特許第6276164号(P6276164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000002
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000003
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000004
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000005
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000006
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000007
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000008
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000009
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000010
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000011
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000012
  • 特許6276164-ロール袋の保持具 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276164
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】ロール袋の保持具
(51)【国際特許分類】
   B65B 67/00 20060101AFI20180129BHJP
   B65B 43/26 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   B65B67/00 Z
   B65B43/26 A
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-229267(P2014-229267)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-88616(P2016-88616A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蛭田 耕一
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−182254(JP,A)
【文献】 特開2014−198589(JP,A)
【文献】 実開平05−081006(JP,U)
【文献】 特開平09−124007(JP,A)
【文献】 特開平07−251810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 67/00−67/12
B65B 43/00−43/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シートおよび第2シートが積層されて切断用ミシン目と底部シールとが交互に設けられ、前記切断用ミシン目にて切り離すと袋になる長尺の袋本体がロール巻きされたロール袋を保持する保持具本体と、
該保持具本体に設けられ、前記袋本体の前記切断用ミシン目に押し当てて、該切断用ミシン目を切り離す切断部と、
前記切断用ミシン目が切り離された前記袋本体の先端部における前記第1シートを押さえる第1押え部材と、
前記切断用ミシン目が切り離された前記袋本体の先端部における前記第2シートを押さえる第2押え部材と、
前記第1押え部材および前記第2押え部材を互いに相対移動可能に支持するため前記保持具本体に設けられ、前記第1押え部材および前記第2押え部材によって前記袋本体を厚さ方向に挟持する状態と、前記第1押え部材および前記第2押え部材の間が前記袋本体の厚さよりも離れた非把持の状態とを形成し、前記挟持する状態では、前記第1押え部材および前記第2押え部材を前記袋本体の厚さ方向に交差する方向において互いに逆方向に相対移動させることができる押え部材保持部と、
を備えており、
前記押え部材保持部は、
前記保持具本体に設けられ、前記第1押え部材および前記第2押え部材のうちの一方を前記挟持する状態の開始時の位置に配置する受け側保持部と、
前記保持具本体に設けられ、前記第1押え部材および前記第2押え部材のうちの他方を前記受け側保持部に配置された前記第1押え部材および前記第2押え部材のうちの一方に向かって進退可能に保持する移動保持部と、
を備え、
前記受け側保持部および前記移動保持部の少なくとも一方は、
前記挟持する状態において、前記移動保持部を進出させる押圧力によって挟持方向に交差する方向にスライド移動するスライド移動機構を
備える、
ロール袋の保持具。
【請求項2】
前記第1押え部材および前記第2押え部材の少なくとも一方は、
少なくとも表面にゴム材料
を備える、請求項1に記載のロール袋の保持具。
【請求項3】
前記第1押え部材および前記第2押え部材は、
前記挟持する状態において、前記ロール袋の巻き出し方向において、前記切断部よりも前記ロール袋側に位置する、
請求項1または2に記載のロール袋の保持具。
【請求項4】
前記スライド移動機構は、
前記移動保持部のみに設けられ、
前記受け側保持部は、
前記非把持の状態において、前記切断部を兼ねる、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のロール袋の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ロール袋の保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーなどの小売店において、商品を収容するポリ袋などの袋が、ロール袋の形態で提供されている。ロール袋は、ロール巻きされた長尺の袋本体からなる。袋本体は、第1シートおよび第2シートが積層されている。袋本体には、切断用ミシン目と底部シールとが交互に設けられている。袋のユーザは、袋本体の端部の切断用ミシン目を切り離すことにより袋を手に入れる。
ロール袋は、切断用ミシン目を切り離す切断部を持つロール袋の保持具によって保持される。
