【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願(水素製造・輸送・貯蔵システム等技術開発/水素ステーション機器要素技術に関する研究開発/直接充填方式水素ステーション用圧縮機の研究開発)
【文献】
三浦 真一,神戸製鋼グループの水素ステーションへの取り組みと機器・製品メーカーからみたコストダウンへの取り組み,日本,株式会社神戸製鋼所,2014年 3月 4日,第19頁,第30頁,URL,http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy/suiso_nenryodenchi/suiso_nenryodenchi_wg/pdf/003_s01_00.pdf>
【文献】
三浦 真一,他4名,水素ステーション整備に向けた神戸製鋼グループの取り組み,日本,株式会社神戸製鋼,2014年 4月23日,第1頁−第5頁,URL,http://www.kobelco.co.jp/technology-review/pdf/64_1/049-053.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示される水素圧縮装置では、水平方向に延びるシリンダが設けられており、水素圧縮機の占有面積が大きい。また、比較的大型のガスクーラが利用されている。その結果、水素圧縮装置が大型化してしまう。さらに、水素圧縮装置および蓄圧器ユニットが別体にて設けられていることから、水素ステーション全体が大型化してしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ガス供給システムの設置面積を小さくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、タンク搭載装置へガスを充填する充填設備にガスを供給するガス供給システムであって、駆動部、および、前記駆動部に駆動されてガスを圧縮する圧縮部を有する圧縮機ユニットと、複数の蓄圧器を有し、前記圧縮機ユニットから吐出されたガスを貯留する蓄圧器ユニットと、前記蓄圧器ユニットから前記充填設備に流入したガスを冷却するプレクールシステムと、前記プレクールシステムの少なくとも一部、前記圧縮機ユニットおよび前記蓄圧器ユニットを収容する直方体形状の筐体と、を備え、前記筐体内において、前記圧縮部が前記駆動部の上側に位置した状態で前記圧縮機ユニットが配置され、かつ、前記圧縮機ユニットの側方において前記プレクールシステムの前記少なくとも一部が前記蓄圧器ユニットの上方に配置されるガス供給システムである。
【0007】
本発明では、設置面積を小さくすることができる。
【0008】
ガス供給システムの前記複数の蓄圧器が、前記圧縮機ユニットおよび前記蓄圧器ユニットが
並ぶ方向である配置方向に略垂直な面を有する前記筐体の側部に沿って延びてもよい。この態様では、設置面積をより小さくすることができる。
【0009】
ガス供給システムは、前記圧縮部に固定され、前記圧縮部から吐出されたガスと冷却流体とを熱交換させるガスクーラをさらに備え、前記ガスクーラが、ガスが流れる複数のガス流路と、前記冷却流体が流れる複数の冷却流路とが交互に積層された積層体であってもよい。この態様では、設置面積をより小さくすることができる。
【0010】
ガス供給システムには、前記筐体の上部に配置され、エアの流れにより前記冷却流体を冷却する排熱部が設けられてもよい。この態様では、設置面積をより小さくすることができる。
【0011】
ガス供給システムでは、前記プレクールシステムが、ブラインを用いて前記充填設備を流れるガスを冷却するブライン回路と、ブラインを冷却する冷凍機と、を備え、前記冷凍機が、冷媒を蒸発させてブラインを冷却する蒸発部と、前記蒸発部から流出した冷媒を圧縮する冷媒圧縮部と、エアの流れにより前記冷媒圧縮部にて圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮部と、前記凝縮部から流出した冷媒を膨張させる膨張部と、を備え、前記蒸発部、前記冷媒圧縮部及び前記膨張部が前記筐体内に配置され、前記凝縮部が前記筐体の上部に配置されてもよい。この態様では、凝縮部が空冷により冷媒を凝縮させる構造であるため、凝縮部を筐体の上部に配置することができ、設置面積をより小さくすることができる。
