(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6275909
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】ヘアドライヤー用アタッチメントおよびヘアドライヤー
(51)【国際特許分類】
A45D 20/12 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
A45D20/12 J
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-160732(P2017-160732)
(22)【出願日】2017年8月24日
【審査請求日】2017年9月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515072392
【氏名又は名称】アサクラインターナショナル有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 博美
【審査官】
長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−006665(JP,A)
【文献】
実公昭45−018529(JP,Y1)
【文献】
特許第4671302(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3116385(JP,U)
【文献】
実開昭50−146781(JP,U)
【文献】
実公昭03−014589(JP,Y1)
【文献】
実開昭54−047587(JP,U)
【文献】
実開昭58−005605(JP,U)
【文献】
特開昭56−001110(JP,A)
【文献】
実開昭54−007782(JP,U)
【文献】
米国特許第05956863(US,A)
【文献】
中国特許出願公開第1698493(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアドライヤーの吹出口に設けられるヘアドライヤー用アタッチメントであって、
基端側に導入口を有し先端側に放出口を備える筒状のフード部材と、
外面に複数の噴出孔が形成された先細部を有し前記フード部材の内部の基端側に設けられた拡散部材と、
前記拡散部材の先方で前記フード部材の内部を仕切るように設けられた整流板とを備え、
前記フード部材は、基端側から先端側に向けて徐々に拡径される拡径部を備えており、
前記導入口から前記拡散部材の内部に導入された空気が、前記噴出孔を介して前記拡径部に噴出するように構成され、
前記先細部は、円弧状に湾曲する複数の第1の帯状体および第2の帯状体を周方向に交互に配置することにより、半楕円球状に形成されており、
前記第1の帯状体に対して前記第2の帯状体を陥没するように設けることで、前記第1の帯状体と前記第2の帯状体との間に前記噴出孔が形成されるヘアドライヤー用アタッチメント。
【請求項2】
前記フード部材の内部の先端側に設けられた椀状部材を更に備え、
前記椀状部材は、先端開口が前記放出口に連設されており、前記フード部材の内壁面と対向する位置に第1の連通孔が複数形成されている請求項1に記載のヘアドライヤー用アタッチメント。
【請求項3】
前記椀状部材の底部から先方に突出する膨出部を更に備え、
前記膨出部は、前記椀状部材の内壁面と対向する位置に第2の連通孔が複数形成されている請求項2に記載のヘアドライヤー用アタッチメント。
【請求項4】
前記膨出部に着脱可能に装着され、被収容物を蒸散可能な収容容器を更に備える請求項3に記載のヘアドライヤー用アタッチメント。
【請求項5】
前記整流板は、金属製の多孔板である請求項1から4のいずれかに記載のヘアドライヤー用アタッチメント。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のヘアドライヤー用アタッチメントと、
前記ヘアドライヤー用アタッチメントに空気を導入するためのファンを有するドライヤー本体とを備えるヘアドライヤー。
【請求項7】
前記ファンは、ターボファンまたはシロッコファンである請求項6に記載のヘアドライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤー用アタッチメント、および、これを備えるヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
パーマネントウェーブをかけた毛髪は、濡れた状態でヘアドライヤーにより強風を当てるとウェーブを伸ばしてしまうおそれがある一方、ヘアドライヤーの風量調節により弱風にすると、風量の低下により乾燥するまでに長時間を要するという問題がある。このため、ヘアドライヤーの大風量を維持したまま流れを拡散させることにより、風速を低下させるヘアドライヤー用のアタッチメントが従来から知られている(例えば、特許文献1の背景技術)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−24137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のヘアドライヤー用アタッチメントは、吹出口からの温風が微風速で周囲に拡がることにより温度低下が生じやすいため、毛髪の乾燥に時間がかかるだけでなく、毛髪の根元まで風が行き渡り難いためスタイリングが困難になり易いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、毛髪のスタイリングを迅速容易に行うことができるヘアドライヤー用アタッチメントおよびヘアドライヤーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、ヘアドライヤーの吹出口に設けられるヘアドライヤー用アタッチメントであって、基端側に導入口を有し先端側に放出口を備える筒状のフード部材と、外面に複数の噴出孔が形成された先細部を有し前記フード部材の内部の基端側に設けられた拡散部材と、前記拡散部材の先方で前記フード部材の内部を仕切るように設けられた整流板とを備え、前記フード部材は、基端側から先端側に向けて徐々に拡径される拡径部を備えており、前記導入口から前記拡散部材の内部に導入された空気が、前記噴出孔を介して前記拡径部に噴出するように構成され