袋本体の第1シートおよび第2シートは、ロール巻きされているために互いに密着している。さらに第1シートおよび第2シートは互いに静電気吸着を起こしている。このため、ユーザは、袋を取り出した後に、袋の端部の第1シートおよび第2シートを引き離して袋の開口を形成するのに苦労していた。
このような課題を解決するため、ロール袋の保持具に粘着材を設けておき、袋の表面に粘着材を接触させてシート同士を引き離しやすくする方法が知られている。
【0003】
袋の表面に粘着材を接触させる方法では、繰り返し使用すると粘着材の粘着力が弱まるため、経時的に安定した性能を維持することができないおそれがある。さらに、ユーザは定期的に粘着材を交換しなければならず、メンテナンスコストが増大するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−131912号公報
【特許文献2】特開2011−178557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ロール袋から取り出す袋を、簡単な操作で容易かつ安定的に開くことができるロール袋の保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のロール袋の保持具は、保持具本体と、切断部と、第1押え部材と、第2押え部材と、押え部材保持部と、持つ。保持具本体は、第1シートおよび第2シートが積層されている。さらに保持具本体は、切断用ミシン目と底部シールとが交互に設けられている。さらに保持具本体は、ロール袋を保持する。ロール袋は、切断用ミシン目にて切り離すと袋になる長尺の袋本体がロール巻きされている。切断部は、保持具本体に設けられている。さらに切断部は、袋本体の切断用ミシン目に押し当てて、切断用ミシン目を切り離す。第1押え部材は、切断用ミシン目が切り離された袋本体の先端部における第1シートを押さえる。第2押え部材は、切断用ミシン目が切り離された袋本体の先端部における第2シートを押さえる。押え部材保持部は、第1押え部材および第2押え部材を互いに相対移動可能に支持するため保持具本体に設けられている。さらに押え部材保持部は、第1押え部材および第2押え部材によって袋本体を厚さ方向に挟持する状態を形成する。さらに押え部材保持部は、第1押え部材および第2押え部材が袋本体の厚さよりも離れた非把持の状態を形成する。押え部材保持部は、挟持する状態では、第1押え部材および第2押え部材を袋本体の厚さ方向に交差する方向において互いに逆方向に相対移動させることができる。押え部材保持部は、保持具本体に設けられた受け側保持部を持つ。受け側保持部は、第1押え部材および第2押え部材のうちの一方を前記挟持する状態の開始時の位置に配置する。さらに、押え部材保持部は、保持具本体に設けられた移動保持部を持つ。移動保持部は、第1押え部材および第2押え部材のうちの他方を受け側保持部に配置された第1押え部材および第2押え部材のうちの一方に向かって進退可能に保持する。受け側保持部および移動保持部の少なくとも一方は、スライド移動機構を持つ。スライド移動機構は、挟持する状態において、移動保持部を進出させる押圧力によって挟持方向に交差する方向にスライド移動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態のロール袋の保持具を示す模式的な斜視図。
図2図1におけるA視の正面図。
図3図1におけるB視の側面図。
図4図3におけるC−C断面図。
図5図4におけるD−D断面図。
図6】第1の実施形態のロール袋の保持具のスライド移動機構の動作説明図。
図7】第1の実施形態のロール袋の保持具の動作説明図。
図8】第1の実施形態のロール袋の保持具の動作説明図。
図9】第1の実施形態のロール袋の保持具の動作説明図。
図10】第1の実施形態のロール袋の保持具の動作説明図。
図11】第2の実施形態のロール袋の保持具を示す模式的な側面図。
図12】実施形態のロール袋の保持具に用いる第1押え部材、第2押え部材の変形例を示す模式的な斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態のロール袋の保持具を、図面を参照して説明する。
すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のロール袋の保持具を説明する。
図1は、第1の実施形態のロール袋の保持具を示す模式的な斜視図である。図2は、図1におけるA視の正面図である。図3は、図1におけるB視の側面図である。図4は、図3におけるC−C断面図である。図5は、図4におけるD−D断面図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の保持具1(ロール袋の保持具)は、ロール袋8を回転可能に保持する。
ロール袋8は、長尺の袋本体7を軸8aにロール巻きして形成されたロール体である。ロール袋8の軸8aは、袋本体7の短手方向の側方に突出している。
袋本体7は、切断用ミシン目7aにより複数の単位袋を接続して構成される。単位袋は、一端が開口し他端が底部となる袋である。
【0011】
袋本体7は、合成樹脂製の第1シート7Aおよび第2シート7Bが剥離可能に積層されている。第1シート7Aおよび第2シート7Bは、袋本体7の短手方向の端部である側端部7cにて接続されている。
以下では、第1シート7Aは、ロール袋8において表面に位置するシートを表す。第2シート7Bは、第1シート7Aの裏面に積層されたシートを表す。
【0012】
本実施形態では、袋本体7は、一例として、筒状の長尺シートを平らに押しつぶして形成している。この場合、側端部7cは、1枚のシートの折り曲げ部で形成されている。
しかし、袋本体7は、2枚の長尺シートからなる第1シート7Aと第2シート7Bとを重ねてから短手方向の両端部を接合して形成してもよい。例えば、側端部7cは、第1シート7Aおよび第2シート7Bを、融着、接着などによって接合することができる。この場合、側端部7cは、2枚の第1シート7Aおよび第2シート7Bの接合部で形成される。
【0013】
袋本体7の長手方向においては、切断用ミシン目7aと底部シール7bとが交互に設けられている。切断用ミシン目7aおよび底部シール7bは、それぞれ袋本体7の短手方向に形成されている。
切断用ミシン目7aは、第1シート7Aおよび第2シート7Bを貫通する切れ目または貫通孔を、短手方向に適宜の間隔をあけて複数形成される。切断用ミシン目7aの切れ目または貫通孔は短手方向に沿う線上に配置されている。
