特許第6276084号(P6276084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276084
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】構造物における支柱と梁材との接続構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20180129BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20180129BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   E04B1/24 K
   E04B1/343 D
   E04B1/58 508H
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-65215(P2014-65215)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-187363(P2015-187363A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】赤木 竜也
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−276279(JP,A)
【文献】 特開2002−081419(JP,A)
【文献】 特開2002−021183(JP,A)
【文献】 特開2012−172414(JP,A)
【文献】 特開2008−297863(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0125016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/343
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設された支柱の側壁上端部に梁材の端面が対向されて接続された構造物における支柱と梁材との接続構造であって、前記梁材の端部にはその端面より突出して下向きの引掛部が形成されたフックが設けられるとともに、前記支柱は少なくとも上端面の一部が開口されて、前記フックの引掛部が上方より差し込み可能な差込部が形成され、前記フックの引掛部を支柱の前記差込部に差し込んで、該フックを支柱の側壁上端部に引掛けることにより、前記梁材が支柱に接続可能となされて、前記フックは、支柱の側壁を間にして、支柱の内部の差込部に差し込まれる引掛部と、支柱の外側に配置される基部とを備えるとともに、前記引掛部と基部の両上端部を連結して支柱の側壁上に載置可能な連結部を備え、かつ、前記連結部を上下に貫通して、前記引掛部と支柱の側壁内面との間に押し込まれた固定具により、支柱に固定可能となされていることを特徴とする構造物における支柱と梁材との接続構造。
【請求項2】
前記固定具は、ねじ部が前記引掛部と支柱の側壁内面との間にねじ山を形成しつつねじ込まれるタッピングビスであることを特徴とする請求項1に記載の構造物における支柱と梁材との接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラスやサンルームなどの構造物における支柱と梁材との接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物における支柱と梁材との接続構造としては、軽量形鋼からなる一対の柱材とその柱材間に渡した軽量形鋼の斜材とによって構成された一体の組立柱上端と普通形鋼の梁との接合構造であって、前記梁の下面に水平片と垂直片からなるL形の一対の接合金具が、その垂直片が下向きとなり、かつ、水平片と垂直片とがなす角部の稜線が前記梁を横断する方向となるようにして、その水平片部で溶接されており、前記各柱材上端が前記各垂直片へその柱材上端面と梁下面との間に間隙を生ずるようにして溶接されてこれら柱材と梁との接合部をピン接合としている柱と梁の接合構造が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−148702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような柱と梁の接合構造では、柱と梁とを接続しているL形の接続金具が外方に露出しているため、外観が良いとは言えず、外観面での改良が望まれているものであった。
【0005】
本発明は上記の如き課題に鑑みてなされたものであり、支柱と梁材とを接続する接続部材が外方から見えにくく、かつ効率よく組み立てることができる構造物における支柱と梁材との接続構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち、本発明に係る構造物における支柱と梁材との接続構造は、立設された支柱の側壁上端部に梁材の端面が対向されて接続された構造物における支柱と梁材との接続構造であって、前記梁材の端部にはその端面より突出して下向きの引掛部が形成されたフックが設けられるとともに、前記支柱は少なくとも上端面の一部が開口されて、前記フックの引掛部が上方より差し込み可能な差込部が形成され、前記フックの引掛部を支柱の前記差込部に差し込んで、該フックを支柱の側壁上端部に引掛けることにより、前記梁材が支柱に接続可能となされていることを特徴とするものである。