、前記先細部は、円弧状に湾曲する複数の第1の帯状体および第2の帯状体を周方向に交互に配置することにより、半楕円球状に形成されており、前記第1の帯状体に対して前記第2の帯状体を陥没するように設けることで、前記第1の帯状体と前記第2の帯状体との間に前記噴出孔が形成されるヘアドライヤー用アタッチメントにより達成される。
【0008】
また、前記フード部材の内部の先端側に設けられた椀状部材を更に備えることが好ましく、前記椀状部材は、先端開口が前記放出口に連設されており、前記フード部材の内壁面と対向する位置に第1の連通孔が複数形成されていることが好ましい。この構成においては、前記椀状部材の底部から先方に突出する膨出部を更に備えることが好ましく、前記膨出部は、前記椀状部材の内壁面と対向する位置に第2の連通孔が複数形成されていることが好ましい。更に、前記膨出部に着脱可能に装着され被収容物を蒸散可能な収容容器を備えることが好ましい。
【0009】
前記整流板は、金属製の多孔板であることが好ましい。
【0010】
また、本発明の前記目的は、上記の構成を備えるヘアドライヤー用アタッチメントと、前記ヘアドライヤー用アタッチメントに空気を導入するためのファンを有するドライヤー本体とを備えるヘアドライヤーにより達成される。前記ファンは、ターボファンまたはシロッコファンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、毛髪のスタイリングを迅速容易に行うことができるヘアドライヤー用アタッチメントおよびヘアドライヤーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヘアドライヤーの側面図である。
【
図2】前記ヘアドライヤーが備えるヘアドライヤー用アタッチメントの斜視図である。
【
図3】前記ヘアドライヤー用アタッチメントの断面斜視図である。
【
図4】前記ヘアドライヤー用アタッチメントの縦断面図である。
【
図5】前記ヘアドライヤー用アタッチメントの要部平面図である。
【
図6】前記ヘアドライヤー用アタッチメントの変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るヘアドライヤーの側面図である。
図1に示すように、ヘアドライヤー1は、ドライヤー本体100と、ドライヤー本体100に装着されたヘアドライヤー用アタッチメント1とを備えている。
【0014】
ドライヤー本体100は、円筒状のケーシング101内に、モータ102と、モータ102により駆動されるファン103と、ヒータ104とを備えており、電源コード105により通電されて、スイッチ106の操作により作動する公知の構成である。ケーシング101の先端および後端には、吹出口107および吸込口108がそれぞれ形成されており、吹出口107にヘアドライヤー用アタッチメント10が装着される。本実施形態においては、ヘアドライヤー用アタッチメント10は、ケーシング101の先端部に着脱可能に係合する構成としているが、ケーシング101の先端部に着脱不能に固定してもよく、あるいは、ケーシング101と一体であってもよい。
【0015】
図2から
図4は、それぞれヘアドライヤー用アタッチメント1の斜視図、断面斜視図、および縦断面図である。
図3においては、ヘアドライヤー用アタッチメント1の構成要素の一部である整流板の図示を省略している。
図2から
図4に示すように、ヘアドライヤー用アタッチメント1は、筒状のフード部材20と、フード部材の内部に設けられた椀状部材23、膨出部24、拡散部材25および整流板26とを備えている。
【0016】
フード部材20は、前筒21と、前筒21の基端側に接合された後筒22とを備えており、後筒22の基端側に導入口11が形成され、前筒21の先端側に放出口12が形成されている。後筒22は、基端側から先端側に向けて徐々に拡径される拡径部27を有している。拡径部27は、本実施形態ではフード部材20の内方に凸となる断面円弧状に形成されており、後筒22の基端から先端までの全体にわたって設けられている。拡径部27は、フード部材20の軸方向の一部に部分的に設けられていてもよい。前筒21は、基端側から後端側に向けて若干縮径されるように形成されている。放出口12の開口面積は、導入口11の開口面積よりも大きい。
【0017】
椀状部材23は、前筒21の長さと略同じ深さを有しており、先端開口の周縁部が放出口12の周縁部に連設されて、フード部材20の先端側に配置されている。椀状部材23は、前筒21の内壁面と対向する位置にスリット状に形成された複数の第1の連通孔231が、周方向の全体にわたって等間隔に配置されている。椀状部材23の底部には、複数の補助孔232が周縁部に均一に形成されており、複数の補助孔232により囲まれた底部中央が先端開口に向けてカップ状に膨出するように、膨出部24が設けられている。椀状部材23は、本実施形態においては前筒21と一体成形されているが、前筒21と別部材であってもよい。
【0018】
膨出部24は、椀状部材23の内壁面と対向する位置にスリット状に形成された複数の第2の連通孔242が、周方向の全体にわたって等間隔に配置されている。膨出部24の先端側底部の周縁部には、複数の補助孔241が均一に形成されている。
【0019】
