特許第6276257号(P6276257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6276257レアアースを含むY型ゼオライトおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276257
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】レアアースを含むY型ゼオライトおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/24 20060101AFI20180129BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20180129BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20180129BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20180129BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20180129BHJP
   B01J 29/08 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   C01B39/24
   B01J35/10 301A
   B01J37/04 102
   B01J37/30
   B01J37/08
   B01J29/08 Z
【請求項の数】16
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-518792(P2015-518792)
(86)(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公表番号】特表2015-525726(P2015-525726A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】CN2013000768
(87)【国際公開番号】WO2014000422
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年3月18日
(31)【優先権主張番号】201210218361.4
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鄭金玉
(72)【発明者】
【氏名】羅一斌
(72)【発明者】
【氏名】舒興田
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第1506161(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101537366(CN,A)
【文献】 特開昭50−080288(JP,A)
【文献】 特表2006−521266(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101081369(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B33/20−39/54
B01J29/08
B01J35/10
B01J37/04
B01J37/30
B01J37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レアアースを含むY型ゼオライトにおいて、
レアアース酸化物としてのレアアース含有量が10〜25重量であり;
単位格子の大きさが2.440〜2.472nであり;
結晶化度が35〜65であり;
骨格におけるSi/Al原子比率が2.5〜5.0であり;
ゼオライトのX線回折スペクトルの2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度Iに対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度Iの比と、ゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積が、55よりも大きいことを特徴とするレアアースを含むY型ゼオライト。
【請求項2】
100%の水蒸気の条件で800℃において17時間エージング処理した後の結晶化度の保持率が、45%よりも大きい、請求項1に記載のレアアースを含むY型ゼオライト。
【請求項3】
レアアース酸化物としてのレアアース含有量が11〜23重量%であり;
単位格子の大きさが2.450〜2.470nmであり;
結晶化度が40〜60%である、請求項1に記載のレアアースを含むY型ゼオライト。
【請求項4】
以下の工程を含む、レアアースを含むY型ゼオライトの製造方法:
(1)NaYゼオライトと、レアアース溶液もしくはアンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させ、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(2)工程(1)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをろ過し、水で洗浄し、乾燥した後、1回目の焼成を行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(3)工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをアンモニウム塩溶液に接触させ、ろ過せずにレアアース溶液と混合した後、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程、もしくは、
工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、アンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液と接触させた後、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;および、
(4)工程(3)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをろ過し、水で洗浄し、乾燥した後、2回目の焼成を行い、目的のレアアースを含むY型ゼオライトを得る工程。
【請求項5】
上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、およびそれらの混合物から構成される群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
上記工程(1)において、
NaYゼオライト(無水ベース)に対するレアアース溶液(レアアース酸化剤として)の重量比が0.06〜0.1であり、
レアアース溶液(レアアース酸化剤として)に対するアンモニウム塩(塩化アンモニウムとして)の重量比が0〜1であり、
上記アンモニウム塩が塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、およびそれらの混合物から構成される群から選択され、
上記pHを3.0〜5.0に調整し、
ゼオライトに対する水の重量比が5〜3であり、
上記接触を、室から100℃までの温で少なくとも0.3時行う請求項に記載の方法。
【請求項7】
NaYゼオライト(無水ベース)に対するレアアース溶液(レアアース酸化剤として)の重量比が0.07〜0.12であり、
レアアース溶液(レアアース酸化剤として)に対するアンモニウム塩(塩化アンモニウムとして)の重量比が0.2〜3であり、
上記アンモニウム塩が塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、およびそれらの混合物から構成される群から選択され、
上記pHを3.0〜5.0に調整し、
ゼオライトに対する水の重量比が7〜15であり、
上記接触を、70〜95℃で0.5〜1.5時間行う請求項4に記載の方法。
【請求項8】
上記工程(2)において、
1回目の焼成を、0〜100%の水蒸気の条件において、少なくとも0.5時、500〜650で行う請求項に記載の方法。
【請求項9】
上記工程(2)において、
1回目の焼成を、0〜100%の水蒸気の条件において、1.5〜3.0時間、550〜620℃で行う請求項4に記載の方法。
【請求項10】
上記工程(3)において、
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、アンモニウム塩溶液とを接触させる場合、上記接触を室温から100℃までの温で、少なくとも0.3時かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトとアンモニウム塩溶液との割合について、ゼオライト(無水ベース):アンモニウム塩:水の重量比が、1:(0.05〜0.5):(5〜30であり;レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト(無水ベースのゼオライトに基づく)に対する、レアアース溶液中のレアアース元素(レアアース酸化物(RE)として)の重量比が0.01〜0.となる量のレアアース溶液を加え;上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびそれらの混合物から構成される群から選択され;
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、アンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させる場合、上記接触を室温から100℃までの温で、少なくとも0.3時かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト、アンモニウム塩およびレアアース溶液の割合について、ゼオライト(無水ベース):アンモニウム塩:レアアース酸化物(RE):水の重量比が、1:(0.05〜0.5):(0.01〜0.2):(5〜30であり;上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびそれらの混合物から構成される群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
上記工程(3)において、
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、アンモニウム塩溶液とを接触させる場合、上記接触を60〜80℃で、0.5〜1.5時間かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトとアンモニウム塩溶液との割合について、ゼオライト(無水ベース):アンモニウム塩:水の重量比が、1:(0.1〜0.4):(8〜15)であり;レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト(無水ベースのゼオライトに基づく)に対する、レアアース溶液中のレアアース元素(レアアース酸化物(RE)として)の重量比が0.02〜0.12となる量のレアアース溶液を加え;上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびそれらの混合物から構成される群から選択され;
