(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通気路を形成する取付枠と、前記通気路内に取り付けられ、通気路の上下流方向に交互に折り曲げられプリーツ形状をなしたろ材を含むろ過体と、を備えるろ過装置において、
前記ろ過体は前記ろ材の折り目が上下方向を向くように配置され、
前記ろ過体の下端部には、前記ろ材の下端部を支持する支持板が設けられ、
前記支持板は、前記ろ材の下端部を支持する底面と、前記通気路の上下流方向の前記底面の両端から前記底面に垂直に設けられ、前記底面の両端に沿って延在する第1のフランジ面と、を備え、前記ろ過体の下端部と前記支持板の前記底面とはシール材により封止され、前記底面の下流方向の端から延在する前記第1のフランジ面は、前記ろ材と接しており、
前記ろ過体の上端部には、前記ろ材の上端部を拘束する拘束板が設けられ、
前記拘束板は、前記ろ材の上端部と接触する天井面と、前記通気路の上下流方向の前記天井面の両端から前記天井面に垂直に設けられ、前記天井面の両端に沿って延在する第2のフランジ面と、を備え、前記ろ過体の上端部と前記拘束板の前記天井面とはシール材により封止され、前記天井面の下流方向の端から延在する前記第2のフランジ面は、前記ろ材と接しており、
前記支持板は、前記第1のフランジ面が前記底面に沿って延在する方向と平行な方向の両端に、コの字形の端面を有し、
前記拘束板は、前記第2のフランジ面が前記天井面に沿って延在する方向と平行な方向の両端に、コの字形の端面を有し、
前記支持板と前記拘束板は、前記平行な方向の前記ろ過体の両端において前記ろ材が露出するように、前記ろ材を挟んでおり、
前記取付枠の内周面の下部には、前記通気路の上下流方向に延在し、上端が前記内周面から離間した線状突起が設けられ、
前記支持板の下面は前記線状突起の上端に当接しかつ前記取付枠の内周面から離間していることを特徴とする、ろ過装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、金属板等の板材を接合部材により接合して取付枠を形成した場合、取付枠の内周面に接合部材による突起が形成される。また、接合部材を用いて空調機等に取付枠を設置する場合にも、取付枠の内周面に接合部材による突起が形成される。この取付枠にフィルタパックを挿入する場合、フィルタパックの外周面が取付枠の内周面の突起により傷つくおそれがある。
【0005】
フィルタパックの外周面と取付枠の内周面との距離を維持するスペーサを設けることも考えられるが、この場合、フィルタパックが取付枠の内周面により拘束されないため、フィルタパックが自重により変形し、取付枠の流出口とフィルタパックとの隙間が空くおそれがある。
【0006】
本発明は、取付枠にフィルタパックを挿入する際にフィルタパックの外周面が取付枠の内周面の突起により傷つくことを回避するとともに、フィルタパックの形状を維持することができるろ過装置、フィルタパックを含むろ過体の取付枠、及びろ過体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、通気路を形成する取付枠と、前記通気路内に取り付けられ、通気路の上下流方向に交互に折り曲げられプリーツ形状をなしたろ材を含むろ過体と、を備えるろ過装置において、
前記ろ過体は前記ろ材の折り目が上下方向を向くように配置され、
前記ろ過体の下端部には、前記ろ材の下端部を支持する支持板が設けられ、
前記支持板は、前記ろ材の下端部を支持する底面と、前記通気路の上下流方向の前記底面の両端から前記底面に垂直に設けられ、前記底面の両端に沿って延在する第1のフランジ面と、を備え、前記ろ過体の下端部と前記支持板の
前記底面とはシール材により封止され、
前記底面の下流方向の端から延在する前記第1のフランジ面は、前記ろ材と接しており、
前記ろ過体の上端部には、前記ろ材の上端部を拘束する拘束板が設けられ、
前記拘束板は、前記ろ材の上端部と接触する天井面と、前記通気路の上下流方向の前記天井面の両端から前記天井面に垂直に設けられ、前記天井面の両端に沿って延在する第2のフランジ面と、を備え、前記ろ過体の上端部と前記拘束板の前記天井面とはシール材により封止され、前記天井面の下流方向の端から延在する前記第2のフランジ面は、前記ろ材と接しており、
前記支持板は、前記第1のフランジ面が前記底面に沿って延在する方向と平行な方向の両端に、コの字形の端面を有し、
前記拘束板は、前記第2のフランジ面が前記天井面に沿って延在する方向と平行な方向の両端に、コの字形の端面を有し、
前記支持板と前記拘束板は、前記平行な方向の前記ろ過体の両端において前記ろ材が露出するように、前記ろ材を挟んでおり、