底部シール7bは、第1シート7Aおよび第2シート7Bを、短手方向に沿って連続的な線状に接合した部位である。例えば、底部シール7bの形成方法は、融着、接着などを採用することができる。
切断用ミシン目7aおよび底部シール7bの配置、形状は、直線状には限定されない。ただし、本実施形態では、切断用ミシン目7aおよび底部シール7bの配置、形状は、一例として、互いに平行な直線状である。
【0014】
切断用ミシン目7aと底部シール7bとの間隔は、単位袋の深さに相当する第1の間隔と、第1の間隔よりも狭い第2の間隔とが交替している。第2の間隔は0でもよい。
巻き出し方向において下流側の切断用ミシン目7aと上流側に隣り合う底部シール7bとの間隔は、第1の間隔である。一方、巻き出し方向において下流側の底部シール7bと上流側に隣り合う切断用ミシン目7aとの間の間隔(図1参照)は、第2の間隔である。
ここで、巻き出し方向とは、袋本体7の巻き出し時に、袋本体7上においてロール体から離れていく方向である(図1における矢印O参照)。巻き出し方向において下流側(上流側)とは、巻き出し方向における相対位置であって、ロール体からより離れた(ロール体により近い)方の部位を表す。
【0015】
袋本体7の材質は、適宜の合成樹脂シートを採用することができる。例えば、袋本体7に好適な材質としては、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート等を挙げることができる。
【0016】
保持具1は、ロール袋8を保持する保持具本体2を持つ。
ロール袋8の巻き出し方向および保持姿勢は特に限定されない。
本実施形態では、一例として、ロール袋8の巻き出し方向は水平方向である。ロール袋8の保持姿勢は、軸8aが水平に配置され、かつロール袋8から巻き出された袋本体7の第1シート7Aが上向きとなる姿勢である。
【0017】
保持具本体2は、右側板3R、左側板3L、底板4、およびガイドロッド5を持つ。
図2、3に示すように、保持具1は、さらに、切断部9、支持板11、押え板6、スライド移動機構10A、第1押え部材14A、スライド移動機構10B、および第2押え部材14Bを持つ。
【0018】
図1に示すように、右側板3Rおよび左側板3Lは、互いに平行に配置された平板からなる。右側板3Rおよび左側板3Lは、ロール袋8の軸8aの端部をそれぞれ回転可能に保持する。
右側板3Rおよび左側板3Lにおいて、軸8aを回転可能に保持する保持手段は特に限定されない。例えば、保持手段は、右側板3Rおよび左側板3Lに軸8aを回転可能に支持する穴部、軸受等を採用することができる。
【0019】
右側板3Rおよび左側板3Lの間には、対向方向に沿って延ばされた底板4と、ガイドロッド5がそれぞれ配置されている。
底板4は、長手方向の両端部にて、右側板3Rおよび左側板3Lの下端部と固定されている。
ガイドロッド5は、長手方向の両端部にて、右側板3Rおよび左側板3Lの上端部と固定されている。
【0020】
底板4およびガイドロッド5は、右側板3Rおよび左側板3Lを一定の対向間隔をあけて固定するスパン材として用いられる。
【0021】
さらに、ガイドロッド5は、袋本体7をロール袋8から巻き出す際に、袋本体7の経路を規制するガイド部材を兼ねている。
ガイドロッド5の断面形状は、袋本体7が当接したときに、袋本体7を円滑にガイドできる適宜形状を採用することができる。図3に示すように、本実施形態では、一例として、ガイドロッド5は直径が一定の丸軸である。
本実施形態では、ガイドロッド5は、未使用のロール袋8が右側板3Rおよび左側板3Lに配置されたときに、ロール袋8の頂部よりも低く、軸8aよりも高い位置に固定される。ガイドロッド5は、ロール袋8を使い切る直前のロール袋8の頂部の以下となる位置であることが好ましい。
【0022】
押え板6は、ユーザが上方から押さえる操作を行うことにより、後述するスライド移動機構10Aおよび第1押え部材14Aを介して、ロール袋8から巻き出された袋本体7を上方から押さえる。
図2に示すように、押え板6は、ロール袋8の頂部の上方において、右側板3Rと左側板3Lとの間に渡されている。押え板6は、両端部に折り曲げて形成された突片状の支持部6cにおいて右側板3Rおよび左側板3Lと固定されている。
図3に示すように、押え板6は、支持部6cからロール袋8の巻き出し方向となる水平方向に延ばされている。押え板6の延在方向の先端部は、ガイドロッド5の位置よりもより巻き出し方向に進出している。
【0023】
図1に示すように、押え板6の上から見た形状は、各支持部6cの近傍で最も広幅とされ、延在方向の先端に向うにつれて、中央に縮幅されている。
最も狭い幅となる延在方向の先端部には、図3に示すように、先端に延びるにつれて下方に向かう斜め方向に屈曲された取っ手部6aが形成されている。
押え板6は、支持部6cを固定端とする水平に延ばされた片持ち梁になっている。
押え板6の材質および板厚は、支持部6cを固定端として弾性的にたわみ変形を繰り返すことができる材質および板厚を採用する。例えば、押え板6としては、バネ性に富んだステンレス製の薄板を採用することができる。
【0024】
押え板6において取っ手部6aの基端側には、下方に陥没し、水平面に対して傾いた傾斜面を構成する台状部6bが設けられている。
台状部6bは、先端側(取っ手部6aの方)から基端側(支持部6cの方)に向かうにつれて下方に傾いている。
台状部6bの傾斜角は、後述する第1押え部材14Aを後述する挟持位置に移動した際に、台状部6bが水平になる角度にする。
【0025】
図2、3に示すように、切断部9は、ロール袋8から巻きだした袋本体7の切断用ミシン目7aに押し当てて、切断用ミシン目7aを切り離す部材である。
本実施形態では、切断部9は、棒状部材を屈曲して形成されている。切断部9は、凸状部9a、張り出し部9b、および支持部9c(図2参照)を持つ。
【0026】
凸状部9aは、ガイドロッド5から巻き出し方向に一定距離だけ離して配置されている。図3に示すように、本実施形態では、凸状部9aは、右側板3R、および左側板3L(図3では図示略)よりも巻き出し方向において飛び出している。
凸状部9aは、図2に示すように、巻き出し方向と反対側から見る(正面視)と、上端部に頂部を有する逆V字状の屈曲部である。凸状部9aの正面視形状は、線対称でない逆V字状でもよいが、本実施形態では、二等辺三角形状に屈曲された線対称な逆V字状である。
凸状部9aは、右側板3Rと左側板3Lとの間の略中心(中心の場合を含む)に配置されている。
