(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタやレーザプリンタなどには、記録媒体として、A4サイズやA3サイズなどの規格化された大きさの用紙が主として用いられる。この種のプリンタには、予めサイズの異なる用紙が給紙カセットに収容された状態でセットされている。
【0003】
一方、複写式の伝票や帳票の印刷には、ドットプリンタがよく用いられる。ドットプリンタには、ページを規定するミシン目が等間隔に形成されたロール紙や、ミシン目ごとに折りたたまれた連続紙が、記録媒体として用いられる。印刷が完了した連続紙は、ミシン目で切り離されることで、用件ごとの伝票や帳票となる。
【0004】
ミシン目が設けられた連続紙に印刷を行ったときには、印刷するデータの量によっては、ページの先頭やページの前半で、印刷が終了してしまうことがある。この状態で次の印刷を行う際には、印刷が行われたページを送り出して、次のページの先頭から、印字が開始するのが一般的である。このため、印刷が十分に可能な余白があるページも一律に排紙されてしまい、結果的に用紙の消費量が増加してしまうことがある。
【0005】
連続紙を記録媒体とするプリンタであっても、連続紙を途中で切断することができれば、必ずしも、ページの先頭から印刷を開始しなくてもよく、連続紙を余すことなく有効に使用することができる。しかしながら、従来のシステムでは、用紙を送る制御が、ホスト側のコンピュータによって実行されるアプリケーションからの指示に基づいて行われていた。このため、印字の開始位置を調整するためには、比較的困難な上記アプリケーションの変更が必要であった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷システム10を示す図である。
図1に示されるように、印刷システム10は、LAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワーク12を介して相互に接続される制御装置20とプリンタ30を有している。
【0011】
図2は、制御装置20のブロック図である。
図2に示されるように、制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)20a、主記憶部20b、補助記憶部20c、入力部20d、表示部20e、インタフェース部20f、及び上記各部を接続するシステムバス20gを有するコンピュータである。
【0012】
CPU20aは、補助記憶部20cに記憶されたプリンタドライバ100やアプリケーション101を読み出して実行する。CPU20aの具体的な動作については後述する。
【0013】
主記憶部20bは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを有している。主記憶部20bは、CPU20aの作業領域として用いられる。
【0014】
補助記憶部20cは、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリなどの不揮発性メモリを有している。補助記憶部20cは、CPU20aが実行するプリンタドライバ100やアプリケーション101、及び各種パラメータなどを記憶している。また、CPU20aによる処理結果などを含む情報を順次記憶する。
【0015】
入力部20dは、キーボードや、マウスなどのポインティングデバイスを有している。ユーザの指示は、入力部20dを介して入力され、システムバス20gを経由してCPU20aに通知される。
【0016】
表示部20eは、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示ユニットを有している。表示部20eは、例えば、プリンタ30のステータスや、アプリケーション101を実行するCPU20aによって生成される画像などを表示する。
【0017】
インタフェース部20fは、LANインタフェース、シリアルインタフェース、パラレルインタフェース、アナログインタフェースなどを備えている。制御装置20は、インタフェース部20fを介して、ネットワーク12に接続される。
【0018】
図3は、プリンタ30の斜視図である。プリンタ30は、ミシン目によってページが規定される連続紙に文字や画像を形成するドットプリンタである。
図3に示されるように、プリンタ30は、筐体31、フロントカバー33、給紙カセット34を有している。
【0019】
筐体31は、長手方向をX軸方向とする直方体状のベース31aと、ベース31aの上方に取り付けられるカバー31bから構成されている。
【0020】
ベース31aの−Y側上面には、プリンタ30から排紙される連続紙の排紙トレイが形成されている。そして、排紙トレイには、ベース31aの上面にX軸に平行になるように設けられた溝37に沿って移動するガイド36が設けられている。プリンタ30で使用される用紙のサイズに応じて、ガイド36を位置決めすることで、排紙をスムーズに行うことができる。
【0021】
カバー31bは、ベース31aに固定され、ベース31aとカバー31bによって囲まれる空間には、プリンタ30の制御系が収容されている。また、カバー31bには、表示部40bが設けられている。表示部40bには、プリンタ30のステータスが表示される。