【0012】
ガス供給システムの前記筐体の上部が開口を有し、上下方向において前記圧縮機ユニットが前記開口と重なってもよい。この態様では、圧縮機ユニットのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0013】
ガス供給システムの前記蓄圧器ユニットが上段および下段に2つずつ配置される4つの蓄圧器にて形成されてもよい。この態様では、蓄圧器ユニットの大きさを抑えつつ蓄圧器の数を確保することができる。
【0014】
ガス供給システムでは、前記充填設備が前記タンク搭載装置にガスを充填する際に、前記タンク搭載装置内のタンクの低圧領域において前記4つの蓄圧器のうち2つが使用され、中圧領域において他の1つが使用され、高圧領域においてさらに他の1つが使用されてもよい。この態様では、タンク搭載装置へのガス供給を効率よく行うことができる。
【0015】
ガス供給システムは、前記圧縮機ユニットおよび前記蓄圧器ユニットが防爆仕様であり、前記プレクールシステムが非防爆仕様であり、前記筐体の前記プレクールシステムの前記少なくとも一部が配置される部位である非防爆部に配置され、前記圧縮機ユニット、前記蓄圧器ユニットおよび前記プレクールシステムを制御する制御部をさらに備えてもよい。この態様では、制御部およびプレクールシステムを小型化することができるとともに、コストを削減することができる。
【0016】
本発明は、充填設備と、前記充填設備に水素ガスを供給するガス供給システムと、を備え、前記充填設備が水素ガスをタンク搭載装置に充填する水素ステーションである。
【0017】
水素ステーションでは、前記充填設備が前記筐体の側部に隣接して配置されてもよい。この態様では、ガス供給システムと充填設備を含む機器全体の設置面積をより小さくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガス供給システムの設置面積を小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の一の実施形態に係る水素ステーション10を示す図である。水素ステーション10は、ガス供給システム2と、充填設備であるディスペンサ11とを備える。ガス供給システム2は、ディスペンサ11に水素ガスを供給する。ディスペンサ11は、水素ガスをタンク搭載装置である車両9に充填する。車両9は例えば燃料電池車である。ガス供給システム2は、ガス流路20と、圧縮機ユニット21と、ガス冷却部22と、蓄圧器ユニット23と、プレクールシステム24と、二点鎖線にて示す筐体4と、制御部29とを備える。圧縮機ユニット21、ガス冷却部22の一部、および、蓄圧器ユニット23がガス流路20上に配置される。ガス流路20内にはディスペンサ11に向かって水素ガスが流される。制御部29は圧縮機ユニット21、蓄圧器ユニット23およびプレクールシステム24を制御する。筐体4内にはガス供給システム2の機器の大部分が収容される(詳細については後述する)。
【0021】
圧縮機ユニット21は往復動圧縮機であり、駆動部211と、圧縮部212とを備える。圧縮部212はピストンとシリンダとを有し、駆動部211の動力によりピストンが駆動されてシリンダ内にてガスが圧縮される。本実施形態では、圧縮部212の数は5である。ガス冷却部22は圧縮部212から吐出された水素ガスを冷却する。
【0022】
図2はガス冷却部22の構成を示す図である。ガス冷却部22は、冷却流体である冷却水が充填された冷却水流路220と、冷却水ポンプ221と、ガスクーラ222と、排熱部223とを備える。ガスクーラ222はマイクロチャネル式熱交換器である。ガスクーラ222には
図1および
