(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置データを使用して判定される所定の遷移時間又は所定の遷移時間の各々に対して、前記装置が前記交通制御信号を通過した時間を示すデータ及び前記装置が前記交通制御信号を通過するために待機状態から加速し始めた位置を示すデータを前記装置又は前記装置の各々に対して判定するために1つ以上の装置に関する位置データを使用することと、前記交通制御信号の遷移が発生した前記所定の時間を示すデータを判定するために前記判定されたデータを使用することとを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
前記装置が前記待機状態から加速し始めた位置における前記交通制御信号の場所からの前記装置の距離を示すデータを判定することと、前記交通制御信号の遷移が発生した時間を示すデータを判定するために前記装置が前記交通制御信号を通過した時間を示すデータと共に前記距離を使用することとを含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
前記交通制御信号のサイクル時間を示すデータを判定するために前記判定された遷移時間データを使用することを更に含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
前記サイクル時間の改善された判定を提供するために、前記判定された遷移時間データ及び近似サイクル時間又はサイクル時間の範囲を使用することを更に含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
前記交通制御信号の相間の遷移が発生した複数の時間を判定するために前記位置データを使用することを備え、前記交通制御信号のサイクル時間を前記判定するステップは、過去の遷移時間の異なる対の間の時間差を判定することと、各時間差を使用して前記サイクル時間を判定することとを含むことを特徴とする請求項7、8又は9記載の方法。
推奨速度を運転者又はADASに提供することと、信号における予想待機時間に関する情報を提供することと、前記交通制御信号を通過することを含むパスに沿う推定移動時間を判定することとのうちの1つ以上を実行するために、前記予測された遷移時間又は前記予測された遷移時間の各々を使用することを更に含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によると、交通制御信号の動作に関する情報を判定する方法であって、
交通制御信号の相間の遷移が発生した1つ以上の時間を示すデータを判定するために、交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する1つ以上の装置の移動に関する位置データを使用することと、
交通制御信号の相間の未来の遷移が発生すると予想される1つ以上の時間を予測するために、判定遷移時間データを使用することとを備える方法が提供される。
【0006】
従って、本発明によると、交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する1つ以上の装置及び好ましくは複数の装置の移動に関する位置データは、交通信号の相(フェーズ)間の遷移が発生した少なくとも1つの時間(「遷移時間」)を示すデータを判定するために使用される。「プローブデータ」としても既知であるこの位置データは、一般に、それぞれの車両と関連付けられた装置の移動に関するデータである。交通制御信号の遷移時間に関する情報を取得するためにそのような位置データを使用することにより、データを取得するために固定のインフラストラクチャに依存する必要性がなくなる。従って、本発明により、より柔軟に、且つより多くの交通制御信号に関連して交通制御信号を変更したりあるいはデータを収集するためにセンサ等を設置する必要なく、遷移時間情報を取得できる。本明細書において「位置データ」を参照することは、時間に対する1つ以上の装置の移動に関する位置データを参照することであると理解されるべきである。本発明によると、判定遷移時間データは、交通制御信号の1つ又は複数の未来の遷移時間を予測するために使用される。
【0007】
時間に対する1つ以上の装置の移動に関する位置データは、交通制御信号による制御を受けやすいパスをたどる車両等の装置の実際の移動を反映するため、そのデータを使用する結果、交通制御信号の動作をより正確に判定できることが理解されるだろう。従って、交通制御信号の予想動作に関する第三者又は他の情報源から取得された情報とは対照的に、本発明に従って取得された遷移時間情報は、交通制御信号の近傍の装置が移動する際の信号の影響を間接的に考慮して判定されるため、交通制御信号の実際の動作に基づいている。従って、取得された情報は、例えば交通制御信号の整相又はサイクルのタイミングを制御するクロックが不正確であるために発生する恐れのある誤差を受けにくい。
【0008】
交通制御信号の1つ又は複数の遷移時間を含む交通制御信号の動作に関する情報を推測するために、交通制御信号により制御されたパスに沿う1つ又は複数の装置の移動に関するデータが使用されることは、出願人により分かっている。以下において更に詳細に説明するように、交通制御信号の停止相及び進行相により、交通制御信号の場所に接近し且つ通過するパスに沿う交通の流れの速度において対応するパターンが得られる。そのパターンは、交通制御信号の動作に関する情報を提供するために解析され、未来の遷移時間の予測を可能にする。
【0009】
本発明は、交通制御信号の動作に関する情報を判定するシステムにも適用される。従って、本発明の更なる一態様によると、交通制御信号の動作に関する情報を判定するサーバであってもよいシステムであって、
交通制御信号の相間の遷移が発生した1つ以上の時間を示す遷移時間データを判定するために、交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する1つ以上の装置の移動に関する位置データを使用する手段と、
交通制御信号の相間の未来の遷移が発生すると予想される1つ以上の時間を予測するために、判定遷移時間データを使用する手段とを備えるシステムが提供される。
【0010】
この更なる態様における本発明は、本発明の第1の態様に関連して説明した特徴のいずれか又は全てが互いに一致するような程度まで、それらを含んでも含まなくてもよい。従って、明示的な指定のない限り、本発明のシステムは、説明する方法のステップのいずれかを実行する手段を備える。
【0011】
方法のステップのいずれかを実行する手段は、そのように実行するように構成、例えばプログラミングされた1つ以上のプロセッサの集合を含む。所定のステップは、他のあらゆるステップに対して同一の又は異なるプロセッサの集合を使用して実行される。あらゆる所定のステップは、プロセッサの集合の組合せを使用して実行される。システムは、例えば1つ以上の判定遷移時間及び/又は1つ以上の予測遷移時間を示すデータを格納するコンピュータメモリ等のデータ格納手段を更に備える。
【0012】
本発明の方法は、好適な実施形態においてサーバにより実現される。従って、実施形態において、本発明のシステムは、説明する種々のステップを実行する手段を備えるサーバを備え、本明細書において説明する方法ステップは、サーバにより実行される。
【0013】
態様又は実施形態のいずれかにおける本発明によると、交通制御信号は、例えば交差点において1つ以上のナビゲート可能区分の少なくとも一部を含むパスに沿う異なる車両の移動を制御するように動作する交通制御信号である。交通制御信号は、あらゆる自動化交通制御信号であってもよい。交通制御信号は交通信号であることが好ましい。交通制御信号は、交差点に配置されることが好ましい。交差点は、競合する交通の移動がある交差点である。交差点は、円形交差点、横断歩道又はあらゆる種類の交差点であってもよい。交通制御信号は、交差点に配置された複数の交通制御信号のうちの1つである。
【0014】
本明細書において使用されるように、交通制御信号の遷移時間は、交通制御信号の異なる相間の遷移が発生する時間を示す。理解されるように、位置データに基づいて遷移時間データが判定される遷移は、既に発生している遷移、すなわち過去の遷移である。次に、1つ又は複数の未来の予測遷移時間を示すデータを取得するために、1つ以上の過去の遷移時間が使用される。
