特許第6275917号(P6275917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6275917
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】色伝達要素を有するオーラルケア器具
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/04 20060101AFI20180129BHJP
   A61C 17/22 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   A46B9/04
   A61C17/22 C
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-500072(P2017-500072)
(86)(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公表番号】特表2017-520330(P2017-520330A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】US2015040245
(87)【国際公開番号】WO2016010945
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年1月4日
(31)【優先権主張番号】14/331,662
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】マシュー、ロイド、ニューマン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェン
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス、アン、ブラウン、レノ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス、アリンスキー
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−169630(JP,U)
【文献】 実開昭62−39527(JP,U)
【文献】 米国特許第5806127(US,A)
【文献】 国際公開第01/64072(WO,A1)
【文献】 特表平8−503145(JP,A)
【文献】 特表平10−502831(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/191747(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 1/00−17/08
A61C 17/22−17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーラルケア器具であって、
長手方向軸と、前記長手方向軸に対して垂直な横軸とを有する取り付け表面と、
前記長手方向軸及び前記横軸のいずれに対しても平行ではない少なくとも1つの方向に、前記取り付け表面から外向きに延びる複数の繊維であって、各々が、先端部で終端する自由端部を有する、複数の繊維と、を備え、
前記繊維のうちの少なくとも一部は、繊維の構造、構成、横断面形状、先端部の幾何学的形状、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの機能的特徴を有し、
複数の繊維先端部が、少なくとも第1の色と、前記第1の色とは異なる第2の色とを含む作用表面を備え、
前記少なくとも第1の色は、前記少なくとも1つの機能的特徴を図式的に模写する少なくとも1つの拡大像を形成し、それによって、前記オーラルケア器具が前記少なくとも1つの機能的特徴を有する繊維を含んでいることを消費者に視覚的に伝達する、オーラルケア器具。
【請求項2】
前記少なくとも1つの機能的特徴は、繊維の円柱形の形状を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第1の色を有する円形の形状を有し、かつ/又は、
前記少なくとも1つの機能的特徴は、多角形を構成する繊維の横断面を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第1の色を有する前記多角形の形状を有し、かつ/又は、
前記少なくとも1つの機能的特徴は、繊維の楕円形の横断面を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第1の色を有する楕円形の形状を有し、かつ/又は、
前記少なくとも1つの機能的特徴は、繊維のX字形状の横断面を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第1の色を有するX字形状エリアの形状を有し、かつ/又は、
前記少なくとも1つの機能的特徴は、繊維の星形形状の横断面を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第1の色を有する星形形状エリアの形状を有し、かつ/又は、
前記少なくとも1つの機能的特徴は、繊維の多葉形の横断面を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第1の色を有する多葉形エリアの形状を有し、かつ/又は、
前記少なくとも1つの機能的特徴は、繊維のテーパ付き先端部を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第1の色を有する三角形の形状を有し、かつ/又は、
前記少なくとも1つの機能的特徴は、少なくとも1つのアイランドを含んだ繊維の先端部表面を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第1の色を有する少なくとも1つのエリアを備える、請求項1に記載のオーラルケア器具。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアイランドは、突出部及び/又はくぼみ部を備える、請求項2に記載のオーラルケア器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの機能的特徴は、突出部、くぼみ部、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される複数のアイランドを含んだ繊維の先端部表面を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第1の色を有する複数の離散的エリアを備え、背景が前記第2の色を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオーラルケア器具。
【請求項5】
前記少なくとも1つの機能的特徴は、繊維のマルチコンポーネント構成を含み、前記少なくとも1つの拡大像は、前記第2の色を有する少なくとも1つのリングによって周囲を包囲された、前記第1の色を有する少なくとも1つのエリアを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオーラルケア器具。
【請求項6】
前記作用表面は、前記第2の色とは異なる第3の色を有する背景を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のオーラルケア器具。
【請求項7】
前記複数の繊維は、少なくとも第1の複数の繊維と、第2の複数の繊維とを含み、前記第1の複数の繊維は、繊維の構造、構成、横断面形状、先端部の幾何学的形状、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される第1の機能的特徴を有し、前記第2の複数の繊維は、繊維の構造、構成、横断面形状、先端部の幾何学的形状、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される第2の機能的特徴を有し、前記第1の機能的特徴は、前記第2の機能的特徴とは異なる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオーラルケア器具。
【請求項8】
前記第1の複数の繊維は前記第1の色を備え、前記第2の複数の繊維は前記第2の色を備える、請求項7に記載のオーラルケア器具。
