(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る吸着ヘッド及び集積装置について説明する。本実施形態では、吸着対象物品である、食品等の内容物が入った軟包材(フレキシブルパッケージ)を順次3つずつ吸着する吸着ヘッドと、この吸着ヘッドを備え、吸着ヘッドに吸着された物品を移載して集積する集積装置とを例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る集積装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る吸着ヘッドの斜視図である。
図3は、本実施形態に係る吸着ヘッドの一部断面図である。
図4は、本実施形態に係るダクトボックスの底面図である。
図5は、本実施形態に係るダクトボックスのエア系統図である。
図6は、本実施形態に係るエアシリンダのエア系統図である。
【0014】
図1に示すように、集積装置1は、制御装置5と、パラレルロボット10と、吸着ヘッド20と、吸引ブロワ40とを備えている。制御装置5は、パラレルロボット10、吸着ヘッド20及び吸引ブロワ40等の集積装置1を構成する部材の動作を制御するための装置であり、これらの部材と接続されている。
【0015】
パラレルロボット10は、パラレルメカニズムを用いたロボットであり、吸着ヘッド20を物品2の吸着場所と集積場所との間で移動させる。本実施形態では、吸着ヘッド20は、ベルトコンベア50上を一列で搬送されてくる物品(軟包材)2を3つずつ吸着して、物品集積部55に移載する。
【0016】
通常、物品集積部55には、ダンボール箱が順次設置され、所定個数の物品2がダンボール箱内に集積される。吸引ブロワ40は、吸着ヘッド20の内部空間(チャンバー)23内を吸引するためのエアポンプである。
【0017】
図2〜
図4に示すように、吸着ヘッド20は、ダクトボックス22と、ハンガー29と、ブロワ配管30と、開閉弁32とを備えている。ダクトボックス22は、内部に内部空間(チャンバー)23を備える中空の直方体形状であり、その下面には、物品2を吸引・吸着するための吸着用開口部25が形成されている。
【0018】
吸着用開口部25は、ダクトボックス22の長手方向に順次形成された第一吸着用開口部25a、第二吸着用開口部25b及び第3吸着用開口部25cを備えている。各吸着用開口部25a〜25cは、ダクトボックス22の短手方向にそれぞれ列んで形成された2つの開口26から構成されており、ダクトボックス22の下面には、格子状に整列した6つの開口26が形成されている。
【0019】
吸着用開口部25は、各開口26の部分に設置された吸着パッド27(第一吸着パッド27a、第二吸着パッド27b、第三吸着パッド27c)を備えている。吸着パッド27は、ダクトボックス22の下面から開口26を覆って鉛直下方に突出する蛇腹状のパッドであり、物品2は、吸着パッド27を介して開口26に吸着される。
【0020】
また、ダクトボックス22は、内部空間23に破壊エアを導入するための破壊エア弁24を備えており、破壊エア弁24は、破壊用圧縮エア配管28に設置されている。
図5に示すように、破壊用圧縮エア配管28は、集積装置1の設置場所に配置されているコンプレッサシステムに接続されており、破壊エア弁24が開くと圧縮エア(破壊エア)が内部空間23に供給される。この破壊エアは、吸着用開口部25に吸着した物品2を解放する際に使用される。
【0021】
ハンガー29は、ダクトボックス22の上側に固定されており、ダクトボックス22をパラレルロボット10の駆動先端に連結固定するための連結部材である。
【0022】
また、
図5に示すように、ブロワ配管30は、吸引ブロワ40とダクトボックス22の内部空間23とを連結接続しており、吸引ブロワ40が駆動すると、内部空間23内のエアが吸引される吸引状態となる。ブロワ配管30には、ソレノイドバルブであるブロワ切換弁31が設置されており、内部空間23の連結先をブロワ配管30と大気開放との間で切り換え自在である。