【0015】
交通制御信号は、異なる相を含む所定の繰り返しサイクルに従って動作する。従って、その間で遷移が発生する相は、交通制御信号のサイクルの相である。交通制御信号の所定のサイクルは、信号が遷移する交通制御信号の異なる相の完全集合を含むサイクルである。交通制御信号は、「サイクル長」を有する自動化交通制御信号サイクルに従って異なる相間を遷移する。従って、サイクル長は、交通制御信号の相の完全シーケンスにより規定される。交通制御信号の相のシーケンスは、後続のサイクルで繰り返される。実際には、所定の交通制御信号のサイクル長は時間に依存する。例えばサイクル長は、1日の間に変動する。交通制御信号は、異なる期間、例えば24時間周期内、異なる曜日(例えば、週末対平日)、特定の日のピーク時間及び非ピーク時間等における1つ以上の異なるサイクル長に従って動作するように更に制御される。
【0016】
本発明によると、方法は、交通制御信号の1つ以上の遷移時間に関する情報又はデータを判定することと、1つ又は複数の未来の遷移時間を予測するためにデータを使用することとを備える。判定遷移時間情報は、遷移時間又は各遷移時間の推定値である。判定遷移時間及び/又は予測遷移時間は、例えばサイクル時間に関連してある特定の仮定に基づいている。例えばサイクル時間は、1時間又はある特定の時間数等の所定の期間にわたり一定であると仮定される。いくつかの実施形態において、サイクル時間は、1日の同一の時間及び同一の曜日の対応する時間スロットに対して一定であるとみなされる。相パターン及び所定のサイクル内の持続時間は少なくとも所定の期間にわたり一定であるという別の仮定が立てられる。例えば、起動されるオンデマンド歩行者横断相は、遷移時間の判定及び/又は未来の遷移時間の予測のために無視される。遷移時間データは、以下において更に詳細に説明するように、「実」データに基づいて判定されることが好ましいため、過去の遷移時間データを判定する際のサイクル時間のあらゆる変化の影響は最小限になる。
【0017】
交通制御信号が交通信号である好適な実施形態において、相は、交通信号の赤相及び青相を含み、判定遷移時間データは、赤相と青相との間の遷移、最も好ましくは信号の赤相から青相への遷移が発生する時間を示す。当然、交通制御信号サイクルは、1つ以上の更なる相を含んでもよく、一般的にはそれらを含む。実施形態において、交通制御信号サイクルは黄相を更に含む。本発明に従って位置データを使用して判定される遷移時間に対する遷移は、交通制御信号の異なる相のいずれかの相間の遷移であるが、好ましくは赤相と青相との間の遷移、最も好ましくは赤相から青相への遷移である。そのような遷移は、本明細書において説明するように位置データに基づいてより簡単に判定される。当然、交通制御信号は、色以外に関する相の指示を提供してもよい。例えば相は、1つ以上の記号により示される。そのような構成は、例えばトラム、電車等の公共輸送車両の移動を制御する交通制御信号と関連して使用される。従って、一般に、遷移時間データが発生すると判定される相は、制御されているパスに対する停止相及び進行相である。
【0018】
複数の遷移時間を示すデータ、すなわち相間の信号の遷移が発生した複数の異なる時間を示すデータが位置データを使用して取得される場合、時間は、信号の対応する遷移、すなわち同一の相間の所定の遷移に関するものであることが好ましい。同様に、予測される未来の遷移又は未来の各遷移は、遷移時間データが判定される遷移に対応する遷移であることが好ましい。これにより、より単純なシステムが提供され、判定遷移時間データに基づく未来の遷移時間の予測が容易になる。
【0019】
方法は、位置データを取得、例えば受信するステップにも適用される。従って、方法は、交通制御信号の場所を含む地域における複数の装置の移動に関する位置データを取得することと、位置データをフィルタリングして交通制御信号の制御を受けやすいパスに沿う1つ以上の装置の移動に関する位置データを取得することとを備える。これは、交通制御信号の既知の場所を参照して行われる。地域はあらゆる範囲であってもよい。領域は、デジタル地図の領域であってもよい。
【0020】
本明細書において参照されるようなデジタル地図は、ナビゲート可能区分を示す複数の区分により接続された複数のノードを含む。例示的な実施形態は道路網の道路区分を参照するが、本発明は、パス、川、運河、自転車道路、引き船道又は鉄道線路等の区分を含むあらゆる形態のナビゲート可能区分に適用可能であることが理解されるだろう。参照しやすくするために、一般にこれらを道路網の道路区分と呼ぶ。
【0021】
いくつかの構成において、データを受信するステップは、データ、すなわち事前に受信及び格納されたデータにアクセスすることを含む。実位置データの場合、データは、使用される直前に格納されるために依然として実データであると考えられることが理解されるだろう。データを受信するステップが装置からデータを受信することを含む構成において、方法は、本発明の他のステップを実行するために進む前に受信した位置データを格納することと、選択的にデータをフィルタリングすることとを更に備えることが想定される。位置データを受信するステップは、方法の1つ又は複数の他のステップと同時に又は同一の位置で行われる必要はない。
【0022】
本発明に従って使用される位置データは、1つ以上、好ましくは多数の装置から収集され、時間に対する装置の移動に関する。従って、装置は移動装置である。位置データの少なくとも一部は、タイムスタンプ等の時間データと関連付けられることが理解されるだろう。しかし、本発明の目的のために、全ての位置データは、本発明に従って交通制御信号に関する情報を提供するために使用されるならば、時間データと関連付けられる必要はない。しかし、好適な実施形態において、全ての位置データは、タイムスタンプ等の時間データと関連付けられる。
【0023】
位置データは、時間に対する装置又は各装置の移動に関し、装置が走行したパスの位置「トレース」を提供するために使用される。上述したように、データは、装置から受信されるか、あるいは最初に格納される。装置は、本発明の目的のために位置データ及び十分な関連付けられたタイミングデータを提供できるあらゆる移動装置であってもよい。装置は、位置判定機能を有するあらゆる装置であってもよい。例えば装置は、GSM装置等のWiFiアクセスポイント又はセルラ通信ネットワークから情報にアクセスし且つ情報を受信し、且つ場所を判定するためにこの情報を受信する手段を備える。しかし、好適な実施形態において、装置は、衛星信号表示特定の時点の受信機の位置を受信し、且つ定期的な間隔で更新された位置情報を受信することが好ましいGPS受信機等のグローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)受信機を備える。そのような装置は、ナビゲーション装置、位置決め機能、位置センサ等を有する移動遠隔通信装置を備える。装置は車両と関連付けられる。これらの実施形態において、装置の位置は車両の位置に対応する。装置は、車両と一体化されてもよく、あるいはポータブルナビゲーション装置等の車両と関連付けられた独立した装置であってもよい。当然、位置データは、異なる装置の組合せ又は単一の種類の装置から取得されてもよい。
【0024】
一般に、複数の装置から取得された位置データは、「プローブデータ」として知られている。車両と関連付けられた装置から取得されたデータを車両プローブデータと呼ぶ。従って、本明細書において「プローブデータ」を参照することは、「位置データ」という用語と交換可能であるものとして理解されるべきであり、簡略化するために、本明細書において位置データをプローブデータと呼ぶ。
【0025】
本発明の方法は、信号に対する1つ以上の遷移時間を示すデータを判定するために交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する1つ以上の装置の移動に関する位置データを使用することを備える。好適な実施形態において、複数の装置の移動に関するデータが使用される。データは、装置又は各装置に対する時間との位置のそれぞれのトレースの形態である。当然、遷移が発生した複数の時間を示すデータが判定される好適な実施形態において、複数の装置からの位置データは複数の遷移時間を判定するために使用されるが、所定の遷移時間の各々は1つ以上の装置からのデータに基づいて判定される。