【請求項9】
前記複数の繊維は、繊維の構造、構成、横断面形状、先端部の幾何学的形状、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される第3の機能的特徴を有する少なくとも第3の複数の繊維を含み、前記第3の機能的特徴は、前記第1の機能的特徴及び前記第2の機能的特徴とは異なる、請求項7又は8に記載のオーラルケア器具。
【請求項10】
前記少なくとも1つの機能的特徴は、前記繊維の表面の少なくとも一部分の粗面化エリアを含み、前記少なくとも1つの拡大像は、点線、破線、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される切れ線を備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のオーラルケア器具。
【請求項11】
前記第1の色は、前記オーラルケア器具の所定の使用期間の後に前記第2の色と最終的に一致するように前記第1の色を徐々に変化させる変色材料を含むか、又は、前記第1の色は前記第2の色を少なくとも部分的に被覆し、前記第1の色は、前記繊維が摩耗している程度を示すために、前記オーラルケア器具の使用中に徐々に摩滅するように構造化され、好ましくは前記第1の色は、前記オーラルケア器具の所定の使用期間の後に実質的に摩滅するように構造化され、そのため、前記少なくとも1つの拡大像は、前記所定の使用期間の終わりまでに大幅に変更される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のオーラルケア器具。
【請求項12】
前記繊維の前記少なくとも一部は、前記繊維の前記少なくとも一部の前記少なくとも1つの機能的特徴を図式的に模写する前記少なくとも1つの拡大像を構成する形状を有する少なくとも1つの毛束に配列される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のオーラルケア器具。
【請求項13】
前記少なくとも第1の色と第2の色は、組み合わさって、前記少なくとも1つの機能的特徴を図式的に模写する前記少なくとも1つの拡大像を形成する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のオーラルケア器具。
【請求項14】
前記繊維の前記少なくとも一部の前記少なくとも1つの機能的特徴は、非円形の横断面形状を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載のオーラルケア器具。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のオーラルケア器具を備える、手動歯ブラシ又は電気歯ブラシ用の補充品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オーラルケア器具に関し、具体的には、協調的な色の図柄によって、オーラルケア器具のクリーニング要素の機能的特徴に関する情報を消費者に伝達するオーラルケア器具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のクリーニング繊維又は剛毛を備える、手動歯ブラシ、及び電動/電気歯ブラシ用の補充品などのオーラルケア器具が当該技術分野において周知である。通常、繊維は、毛束をなして配列され、ユーザの口の中に挿入することを意図した、オーラルケア器具のプラスチック製本体(「ヘッド」としても知られる)の一部分の取り付け表面に付着される。通常、毛束は、実質的に円柱形の形状か又は実質的に矩形の形状のいずれかを全体として有する外側表面を有する。繊維の自由端部は、繊維の先端における鋭利な縁部を除去し、したがってそれらが潜在的にブラッシングの間に歯茎に対して与える悪影響を排除するために、先を丸められるか又は別様に処理され得る。
【0003】
オーラルケア器具の作用表面は、繊維の先端が組み合わされた場によって形成される「表面」を構成するものであり、例えば、限定するものではないが、凹形、凸形、波形、及び同様の形状を含めて、任意の好適な形状を備えるように付形され得る。グリップハンドルが、ヘッドに着脱可能に取り付けられても、ヘッドと一体に作製されてもよい。前者の構成は電動ブラシに関して一般的であり、後者は手動ブラシに関して一般的である。
【0004】
従来の円柱形繊維は、多様なオーラルケア器具に使用されてきた。円柱形繊維を備えるいくつかの歯ブラシは、歯の外側の頬側面は適切に磨くことができるが、歯肉縁、隣接歯間エリア、舌側面、及び口腔の他の届きにくいエリアから歯垢及び食べかすを適切に取り除くのには、いくらかの限界を有し得る。従来の繊維の平滑な円柱形表面及び/又は平滑な先端部は、歯磨き剤中の粒子を拾い上げ、利用するには効果的ではない。あるいはそれらは、歯垢に対する効果的な研磨効率を有し得ない。
【0005】
したがって、歯ブラシの製造業者は、従来の円柱形の繊維に加えて、横断面形状を含めた多様な形状、及びテクスチャー化表面を含めた多様な表面を有する繊維を使用し始めている。非円柱形の繊維及び/又はテクスチャー化若しくは粗面化された表面を有する繊維は、より良好な歯垢除去及び/又は染み除去効力をもたらし得る。非円柱形の繊維の非限定的な例には、螺旋形又は渦巻き形の形状を有する繊維、楕円形の横断面形状を有する繊維、矩形の横断面形状を有する繊維、三角形の横断面形状を有する繊維、X字形状若しくは十字形状の横断面を備える繊維、星形形状の横断面を備える繊維、二葉形及び多葉形の横断面を備える繊維などが挙げられる。複合繊維、すなわち2種類以上の材料を含んだ繊維を有するオーラルケア器具もまた、当該技術分野において知られている。
【0006】
より効果的な繊維を設計しようとする多数の試みがなされてきた。例えば、米国特許第6,138,314号は、改善されたクリーニング及び研磨効率を有する歯ブラシに関するものである。その歯ブラシ内の剛毛は、多量の研磨材粒子を閉じ込めるのに十分な深さを有する長手方向チャネルを具備しており、そのため、歯磨きを用いたブラッシングの間、チャネルに閉じ込められた研磨材粒子と歯の表面との間の接触が改善される。米国特許第3,613,143号は、2つの横断面設計の研磨材含浸剛毛を有する歯ブラシに、すなわち一般には円形と多角形とに関するものであり、後者は長手方向溝構成を有するものとして記述されている。米国特許第4,167,794号は、より効果的な歯垢除去のためのショベル様遠位端部を有する丸み付き剛毛に関するものである。米国特許第4,958,402号は、繊維フロック加工された合成剛毛に関するものであり、この合成剛毛は、物質を保持し、処理されるべき表面上により効果的に分配し得る。米国特許第3,032,230号は、多角形の横断面を有する剛毛に関するものであり、その横断面は、歯に「こすり落とし」効果を付与する少なくとも2つの鋭角を有している。米国特許第3,214,777号は、矩形の横断面エリアを有する剛毛に関するものである。
【0007】
今日の最新のオーラルケア器具において使用されている多様な形状の繊維及び/又は繊維表面は、所与のオーラルケア器具において使用されている繊維の具体的なタイプ、したがってそれによってもたらされる利点に関する特定の情報を消費者に容易に伝達する必要性を生じている。通常の歯ブラシは、約400本〜約1000本のクリーニング繊維を有し得る。例えば、36個の毛束ホールと、平均的な繊維の本数24とを有する基本的なブラシにおいては、緊密に束ねられて毛束にされた、合計で864本の繊維が存在する。繊維がステープル留めされる、すなわち半分に曲げられる場合、それらの自由端部の個数は1728となる。典型的なクリーニング繊維の等価直径、又は平均横断面寸法は約0.1mm〜約0.21mmである。個々の繊維がそのような細いサイズであることにより、人間の裸眼では、個々の繊維の先端又は横断面の形状を含めて、個々の繊維の幾何学的形状を目視すること、まして評価することが実質上、不可能となっている。
【0008】
参照によって本明細書に組み込まれる、本願と同一譲受人に譲渡された出願番号第CM04051FQ、EP14158836.8は、毛束として配列された複数の繊維を備えるオーラルケア器具のヘッドを提供することに関するものであり、その毛束は、個々の繊維の横断面エリアの形状に関する拡大形状を有する。
【0009】
