特許第6276232号(P6276232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276232
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】高圧インバータ再起動装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 1/30 20060101AFI20180129BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   H02P1/30
   H02P27/06
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-200099(P2015-200099)
(22)【出願日】2015年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-82871(P2016-82871A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2015年10月8日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0138880
(32)【優先日】2014年10月15日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】チェ ポム ソク
(72)【発明者】
【氏名】チェ ソン チョル
【審査官】 田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−281795(JP,A)
【文献】 特開平08−336296(JP,A)
【文献】 特開2008−141935(JP,A)
【文献】 特開平01−129786(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0132084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 1/00−1/58,21/00−25/03,25/04, 25/10−27/18
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機の入力電圧を測定する測定部と、
前記入力電圧から、前記電動機の回転子周波数を推定する推定部と、
前記回転子周波数を利用して、予め設定された電圧に対する周波数に該当する第1比率に応じてインバータの出力電圧又は出力周波数を変更するように制御する制御部と、を含み、
前記推定部は、
前記入力電圧から、前記インバータが前記電動機に印加した周波数に該当する第1電圧、及び、第1電圧より位相が実質的に90度遅れる第2電圧を生成する生成部と、
前記第1電圧及び前記第2電圧を正規化する正規化部と、
前記電動機の出力電圧の周波数を決めるための制御帯域幅を決める決定部と、
前記正規化部の正規化された出力を利用して前記制御帯域幅をベースに前記回転子周波数を決める第2検出部と、を含み、
前記決定部は、正規化された前記第1電圧及び前記第2電圧と、前記第2検出部の増幅利得とに基づいて前記制御帯域幅を決定し、
前記制御部は、再起動領域において、
前記第1比率より、前記入力電圧に対する前記回転子周波数に該当する第2比率が小さい場合、前記第1比率に到達する時まで前記インバータの出力周波数を維持して出力電圧を増加させ、
前記第1比率より前記第2比率が大きい場合、前記第1比率に到達する時まで出力電圧を維持して出力周波数を増加させ、
前記第1比率と前記第2比率とが同一になる時から、前記インバータの出力電圧及び出力周波数を同時に増加させる、再起動装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1比率と前記第2比率とが同一になる時から、前記第1比率に応じて前記インバータの出力電圧及び出力周波数を増加させる、請求項に記載の再起動装置。
【請求項3】
電動機の入力電圧から、インバータが前記電動機に印加した周波数に該当する第1電圧、及び、前記第1電圧より位相が実質的に90度遅れる第2電圧を生成するステップと、
前記第1電圧及び前記第2電圧を正規化するステップと、
前記電動機の出力電圧の周波数を決めるための制御帯域幅を決めるステップと、
正規化された前記第1電圧及び前記第2電圧を利用して前記制御帯域幅をベースに前記電動機の回転子周波数を推定するステップと、
前記入力電圧と前記回転子周波数とを利用して、予め設定された電圧に対する周波数に該当する第1比率に応じて前記インバータの出力電圧又は出力周波数を変更するように制御するステップと、を含み、
前記制御帯域幅を決めるステップは、正規化された前記第1電圧及び前記第2電圧と、前記回転子周波数を推定する時の増幅利得とに基づいて前記制御帯域幅を決定し、
前記制御するステップは、再起動領域において、
前記第1比率より、前記入力電圧に対する前記回転子周波数に該当する第2比率が小さい場合、前記第1比率に到達する時まで前記インバータの出力周波数を維持して出力電圧を増加させ、