【0007】
また本発明に係る構造物における支柱と梁材との接続構造において、前記フックは、支柱の側壁を間にして、支柱の内部の差込部に差し込まれる引掛部と、支柱の外側に配置される基部とを備えるとともに、前記引掛部と基部の両上端部を連結して支柱の側壁上に載置可能な連結部を備え、かつ、前記連結部を上下に貫通して、前記引掛部と支柱の側壁内面との間に押し込まれた固定具により、支柱に固定可能としてもよい。
【0008】
また本発明に係る構造物における支柱と梁材との接続構造において、前記固定具は、ねじ部が前記引掛部と支柱の側壁内面との間にねじ山を形成しつつねじ込まれるタッピングビスにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る構造物における支柱と梁材との接続構造よれば、前記梁材の端部にはその端面より突出して下向きの引掛部が形成されたフックを設けるとともに、前記支柱は少なくとも上端面の一部が開口されて、前記フックの引掛部を上方より差し込み可能な差込部を形成し、前記フックの引掛部を支柱の前記差込部に差し込んで、該フックを支柱の側壁上端部に引掛けることにより、前記梁材を支柱に接続可能としているため、梁材の端部から下向きに突出されているフックの引掛部は支柱の差込部に差し込まれ、外方からは殆ど見えなくなされているので、良好な外観を備えた支柱と梁材との接続構造とすることができる。更には、前記フックを支柱の側壁上端部に引掛け支柱に梁材を一旦仮置きした上で、支柱と梁材とを固定する作業を行うことができ、支柱と梁材とを効率的に接続・固定することができる。
【0010】
また本発明に係る構造物における支柱と梁材との接続構造よれば、前記フックは、支柱の側壁を間にして、支柱の内部の差込部に差し込まれる引掛部と、支柱の外側に配置される基部とを備えるとともに、前記引掛部と基部の両上端部を連結して支柱の側壁上に載置可能な連結部を備え、かつ、前記連結部を上下に貫通して、前記引掛部と支柱の側壁内面との間に押し込まれた固定具により、支柱に固定可能としているため、固定具を、支柱の側壁上に載置された連結部を上下に貫通して、前記引掛部と支柱の側壁内面との間に押し込みさえすれば、支柱と梁材とを固定することができ、支柱と梁材とを効率的に固定することができる。
【0011】
また本発明に係る構造物における支柱と梁材との接続構造よれば、前記固定具は、ねじ部が前記引掛部と支柱の側壁内面との間にねじ山を形成しつつねじ込まれるタッピングビスとしているため、前記引掛部と支柱の側壁内面との間に、事前にねじ山を加工しておく必要がなく、引掛部と支柱の側壁内面との間に螺入することで固定具を効率よく押し込むことができ、支柱と梁材とを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る構造物における支柱と梁材との接続構造の、実施の一形態を示す斜視図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3図1の一部分解の説明図である。
図4図1に示す実施形態で用いられているフックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る最良の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
1は設置面に立設された支柱、2は前記支柱1の側壁11上端部にその端面が対向されて接続された梁材、3は前記梁材2の端面より突出されたフック、4は該フック3を介して支柱1と梁材2とを固定する際に用いられる固定具であり、本発明にかかる構造物における支柱と梁材との接続構造を備えたものとしては、例えば家の軒先などに設置されるテラスや庭に設置されるカーポートなどである。
【0014】
前記支柱1は横断面がほぼ正方形の管体で4個の側壁11を備えて中空状に形成されており、正方形の四隅にはそれぞれ上下方向にねじ孔が形成され、支柱1の上端は、支柱1の横断面と同じ外形の正方形の水平板状体からなる上蓋13がその四隅を前記ねじ孔にねじ12が螺着されて固定されている。そして、前記上蓋13は後述する前記フック3の引掛部31を上方より差し込み可能な差込部14の部分が切り欠かれることにより、前記支柱1の上端面はその一部が開口されている。そして、この前記差込部14に差し込まれる後述するフック3の連結部33と固定具4とを隠蔽するため、前記上蓋13の上から上蓋カバー13´が取付けられ、連結部33と固定具4とが外側から隠蔽され、外観が向上するようになされている。
【0015】
なお、本実施形態においては、支柱1に90度の角度で2本の梁材2が接続されているため、前記上蓋13は隣り合う2辺が切り欠かれ、2箇所の差込部14が形成されているが、これに限定されるものではなく、前記上蓋13の3辺が切り欠かれ3本の梁材2が支柱1に接続されていてもよいし、前記上蓋13の1辺のみが切り欠かれ1本の梁材2が支柱1に接続されていてもよいし、全ての辺が切り欠かれ4本の梁材2が支柱1に接続されていてもよい。
【0016】