【0026】
本発明の方法は、交通信号の1つ以上の遷移時間に関する情報を判定するために、交通制御信号による制御を受けやすいパスに沿う時間に対する1つ以上の装置の移動に関する「実」位置データを使用することを備えることが好ましい。実データは、相対的に最新のものであり且つ交通制御信号の相対的に最新の動作の指示を提供するデータであるとみなされる。一般に実データは、現在から30分、15分、10分又は5分以内の交通制御信号により制御されたパス上の状況に関する。交通制御信号の遷移時間を判定する際に実位置データを使用することにより、判定される情報は、現在適用可能であり、且つ将来、少なくともより短期的に、例えばサイクル時間の変化があるまで適用可能であると仮定される。従って、情報は、交通制御信号の未来の遷移時間を確実に予測するために使用される。実データを使用することにより、実際の状況をより正確に反映するサイクル時間及び/又は相持続時間、並びに/あるいはサイクル内の相遷移パターンを仮定することも可能になる。例えば、実データが特定の遷移時間を示す場合、この遷移時間が将来短期的に適用可能であること、すなわちサイクル時間及び/又は相成分が一定のままであることがより簡単に仮定される。実位置データを使用することにより、交通制御信号が所定のタイミングに従って動作しない場合、例えば信号が現在の交通状況に少なくとも部分的に応答する場合でも、本発明は遷移時間情報を判定する機能を提供する。実データの寿命は、適宜選択され、例えば信号のサイクル時間が一定であると仮定される期間等を考慮する。
【0027】
いくつかの好適な実施形態において、「履歴」位置データは「実」データと共に使用される。この文脈において、「履歴」という単語は、実データでないデータ、すなわち状況、すなわち現在時刻又は少し前(おそらく、大よそ現在から5分、10分、15分又は30分以内)に交通制御信号により制御されたパス上の状況を直接反映しないデータを示すものとして考えられるべきである。履歴位置データは、一般に長期間、例えば何週間又は何か月にわたり複数の異なる移動装置から収集された位置データを含むため、集約位置データとも呼ばれる。従って、履歴位置データは、長期間にわたり道路網の部分で車両の挙動(例えば、1日の種々の異なる時間における道路に沿う移動の平均速度)の繰り返しパターンを解析するのに有用であるのに対し、実位置データは、上述したように、車両のより過渡的な挙動を検出する(例えば、道路上での交通渋滞の発生又は交通の流れに影響を及ぼす同様の事象を識別する)のに有用である。
【0028】
本発明の方法は、上述したように、所定の遷移時間を示すデータを判定するために、交通制御信号の場所に接近する交通制御信号により制御されたパスの少なくとも一部に沿う時間に対する1つ以上の装置の移動に関する位置データを使用するステップを備える。方法は、交通制御信号の場所を通過し且つ選択的にその場所を越えるパスの一部に沿う1つ以上の装置の移動に関する位置データを使用することを備える。位置データは、例えば交通制御信号が配置される交差点を介して交通制御信号による制御を受けやすい特定のパスをたどる1つ以上の装置の移動に関する位置データであることが好ましい。例えば、交通制御信号は、例えば信号を通して主要パス及びフィルタレーンパスに対応する直進パス及び右折パスを制御する相を含み、考慮される装置毎の位置データが信号の動作の同一のモードに関するため、交通制御信号を過ぎた特定のパスに関する位置データを選択することにより、より正確な結論が導き出される。いくつかの実施形態において、方法は、所定の地域における時間に対する複数の装置の移動に関する位置データをフィルタリングして、交通制御信号による制御を受けやすい同一の特定のパスをたどる1つ以上、好ましくは複数の装置の移動に関するデータを取得することを備える。
【0029】
交通制御信号による制御を受けやすいパスに沿う1つ又は複数の装置の移動に関する適切な位置データは、交通制御信号の場所を考慮して取得されることが理解されるだろう。交通制御信号の場所は、認識されており、例えばデジタル地図データに格納される。方法は、例えば交通制御信号の場所を含む地域における複数の装置の移動に関する位置データから交通制御信号による制御を受けやすいパスに沿って移動する1つ以上の装置に関する位置データを選択するために、交通制御信号の場所を示すデジタル地図データを使用することを備える。いくつかの実施形態において、パスは、交通制御信号の場所に接近する1つ以上のナビゲート可能区分の少なくとも一部を含み、方法は、1つ又は複数のそのようなナビゲート可能区分を識別するステップと、交通制御信号の場所に接近する区分の少なくとも一部に沿う1つ以上の装置の移動に関する位置データを取得するステップとを備える。ナビゲート可能区分及び交通制御信号の場所の双方は、デジタル地図データにおいて規定される。ナビゲート可能区分は道路区分である。交通制御信号の場所は、あらゆる適切な参照点であってもよいが、好適な実施形態においては交通制御信号と関連付けられた停止線の場所を示す。
【0030】
いくつかの実施形態において、方法は、装置が交通制御信号を通過した時間及び装置が交通制御信号を通過するために待機状態から加速し始めた点のいずれか一方、好ましくは双方を示す装置毎のデータを判定するために、1つ以上の装置に関する位置データを使用することを備える。方法は、交通制御信号の所定の過去の遷移に対する遷移時間データを判定する際に判定データを使用することを備える。装置が待機状態から加速し始めた点は、時点又はより好ましくは空間点、すなわち位置である。位置は、絶対位置又は交通制御信号の場所に対する位置である。好適な実施形態において、待機状態は、装置が静止した位置である。従って、待機状態は静止状態であることが好ましい。装置が待機状態から加速し始めた位置は、装置が移動状態に遷移した位置である。他の構成において、待機状態は、装置が非ゼロ速度を有した状態、例えば車両が完全に静止するのを避けるために待機速度に減速したか、あるいは信号の相遷移が発生する前に完全な一時停止まで減速しなかった状態であることが理解されるだろう。装置が待機状態から加速し始めた点は、装置が信号を通過する前に最後に加速し始めた点、好ましくは装置が信号を通過する前に静止位置から最後に移動し始める点である。適切な点は、装置の位置データ(又はトレース)から容易に識別される。
【0031】
好適な実施形態において、方法は、装置又は各装置の距離を判定することを備え、装置の位置データは、装置が待機状態から加速し始めた点における交通制御信号の場所から所定の遷移時間を判定するために使用される。装置が待機状態において静止している好適な実施形態において、この距離は、装置が交通制御信号を通過する前に待ち行列において最後に待機した位置に対応する。従って、実施形態において、方法は、装置が交通制御信号を通過した時間及び装置が交通制御信号の場所から交通制御信号を通過するために待機状態から加速し始めた点の距離のいずれか一方、好ましくは双方を示すデータを判定するために、装置に関する位置データを使用することと、装置に対する遷移時間データを判定する際に判定データを使用することとを備える。
【0032】
装置が交通制御信号の場所を通過する時間は、装置の位置が制御信号の場所、例えば制御信号の停止線に対応する時間を参照して判定される。これは、装置に対する適切な位置データと関連付けられたタイムスタンプを参照して判定される。
【0033】