加えて、繊維の幾何学的形状及び横断面形状を含めて、繊維の機能的特徴に関する情報は、オーラルケア器具の作用表面上に特定の形状を形成する色を使用することによって伝達され得る。同様に、それらの繊維を有するオーラルケア製品の優れた有効性に関する情報が消費者に伝達され得る。本開示は、これらの課題を達成することに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,138,314号
【特許文献2】米国特許第3,613,143号
【特許文献3】米国特許第4,167,794号
【特許文献4】米国特許第4,958,402号
【特許文献5】米国特許第3,032,230号
【特許文献6】米国特許第3,214,777号
【特許文献7】EP14158836.8
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
オーラルケア器具が、長手方向軸と、その長手方向軸に対して垂直な横軸とを有する取り付け表面と、長手方向軸及び横軸のいずれに対しても平行ではない少なくとも1つの方向に、取り付け表面から外向きに延びる複数の繊維であって、各々が、先端部で終端する自由端部を有する、複数の繊維とを備える。繊維のうちの少なくとも一部は、繊維の構造、構成、横断面形状、先端部の幾何学的形状、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの機能的特徴を有する。複数の繊維先端部が、少なくとも第1の色と、その第1の色とは異なる第2の色とを含む作用表面を備える。少なくとも第1の色は、少なくとも1つの機能的特徴を図式的に模写する少なくとも1つの拡大像を形成し、それによって、オーラルケア器具が特定の機能的特徴を有する繊維を含んでいることを消費者に視覚的に伝達する。
【0012】
少なくとも1つの機能的特徴は、例えば、繊維の長手方向軸に対して垂直な繊維の横断面の矩形又は他の非円形の形状などの繊維の形状を含み得る。その場合、少なくとも1つの像は、第1の色を有する矩形と、第2の色を有する背景とを備える。繊維が円柱形の形状を有し、したがって円形の横断面を有する場合、少なくとも1つの像は、第1の色を有する円形と、第2の色を有する背景とを備える。
【0013】
別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの機能的特徴は、繊維の矩形の横断面を含み、少なくとも1つの像は、第1の色を有する矩形と、第2の色を有する背景とを備える。
【0014】
更に別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの機能的特徴は、繊維の三角形の横断面を含み、少なくとも1つの像は、第1の色を有する三角形と、第2の色を有する背景とを備える。
【0015】
更に別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの機能的特徴は、繊維の楕円形の横断面を含み、少なくとも1つの像は、第1の色を有する楕円形と、第2の色を有する背景とを備える。
【0016】
特定の例示的な一実施形態では、少なくとも1つの機能的特徴は、繊維のX字形状又は十字形状の横断面を含み、少なくとも1つの像は、第1の色を有するX字形状又は十字形状エリアと、第2の色を有する背景とを備える。
【0017】
更なる例示的な実施形態では、少なくとも1つの機能的特徴は、繊維の星形形状の横断面を含み、少なくとも1つの像は、第1の色を有する星形形状エリアと、第2の色を有する背景とを備える。
【0018】
少なくとも1つの機能的特徴が繊維の多葉形の横断面を含む例示的な実施形態では、少なくとも1つの像は、第1の色を有する多葉形エリアと、第2の色を有する背景とを備える。
【0019】
オーラルケア器具の別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの機能的特徴は、繊維のテーパ付き先端部を含み、少なくとも1つの像は、第1の色を有する三角形と、第2の色を有する背景とを備え、三角形は、テーパ付き先端部の相対寸法を比例的に近似する。
【0020】
少なくとも1つの機能的特徴は、1つ以上の突出部又は1つ以上のクレータによって形成された1つ以上のアイランドを含む繊維の先端部表面を含み得る。その場合、少なくとも1つの像は、第1の色を有する1つ以上のエリアと、第2の色を有する背景とを備える。
【0021】
少なくとも1つの機能的特徴が繊維のマルチコンポーネント構成を含む例示的な実施形態では、少なくとも1つの像は、第2の色を有する少なくとも1つのリングによって周囲を包囲された、第1の色を有する少なくとも1つのエリアを備える。更なる実施形態では、作用表面は、所望により、第1の色及び第2の色とは異なる第3の色を含んでもよく、第3の色は背景を形成する。
【0022】
別の例示的な実施形態では、オーラルケア器具は、第1の複数の繊維と、第2の複数の繊維とを備えてもよく、第1の複数の繊維は第1の機能的特徴を有し、第2の複数の繊維は第2の機能的特徴を有し、第1の機能的特徴は、第2の機能的特徴とは異なる。更なる実施形態では、第1の複数の繊維は第1の色を備えてもよく、第2の複数の繊維は第2の色を備えてもよい。
【0023】
例示的な実施形態では、オーラルケア器具は、3種類の複数の繊維、つまり、第1の複数の繊維と、第2の複数の繊維と、第3の複数の繊維とを備える。第1の複数の繊維は第1の機能的特徴を有してもよく、第2の複数の繊維は第2の機能的特徴を有してもよく、第3の複数の繊維は第3の機能的特徴を有してもよい。第1の機能的特徴及び/又は第2の機能的特徴及び/又は第3の機能的特徴は、繊維の構造、構成、横断面形状、先端部の幾何学的形状、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0024】
本開示のオーラルケア器具の一実施形態では、少なくとも1つの機能的特徴は、例えば、繊維の自由端部及びそれに隣接するエリアなど、繊維の表面の一部分の粗面化エリアを含み得る。その場合、少なくとも1つの像は、第1の色を含んだ図式的輪郭を備えてもよく、また、点線、破線、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される切れ線を備える。
【0025】
更なる実施形態では、繊維の一部は、1つ以上の毛束に配列され得るが、これらの毛束は、これらの1つ以上の毛束を形成する繊維の横断面の形状を図式的に模写する拡大像を構成する形状を有する。
【0026】
第1の色が変色材料又は退色材料を備える実施形態が企図される。そのような材料は、オーラルケア器具の所定の使用期間の後に第2の色と最終的に一致するように、第1の色を徐々に変化又は退色させ得る。
【0027】
特定の一実施形態では、第1の色は第2の色を少なくとも部分的に被覆し、第1の色は、繊維が摩耗している程度を示すために、オーラルケア器具の使用中に徐々に摩滅するように構造化される。第1の色が、オーラルケア器具の所定の使用期間の後に実質的に摩滅すると、機能的特徴を図式的に模写する拡大像は大幅に変更され、また大部分を消滅されてもよい。これにより、繊維の意図する機能を効果的に実施するための所望の機能的特徴を繊維がもはや有していないことが、ユーザに効果的に通知され得る。
【0028】
本発明はまた、本明細書で説明するオーラルケア器具を備えた手動歯ブラシ及び/又は電気歯ブラシ用の補充品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面に記載する実施形態は、本質的に説明的及び例示的なものであり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図するものではなく、また図面に明確に示されていない実施形態を除外すると解釈されるべきでもない。例示的な実施形状の詳細な説明は、図面と共に読むと理解され得るものであり、図面中、同様の構造は同様の参照番号により示される。
図1】電気歯ブラシ用の交換式補充品を含んだ、本開示のオーラルケア器具の例示的な実施形態の斜視図を概略的に示している。
図2】手動歯ブラシを含んだ、本開示のオーラルケア器具の例示的な実施形態の斜視図を概略的に示している。
図3】従来の円柱形繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図4】概ね円錐形の形状を有するトリミング済み自由端部を有する繊維の例示的な実施形態の拡大斜視図を概略的に示している。