前記第1比率より前記第2比率が大きい場合、前記第1比率に到達する時まで出力電圧を維持して出力周波数を増加させ、
前記第1比率と前記第2比率とが同一になる時から、前記インバータの出力電圧及び出力周波数を同時に増加させる、インバータ再起動方法。
【請求項4】
前記第1比率と前記第2比率とが同一になる時から、前記第1比率に応じて前記インバータの出力電圧及び出力周波数を増加させるステップをさらに含む、請求項に記載のインバータ再起動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高圧インバータ再起動装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マルチレベル高圧インバータ(multi−level medium−voltage inverter)は、入力線間電圧の実効値が600V以上で、出力相電圧がマルチレベルであるインバータのことをいう。高圧インバータは、数百kW乃至数十MWの大容量電動機を駆動するために用いられている。
【0003】
高圧インバータによって駆動される高圧電動機(medium voltage motor)は、通常慣性(inertia)が大きいので、入力電源の瞬時的な故障または瞬時停電などによって高圧インバータのインバータ部が瞬間的に正常な動作をしない場合にも回転子の速度が大幅に減少しない。
【0004】
このような理由で、入力電源が故障状態から正常状態に復帰した場合、回転子の速度が零速(zero speed)になる時まで待って再起動をしなければならないので、再起動のための時間が長くかかる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、入力電源が瞬時的な故障状態から正常状態に復帰した場合、高圧電動機の回転子の速度を簡単に推定して安定的に再起動するための、高圧インバータ再起動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記のような技術的課題を解決するために、本発明の一実施形態の再起動装置は、電動機の入力電圧を測定する測定部と、前記入力電圧から、前記電動機の回転子周波数を推定する推定部と、前記入力電圧及び前記回転子周波数を利用して、予め設定された電圧に対する周波数に該当する第1比率に応じて前記インバータの出力電圧又は出力周波数を変更するように制御する制御部と、を含み、前記推定部は、前記入力電圧から、前記インバータが前記電動機に印加した第1電圧、及び、第1電圧より位相が実質的に90度遅れる第2電圧を生成する生成部と、前記電動機の出力電圧の周波数を決めるための制御帯域幅を決める決定部と、前記制御帯域幅をベースに前記回転子周波数を決める第2検出部と、を含んでもよい。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記推定部は、前記第1及び第2電圧を正規化する正規化部をさらに含んでもよい。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記第1比率より、前記入力電圧に対する前記回転子周波数に該当する第2比率が小さい場合、前記第1比率に到達する時まで前記インバータの出力周波数を維持して出力電圧を増加させることができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記第2比率が前記第1比率に到達した場合、前記第1比率に応じて前記インバータの出力電圧及び出力周波数を増加させることができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記第1比率より、前記入力電圧に対する前記回転子周波数に該当する第2比率が大きい場合、前記第1比率に到達する時まで前記インバータの出力電圧を維持して出力周波数を増加させることができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記第2比率が前記第1比率に到達した場合、前記第1比率に応じて前記インバータの出力電圧及び出力周波数を増加させることができる。
【0012】
また、前記の技術的課題を解決するために、本発明のインバータ再起動方法は、電動機の入力電圧から、インバータが前記電動機に印加した第1電圧、及び、前記第1電圧より位相が実質的に90度遅れる第2電圧を生成するステップと、前記電動機の出力電圧の周波数を決めるための制御帯域幅を決めるステップと、前記制御帯域幅をベースに前記電動機の回転子周波数を推定するステップと、を含んでもよい。
【0013】