装置が交通制御信号を通過する前に待機状態から最後に加速する位置、例えば装置が信号を通過する前に静止状態と移動状態との間を遷移する位置は、装置、例えば装置と関連付けられた車両が交通制御信号を通過するために加速する前に待ち行列において例えば静止して待機した最後の位置であるとみなされる。装置がこの位置に保持された時間において、信号は、停止相、例えば赤相を示していたに違いないと仮定される。上述したように、この位置は、待ち行列において待機している際に信号からの装置の距離を判定するために、交通制御信号の場所と共に使用されることが好ましい。この情報は、信号の停止相と進行相との間の遷移時間、例えば赤−青遷移を示すデータを取得するために使用されることが分かっている。信号が停止相から進行相、例えば赤−青に遷移すると、交通の待ち行列が一定の速度で解消すると仮定されることが立証されている。この一定の速度は、少なくともいくつかの実施形態においては15km/hである(経験データから判定されるように)。従って、実施形態において、速度を解消することは、交通制御信号の停止相と進行相との間の推定遷移時間を取得するために、装置が信号を通過する前に待機状態から加速し始める点又は信号を通過する前に待機状態である場合の信号からの装置の距離及び信号を通過する時間に関する情報と共に使用される。
【0034】
上述の方法のいずれかに従って取得された所定の遷移時間に対する遷移時間データは、1つ以上の装置の集合に関する位置データを使用して判定される。集合が複数の装置を含む場合、所定の遷移時間を判定する上述のステップは、装置の集合の各装置に対して実行される。これらの構成において、複数の装置は、所定の遷移の間に同一の待ち行列において待機していたと考えられる装置である。従って、判定される所定の遷移時間は、多数の装置に関するデータに基づいている。平均遷移時間は、何らかの集約の形式を使用して判定される。あまり好適ではないが他の構成において、遷移時間データは、単一の装置に関する位置データを使用して取得されてもよい。
【0035】
実施形態において、方法は、所定の判定遷移時間と関連付けられた誤差を判定することを更に備える。そのような判定における誤差は、各装置(そのデータは、所定の遷移時間データを判定する際に使用される)が交通制御信号を通過するために待機状態から加速する点と制御信号の場所との間の距離、すなわち装置が待機した信号からの距離の長さに比例する。
【0036】
本発明のこれらの実施形態に従って判定される情報に関連した遷移時間は、少なくとも所定の過去の遷移時間に関する情報である。しかし、データが実データに基づいて判定されることが好ましいため、遷移時間は、少し前にあり、以下において説明するように未来の遷移時間に関する推論をサポートするために使用される。
【0037】
遷移時間は、交通制御信号の異なる相間、例えば停止相と進行相との間の遷移が発生した時間である。本発明によると、方法は、交通制御信号の相間の遷移が発生すると予想される1つ以上の未来の時間を予測するために、判定遷移時間又は判定遷移時間の各々を使用することを備える。タイミングが予測される遷移は、交通制御信号の対応する相間の遷移、すなわち遷移時間が判定されている遷移又は各遷移と同一の種類の遷移であると予測されることが好ましい。
【0038】
好適な実施形態において、方法は、複数の装置の移動を示す位置データを使用して、交通制御信号の遷移が発生した複数の異なる時間を示すデータを判定することを備える。方法は、1つ以上の未来の遷移時間を予測する際に複数の遷移時間を示す遷移時間データを使用することを備える。異なる過去の遷移時間は、対応する遷移の種類、すなわち信号の同一の第1の相と第2の相との間の時間であることが好ましい。
【0039】
いくつかの好適な実施形態において、方法は、交通制御信号の第1の所定の過去の遷移時間を示すデータを判定するために、1つ以上の装置の第1の集合の各装置に関する位置データを使用することと、交通制御信号のそれぞれの更なる所定の過去の遷移が発生した時間を示すデータを判定するために、1つ以上の装置の少なくとも1つの更なる集合の各装置に関する位置データを使用することとを備える。1つ以上の装置の複数の更なる集合の各々の装置又は各装置に関する位置データは、交通制御信号の複数の更なるそれぞれの所定の過去の遷移時間を示すデータを判定するために使用される。所定の過去の遷移時間又は所定の過去の遷移時間の各々は、信号の対応する遷移の種類、すなわち第1の所定の相から第2の所定の相への遷移に関連することが好ましい。
【0040】
本発明は、交通制御信号の相間の未来の遷移が発生すると予想される1つ又は複数の時間を予測するために、位置データを使用して判定される遷移時間データを使用することを更に備える。
【0041】
例えば同一の遷移が翌日の対応する時間、翌週の対応する曜日等に発生すると仮定される場合又は信号のサイクル時間に関する情報が既に認識されている場合、発生した遷移の時間を示す情報を判定するだけで未来の遷移時間を予測できる。従って、単一の遷移時間を示すデータに基づいて予測が行われる。しかし、本発明は、現在又は略現在のデータに基づいて遷移時間に関する「実」予測、すなわち短期予測を提供し、複数の遷移時間を示すデータを取得することにより、未来の遷移時間を予測する際に使用するための実位置データに基づいてサイクル時間を取得するために、遷移時間データが有利に使用されることが分かっている。
【0042】
いくつかの実施形態において、方法は、交通制御信号のサイクル時間を判定することと、予測を提供する際に、すなわち判定遷移時間データと共にサイクル時間を使用することとを備える。方法は、サイクル時間を判定することにも適用されることが好ましい。サイクル時間を判定するステップは、単純に、例えば関心のある期間に対する格納されたデータ等から所定のサイクル時間を取得することを含む。しかし、好適な実施形態において、方法は、本発明に従って判定された遷移時間データを使用して(潜在的に他のデータと共に)サイクル時間を判定することを更に備える。
【0043】
位置データが「実」データであるため、少なくとも好適な実施形態において、少なくとも新しい未来に対して、サイクル時間が1日及び/又は週にわたり変動する場合でも、第三者等から取得した情報に依存するのではなく、これによりサイクル時間をより正確に予測できるようになる。第三者情報は、信号が実際には意図したタイミングに厳密に従って動作しない場合にも不正確であることが更に理解されるだろう。
【0044】
方法は、1つ以上の未来の遷移時間、すなわち交通制御信号が相間で遷移すると予想される未来の時間を予測するためにサイクル時間情報を使用することを備える。サイクル時間情報は、未来の遷移時間又は未来の遷移時間の各々を予測するために位置データを使用して判定された遷移時間データと共に使用されることが好ましい。予測遷移時間又は予測遷移時間の各々は、次の30分、1時間又は2時間以内の時間であることが好ましい。予測遷移時間が短期的な未来にある場合、例えば過去の判定遷移時間を考慮して実位置データに基づいて判定されたサイクル時間は、未来の遷移時間を予測するのに有効であると仮定される。
【0045】
交通制御信号に対する複数の異なる所定の過去の遷移時間を示すデータが位置データを使用して判定される好適な実施形態において、方法は、交通制御信号に対するサイクル時間を示すデータを判定するために異なる所定の過去の遷移時間を使用することを備えることが好ましい。交通制御信号のサイクル時間を判定するステップは、位置データを使用して取得された過去の遷移時間の1つ以上の、好ましくは複数の異なる対(ペア)の間の時間差を判定することと、時間差又は各時間差を使用してサイクル時間を判定することとを含む。相における対応する遷移は、交通制御信号のサイクルの整数により区切られた時間において発生すると仮定される。異なるサイクル時間候補は、遷移時間データに最適なサイクル時間を判定するためにテストされる。従って、方法は、サイクル時間を判定時間差又は判定時間差の各々に適合するステップを備える。方法は、判定遷移時間の1つ又は複数の対の間の時間差又は各時間差に最適なサイクル時間を判定するために複数のサイクル時間候補をテストすることを備える。いくつかの実施形態において、方法は、位置データを使用して判定された遷移時間の対の間の差に最適な時間に対応する交通制御信号に対するサイクル時間を示すデータを判定することを備える。
【0046】