図5】概ね矩形の横断面を有する例示的な繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図6】概ね三角形の横断面を有する例示的な繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図7】概ね楕円形又は卵形の横断面を有する例示的な繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図8】X字形状又は十字形状の横断面を有する例示的な繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図9】星形形状の横断面を有する例示的な繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図10】多葉形の横断面を有する例示的な繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図11】離散的なクレータ又は凹部を備える複数のアイランドを含む先端部表面を有する例示的な繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図12】離散的な突出部を備える複数のアイランドを含む先端部表面を有する例示的な繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図13】コアを形成する第1の材料とシースを形成する第2の材料とを含む例示的な複合マルチコンポーネント繊維の拡大斜視図を概略的に示している。
図14】凸状部分を備える作用表面を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の側面図を概略的に示している。
図15】凹状部分を備える作用表面を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の側面図を概略的に示している。
図16】凹状部分と凸状部分とを備える作用表面を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の側面図を概略的に示している。
図17】円形を備え、オーラルケア繊維に使用されている複数の繊維が円柱形形状であることを表現する拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図18】複数の三角形を含み、概ね円錐形形状のトリミング済み自由端部を有する複数の繊維の機能的特徴を表現する拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図19】複数の矩形を含み、矩形の横断面を有する複数の繊維の機能的特徴を表現する拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図20】複数の三角形を含み、三角形の横断面を有する複数の繊維の機能的特徴を表現する拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図21】複数の楕円形を含み、楕円形の横断面を有する複数の繊維の機能的特徴を表現する拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図22A】X字形状又は十字形状の図柄を含み、X字形状又は十字形状の横断面を有する複数の繊維の機能的特徴を表現する拡大像をそれぞれが有する、オーラルケア器具の2つのそれぞれの例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図22B】X字形状又は十字形状の図柄を含み、X字形状又は十字形状の横断面を有する複数の繊維の機能的特徴を表現する拡大像をそれぞれが有する、オーラルケア器具の2つのそれぞれの例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図23】星形形状の横断面を有する複数の繊維の機能的特徴を表現する星形形状の図柄を含む拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図24】多葉形の横断面を有する繊維の機能的特徴を表現する多葉形の図柄を含む拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図25A】複数の離散的なアイランドを上に配設された先端部表面を有する複数の繊維の機能的特徴を表現する複数の離散的エリアを含む拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図25B】3種類の色を含み、複数の離散的なアイランドを上に配設された先端部表面を有する複数の繊維の機能的特徴を表現する複数の離散的エリアを含む拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図26】複数のリングを含み、第2の材料で包囲された第1の材料を含む複数のバイコンポーネント繊維の機能的特徴を表現する拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図27】第1の拡大像と、その第1の拡大像とは異なる第2の拡大像と、その第1及び第2の拡大像とは異なる第3の拡大像とを有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図27A】文字Aで示される、図27の第1の複数の繊維のうちの個別の繊維の横断面の拡大平面図を概略的に示している。
図27B】文字Bで示される、図27の第2の複数の繊維のうちの個別の繊維の横断面の拡大平面図を概略的に示している。
図27C】文字Cで示される、図27の第3の複数の繊維のうちの個別の繊維の横断面の拡大平面図を概略的に示している。
図28A】丸み付き自由端部を有する例示的な繊維の拡大側面図を概略的に示しており、ここで、繊維の表面のうちの、繊維の丸み付き端部と、それに隣接するエリアとを含む部分が、テクスチャー化又は粗面化されている。
図28B】テーパ付き自由端部を有する例示的な繊維の拡大側面図を概略的に示しており、ここで、繊維の表面のうちの、繊維のテーパ付き端部を含む部分が、テクスチャー化又は粗面化されている。
図29】点線を含む像と複数の破線を含む像とを有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示しており、像の各々は、繊維の表面のうちの少なくとも一部分の粗面化又はテクスチャー化エリアを有する繊維の機能的特徴を表現している。
図30A】トリミング済み先端部を備える機能的特徴を有する例示的な繊維の拡大側面図を概略的に示している。
図30B図30Aに示す繊維の機能的特徴を表現する複数の三角形を含んだ拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図31A】微視的な突出部とくぼみ部とによって形成された表面不規則性を備える機能的特徴を有する例示的な繊維の拡大側面図を概略的に示している。
図31B図31Aに示す繊維の機能的特徴を表現する拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図32A】付形された環状溝によって形成された側部表面を備える機能的特徴を有する例示的な繊維の拡大側面図を概略的に示している。
図32B図32Aに示す繊維の機能的特徴を表現する拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
図33A】繊維の差動直径を備える機能的特徴を有する例示的な繊維の拡大側面図を概略的に示している。
図33B図33Aに示す繊維の機能的特徴を表現する拡大像を有するオーラルケア器具の例示的な実施形態の平面図を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書で使用するとき、次の用語は、次に示す意味を有する。
【0031】