本発明の一実施形態の再起動方法は、予め設定された電圧に対する周波数に該当する第1比率が、前記入力電圧に対する前記回転子周波数に該当する第2比率より小さい場合、前記第1比率に到達する時まで前記インバータの出力周波数を維持して出力電圧を増加させるステップをさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の一実施形態の再起動方法は、前記第2比率が前記第1比率に到達した場合、前記第1比率に応じて前記インバータの出力電圧及び出力周波数を増加させるステップをさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の一実施形態の再起動方法は、予め設定された電圧に対する周波数に該当する第1比率が、前記入力電圧に対する前記回転子周波数に該当する第2比率より大きい場合、前記第1比率に到達する時まで前記インバータの出力電圧を維持して出力周波数を増加させるステップをさらに含んでもよい。
【0016】
本発明の一実施形態の再起動方法は、前記第2比率が前記第1比率に到達した場合、前記第1比率に応じて前記インバータの出力電圧及び出力周波数を増加させるステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、入力電源が異常状態から正常状態に復帰する場合、高圧電動機の回転子速度を推定して再起動することによって、回転子速度が零速になる時まで待たなくても良いので、簡単な構成によって再起動にかかる時間が減少する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明が適用される高圧インバータの一実施形態構成図である。
図2】従来の回転子速度推定装置を説明するための図面である。
図3A図2の電圧成分抽出部と回転子周波数検出部の詳細構成図である。
図3B図2の電圧成分抽出部と回転子周波数検出部の詳細構成図である。
図4】本発明の一実施形態による回転子速度推定装置を概略的に説明するための一例示図である。
図5図4の詳細回路構成図である。
図6】本発明の高圧インバータのシーケンスを説明するための一例示図である。
図7】予め設定された電圧−周波数比率より推定された電圧−周波数比率が小さい場合の制御部の動作を説明するための一例示図である。
図8】予め設定された電圧−周波数比率より推定された電圧−周波数比率が大きい場合の制御部の動作を説明するための一例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は種々の変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができ、特定の実施形態を図面に例示して詳細な説明で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明に係る好ましい一実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明が適用される高圧インバータシステムの一実施形態構成図であり、直列型H−ブリッジ(cascaded H−bridge)高圧インバータの構造を例として示し、3段の単位電力セルで高圧インバータが構成されたものを示した。ただし、これは例示的なものであり、他の形態の高圧インバータに本発明が適用されてもよく、また、単位電力セルの数も出力電圧に応じて変更されることは本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者には自明である。
【0022】
図面に示したように、本発明が適用されるシステムは、電源供給部1から電源を受信して、3相電動機3に電源を供給する本発明が適用される高圧インバータ2は、位相置換変圧器21、複数の単位電力セル22及び電圧測定部23を含んで構成され、また、本発明が適用されるシステムは、高圧インバータ2で必要な電流、電圧情報を受信してモーターの回転子速度を推定する推定部4とこれを利用して高圧インバータ2を制御する制御部5を含んでもよい。
【0023】
電源供給部1は、電動機3に線間電圧の実効値が600V以上である3相電源を供給する。また、本発明が適用される電動機3は、高圧の3相電動機であり、例えば誘導電動機(induction machine)または同期電動機(synchronous machine)であってもよいが、これらに限定されるのではなく、多様な形式の電動機に適用される。
【0024】
高圧インバータ2の位相置換変圧器21は、電源供給部1と高圧インバータ2との間の電気的絶縁(galvanic isolation)を提供し、また同時に入力端の高調波を低減して単位電力セル22に適切な入力3相電源を提供することができる。位相置換変圧器21の位相置換角は単位電力セル22の数によって決められてもよい。
【0025】
単位電力セル22は、位相置換変圧器21から電源の入力を受けて電動機3に提供する相電圧を出力する。各単位電力セル22は、電動機3の各三相電圧に対応して三つのグループからなり、図1の例では単位電力セルA1、A2、A3が直列連結されて、直列連結された単位電力セルから出力される電圧が合成されて電動機3のa相電圧で提供される。同様に、単位電力セルB1、B2、3Bが直列連結されて、直列連結された単位電力セルから出力される電圧が合成されて電動機3のb相電圧で提供され、また、単位電力セルC1、C2、C3が直列連結されて直列連結された単位電力セルから出力される電圧が合成されて電動機3のc相電圧で提供される。合成されたb相電圧とa相電圧は、120度の位相差を有し、c相とb相電圧も120度の位相差を有する。