サイクル時間に対して最適なものを判定するか、あるいは遷移時間データからサイクル時間を導出する際、適切なサイクルを選択しやすくするために、例えば「最適な」サイクル時間を判定する時の労力を軽減するために他のデータが使用されてもよい。例えばいくつかの実施形態において、サイクル時間を判定するステップは、交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する複数の装置の移動に関する「履歴」位置データを使用することを更に含む。これらの実施形態において、履歴位置データは、サイクル時間を判定するために、実位置データに基づいて遷移時間データと共に使用される。方法は、近似サイクル時間又はサイクル時間の範囲を判定するために履歴位置データを使用することと、近似サイクル時間又はサイクル時間の範囲に基づいてサイクル時間を適切に判定するために、実位置データを使用して取得された遷移時間データを使用することとを備える。例えば履歴位置データは、実位置データを使用して判定された遷移時間の対(ペア)の間の差に適合するサイクル時間を判定する処理において使用される近似サイクル時間又はサイクル時間の範囲を判定するために使用される。実施形態において、判定遷移時間の間の時間差又は各時間差に最適な時間を判定するために複数のサイクル時間候補をテストするステップは、サイクル時間候補を選択するために履歴位置データを使用することを含む。
【0047】
履歴位置データは、実位置データに基づいて判定された遷移時間又は各遷移時間を含む所定の期間に対するものである。上述したようにサイクル時間が1日中、異なる曜日等で変動するため、これは、履歴データが当該期間に関連することを保証する。
【0048】
サイクル時間、すなわちサイクル時間の推定値又は近似値を示すデータを取得するために履歴位置データが使用される方法に関連する以下のステップのいずれかは、遷移時間データに基づいてサイクル時間を判定する際に履歴データが使用される本発明の第1の態様及び第2の態様と共に使用される。
【0049】
交通制御信号のサイクル時間を判定するために長期間、例えば週、月等にわたり時間に対する装置の移動に関する集約位置データを使用することは、本質的に有利であると考えられる。
【0050】
従って、本発明の更なる一態様から、交通制御信号の動作に関する情報を判定する方法であって、
交通制御信号のサイクル時間を示すデータを判定するために、交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する複数の装置の移動に関する位置データを使用することを備える方法が提供される。
【0051】
本発明の本態様の好適な一実施形態において、方法は、
交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する装置の移動に関する位置データを取得することと、
パスに沿う移動中に少なくとも1つの静止期間を有する複数の装置を識別し、且つ少なくとも1つの静止期間が発生した時間を示すデータを複数の装置毎に判定するために位置データを解析することと、
交通制御信号のサイクル時間を判定するために少なくとも1つの静止期間が発生した時間を示す判定データを使用することとを備える。
【0052】
本発明の更なる一態様によると、交通制御信号の動作に関する情報を提供するシステムであって、
交通制御信号のサイクル時間を示すデータを判定するために交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する複数の装置の移動に関する位置データを使用する手段を備えるシステムが提供される。
【0053】
本発明の本態様の好適な一実施形態において、システムは、
交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する装置の移動に関する位置データを取得する手段と、
パスに沿う移動中に少なくとも1つの静止期間を有する複数の装置を識別し、且つ少なくとも1つの静止期間が発生した時間を示すデータを複数の装置毎に判定するために位置データを解析する手段と、
交通制御信号のサイクル時間を判定するために少なくとも1つの静止期間が発生した時間を示す判定データを使用する手段とを備える。
【0054】
これらの更なる態様における本発明は、本発明の先の態様に関連して説明した特徴のいずれか又は全てが互いに一致するような程度まで、それらを含んでも含まなくてもよい。
【0055】
本発明のこれらの更なる態様又は実施形態によると、位置データは、例えば時刻、曜日等の所定の期間に関連する時間に対する装置の移動に関する履歴位置データであることが好ましい。期間は、サイクル時間が適切な期間にわたり一定であると仮定されるように選択されるべきである。期間は、要望に応じてあらゆる持続時間であってもよい。例えば期間は、1時間又は他の整数時間である。これらの更なる態様の方法は、多数の期間、例えばサイクル時間が異なる異なる期間に対して実行される。方法のステップは、どのサイクル時間情報が必要とされるかに関して期間毎に繰り返される。期間は、予想サイクル時間と比較して長くなるように選択される。
【0056】
方法は、交通制御信号により制御されたパスに沿う時間に対する複数の装置の移動に関する位置データを好ましくは所定の期間に取得することを備える。位置データは、上述の方法のいずれかにおいて取得される。方法は、位置データを受信することと、そこからの適切なデータをフィルタリングすること又は適切なデータを格納された位置データから取得、例えばフィルタリングすることとを備える。従って、方法は、装置から位置データを取得するステップを備える必要はない。
【0057】
方法は、時間に対する位置データがパス、すなわちパスを規定する1つ又は複数のナビゲート可能区分に沿う移動中に1つ以上の静止期間を有する装置を示す1つ以上の装置を好ましくは所定の期間に識別することを備える。パスに沿う装置の速度を参照することにより、このような識別が行われる。静止期間を有するこれらの装置は、信号の相のために停止されていると仮定される。当然、装置は、例えばそれが多数のサイクルの間信号により保持された交通制御信号の場所に接近するパスに沿う1つ以上の静止期間を有する。方法は、そのような期間を有する1つ又は複数の装置に対する静止期間又は各静止期間のタイミングを好ましくは所定の期間内に判定することを備える。好適な実施形態において、1つ以上の装置は、所定の期間に信号により制御されたパスに沿って移動した装置であるため、識別された装置は、所定の期間内の1つ又は複数の静止期間を有する装置である。
【0058】
方法は、位置データに基づいてサイクル時間を判定するために、装置又は各装置の静止期間又は各静止期間のタイミングを示すデータを好ましくは所定の期間に対して使用することを更に備える。方法は、サイクル時間候補を選択することと、サイクル時間候補に基づいて最近接のサイクルの参照点に対する静止期間のタイミングのオフセットを位置データにより示されたような静止期間を有する装置毎に判定することと、静止データに最適なサイクル時間を取得するために異なるサイクル時間候補に対してステップを繰り返すこととを備える。ステップは所定の期間に対して実行され、且つ各装置は、上述したように所定の期間内の静止期間を有する装置であることが好ましい。
【0059】
方法は、サイクルの参照点、例えばその開始点に対応するために所定の期間を開始することを備える。期間は、サイクル時間候補又は各サイクル時間候補より長いことが理解されるだろう。同一の参照が静止期間毎に使用されるならば、静止期間のタイミングのオフセットは、静止期間と関連付けられたあらゆる参照時間に対して取られてもよい。実施形態において、オフセットは、最近接のサイクルの開始点等の参照点に対する静止期間の開始時間のオフセットである。静止データに最適なサイクル時間を判定するステップは、サイクル時間候補毎に、例えば所定の期間内に異なる装置に対するオフセットデータのヒストグラムを判定することを含む。方法は、セントラルピークを提供するサイクル時間を最適なものとして選択することを備える。
【0060】
例えば履歴位置データから上述の方法を使用して導出されたサイクル時間候補は、本発明の先の態様の方法において使用するためのサイクル時間を判定又は選択する際、例えば遷移時間データに基づいてサイクル時間を推定する場合に開始点を提供する際に使用される。換言すると、(履歴)位置データに基づいて取得されたサイクル時間データは、遷移時間データに最適なサイクルを判定するために使用されたテストサイクルを校正するために使用される。あるいは、(履歴)位置データに従うサイクル時間は、未来の遷移時間を予測するために判定遷移時間データと共に使用するためのサイクル時間を提供する第1の方法において直接使用される。従って、これらの構成において、実位置データはサイクル時間を判定する際に使用されない。