「色」は、赤色、オレンジ色、黄色、緑色、シアン色、青色、紫色、黒色、白色、茶色、灰色など、すべてのスペクトル特性を含む。加えて、この用語は、ある色(例えば「第1の色」)が別の色(すなわち「第2の色」)又は可視光における他の色と区別可能である限り、例えば、相対的な強度、輝度、色相、明度、彩度、並びに前述の任意の特定の組み合わせの面から記述され得る、繊維などのオーラルケア器具の任意の構成要素の外観のいかなる態様をも含む。例えば、濃い青色を有する繊維の群と、薄い青色を有する繊維の群は、本開示の目的においては、異なる色を有する繊維の2つの群となる。
【0032】
繊維の「横断面」は、繊維の長手方向軸に対して実質的に垂直に繊維を貫く直線的切断をなすことによって、曝露されているか又はされることになる繊維の表面又は形状である。「縦断面」は、繊維の長手方向軸に対して実質的に平行に繊維を貫く直線的切断をなすことによって、曝露されているか又はされることになる繊維の表面又は形状である。
【0033】
「繊維の構造」は、とりわけ、繊維の粗面化又はテクスチャー化された表面を含む。例えば、歯表面から染み及び歯垢を除去する効率を向上させる表面不規則性を含むように、繊維の表面の一部分が、粗面化されるか又は別様にテクスチャー化され得る。そのような粗面化/テクスチャー化部分は、例えば、繊維の表面全体を含んでも、繊維の自由端部とそれに隣接するエリアのみを含んでもよい。この用語はまた、繊維の側面図の輪郭、又は繊維の縦断面を含むこの用語はまた、抗菌剤を有するような繊維の品質を指し得る。
【0034】
「像」及び「拡大像」は、繊維の横断面の形状又は繊維の自由端部の形状など、対象物の視覚的表現を指すものであり、この視覚的表現は、可視光において人間の裸眼で容易に観察され得る。繊維、特に繊維の横断面の文脈において、「像」又は「拡大像」は、拡大像によって表現される繊維の横断面とのほぼ正確な相似性又は類似性を有利にも有し得る。拡大像は、いくつかの例では、その拡大像によって模写されている形状の基本的な比率を保持し得る。この一例は、丸い横断面を有する円柱形繊維の拡大像を含む。他の例では、主要な構成のみが拡大像によって模写される必要があり、対応する要素の相対的比率は、同一である必要はない。例えば、繊維のX字形状の横断面が、平面図で見て横断面の2つの相互に交差する要素の間に形成された90度の角度を含む場合、そのようなX字形状の横断面の拡大像は、繊維のX字形状の横断面の基本的な形状が拡大像を通じて消費者に効果的に通知される限りは、約30度〜約60度の角度で交差する要素を有してもよい。
【0035】
「像」及び「拡大像」という用語はまた、相似、連続、閉合、近接、対称、共通領域、焦点、及び関連する概念を利用して、ゲシュタルトの知覚原理に従ってなされた視覚的表現を含む。人は、全体を構成する個々の部分を見る前に、全体を見る傾向がある。人間の目は対象物を周囲のエリアと区別するため、人は、形状/形態/シルエット/輪郭を図柄の像として知覚し得るが、周囲のエリアは背景として知覚される。人はまた、同様にみえる対象物を、関連する対象物の群、パターン、又は単体として知覚する。対象物が不完全であるが、対象物の形状が十分に示唆されるとき、人は、失われた情報を埋めることによって対象物全体を知覚する。例えば、円形の形状をなして配設された同様に湾曲する4つの曲線のうちの2つ、3つを含む切れ線は全体として、対象物自体は不完全であっても、完全な円であるという知覚を付与することになる。同様に、正方形の形状をなして配設されているが、互いに「角」で接触しない4つの直線は、それらの線のいずれもが他の線のいずれにも連結されなくても、正方形として知覚されることになる。
【0036】
オーラルケア器具の「平面図」は、上から見たオーラルケア器具の外観を指すものであり、ここで、観察者の視線は、器具の繊維取り付け表面に対して実質的に垂直である。
【0037】
「多角形」は、三角形、矩形、菱形、台形、正方形、四角形など、並びに、5つ、6つ、7つ、8つ、及び更に多数の辺を有する規則的及び不規則的多角形を含んだ幾何学的図柄を含む。
【0038】
本発明は、非円形形状を含んだ横断面を有する繊維の機能的特徴を伝達する目的に特に有益である。本開示のオーラルケア器具10を含むデバイスの2つの例示的な実施形態が図1及び2に概略的に示されている。図1は電動/電気歯ブラシ用の補充品を示しており、図2は手動歯ブラシを示している。本明細書で図示及び説明するオーラルケア器具の例示的な実施形態の各々は、繊維の構造、繊維の構成、繊維の横断面形状、繊維の先端の幾何学的形状、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの機能的特徴を所有する繊維を備える。図2及び2では、そのような機能的特徴は、「X字」又は「十字」の形態をなす繊維の特殊な横断面形状である。
【0039】
オーラルケア器具10は、長手方向軸LXと、その長手方向軸LXに対して垂直な横軸TXとを有する取り付け表面20を備えている。複数の繊維30が、長手方向軸LX及び横軸TXのいずれに対しても平行ではない少なくとも1つの方向に、取り付け表面20から外向きに延びている。繊維30が取り付け表面20に対して、また互いに対して異なる配向を有し得ることが、当業者には容易に理解されよう。したがって、個々の繊維30、又は繊維30の毛束は、取り付け表面20に対して差動的な角度を有してもよく、その結果、軸LX、軸TXのいずれに対しても平行ではない複数の方向に取り付け表面20から延びてもよい。
【0040】
繊維30の各々は、先端部50で終端する自由端部40を有している(図3)。図3〜13は、種々の例示的な横断面を有する繊維のいくつかの実施形態を示している。図3では、円柱形繊維30aが、概ね円形の横断面を有している。繊維30aは、先端部50aで終端する自由端部40aを有している。図4では、繊維30bが、先端部50bで終端する自由端部40bを有するように付形されている。図5では、概ねプリズム状の繊維30cが、概ね矩形の横断面を有している。プリズム状の繊維30cが、規則的か若しくは不規則的な、任意の好適な多角形横断面を有し得、例えば、3つ、5つ、6つ、7つなどの辺を備える実施形態が企図されることが、当業者には理解されよう。したがって、図6では、繊維30dが、概ね三角形の横断面と、先端部50dで終端する自由端部40dとを有している。
【0041】
図7の実施形態では、繊維30eが、概ね楕円形又は卵形の横断面と、先端部50eで終端する自由端部40eとを有している。図8の実施形態では、繊維30fが、概ねX字形状又は十字形状の横断面と、先端部50fで終端する自由端部40fとを有している。図9の実施形態では、繊維30gは、長手方向の溝と星形形状の横断面とを備える本体を有している。繊維30gは、先端部50gで終端する自由端部40gを有している。図10の実施形態では、繊維30hが、概ね多葉形の横断面と、先端部50hで終端する自由端部40hとを有している。図10に示す繊維は4つの葉を有しているが、3つ、5つ、6つなどの葉を備える他の実施形態も企図される。
【0042】
図11の実施形態では、繊維30iは先端部50iを有し、先端部50iは、離散的なクレータ又は凹部55iを備える複数のアイランドを有する先端部表面を含んでいる。図12の実施形態では、繊維30jは先端部50jを有し、先端部50jは、離散的な突出部57jを備える複数のアイランドを有する先端部表面を含んでいる。例示的な図11及び12の各々は、4つの実質的に円柱形のアイランドを示しているが、アイランドの個数及びアイランドの形状は、図示したものに限定されないことを理解されたい。例えば、本願と同一譲受人に譲渡された出願番号第14/301667号及び出願番号第14/301716号は、クレータを備える繊維の様々な実施形態を開示しており、これらの出願の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0043】
図13の実施形態では、複合バイコンポーネント繊維30kが、コアを形成する第1の材料31kと、シースを形成する第2の材料32kとを備えている。例えば3種類又は4種類の異なる材料を備えるマルチコンポーネント繊維の他の実施形態もまた、本開示によって企図される。バイコンポーネント又はマルチコンポーネント繊維は、任意の好適な方法、例えば、後に延伸が続く共押出しによって製造され得る。押出しには、例えば、湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸、電子紡糸、ジェット湿式紡糸などの多数の紡糸技法が挙げられ得る。複合繊維を製造するためのもう1つの技法が、「引抜き成形」として一般に知られている。