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、アンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させる場合、60〜80℃で、0.5〜1.5時間かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト、アンモニウム塩およびレアアース溶液の割合について、ゼオライト(無水ベース):アンモニウム塩:レアアース酸化物(RE):水の重量比が、1:(0.1〜0.4):(0.02〜0.12):(8〜15)であり;上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびそれらの混合物から構成される群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
上記工程(3)において、上記接触を行った後、アルカリ溶液を用いて上記混合物のpHを6〜10に調整する請求項10に記載の方法。
【請求項13】
上記工程(3)において、上記接触を行った後、アルカリ溶液を用いて上記混合物のpHを7.5〜8.2に調整する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
上記アルカリ溶液が、アンモニア水、ケイ酸ナトリウム、メタアルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、およびそれらの混合物から構成される群から選択される請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
上記工程(4)において、2回目の焼成を500〜650℃で、0〜100%の水蒸気の条件において、0.5〜4時間行う請求項に記載の方法。
【請求項16】
上記工程(4)において、2回目の焼成を500〜650℃で、0〜100%の水蒸気の条件において、1〜3時間行う請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、レアアースを含むY型ゼオライト(分子篩)およびその製造方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
流動式接触分解(FCC)は、石油精製プロセスにおいて重要なプロセスである。中国では、ガソリンの約70〜80%がFCCプロセスによって得られる。環境意識への高まりと、より厳しい環境保護規制およびより厳しい排気ガス基準の継続した発行とにより、FCCガソリンの品質、特にオレフィン含有量に対する品質への要求が高まっている。それゆえ、オレフィン含有量を減少させる能力を有する接触分解触媒の技術が必要となっている。
【0003】
現在使用されている、ガソリンのオレフィン含有量を減少させるのに有効な成分はほとんどレアアースを含むY型ゼオライトである。中国特許出願公開第1317547号、中国特許出願公開第1506161号、中国特許出願公開第101537366号、中国特許出願公開第1436727号、中国特許出願公開第1382631号、中国特許出願公開第101823726号、中国特許第100344374号、中国特許出願公開第1053808号、中国特許第1069553号、中国特許第1026225号、および中国特許出願公開第101147875号を参考資料として参照できる。
【0004】
例えば、中国特許出願公開第101147875号は、レアアースを多く含んだ超安定Y型ゼオライトを含む接触分解触媒について開示している。前述のレアアースを多く含んだ超安定Y型ゼオライトは以下のようにして作製する。超安定Y型ゼオライトを出発材料として、酸と混合する。混合物を撹拌、洗浄し、ろ過する。混合物に、レアアース塩の溶液を加え、交換を行う。その後、混合物を洗浄、ろ過し、乾燥させる。前述のレアアースを多く含んだ超安定Y型ゼオライトのX線回折スペクトルの2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)と、ゼオライト中のレアアースの量(RE%)との積は40未満である。
【0005】
レアアースを含むY型ゼオライトは1-交換-1-焼成処理(イオン交換を1回行い、高温での焼成を1度行う。これらは、例えば、中国特許出願公開第1436727号、中国特許出願公開第101823726号および中国特許第100344374号参照)、もしくは2-交換-2-焼成処理(液相レアアースイオン交換を2回行い、高温での焼成を2度行う。例えば、参考文献として中国特許出願公開第1506161号および中国特許出願公開第101537366号参照)によって作製できる。
【0006】
従来の2-交換-2-焼成処理、従来の1-交換-1-焼成処理のいずれにおいても、レアアースを含むY型ゼオライトの作製において、生成物中のレアアースの量は通常、供給したレアアースの量より少ない。たとえ多量のレアアースイオンがソーダライトケージの中にあったとしても、レアアースの一部が依然としてスーパーケージの中に存在することは避けられない。スーパーケージの中のレアアースイオンは、その後の洗浄処理によって洗い流され、その結果レアアースが失われ、レアアースの利用率が減少する。
【0007】
現在の工業では、製造コストの削減および製造効率の上昇のために、レアアースを多く含んだY型ゼオライトの製造において、ほとんど2-交換-1-焼成処理が使用されている。言い換えれば、1回目の焼成後、レアアース交換をもう一度行うが、2回目の焼成は行わない。2回目の焼成を行わないことで、レアアースイオンが効果的に移動せず、ほとんどのレアアースイオンが依然としてスーパーケージに存在する。スーパーケージ中のほとんどのレアアースイオンは、その後の洗浄処理によって洗い流され、またその結果レアアースの利用率が減少する。
【0008】
〔発明の要旨〕
それゆえ、本発明の目的は、従来技術の欠点を狙い、従来技術に基づいて、従来技術とは異なり、良好な構造および活性安定性を有すると共に、レアアースの利用率の高い、Y型ゼオライトを提供することである。本発明の他の目的は、技術的な工程が短く、製造コストが低く、優れた構造および高い活性安定性を有する共に、レアアースの利用率の高い、レアアースを含むY型ゼオライトを製造することが可能である、レアアースを含むY型ゼオライトの製造方法を提供することである。
【0009】
レアアースを含むY型ゼオライトを作製する多数の実験に基づいて、発明者等は、NaYゼオライトの2-交換-2-焼成処理とレアアースの析出とを組み合わせるプロセスにより、特別な物理化学的性質を有するレアアースを含むY型ゼオライトを作製できることを見出した。この新規レアアースを含むY型ゼオライトは、レアアースの利用率およびゼオライトの構造安定性において優れている。特に、多数の実験データに基づいて、得られたレアアースを含むY型ゼオライトのX線回折スペクトルの2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)と、ゼオライト内のレアアース量(RE%)との間に独特の関係が存在することを見出した。この知見に基づき、本発明は達成された。
【0010】
本発明の一態様において、本発明は、レアアース酸化物としてのレアアース量が10〜25重量%(例えば11〜23重量%)であり、単位格子の大きさが2.440〜2.472nm(例えば2.450〜2.470nm)であり、結晶化度が35〜65%(例えば40〜60%)、骨格におけるSi/Al原子比率が2.5〜5.0であり、ゼオライトのX線回折スペクトルの2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度Iに対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度Iの比(I/I)と、ゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量パーセントとの積が48より大きいことを特徴とするレアアースを含むY型ゼオライトを提供する。本発明におけるレアアースを含むY型ゼオライトは、100%の水蒸気の条件で800℃において17時間エージング処理した後の結晶化度の保持率が40%よりも大きく、例えば45%よりも大きい。
【0011】
本発明の別の一態様において、本発明はレアアースを含むY型ゼオライトの製造方法を提供する。この製造方法は2-交換-2-焼成処理とレアアースの析出とを組み合わせた方法である。
【0012】
特に、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0013】
〔技術的解決手段1〕
レアアースを含むY型ゼオライトにおいて、
レアアース酸化物としてのレアアース含有量が10〜25重量%、例えば11〜23重量%であり;
単位格子の大きさが2.440〜2.472nm、例えば2.450〜2.470nmであり;
結晶化度が35〜65%、例えば40〜60%であり;
骨格におけるSi/Al原子比率が2.5〜5.0であり;
ゼオライトのX線回折スペクトルの2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度Iに対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度Iの比と、ゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積が、48よりも大きい、例えば55よりも大きいことを特徴とするレアアースを含むY型ゼオライト。
【0014】
〔技術的解決手段2〕
100%の水蒸気の条件で800℃において17時間エージング処理した後の結晶化度の保持率が、40%よりも大きい、例えば45%よりも大きい、技術的解決手段1に記載のレアアースを含むY型ゼオライト。
【0015】
〔技術的解決手段3〕
以下の工程を含む、レアアースを含むY型ゼオライトの製造方法:
(1)NaYゼオライトと、レアアース溶液もしくはアンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させ、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(2)工程(1)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトに対して1回目の焼成を行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(3)工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、アンモニウム塩溶液もしくは酸溶液に接触させた後、レアアース溶液と混合し、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程、もしくは、