【0026】
電圧測定部23は、電動機3に入力される電圧を測定して、電圧センサーまたは抵抗などで構成された受動素子で構成されてもよい。
【0027】
このような高圧インバータでの回転子速度推定と関連して、まず従来技術に対して議論した後本発明を詳細に説明する。
【0028】
図2は、従来の回転子速度推定装置を説明するためのものであって、電圧成分抽出部410と回転子周波数検出部420で構成される。図3A及び図3Bは各々図2の電圧成分抽出部と回転子周波数検出部の詳細構成図である。
【0029】
電圧成分抽出部410は、電動機3の入力相電圧または線間電圧から電動機3の入力電圧の周波数を測定するものであり、第1部411は、電動機3の入力電圧からインバータが印加した周波数に該当する交流(AC)信号であるV’とV’に位相角が90度遅れる信号であるqV’を生成し、第2部412は、電動機3の入力電圧の周波数を検出し、第3部413は、電動機の出力相電圧の周波数検出時の制御帯域幅を決める。
【0030】
図3Bの回転子周波数検出部420は、第1部421が回転座標変換を行いて、第2部422が比例−積分補償をして第1部421の出力Vedを0にする。第3部423は第2部422の出力に初期周波数を加え、第4部424がこれを積分すると推定された位相角(Θest)が出力される。また、第3部425の出力を低域通過して最終推定された周波数(ωest)を出力する。
【0031】
この時、従来の回転子周波数検出部420では、座標変換されて出力されたVedを0にするために比例−積分補償のための第2部422が用いられたが、通常これを位相同期ループ(phase locked loop、PLL)という。
【0032】
しかし、このようなPLL回路は、推定部4で推定時間が長く掛かるので、制御部5の応答性が遅くなり、実現が複雑であるという短所がある。
【0033】
本発明は、このように従来技術で用いられるPLL回路を除去して、より簡単な回路で電動機3の回転子周波数を推定するためのものである。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態に係る回転子速度推定部4を概略的に説明するための一例示図であり、図5は、図4の詳細回路構成図である。本発明の説明では、推定部4が単相の電圧情報を持ってくる場合を示したが、三相電圧に対して各々本発明の推定装置が用いられることは本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明である。
【0035】
図面に示したように、本発明の装置は、信号生成部41、制御帯域幅決定部42及び周波数検出部43を含んでもよく、また、正規化部44をさらに含んでもよい。
【0036】
信号生成部41は、電動機3の入力相電圧または線間電圧であるVmeasを電圧測定部23から受信して、高圧インバータ2が印加した周波数に該当する交流信号であるV’と、V’に位相角が90度遅れる信号であるqV’を生成することができる。
【0037】
仮に、電動機3の入力電圧の周波数がω’と与えられた場合、信号生成部41を介して決められるV’とqV’は各々下記数式のとおりである。V’とqV’は正規化された正弦波関数であるため、本発明の推定装置は、従来の図2でのΘestの代わりに座標変換にV’とqV’を用いることができる。
【0038】
【数1】
【0039】
【数2】
【0040】
数式1で測定された電動機の入力電圧から、ω’周波数成分だけを抽出することができ、数式2から数式1で検出した成分に位相が90度遅れた信号を決めることができる。
【0041】
制御帯域幅決定部42は、電動機の出力相電圧の周波数を決めるための制御帯域幅を決めることができ、周波数検出部43は、制御帯域幅をベースに電動機入力電圧の周波数を検出することができる。
【0042】
制御帯域幅決定部42と周波数検出部43の動作を説明する。
【0043】
信号生成部41の41A及び41Bの出力をそれぞれx1、x2で定義すると、下記のとおりである。
【0044】
【数3】
【0045】
【数4】
【0046】
この時、次の数式5のように決めることができ、正常状態では数式6の条件を満たす。
【0047】
【数5】
【0048】
【数6】
【0049】
数式6の条件を利用して数式3をまとめると次の数式7のとおりになる。
【0050】
【数7】
【0051】
前記数式7をまとめると数式8のとおりになる。
【0052】
【数8】
【0053】
図5で、各変数の平均を利用すると次の数式9及び数式10の関係を得ることができる。
【0054】
【数9】
【0055】
【数10】
【0056】
【数11】
【0057】
【数12】
【0058】
数式11から、所望の周波数を決めるための制御帯域幅は、周波数検出部42内の増幅部42Aの利得によって決められることがわかる。従って、増幅部42Aの利得(k2)は、電動機3の運転周波数より高い値に決められることが好ましい。
【0059】
