(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276139
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
G01H 17/00 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-171337(P2014-171337)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-45151(P2016-45151A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 憲之
【審査官】
山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−089227(JP,A)
【文献】
特開昭51−090084(JP,A)
【文献】
特開2013−188827(JP,A)
【文献】
特開2001−153758(JP,A)
【文献】
特表2012−508368(JP,A)
【文献】
特開2012−213830(JP,A)
【文献】
特開2012−056072(JP,A)
【文献】
特開昭60−114447(JP,A)
【文献】
特開2012−187691(JP,A)
【文献】
特開2012−056051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00 − 17/00
G01M 13/00 − 13/04
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削工具を装着、回転させることで被加工物を切削加工する主軸と、
前記主軸に装着した切削工具の切削加工時に発生する振動を検出する振動検出装置と、
前記振動検出装置からの振動情報をもとにびびり振動の発生を判定し、びびり振動の抑制制御を行う制御装置と、
を備えた工作機械において、
偏心量が既知の振動基準具を前記主軸に装着して前記振動検出装置により検出した振動と、前記偏心量に基づき理論的に算出された振動基準値とに基づき算出された補正係数を記憶する補正係数記憶手段、
を更に備え、
前記制御装置は、主軸に切削工具を装着した状態で前記振動検出装置により検出された振動情報を前記補正係数により補正して、補正された振動情報に基づきびびり振動の発生を判定し、びびり振動の抑制制御を行う、
工作機械。
【請求項2】
前記補正係数が所定の範囲内であるかに基づき異常診断を行う異常診断手段を有する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記振動基準値は、複数の回転速度に対してあらかじめ求められており、前記補正係数記憶手段は、前記複数の回転速度ごとに算出された前記補正係数を記憶する、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記振動基準具を収容する工具マガジンと、
前記工具マガジンと前記主軸との間で切削工具または前記振動基準具を交換する工具交換装置と、
偏心量が既知の振動基準具を前記主軸に装着して前記振動検出装置により検出した振動と、前記偏心量に基づき理論的に算出された振動基準値とに基づき前記補正係数を算出する補正係数算出手段と、
所定の指令コードを受け付けると、前記工具交換装置に、前記振動基準具を工具マガジンから取り出して主軸に装着させ、所定の回転速度で主軸を回転させて前記補正係数算出手段に補正係数を算出させ、この補正係数を補正係数記憶手段に記憶させる、校正制御手段と、
を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記校正制御手段は、前記所定の指令コードを受け付けると、この指令コードの受け付けに起因して算出された補正係数に基づき前記異常診断手段に異常診断を行わせる、請求項2を引用する請求項4に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械における切削加工時に発生するびびり振動を抑制するシステムに関し、特に、切削工具を装着する主軸に振動検出装置を固定し、その振動検出装置からの振動情報をもとにびびり振動を抑制する制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の工作機械では、切削工具を装着した主軸を回転させ、被加工物を切削加工する際に、切込や切削量に対する切削工具の剛性不足等の理由によりびびり振動が発生し、被加工物の加工面がびびり振動に起因するムラ模様がついてしまうことがあった。この問題を解決すべく、切削工具の固有振動数が、切削工具の回転速度と刃数とから発生する加工時の振動数に合致するのを避けるよう加工する必要があった。しかしながら、切削工具の固有振動数と、加工時の振動数とが合致しない回転速度を探るには、十分な経験や勘を有する熟練者でも試行錯誤が必要であり、時間を要する作業であった。そのため、熟練者であっても、びびり振動が発生した場合には、切込量を浅くして加工することも少なくなかった。