凸状部9aの頂部は、図3に示すように、ガイドロッド5の下面部と略同じ高さに位置する。このため、ロール袋8からガイドロッド5の下側に当接して水平方向に巻き出された袋本体7は、凸状部9aの頂部に接する位置にある。
【0027】
張り出し部9bは、凸状部9aの下端部からそれぞれ右側板3R、左側板3Lに向かって延ばされてから巻き出し方向と逆方向に延ばされた2つのL字状の形状部分である。
各張り出し部9bにおいて巻き出し方向と反対側に延ばされた各線状部の間には、水平面に沿う平板状の支持板11が架設されている。
【0028】
支持部9cは、各張り出し部9bの巻き出し方向における基端部をそれぞれ、右側板3R、左側板3Lに固定する形状部分である。各支持部9cは、図2に示すように、水平面に沿って延ばされている。
【0029】
以上に述べたように、切断部9は、右側板3Rおよび左側板3Lに両端部が固定された梁状部材である。切断部9の中心部には、支持板11が配置されている。切断部9の中心部には、張り出し部9b、支持部9c、および支持板11よりも上方に突出した凸状部9aが形成されている。
【0030】
図3に示すように、スライド移動機構10Aは、第1押え部材14Aを台状部6bの下方において、台状部6bに対して移動可能に保持する装置部分である。
第1押え部材14Aは、切断用ミシン目7aが切り離された袋本体7の先端部における第1シート7Aを上方から押さえる部材である。
図4に示すように、第1押え部材14Aは、押え面14aと固定面14bとを表裏に持つシート部材である。
【0031】
押え面14aは、第1シート7Aと接触する表面である。本実施形態では、押え面14aは平滑面からなる。ただし、押え面14aの第1シート7Aに対する静止摩擦係数は、第1シート7Aの第2シート7Bに対する静止摩擦係数よりも大きい。
固定面14bは、スライド移動機構10Aに固定される表面である。例えば、固定面14bは、接着剤、粘着剤などを介してスライド移動機構10Aに固定される。
第1押え部材14Aの材料は、上記のような静止摩擦係数を有していれば特に限定されない。第1押え部材14Aに好適な材料としては、適宜のゴム硬度を有するゴム材料を挙げることができる。例えば、第1押え部材14Aに好適なゴム材料の例としては、ゴム硬度がA20〜A50のシリコンゴムを挙げることができる。シリコンゴムは、衛生面で優れるため、食品などを収容する可能性が高い袋に当接する第1押え部材14Aとしても好適である。
【0032】
スライド移動機構10Aは、第1押え部材14Aを、台状部6bの法線に沿って進退移動可能に保持する。さらに、スライド移動機構10Aは、第1押え部材14Aを巻き出し方向に対して直交する方向にスライド移動可能に保持する。
図4、5に示すように、本実施形態のスライド移動機構10Aは、傾斜ガイド部材12、スライド部材13、ケース15、および押えバネ16を持つ。
【0033】
以下では、各部に関する相対位置の説明を簡潔にするため、図中に示すX1方向、X2方向、Y1方向、Y2方向を用いる場合がある。
X1方向は、台状部6bに平行かつ巻き出し方向に直交する軸線に沿う方向であって、右側板3Rから左側板3Lに向かう方向(図4の図示右側から左側に向かう方向)である。
X2方向は、台状部6bに平行かつ巻き出し方向に直交する軸線に沿う方向であって、左側板3Lから右側板3Rに向かう方向(図4の図示左側から右側に向かう方向)である。
Y1方向(Y2方向)は、台状部6bの法線に沿って、台状部6bの下方から台状部6bに対して近づく(遠ざかる)方向である。
【0034】
傾斜ガイド部材12は、台状部6bの下面にねじ17で固定された板状部材である。
傾斜ガイド部材12のX2方向に向く端面12bは、台状部6bに直交する平面である。
傾斜ガイド部材12において、端面12bの裏側には、X1方向に進むにつれてY1方向に進む斜め方向に延びるガイド溝12aが形成されている。ガイド溝12aの延在方向に直交する断面形状は、ガイド溝12aに嵌合する部材が落下しない形状とする。本実施形態では、ガイド溝12aとして、アリ溝を採用している。
傾斜ガイド部材12のX1方向に向く端面12cは、ガイド溝12aの端部からよりX1方向に進んだ位置に形成される。端面12cは、台状部6bに直交する平面である。
【0035】
スライド部材13は、傾斜ガイド部材12のガイド溝12aに沿ってスライド移動する板状部材である。スライド部材13の板厚は、傾斜ガイド部材12の板厚と異なっていてもよい。本実施形態では、図5に示すように、一例として、スライド部材13および傾斜ガイド部材12の板厚は互いに等しい。
スライド部材13は、傾斜ガイド部材12のガイド溝12aにスライド可能に嵌合するガイド突起13aを備える。
【0036】
以下、スライド部材13の形状について、ガイド溝12aにガイド突起13aが嵌合された状態の位置関係に基づいて説明する。
図4に示すように、スライド部材13は、X1方向に向く端面13dと、X2方向に向く端面13cとを持つ。端面13d、13cは、いずれも台状部6bに直交する平面である。端面13d、13cの間の距離は、本実施形態では、傾斜ガイド部材12の端面12b、12cの間の距離に等しい。
ガイド突起13aは、端面13d、13cの間において、Y1方向の端部に形成されている。
スライド部材13は、端面13d、13cの間において、Y2方向に向く平面部13bを持つ。平面部13bは、台状部6bに平行である。
平面部13bの面積は、第1押え部材14Aの固定面14bよりも広い。平面部13bには、外縁部を除く内側の領域に、第1押え部材14Aの固定面14bが固定されている。
【0037】
ケース15は、傾斜ガイド部材12およびスライド部材13を収容する角型の筒状部材である。
ケース15は、矩形状の開口を形成する第1内周面15a、第2内周面15b、第3内周面15c、および第4内周面15dを持つ。
【0038】
第1内周面15aおよび第2内周面15bは、傾斜ガイド部材12およびスライド部材13の板厚と同幅かわずかに大きい幅に形成される。
第1内周面15aは、傾斜ガイド部材12の端面12bと当接する位置に配置される。
第2内周面15bは、第1内周面15aと対向する位置において、傾斜ガイド部材12の端面12cから離間して配置される。
【0039】
第2内周面15bには、スライド部材13の端面13dをX2方向に付勢する押えバネ16が設けられている。スライド部材13は、スライド移動機構10Aの外部から押圧力を受けない状態では、端面13cが第1内周面15aに当接している。