【0044】
図1及び2に最良に示されるように、取り付け表面20から延びる繊維30の複数の先端部50が、作用表面60を備えている。側面図では、作用表面60は、当該技術分野において知られているように、任意の好適な構成を有し得る。例えば、作用表面60は、凸状部分(図14)及び/若しくは凹状部分(図15)、又はそれらの任意の組み合わせ(図16)を含み得る。作用表面はまた、互いに異なる長さを有する繊維及び/又は繊維毛束によって形成され得る。平面図では、作用表面60は、周辺の先端部によって輪郭をなす外周を有している。
【0045】
作用表面60は、少なくとも第1の色61と、その第1の色とは異なる第2の色とを含んでいる。用途に応じて、第1の色61及び第2の色62は、例えば、黒色と白色、又は赤色と緑色など、対比色を含むように選定されてもよい。第1の色61及び第2の色62はまた、これらの色が製品上で並置され、それらの差が容易に観測され得るときは特に、いくぶんかは関連するが同時に明確に区別可能な色を含むように選定されてもよい。後者の非限定的な例には、薄青色を含んだ第1の色61と濃青色を含んだ第2の色62、又は赤(暖色の)すみれ色/紫色を含んだ第1の色61と青(寒色の)すみれ色/紫色を含んだ第2の色62が挙げられる。
【0046】
少なくとも第1の色61及び第2の色62を有する複数の繊維を製造するために、当該技術分野において知られている任意の好適な方法が用いられ得る。例えば、繊維は、所望の色を有する材料から作製され得る。追加的に又は代替的に、繊維は、押出しプロセス中に着色され得る。例えば、着色された繊維は、まず原樹脂に着色剤を混合し、その混合物を融解し、次いでその融解した混合物をキャピラリーダイを通じて押出すことによって作製され得る。その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,802,255号にはリング染色プロセスが開示されており、そのプロセスにおいて、繊維は、少なくとも表面を着色するのに十分な時間、好ましくはある程度の染料浸透をもたらすように横断面エリアの一部分の中に浸透するのに十分な時間にわたって染料と接触される。
【0047】
繊維は全体に着色され得るか、あるいは代替的に、自由端部と、所望によって自由端部に隣接する表面エリアのみが、必要な色を有し得る。繊維の先端部は、繊維が切断され、ブラシヘッドの中にステープル留めされ、トリミングされかつ/又は先を丸められた後に、後処理として染色され得る。繊維先端部は次いで、特定の期間にわたって液体染料中に浸され得る。ブラシ上の繊維の特定のエリアを選択的に染色するために、例えば、染色される必要のあるエリアの形状をなす切り抜き穴を有するカバーが使用され得る。カバーがブラシヘッドの上方部分を遮蔽しているとき、ブラシヘッド上の切り抜き穴を通じて露出した(また約1mm〜2mmの長さを有する)繊維先端部のみが、例えば、ある期間にわたって染料中に浸漬されることによって染色され得る。
【0048】
もう1つの例は、例えばその開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,906,834号に開示されているものなど、2種類の材料と2種類の着色剤とを有する繊維を共押出しすることを含み、この米国特許第5,906,834号は、マトリクスが水と接触したときにマトリクスから放出される抗菌剤又は着色剤のいずれかを含んだ、歯科用途の徐放性マトリクスに関するものである。好ましいマトリクスは、水溶性ポリマーと非水溶性の担持樹脂とを含む。
【0049】
更なる例では、第1の色を有する少なくとも1つのコアと第2の色を有するシースとを各々が備える複数のバイコンポーネント又はマルチコンポーネント繊維の自由端部が、繊維の自由端部から(例えば約1mm〜約2mm)第2の材料を機械的に又は化学的に除去するように処理され得る。これにより、第1の色を有するコア材料が曝露されることになり、結果として、繊維は、第1の色を有する先端(及びそれに隣接するエリア)と、第2の色を有する繊維の本体の残部とを有することになる。
【0050】
第1の色は、本明細書で上述した繊維30の少なくとも1つの機能的特徴を図式的に模写する少なくとも1つの拡大像70(図1、2)を形成する。いくつかの実施形態では、拡大像70は、組み合わさった第1の色61と第2の色62とによって形成され得る。例えば、第2の色62を有する繊維は、第2の色62が第1の色61に対する好適な背景を構成するように配列され得る。拡大像70は、特定の機能的特徴を有する繊維30をオーラルケア器具10が含んでいることを、消費者に視覚的に伝達する。
【0051】
第1の色61及び第2の色62の各々、並びに取り付け表面20の色は、所望に応じて調整され得る。そのような配列は、取り付け表面が複数の繊維30を通じて平面図において大部分が視認可能である実施形態において、特に有益となり得る。例えば、第1の色61及び第2の色62の一方は、取り付け表面20の色を補完するか又は取り付け表面20の色と一致するように選択され得るが、第1の色61及び第2の色62のもう一方は、取り付け表面20の色と対照をなすように選択され得る。
【0052】
図17〜27は、オーラルケア器具に使用されている繊維の対応する機能的特徴を消費者に伝達する様々な図柄の像70を備える、オーラルケア器具10のいくつかの例示的な非限定的実施形態を示している。例えば、オーラルケア器具10aを備える手動歯ブラシの一部分を概略的に示す図17では、繊維30aのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、個々の繊維の円柱形状を含み、拡大像70aは、第1の色61aを有する円形と、第1の色61aとは異なる第2の色62aを有する背景とを備えている。
【0053】
オーラルケア器具10bを備える電気歯ブラシ用の補充品の一部分を概略的に示す図18では、繊維30bのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、概ね円錐形の形状を有するトリミング済み自由端部を含み、拡大像70bは、第1の色61bを有する複数の三角形と、第1の色61bとは異なる第2の色62bを有する背景とを備えている。三角形の拡大像は、オーラルケア器具10bに使用されている繊維のテーパ付き先端部の相対的寸法を比例的に近似するようにデザインされ得る。
【0054】
オーラルケア器具10cを備える手動歯ブラシの一部分を概略的に示す図19では、繊維のうちの少なくとも一部の機能的特徴は、繊維30cの矩形の横断面を含み、拡大像70cは、第1の色61cを有する複数の矩形と、第1の色61bとは異なる第2の色62cを有する背景とを備えている。
【0055】
オーラルケア器具10dを備える手動歯ブラシの一部分を概略的に示す図20では、繊維30dのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、繊維の三角形の横断面を含み、拡大像70cは、第1の色61cを有する複数の三角形と、第1の色61bとは異なる第2の色62cを有する背景とを備えている。
【0056】
オーラルケア器具10eを備える電気歯ブラシ用の補充品の一部分を概略的に示す図21では、繊維のうちの少なくとも一部の機能的特徴は、繊維30eの楕円形又は卵形の横断面を含み、拡大像70eは、第1の色61eを有する複数の楕円形又は卵形と、第1の色61eとは異なる第2の色62eを有する背景とを備えている。
【0057】
オーラルケア器具10fを備える電気歯ブラシ用の補充品の一部分を概略的に示す図22Aでは、繊維30fのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、繊維のX字形状の横断面を含み、拡大像70fは、第1の色61fを有するX字形状の図柄と、第1の色61fとは異なる第2の色62fを有する背景とを備えている。
【0058】
オーラルケア器具10Fを備える手動歯ブラシの一部分を概略的に示す図22Bでは、繊維30Fのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、繊維の十字形状の横断面を含み、拡大像70Fは、第1の色61Fを有する十字形状の図柄と、第1の色61Fとは異なる第2の色62Fを有する背景とを備えている。
【0059】