【0003】
一方、近年の工作機械にあっては、切削工具ごとに限界切込量に応じた安定限界線図を予め制御装置側に記憶させ、主軸に具備した振動検出装置からの加工振動情報をもとに、加工時の振動周波数が切削工具のびびり振動と一致したと判定し、且つ振動レベルがある閾値を超えたと判定すれば、安定領域へと主軸の回転速度を変更する等の機能を備えた技術が紹介されている。先行技術文献として、特開2012−213830号公報や特開2012−56072号公報などが挙げられる。
【0004】
上記のように、工作機械の制御装置では、主軸に具備した振動検出装置からの加工振動情報について、切削工具がびびり振動状態にあるか否かを、振動レベルに対する閾値を設けて判定していた。しかしながら、振動検出装置から出力される振動情報は、いろんな誤差要因を含んでいた。例えば、切削工具から振動検出装置に伝播する振動伝達度合いが、主軸装置ごとにばらつくことが挙げられる。その例を図をもとに説明する。
図5は、従来の振動検出装置を装着した主軸のフロント側縦断面図である。切削加工によって切削工具504に発生した振動は、工具ホルダ103に伝達する。工具ホルダ103での振動は、工具ホルダ103のテーパシャンク部を通じて、回転軸101に伝達される。回転軸101での振動は、軸受109a〜dを通じて、ハウジング102に伝達される。最終的にハウジング102での振動は、振動検出装置114にて検出され、振動情報として図示しない制御装置へ出力される。
【0005】
工具ホルダ103は、ドローバー105に引っ張られることにより、そのテーパシャンク部で回転軸101とテーパ結合する。この引張力にはばらつきがあり、テーパ結合力にもばらつきが発生していた。テーパ結合力にばらつきがあると、工具ホルダ103から回転軸101への振動伝達度合いもばらついてしまう。或いは、テーパ結合部分の結合具合もばらつきがあり、振動伝達が変化する要因である。また、回転軸101からハウジング102へ振動を伝達される経路となっている軸受109a〜dについても、軸受予圧のばらつきがあると振動伝達度合いもばらつく。更に、ハウジング102と振動検出装置114との取り付けにおいても、取付面の平面度や表面性状のばらつきや、振動検出装置114を固定するボルト113a,bの締付力のばらつきなどが、振動伝達度合いのばらつき要因となっていた。
【0006】
また、振動検出装置114は、ピエゾ抵抗方式や静電容量検出方式等の加速度センサ110からなるものであるが、このセンサ自体の検出誤差も要因の一つであった。また、加速度センサ110は、振動検出装置114のケース111に対して、充填接着剤112にて固定されており、接着具合もばらつきがあった。このため、振動検出装置114自体の誤差については、振動検出装置114を別途、基準となる加速度センサに対して、検出感度の誤差を測定し、誤差を補正する等の校正を行ったものを、ハウジング102に装着する対応を行っている場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−213830号公報
【特許文献2】特開2012−56072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に示したように、従来のびびり振動を抑制する工作機械においては、切削工具で発生した振動が、振動検出装置に伝達するまでの伝達経路において、さまざまな誤差要因があった。切削工具で発生した振動が、正確に振動検出装置へ伝達されないと、びびり振動の判定間違いを誘発するおそれがあった。上記した振動の伝達度合いのばらつきは、経路となる部品の固有振動数によって伝達度合い(振動伝達率)が大小する特性のために、びびり振動の判定間違いを誘発するおそれがあった。一方、振動検出装置自体にも誤差要因があり、これを防ぐため、別途、振動検出装置自体を校正するなどの手間をかけながら、振動検出装置を主軸へ装着していた。