図4には、押えバネ16が板バネからなる場合の例を示している。しかし、押えバネ16は、スライド部材13を付勢できれば、板バネには限定されない。例えば、コイルバネでもよいし、ゴムなどからなる弾性体でもよい。
【0040】
第3内周面15cおよび第4内周面15dは、第1内周面15aおよび第2内周面15bの間に形成される。さらに第3内周面15cおよび第4内周面15dは、図5に示すように、傾斜ガイド部材12およびスライド部材13を板厚方向に挟んで配置される。
【0041】
このような位置関係となるように、台状部6bに配置されたケース15は、適宜の固定手段によって、台状部6bに固定されている。例えば、ケース15の固定手段は、ねじ締結、溶接、カシメ、接着などを挙げることができる。
【0042】
ケース15の開口部に位置するケース先端面15eは、台状部6bと平行である。
ケース先端面15eは、端面13cが第1内周面15aに当接した際に、第1押え部材14Aおよびスライド部材13のY2方向の端部が外部に露出する高さに形成される。ケース先端面15eは、スライド部材13が最もY1方向に移動した場合でも、第1押え部材14Aの押え面14aが外部に露出する位置に形成されることが好ましい。
【0043】
図3に示すように、スライド移動機構10Bは、第2押え部材14Bを支持板11の上方において、支持板11に対して移動可能に保持する装置部分である。
第2押え部材14Bは、切断用ミシン目7aが切り離された袋本体7の先端部における第2シート7Bを下方から押さえる部材である。
第2押え部材14Bは、第1押え部材14Aと異なる形状、材質で構成してもよいが、本実施形態では、第2押え部材14Bは第1押え部材14Aと同様の部材である。
【0044】
スライド移動機構10Bは、第2押え部材14Bを、支持板11の法線に沿って進退移動可能に保持する。さらに、スライド移動機構10Bは、第2押え部材14Bを巻き出し方向に対して直交する方向にスライド移動可能に保持する。
スライド移動機構10Bは、第1押え部材14Aに代えて第2押え部材14Bを備え、台状部6bに代えて支持板11の上面に固定する。スライド移動機構10Bは、これらの点を除いては、スライド移動機構10Aと同様の構成を持つ。ただし、ガイド溝12aおよびガイド突起13aの傾斜方向は、スライド移動機構10Aと同様な方向となるように配置する(図7参照)。
【0045】
次に、保持具1の動作について説明する。
図6は、第1の実施形態のロール袋の保持具のスライド移動機構の動作説明図である。図7、8、9、10は、第1の実施形態のロール袋の保持具の動作説明図である。ただし、図7、8、9、10は、ケース15等の図示が省略された主要部を示す模式的な断面図である。
【0046】
まず、スライド移動機構10A、10Bの動作について説明する。スライド移動機構10A、10Bの動作は同様であるため、スライド移動機構10Aの動作を中心として説明する。
図4に示すように、スライド移動機構10Aのスライド部材13は、押えバネ16によってX2方向に付勢されている。スライド部材13は、第1押え部材14Aを押圧する外力が作用しない自然状態では、端面13cが第1内周面15aと当接している。このため、スライド部材13は、X2方向およびY2方向のそれぞれの移動限度に位置している。スライド部材13に固定された第1押え部材14Aの位置もスライド部材13と同様である。
【0047】
図6に示すように、第1押え部材14Aに対してY1方向の外力が作用するとする。外力は、第1押え部材14Aを介してスライド部材13に作用する。外力のX1方向の分力が押えバネ16の押圧力を上回ると、スライド部材13はガイド溝12aに沿って移動する。
このため、スライド部材13は、ガイド溝12aに沿って、X1方向に向かうとともに、Y1方向に向かって移動する。スライド部材13に固定された第1押え部材14Aの位置もスライド部材13と同様である。
第1押え部材14Aは、最もY1方向に移動した場合でも、ケース先端面15eよりもケース15の外側に露出している。
【0048】
スライド移動機構10Bの動作は、第2押え部材14Bが押圧されると、同様にして、スライド部材13および第2押え部材14Bが、支持板11側に移動する。さらに、スライド移動機構10Bのスライド部材13および第2押え部材14Bは、スライド移動機構10Aの第1押え部材14Aと反対方向に移動する。
【0049】
保持具1は、切断動作と開口動作とを選択的に行うことができる。
切断動作は、切断用ミシン目7aを切り離して、袋本体7から単位袋を取り出す動作である。
開口動作は、切断用ミシン目7aが切り離された袋本体7の巻き出し方向における先端部(以下、単に「袋本体7の端部」と称する場合がある)の第1シート7Aおよび第2シート7Bの間に隙間を形成する動作である。第1シート7Aおよび第2シート7Bの間の隙間は、第1シート7Aおよび第2シート7Bを積層方向に直交する方向にずらすことにより形成する。
【0050】
切断動作は、以下のように行う。
まず、図示略のユーザが、図3に示すように、袋本体7の先端をガイドロッド5の下部から水平方向に巻き出す。
押え板6は、重力以外の外力が作用していないため、水平に延ばされている。したがって、スライド移動機構10Aは、スライド移動機構10Bの上方に位置し、第1押え部材14Aと第2押え部材14Bとは互いに離間している。
このため、ユーザは、袋本体7を水平方向に巻きだして、第1押え部材14Aと第2押え部材14Bとの間を挿通することができる。ユーザは、凸状部9aの頂部の上方に、切り離したい単位袋の底部シール7bに並んだ切断用ミシン目7aを配置する。ユーザは、袋本体7を下方に押し下げて、袋本体7を凸状部9aに押しつける。
凸状部9aの近傍の切断用ミシン目7aの開口部に応力集中が起こる。切断用ミシン目7aは、凸状部9aの近傍から幅方向の両端部に向かって切り離される。
このようにして、ユーザは、袋本体7から単位袋を取り出すことができる。
【0051】
切断動作が行われると、袋本体7の先端部に、切断用ミシン目7aに沿う切り口が形成される。第1シート7Aおよび第2シート7Bは、ロール袋8に巻かれていたときと同様に、互いに隙間なく密着して積層されている。このため、切り口は閉じている。
この状態で、切断動作を行って単位袋を取り出しても、袋として使用するには、切り口を開く必要がある。第1シート7Aおよび第2シート7Bの間には隙間がなく、静電気吸着している可能性も高いため、切り口を開く作業は手間がかかる。
保持具1によれば、以下のように、開口動作を行うことにより、切り口における第1シート7Aおよび第2シート7Bの間を容易に開くことができる。
