミロース分解性細菌によって分解されていたことが発見された。本発明の方法を使用することにより、カルシウムの沈殿及び/又はスケーリングの制御を達成する以外に、本発明は、細菌を制御することによってデンプンの消費を制御した。その結果、かなりのレベルのデンプンの開始量が保存され、パルプから形成される紙へと取り込まれた。
【0064】
実施例2
本実施例は、また、本発明の1又は複数の優れた利益を説明する。嫌気性蒸解釜は、(パルプ除去後の)抄紙から廃水を受けた異なる廃液プラントにおいて使用されていた。本発明以前には、プラントは、カルシウムの沈殿及び/又はスケーリングによる嫌気性蒸解釜の性能の喪失を報告し、またカルシウムの沈殿及び/又はスケーリングによる蒸解釜の閉塞を報告した。上記プラントは、清掃(スケールの除去)するために蒸解釜を閉鎖しなければならなかった。これは、プラントの大幅な停止時間、及び蒸解釜を清掃するための予定外の費用をもたらした。プラントの管理者は問題の原因又は解決策がわからなかった。本発明者は、本発明が当該技術分野でうまくはたらくかどうかを確認するための実験的試験を提案した。蒸解釜に入った廃水となった工程水を処理した。具体的には、製紙工場のパルパー希釈水において300g/トン〜600g/トンの量、また分別前の希釈前原料(thick stock-before fractionation)において400g/トン〜800g/トンの量、白水(WW)路(flume)において400g/トン〜800g/トンの量のクロラミン(主としてモノクロラミン)で工程水(パルプを含有していた)を処理した。これを継続して行った。パルププロセスの開始時(ヘッドボックス前)における工程水中の(水に溶解した)カルシウムイオン濃度の量を計測し、また蒸解釜に入る直前のカルシウム濃度の量を計測し、カルシウムにおける相違を測定した。本発明を使用する以前に、カルシウムイオン濃度は4000ppmに増加した。これは非常に良くない、望ましくない出来事であった。一旦、2日〜3日に亘って(継続的に)本発明の方法を使用して、カルシウム濃度の相違を再度測定すると、カルシウム濃度の変化は最終的にはマイナス700ppmになった。換言すると、蒸解釜におけるカルシウムの量は、製紙工場におけるパルピング開始時のカルシウム量と比べて、500ppm超低下した。これは、蒸解釜のファウリングを防止する、驚くべき好転であった。また、カルシウム含有量の減少により、生じた汚泥は嫌気性汚泥であり、化学廃棄物ではないものとすることができる。
【0065】
実施例3
α−アミラーゼを含むアミラーゼを含有する塩素高要求溶液にNaOClを添加する効果を評価するため、実験的試験を行った。
【0066】
以下に記載される実験では、MEGAZYME
(商標)(アイルランド)から入手される合成α−アミラーゼ基質「RED−STARCH」、及びセルロースを含有する試料を含む複合製紙工場の工程水中においてこの基質の使用を可能とする開発された試験手順を使用してアミラーゼ活性を計測した。
【0067】
α−アミラーゼ活性について製紙工場の試料を試験するために開発された示される試験手順は、1gの粉末化RED−STARCH基質を50mLの0.5M KCl溶液(7.45g/100ml)に添加し、溶解するまで激しく振蕩しながら60℃まで温めることによる基質の調製を含む。調製した基質をそのまま(fresh)使用してもよく、又は使用まで冷蔵保存してもよい。アッセイでは、使用時に200倍に希釈される300mM CaCl
2・2H
2O溶液(39.2g/l)として濃縮アッセイ緩衝液を調製した。製紙工場で回収した任意の液体試料に対してアッセイを行うことができる。濁度の高い試料は、最終計測工程に支障をきたす可能性がある。したがって、濾紙を通して繊維を含有する試料を濾過し、高粘度試料に由来する液体を試料から液体を圧搾することによって回収することができる。試料に対してアッセイを行うため、アッセイ緩衝液30μl、RED−STARCH基質溶液3ml、及び試験試料溶液3mlを35ml容の試験バイアルに添加し、混合し、バイアル及び内容物を一定の温度(35℃〜40℃)で30分インキュベートすることができる。エタノール(変性させた)又はメタノール10mlを添加し、激しく振蕩した後、濾紙を通して内容物を濾過する前にバイアル及びその内容物を2分間置くことにより反応を終了する。高分子量材料を濾過により除去することができる。10ml容のシリンジを使用して、0.22μm又は0.45μmの使い捨て濾過カートリッジに濾過した液体を通過させる。カートリッジを通過する液体を分光光度計のキュベットに入れ、反応溶液、及びそれと分けた反応ブランクの吸光度(OD)を、分光光度計を使用して計測する。エタノール又はメタノール10mlを最初に試験バイアルに添加することにより反応ブランクを調製し、その後アッセイ緩衝液30μl、red starch基質溶液3ml、及び試験溶液3mlを添加して、上述のように計測用試料を調製する。分光光度計は、Hach DR/890比色計(コロラド州、ラヴランド、Hach Company)でもよく、又は他の分光光度計装置でもよい。吸光度は、光学密度(OD)として計測され得る。RED−STARCH基質とα−アミラーゼとのインキュベーションに際して基質を脱重合し、反応混合物へのアルコールの添加に際して溶液中に残る低分子量の染色されたフラグメントを生じることができる。ODの計測値は、試験試料中のα−アミラーゼ活性に正比例する。多くの分光光度計は、対数目盛のOD(吸光度)単位で読む目盛りを有する。吸光度を計測する510nmの波長を選択すること、水をブランク(OD=0)として使用すること、また最大α−アミラーゼ活性試料を少量のBUZYME