【0009】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、切削工具にて発生したびびり振動の判定に際し、判定間違いを起こしづらい工作機械の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る工作機械は、切削工具を装着、回転させることで被加工物を切削加工する主軸と、前記主軸に装着した切削工具の切削加工時に発生する振動を検出する振動検出装置と、前記振動検出装置からの振動情報をもとにびびり振動の発生を判定し、びびり振動の抑制制御を行う制御装置と、を備えたものにおいて、偏心量が既知の振動基準具を前記主軸に装着して前記振動検出装置により検出した振動と、前記偏心量に基づき理論的に算出された振動基準値とに基づき算出された補正係数を記憶する補正係数記憶手段を更に備え、前記制御装置は、主軸に切削工具を装着した状態で前記振動検出装置により検出された振動情報を前記補正係数により補正して、補正された振動情報に基づきびびり振動の発生を判定し、びびり振動の抑制制御を行うものである。
【0011】
偏心量が既知の振動基準具をある回転速度で回転させたときの偏心による遠心力は算出でき、その遠心力が主軸に作用したときの振動(振動基準値)も算出できる。実際に振動基準具を主軸に装着し、主軸を回転させて得られた振動と、振動基準値の相違は、その工作機械における振動検出装置までの伝達経路上の様々な誤差要因および振動検出装置自体の誤差要因を反映している。よって、この相違に基づき、実際に測定された振動を補正すれば、伝達経路上等の誤差要因を除いた値を得ることができる。
【0012】
前記工作機械は、前記補正係数が所定の範囲内であるかに基づき異常診断を行う異常診断手段を有するものとすることができる。
【0013】
前記工作機械において、前記理論振動値は、複数の回転速度に対してあらかじめ求めておくことができ、前記補正係数記憶手段は、前記複数の回転速度ごとに算出された前記補正係数を記憶するものとすることができる。
【0014】
前記工作機械は、前記振動基準具を収容する工具マガジンと、前記工具マガジンと前記主軸との間で切削工具または前記振動基準具を交換する工具交換装置とを備えたものとすることができ、工具マガジンから振動基準具を取り出して主軸に装着し、補正係数の更新を行うようにできる。この工作機械は、偏心量が既知の振動基準具を前記主軸に装着して前記振動検出装置により検出した振動と前記偏心量に基づき理論的に算出された振動基準値とに基づき前記補正係数を算出する補正係数算出手段を備えるものとできる。さらに、所定の指令コードを受け付けると、前記工具交換装置に、前記振動基準具を工具マガジンから取り出して主軸に装着させ、所定の回転速度で主軸を回転させて前記補正係数算出手段に補正係数を算出させ、この補正係数を補正係数記憶手段に記憶させる、校正制御手段を有するものとできる。
【0015】
前記校正制御手段は、前記所定の指令コードを受け付けると、この指令コードの受け付けに起因して算出された補正係数に基づき前記異常診断手段に異常診断を行わせるものとできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の工作機械の制御装置によって、第一義的にびびり振動の判定間違いを少なくする効果を奏する。さらに、いろんなびびり振動周波数に対しても、びびり振動判定間違いが少なくなる。また、振動検出装置を主軸に装着した状態でのトータルでの振動伝達度合いを補正、校正するため、振動検出器単体に対して行っていた校正作業をなくすることが可能であり、コスト低減効果を奏する。他方、校正制御手段を有効活用することにより、主軸のテーパシャンク部の磨耗、劣化や、軸受の劣化等により変化する振動伝達率も、工作機械のオペレータが好きなときに補正、校正しやすくなった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】振動基準具が装着された主軸の工具装着部付近の断面を示す図である。
【
図3】本発明に係る振動情報の補正および異常判定についての制御フローを示す図である。
【
図5】主軸の工具装着部付近の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0019】