【0052】
開口動作は、袋本体7の先端部がスライド移動機構10B上に位置していることを確認して始める。
スライド移動機構10Bは、凸状部9aよりもロール袋8側に配置されている。このため、切断動作が行われた直後においては、袋本体7の先端部がスライド移動機構10B上に位置する。
もし袋本体7の先端部がスライド移動機構10B上にない場合は、ユーザが袋本体7の先端部をスライド移動機構10B上に移動する。
【0053】
次に、ユーザは、押え板6の先端部を上方から下方に押し込む。押え板6が下方に押し込まれると、押え板6は弾性変形してたわむ。この結果、スライド移動機構10Aが図示反時計回りに回転するとともに、第1押え部材14Aが第2押え部材14Bの配置位置に近づく。このとき、台状部6bの回転に伴って、第1押え部材14Aが次第に第2押え部材14Bと平行な姿勢になっていく。
すなわち、図7に示すように、第1押え部材14Aが袋本体7をスライド移動機構10Bの第2押え部材14Bの間に挟んだ状態で、第2押え部材14Bに向かって移動する。なお、図7〜10では、見やすくするため、第1シート7Aと第2シート7Bとを厚さ方向に離して図示している。
ユーザが、押え板6をさらに押し込むと、図8に示すように、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bによって、袋本体7を厚さ方向に挟持する状態(以下、把持状態と称する場合がある。)が形成される。これに対して、第1押え部材14Aと第2押え部材14Bとの間が、袋本体7の厚さよりも開いた状態を非把持の状態と称する。袋本体7の厚さは、第1シート7Aの厚さと第2シート7Bの厚さの和である。
【0054】
把持状態から、さらに押え板6を押し込むと、スライド移動機構10A、10Bの各スライド部材13に押圧力が作用する。各スライド部材13はスライド移動を開始する。
すなわち、図9に示すように、台状部6bと支持板11との間隔が狭まる。さらに、スライド移動機構10Aのスライド部材13はX1方向に、スライド移動機構10Bのスライド部材13はX1方向とは逆方向のX2方向に、それぞれ移動する。
【0055】
このとき、第1押え部材14Aの押え面14aの第1シート7Aに対する摩擦係数は、第1シート7Aの第2シート7Bに対する摩擦係数よりも大きい。さらに、第2押え部材14Bの押え面14aの第2シート7Bに対する摩擦係数は、第2シート7Bの第1シート7Aに対する摩擦係数よりも大きい。
したがって、第1押え部材14Aと第2押え部材14Bとの間では、第1シート7Aと第2シート7Bとが互いに相対移動して滑る。
第1シート7Aは、第1押え部材14Aとの当接部において第1押え部材14Aとともに移動する。第2シート7Bは、第2押え部材14Bの当接部位において第2押え部材14Bとともに移動する。
この結果、第1押え部材14Aの移動方向の先端に第1シート7Aが上方に盛り上がる。そして、第1シート7Aには、第2シート7Bから離間したしわrAが形成される。さらに、第2押え部材14Bの移動方向の先端に第2シート7Bが下方に盛り上がる。そして、第2シート7Bには、第1シート7Aから離間したしわrBが形成される。
【0056】
しわrA、rBが形成されたら、ユーザは、押え板6から手を離して押し込みをやめる。押え板6は、弾性復元力によって水平に戻る。この結果、第1押え部材14A、第2押え部材14Bによる非把持の状態が形成される。
例えば、図10に示すように、第1押え部材14Aが上方に引き上げられると、スライド移動機構10A、10Bにおいて、それぞれスライド部材13がX2方向、X1方向に移動して、把持状態の開始前の位置に戻る。
例えば、第1押え部材14A(第2押え部材14B)は、ゴム硬度がA20〜A50のシリコンゴムのような軟質の弾性部材を用いることができる。この場合、第1押え部材14A(第2押え部材14B)は、第1シート7A(第2シート7B)と密着しやすい。このため、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bとともに、当接部位における第1シート7Aも移動する。しわrA、rBが解消されるとともに、第1シート7Aと第2シート7Bとの間に隙間が形成される。
以上で、開口動作が終了する。
【0057】
ユーザは、この後、切断動作を行うことで、切り口に隙間が形成された単位袋を取り出すことができる。この場合、隙間の部分から極めて容易に切り口を開くことができる。
【0058】
なお、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bの各押え面14aは、経時使用に伴うほこりの付着などによって、密着性が低減する場合もある。
この場合には、非把持の状態で、第1押え部材14Aと第2押え部材14Bとが対向する位置に隙間が形成されない可能性もある。
しかし、この場合には、しわrA、rBが残るため、第1シート7Aと第2シート7Bとの間に空気層が侵入しやすくなっている。さらに、しわrAとしわrBとの間の積層部分は、滑り移動を起こしているため、切り口から微量ながら空気が進入する。このため、第1シート7Aと第2シート7Bとの間には、移動前の強固な密着性、吸着性が失われている。
このため、ユーザは、しわrA、rBの部分、あるいは、しわrA、rBの間の積層部分を手で開くことにより、極めて容易に切り口を開くことができる。
【0059】
以上に説明したように、保持具1において、押え板6、スライド移動機構10A、切断部9、支持板11、およびスライド移動機構10Bは、押え部材保持部を構成している。
押え部材保持部は、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bを互いに相対移動可能に支持するため保持具本体2に設けられている。
さらに、押え部材保持部は、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bによって袋本体7を厚さ方向に挟持する状態と、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bの間が袋本体7の厚さよりも離れた非把持の状態とを形成する。
さらに、押え部部材保持部は、挟持する状態では、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bを袋本体7の厚さ方向に交差する方向において互いに逆方向に相対移動させることができる。