(商標)2508(ベルギー、Buckman Laboratories)を水に添加することによって調製すること、そしてこれをアッセイで使用する(計測され得る最大ODがおよそ25である)ことを含む、使用者が編集したプログラムをDR/890装置に入れることができる。このプログラムを用いて得られる範囲は非常に広く、全ての製紙工場試料に十分であり得る。この試験手順を使用することにより、典型的には製紙工場試料は、1〜7の範囲の吸光度の値を有する。試料が最大読み取りを与える場合、水に希釈してより正確な値を決定することができる。結果を、実際の数字として、又は上記手順の最大読み取りである25の割合として表すことができる。下表1の結果は、最大読み取りの割合としてα−アミラーゼ活性に関する結果を示す。
【0068】
実施された試験では、酸化プログラムにより処理されていなかった塗工抄紙機(coated papermachine)パルパーフィル水タンクから採取された工程水を使用した。最初に、この工程水の実際の塩素要求量及びモノクロラミン(NH
2Cl)要求量を決定した(表1)。この工程水に市販のα−アミラーゼを添加した(BUZYME
(商標)2508、1/1000混合物比にて)。このミックスから30mlの試料を調製し、これに下表1に示されるサブデマンド量のNaOCl及びモノクロラミンを添加した。α−アミラーゼ基質であるRED−STARCH及び反応緩衝液が添加される前に、これらの試料を40℃にて15分間のインキュベーションに供した。40℃にて30秒間の接触時間の後、アルコール(変性エタノール又はメタノール)を添加することによって反応を停止し、各試料中の残存相対α−アミラーゼ活性を上記方法で記載されるように決定した(表1)。
【0069】
【表1】
【0070】
実験結果は、α-アミラーゼを含有する塩素高要求溶液に実際の塩素要求量の10%〜50%でNaOClを添加することが、α−アミラーゼ活性を減少するのに効果的であったことを示す。モノクロラミンを同一の試料に添加してもα−アミラーゼ活性に対して何らの顕著な効果もなかった。
【0071】
実施例4
本実施例は、パルプ中でセルロース繊維と堅く結合したデンプンの存在を調べるために使用した実験的試験を説明する。化学的酸素要求量(COD)計測に基づく溶液中のデンプンの定量化に関する実験的試験を使用した。デンプンの定量化は、典型的にはヨウ素を使用して行われる。この方法を用いる問題は、正しい立体配置において、完全な(intact)高分子量のデンプンに対してのみ正しく機能するということである。低分子量のデンプン、糖オリゴマー又は個別の糖へのデンプン分子の様々な分解の程度は、ヨウ素では検出も計測もされない。この問題を克服し、デンプン及び分解産物を定量するためのよりロバストな(robust)方法を得るため、化学的酸素要求量(COD)計測を使用することができる。特に、デンプンが溶液中の唯一又は主なCOD寄与分子であることが既知である場合、この方法は、デンプンが分解される程度によって影響を受けない非常に的確で再現可能な数値を与えることができる。
【0072】
パルプ試料では、例えば、セルロース繊維と堅く結合したパルプ試料中にデンプンが存在していたかどうかを決定できることが重要であった。これを決定するため、実験室において繊維試料を調製するか、又は工業上の繊維試料をその現場で解析した。400ミクロンのスクリーン及び利用可能な濾紙の両方を使用して、スクリーン上の濾過によって異なる懸濁液からパルプを回収し、水道水に再懸濁した。パルプを再度濾過し、水道水に再懸濁した。このように調製したパルプの試料を、α−アミラーゼ活性に供し、適切なインキュベーション時間の後、再度濾過した。また、酵素によって処理されていない対照を再度濾過した。最後に、これら2つの最終(三次)濾過物、及び一次濾過物におけるCODを、セルロース繊維に結合したデンプンに関する評価基準として決定した。
【0073】
段ボール箱(1%繊維濃度)から調製した実験室試料について、以下の実験結果が得られた。
α−アミラーゼを含まない、濾過に際して一次濾過物を産生する未洗浄のパルプ:一次濾過物のCOD 500ppm超。このCODは、段ボール箱のパルピング後に溶液中に放出される有機材料である。このCODの多くはデンプン及びその様々な分解産物、並びにセルロース繊維に堅く結合していない他の有機材料で構成される。