図1は、偏心状態の振動基準具の一例を示す斜視図である。振動基準具104は、工具ホルダ103に固定されている。振動基準具104の先端には、突起物104bが一体成形されている。振動基準具104を回転させると、突起物104bのアンバランスによる遠心力によって、主軸に装着したときの軸心まわりにラジアル方向に振動が発生する。この振動は、振動基準具104の形状や、そのときの回転速度が分かれば、予め振動のレベルを理論的に把握しておくことができる。この理論値は、近年著しい進歩を見せているFEM解析等のソフトウェアにて算出することが、効率的である。あるいは、実物を実際に回転させて、非接触のレーザ振動計等で振動レベルを実測して基準値を求めれば、より正確な基準値となる。
【0020】
図2は、偏心状態の振動基準具104を装着した主軸のフロント側縦断面図である。
図1及び
図5と同一構成要素には、同一符号を付す。偏心している振動基準具104を回転させることによって発生したラジアル方向の振動は、
図5の例で示したようにいろんな振動伝達度合い(誤差要因)を経て、振動検出装置114へ伝達される。
【0021】
図3は、本発明の工作機械の制御装置における振動検出装置の振動情報に対する補正値を算出する方法の一例を示すフローチャートである。S1にて振動基準具104を主軸に装着し、S2にて主軸を回転速度A(1分あたりの回転数)で回転させる。S3では、回転速度Aで回転することによって発生したラジアル方向の振動を検出した振動検出装置からの振動情報V(t=0)を取得する。なお、説明を簡略化するために、偏心状態の振動基準具104で発生したラジアル方向振動を、振動情報V(t=0)としているが、実際の振動は、回転速度Aを60にて割った周波数で正弦波状の変化をしている。一般的なびびり振動の判定を行う前の処理として、振動検出装置から出力される振動情報を、時間範囲を区切った上で、周波数解析を行い、振動の加速度値と周波数とに処理されている。
図3で扱う振動情報V(t=0)は、上記周波数解析処理が行なわれ、振動の加速度とその周波数とを含んだ情報である。S4にて記憶手段から(A/60)Hzにおける振動レベルの振動基準値Vaを読み込む。振動基準値Vaは、
図1の例に示したように、偏心状態の振動基準具104のアンバランス形状や回転周波数から、予め理論的に求められた振動レベルである。
【0022】
S5にて式(1)に示す演算処理を行なう。式(1)では、振動基準値Vaと振動検出装置で検出した振動情報V(t=0)とを除算し、補正係数kを求める。
【0023】
k=Va÷V(t=0) ・・・(1)
【0024】
S6にて、補正係数kに対し、kの値が所定の範囲にあるかを判定する。
図4は、振動検出装置に内蔵される加速度センサの一例を示す概略構成図である。圧電素子401は、外部振動によって自身が圧縮される力を電圧に変換する。さらに、増幅器402にて増幅し出力する。増幅器402は、外部から+5Vの入力電源を供給されており、圧電素子401からの電圧に従って、+2.5Vを中点電位として、+1.0Vから+4.0Vまでの出力範囲となっている。これは、例えば、出力電圧が+2.5Vのとき加速度0m/sec
2、同+4.0Vのとき加速度490m/sec
2、同+1.0Vのとき加速度―490m/sec
2というものである。ここで、圧電素子401や増幅器402の故障、圧電素子401と増幅器402との接続線の断線など、加速度センサの不良が発生した場合、出力値が+2.5Vから変化しなかったり、或いは、+4.0Vに張り付いた状態となったり、出力値が不安定にばたついたりする。話を元に戻すが、S6での補正係数kの値を判定する所定の範囲について説明する。前述のように加速度センサからの出力値が+2.5Vで変化しない場合には、加速度値としては0m/sec
2に近い値のため、補正係数kが無限大か極めて大きな値となる。他方、加速度センサからの出力値が+4.0Vに張り付いた状態では、補正係数kが小さな値となる。このような現象と振動基準値Vaを踏まえた上で、補正係数kの正常な範囲を定めることとなる。
【0025】
S6にて判定がOKとなったら、S7にて補正係数kを記憶手段へ格納する。再度、S8にて振動検出装置からの振動情報V(t)を取得する。S9にて、S7で記憶手段に格納した補正係数kを読み込み、S10にて[k×V(t)]のように乗算処理を行なって、補正された振動情報とする。S11にて、補正された振動情報[k×V(t)]と振動基準値Vaとを比較し、規定の範囲内の際にあるか否かを比較する。規定の範囲内は、例えば、Vaの±5%以内というように、本技術を使用する側が適宜設定すればよい。規定の範囲内であった場合には、S12にて主軸の回転を停止し、S13で振動基準具104を主軸から取り外して終了となる。