周波数検出部43は、制御帯域幅決定部42と信号生成部41の出力を受信して、電動機入力電圧の周波数を検出することができる。
【0060】
一方、正規化部44は、信号生成部41から生成されるV’、qV’を正規化することができる。
【0061】
正規化部44の出力は、三角関数sinθ、cosθである。すなわち、正規化部44の出力は、正規化された正弦波関数である。
【0062】
従来の図2図3A及び図3Bの再起動装置によると、回転子周波数検出部420のPLL回路を経なければならないので、応答性が遅くなり、実現が複雑であるという短所があるが、本発明によると、PLL回路を除去することによって、応答性が早く実現が簡単であるという長所がある。
【0063】
図6は、本発明の高圧インバータのシーケンスを説明するための一例示図である。
【0064】
図6で、6Aは電源供給部1からの高圧インバータ2に入力される入力電源を図式的に示したもので、6Bは、高圧インバータ2の出力電圧を示したものである。また、6Cと6Gは各々電源供給部1と高圧インバータ2が共に正常動作する領域で、6Dは入力電源に異常が発生して高圧インバータ2の出力電圧が減少する領域、6Eは本発明の推定部4が電動機3の回転子周波数と電動機3の入力電圧の大きさを推定する領域であり、6Fは本発明によって推定された電動機3の回転子周波数と電圧の大きさから制御部5が高圧インバータ2を再起動する領域を示したものである。
【0065】
制御部5の動作を説明する。
【0066】
一般に、高圧インバータ2は、V/F運転のように一定磁束運転(constant flux)を行っている場合、電圧と周波数比率が予め決められたパターンによって駆動する。仮に、入力電源に異常が発生して本発明で推定した出力電圧と出力周波数比率が予め設定された値(Vset/Fset)に比べて小さいか大きい場合には、制御部5は予め設定された電圧と周波数に到達する時まで電圧または周波数の大きさを変動することがある。
【0067】
図7は、予め設定された電圧−周波数比率より推定された電圧−周波数比率が小さい場合の制御部の動作を説明するための一例示図であり、図6の6F区間での動作を細分化したものである。
【0068】
図7で、7Aは高圧インバータ2の出力電圧を、7Bは高圧インバータ2の出力周波数を示す。また、7C区間で高圧インバータ2の出力電圧である初期電圧(Vinit)は電圧測定部23から受信することができ、高圧インバータ2の出力周波数である初期周波数(Finit)は図4の周波数検出部43の出力と同じである。
【0069】
図7の7D領域で、制御部5は、予め設定された電圧−周波数比率に到達するまで周波数を維持して、電圧を増加させることができる。また、7Eで制御部5は予め設定された電圧−周波数比率に応じて電圧と周波数を同時に増加させることができる。これによって7F領域では、正常動作時に選定された電圧(Vtarget)と周波数(Ftarget)で高圧インバータ2が作動され得る。
【0070】
図8は、予め設定された電圧−周波数比率より推定された電圧−周波数比率が大きい場合の制御部の動作を説明するための一例示図であり、図6の6F区間での動作を細分化したものである。
【0071】
図8で、8Aは高圧インバータ2の出力電圧を、8Bは高圧インバータ2の出力周波数を示す。また、8C区間でインバータの出力電圧である初期電圧(Vinit)は、電圧測定部23から受信することができ、高圧インバータ2の出力周波数である初期周波数(Finit)は、図4の周波数検出部43の出力と同じである。
【0072】
図8の8D領域で、制御部6は、予め設定された電圧−周波数比率に到達する時まで電圧を維持して周波数の大きさを増加させることができる。また、8Eで制御部5は、予め設定された電圧−周波数比率に応じて電圧と周波数を同時に増加させることができる。これによって8F領域では、正常動作時に選定された電圧(Vtarget)と周波数(Ftarget)で高圧インバータ2が作動され得る。
【0073】
先述のように本発明は、高圧電動機3の入力電圧を測定して、測定された電圧の周波数成分を抽出して高圧電動機の回転子周波数を推定することができ、予め設定された電圧−周波数比に到達する時までインバータの出力電圧または出力周波数を増加させて、電圧または周波数が予め設定された電圧−周波数比に到達した場合には出力電圧と出力周波数を同時に増加させて再起動することができる。
【0074】
以上、本発明に係る実施形態が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者ならば、これらから多様な変形及び均等な範囲の実施形態が可能である点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、次の特許請求の範囲によって定まらなければならない。
【符号の説明】
【0075】
1 電源供給部
2 高圧インバータ
21 位相置換変圧器
22 単位電力セル
23 電圧測定部
3 3相電動機
4 推定部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8