【0023】
開閉弁32は、独立して開閉制御が可能な第一開閉弁32aと第二開閉弁32bとを備えている。第一開閉弁32aは、第一吸着用開口部25aを開閉し、第一吸着用開口部25aを構成する2つの開口26それぞれに、同期して開閉される第一開閉弁32aが設置されている。
【0024】
第二開閉弁32bは、第二吸着用開口部25bを開閉し、第二吸着用開口部25bを構成する2つの開口26それぞれに、同期して開閉される第二開閉弁32bが設置されている。なお、第三吸着用開口部25cは、開閉弁32が設置されておらず、常時開状態である。
【0025】
開閉弁32は、弁本体33と、エアシリンダ34と、を備えている。各弁本体33は、吸着用開口部25の各開口26を開閉するように設置されている。エアシリンダ34は、弁本体33の開閉を駆動し、各弁本体33に1つずつ設置されている。
【0026】
すなわち、2つの弁本体33を備える第一開閉弁32aは、同期駆動される2つの第一エアシリンダ34aを備え、同じく2つの弁本体33を備える第二開閉弁32bは、同期駆動される2つの第二エアシリンダ34bを備える。
【0027】
図6に示すように、エアシリンダ34は、シリンダ用圧縮エア配管35に接続されている。シリンダ用圧縮エア配管35は、圧縮エア供給のためのコンプレッサシステムに接続されており、エアシリンダ34に駆動用の圧縮エアを供給する。第一圧縮エア配管35aは、2つの第一エアシリンダ34aに圧縮エアを供給し、第二圧縮エア配管35bは、2つの第二エアシリンダ34bに圧縮エアを供給する。
【0028】
ここで、エアシリンダ34は、複動型のシリンダであり、シリンダ用圧縮エア配管35と接続されるエアポートを2つ備えている。第一及び第二シリンダ用圧縮エア配管35a,35bには、それぞれ独立して駆動される切換弁(ソレノイドバルブ)36a,36bが設置されている。
【0029】
切換弁36は、エアシリンダ34の2つのエアポートのどちらに圧縮エアを供給するかを切り換える弁であり、切換弁36を切り換えることで、エアシリンダ34の伸縮を切り換える。複動型のエアシリンダ34であれば、往動及び復動の双方を高速に駆動させることができ、開閉弁32の開動作及び閉動作の双方を高速に行うことで、物品2の吸着及び解放の切り換えを高速に行うことができる。
【0030】
以上、集積装置1の構成について説明したが、続いて、吸着ヘッド20における物品の吸着動作について説明する。
図7は、本実施形態に係る吸着ヘッドの吸着状態を示す図であり、
図7(a)は側面図、
図7(b)は底面図である。なお、
図7(b)では、物品を一点鎖線で示している。
【0031】
通常時、吸着ヘッド20の第一及び第二開閉弁32a,32bは閉状態となっている。集積装置1が作動を開始し、吸引ブロワ40が動作を開始すると、ダクトボックス22内の内部空間23内の空気がブロワ配管30を介して吸引される。
【0032】
このとき、第一吸着用開口部25a及び第二吸着用開口部25bは開閉弁32によって閉じられて閉状態であるが、開閉弁32が設置されていない第3吸着用開口部25cは常時開いている。よって、内部空間23が吸引されると、ダクトボックス22の外の空気が第三吸着用開口部25cを通って、内部空間23内へと吸引される。
【0033】
この状態で、ダクトボックス22の下面の第三吸着用開口部25cに物品2が近付くと、物品2は、第三吸着用開口部25cに吸い寄せられ、第三吸着パッド27cを介して第三吸着用開口部25cに吸着される。本実施形態では、第三吸着用開口部25cが2つの開口26から構成されており、物品2は、第三吸着用開口部25cに2点で吸引され、吸着ヘッド20にしっかりと吸着固定される。
【0034】