α−アミラーゼを全く含有しない水に再懸濁した繊維の三次濾過物、この繊維を最終濾過の前に40℃にて1時間、懸濁液中に置いた:三次濾過物のCOD 70ppm未満。2回の洗浄サイクルの後、漉紙上に維持されるセルロース繊維材料からは、それ以上のCODは機械的にほとんど放出されなかった。
水に再懸濁された繊維の三次濾過物、最後のサイクル中、α−アミラーゼを懸濁液に添加し、濾過前に40℃にて1時間の接触時間を与えた:三次濾過物のCOD 500ppm超、最終繊維懸濁物へのα−アミラーゼの添加は、単純な機械的手段によって除去されないセルロース繊維からかなりの量の有機材料を放出する。基質としてのデンプンに対するアミラーゼの特異性に基づいて、繊維から放出されたCODはデンプンであったとするのが合理的である。
【0074】
最終試験では、繊維懸濁液から放出される実際のCODを与えるための酵素添加と共に添加されたCODについて、実際のCOD計測結果を補正した。
【0075】
アミラーゼ活性後に三次濾過物へと放出される実際量のCODは、一次繊維懸濁液からのCOD放出量に類似した。この観察に基づいて、再生板紙パルプ中の総デンプンの最大50%以上が、リパルピング等の単純な機械的作用によって破壊されないセルロース繊維との複合体中に存在し得ると言える。
【0076】
これらの実験的試験結果より、段ボール箱に存在する総COD/デンプンより、かなりの割合がデンプンとして繊維に密接に結合していることが明らかである。アミラーゼ分解からデンプンを保護することは、例えば、NaOCl及びクロラミンを使用する、示される二重処理法によって、デンプンが繊維と密接に結び付くことを維持し、段ボール箱に由来する再生パルプを用いて製造される新たなシートへのデンプンの効率的な移行を可能とする。試験した材料及び使用した実験条件では、これは、段ボール箱のデンプンのほぼ50%が繊維と共に移動することに相当する。
【0077】
実施例5
異なるグレードの紙の生産においてパルプに対してクロラミン及びNaOClを使用する二重処理方法の有効性を調査するため、商業的な製紙工場において産業試験を行った。試験中、二重処理を受けていないパルプから作られたシートについて得られる強度と同じくらいの強度に維持されるように、シートの形成前に、示される二重処理に供されたパルプから生産されたシートに対するサイズプレスデンプンの使用を調整した。これを行うため、試験中のサイズプレスデンプンの使用を、試験期間外で生産された同様の製品と比較した。また、試験中、填料の放出(filler evolution)(CaCO
3)等の他の変数を監視した。填料の増加はいずれも、通常、強度特性の低下をもたらすと予想される。試験中、サイズプレスにおけるデンプンの使用量は、異なるグレードの紙の生産において著しく減少し得る一方で、二重処理を受けずに生産されたシートとほぼ同じ紙強度を維持することができることが結果からわかった。さらに、二重処理を受けたパルプから生産されたシートについて填料歩留りの著しい増加が見られたのに対し、サイズプレスにおいてデンプンの使用量が減少したにもかかわらず、同時に、強度が維持されるか又はわずかに増加した。
【0078】
本発明は、任意の順序及び/又は任意の組合せでの以下の態様/実施形態/特徴を包含する:
1. パルプ中に存在するデンプンを保存する方法であって、
ヘッドボックスを有する抄紙プロセスにおいて、上記パルプを含有する工程水を、上記工程水がヘッドボックスで0.3ppm〜15ppmの残存クロラミン量を有するように、モノクロラミンを含むクロラミンで処理することを含み、上記パルプ中に乾燥パルプ繊維の重量ベースで少なくとも0.001重量%の量のデンプンが存在する、方法。
2. 上記パルプを含有する工程水を上記クロラミンで連続処理することを含む、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
3. ヘッドボックスの代わりにラウンドフォーマーを有する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
4. 上記パルプが、再生包装、古段ボール箱(OCC)、混合オフィス古紙(MOW)、上質コート紙、又はこれらの任意の組合せに由来する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
5. 上記パルプが、少なくとも20kg/トンのデンプンを含有する、再生包装、古段ボール箱(OCC)、混合オフィス古紙(MOW)、及び/又は上質コート紙に由来する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
6. デンプン含有量が包装用シート/板紙1トン当たり少なくとも5kgの包装用シート/板紙を形成することを更に含む、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかにに記載の方法。
7. アミラーゼ、例えば、α−アミラーゼの産生が制御されるか、又は防止される、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
8. アミロース分解性細菌が、上記工程水中に乾燥パルプ1g当たり約1.0×10