【0061】
本発明の態様又は実施形態のいずれかにおいて本発明に従って取得された遷移時間の予測は、種々の方法で使用される。方法は、推奨速度を運転者又は先進運転支援システム(ADAS)に提供することと、信号における待機時間に関する情報を提供することと、交通制御信号を通過することを含むパスに沿う推定移動時間を判定することとのうちの1つ以上を実行する際に予測を使用することを更に備える。例えば推奨速度は、最短の待機時間で及び/又はより燃料効率のよい方法で交通制御信号を通過することを含むパスをたどる際に運転者が信号を通過できるように判定される。例えば運転者又はADASは、結果として車両が「進行」(又は「青」)相と一致する信号を通過するように意図されるか、あるいは停止時間を最短にする推奨速度を提供される。運転者又はADASは、予想待機時間に基づいて信号待ちをしている間に車両のエンジンを切ることが最も燃料効率が良い可能性が高いかに依存して、これに関する助言を提供される。
【0062】
方法は、例えば推奨速度又は他の情報を運転者等に提供する際に使用するために、信号の未来の遷移時間の予測又は推奨速度等のそれに基づいて判定された情報をナビゲーション装置又はADASに提供するサーバを備える。これらの実施形態において、未来の遷移時間を予測するために位置データを処理することがサーバにより実行されるため、ナビゲーション装置又はADASに対する計算の負担は軽減される。
【0063】
あるいは又は更に、方法は、予測された未来の1つ又は複数の予測遷移時間を示すデータ、並びに/あるいは過去の遷移時間データ及びあらゆる判定サイクルデータ等の予測を可能にするデータを格納することを備える。実施形態において、方法は、判定された遷移時間データ及び選択的に信号に対する判定サイクルデータを格納することを更に備える。データ、すなわち予測遷移時間、過去の判定遷移時間、あるいはサイクルデータのいずれか又は全ては、それが関連する交通制御信号、例えば信号の場所又は他の識別子を示すデータと関連付けて格納される。格納されたデータは、ナビゲーション装置又はADASに対してアクセス可能であるか、あるいは交通制御信号の動作に関するより正確な情報を提供するために第三者に供給される。
【0064】
本明細書において参照されるようなナビゲーション装置は、車両ベースのナビゲーション装置であってもよく、PND又は一体型装置であってもよい。
【0065】
所定の交通制御信号に関する遷移時間情報を判定することに関連して本発明を説明したが、方法は、1つ又は複数の交通制御信号に対して対応するデータを判定することに関連して実現されてもよい。例えばそのようなデータは、一連のそのような信号に対して認識される場合、運転者を案内するために、例えば信号を通して「グリーンウェーブ」に乗るため、あるいは時間及び/又は燃料効率において信号を横断するためにより効果的に使用される。
【0066】
本発明に係る方法は、少なくとも部分的にソフトウェアを使用して実現されることが理解されるだろう。更なる態様から考慮される場合、本発明は、適切なデータ処理手段において実行される時に本明細書において説明する方法のいずれか又は全てを実行するように構成されたコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムにも適用されることが分かるだろう。本発明は、そのようなソフトウェアを含むコンピュータソフトウェアキャリアにも適用される。そのようなソフトウェアキャリアは、物理的な(又は非一時的な)記憶媒体、あるいは例えば衛星等に対する有線を介した電子信号、光信号又は無線信号等の信号である。
【0067】
本発明の更なる態様又は実施形態のいずれかに係る本発明は、本発明の他の態様又は実施形態を参照して説明した特徴のいずれかが互いに一致するような程度までそれを含む。
【0068】
これらの実施形態の利点を以下において説明する。これらの実施形態の各々の更なる詳細及び特徴は、添付の従属請求項及び以下の詳細な説明の他の場所において規定される。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、交通制御システムの交通制御信号の遷移時間に関する情報を判定し、且つ信号の未来の遷移時間を予測するために本発明のある特定の態様に係る方法が使用される方法を示す一実施形態を示すフローチャートである。例えば交通制御信号は、交通信号によって制御される横断歩道である。
図1により例示された方法は、3分等の短期間内で解析するために使用可能な実位置データ、すなわちGPSプローブ等の位置データを使用する実システムにおいて実現される。プローブデータは、位置が車両の位置に対応するGPS装置等の車両と関連付けられた装置から受信された車両プローブデータである。あるいは、プローブデータを「位置データ」と呼んでもよい。プローブデータ又は位置データは、時間データと関連付けられる。プローブデータは、関心のある交通制御信号を含む地域におけるプローブ車両の移動に関連するプローブトレースを導出するために使用される。
【0071】
交通信号が青相又は赤相を有した厳密な時点を推測するためにそのようなプローブデータが使用されることが分かっている。例えば、既知の場所を含む交通信号に近接し且つ/あるいは交通信号のそばを通過するプローブ車両から取得された位置データは、静止(赤信号を示す)及び自由走行(青信号を示す)として分類される。青相は、車両が交通信号に接近する道路及び車両が交通信号を通過した後に走行する道路に依存する。すなわち、青相は方向に依存する。従って、交通信号相を判定するために使用された適切なプローブデータは、交通制御信号を通して車両が走行したパスに基づいて判定され、例えば関心のあるパスに依存して直進パス又は左折パス等に関する。
【0072】
図1に示された実施形態に係る方法のステップ1は、ある特定の交通制御システムの交通信号により制御された所定のパスに沿って移動している車両と関連付けられたプローブデータを識別するために実プローブデータを使用することを含む。これは、パスを規定する1つ又は複数の道路区分の一部の場所及び交通信号の場所を考慮して実行される。交通信号が直進パス及び左折等の交通の多くのパスを制御するように構成される場合、関心のあるパスをたどる車両の部分集合に関するプローブデータが識別される。
【0073】
図2は、参照点から8.8km〜8.85kmに配置された交通信号に接近する車両の一般的なプローブトレースを示す図である(太い垂直線で)。プローブトレースは時間に対する車両の位置を示す。参照点は、交通信号の位置を含む道路区分の開始である。プローブトレースは、車両が約16:21:10〜約16:21:50(時:分:秒)に静止していることを示す。この期間中、車両は、交通信号からDの距離で静止している。ステップ2によると、この静止距離Dが判定される。この静止期間は、車両が交通信号の赤相のために静止したままである期間に対応すると仮定される。
【0074】
車両は、静止期間の終了時に移動し始める。車両が移動し始める時間は、信号の相が赤から青に遷移した後のある時点であると仮定される。従って、一般に静止期間は、車両が前進できるような程度まで交通の待ち行列が解消するまで、信号の相遷移後の何らかの更なる時間にわたり延長する。信号の相が青に変化すると、赤信号により静止したままの交通待ち行列は解消し、車両は時間t
TLにおいて交通信号の位置を横切る。方法のステップ3によると、この時間t
TLが判定される。当然、同様の技術は、車両が信号を通過する前に静止しない場合に信号の赤−青遷移時間を判定することに適用される。あるいは、車両が信号を通過するために加速し始める非ゼロ速度の待機期間の終了の時間が判定されてもよい。
【0075】
経験的研究によると、交通信号待ち行列は、略一定の速度v
d = 15km/hで解消することが分かっている。従って、赤−青遷移の時間は、車両が交通信号を通過する時間t