【0060】
このような構成の保持具1によれば、押え板6を押し込んで、袋本体7の先端部を挟持させるという簡単な動作で、切り口の第1シート7A、第2シート7Bを滑り移動させることができる。このように第1シート7A、第2シート7Bが滑り移動すると、切り口があけやすくなる。この結果、ロール袋8から取り出す袋を、簡単な操作で容易かつ安定的に開くことができる。
【0061】
図1〜3に示すように、押え部材保持部のうち、切断部9、支持板11、およびスライド移動機構10Bは、受け側保持部18Bを構成している。
受け側保持部18Bは、保持具本体2に設けられ、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bのうちの一方を把持状態の開始時の位置に配置する。
本実施形態における受け側保持部18Bは、特に、第2押え部材14Bを把持状態の開始時の位置に配置する場合の例になっている。
【0062】
押え部材保持部のうち、押え板6、およびスライド移動機構10Aは、移動保持部18Aを構成している。
移動保持部18Aは、保持具本体2に設けられ、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bのうちの他方を受け側保持部18Bに配置された第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bのうちの一方に向かって進退可能に保持する。
本実施形態における移動保持部18Aは、特に、第1押え部材14Aを進退可能に保持する場合の例になっている。
【0063】
スライド移動機構10A、10Bは、挟持する状態において、移動保持部18Aを進出させる押圧力によって挟持方向に交差する方向にスライド移動する。
【0064】
(第2の実施形態)
第2の実施形態のロール袋の保持具を説明する。
図11は、第2の実施形態のロール袋の保持具を示す模式的な側面図である。
【0065】
図11に示すように、本実施形態の保持具21(ロール袋の保持具)は、上記第1の実施形態の保持具1の受け側保持部18Bに代えて、受け側保持部28Bを持つ。
受け側保持部28Bは、上記第1の実施形態におけるスライド移動機構10Bに代えて、保持台20Bを持つ。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0066】
保持台20Bは、支持板11に固定され、第2押え部材14Bを支持板11上の一定位置に保持する部材である。
保持台20Bが第2押え部材14Bを保持する一定位置は、上記第1の実施形態におけるスライド移動機構10BがY2方向に押圧されていない場合と同様の位置である。
【0067】
本実施形態において、移動保持部18Aと受け側保持部28Bとは、押え部材保持部を構成する。本実施形態では、スライド移動機構が、移動保持部18Aのみに設けられている場合の例になっている。
【0068】
保持具21によれば、上記第1の実施形態の保持具1とまったく同様に切断動作を行うことができる。
一方、本実施形態における開口動作は、把持状態にて、第2押え部材14Bに対して第1押え部材14Aのみが移動する点が、上記第1の実施形態における開口動作と相違する。
本実施形態の開口動作では、押え板6を把持状態からさらに押し込むと、スライド移動機構10Aに固定された第1押え部材14AがY1方向およびX1方向に移動する。第2押え部材14Bは、保持台20B上に固定されており移動しない。
このため、把持状態で押え板6を上記第1の実施形態と同量だけ押し込むと、第1シート7Aと第2シート7Bとの積層方向に直交する方向の相対移動量は半分になる。しわrA、rBの大きさも第1の実施形態よりは小さくなる。
しかし、本実施形態でも、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bの当接部位の全体で、第1シート7Aと第2シート7Bとの滑りが生じているため、上記第1の実施形態と略同様の範囲で、切り口が開きやすくなっている。
【0069】
なお、上記各実施形態のロール袋の保持具に用いる第1押え部材、第2押え部材は、種々の変形が可能である。
図12(a)、(b)、(c)、(d)は、実施形態のロール袋の保持具に用いる第1押え部材、第2押え部材の変形例を示す模式的な斜視図である。
【0070】
例えば、上記各実施形態の保持具において、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bの少なくとも一方を、図12(a)に示す押え部材24(第1押え部材、第2押え部材)に置き換えることができる。
押え部材24は、上記各実施形態の第1押え部材14Aの押え面14aに代えて、凸状押え面24aを持つ。
凸状押え面24aは、固定面14bからの距離が、長手方向の両端部から中心部に向かって漸次増大する山形形状に形成される。
【0071】
押え部材24を用いる場合、把持状態の開始時には、凸状押え面24aの頂部が第1シート7Aまたは第2シート7Bに当接する。開口動作において、押え板6がさらに押し込まれると、押え部材24の長手方向の両端部に向かって、漸次、当接部分が広がる。
押え部材24によれば、第1シート7Aまたは第2シート7Bに対して凸状押え面24aが変形して長手方向の中間部から確実に当接していく。このため、凸状押え面24aが、第1シート7Aまたは第2シート7Bに対して良好に密着する。
また、把持状態から非把持の状態に移行する際に、第1シート7Aまたは第2シート7Bが凸状押え面24aから剥がれやすくなる。このため、ユーザが、切断動作を行うために、袋本体7の先端を押え部材24から剥がす作業が軽減される。
【0072】
例えば、上記各実施形態の保持具において、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bの少なくとも一方を、図12(b)に示す押え部材34(第1押え部材、第2押え部材)に置き換えることができる。
押え部材34は、上記各実施形態の第1押え部材14Aの押え面14aの長手方向の中心部に、短手方向に延びる突条部34cを持つ。
突条部34cの延在方向に直交する断面は、半円形である。
【0073】
押え部材34を用いる場合、把持状態の開始時には、突条部34cの頂部が第1シート7Aまたは第2シート7Bに当接する。開口動作において、押え板6がさらに押し込まれると、突条部34cが圧縮された後、当接部分が押え面14aに広がる。