15cfu未満の量で存在する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
9. アミロース分解性細菌が、上記工程水中にパルプd.w.1g当たり約1.0×10
10cfu未満の量で存在する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
10. アミロース分解性細菌が、上記工程水中にパルプd.w.1g当たり約1.0×10
5cfu未満の量で存在する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
11. 上記連続処理が少なくとも12時間に亘る、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
12. 上記連続処理が少なくとも24時間に亘る、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
13. 上記連続処理が少なくとも36時間に亘る、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
14. 上記連続処理が少なくとも7日間に亘る、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
15. 上記工程水中のCa
2+イオンレベルが1200ppm未満である、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
16. 上記工程水中のCa
2+イオンレベルが1000ppm未満である、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
17. 上記工程水中のCa
2+イオンレベルが800ppm未満である、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
18. 上記処理がヘッドボックス、又は上記ヘッドボックスの上流で起こる、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
19. 上記クロラミンが上記工程水に導入されるストック溶液として形成される、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
20. 上記クロラミンが上記工程水中、in−situで形成される、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
21. 上記クロラミンが、少なくとも1種のアンモニウム塩と少なくとも1種の塩素含有酸化剤とを反応させて形成される、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
22. 上記クロラミンが、少なくとも1種のアンモニウム塩と、次亜塩素酸ナトリウム若しくは次亜塩素酸カルシウム又はこれらの両方とを反応させて形成される、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
23. 以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法を使用して製造される包装用シート/板紙。
24. パルプを含有する工程水の殺生物剤及び酸化剤による二重処理を含む抄紙プロセスにおいてパルプ中の微生物を制御するとともに、デンプンを保護する方法であって、上記殺生物剤がデンプン分解酵素を産生する可能性のある微生物を減少し、上記酸化剤がパルプのデンプン内容物に対するデンプン分解酵素の酵素活性を減少する、方法。
25. パルプ中に存在する天然デンプンを保存する方法であって、
抄紙プロセスにおいて、セルロース及び天然デンプンの複合体又は凝集物を含むパルプを含有する工程水を処理することを含み、ここで、上記処理がクロラミン及び酸化剤を別々に上記工程水に添加することを含み、処理された工程水中のデンプン分解酵素の含有量が、酸化剤を含まない工程水の処理に比べて減少している、方法。
26. デンプン分解酵素の含有量がアミラーゼの含有量、例えばα−アミラーゼの含有量である、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
27. 酸化剤が次亜塩素酸ナトリウムである、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
28. 上記パルプが再生包装、古段ボール箱(OCC)、又は損紙に由来する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
29. アミラーゼ、例えば、α−アミラーゼの産生を防止する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
30. 上記次亜塩素酸ナトリウム又は他の酸化剤の添加が、上記工程水の実際の塩素要求量の約10%〜約50%で上記次亜塩素酸ナトリウム又は他の酸化剤を添加することを含む、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