TLと待ち行列が解消する時間との間の差として算出され、すなわちt
TR = t
TL − D/v
dである。自動車に対して解消する時間は、約t
d = D/v
dである。
【0076】
このように、交通信号を通過する所定の車両のプローブトレースは、赤相と青相との間の信号の遷移時間t
TRの推定値mを提供する(ステップ4)。この推定値は、静止している場合に交通信号の位置からの車両の距離Dに対して直線的であることが分かっている近似誤差Eと関連付けられる。更に又はあるいは、誤差Eは、平均値からの複数の判定測定値の偏差を考慮する。従って、所定のt
TRに対する多数の測定値は、異なる車両に対して、例えば待ち行列における異なる点においてプローブデータを使用して判定される。しかし、好適な構成において、単一のプローブ車両からのデータは、所定のt
TRを判定するために使用される。誤差Eは、車両プローブトレースから判定された信号の推定遷移時間に対して判定される。一例として、交通信号からほぼ同一の距離Dにおいて待機する10台の自動車から観察された。標準偏差0.54秒で交通信号を通過するのに平均9.9秒かかった。
【0077】
上述のステップは、期間において交通信号の更なる赤−青遷移時間の推定値mを取得するために、30分等の所定の期間に交通信号により制御されたパスに沿う移動を示すプローブトレースを有する多くの異なる車両に対して繰り返される。誤差を最小限にするために、ステップは、静止している場合に交通信号から同様の距離Dに配置される車両に対して実行される。
【0078】
ステップ5によると、以下において説明するように又は既知であるようにサイクル時間が演繹的に算出される特定のタイムスロットに対する固定の交通信号サイクル時間tを仮定すると、未来の遷移時間は、ステップ4で判定された遷移時間から予測される。
【0079】
未来の遷移時間の発生を予測するためにステップ5で使用されたサイクル時間は、以下において
図3及び
図4を参照して説明するように実位置データから又は以下において第2の実施形態を参照して判定されるような履歴集約データを使用して、あるいはそれらの組合せにより判定される。サイクル時間は、他の方法で又は既知で、あるいは格納されたデータを参照して更に判定されることが理解される。より古い遷移又はサイクル時間の期限切れの推定値を使用する場合、エージング要因が導入され、未来の遷移点を予測することと関連付けられた近似誤差が増加する。
【0080】
交通信号サイクルが固定のサイクル時間を有すると仮定して、交通信号サイクル時間tは、測定遷移時間mを使用して算出される。本実施形態において、サイクル時間は、少数の最近の実プローブトレースからのみ推定される。このように、方法は、処理能力に関して効率的であり、更に光の実際の動作に関する干渉に基づいて交通信号を制御する不正確なクロックの影響を受けにくい。
【0081】
例として、車両のプローブトレースに基づき且つ互いの30分以内に取られた4つの測定値の集合は、以下の遷移時間及び誤差を提供する。
【0082】
m
1 = 08:10:47 +/−9秒
m
2 = 08:17:20 +/−4秒
m
3 = 08:29:15 +/−8秒
m
4 = 08:38:43 +/−2秒
測定値毎の誤差(E
1, E
2, E
3, ...)は、平均値からの各測定値の偏差を観察すること又は車両毎の距離(D)を直接考慮する(仮定されたDとEとの間の直線関係に基づいて)ことにより算出される。
【0083】
測定値の全ての対(ペア)と対毎の平均誤差との間の時間差は、
図3に示されるように算出される。各時間差(m
xy)は、時間サイクルの整数倍に大よそ対応すべきである。従って、潜在的なサイクル時間(t
1, t
2, ...)は、それらの各々の倍数が時間間隔m
xyにおいてどれ程厳密に適合するかを判定するためにテストされる。時間差により規定された間隔と最適なサイクル時間は、測定が行われる期間内の特定の交通信号に対する判定サイクル時間となるように選択される。サイクル時間の適合は、例えば最小偏差又は誤差を参照して評価される。
【0084】
潜在的なサイクル時間t毎に、時間間隔に最近接する倍数及び潜在的なサイクル時間の各々と関連付けられた誤差、並びに測定値の対が算出され、その後、潜在的なサイクル時間の各々と関連付けられた誤差及び測定値の全ての対が算出される。逆二乗近似誤差により重み付けされた測定値の対毎の二乗時間差及び全ての対の平均二乗時間差は、適切に使用される。解析が小さな間隔に対して偏るため、平均二乗時間差は、所定のサイクル間隔の逆数により更に重み付けされる。
【0085】
図4は、
図3の測定値に対するそのような解析の結果を示す。一連の潜在的なサイクル時間(0秒〜140秒)及び潜在的なサイクル時間を測定時間差に適合することと対応する誤差がグラフ化される。関連誤差を最も引き起こさない潜在的なサイクル時間は、最良の推定値として選択される。この例において、測定値間の時間差に最適な潜在的なサイクル時間は、グラフ上でマーク付けされるように35秒であることが分かる。
【0086】
潜在的なサイクル時間(例えば、30秒〜120秒)の選択を絞り込むように、合理的な上限及び下限が選択される。これらの限界は、例えば、各時間間隔内に少なくとも1つの遷移があると仮定することにより、プローブ車両が横断歩道を通過する頻度を考慮することにより、且つ/あるいは交通信号システムの多数のサイクルに対して静止している個々の車両からのプローブデータを使用することから配置される。
【0087】
別の実施形態において、サイクル時間測定値は、実プローブデータではなく履歴集約車両プローブデータを使用して算出される。この方法は、個別に又は
図1〜
図4を参照して説明した方法と共に使用される。履歴データを使用して取得されたサイクル時間は、所定の期間の交通信号に対する近似サイクル時間を判定するために使用される。近似サイクル時間は、
図1を参照して説明したように実プローブデータに基づいて取得された遷移データに最適なサイクル時間を判定する際、すなわちサイクル時間を
図3に示された種類のデータに適合する際に開始点として使用される。換言すると、履歴交通信号サイクルデータは、実データに基づいてより正確なサイクル時間を取得する目的で遷移時間データに適合しようとするようにサイクル時間を選択するために使用される。あるいは、履歴データは、サイクル時間を導出するために必ずしも遷移時間データ自体を使用することなく、実データに基づいて判定された遷移時間を使用して未来の遷移時間を予測する際に直接使用されるサイクル時間を提供するために使用される。
【0088】
交通制御システムがある特定の時間パターンに従って、すなわちある特定の期間(日、週、月等)内の繰り返しパターンで動作される場合、そのような履歴集約データを使用することで最も正確な結果が得られることが理解されるだろう。この条件が満たされない場合、t単位時間の後に交通信号の状態が繰り返すようにサイクル時間tがある。時間毎に異なるプログラムがあり、プログラムは異なる曜日で変動する。
【0089】
関心のある交通信号による制御を受けやすいパスに沿って移動する車両の移動に関する履歴プローブデータが収集される。これは、例えば交通信号の領域におけるナビゲート可能区分に沿う移動に関するデータをフィルタリングすることにより、実プローブデータを使用する実施形態と同様の方法で実行される。
【0090】
データは、履歴プローブデータの適切なデータベースから取得される。そのようなデータベースにおいて、一般にプローブトレースは道路区分に一致する。関心のある交通信号の場所及び交通信号による影響を受けた交通網の部分が認識される時、道路網のこの部分と関連付けられた適切なプローブトレースが選択される。
【0091】
各プローブトレースは、車両が静止している時間を判定するために解析される。静止期間を含むあらゆるプローブトレースは、交通信号が赤であるために静止したままの車両に関連すると仮定される。トレースの静止期間毎に、期間の開始時間及び終了時間が判定される。次に、識別された静止期間は、複数のタイムスロットのうちの1つの適切なタイムスロットに入れられる。これは、例えば各静止期間の開始時間を参照して実行される。