【0022】
図4は、筐体31内部に収容される制御系40を示す図である。
図4に示されるように、制御系40は、制御部40a、表示部40b、ヘッド40c、アクチュエータ40d、及び紙送り機構40eを有している。
【0023】
制御部40aは、CPU、CPUの作業領域となる主記憶部、CPUが実行するプログラムを記憶する補助記憶部などを有している。制御部40aは、ネットワーク12を介して接続される制御装置20の指示に基づいて、表示部40b、ヘッド40c、アクチュエータ40d、及び紙送り機構40eの制御を行う。
【0024】
表示部40bは、液晶パネルを有し、プリンタ30のステータスなどを表示する。
【0025】
ヘッド40cは、連続紙にドットを形成するニードルとこのニードルを駆動するためのソレノイドを有するドットインパクトプリントヘッドである。
図5は、
図3におけるAA断面を示す図である。
図5に示されるように、ヘッド40cは、アクチュエータ40dによって、ベース31aの上方で支持されている。
【0026】
アクチュエータ40dは、モータ及びベルトなどを有し、ヘッド40cを、
図5におけるX軸に沿って移動させる。制御部40aは、アクチュエータを駆動することによってヘッド40cを連続紙Pに対して位置決めする。そして、ソレノイドに電圧を印加することにより、ニードルを連続紙Pに打ち付けて、連続紙Pにドットを順次形成する。
【0027】
紙送り機構40eは、複数の紙送りローラやガイドなどから構成され、給紙カセット34に収容された連続紙を、ヘッド40cに対して相対的に移動させる。これにより。連続紙は、ヘッド40cによって印刷がなされた後、
図5の矢印A2に示される方向へ送り出される。
【0028】
図3に戻り、フロントカバー33は、ベース31aの上方で、カバー31bに支持されている。
図5に示されるように、フロントカバー33の下部は、+Y方向へ突出するように湾曲し、下端33aは鋭角に整形されている。このため、印刷が終了し、フロントカバー33の下方から排紙される連続紙Pは、このフロントカバー33を用いて、矢印A1に示される位置で切断することができる。
【0029】
図3に戻り、給紙カセット34は、直方体状のケースである。給紙カセット34は、カバー31bに対して着脱自在となっており、内部にはミシン目によってページが規定された連続紙が収容されている。
【0030】
上述したプリンタ30は、主として、複写式の連続紙を記録媒体とし、宅配便の送り状や、帳票の作成になどに使用される。
【0031】
印刷システム10では、印刷が終了したらフォームフィードを行い、次の印刷を常にページの先頭から開始する通常モードと、印刷が終了したら、次の印刷を、余白を挟んで行う節約モードの2つのモードが規定されている。
【0032】
図6は、通常モードで、例えば5件分の帳票の印刷が行われた連続紙Pを示す図である。通常モードでは、1ページに1件分の情報の印刷が行われる。このため、印刷された連続紙Pを、破線から切断すると1件ごとの帳票を作成することができる。
【0033】
図7は、節約モードで、例えば5件分の帳票の印刷が行われた連続紙Pを示す図である。節約モードでは、各件の情報が、余白Mを挟んで連続的に印刷される。このため、ページを規定する破線に関係なく、情報を連続的に印刷することができる。この節約モードは、印刷内容のチェックなどを行うときに用いられるモードである。また、連続紙Pを、プリンタ30のフロントカバー33を用いて、直線Lに沿って切断することで、複数の情報が印刷された一纏まりの記録媒体として取り扱うことも可能となる。
【0034】
印刷モードの設定は、例えば、制御装置20の表示部20eに表示されるプリンタドライバ100の設定画面において、「通常モード」或いは「節約モード」のいずれかを選択することにより行うことが考えられる。
【0035】
上述した2つのモードは、プリンタドライバによって選択される。以下、上記2つのモードによる印刷動作について、
図8のフローチャートに基づいて説明する。
図8は、制御装置20のCPU20aが実行する一連の処理を示すフローチャートである。CPU20aは、アプリケーション101を実行しているときに、ユーザからの印刷指示を受け付けると、補助記憶部20cからプリンタドライバ100を読み出して、
図7に示される一連の処理を開始する。また、前提として、本実施形態では、帳票1件分の情報を順次印刷していくものとする。
【0036】
まず、CPU20aは、印刷モードが節約モードか否かを判断する(ステップS101)。印刷モードとして、通常モードが設定されている場合には(ステップS101:No)、CPU20aは、連続紙Pのページ長を示す情報と、ページの設定指示をプリンタ30の制御部40aへ出力する(ステップS102)。制御部40aは、ページの設定指示を受けると、ページ長の値に基づいて、ヘッド40cを、連続紙Pのミシン目によって規定されたページの先頭へ位置決めする。
【0037】
次に、CPU20aは、プリンタ30の制御部40aに、印刷データPD
1を出力するとともに、印刷の開始を指示する(ステップS103)。制御部40aは、印刷開始の指示を受けると、制御装置20から出力される印刷データに基づいて、連続紙Pへの印刷を開始する。
【0038】