拡散部材25は、先端側に先細部259を有する筒状の部材であり、基端側の開口周縁が、後筒22の導入口11の周縁部に連設されて、フード部材20の基端側に配置されている。先細部259は、円弧状に湾曲する複数の第1の帯状体251および第2の帯状体252が周方向に交互に配置されて半楕円球状に形成されている。第2の帯状体252は、両側の第1の帯状体251に対して陥没するように設けられており、これによって、隣接する第1の帯状体251と第2の帯状体252との間に、スリット状の噴出孔253が形成されている。先細部259の先端部は、後筒22の先端近傍まで延びており、中央に補助孔254が形成されている。
【0020】
拡散部材25は、本実施形態においては後筒22と一体成形されているが、後筒22と別部材であってもよい。また、拡散部材25の基端開口は、必ずしも導入口11の周縁部に連設する必要はなく、導入口11の周縁部との間に若干の隙間が形成されていてもよい。拡径部27が、フード部材20の一部に設けられている場合、先細部259の噴出孔253は、拡径部27に空気を噴出するように配置されていることが好ましい。
【0021】
整流板26は、
図5に示すように、直径が1〜2mm程度の多数の小孔262が全体にわたって均一に形成された平板状の部材であり、
図4に示すように、前筒21の基端近傍の内周面に固定された保持リング261と、後筒22の先端近傍の内周面に形成された段部との間に挟持されて、フード部材20の内部を仕切るように椀状部材23と拡散部材25との間に介在されている。整流板26は、通過する温風による蓄熱を促すため、アルミニウム等の金属製であることが好ましい。整流板26は、例えば、網材、パンチングメタル、エキスパンドメタル等により構成することができる。
図4に示すように、拡散部材25の先方に設けられた整流板26によって、先細部259の外面と拡径部27の内壁面との間にはバッファ空間S1が形成され、椀状部材23の外面と前筒21の内壁面との間には淀み空間S2が形成される。
【0022】
上記の構成を備えるヘアドライヤー1は、ドライヤー本体100を作動させると、ヘアドライヤー用アタッチメント1内に導入口11から温風が導入される。導入された温風は、大部分が拡散部材25の先細部259の噴出孔253から拡径部27に噴射され、一部が補助孔254を通過し、バッファ空間S1の全体に均一に拡散される。温風は、バッファ空間S1に貯留された後、整流板26の全体を通過する。こうして、ドライヤー本体100からの温風を所望の温度(例えば、約80℃)に維持しつつ、風速を全体的に低下させて、放出口12に向けて送出することができる。バッファ空間S1の温風を整流板26に確実に押し込んで、温風が整流板26の全体を均一に通過するのを促すため、ドライヤー本体100のファン103は、静圧が高いファンであることが好ましく、例えば、ターボファンやシロッコファンであることが好ましい。
【0023】
整流板26の周縁部を通過した温風は、淀み空間S2を経て第1の連通孔231から椀状部材23の内部に供給される。一方、整流板26の中央部を通過した温風は、膨出部24の内部を経て第2の連通孔242から椀状部材23の内部に供給される。これらの温風の吹出方向は、主としてフード部材20の径方向であることから、補助孔232,241を通過した温風とも合流して椀状部材23の内部での混合が促され、放出口12の全体から略均一な速度および温度で放出される。放出される温風は、バッファ空間S1から押し出されることによって直進性が高まるため、放出口12の周囲への拡散が防止される。
【0024】
このように、本実施形態のヘアドライヤー1は、必要な風量および温度を維持しつつ、広面積から低速の風を毛髪に向けて確実に放出することができるため、毛髪のスタイリングを迅速容易に行うことができる。本実施形態のヘアドライヤー1は、通常のヘアドライヤーと同様に使用することが可能であるが、毛髪の根元に温風を供給し易いように放出口12の周縁部を頭部に押し付けてもよく、あるいは、毛髪の一部を椀状部材23の内部に押し込んでクセ付けを行うことも可能である。
【0025】
図6に示すように、ヘアドライヤー用アタッチメント10の膨出部24には、被収容部Cを蒸散可能な収容容器30を着脱可能に装着してもよい。収容容器30は、容器本体31の全体に蒸散孔32が形成されており、容器本体31から後方に延びる複数の脚部33の端部に、それぞれ係合部34が設けられている。脚部33は可撓性を有しており、係合部34を膨出部24の第2の連通孔242に係合させることで、容器本体31が膨出部24の先端に保持される。
【0026】
容器本体31に収容する被収容物Cは、例えば、アロマやコラーゲンの粒状物を挙げることができるが、特に限定されるものではなく、温風による蒸散を促して毛髪に効果的に作用するものを適宜使用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ヘアドライヤー
10 ヘアドライヤー用アタッチメント
11 導入口
12 放出口
20 フード部材
23 椀状部材
231 第1の連通孔
24 膨出部
242 第2の連通孔
25 拡散部材
251 第1の帯状体
252 第2の帯状体
253 噴出孔
259 先細部
26 整流板
27 拡径部
30 収容容器
100 ドライヤー本体
103 ファン
【要約】
【課題】 毛髪のスタイリングを迅速容易に行うことができるヘアドライヤー用アタッチメントを提供する。
【解決手段】 ヘアドライヤーの吹出口に設けられるヘアドライヤー用アタッチメント10であって、基端側に導入口11を有し先端側に放出口12を備える筒状のフード部材20と、外面に複数の噴出孔253が形成された先細部を有しフード部材20の内部の基端側に設けられた拡散部材25と、拡散部材25の先方でフード部材20の内部を仕切るように設けられた整流板26とを備え、フード部材20は、基端側から先端側に向けて徐々に拡径される拡径部27を備えており、導入口11から拡散部材25の内部に導入された空気が噴出孔283を介して拡径部27に噴出するように構成される。
【選択図】
図4