工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、アンモニウム塩溶液とレアアース溶液との混合溶液と接触させた後、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;および、
(4)工程(3)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトに対して2回目の焼成を行い、目的のレアアースを含むY型ゼオライトを得る工程。
【0016】
〔技術的解決手段4〕
以下の工程を含む、レアアースを含むY型ゼオライトの製造方法:
(1)NaYゼオライトと、レアアース溶液もしくはアンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させ、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(2)工程(1)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをろ過し、水で洗浄し、乾燥した後、1回目の焼成を行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(3)工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをアンモニウム塩溶液に接触させ、ろ過せずにレアアース溶液と混合した後、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程、もしくは、
工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、アンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液と接触させた後、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;および、
(4)工程(3)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをろ過し、水で洗浄し、乾燥した後、2回目の焼成を行い、目的のレアアースを含むY型ゼオライトを得る工程。
【0017】
〔技術的解決手段5〕
以下の工程を含む、レアアースを含むY型ゼオライトの製造方法:
(1)NaYゼオライトと、レアアース溶液もしくはアンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させ、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(2)工程(1)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをろ過し、水で洗浄し、乾燥した後、1回目の焼成を行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(3)工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、アンモニウム塩溶液もしくは酸溶液に接触させ、ろ過した後、レアアース溶液と混合し、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;および、
(4)工程(3)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、任意にろ過し水で洗浄し乾燥した後、2回目の焼成を行い、目的のレアアースを含むY型ゼオライトを得る工程。
【0018】
〔技術的解決手段6〕
上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、およびそれらの混合物から構成される群から選択される、技術的解決手段3〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
〔技術的解決手段7〕
上記工程(1)において、
NaYゼオライト(無水ベース)に対するレアアース溶液(レアアース酸化剤として)の重量比が0.06〜0.14、例えば0.07〜0.12であり、
レアアース溶液(レアアース酸化剤として)に対するアンモニウム塩(塩化アンモニウムとして)の重量比が0〜10、例えば0.2〜3、0〜5等であり、
上記アンモニウム塩が塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、およびそれらの混合物から構成される群から選択され、
上記pHを3.0〜5.0に調整し、
ゼオライトに対する水の重量比が5〜30、例えば、7〜15であり、
上記接触を、室温(18〜26℃)から100℃までの温度、例えば70〜95℃で少なくとも0.3時間、例えば0.5〜1.5時間、0.5〜3時間行う、技術的解決手段3〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
〔技術的解決手段8〕
上記工程(2)において、
1回目の焼成を、0〜100%の水蒸気の条件において、少なくとも0.5時間、例えば0.5〜4.0時間、1.0〜4.0時間、もしくは1.5〜3.0時間、500〜650℃、例えば550〜620℃、530〜630℃で行う、技術的解決手段3〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
〔技術的解決手段9〕
上記工程(3)において、
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、アンモニウム塩溶液とを接触させる場合、上記接触を室温から100℃までの温度、例えば60〜80℃で、少なくとも0.3時間、例えば0.3〜3.0時間、0.5〜3時間、もしくは0.5〜1.5時間かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトとアンモニウム塩溶液との割合について、ゼオライト(無水ベース):アンモニウム塩:水の重量比が、1:(0.05〜0.5):(5〜30)、例えば1:(0.1〜0.4):(8〜15)であり;レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト(無水ベースのゼオライトに基づく)に対する、レアアース溶液中のレアアース元素(レアアース酸化物(RE)として)の重量比が0.01〜0.2、例えば0.02〜0.12となる量のレアアース溶液を加え;上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびそれらの混合物から構成される群から選択され;
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、酸溶液を接触させる場合、上記接触を室温から100℃までの温度、例えば60〜80℃で、少なくとも0.3時間、例えば0.3〜3.0時間、0.5〜3時間、もしくは0.5〜1.5時間かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと酸溶液との割合について、ゼオライト(無水ベース):酸:水の重量比が、1:(0.03〜0.2):(5〜30)、例えば1:(0.05〜0.1):(8〜15)であり、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト(無水ベースのゼオライトに基づく)に対するレアアース溶液中のレアアース元素(レアアース酸化物(RE)として)の重量比が0.01〜0.2、例えば0.02〜0.12となる量のレアアース溶液を加え;上記酸は、硫酸、塩酸、硝酸およびそれらの混合物から構成される群から選択される無機酸、もしくはシュウ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸およびその混合物から構成される群から選択される有機酸から選択され;
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、アンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させる場合、上記接触を室温から100℃までの温度、例えば60〜80℃で、少なくとも0.3時間、例えば0.3〜3.0時間、0.5〜3時間、もしくは0.5〜1.5時間かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト、アンモニウム塩およびレアアース溶液の割合について、ゼオライト(無水ベース):アンモニウム塩:レアアース酸化物(RE):水の重量比が、1:(0.05〜0.5):(0.01〜0.2):(5〜30)、好ましくは1:(0.1〜0.4):(0.02〜0.12):(8〜15)であり;上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびそれらの混合物から構成される群から選択される、技術的解決手段3〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
〔技術的解決手段10〕
上記工程(3)において、上記接触を行った後、アルカリ溶液を用いて上記混合物のpHを6〜10、例えば7.5〜8.2、7〜9などに調整する、技術的解決手段9に記載の方法。
【0023】
〔技術的解決手段11〕
上記アルカリ溶液が、アンモニア水、ケイ酸ナトリウム、メタアルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、およびそれらの混合物から構成される群から選択される、技術的解決手段10に記載の方法。
【0024】
〔技術的解決手段12〕
上記工程(4)において、2回目の焼成を500〜650℃で、0〜100%の水蒸気の条件において、0.5〜4時間、例えば1〜3時間行う、技術的解決手段3〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
〔好ましい形態の説明〕
本発明によると、レアアースの出発材料の利用効率はレアアース利用率によって示される。レアアース利用率は、レアアース酸化物(RE)としての理論的なレアアース投入量に対する、生成物中のレアアース酸化物(RE)としてのレアアース量の、重量パーセント比をいう。本発明のレアアースを含むY型ゼオライトは98%より大きいレアアース利用率を有する。
【0026】