図2に示すガス流路20が接続される。排熱部223は熱交換器223aとファン223bとを備える。冷却水流路220には、冷却水ポンプ221、ガスクーラ222および排熱部223の熱交換器223aが配置される。ガス冷却部22では、ガスクーラ222において圧縮部212の吐出部から吐出された水素ガスと冷却水とが熱交換することによりガス流路20内の水素ガスが冷却される。熱を吸収した冷却水は排熱部223の熱交換器223aに流入し、ファン223bにて発生したエアの流れにより冷却される。冷却された冷却水は、冷却水ポンプ221により再びガスクーラ222へと送られる。
【0023】
図3はガスクーラ222の概略図である。
図3では冷却水および水素ガスの流入部および流出部の図示を省略している。ガスクーラ222は、複数の第1プレート224と、複数の第2プレート225とを備える。ガスクーラ222は、複数の第1プレート224および複数の第2プレート225が交互に積層された積層体である。互いに隣り合うプレート224,225は、拡散接合によって接合される。
【0024】
図4は第1プレート224の平面図である。第1プレート224には、水素ガスが流れる複数のガス流路224aが形成される。
図5は第2プレート225の平面図である。第2プレート225には、冷却水が流れる複数の冷却流路225aが形成される。冷却流路225aに冷却水が流れることにより、ガス流路224aを流れる水素ガスが冷却される。
【0025】
図1に示す蓄圧器ユニット23は同じ設計圧力の4つの蓄圧器231を備える。各蓄圧器231には圧縮機ユニット21から吐出された水素ガスが貯留される。
【0026】
プレクールシステム24は冷凍機3と、ブライン回路5とを備える。ブライン回路5は、ブライン流路240と、ブラインポンプ241と、マイクロチャネル式熱交換器であるプレクール熱交換器242とを備える。ブライン流路240にはブラインが充填されるとともに、ブラインポンプ241、プレクール熱交換器242および冷凍機3が配置される。
【0027】
ブライン回路5では、プレクール熱交換器242において水素ガスとブラインとが熱交換することによりディスペンサ11から車両9へ充填される直前の水素ガスが冷却される。熱を吸収したブラインは冷凍機3に流入して冷却される。冷却されたブラインはブラインポンプ241により再びプレクール熱交換器242へと送られる。
【0028】
図6は冷凍機3の構成を示す図である。冷凍機3は冷媒流路30と、蒸発部31と、冷媒圧縮部32と、凝縮部33と、膨張部34とを備える。冷媒流路30には、冷媒が充填されるとともに蒸発部31、冷媒圧縮部32、凝縮部33および膨張部34が配置される。蒸発部31は
図1および
図6に示すブライン流路240に接続される。蒸発部31では、ブラインと冷媒とが熱交換することにより、ブラインが冷却されるとともに冷媒が蒸発する。
図6に示す冷媒圧縮部32は、蒸発部31から流出した冷媒を圧縮する。凝縮部33は冷媒が流れる熱交換器331と、ファン332とを備える。冷媒圧縮部32から熱交換器331へ流入した冷媒は、ファン332にて発生したエアの流れにより放熱されて凝縮される。膨張部34は凝縮部33から流出した冷媒を膨張させ、膨張した冷媒は蒸発部31に流入する。このようにプレクールシステム24では、いわゆるヒートポンプサイクルによりブラインが冷却される。
【0029】
図1に示す車両9に水素ガスが充填される際には、予め、図示省略のガス供給源から送られた水素ガスが圧縮機ユニット21にて圧縮され、ガス冷却部22にて冷却されつつ蓄圧器ユニット23に貯留される。
【0030】
そして、車両9が水素ステーション10に搬入されると、蓄圧器ユニット23からディスペンサ11に水素ガスが供給されるとともに、ディスペンサ11が所定の充填プロトコルに従って車両9へ水素ガスを充填する。
【0031】
このとき、蓄圧器ユニット23では、まず2つの蓄圧器231(例えば、
図1の上側の2つの蓄圧器231)から水素ガスが送出される。以下の説明では、当該2つの蓄圧器を他の蓄圧器と区別する場合には符号「231a」を付す。ディスペンサ11は車両9内の圧力を間接的に測定し、車両9と2つの蓄圧器231aとの間の圧力差が所定値以下となったと判断すると、ガス供給システム2に対して蓄圧器231aからの水素ガスの送出を停止する指示を送る。