図5は、とりわけ分岐点の前の静止期間を表すBerlin、GermanyのMunchener Straβeに沿って移動する複数の車両のプローブトレースの距離−時間を示すグラフである(垂直破線で示される)。
【0092】
本実施形態において、サイクル時間は特定のタイムスロット(時間と曜日との組合せ)に対して一定であり、且つタイムスロット毎の制御プログラムは同一のサイクル相で開始すると仮定される。すなわち、サイクル相は、数週間の期間にわたりこのタイムスロットに対して毎週日曜の9:00:00において同一であると仮定される。静止期間は、そのようなタイムスロット、例えば曜日毎に1時間のスロットに入れられる。異なる週に対応するタイムスロットにおいて移動するプローブ車両から取得されたデータは、タイムスロットに入れられる時に組み合わされる。
【0093】
固定の試行サイクル時間tが仮定され、タイムスロット(例えば、日曜の9:00:00〜10:00:00)は、各々が同一の相で開始するサイクルに分割される。t=100秒のサイクル時間の場合、タイムスロットは、9:00:00、9:01:40、9:03:20等において開始するサイクルに分割される。
【0094】
所定のタイムスロットに割り当てられた全ての静止時間測定値に対して、サイクルの最近接の開始時間に対するオフセットが算出される。これらのオフセットのヒストグラムはタイムスロット毎に作成される。その後、処理は種々の試行サイクル時間の間繰り返される。オフセットは静止期間の開始点を参照する。
【0095】
例えば、全てが1秒の合理的な倍数である試行サイクル時間が試行され、試行サイクル時間毎に作成されたヒストグラム。上限及び下限は、例えば個々の車両の停止時間を使用して試行サイクル時間上に配置される。例えば探索は、交通信号により制御されたパス上の2つ以上の異なる場所において静止している車両に対して実行され、車両が少なくとも2つのサイクルの間停止されることを示す。
【0096】
タイムスロットは、種々の方法でサイクルに分割されると考えられる。例えばタイムスロットは、サイクルの第1の開始が第1の静止期間、すなわちその開始点と対応するようにサイクルに分割される。これは、タイムスロット内に多数の測定値(例えば、遷移点)がある場合に適切である。これは、往来の激しい横断歩道には当てはまらない。あるいは、サイクル時間が判定されると、例えば上述の
図1の実施形態を使用して判定された遷移時間の正確な測定値は、サイクル時間/相を校正するために使用される。交通制御システムと関連付けられた内部クロックが不正確なため、この校正は必要である。一方、プローブ車両により取得された測定値は、それらと関連付けられた厳密な時間を有する。
【0097】
一例において、タイムスロット毎に車両が静止している第1の時間が識別され、十分なデータがあると仮定すると、この時間は交通信号サイクル時間の開始点とみなされる。第1の試行サイクル時間が選択され、車両が静止している測定された第1の時間の各々とサイクルの適切な開始との間のオフセットが算出した。換言すると、タイムスロット09:00〜10:00における第1の静止車両が09:01.31秒において測定される場合、サイクル時間は100秒とみなされる。
【0098】
−09:02.56秒における測定の場合、測定が第1のサイクルにあるため、オフセットは85秒である
−09:15.42秒における測定の場合、測定が第8のサイクル(09:14.51秒において開始する)にあるため、オフセットは51秒である。
【0099】
しかし、オフセットが規定され、適正なサイクル時間が推測されると、別個のセントラルピークがヒストグラムに現れる。各サイクルが同一の相で開始し且つサイクルの同一の相(すなわち、遷移点)において測定が行われると仮定されるため、ヒストグラムにおける別個のピークは、各測定がサイクルの開始からほぼ同一のオフセット(時間的に)を有することを示す。従って、ピークは、仮定されるサイクル時間が測定(その頻度は、システムの実際のサイクル時間により制御される)と同一の期間を有することを示す。
【0100】
図6は、上述の実施形態に従って履歴集約データを使用して作成されたいくつかのタイムスロットの間(スロット14〜15時、15〜16時、16〜17時、17〜18時、18〜19時及び19〜20時である各仕事日の14:00時〜20:00時)の組み合わされたヒストグラムを示す。仮定されるサイクル時間はt=100秒である。1時間にわたるタイムスロット毎に、別個のピークが見られる。従って、サイクル時間はこれらのタイムスロット毎に100秒であると推定される。
【0101】
図7は、Berlin、Germanyにおける以下の4つの横断歩道に対するサイクル時間データの例示的な集合を提供する。
【0102】
横断歩道C1:(52.5048, 13.61337)、B1/B5−Hultschiner Damm
横断歩道C2:(52.50418, 13.62060)、B1/B5−Pilgramer Str.
横断歩道C3:(52.50497, 13.598695)、B1/B5−Am Kornfeld
横断歩道C4:(52.50852, 13.56148)、B1/B5−Blumberger Damm
図6に提示されたデータは、平日の14〜20時にこれらの横断歩道の1つにおいて取得された測定値に対応する。
【0103】
種々の実施形態において本発明に従って判定された交通信号の動作に関する情報は、多数の方法で使用される。本発明の第2の実施形態に従って取得された交通信号サイクル時間に関する履歴データは、例えばサーバにより格納され、且つ/あるいは第三者に提供されるデータベースを提供するために使用される。本発明の第1の実施形態に従って取得された未来の予測遷移時間が同様に格納される。遷移時間データを使用して取得されたあらゆる判定サイクル時間も格納される。情報は、サーバにより格納されるか、あるいは遷移時間のデータベース及び選択的にサイクル時間データとして第三者により提供される。あらゆるサイクル時間データ又は遷移時間データは、適切な交通制御信号を識別する情報と関連付けて格納される。
【0104】
本発明の方法のステップはサーバにより実行される。いくつかの実施形態において、過去の予測時間か未来の予測時間かに関係なく、サイクル時間及び/又は遷移時間データ、あるいはその双方は、車両の先進運転支援システム(ADAS)又は車両と関連付けられたナビゲーション装置に提供される。
【0105】
未来の予測遷移時間データが判定される場合、データは、運転者が、青相と一致するように交通信号に遭遇できるようにするために、あるいは交通信号の予想動作に基づいてより燃料を節約して運転できるようにする、例えば加速及び減速を最小限にするかあるいはエンジンを切り替えるのが適切な時を示せるようにするために、推奨速度を運転者に提供するために使用される。移動時間のより正確な推定値を判定できるようにするために、信号において予想される待機時間の指示を提供するために、あるいは信号を通して「グリーンウェーブ」に乗るという助言を運転者に提供するために、情報は、他の交通信号の動作に関する情報と共に使用される。これらの種類の情報のいずれかは、例えば車両のナビゲーション装置を介して運転者に提供されるか、あるいは必ずしも運転者に提供されることなく車両のADASを制御するために直接使用される。情報は、輸送インフラストラクチャ及び交通制御システムの動作を計画する際、並びに例えば動作が予想動作に従わないことを実プローブデータに基づく遷移データが示す場合に信号のあらゆる故障動作を暴露するためにも使用される。交通信号の動作に関する判定情報に基づく情報又は助言は、例えばデータを使用するサーバ又は情報が提供されているナビゲーション装置又はADASにより導出される。
【0106】
本発明の種々の態様及び実施形態を上述したが、本発明の範囲は、本明細書において説明した特定の構成に限定されるのではなく、本発明の全ての構成、並びに変形及び変更を含むことが理解されるだろう。従って、添付の特許請求の範囲は本明細書において説明した特徴の特定の組合せを説明するが、本発明の範囲は、以下において請求される特定の組合せに限定されるのではなく、その特定の組合せが今回添付の特許請求の範囲において特に列挙されているか否かに関係なく、本明細書において開示された特徴又は実施形態のあらゆる組合せを含む。