本発明に記載の骨格内のSi/Al原子比率は、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト中のSiとAlとの原子モル比をいう。また、Si/Al比率にはいくつか測定方法がある。例えば、X線回折および計算による結晶格子パラメータの測定、赤外線分光計、核磁気共鳴(NMR)測定および計算などによって、Si/Al比率は得られる。本発明では、骨格内のSi/Al原子比率は核磁気共鳴(NMR)測定および計算によって得る。本発明で述べられるゼオライトのSi/Al比率はゼオライトの骨格内のSi/Al原子比率をいう。
【0027】
レアアースを含むY型ゼオライトのX線回折スペクトルにおいて、2θ=11.8±0.1°におけるピークは、ソーダライトケージにおけるレアアースの寄与を特徴づけるために使用され、I1はそのピークの強度を表すものとして使用される。また、2θ=12.3±0.1°におけるピークはスーパーケージにおけるレアアースの寄与を特徴づけるために使用され、I2はそのピークの強度を表すものとして使用される。I2に対するI1の比率はスーパーケージからソーダライトケージに移動したレアアースの度合いを特徴づけるものとして使用される。本発明によると、ピーク強度はピークが形成される面に対する相対的な強度である(言い換えると、ピーク強度はベースライン強度を差し引いたピーク強度である)。例えば、レアアースを含むY型ゼオライトのX線回折スペクトルにおいて、2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比率(I1/I2)が5であり、ゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの質量パーセントが10%であるとすると、その積は5×10=50となる。本発明のレアアースを含むY型ゼオライトのX線回折スペクトルにおいて、2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比率(I1/I2)と、ゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの質量パーセントとの積は48よりも大きい。本発明によると、前述の積の上限は限定されるものではなく、例えばその上限は200であってもよいし、例えば100であってもよい。本発明の好ましい形態では、前述の積の範囲は、48〜200、例えば48〜100である。より好ましくは、前述の積は55よりも大きく、60よりも大きく、70よりも大きく、例えば55〜200(例えば55〜90)である。
【0028】
本発明によると、前述の結晶化度の保持率は、エージング処理前の試料の結晶化度に対するエージング処理後の試料の結晶化度の比である。エージング処理は以下の処理を含む。すなわち、ゼオライトと塩化アンモニウムとを混合し、NaO量が0.3重量%以下になるまで交換を行う。その後、ろ過、乾燥し、100%の水蒸気の条件で17時間、800℃においてエージングを行う。ゼオライトのNaO量が0.3重量%以下であれば、交換、ろ過、乾燥を行わずに、直接、100%の水蒸気の条件で17時間、800℃においてエージングを行う。
【0029】
本発明の一態様において、本発明のレアアースを含むY型ゼオライトは、レアアース酸化物としてのレアアース量が10〜25重量%(例えば11〜23重量%)であり、単位格子の大きさが2.440〜2.472nm(例えば2.450〜2.470nm)であり、結晶化度が35〜65%(例えば40〜60%)であり、骨格におけるSi/Al原子比率が2.5〜5.0であり、ゼオライトのX線回折スペクトルの2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度Iに対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度Iの比(I/I)と、ゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量パーセントとの積が48よりも大きいことを特徴としている。本発明におけるレアアースを含むY型ゼオライトは、100%の水蒸気の条件で800℃において17時間エージング処理した後の結晶化度の保持率が、40%よりも大きく、例えば45%よりも大きい。
【0030】
本発明の別の態様において、本発明はレアアースを含むY型ゼオライトの製造方法を提供する。この製造方法は2-交換-2-焼成処理とレアアースの析出とを組み合わせた方法である。
【0031】
本発明の一実施形態において、本発明のレアアースを含むY型ゼオライトの製造方法は以下の工程を含む:
(1)NaYゼオライトと、レアアース溶液もしくはアンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させ、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(2)工程(1)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトに対して1回目の焼成を行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(3)工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、アンモニウム塩溶液もしくは酸溶液に接触させた後、レアアース溶液と混合し、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程、もしくは、
工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、アンモニウム塩溶液とレアアース溶液との混合溶液と接触させた後、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;および、
(4)工程(3)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトに対して2回目の焼成を行い、目的のレアアースを含むY型ゼオライトを得る工程。
【0032】
本発明の別の実施形態において、本発明のレアアースを含むY型ゼオライトの製造方法は以下の工程を含む:
(1)NaYゼオライトと、レアアース溶液もしくはアンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させ、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(2)工程(1)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをろ過し、水で洗浄し、乾燥した後、1回目の焼成を行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(3)工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをアンモニウム塩溶液に接触させ、ろ過せずにレアアース溶液と混合した後、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程、もしくは、
工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、アンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液と接触させた後、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;および、
(4)工程(3)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをろ過し、水で洗浄し、乾燥した後、2回目の焼成を行い、目的のレアアースを含むY型ゼオライトを得る工程。
【0033】
本発明の別の実施形態において、本発明のレアアースを含むY型ゼオライトの製造方法は以下の工程を含む:
(1)NaYゼオライトと、レアアース溶液もしくはアンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させ、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(2)工程(1)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトをろ過し、水で洗浄し、乾燥した後、1回目の焼成を行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;
(3)工程(2)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、アンモニウム塩溶液もしくは酸溶液に接触させ、ろ過した後、レアアース溶液と混合し、混合物のpHを6〜10に調整することにより、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを得る工程;および、
(4)工程(3)で得られたレアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトを、任意にろ過し水で洗浄し乾燥した後、2回目の焼成を行い、目的のレアアースを含むY型ゼオライトを得る工程。
【0034】
本発明の製造方法において、出発材料としてのNaYゼオライトは骨格内のSi/Al原子比率が好ましくは2.5よりも大きく、結晶化度は80%よりも大きい。
【0035】
本発明の製造方法において、上記アンモニウム塩は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびこれらいずれかの混合物からなる群から選択される。
【0036】
上記レアアースを含むY型ゼオライトの製造方法の工程(1)において、NaYゼオライト(無水ベース)に対するレアアース溶液(レアアース酸化剤として)の重量比が0.06〜0.14、例えば0.07〜0.12であり、
レアアース溶液(レアアース酸化剤として)に対するアンモニウム塩(塩化アンモニウムとして)の重量比が0〜10、例えば0.2〜3、0〜5等であり、
上記アンモニウム塩が塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、およびそれらの混合物から構成される群から選択され、
上記pHを3.0〜5.0に調整し、
ゼオライトに対する水の重量比が5〜30、例えば、7〜15であり、
上記接触を、室温(18〜26℃)から100℃までの温度、例えば70〜95℃で少なくとも0.3時間、例えば0.5〜1.5時間、0.5〜3時間行う。
【0037】
上記レアアースを含むY型ゼオライトの製造方法の工程(2)において、1回目の焼成を、0〜100%の水蒸気の条件において、少なくとも0.5時間、例えば0.5〜4.0時間、1.0〜4.0時間、もしくは1.5〜3.0時間、500〜650℃、例えば550〜620℃、530〜630℃で行う。この焼成により、ゼオライトのスーパーケージからソーダライトケージへのレアアースイオンの移動が促進される。1回目の焼成は、好ましくは1〜100%、より好ましくは20〜100%、さらに好ましくは100%の水蒸気の条件で行う。
【0038】
上記レアアースを含むY型ゼオライトの製造方法の工程(3)において、