31. 上記工程水への上記クロラミン及び上記次亜塩素酸ナトリウム又は他の酸化剤の別々の添加が、上記工程水に上記クロラミンを添加することと、その後遅れて、上記工程水に上記次亜塩素酸ナトリウム又は他の酸化剤を添加することとを含む、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
32. 上記次亜塩素酸ナトリウム又は他の酸化剤の添加がパルパー又は高密度チェストで行われる、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
33. 以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法を使用して製造される包装用シート/板紙。
34. 抄紙に使用される工程水を加工処理し、加工処理されるパルプに由来するカルシウムを含有していた好気性又は嫌気性の蒸解釜におけるカルシウムの沈殿及び/又はスケーリングを制御又は防止する方法であって、抄紙プロセスにおいて、上記パルプが存在する場合に、上記工程水が0.3ppm〜15ppmの残存クロラミン量を有するように上記パルプを含有する工程水を、モノクロラミンを含むクロラミンで連続処理することであって、ここで上記パルプ中にはカルシウムが存在することと、その後、上記パルプから紙/板紙を形成することと、パルプ除去後に1又は複数の蒸解釜に対して上記工程水を加工処理することとを含む、方法。
35. 抄紙で使用される工程水を加工処理し、加工処理されるパルプに由来するカルシウムを含有していた生物学的酸素要求量減少(BOD)システムにおけるカルシウムの沈殿及び/又はスケーリングを制御又は防止する方法であって、抄紙プロセスにおいて、上記パルプが存在する場合に、上記工程水が0.3ppm〜15ppmの残存クロラミン量を有するように上記パルプを含有する工程水を、モノクロラミンを含むクロラミンで連続処理することであって、ここで上記パルプ中にはカルシウムが存在することと、その後、上記パルプから紙/板紙を形成することと、パルプ除去後に上記BODシステムに対して上記工程水を加工処理することであって、それによりBODを減少することとを含む、方法。
36. パルプ除去後に上記工程水中に存在する上記カルシウムイオンが5000ppm以下の量で存在する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
37. パルプ除去後に上記工程水中に存在する上記カルシウムイオンが2000ppm以下の量で存在する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
38. パルプ除去後に上記工程水中に存在する上記カルシウムイオンが1000ppm以下の量で存在する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
39. パルプ除去後に上記工程水中に存在する上記カルシウムイオンが500ppm以下の量で存在する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
40. パルプ除去後に上記工程水中に存在する上記カルシウムイオンが約10ppm〜500ppmの量で存在する、以上又は以下の実施形態/特徴/態様のいずれかに記載の方法。
【0079】
本発明は、文及び/又は段落に記載のような上記及び/又は下記のこれらの様々な特徴又は実施形態の任意の組合せを包含し得る。本明細書に開示される特徴の任意の組合せは本発明の一部とみなされ、組合せ特徴に関しては限定されないことが意図される。
【0080】
出願人らはこの開示における全ての引用文献の内容全体を具体的に援用している。さらに、量、濃度又は他の値若しくはパラメーターが範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値と好ましい下限値とのリストのいずれかとして与えられる場合、これは範囲が別々に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限又は好ましい値と、任意の範囲下限又は好ましい値との任意の組合せからなるあらゆる範囲を具体的に開示するものと理解されるものとする。数値の範囲が本明細書で言及されている場合、特に指定のない限り、範囲はその端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本発明の範囲は、範囲を規定する場合に言及された特定の値に限定することは意図されない。
【0081】
本発明の他の実施形態は、本明細書の検討、及び本明細書に開示される本発明の実施により当業者にとって明らかとなるであろう。本明細書及び実施例は例示的なものにすぎず、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲及びその均等物により示されることが意図される。