前記取付枠の内周面の下部には、前記通気路の上下流方向に延在し、上端が前記内周面から離間した線状突起が設けられ、
前記支持板の下面は前記線状突起の上端に当接しかつ前記取付枠の内周面から離間していることを特徴とする。
【0008】
前記ろ過体の上端部には、前記ろ材の上端部を拘束する拘束板が設けられていることが好ましい。
【0009】
前記支持板は、前記ろ材の下端部を支持する底面と、前記通気路の上下流方向の前記底面の両端から前記底面に垂直に設けられ、前記底面の両端に沿って延在するフランジ面と、を備えることが好ましい。
また、前記拘束板は、前記ろ材の上端部と接触する天井面と、前記通気路の上下流方向の前記天井面の両端から前記天井面に垂直に設けられ、前記天井面の両端に沿って延在するフランジ面と、を備えることが好ましい。
【0010】
前記取付枠に固定され、前記ろ過体の上下流方向への位置を規制する固定部材を備え、
前記取付枠は強磁性体からなり、前記固定部材は前記取付枠に固定される磁石を備えることが好ましい。
【0011】
前記取付枠は前記ろ過体の上流側又は下流側の端面に当接する係止部を備え、
前記係止部は前記ろ過体と当接する部分に枠状のガスケットを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、線状突起によりろ過体が取付枠の通気路内に案内されるため、フィルタパックの外周面さらにはろ過体の外周面が取付枠の内周面の接合部材等の突起と当接し傷つくことを回避することができる。また、ろ過体の下端部には、ろ材の下端部を支持する支持板が設けられているため、ろ過体の下端面が取付枠から浮いた状態にあっても、ろ材の左右端部が自重により下がり、変形することを防ぐことができる。このため、フィルタパックの変形によるフィルタろ材の破損を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るろ過装置1の構成について説明する。
図1は、本実施形態のろ過装置1を示す分解斜視図であり、
図2はろ過装置1の斜視図であり、
図3はろ過装置1の吸気側から見た正面図、
図4は
図3のIV−IV矢視断面図、
図5は
図3のV−V矢視断面図である。ろ過装置1は、取付枠10、ろ過体20等を備える。
なお、斜視図における左下方向を前方向、斜視図における右上方向を後方向、斜視図における左上方向を左方向、斜視図における右下方向を右方向、斜視図における上方向を上方向、斜視図における下方向を下方向、と定義する。ここで、ろ過装置1を通過する気体の上流側が前方向であり、下流側が後方向である。
【0015】
取付枠10は、係止部11、天板12、底板13、左側板14、右側板15、及び、線状突起16、16を備える。
係止部11は枠状であり、中央に気体の流出口17を有する。係止部11は略鉛直に配置され、係止部11の上端辺は天板12の後端辺と、係止部11の下端辺は底板13の後端辺と、係止部11の左端辺は左側板14の後端辺と、係止部11の右端辺は右側板15の後端辺と一体に形成されている。天板12及び底板13は略水平に配置され、左側板14及び右側板15は略鉛直に配置されている。天板12の左端辺は左側板14の上端辺と、天板12の右端辺は右側板15の上端辺と、例えばリベット等の接合部材19aにより接合されている。同様に、底板13の左端辺は左側板14の下端辺と、底板13の右端辺は右側板15の下端辺と、例えばリベット等の接合部材19aにより接合されている。
【0016】
天板12、底板13、左側板14、及び、右側板15の前端辺により、ろ過装置への気体の流入口18が形成される。流入口18から流出口17までの空間が通気路となり、空気は流入口18からプレフィルタ31、ろ過体20を通過して流出口17へ向かって流れる。天板12、底板13、左側板14、及び、右側板15により取付枠10が矩形筒状に形成され、内部にろ過体20、プレフィルタ31、プレフィルタ固定具32、及び、固定部材40が収納される。係止部11にろ過体20の後端面が係止されることで、通気路におけるろ過体20の上下流方向の位置が規制される。
【0017】
取付枠10の係止部11、天板12、底板13、左側板14、及び、右側板15は、例えば金属板を折り曲げて形成することができる。例えば、天板12、底板13、左側板14、及び、右側板15となる金属板の後端部に、係止部11を形成するフランジを設け、天板12、底板13、左側板14、及び、右側板15を接合することで取付枠10を形成してもよい。金属板として、例えば、ステンレス板やアルミニウム板を用いることができる。また、木材や樹脂成形品を用いて取付枠10を形成してもよい。