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、アンモニウム塩溶液とを接触させる場合、上記接触を室温から100℃までの温度、例えば60〜80℃で、少なくとも0.3時間、例えば0.3〜3.0時間、0.5〜3時間、もしくは0.5〜1.5時間かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトとアンモニウム塩溶液との割合について、ゼオライト(無水ベース):アンモニウム塩:水の重量比が、1:(0.05〜0.5):(5〜30)、例えば1:(0.1〜0.4):(8〜15)であり;レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト(無水ベースのゼオライトに基づく)に対する、レアアース溶液中のレアアース元素(レアアース酸化物(RE)として)の重量比が0.01〜0.2、例えば0.02〜0.12となる量のレアアース溶液を加え;上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびそれらの混合物から構成される群から選択され;
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、酸溶液を接触させる場合、上記接触を室温から100℃までの温度、例えば60〜80℃で、少なくとも0.3時間、例えば0.3〜3.0時間、0.5〜3時間、もしくは0.5〜1.5時間かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと酸溶液との割合について、ゼオライト(無水ベース):酸:水の重量比が、1:(0.03〜0.2):(5〜30)、例えば1:(0.05〜0.1):(8〜15)であり、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト(無水ベースのゼオライトに基づく)に対するレアアース溶液中のレアアース元素(レアアース酸化物(RE)として)の重量比が0.01〜0.2、例えば0.02〜0.12となる量のレアアース溶液を加え;上記酸は、硫酸、塩酸、硝酸およびそれらの混合物から構成される群から選択される無機酸、もしくはシュウ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸およびその混合物から構成される群から選択される有機酸から選択され;
レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトと、アンモニウム塩溶液およびレアアース溶液の混合溶液とを接触させる場合、上記接触を室温から100℃までの温度、例えば60〜80℃で、少なくとも0.3時間、例えば0.3〜3.0時間、0.5〜3時間、もしくは0.5〜1.5時間かけて行い、レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライト、アンモニウム塩およびレアアース溶液の割合について、ゼオライト(無水ベース):アンモニウム塩:レアアース酸化物(RE):水の重量比が、1:(0.05〜0.5):(0.01〜0.2):(5〜30)、例えば1:(0.1〜0.4):(0.02〜0.12):(8〜15)であり;上記アンモニウム塩が、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムおよびそれらの混合物から構成される群から選択される。
【0039】
上記接触を行った後、アルカリ溶液を用いて上記混合物のpHを6〜10、例えば7.5〜8.2、7〜9などに調整することにより、すべてのレアアースイオンがレアアース水酸化物として析出する、すなわちレアアースが析出する。接触の時間は特に限定されるものではなく、例えば5分間〜2時間、例えば10〜60分間、10〜30分間である。上記アルカリ溶液が、アンモニア水、ケイ酸ナトリウム、メタアルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、およびそれらの混合物から構成される群から選択される。
【0040】
上記レアアースを含むY型ゼオライトの製造プロセスの工程(4)において、2回目の焼成は500〜650℃で、0〜100%の水蒸気の条件において、0.5〜4時間、例えば1〜3時間行う。2回目の焼成は、好ましくは1〜100%、より好ましくは20〜100%、さらに好ましくは100%の水蒸気の条件で行う。
【0041】
前述の工程(1)〜(4)に記載された様々な条件(好ましい条件および例示した条件を含む)は技術的解決を得るために組み合わせることができ、そのような組み合わせも本発明の範囲に含まれる。
【0042】
本発明の製造方法によると、レアアースは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)から成る群から選択される。好ましくは、レアアースは、ランタン(La)およびセリウム(Ce)から成る群から選択される。レアアースの出発材料は、硝酸塩や塩酸塩等の可溶性塩の形態で供給される。レアアースの出発材料は、単一のレアアース元素を含む塩化レアアースもしくは硝酸レアアース、例えば、塩化ランタン、硝酸ランタン、塩化セリウム、硝酸セリウム等であってもよい。また、レアアースの出発材料は、様々なレアアース元素比を有する混合レアアース物質、例えば、セリウムリッチもしくはランタンリッチな混合レアアース物質であってもよい。例えば、前述のレアアース溶液は、硝酸ランタン、硝酸セリウム、塩化ランタン、塩化セリウム、混合硝酸レアアースおよび混合塩化レアアースを、1種以上を含む溶液であってもよい。ここで、上記混合硝酸レアアースは、(RExREx...REx)(NOを示す。REx、REx、…、RExはレアアース元素であり、nは2以上の整数であり、x1+x2+…+xnの合計は1である。上記混合塩化レアアース(塩化レアアースとも呼ぶ)は、(REyREy...REy)Clを示す。REy、REy、…、REyはレアアース元素であり、nは2以上の整数であり、y1+y2+…+ynの合計は1である。
【0043】
本発明の製造方法によると、レアアースを含むY型ゼオライトは、1回の液相でのレアアースイオンの交換と1回の固相でのレアアースイオンの移動とにより作製される。2回の焼成と組み合わせたレアアースの交換とレアアースの析出とを含む方法は、レアアースがほとんどもしくは全く損失せず、レアアースイオンがスーパーケージからソーダライトケージに移動することを保証する。レアアース含有量は、柔軟に調整し正確に制御することができ、またその操作は簡単である。さらに、アンモニウム塩を用いた2回目の交換において、アンモニウム塩との接触後かつレアアースの析出前において、ろ過の工程を省略することができる。それゆえ、製造工程が短縮され、レアアースの消失をさらに減少することができる。本発明によると、レアアースの利用率は98%以上である。レアアース源は効果的に削減され、製造コストがさらに減少する。
【0044】
従来の方法(中国特許出願公開第1053808号や中国特許第100344374号、もしくは慣用的な工業的2-交換-2-焼成処理など)によって得られたY型ゼオライトでは、100%の水蒸気の条件において800℃で17時間のエージング処理後の結晶化度の保持率は40%未満である。それに対して、本発明のレアアースを含むY型ゼオライトでは、100%の水蒸気の条件において800℃で17時間のエージング処理後の結晶化度の保持率は、40%よりも大きく、例えば45%よりも大きく、優れた構造安定性を示す。それゆえ、本発明のレアアースを含むY型ゼオライトは、従来技術と比べて、良好な構造安定性を示す。本発明のレアアースを含むY型ゼオライトは、良好な活性安定性(高い軽油のマイクロ活性(MA)値)を示す。触媒の活性成分要素として、本発明のレアアースを含むY型ゼオライトを用いると、使用する触媒の量を削減することができ、触媒製造コストを減少させることができる。
【0045】
〔実施例〕
以下に、本発明について実施例を用いてさらに説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されない。
【0046】
本発明において、ゼオライトの化学組成は蛍光X線分光器によって決定する(Analytical Methods in Petrochemical Industry (RIPP Experiment Techniques), Yang Cuiding et.al, Science Press, 1990参照)。
【0047】
相データ(単位格子の大きさなど)および分子サイズの結晶化度のデータは、それぞれ、標準法RIPP145-90および標準法RIPP146-90によるX線回折によって決定する(Analytical Methods in Petrochemical Industry (RIPP Experiment Techniques), Yang Cuiding et.al, Science Press, 1990参照)。
【0048】
ゼオライト骨格内のSi/Al原子比率は核磁気共鳴(NMR)測定および計算によって得る。
【0049】
軽油のマイクロ活性(MA)は標準法RIPP92-90によって測定する。
【0050】
実施例および比較例において、使用した出発材料は市販品であり、詳細な規格は以下のとおりである。
・NaYゼオライトは工業グレードであり、Sinopec Catalyst Company、Qilu Divisionから入手可能である。
・塩化レアアースは工業グレードであり、Sinopec Catalyst Company、Qilu Divisionから入手可能である。また、(Laとしての)ランタン:(Ceとしての)セリウムの質量比は55:45である。
・その他:化学的に純粋である。
【0051】
〔実施例1〕
NaYゼオライト(Qilu catalyst company、焼成損失が22.5重量%、Si/Al比率が2.7、結晶化度が88%、以下同様)2.6kgと脱イオン水15kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.0Lと固体の塩化アンモニウム0.24kgとを加えた。撹拌した後、スラリーを70℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを4.0に調整した。1.5時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、100%の水蒸気の条件で550℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトY-A1を得た。Y-A1の化学組成は、NaOが5.1重量%、レアアース酸化物が7.8重量%である。その後、ゼオライト:NH4Cl:H2Oが1:0.2:10の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、70℃で1時間交換を行った。スラリーに、濃度300gRE/Lの塩化レアアース溶液0.27Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにアンモニア水を加え、pHを7.5に調整し、10分間撹拌し続けた。ろ過し、水で洗浄し、乾燥させ、100%の水蒸気の条件で600℃において2時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をY−Aとする。