続いて、第二開閉弁32bを開くと、第二吸着用開口部25bが開状態となり、第一吸着用開口部25aは閉状態、第三吸着用開口部25cは吸着した物品2で塞がれた状態であるため、第二吸着用開口部25bを通って、外気が内部空間23内に吸引される。
【0035】
この状態で、ダクトボックス22の下面の第二吸着用開口部25bに物品2が近付くと、物品2は第二吸着用開口部25bに吸い寄せられ、第二吸着パッド27bを介して第二吸着用開口部25bに吸着される。このとき、吸着ヘッド20は、第三吸着用開口部25cと、第二吸着用開口部25bとに合計2つの物品2が吸着された状態となる。
【0036】
さらに、第一開閉弁32aを開くと、第一吸着用開口部25aが開状態となり、第二吸着用開口部25b及び第三吸着用開口部25cは吸着した物品2で塞がれた状態であるため、第一吸着用開口部25aを通って、外気が内部空間23内に吸引される。
【0037】
この状態で、第一吸着用開口部25aに物品2が近付くと、物品2は第一吸着用開口部25aに吸い寄せられて第一吸着パッド27aを介して吸着される。このとき、吸着ヘッド20は、第一〜第三吸着用開口部25a〜25cの全ての部分に物品2がそれぞれ吸着され、合計3つの物品2が吸着された状態となる(
図7参照)。
【0038】
このように、吸着ヘッド20は、第一〜第三吸着用開口部25a〜25cを備え、第一及び第二開閉弁32a,32bにより第一及び第二吸着用開口部25a,25bを独立して開閉可能に構成しているため、順次第一〜第三吸着用開口部25a〜25cを開状態とすることで、所定の吸着用開口部25a〜25cに順次物品2を吸着させることができる。
【0039】
このように、本実施形態に係る吸着ヘッド20によれば、一列で搬送されてくる物品2をそのまま順次選択的に吸着用開口部25に吸着して移載することができ、作業効率を格段に効率化させることができる。
【0040】
もちろん、吸着ヘッド20による物品2の吸着動作は、順次3つの物品2を吸着する場合に限らず、一度に複数の物品2を同時に吸着させても良いし、複数の吸着用開口部25で1つの物品2を吸着させても良いし、適宜変更可能である。
【0041】
また、物品2を吸着させる順番も適宜変更可能であり、第三吸着用開口部25cの後に、第一吸着用開口部25a、第二吸着用開口部25bの順に物品2を吸着させても良い。但し、開閉弁32の設置されていない常時開状態の開口部(第三吸着用開口部25c)に最初に物品2を吸着させる必要がある。
【0042】
また、吸着ヘッド20の吸着用開口部25の数や開閉弁32の設置箇所は適宜変更可能であり、例えば、上記実施形態では、開閉状態の同じ2つの開口26から構成される吸着用開口部25を3組設置しているが、吸着用開口部25の数は2つでも良いし、4つ以上であっても良い。
【0043】
吸着用開口部25が2つの場合には、第一吸着用開口部25aに第一開閉弁32aを設置すると共に、第二吸着用開口部bには開閉弁32を設置せずに常時開状態とすれば、第一開閉弁32aの開閉により、第一吸着用開口部25aと第二吸着用開口部25bとに選択的に吸着させることができる。
【0044】
また、各吸着用開口部25a〜25cを2つの開口26から構成しているが、1つの開口26から構成しても良いし、3つ以上の開口26から構成しても良い。開口26の数が増えれば、物品2は多点で吸着されることになり、吸着状態が安定する。
【0045】
また、上記実施形態では、3つの吸着用開口部25のうち、1つの吸着用開口部25cには開閉弁32を設置せずに常時開状態としているが、第三吸着用開口部25cにも開閉弁32を設置し、全ての吸着用開口部25を開閉可能に構成しても良い。
【0046】
但し、内部空間23が吸引されている状態で全ての吸着用開口部25が閉じると、吸引ブロワ40が焼き付いてしまうおそれもあるため、少なくとも1つの吸着用開口部25は常時開状態とするのが望ましく、常時開状態の吸着用開口部25に開閉弁32の設置を不要とすれば、吸着ヘッド20の軽量化を実現できる。