なお、後述する固定部材40を取付けるために、取付枠10の少なくとも左側板14、及び、右側板15は、強磁性体材料を用いて作成することが好ましい。例えば、JIS G3321に規定する溶融55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板)を左側板14、及び、右側板15に用いることができる。同様に、係止部11、天板12、底板13にも強磁性体材料を用いてもよく、例えば、JIS G3321に規定する溶融55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板)を用いてもよい。
【0018】
底板13の上面には、左右方向に間隔を空けて、前後方向に線状突起16、16が設けられている。線状突起16、16は、例えばリベット等の接合部材により底板13に接合させることができる。あるいは、ロウ付けにより線状突起16、16を底板13に接合してもよい。線状突起16、16は取付枠10内においてろ過体20及びプレフィルタ30を支持する。
線状突起16、16は、取付枠10の係止部11、天板12、底板13、左側板14、及び、右側板15と同様の材料により形成することができる。例えば、断面L形に折り曲げた鋼板を用いて線状突起16、16を形成してもよい。あるいは、断面C字形に折り曲げた鋼板を用いて線状突起16、16を形成してもよいし、上下にフランジが形成されたI形鋼、Z形鋼、溝形鋼等を用いて線状突起16、16を形成してもよい。
【0019】
なお、取付枠10には、空調機等(図示せず)に多段で取付枠を設置する際に取付枠10を固定するためのボルト、ネジ、ナット、リベット等の接合部材19bがさらに設けられる。このため、天板12、底板13、左側板14、及び、右側板15には、これらの接合部材19a及び19bによる突起が形成される。線状突起16、16は、上面が底板13に設けられた突起の上端よりも高く、かつ、流出口17の下端辺よりも低くなるように設けられる。
【0020】
また、取付枠10の内側の面には、流出口17の外周に沿って、枠形状のガスケット11aが設けられていることが好ましい。ガスケット11aはろ過体20の後面の外周部と当接し、ろ過体20と係止部11との隙間を塞ぐ役割を果たす。このため、ガスケット11aを設けることで、ろ過体20と取付枠10の隙間から、フィルタパック21のろ材を通過していない空気が通気路を通過することを防ぐことができる。ガスケット11aの材料は、特に制限されないが、例えば、ゴムスポンジ、発泡ゴム、ウレタンフォーム等を用いることができる。
【0021】
図6はろ過体20の分解斜視図であり、
図7はろ過体20の後面図である。ろ過体20は、フィルタパック21、下部支持板22等を備える。ろ過体20は、取付枠10に対して交換可能に取り付けられる。
【0022】
フィルタパック21は、ガラス繊維、樹脂繊維等の繊維からなる不織布や織布等の繊維体(ろ材)を備える。
本実施形態においては、長尺の繊維体からなるろ材を一定の折り幅でジグザグに折り畳むことにより、ろ材がプリーツ形状に形成されており、フィルタパック21は全体として略直方体形状に形成されている。本実施形態においては、ろ材の折り目方向が上下方向となり、かつ、折り目が交互に気体の流入口側及び流出口17側を向くように配置される。
【0023】
フィルタパック21のろ材のプリーツ形状を保持する方法として、ろ材の折り目に垂直方向にホットメルトリボンを塗布する方法、ろ材の折り目に垂直方向に支柱や櫛歯状の条片を設ける方法、ろ材に波形状のセパレータを介挿する方法、がある。また、ろ材の折り畳んだ状態において対向する面に突起が形成されるように、ろ材にエンボス加工を施し、当該突起によりプリーツ同士の間隔を維持してもよい。
【0024】
図4、
図6、
図7に示すように、フィルタパック21の左右方向の中央部であって、後面側には、上下方向に延在する補強材26が設けられている。補強材26はフィルタパック21を通過する空気による、フィルタパックの変形を抑制する機能を果たす。また、補強材26は、略直方体形状に形成したフィルタパック21に上下方向の荷重が作用したときに変形を抑制する役割も果たす。
補強材26の材料は特に制限されず、金属成形品、樹脂成形品等を用いることができる。補強材26には、例えば金属板等を用いることができる。金属板として、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板を用いることができる。特に、JIS G3302に規定する、冷間圧延溶融亜鉛めっき鋼板(SGCC)を用いることができる。
【0025】
下部支持板22は、フィルタパック21の下端部を支持する板材である。
図5及び