【0052】
Y−AのX線回折スペクトルを図1に示す。
【0053】
Y−Aは、NaOが1.5重量%、レアアース酸化物が11.9重量%、結晶化度が50.1%、単位格子の大きさが2.458nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.5である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)と、ゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は90.0である。
【0054】
〔実施例2〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水18kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.25Lと固体の塩化アンモニウム0.12kgとを加えた。撹拌した後、スラリーを80℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.8に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、空気中で570℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトY-B1を得た。Y-B1の化学組成は、NaOが4.9重量%、レアアース酸化物が9.9重量%である。その後、ゼオライト:NH4Cl:H2Oが1:0.3:10の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、60℃で0.5時間交換を行った。スラリーに、濃度300gRe/Lの塩化レアアース溶液0.13Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにアンモニア水を加え、pHを7.8に調整し、10分間撹拌し続けた。ろ過し、水で洗浄し、乾燥させ、空気中で570℃において2時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をY−Bとする。
【0055】
Y−BのX線回折スペクトルは図1で示したX線回折スペクトルと同様であった。
【0056】
Y−Bは、NaOが1.5重量%、レアアース酸化物が11.9重量%、結晶化度が50.6%、単位格子の大きさが2.463nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が2.9である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)と、ゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は54.1である。
【0057】
〔実施例3〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水18kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.25Lと固体の塩化アンモニウム0.12kgとを加えた。撹拌した後、スラリーを80℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.8に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、50%の水蒸気の条件で570℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトY-C1を得た。Y-C1の化学組成は、NaOが4.9重量%、レアアース酸化物が9.9重量%である。その後、ゼオライト:NH4Cl:H2Oが1:0.15:12の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、75℃で1時間交換を行った。スラリーに、濃度300gRE/Lの塩化レアアース溶液0.27Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにケイ酸ナトリウムを加え、pHを8.0に調整し、10分間撹拌し続けた。ろ過し、水で洗浄し、乾燥させ、空気中で570℃において2時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をY−Cとする。
【0058】
Y−CのX線回折スペクトルは図1で示したX線回折スペクトルと同様であった。
【0059】
Y-Cは、NaOが1.3重量%、レアアース酸化物が13.9重量%、結晶化度が48.8%、単位格子の大きさが2.465nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.1である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は55.6である。
【0060】
〔実施例4〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水18kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.25Lと固体の塩化アンモニウム0.12kgとを加えた。撹拌した後、スラリーを80℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.8に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、空気中で600℃において1.5時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトY-D1を得た。Y-D1は次のような化学組成を有する。それは、NaOが4.9重量%、レアアース酸化物が9.9重量%である。その後、Y-D1、塩化アンモニウムおよび濃度300gRE/Lの塩化レアアース溶液をゼオライト:NH4Cl:RE2O3:H2O=1:0.15:0.06:12の比で混合しパルプ状にし、75℃で1時間交換を行った。その後、スラリーにケイ酸ナトリウムを加え、pHを8.0に調整し、10分間撹拌し続けた。ろ過し、水で洗浄し、乾燥させ、100%の水蒸気の条件で570℃において3時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をY−Dとする。
【0061】
Y−DのX線回折スペクトルは図1で示したX線回折スペクトルと同様であった。
【0062】
Y−Dは、NaOが1.3重量%、レアアース酸化物が16.0重量%、結晶化度が46.6%、単位格子の大きさが2.467nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.0である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は57.2である。
【0063】
〔実施例5〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水20kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.5Lを加えた。撹拌した後、スラリーを75℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.5に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、100%の水蒸気の条件で600℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトY-E1を得た。Y-E1の化学組成は、NaOが4.8重量%、レアアース酸化物が11.9重量%である。その後、ゼオライト:NH4Cl:H2Oが1:0.3:10の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、70℃で1時間交換を行った。スラリーに、濃度300gRE/Lの塩化レアアース溶液0.4Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにアンモニア水を加え、pHを7.9に調整し、10分間撹拌し続けた。ろ過し、水で洗浄し、乾燥させ、80%の水蒸気の条件で600℃において2時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をY−Eとする。
【0064】
Y−EのX線回折スペクトルは図1で示したX線回折スペクトルと同様であった。
【0065】
Y−Eは、NaOが1.3重量%、レアアース酸化物が17.9重量%、結晶化度が45.2%、単位格子の大きさが2.467nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.2である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は62.6である。
【0066】
〔実施例6〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水20kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gLa2O3/Lの塩化ランタン溶液1.5Lを加えた。撹拌した後、スラリーを75℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.5に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、空気中で620℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトY-F1を得た。Y-F1の化学組成は、NaOが4.8重量%、酸化ランタンが11.9重量%である。その後、Y-F1、塩化アンモニウムおよび塩化ランタン溶液をゼオライト:NH4Cl:La2O3:H2O=1:0.18:0.10:12の比で混合しパルプ状にし、65℃で1時間交換を行った。スラリーにアンモニア水を加え、pHを8.2に調整し、10分間撹拌し続けた。ろ過し、水で洗浄し、乾燥させ、100%の水蒸気の条件で620℃において3時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をY−Fとする。
【0067】
Y−FのX線回折スペクトルは図1で示したX線回折スペクトルと同様であった。
【0068】