オーラルケア器具10gを備える電気歯ブラシ用の補充品の一部分を概略的に示す図23では、繊維30gのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、繊維の星形形状の横断面を含み、拡大像70gは、第1の色61gを有する星形形状の図柄と、第1の色61Fとは異なる第2の色62gを有する背景とを備えている。
【0060】
オーラルケア器具10hを備える手動歯ブラシの一部分を概略的に示す図24では、繊維30hのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、繊維の多葉形の横断面を含み、拡大像70hは、第1の色61hを有する多葉形の図柄と、第1の色61Fとは異なる第2の色62hを有する背景とを備えている。
【0061】
オーラルケア器具10iを備える電気歯ブラシ用の補充品の一部分を概略的に示す図25Aでは、繊維30iのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、その上に配設された複数の離散的なアイランドを含む先端部表面を含み、拡大像70iは、第1の色61iを有する複数の離散的エリアと、第1の色61iとは異なる第2の色62iを有する背景とを備えている。本明細書において上記で説明されているように、図11及び12を参照すると、アイランドは凹部及び/又は突出部を備え得る。また、アイランドは、図11及び12に示す円形の横断面以外にも任意の好適な横断面を有し得る。拡大像70iは、アイランドの個数及びアイランドの形状を反映するようにデザインされてもよい。
【0062】
図25Bは、電気歯ブラシ用の補充品の別の例示的な実施形態を概略的に示しており、ここで、繊維30iiのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、複数の離散的アイランドを含んだ先端部表面を含む。オーラルケア器具10iiでは、拡大像70iiは、第1の色61iiを有する複数の離散的エリアと、第1の色61iiとは異なる第2の色62iiを有する背景とを備えている。第2の色62iiは、第1の色61iiに対する背景を形成している。図25Bでは、第2の色62iiは、概ね円形の形状を備えるものとして示されているが、例えば繊維の横断面形状に応じて、任意の他の形状、例えば矩形又は楕円形の形状が用いられ得ることを理解されたい。第3の色63iiはまた、例えば、他の拡大像、例えば64iiの背景として用いられ得る。色61ii、62ii、63ii、64iiを備えるすべての形状又は像は、互いと異なっていてもよい。代替的に、互いに直接、境界を画さないいくつかの形状又は像が同一の又は類似の色を有してもよい。例えば、第1の色61iiと第3の色63iiが、同一であっても類似していてもよい。同様に、第2の色62iiと第4の色64iiが、同一であっても類似していてもよい。
【0063】
オーラルケア器具10kを備える手動歯ブラシの一部分を概略的に示す図26では、繊維30kのうちの少なくとも一部の機能的特徴は、第2の材料によって包囲された第1の材料を含むバイコンポーネント構造を含み、拡大像70kは、第1の色61kを有する複数のリングと、第1の色61kとは異なる第2の色62kを有する背景とを備えている。リングによって周囲を包囲される離散的エリアは、第2の色62kと同一の色を有してもよい。代替的に、リングによって周囲を包囲される離散的エリアは、第1の色61kとも第2の色62kとも異なる第3の色63kを有してもよい。
【0064】
オーラルケア器具10は、複数の種類の複数の繊維30を有してもよい。図24では、例えば、オーラルケア器具10は、第1の複数の繊維30hと第2の複数の繊維30Hとを備え、第2の複数の繊維30Hは、繊維の構造、構成、横断面形状、先端部の幾何学的形状、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの機能的特徴に関して、第1の複数の繊維30hとは異なっている。そのような一実施形態では、第1の複数の繊維30hは第1の色61hを備え、第2の複数の繊維30Hは第2の色62hを備える(図24)。したがって、第1の複数の繊維と第2の複数の繊維は、機能的特徴と色の両方に関して互いに異なり得る。
【0065】
図27に概略的に示す更なる例示的な実施形態では、オーラルケア器具10mは、少なくとも3種類の複数の繊維、つまり、第1の複数の繊維31mと、第2の複数の繊維32mと、第3の複数の繊維33mとを備える。3種類の複数の繊維31m、32m、及び33mは、繊維の構造、構成、横断面形状、先端部の幾何学的形状、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの機能的特徴に関して、互いに異なっている。例えば、第1の複数の繊維31mは、円形の横断面を有する概ね円柱形の形状を備えてもよく(図27A)、第2の複数の繊維32mは、概ね三日月形の形状の横断面を有する繊維を含んでもよく(図27B)、第3の複数の繊維33mは、シース材料33msによって包まれたコア材料33mcを備えるバイコンポーネント構造を有する複合繊維を含んでもよい(図27C)。図27の実施形態が、繊維31m、32m、33mの間に又は周りに配設された、更なる複数の繊維又は繊維の毛束(図示せず)を備えてもよいことは、当業者には理解されよう。これらの更なる繊維は、背景色を設けるために、又はさもなければ、3種類の複数の繊維31m、32m、33mのうちの1種類以上と対照をなすように着色されてもよい。
【0066】
図27に示す例示的な実施形態では、3つの拡大像、つまり、第1の像71m、第2の像72m、及び第3の像73mが存在する。第1の像71mは、4つの同様に湾曲した線を備え、第1の色61mを有している。4つの湾曲した線は、概ね円形の形状をなして配置され、同一の色を有しているため、消費者は、これらの4つの湾曲した線を、円形又はリングを構成する単一の単位として知覚する。換言すれば、同一の色を有する4つの同一に湾曲した線は、円形又はリングの像71mを付与する。第2の像72mは、第2の色62mを有する、対向して配置された2つの三日月形を構成している。第3の像73mは、第3の色63mを有するリングを構成している。
【0067】
図27の例示的な実施形態では、第1の像71mは第1の複数の繊維31mによって形成され、第2の像72mは第2の複数の繊維32mによって形成され、第3の像73mは第3の複数の繊維33mによって形成されている。繊維のそのような配列により、結果として、各複数の繊維は、平面図において、個々の複数の繊維に固有の機能的特徴の拡大像を構成する、それら自体の形状を形成することになる。ただし、3つの像71m、72m、73mは、3種類の複数の繊維31m、32m、33mのうちのいずれかによって、任意の好適な様式で形成され得ることを理解されたい。換言すれば、像71m、72m、73mのいずれもが、第1の複数の繊維31m、第2の複数の繊維32m、第3の複数の繊維33m、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される繊維から形成され得る。
【0068】
例えば、オーラルケア器具が、第1の複数の円柱形の繊維と、第2の複数の矩形の繊維と、第3の複数のX字形状の繊維とを備える場合、拡大されたX字形状の像は、(a)円柱形の繊維、(b)矩形の繊維、及び(c)X字形状の繊維、又はそれらの任意の組み合わせによって形成され得る。同様に、拡大された矩形の像は、(a)円柱形の繊維、(b)矩形の繊維、(c)X字形状の繊維、又はそれらの任意の組み合わせによって形成され得る。もちろん、拡大されたX字形状の像がX字形状の繊維のみによって形成され、拡大された矩形の像が矩形の繊維のみによって形成される実施形態も企図される。
【0069】
いくつかの実施形態では、複数の繊維のうちのいずれもが、個別の毛束又は複数の毛束を構成し得る。図27の例示的な実施形態では、例えば、第1の複数の繊維31m、第2の複数の繊維32m、及び第3の複数の繊維33mのいずれもが、個別の毛束又は複数の毛束を構成し得る。これらの複数の毛束は、平面図において、このようにして配列された複数の毛束を構成する繊維の横断面エリアの拡大像の形状を構成するように配列され得る。本願と同一譲受人に譲渡された出願番号第CM04051FQ、EP14158836.8の開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。図27の実施形態では、第1の複数の繊維31mは第1の複数の毛束を構成し、第2の複数の繊維32mは第2の複数の毛束を構成し、第3の複数の繊維33mは第3の複数の毛束を構成している。第1、第2、及び第3の複数の毛束は、本明細書で説明するような拡大像を構成するように着色され得る。