図6に示すように、下部支持板22は、好ましくは、フィルタパック21の下端部を支持する底面22aと、通気路の上下流方向の底面22aの両端(前端及び後端)から底面22aに垂直に設けられ、底面22aの両端に沿って延在するフランジ面22b、22cを備え、前後方向の断面(
図5の断面)形状がコの字形に形成されている。例えば、下部支持板22となる板材の前端部及び後端部を鉛直方向に折り曲げることで、底面23a及びフランジ面22b、22cを形成することができる。また、フィルタパック21の下端が底面23aの上部に固定されることが好ましい。例えば、下部支持板22の底面23aの上部にシール材24を塗布した後、フィルタパック21の下端を底面23aの上部に載置し、シール材24を固化させることで、フィルタパック21と下部支持板22との間が封止され、かつ、固定される。
【0026】
また、ろ過体20は、上部拘束板23を備えることが好ましい。上部拘束板23は、フィルタパック21の上端を拘束する板材である。
図5及び
図6に示すように、上部拘束板23は、好ましくは、フィルタパック21の上端部と接触する天井面23aと、通気路の上下流方向の天井面23aの両端(前端及び後端)から天井面23aに垂直に設けられ、天井面23aの両端に沿って延在するフランジ面23b、23cを備え、前後方向の断面(
図5の断面)形状がコの字形に形成されている。例えば上部支持板23となる板材の前端部及び後端部を鉛直方向に、好ましくは下方向に、折り曲げることで天井面23a及びフランジ面23b、23cを形成することができる。また、フィルタパック21の上端が上部拘束板23の下面部に固定されることが好ましい。例えば、天井面23aの下面にシール材25を塗布した後、フィルタパック21の上端に天井面23aの下面を載置し、シール材25を固化させることで、フィルタパック21と下部支持板22との間が封止され、かつ、固定される。
【0027】
下部支持板22及び上部拘束板23の前後方向の長さは、ろ過体20用のフィルタパック21の前後方向の厚さよりも長く形成されている。すなわち、下部支持板22及び上部拘束板23の前後方向の長さは、フィルタパック21の前後方向の厚さ、及び、プレフィルタ31の前後方向の厚さの和とほぼ等しい長さとなっている。また、フィルタパック21は、後面が下部支持板22及び上部拘束板23の後面と面一となるように配置されており、下部支持枠22及び上部拘束板23とフィルタパック21の間はシール材24、25により封止されている。このため、ろ過体20には、下部支持板22と上部拘束板23の間であって、フィルタパック21の前面(吸気面)側に、後述するプレフィルタ31を収納する空間が設けられる。
【0028】
下部支持板22及び上部拘束板23の材料は特に制限されず、木材、金属成形品、樹脂成形品等を用いることができる。例えば1枚の金属板を折り曲げて下部支持板22及び上部拘束板23を形成することができる。下部支持板22及び上部拘束板23の材料は特に制限されないが、鋼板、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、例えば、JIS G3302に規定する、冷間圧延溶融亜鉛めっき鋼板(SGCC)を用いることができる。
【0029】
下部支持板22は単なる板形状であってもよいが、底面22aの両端から底面22aと垂直に設けられ、底面22aの両端に沿って延在するフランジ面22b、22cを備えることで、単なる板形状とする場合よりも長辺方向の強度を高めることができる。さらに、フランジ面22b、22cにより、固定されたフィルタパック21の下端部をより強固に拘束することができる。
また、上部拘束板23は単なる板形状であってもよいが、天井面23aの両端から天井面23aと垂直に設けられ、天井面23aの両端に沿って延在するフランジ面23b、23cを備えることで、単なる板形状とする場合よりも長辺方向の強度を高めることができる。さらに、フランジ23b、23cにより、固定されたフィルタパック21の上端部をより強固に拘束することができる。
【0030】
シール材24は、フィルタパック21の下面と下部支持板22の上面との間に通気方向のバイパスが無いように塗布されていればよい。望ましくは下部支持板22の上面全体を覆うようにシール材24が塗布される。また、シール材25は、フィルタパック21の下面と上部拘束板23との下面との間に通気方向のバイパスが無いように塗布されていればよい。望ましくは部支持板23の下面全体を覆うようにシール材25が塗布される。シール材24、25には、例えば、ウレタン系、ポリオレフィン系、エチレン酢酸ビニル(ethylene-vinyl acetate, EVA)等のシール材を用いることができる。また、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(ethylene propylene diene monomer rubber, EPDM)、不織布、ガラス繊維からなるシート状シール材を用いることもできる。