CPU20aは、印刷データPD
1の印刷が完了するまで待機し(ステップS104)、プリンタ30の制御部40aから印刷の完了が通知されると(ステップS104:Yes)、印刷モードに応じた紙送り指示を、プリンタ30の制御部40aへ出力する。
【0039】
印刷モードが通常モードである場合には(ステップS105:No)、CPU30aは、プリンタ30の制御部40aに対して、ページ送り(フォームフィード)を指示する(ステップS106)。プリンタ30の制御部40aは、ページ送り指示を受けると、紙送り機構40eを制御して連続紙Pを送り出し、ヘッド40cを次のページの先頭に位置決めする。これにより、次の印刷データPD
2に対する印刷を、ページの先頭から開始することが可能となる。
【0040】
ステップS106の処理が終了すると、CPU30aは、ステップS101に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。これにより、印刷データPD
1,PD
2,…PD
Nの印刷が、ページごとに実行される。
【0041】
一方、CPU20aは、印刷モードが節約モードか否かを判断し(ステップS101)、印刷モードとして、節約モードが設定されている場合には(ステップS101:Yes)、プリンタ30の制御部40aに、印刷データPD
1を出力するとともに、印刷の開始を指示する(ステップS103)。制御部40aは、印刷開始の指示を受けると、制御装置20から出力される印刷データに基づいて、連続紙Pへの印刷を開始する。
【0042】
CPU20aは、印刷データPD
1の印刷が完了するまで待機し(ステップS104)、プリンタ30の制御部40aから印刷完了が通知されると(ステップS104:Yes)、印刷モードに応じた紙送り指示を、プリンタ30の制御部40aへ出力する。
【0043】
印刷モードが節約モードである場合には(ステップS105:Yes)、CPU30aは、プリンタ30の制御部40aに対して、例えば1インチ程度の予め設定された所定量の紙送りを指示する(ステップS107)。プリンタ30の制御部40aは、所定量の紙送り指示を受けると、紙送り機構40eを制御して連続紙Pを送り出し、連続紙Pを所定量だけヘッド40cに対して相対移動させる。これにより、次の印刷データPD
2に対する印刷を、印刷データPD
1が印刷された領域から、1インチ程度離れたところから開始することができる。
【0044】
ステップS107の処理が終了すると、CPU30aは、ステップS101に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。これにより、1インチのマージンMを挟んで、印刷データPD
1,PD
2,…PD
Nの印刷が、連続的に実行される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では、印刷モードとして通常モードが選択されている場合には、CPU50aによって、印刷データPDごとに、ヘッド40cがページ先頭に位置決めされる。そして、連続紙に規定されるページごとに、印刷データPDの印刷が行われる。また、印刷モードとして節約モードが選択されている場合には、前回印刷が終了した位置から所定量だけ離れた位置を起点に、次の印刷データPDの印刷が行われる。このため、印刷物の用途に応じて、印刷モードを選択して印刷を行うことで、連続紙の消費量を削減することができる。
【0046】
本実施形態では、印刷モードに応じた印刷が、プリンタドライバ100を読み込んだCPU20aによって実行される。このため、印刷モードの切り替え機能のないアプリケーション101によって生成される印刷データPDの印刷を行う場合であっても、印刷モードに応じた印刷が可能となる。
【0047】
一般に、アプリケーション101によって印刷モードの選択を行うためには、比較的困難なアプリケーションの改造が必要になる。特に、複数のアプリケーション101を使用する場合には、アプリケーション101ごとに改造を行う必要がある。本実施形態では、プリンタドライバ100を用いて、印刷モードの選択を行うことができるので、簡単かつ低コストで印刷モードの選択を行うことができる。
【0048】
本実施形態では、
図5に示されるように、フロントカバー33の下端33aによって、連続紙Pを切断することができる。このため、節約モードで印刷を行った場合でも、任意の位置で連続紙Pを切断することで、印刷がなされた部分を、所望の位置から分離することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、節約モードでの印刷では、先の印刷データPDの印刷範囲と、次の印刷データPDの印刷範囲が1インチ程度離れるように印刷が行われることとした。これに限らず、先の印刷データPDの印刷範囲と、次の印刷データPDの印刷範囲の間の距離は、任意に設定することができる。
【0050】
上記実施形態では、記録媒体として、ミシン目によってページが規定された連続紙を用いることとした。これに限らず、記録媒体としては、ミシン目以外のラインや折り目などによってページが規定された記録媒体を用いることができる。
【0051】
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。