【0032】
続いて、ガス供給システム2が他の蓄圧器231(例えば、
図1の上から3番目の蓄圧器231)を開放し、ディスペンサ11に水素ガスが送出される。以下、当該3番目の蓄圧器を他の蓄圧器と区別する場合は符号「231b」を付す。これによりディスペンサ11(あるいは蓄圧器231b)と車両9との間の圧力差が回復し、車両9へ充填される水素ガスの流量が確保される。車両9内のタンクの圧力が上昇し、蓄圧器231bと車両9との間の圧力差が所定値以下となったとディスペンサ11が判断すると、ガス供給システム2は蓄圧器231bからの水素ガスの送出を停止するとともに、さらに他の蓄圧器(
図1の下側に位置する蓄圧器)を開放して水素ガスが送出される。これにより、ディスペンサ11と車両9との間の圧力差が確保され、十分な量の水素ガスが充填される。車両9内のタンクの圧力が設定値となったと判断されると、ガス供給システム2からの水素ガスの供給が停止される。
【0033】
以上のように、蓄圧器ユニット23では、車両9のタンクの低圧領域(例えば0MPa〜40MPa)において4つの蓄圧器231のうち2つが使用され、中圧領域(40MPa〜60MPa)において他の1つが使用され、高圧領域(60MPa〜70MPa)においてさらに他の1つが使用される。ガス供給システム2が車両9の3つの圧力領域に応じて蓄圧器231を切り替えることによりディスペンサ11が充填プロトコルに従って効率よく水素ガスを充填することが可能となる。また、中圧領域および高圧領域よりも水素ガスの要求流量が多い低圧領域において2つの蓄圧器231aが使用されることにより、1つの蓄圧器のみが使用される場合に比べて水素ガスの流量が確保される。このため、蓄圧器231aを小型としても車両9への水素ガスの充填を効率よく行うことができる。
【0034】
次に、ガス供給システム2の各機器の位置関係について説明する。ガス供給システム2では、二点鎖線にて示す筐体4内に、圧縮機ユニット21および蓄圧器ユニット23が収容される。さらに、筐体4にはプレクール熱交換器242および冷凍機3の凝縮部33(
図6参照)を除くプレクールシステム24の各種機器、並びに、
図2に示す排熱部223を除くガス冷却部22の各種機器も収容される。
【0035】
図7はガス供給システム2の側面図である。
図8はガス供給システム2を
図7の左側から見た図である。
図7および
図8では、筐体4を二点鎖線にて示している。また、ガス供給システム2の主要機器についてのみ図示しており、配管等の周辺部材の図示は省略している。
図7および
図8では、
図1に示すプレクールシステム24のブラインポンプ241、並びに、冷凍機3の蒸発部31、
図6に示す冷媒圧縮部32および膨張部34を1つの矩形にて示し、当該矩形に符号24を付している。
【0036】
筐体4は直方体形状である。筐体4の上部42には開口421が形成され、開閉可能な蓋部422にて閉塞されている。筐体4内において、蓄圧器ユニット23は圧縮機ユニット21のY方向(すなわち、
図7の左右方向であり、
図8の紙面に垂直な方向)における側方に隣接して配置される。プレクールシステム24の一部は蓄圧器ユニット23の上方に配置される。以下の説明では、圧縮機ユニット21および蓄圧器ユニット23が配置されるY方向を「配置方向」と呼ぶ。X方向は、水平面内において配置方向に垂直な方向(すなわち、
図7の紙面に垂直な方向であり、
図8の左右方向)である。Z方向は、X方向およびY方向に垂直であり、重力方向に一致する。以下、Z方向を「上下方向」という。
【0037】
圧縮機ユニット21および蓄圧器ユニット23は防爆仕様とされる。以下、筐体4の内部のうち圧縮機ユニット21および蓄圧器ユニット23が配置される部位491を「防爆部491」と呼ぶ。なお、防爆部491では圧縮機ユニット21や蓄圧器ユニット23に付帯する電気機器や計装品も防爆仕様とされる。一方、プレクールシステム24は非防爆仕様とされる。以下、筐体4の内部のうちプレクールシステム24が配置される部位492を「非防爆部492」と呼ぶ。