【0031】
プレフィルタ31は、ろ過体20の下部支持板22と上部拘束板23の間であって、フィルタパック21の前面側に配置されることが好ましい。プレフィルタ31のろ材は、ガラス繊維、樹脂繊維等の繊維からなる不織布や織布等の繊維体からなる。プレフィルタ31のろ材も、ろ過体20のフィルタパック21と同様に、プリーツ形状に形成してもよい。プレフィルタ31のろ材の捕集効率は、フィルタパック21のろ材の捕集効率より低くてもよい。
【0032】
プレフィルタ固定具32は、ろ過体20の下部支持板22と上部拘束板23の間であって、プレフィルタ31の前面側(吸気面側)に配置される。プレフィルタ固定具32は、プレフィルタ31を下部支持板22及び上部拘束板23の間であって、フィルタパック21の前面側(吸気面側)に固定する役割を果たす。プレフィルタ固定具32の材料は特に制限されないが、例えば、木材、樹脂成形品、アルミニウム、ステンレス等の金属等を用いることができる。
【0033】
ろ過装置1には、ろ過体20を取付枠10内に固定する機能を果たす固定部材40を設けることが好ましい。固定部材40の形状及び固定方式は任意である。本実施形態においては、断面L形に折り曲げた鋼板が固定部材40に用いられている。固定部材40は、下端部で下部支持板22に当接するとともに上端部で上部拘束板23に当接する当接部41と、取付枠10に固定される固定部42とを有する。固定部42には、磁石43(マグネットシート)が設けられており、磁石43の磁力により強磁性体からなる取付枠10に固定部材40が固定される。なお、
図2、
図3、
図4においては、固定部42は、左側板14及び右側板15に固定されている。
【0034】
次に、取付枠10にろ過体20、プレフィルタ31、プレフィルタ固定具32及び固定部材40を組み付けてろ過装置1を形成する方法について説明する。
まず、ろ過体20の下部支持板22と上部拘束板23との間であって、フィルタパック21の前側部分の空間に、プレフィルタ31を収納することで、ろ過体20とプレフィルタ31とを一体化させる。次に、ろ過体20の下部支持板22と上部拘束板23との間であって、プレフィルタ31の前側に、プレフィルタ固定具32を取り付ける。
次に、プレフィルタ31及びプレフィルタ固定具32と一体化したろ過体20の後面を取付枠10に向けて、取付枠10の流入口18から内部へ挿入する。
このとき、前後方向に延在する線状突起16、16に下部支持板22が当接した状態で、ろ過体20の後面が流出口17まで案内されるため、ろ過体20の外周面が取付枠10の内側の突起に引っかかることを防ぐことができ、容易にろ過体20を取付枠10内に挿入することができる。また、ろ過体20の外周面が取付枠10の内側の突起により傷つくことを回避することができる。
【0035】
次に、固定部材40の固定部42を取付枠10の左側板14及び右側板15に取り付ける。次に、固定部材40の固定部42が左側板14とろ過体20との隙間、及び、右側板15とろ過体20との隙間に入るように固定部材40を後方へ(取付枠10の内部方向へ)移動させる。その後、固定部材40の当接部41を下部支持板22及び上部拘束板23に当接させ、ガスケット11aがろ過体20の後面に当接する状態まで固定部材40を後方へ(取付枠10の内部方向へ)押圧する。以上により、ろ過装置1の組み付けが完了する。
【0036】
本実施形態のろ過装置1においては、ろ過体20は底板13と直接接触せず、線状突起16、16により左右方向の2箇所で支持されることとなる。このため、もし下部支持板22がなければ、フィルタパック21及びプレフィルタ31の左右端部が自重により下がり、フィルタパック21及びプレフィルタ31の略直方体形状が変形してしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態においては、ろ過体20に下部支持板22が設けられていることにより、フィルタパック21及びプレフィルタ31全体の荷重を下部支持板22が支持するため、フィルタパック21及びプレフィルタ31の略直方体形状が変形することを防ぐことができる。これにより、係止部11とろ過体20との隙間が空くことを防ぎ、流出口17をろ過体20により完全に塞ぐことができる。また、フィルタパック21の変形によるフィルタろ材の破損を防ぐことができる。
【0037】
本実施形態においては、ろ過体20にプレフィルタ31を嵌合させて一体化させた状態で取付枠10に挿入することで、ろ過装置1の組み付けを容易に行うことができる。