前記梁材2は支柱1と同様、縦断面がほぼ正方形の管体で4個の側壁21を備えて中空状になされており、その端部は開口されている。そして、前記梁材2の開口している端部には、その端面より突出して下向きに縦壁状の引掛部31が形成されたフック3が設けられている。そして、前記フック3の引掛部31を支柱1の前記差込部14に差し込んで、該フック3を支柱1の側壁11上端部に引掛けることにより、前記梁材2は支柱1に接続されている。
【0017】
前記フック3は、支柱1の側壁11を間にして、支柱1の内部の差込部14に差し込まれる縦壁状の前記引掛部31と、支柱1の外側に配置される縦壁状の基部32とを備えるとともに、前記引掛部31と基部32の両上端部を連結して支柱1の側壁11上に載置可能な水平板状の連結部33を備えている。そして該連結部33は、前記引掛部31と反対側に延設されて、水平板状の梁材取付部34が設けられ、その上面に梁材2の上側の側壁21の内面が載置され、梁材2の上側の側壁21端部に穿設されている貫通孔22と梁材取付部34に穿設されている透孔341にボルトBを貫通させてナットNが螺入され、フック3と梁材2とが固定されている。なお、前記梁材2の開口している端部に取付けられているフック3と、梁材の側壁21との間には隙間が生じるため、それを隠蔽するためのカバー材23が前記梁材の端縁に取付けられている。
【0018】
更に詳細に述べると、前記梁材取付部34の下方には、前記梁材取付部34が底板となされた蟻溝部35が形成されており、該蟻溝部35に平板材36が挿入されている。また該平板材36には、前記梁材取付部34に穿設されている透孔341に対応した位置に通孔361が設けられるとともに、その先端が長方形状に切り欠かれた切欠部362が設けられ、前記梁材取付部34の先端側に位置する蟻溝部35を構成する縦壁部351に設けられた貫通孔352から螺入されたねじJの先端部J1が前記切欠部362に嵌め込まれて、前記平板材36が蟻溝部35から抜け出ないようになされている。そして、フランジ付ナットNのナット部N1が前記平板材36の通孔361に挿入されるとともに、そのフランジ部N2が前記平板材36の上面と梁材取付部34と下面とに挟まれて、ナットNがフック3から脱落しないようになされている。
【0019】
なお上述のように本実施形態においては、ナットNを別体でフック3に保持する様にしているが、前記梁材取付部34の透孔内周面に雌ねじを設けて、その雌ねじにボルトを螺入し、フック3と梁材2とを固定するようにしてもよい。また、本実施形態においては、基部32の下端から梁材取付部34と平行に水平板部37が突設され、前記梁材2の下側の側壁21に沿うようになされているのみであるが、該水平板部37と梁材2の下側の側壁21とに透孔を穿設し、ボルトを貫通させてナットを螺入して、フック3と梁材2とを固定するようにしてもよい。
【0020】
前記フック3は、支柱1の側壁11を間にして、引掛部31が支柱1の内部の差込部31に差し込まれ、基部32が支柱1の外側に配置され、連結部33が支柱1の側壁11上に載置され、かつ、前記連結部33を上下に貫通して、前記引掛部31と支柱1の側壁11内面との間に押し込まれた固定具4により、支柱1に固定可能となされている。
【0021】
更に詳細に述べると、前記固定具4はタッピングビスであり、そのねじ部が前記連結部33に上下に貫通して設けられている貫通孔331に螺入され、前記引掛部31と該引掛部31と対向する支柱1の側壁11内面との間にねじ山を形成しつつねじ込まれることにより、前記引掛部31と基部32とが垂直に起立され、フック3の基部32と支柱1の外側の側壁11とが当接されて、支柱1とフック3とが固定されている。また前記連結部33の上面には、2個の立上部38が前記貫通孔331を挟む様に設けられ、前記タッピングビスを螺入する際のガイドとなされて、タッピングビスをねじ込む作業を効率よく実施することができるようになされている。
【0022】
なお本実施形態において、前記支柱1と梁材2とは、管状で同一断面が連続して長尺に形成されたアルミニウム合金製の芯材部111の外面に、合成樹脂を用いて被覆樹脂層112が押出成形により設けられて形成されたものであり、用いられる合成樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、AAS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等であり、前記合成樹脂に、シリカ粉末、マイカ粉末、タルク、ガラスファイバー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、クレー、鉱物、マイクロバルーン、金属粉、木粉、パルプ等のセルロース粉末等の充填材を適宜配合してもよい。また、被覆樹脂層112,212が外面に被覆されていない単体の金属材や、木材等が、支柱1や梁材2に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 支柱
11 側壁
111 芯材部
112 被覆樹脂層
12 ねじ
13 上蓋
13´ 上蓋カバー
14 差込部
2 梁材
21 側壁
211 芯材部
212 被覆樹脂層
22 貫通孔
23 カバー材
3 フック
31 引掛部
32 基部
33 連結部
331 貫通孔
34 梁材取付部
341 透孔
35 蟻溝部
351 縦壁部
352 貫通孔
36 平板材
361 通孔
37 水平板部
38 立上部
4 固定具
B ボルト
N ナット
N1 ナット部
N2 フランジ部
J ねじ
図1
図2
図3
図4