【0026】
S6にて判定がNGとなったら、S17にて異常診断を行う。一例として、異常診断では、補正係数kが過大なのか、或いは過小なのかといった情報とともにアラーム出力を行い、終了となる。他方、S11にてNG(規定の範囲外)と判定されたら、S14にてカウンタに1カウント増加させ、S15にてカウンタ値が所定の回数に達しているかを判定する。カウンタ値が所定の回数以下であった場合には、S16にて式(2)に示す演算処理を行ない、新たに補正係数kを算出し直す。
【0028】
新たに算出し直した補正係数kを用いてのS6以降の処理は、上述と重複するため説明を省略する。一方、S15でのカウンタ値の判定については、S11で繰り返しNGとなる回数を数えたものであり、加速度センサの出力値がばたつく不良など、安定した出力が得られない場合を判定するために設けたものであり、本技術を使用する側で適宜、判定回数を定めればよい。S15でのカウンタ値判定によりNGと判定されれば、S17の異常診断にて、補正係数kが不安定といった情報とともにアラーム出力を行い、終了となる。
【0029】
実際のびびり振動を抑制制御する際には、切削工具ごとに限界切込量に応じた安定限界線図を予め制御装置側に記憶させ、主軸に具備した振動検出装置からの加工振動情報に
図3の例で求めた補正係数を乗算された振動情報をもとに、加工時の振動周波数が切削工具のびびり振動と一致したと判定し、且つ振動レベルがある閾値を超えたと判定すれば、安定領域へと主軸の回転速度を変更すればよい。
【0030】
振動基準具104による振動基準値Vaは、複数の回転速度における値を予め求めておき、各回転速度における補正係数を算出し、記憶するようにすることができる。つまり、
図3の例で実施した回転速度Aだけではなく、予め振動基準値を複数の周波数に応じたものを用意し、複数の回転速度で補正係数の算出を実施し、記憶手段に格納しておく。振動周波数に応じた補正係数の格納方法については、あらゆる振動周波数と補正係数との関係を記憶手段内にテーブル上に展開されていてもいいし、例えば100Hzおきの振動周波数と補正係数とを格納してあって、間の振動周波数分については、補間して補正係数を別途算出してもいい。
【0031】
また、振動基準具104は、工作機械に設けられた、または隣接して設けられた交換工具マガジンに格納しておき、必要に応じて交換工具マガジンから取り出して主軸に装着されるようにできる。交換工具マガジンに、
図1に示すような偏心状態の振動基準具を入れておき、工作機械を使用する側が、決められた指令コードを指示することで、工具交換装置により振動基準具を主軸に装着し、
図3の例に示す手法で、所定の回転速度で主軸を回転させ、振動検出装置からの振動情報に対する補正係数を更新すればいい。本技術は、振動伝達度合いや振動検出装置自体の校正の意味合いが強く、工作機械を使用する側が、好きな時に校正を行えるように、決められた指令コード(GコードやMコード等)で運用するものである。
【0032】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の実現方法は以上で示した実施形態のみに限定されるものではない。例えば、
図1の振動基準具104の形状は、偏心状態であれば、どんな形状でも本発明を実現可能である。振動検出装置114については、説明を簡単にするために、主軸に1個だけ装着した例について述べたが、びびり振動を検出するためには、加速度センサを2個内包し、2軸方向検出するが、この場合にも2個の加速度センサ夫々に補正係数を設定すれば、本発明の実現可能である。
図3に示す補正値の算出方法に関しても、本例に限定されるものではない。肝心なのは、既知の偏心状態にある切削工具、或いはその模造品(振動基準具)が回転することによって発生するラジアル方向の振動の理論値(振動基準値)を予め把握しておき、振動検出装置で実際に検出した振動情報を補正するシステムであれば、すべからく本発明を実現することができる。
【符号の説明】
【0033】
101 回転軸、102 ハウジング、103 工具ホルダ、104 振動基準具、104b 突起物、105 ドローバー、106 コレット、107 モータのロータ、108 モータのステータ、109a〜d 軸受、110 加速度センサ、111 ケース、112 充填接着剤、113a,b ボルト、114 振動検出装置、401 圧電素子、402 増幅器、504 切削工具。