図8に示すように、非防爆部492には制御部29が配置される。非防爆部492ではプレクールシステム24および制御部29に付帯する電気機器や計装品も非防爆仕様である。
図7および
図8に示す防爆部491および非防爆部492内には図示省略のガス検知センサが配置され、筐体4内の水素ガスの漏洩が管理される。
【0038】
圧縮機ユニット21は、いわゆる縦置き型であり、上下方向において圧縮部212が駆動部211の上側に位置した状態で筐体4内に配置される。すなわち、圧縮部212では、シリンダ内においてピストンが上下方向に往復動する。上下方向において圧縮部212全体は開口421と重なる。これにより、圧縮機ユニット21をメンテナンスする際に、蓋部422を開けて開口421から圧縮部212等の部位を筐体4の外部に容易に取り出すことができる。なお、排熱部223および凝縮部33は開口421から離間している。ガス供給システム2では、圧縮機ユニット21の所望の部位を取り出すことができるのであれば、圧縮部212の一部のみが開口421と上下方向に重なってもよく、圧縮機ユニット21全体が開口421と重なってもよい。
【0039】
蓄圧器ユニット23では、4つの蓄圧器231のうち2つの蓄圧器231が配置方向に配置されるとともに、残りの2つの蓄圧器231が上記2つの蓄圧器231と上下方向に重ねられる。各蓄圧器231は、設置面に対して垂直に立ち上がる筐体4の4つの側部411,412のうち、配置方向に対して略垂直な面、すなわち、法線の延びる方向が配置方向に平行である面を有する側部411に沿って延びる。以下、側部411を「第1側部411」という。また、配置方向に平行な面、すなわち、蓄圧器231の延びる方向に垂直な面を有する2つの側部412を「第2側部412」という。
【0040】
ガス冷却部22のガスクーラ222は防爆部491内にて圧縮機ユニット21の圧縮部212に固定される。また、冷却水ポンプ221(
図2参照)も防爆部491内に配置される。ガスクーラ222および冷却水ポンプ221は防爆仕様である。排熱部223は筐体4の上部42に配置される。
【0041】
プレクールシステム24では
図1に示すブラインポンプ241、並びに、冷凍機3の蒸発部31、
図6に示す冷媒圧縮部32および膨張部34が非防爆部492内に配置される。凝縮部33は筐体4の上部42に配置される。なお、プレクール熱交換器242は
図1のディスペンサ11近傍に配置される。プレクール熱交換器242はディスペンサ11内に配置されてもよい。ガス供給システム2では、空冷式の排熱部223および凝縮部33が利用されるため水冷式のものに比べて設置場所の自由度が向上し、筐体4の上部42を有効に利用することができる。
【0042】
以上のように、圧縮機ユニット21、ガス冷却部22、蓄圧器ユニット23およびプレクール熱交換器242を除くプレクールシステム24の各機器が筐体4内部または筐体4の上部42に設けられるため、ガス供給システム2を小型とすることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態に係るガス供給システム2を有する水素ステーション10について説明したが、ガス供給システム2では、筐体4内にて圧縮機ユニット21が上下方向を向いた状態で配置されるとともに、プレクールシステム24が蓄圧器ユニット23の上方に配置される。圧縮機ユニットが水平面内に配置される、いわゆる横置き型のガス供給システムに比べて圧縮機ユニット21の占有面積を小さくすることができる。圧縮機ユニット21と蓄圧器ユニット23とを1つの直方体形状の筐体4にて覆うことにより、蓄圧器ユニット23の上方に空間(本実施形態では、非防爆部492)が形成されるため、当該空間内にプレクールシステム24の少なくとも一部を配置することができる。これにより、ガス供給システム2の設置面積を小さくすることができ、水素ステーション10の小型化を図ることができる。
【0044】