【0047】
続いて、集積装置1において、物品2を集積するために移載する移載動作について説明する。本実施形態では、ベルトコンベア50上において、順次吸着ヘッド20に3つの物品2を吸着させ、3つずつ物品集積部55に物品2を移載して集積する。
【0048】
集積装置1の駆動を開始し、物品搬送路であるベルトコンベア50上を物品2が一列に搬送され始めると、一番目の物品2を吸引するために、パラレルロボット10の駆動により、吸着ヘッド20をベルトコンベア50の一番目の物品2の上方に移動させる。
【0049】
上述したように、吸着ヘッド20への物品2の吸着は、第三吸着用開口部25c、第二吸着用開口部25b、第一吸着用開口部25aの順で行うため、一番目の物品2を吸着する際には、一番目の物品2に第三吸着用開口部25cが近付くように吸着ヘッド20を移動させる。
【0050】
一番目の物品2が第三吸着用開口部25cに吸着されると、引き続き、二番目の物品2が第二吸着用開口部25b、三番目の物品2が第一吸着用開口部25aに順次吸着されるように、吸着ヘッド20を移動させる。
【0051】
3つの物品2が吸着ヘッド20に吸引されると、吸着ヘッド20を物品集積部55へと移動させ、吸着した3つの物品2を物品集積部55上で解放し、物品集積部55へ集積する。物品集積部55には、例えば、ダンボール箱が設置され、この中に物品2を集積することができる。
【0052】
吸着ヘッド20から物品2を解放する際には、ブロワ切換弁31を切り換えてダクトボックス22の内部空間23を大気開放すると共に、破壊エア弁24を開状態として、内部空間23に破壊エアを供給する。これにより、吸着ヘッド20に吸着されていた物品2が自重により吸着用開口部25から離れて物品集積部55に載置される。
【0053】
物品2を解放した吸着ヘッド20は、次の吸着のために、ベルトコンベア50上へと移動する。このとき、ブロワ切換弁31を切り換えて内部空間23を吸引状態に戻すと共に、破壊エア弁24を閉じる。さらに、次の一番目の物品2の第三吸着用開口部25cへの吸着に備えて、第一開閉弁32a及び第二開閉弁32bを閉じる。
【0054】
この状態で、吸着ヘッド20がベルトコンベア50上へと移動すると、次の物品2を順次吸着し、上述した移載動作を繰り返す。
【0055】
以上、本実施形態に係る吸着ヘッド20及び集積装置1について詳細に説明したが、本実施形態によれば、吸着ヘッド20に選択的に開閉可能な複数の吸着用開口部25を設置することで、所定の吸着用開口部25に順次物品2を吸着することがき、一列に搬送されてくる物品2を効率良く吸着、移載することができる。
【0056】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、集積装置を構成する各部材の形状やサイズ、個数等は適宜変更可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、各開口に1つずつ開閉弁とエアシリンダを設置しているが、同じ吸着用開口部に属する複数の開口を同期して開閉する構成であれば良く、弁本体を三角形状や菱形として、1つの開閉弁で複数の開口を開閉できるように構成しても良い。
【0058】
複数の開口を開閉できるように1つの弁本体を大きくする場合には、安定して開閉動作が行われるように、1つの弁本体を複数のエアシリンダで駆動するように構成するのが望ましい。
【解決手段】吸着ヘッド20は、物品2を吸着して移載することで物品2を集積する集積装置1に用いられる吸着ヘッド20において、吸引ブロワ40にブロワ配管30により接続された内部空間23を有し、複数の吸着用開口部25が形成されたダクトボックス22と、吸着用開口部25を開閉する開閉弁32と、を備え、内部空間23内の空気が吸引される吸引状態において、開閉弁32を開閉することで、複数の吸着用開口部25に選択的に物品2を吸着可能に構成されている。