Y−Fは、NaOが1.5重量%、酸化ランタンが22.0重量%、結晶化度が41.3%、単位格子の大きさが2.470nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.1である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は70.1である。
【0069】
〔実施例11〕
NaYゼオライト(Qilu catalyst company、焼成損失が22.5重量%、Si/Al比率が2.7、結晶化度が88%、以下同様)2.6kgと脱イオン水15kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.0Lと固体の塩化アンモニウム0.24kgとを加えた。撹拌した後、スラリーを70℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを4.0に調整した。1.5時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、100%の水蒸気の条件で550℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトYY−A1を得た。YY−A1の化学組成は、NaOが5.1重量%、レアアース酸化物が7.8重量%である。その後、ゼオライト:NH4Cl:H2Oが1:0.2:10の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、70℃で1時間交換を行った。ろ過し、水で洗浄した後、得られた物質を再びパルプ状にした。このスラリーに、濃度300gRE/Lの塩化レアアース溶液0.27Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにアンモニア水を加え、pHを7.5に調整し、10分間撹拌し続けた。任意にろ過し水で洗浄し乾燥させ、100%の水蒸気の条件で600℃において2時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をYY−Aとする。
【0070】
YY−Aは、NaOが1.5重量%、レアアース酸化物が11.8重量%、結晶化度が50.3%、単位格子の大きさが2.458nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.5である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は89.7である。
【0071】
〔実施例12〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水18kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.25Lと固体の塩化アンモニウム0.12kgとを加えた。撹拌した後、スラリーを80℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.8に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、空気中で570℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトYY−B1を得た。YY−B1の化学組成は、NaOが4.9重量%、レアアース酸化物が9.9重量%である。その後、ゼオライト:HCl:H2Oが1:0.05:10の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、60℃で0.5時間交換を行った。ろ過し、水で洗浄した後、得られた物質を再びパルプ状にした。このスラリーに、濃度300gRE/Lの塩化レアアース溶液0.13Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにアンモニア水を加え、pHを7.8に調整し、10分間撹拌し続けた。任意にろ過し水で洗浄し乾燥させ、空気中で570℃において2時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をYY−Bとする。
【0072】
YY−Bは、NaOが1.5重量%、レアアース酸化物が11.9重量%を有し、結晶化度が50.6%、単位格子の大きさが2.463nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が2.9である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は48.8である。
【0073】
〔実施例13〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水18kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.25Lと固体の塩化アンモニウム0.12kgとを加えた。撹拌した後、スラリーを80℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.8に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、50%の水蒸気の条件で570℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトYY-C1を得た。YY-C1の化学組成は、NaOが4.9重量%、レアアース酸化物が9.9重量%である。その後、ゼオライト:NH4Cl:H2Oが1:0.15:12の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、75℃で1時間交換を行った。ろ過し、水で洗浄した後、得られた物質を再びパルプ状にした。このスラリーに、濃度300gRE/Lの塩化レアアース溶液0.27Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにケイ酸ナトリウムを加え、pHを8.0に調整し、10分間撹拌し続けた。任意にろ過し水で洗浄し乾燥させ、空気中で570℃において2時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をYY−Cとする。
【0074】
YY−Cは、NaOが1.3重量%、レアアース酸化物が13.9重量%、結晶化度が48.8%、単位格子の大きさが2.465nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.1である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は55.6である。
【0075】
〔実施例14〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水18kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.25Lと固体の塩化アンモニウム0.12kgとを加えた。撹拌した後、スラリーを80℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.8に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、空気中で600℃において1.5時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトYY−D1を得た。YY−D1の化学組成は、NaOが4.9重量%、レアアース酸化物が9.9重量%である。その後、ゼオライト:NH4Cl:H2Oが1:0.15:12の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、75℃で1時間交換を行った。ろ過し、水で洗浄した後、得られた物質を再びパルプ状にした。このスラリーに、濃度300gRE/Lの塩化レアアース溶液0.4Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにケイ酸ナトリウムを加え、pHを8.0に調整し、10分間撹拌し続けた。任意にろ過し水で洗浄し乾燥させ、100%の水蒸気の条件で570℃において3時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をYY−Dとする。
【0076】
YY−Dは、NaOが1.3重量%、レアアース酸化物が15.9重量%、結晶化度が46.9%、単位格子の大きさが2.466nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.0である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は57.2である。
【0077】
〔実施例15〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水20kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gRE/Lの塩化レアアース溶液1.5Lを加えた。撹拌した後、スラリーを75℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.5に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、100%の水蒸気の条件で600℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトYY−E1を得た。YY−E1の化学組成は、NaOが4.8重量%、レアアース酸化物が11.9重量%である。その後、ゼオライト:NH4Cl:H2Oが1:0.3:10の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、70℃で1時間交換を行った。ろ過し、水で洗浄した後、得られた物質を再びパルプ状にした。このスラリーに、濃度300gRE/Lの塩化レアアース溶液0.4Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにアンモニア水を加え、pHを7.9に調整し、10分間撹拌し続けた。任意にろ過し水で洗浄し乾燥させ、80%の水蒸気の条件で600℃において2時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をYY−Eとする。
【0078】
YY−Eは、NaOが1.3重量%、レアアース酸化物が17.9重量%、結晶化度が45.2%、単位格子の大きさが2.467nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.2である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は62.6である。
【0079】
〔実施例16〕