特に、プレクール熱交換器242がマイクロチャネル式熱交換器であることから水素ガスの冷却効率を確保しつつプレクール熱交換器242を小型化することができ、その結果、プレクールシステム24の他の機器の小型化も可能となる。これにより、筐体4内に多くのプレクールシステム24の機器を配置することができ、ガス供給システム2の設置面積をより小さくすることができる。
【0045】
また、ガスクーラ222も小型のマイクロチャネル式熱交換器であるためガスクーラ222を圧縮機ユニット21の圧縮部212に直接的に固定することにより、ガス供給システム2の設置面積をより小さくすることができる。ガス冷却部22の排熱部223および冷凍機3の凝縮部33が筐体4の上部42に配置されるため、これらの部材が筐体4以外の場所に配置される場合に比べてガス供給システム2の設置面積をより小さくすることができる。
【0046】
蓄圧器ユニット23では、4つの蓄圧器231が上段および下段に2つずつ配置される。4つの蓄圧器231が並列に配置される場合に比べて蓄圧器ユニット23の配置方向の幅を抑えることができ、4つの蓄圧器231が上下方向に配置される場合に比べて上下方向の高さを抑えることができる。このようにガス供給システム2では、蓄圧器231の大きさを抑えつつ蓄圧器231の数を確保することができる。また、蓄圧器231の長手方向が筐体4の第1側部411に沿うことから筐体4の配置方向の幅が不必要に大きくなることが防止され、ガス供給システム2の設置面積をより小さくすることができる。
【0047】
筐体4では、非防爆部492が形成される。これにより、プレクールシステム24および制御部29を防爆仕様とすることが不要となり、これらの機器の大型化を防止することができるとともにコストも大幅に抑えることができる。
【0048】
図9は他の例にかかる水素ステーション10aの一部を示す図である。ディスペンサ11は、筐体4の配置方向に平行な面を有する第2側部412の一方に取り付けられる。プレクールシステム24のプレクール熱交換器242はディスペンサ11内に配置される。
図9に示す構造では、ディスペンサ11がガス供給システム2に取り付けられることにより、水素ステーション10a全体をより小型化することができる。水素ステーション10aでは、ディスペンサ11が第2側部412に隣接して配置されるのであれば、第2側部412に対して僅かに離間してもよい。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0050】
図9に示す水素ステーション10aでは、プレクール熱交換器242が筐体4内に配置されてもよい。また、
図1に示すガス供給システム2においても、プレクール熱交換器242を筐体4内に配置することが可能である。この場合、圧縮機ユニット21、ガス冷却部22、蓄圧器ユニット23およびプレクールシステム24の全ての機器が筐体4内または筐体4の上部42に配置されることとなる。上部42に排熱部223および凝縮部33を覆うカバーを取り付け、全ての機器が筐体4内に配置される構成とされてもよい。
【0051】
ガスクーラ222は圧縮部212に直接的に固定されるのであれば、マイクロチャネル式熱交換器以外のプレート式熱交換器であってもよい。蓄圧器ユニット23では、必ずしも蓄圧器231の数は4である必要はなく、車両9のタンクの低圧領域において水素ガスの流量があまり要求されない場合は蓄圧器231の数は3とされてもよい。また、防爆部491内に配置スペースが確保される場合には、蓄圧器231の数は5以上でもよい。長さが短い蓄圧器231が利用される場合には、複数の蓄圧器231にて1つの蓄圧器郡を形成し、複数の蓄圧器郡が蓄圧器231の長手方向、すなわち、水平面内において配置方向に垂直な方向に配置されてもよい。
【0052】
ガス冷却部22では水以外の冷却流体が用いられてよい。冷却水ポンプ221は筐体4の上部42に配置されてもよい。水素ステーション10aでは、ディスペンサ11が第1側部411に隣接して配置されてもよい。
【0053】
ガス供給システム2は車両以外のタンク搭載装置への水素ガスの充填に利用されてよい。ガス供給システム2は水素ガス以外のガスの供給に用いられてもよい。