押え部材34によれば、第1シート7Aまたは第2シート7Bを、突条部34cの領域に集中して強固に押圧することができる。このため、第1シート7Aまたは第2シート7Bに対する摩擦力を向上することができる。
また、把持状態から非把持の状態に移行する際に、第1シート7Aまたは第2シート7Bが押え面14aから剥がれやすくなる。このため、ユーザが、切断動作を行うために、袋本体7の先端を押え部材24から剥がす作業が軽減される。
【0074】
例えば、上記各実施形態の保持具において、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bの少なくとも一方を、図12(c)に示す押え部材44(第1押え部材、第2押え部材)に置き換えることができる。
押え部材44は、上記各実施形態の第1押え部材14Aの押え面14a上に、鋸歯状断面が短手方向に延ばされた凹凸面44cを持つ。凹凸面44cは、第1面44dと第2面44eとを持つ。押え面14aの法線に対する第1面44dの傾斜は、押え面14aの法線に対する第2面44eの傾斜よりも小さい。
【0075】
押え部材44を用いる場合、第1シート7Aまたは第2シート7Bに対する相対移動方向に、凹凸面44cの第1面44dを向けて配置する。このように配置すると、第1シート7Aまたは第2シート7Bに対する相対移動に抵抗する摩擦力を効率的に向上することができる。このため、押え板6を押し込む力が小さくても、第1シート7Aまたは第2シート7Bに対する摩擦力を効率よく発生させることができる。この結果、開口動作における第1シート7Aおよび第2シート7Bの間の相対移動が容易となる。
【0076】
例えば、上記各実施形態の保持具において、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bの少なくとも一方を、図12(d)に示す押え部材54(第1押え部材、第2押え部材)に置き換えることができる。
押え部材54は、上記各実施形態の第1押え部材14Aの押え面14a上に、半球状の突起部54cを多数持つ。
【0077】
押え部材54を用いる場合、把持状態の開始時には、突起部54cの頂部が第1シート7Aまたは第2シート7Bに当接する。開口動作において、押え板6がさらに押し込まれると、各突起部54cが圧縮された後、当接部分が押え面14aに広がる。
押え部材54によれば、2次元的に分布する多数の突起部54cが、第1シート7Aまたは第2シート7Bに押圧されることで、第1シート7Aまたは第2シート7Bに対する摩擦力を向上することができる。
【0078】
上記各実施形態では、第2押え部材14Bを保持するスライド移動機構10Bまたは保持台20Bが、支持板11に固定されている。また、第1押え部材14Aを保持するスライド移動機構10Aが押え板6によって、第2押え部材14Bに向かって進退移動可能に支持されている。
このような第1押え部材14A、第2押え部材14Bの保持形態は、逆にすることも可能である。
さらに、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bが互いに進退移動可能に支持されていてもよい。この場合、第1押え部材14Aの移動手段と、第2押え部材14Bの移動手段とは、例えば、リンクなどによって連動することが好ましい。さらに、第1押え部材14Aの移動手段と、第2押え部材14Bの移動手段との移動動作は、1つの操作部によって連動することが好ましい。
【0079】
上記各実施形態の説明では、スライド移動機構によって、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bが、巻き出し方向に直交する方向でスライド移動する場合の例で説明した。しかし、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bのスライド移動の方向は、互いに同方向でなければ、厚さ方向に直交する適宜の方向を採用することができる。
【0080】
上記各実施形態の説明では、ロール袋8と、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bと、凸状部9aと、が巻き出し方向に沿ってこの順に配置される場合の例で説明した。このような配置とすれば、切断動作直後に、袋本体7の先端部が第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bの間に位置するため好ましい。
しかし、切断動作と開口動作とは、独立に行われるため、この配置は必須ではない。
例えば、ロール袋8と、凸状部9aと、第1押え部材14Aおよび第2押え部材14Bと、が巻き出し方向に沿ってこの順に配置されてもよい。
【0081】
上記各実施形態の説明では、凸状部9aをスライド移動機構10B、保持台20Bと別部材で構成した場合の例で説明した。
しかし、凸状部9aは、スライド移動機構10Bのケース15、スライド移動機構10Bの傾斜ガイド部材12などと一体に設けられていてもよい。
【0082】
上記各実施形態の説明では、移動保持部が片持ち梁を構成する押え板6によって構成された場合の例で説明した。しかし、移動保持部の進退移動の手段は、このような構成には限定されない。例えば、支持部6cと同様な位置を回動支点とする回動機構でもよい。
また、進退移動は、梁のたわみ移動や回動には限定されない。例えば、直線上を移動する進退移動でもよい。
【0083】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、保持具本体、切断部、第1押え部材、第2押え部材、および押え部材保持部を持つことにより、ロール袋から取り出す袋を、簡単な操作で容易かつ安定的に開くことができる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
1、21…保持具(ロール袋の保持具),2…保持具本体,6…押え板,7…袋本体,7a…切断用ミシン目,7b…底部シール,7A…第1シート,7B…第2シート,8…ロール袋,9…切断部,10A、10B…スライド移動機構,11…支持板,12…傾斜ガイド部材,13…スライド部材,14A…第1押え部材,14B…第2押え部材,18A…移動保持部(押え部材保持部),18B、28B…受け側保持部(押え部材保持部),20B…保持台,24、34、44、54…押え部材(第1押え部材、第2押え部材),24a…凸状押え面,34c…突条部,44c…凹凸面,54c…突起部,rA、rB…しわ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12