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水20kgとを混合し、パルプ状にした。この混合物に、濃度160gLa/Lの塩化ランタン溶液1.5Lを加えた。撹拌した後、スラリーを75℃まで加温し、希塩酸を用いてスラリーのpHを3.5に調整した。1時間の交換を行い、ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。その後、空気中で620℃において2時間焼成することにより、「1-交換-1-焼成」レアアースおよびナトリウムを含むY型ゼオライトYY−F1を得た。YY−F1の化学組成は、NaOが4.8重量%、レアアース酸化物が11.9重量%である。その後、ゼオライト:シュウ酸:H2Oが1:0.08:12の比でスラリーを形成し、パルプ状にし、65℃で1時間交換を行った。ろ過し、水で洗浄した後、得られた物質を再びパルプ状にした。このスラリーに、濃度300gLa/Lの塩化ランタン溶液0.67Lを加え、均一に撹拌した。スラリーにアンモニア水を加え、pHを8.2に調整し、10分間撹拌し続けた。任意にろ過し水で洗浄し乾燥させ、100%の水蒸気の条件で620℃において3時間焼成することにより、本発明のレアアースを含むY型ゼオライト生成物を得た。この生成物をYY−Fとする。
【0080】
YY-Fは、NaOが1.5重量%、酸化ランタンが21.9重量%を有し、結晶化度が41.7%、単位格子の大きさが2.470nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.1である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は70.1である。
【0081】
〔比較例1〕
この比較例では、中国特許出願公開第1053808号に開示されている方法によってレアアースを含むY型ゼオライトを作製した。
【0082】
NaYゼオライト2.6kg、塩化レアアース溶液(160gRE/L)1.75Lおよび脱イオン水30kgを混合した。スラリーのpHを3.5に調整し、90℃で1時間交換を行った。撹拌し、水で洗浄した後、ろ過した塊を筒型炉に配置した。200℃まで加熱し、水蒸気を通した。550℃まで加熱し、2時間焼成した。それにより得られたゼオライト、(NH4)2SO4およびH2Oを1:0.2:40の比でパルプ状にした。スラリーを60℃で15分間交換を行い、ろ過し、乾燥して比較例の試料を得た。この試料をDB−1とする。
【0083】
DB−1のX線回折スペクトルを図2に示す。
【0084】
DB−1は、NaOが1.3重量%、レアアース酸化物が12.1重量%、結晶化度が56.7%、単位格子の大きさが2.468nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が4.2である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は15.7である。
【0085】
〔比較例2〕
この比較例では、慣用的な2-交換-2-焼成方法によってレアアースを含むY型ゼオライトを作製した。
【0086】
NaYゼオライト2.6kg、塩化レアアース溶液(160gRE/L)3.0Lおよび脱イオン水20kgを混合し、90℃で1時間交換を行った。ろ過し、水で洗浄し、乾燥させ、空気中で520℃において2時間焼成した。それにより得られたゼオライト、塩化レアアース溶液およびHOを1:0.12:10の比でパルプ状にし、90℃で1時間交換を行った。ろ過し、乾燥させ、520℃において2時間焼成することにより、比較例の試料を得た。この試料をDB−2とする。
【0087】
DB−2のX線回折スペクトルは図2で示したX線回折スペクトルと同様であった。
【0088】
DB−2は、NaOが1.9重量%、レアアース酸化物が18.2重量%、結晶化度が43.6%、単位格子の大きさが2.469nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が2.7である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は16.4である。
【0089】
〔比較例3〕
この比較例では、中国特許第100344374号に開示されている方法によってレアアースを含むY型ゼオライトを作製した。
【0090】
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水20kgとを混合し、90℃に加温した。このスラリーに硫酸アンモニウム0.3kgを加え、塩酸を用いて得られたスラリーのpHを3.5〜4.0に調整し、1時間交換を行った。ろ過した後、ろ過した塊に水20kgを加えた後、塩化レアアース溶液(160gRE/L)2.87Lを加えた。スラリーをパルプ状にして、塩酸を用いてpHを3.5〜5.5に調整した。スラリーを室温で1時間撹拌した。その後、アンモニア水を加えて、5分間撹拌した。水で洗浄し、乾燥した後、重量空間速度(WHSV)0.1/hの蒸気中で540℃において1.5時間焼成した。焼成したゼオライトをゼオライト:アンモニウム塩:水=1:0.1:10の比で60℃において10分間塩化アンモニア溶液を用いて洗浄し、乾燥させて比較例の試料を得た。この使用をDB−3とする。
【0091】
DB−3のX線回折スペクトルは図2で示したX線回折スペクトルと同様であった。
【0092】
DB−3は、NaOが0.2重量%、レアアース酸化物が20.6重量%、結晶化度が50.7%、単位格子の大きさが2.472nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.7である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は26.8である。
【0093】
〔比較例4〕
この比較例では、中国特許第100344374号に開示されている方法によってレアアースを含むY型ゼオライトを作製した。
【0094】
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水20kgを混合し、パルプ状にした。このスラリーに塩化レアアース溶液(160gRE/L)1.63Lを加えた。得られたスラリーを60℃で5分間撹拌し、塩酸を用いてpHを3.5〜5.5に調整した。1時間撹拌した後、このスラリーにアンモニア水を加えた。スラリーを5分間撹拌し、ろ過した。水で洗浄し、乾燥させた後、重量空間速度(WHSV)0.2/hの蒸気内で600℃において1.5時間焼成した。焼成したゼオライトをゼオライト:アンモニウム塩:水=1:0.1:10の比で90℃において10分間塩化アンモニア溶液を用いて洗浄し、乾燥させて比較例の試料を得た。この試料DB−4とする。
【0095】
DB−4のX線回折スペクトルは図2で示したX線回折スペクトルと同様であった。
【0096】
DB−4は、NaOが0.8重量%、レアアース酸化物が11.8重量%、結晶化度が56.5%、単位格子の大きさが2.465nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.3である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は40.1である。
【0097】
〔比較例5〕
この比較例では、中国特許第100344374号に開示されている方法によってレアアースを含むY型ゼオライトを作製した。
【0098】
NaYゼオライト2.6kgと脱イオン水20kgとを混合し、パルプ状にした。このスラリーに塩化レアアース溶液(160gRE/L)2.19Lを加えた。得られたスラリーを60℃で5分間撹拌し、塩酸を用いてpHを3.5〜5.5に調整した。1時間撹拌した後、このスラリーにアンモニア水を加えた。スラリーを5分間撹拌し、ろ過した。水で洗浄し、乾燥させた後、空気中で550℃において1.5時間焼成した。焼成したゼオライトをゼオライト:アンモニウム塩:水=1:0.1:10の比で60℃において10分間塩化アンモニア溶液を用いて洗浄し、乾燥させて比較例の試料を得た。この試料をDB−5とする。
【0099】
DB−5のX線回折スペクトルは図2で示したX線回折スペクトルと同様であった。
【0100】
DB−5は、NaOが1.0重量%、レアアース酸化物が15.7重量%、結晶化度が52.9%、単位格子の大きさが2.467nmであり、骨格におけるSi/Al原子比率が3.6である。2θ=12.3±0.1°におけるピーク強度I2に対する2θ=11.8±0.1°におけるピーク強度I1の比(I1/I2)とゼオライト中のレアアース酸化物としてのレアアースの重量%との積は30.9である。
【0101】
〔実施例21〕
この実施例では、実施例1〜6、11〜16および比較例1〜5に記載のレアアースを含むY型ゼオライトのレアアース利用率についてのデータを表1にまとめる。
【0102】
【表1】
【0103】
表1のように、実施例における各ゼオライトのレアアース利用率は98%以上である。一方、比較例におけるレアアース利用率は実施例よりも低い。比較例2におけるレアアース利用率はおよそ75%しかなく、他の比較例についても90%以下である。本発明による、2-交換-2-焼成とレアアースの析出とを組み合わせた方法によって、レアアース利用率は効果的に上昇し、レアアース源を削減することができる。
【0104】
〔実施例22〕
この実施例では、100%の水蒸気の条件で800℃において17時間エージング処理した後の本発明のレアアースを含むY型ゼオライトの物理化学データを示す。
【0105】
前述の実施例および比較例のゼオライトを塩化アンモニウム溶液と混合し、NaO量が0.3重量%以下になるまで交換した。ろ過し、乾燥した後、ゼオライトを100%の水蒸気の条件で800℃において17時間エージングした。エージングされたゼオライトについて物理化学的特徴および軽油のマイクロ活性(MA)を測定した。
【0106】
軽油のマイクロ活性(MA)の条件は以下を含む:
ゼオライト重量:2g、
供給原料:ターカンストレートラン軽ディーゼル燃料、
供給原料量:1.56g、
反応温度:460℃。
結果を表2に示す。
【0107】
【表2】
【0108】
表2のように、実施例のゼオライトにおいてアンモニア交換およびナトリウム除去後、実施例のレアアース量はほとんど変化していない。これは、レアアースイオンは主にゼオライトのソーダライトケージに位置し、逆交換されて出ていくことができないことを示している。ソーダライトケージにレアアースイオンが存在することはゼオライトの構造について重要な安定効果を持っている。実施例のゼオライトの結晶化度の保持率は45%よりも大きく、軽油のマイクロ活性は同程度のレアアース量を持つ比較例の軽油のマイクロ活性より高い。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】実施例1において製造されたレアアースを含むY型ゼオライトのX線回折スペクトルである。
図2】比較例1において製造されたレアアースを含むY型ゼオライトのX線回折スペクトルである。
図1
図2