また、本実施形態においては、ろ過体20の上端部を拘束する上部拘束板23が設けられているため、フィルタパック21の左右端部が自重により下がることにより、フィルタパック21の上端部が左右方向に広がることを抑制することができる。これにより、フィルタパック21の略直方体形状が変形することを防ぎ、係止部11とろ過体20との隙間が空くことを防ぐことができる。また、フィルタパック21の変形によるフィルタろ材の破損を防ぐことができる。
【0038】
また、ろ過体20の上端部に上部拘束板23が設けられていることで、上下方向を問わずにろ過体20を取付枠10内に挿入することができる。すなわち、上部拘束板23側を下側に、下部支持板22側を上側にし、上部拘束板23を線状突起16、16に当接させた状態で、ろ過体20を取付枠10内に挿入することができる。
【0039】
〔変形例〕
図8は本発明の変形例に係るろ過装置1Aの分解斜視図である。なお、上記の実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0040】
本変形例においては、プレフィルタ31にフレーム33が設けられ、ろ過体20とは別体とされている点が上記実施形態とは異なる。すなわち、本変形例においては、プレフィルタ31がプレフィルタ31の外周部に設けられた矩形のフレーム33により支持され、プレフィルタ固定具32により固定されている。フレーム33の材料は特に制限されないが、例えば、木材、樹脂成形品、アルミニウム、ステンレス等の金属等を用いることができる。
【0041】
また、本変形例においては、ろ過体20の下部支持板22及び上部拘束板23の前後方向の長さは、ろ過体20用のフィルタパック21の前後方向の厚さとほぼ等しい長さとなっている。このため、フィルタパック21の後面が下部支持板22のフランジ面22c及び上部拘束板23のフランジ面23cと面一となり、かつ、フィルタパック21の前面が下部支持板22のフランジ面22b及び上部拘束板23のフランジ面23bと面一となるように形成されている。これにより、下部支持板22及び上部拘束板23のフランジ面22b、22c、23b、23cにより、フィルタパック21の位置が規制される。また、シール材24、25により固定されたフィルタパック21の上端部及び下端部を、フランジ面22b、22c、23b、23cにより、さらに強固に拘束することができる。
【0042】
次に、取付枠10に、プレフィルタ30及び固定部材40を組み付けてろ過装置1を形成する方法について説明する。
まず、ろ過体20の後面を取付枠10に向けて、ろ過体20を取付枠10の流入口18から内部へ挿入する。
【0043】
次に、プレフィルタ30の後面を取付枠10の流入口18から内部へ挿入する。
その後、上記実施形態と同様に、ガスケット11aがろ過体20の後面に当接するように、固定部材40を取付枠10に固定する。
【0044】
本変形例によれば、ろ過体20とプレフィルタ31とを別体として形成した場合でも、同様に、フィルタパック21の変形を防止することができる。すなわち、本変形例においても、ろ過体20に下部支持板22が設けられていることにより、フィルタパック21全体の荷重を下部支持板22が支持するため、フィルタパック21の略直方体形状が変形することを防ぐことができる。
また、ろ過体20の上端部を拘束する上部拘束板23により、フィルタパック21の左右端部が自重により下がることでフィルタパック21の上端部が左右方向に広がることを抑制することができる。これにより、フィルタパック21の略直方体形状が変形することを防ぎ、係止部11とろ過体20との隙間が空くことを防ぐことができる。また、フィルタパック21の変形によるフィルタろ材の破損を防ぐことができる。
【0045】
以上、本発明のろ過装置1について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
例えば、上記実施形態においては、取付枠10の底板13にのみ線状突起16、16を設けた例について説明したが、本発明はこれに限らず、天板12にも線状突起を設けてもよい。また、上記実施形態においては、吸気側からろ過体20及びプレフィルタ30を取付枠10内に挿入する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、係止部11を上流側に設け、下流側からプレフィルタ30、ろ過体20を順に取付枠10内に挿入し、固定部材40により固定してもよい。
また、上記実施形態においては、固定部材40を左側板14及び右側板15に固定したが、本発明はこれに限らず、固定部材40を天板12及び底板13に固定してもよい。