【0070】
複数の繊維のうちのいずれかが、いずれかの毛束又は複数の毛束を構成し得る実施形態も企図される。例えば、オーラルケア器具が、第1の複数の円柱形の繊維と、第2の複数の矩形の繊維と、第3の複数のX字形状の繊維とを備える場合、X字形状の1つ又は複数の毛束は、(a)円柱形の繊維、(b)矩形の繊維、及び(c)X字形状の繊維、又はそれらの任意の組み合わせによって形成され得る。同様に、矩形の1つ又は複数の毛束が、(a)円柱形の繊維、(b)矩形の繊維、及び(c)X字形状の繊維、又はそれらの任意の組み合わせによって形成され得る。もちろん、X字形状の1つ又は複数の毛束がX字形状の繊維のみによって形成され、矩形の1つ又は複数の毛束が矩形の繊維のみによって形成される実施形態も企図される。第1、第2、及び第3の1つ又は複数の毛束のうちのいずれかの形状が、その1つ又は複数の毛束を形成する繊維の拡大された形状を有するかどうかに関わらず、第1、第2、及び第3の1つ又は複数の毛束のうちのいずれもが、本明細書で説明したような1つ又は複数の拡大像を構成するように着色され得る。
【0071】
図28A及び28Bに概略的に示すオーラルケア器具10の更なる例示的な実施形態では、機能的特徴は、繊維の表面のテクスチャー化又は粗面化されたエリアを含む。図28Aは、繊維30nの表面の一部分、例えば繊維の先端部50nのテクスチャー化エリア39nと、繊維の表面のうちの、繊維の丸み付き自由端部40nとそれに隣接するエリアとを含む部分とを示している。図28Bは、同様に、繊維30pの表面のうちの繊維の先端部50pを含む部分のテクスチャー化エリア39pと、繊維の表面のうちの繊維のテーパ付き自由端部40pとそれに隣接するエリアとを含む部分とを示している。ブラッシングの間、テクスチャー化又は粗面化された部分を備える繊維は、表面積の増大とテクスチャー化エリアによって付与される歯表面に対する摩擦力の向上とによって、更なる利益をもたらし得る。このことは、歯垢及び/又は染みの除去を促進し得る。加えて、テクスチャー化された表面における表面不規則性及び小さな空隙はまた、歯の表面からの微視的な食物粒子及び他の混入物を閉じ込め、除去し得る。
【0072】
オーラルケア器具10nの一部分を概略的に示す図29では、繊維の機能的特徴は、テクスチャー化又は粗面化されたエリアを含んでいる。2つの例示的な拡大像70n及び70pはそれぞれ、第1の色61nを有する点線(70n)と、第1の色61pを有する切れ線又は破線(70p)とを備えている。背景は、第1の色61nとは異なる第2の色62nを有している。
【0073】
オーラルケア器具10の更なる実施形態では、これらの色のうちの1つは、時間の経過と共に変化するように、つまり、繊維が摩耗している程度を、そして最終的にはオーラルケア器具が新しいものと交換されるべきであることをユーザに示すように設計され得る。このことは、様々な方法を用いて行われ得る。例えば、第1の色は、最終的にはオーラルケア器具の所定の使用期間の後に第2の色と一致するように第1の色を徐々に変化させる変色材料を含み得る。摩耗指示繊維に関する米国特許第5,313,909号の開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0074】
別の実施形態では、第1の色は、オーラルケア器具の使用中に徐々に摩滅するように構造化されてもよい。第1の色が、第2の色の1つ又は複数の部分を被覆する場合、第1の色の漸進的摩滅は、第1の色によって被覆された第2の色を漸進的に曝露することになる。このことはまた、繊維が摩耗している程度をユーザに示すことにもなる。最終的に、第1の色は、オーラルケア器具の所定の使用期間の後に実質的に摩滅することになり、また機能的特徴を図式的に模写する拡大像は、大幅に変更されるか又は完全に消去される。これにより、オーラルケア器具を交換する必要があることがユーザに示される。
【0075】
請求する本発明を包含する更に多数の実施形態が本開示の原理に基づいて構築され得ることを当業者は認識されたい。例えば、オーラルケア器具10tが、図30A及び30Bに示すように、トリミング済みの先端部を有する繊維30tの機能的特徴を表現する複数の三角形を備える拡大像70tを有してもよい。別の実施形態では、オーラルケア器具10uが、図31A及び31Bに示すように、微視的な突出部と凹部とによって形成された表面の不規則性を備える機能的特徴を有する繊維30uの側面図プロファイルを備えた拡大像70uを有してもよい。更なる実施形態では、オーラルケア器具10vが、図32A及び32Bに概略的に示すように、付形された環状溝によって形成された側方表面及び/又は縦断面を備える機能的特徴を有する、1つ又は複数の波形及び/又は繊維30vを表現する千鳥形の線を備える拡大像70vを有してもよい。オーラルケア器具10wが、図33A及び33Bに概略的に示すように、繊維の螺旋形の構成及び/又は繊維の差動直径を備える機能的特徴を有する繊維30wを表現する、1つ又は複数の互い違いの線を備える拡大像70wを有してもよい。前述した実施形態と同様に、これらは、本発明のオーラルケア器具の非排他的、非限定的な例である。
【0076】
繊維の一部が抗菌剤を含んでもよい。参照によってその開示内容が本明細書に組み込まれる米国特許第5,906,834号には、歯肉炎防止特性で周知である、クロルヘキシジンジグルコネートを含んだ抗菌剤について記載されている。含められるクロルヘキシジンの量は、とりわけ、所望の投与レベルに依存し得、1重量パーセント〜30重量パーセントのクロルヘキシジンジグルコネートを含み得る。
【0077】
特定の実施形態について本明細書で図示及び説明してきたが、様々な他の変形及び修正が本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得る。更に、本発明の様々な態様について本明細書で説明してきたが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。したがって、本発明の範囲に含まれるそのようなすべての変更及び改変を、付属の「特許請求の範囲」において網羅するものとする。
【0078】
「実質的に」、「本質的に」、「約」、「およそ」などの用語は、本明細書において用いられ得るように、任意の定量的な比較、値、測定値、又は他の表現に起因し得る不確実性の固有の度合いを表現するものである。これらの用語はまた、問題となる対象物の基本的機能の変化をもたらすことなく、定量的表現が述べられた基準から変動し得る程度を表現するものである。更に、本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「0.1mm」又は「90度」として開示された値は、それぞれ「約0.1mm」又は「約90度」を意味することを意図したものである。
【0079】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書の開示は、除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容にわたって本明細書に援用するものである。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明すべてを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照によって組み込まれた文書内の同じか又は同様の用語の意味若しくは定義と競合する限り、本文書においてその用語に与えられた意味若しくは定義、又は本文書においてその用語によって文脈から暗示される意味若しくは定義が適用されるものとする。
図1
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図25A
図25B
図26
図27
図27A
図27B
図27C
図28A
図28B
図29
図30A
図30B
図31A
図31B
図32A
図32B
図33A
図33B