(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラが、前記アクチュエータの1つ以上の圧力を判定するように構成され、前記コントローラが、前記1つ以上の圧力に基づいて前記適用されたトルクを判定するように構成される、請求項6に記載の回転弁。
前記コントローラが、前記トルクの変化率を判定して、前記トルクおよび前記変化率に基づいて、前記シールの状態が所定のレベルに到達するまでシールのシール磨耗サイクルの推定残存数を判定するように構成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の回転弁。
前記コントローラが、前記シール磨耗サイクルの頻度を判定して、前記トルクおよび前記シール磨耗サイクルの頻度に基づいて、前記シールの状態が所定のレベルに到達するまでの推定時間量を判定するように構成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の回転弁。
前記コントローラが、シール磨耗サイクルの計数を判定して、前記計数に基づいて前記シールの状態が所定のレベルに到達するまでシールのシール磨耗サイクルの推定残存数を判定するように構成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の回転弁。
前記コントローラが、シール磨耗サイクルの計数をインクリメントし、前記計数を、前記シールの耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数に対応する変数に関連付けて、前記計数および前記変数に基づいて前記シールの状態を推定するように構成される、請求項10に記載の回転弁。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の装置および方法はボール弁と合わせて説明されるが、例示の装置および方法は任意のその他の回転弁、例えば、フルボアボール弁、分割ボール弁、Vノッチボール弁、バタフライ弁、偏心プラグ弁などとも一緒に用いられてもよい。また、以下の装置および方法は、空気圧式アクチュエータ(例えば、Fisher(登録商標)2052ダイヤフラム式ロータリアクチュエータ)と合わせて説明されているが、例示の装置および方法は、任意のその他のロータリアクチュエータ、例えば油圧アクチュエータ、電動アクチュエータなどと合わせて用いられてもよい。
【0007】
例えば、フルボアボール弁、分割ボール弁、Vノッチボール弁(例えばFisher(
登録商標)Vee−Ball(商標)V150弁、Fisher(登録商標)Vee−Ball(商標)V300弁等)、バタフライ弁、偏心プラグ弁、および/またはその他の回転弁等の回転弁は、工業プロセスを制御するために、プロセス制御システム内にてしばしば使われている。回転弁は通常、シールに対して係合および係脱する流量制御部材(例えば、ディスク、ボール、プラグ等)を含む。流量制御部材を、シールを係合するかシールに押し付けられている第1の閉鎖位置からシールを係脱する第2の位置まで、または第2の位置からシールを係合する第1の位置まで移動するシール磨耗サイクルの間、流量制御部材はシールに応力を与え、かつ/またはシールを磨耗させる場合がある。経時的に、応力および/または磨耗によって、シールは機能しなくなる場合がある。
【0008】
トルク固定回転弁(例えば、バタフライ弁、偏心プラグ等)については、遮断中に、アクチュエータは流量制御部材(例えば、ディスク)がシールと係合しているときに完全定格トルクを出力する。流量制御部材とシールとが係合している間、または係脱している間に、流量制御部材は、シールに対して相対的に移動する。したがって、トルク固定弁のシールの耐用年数は、シール磨耗サイクルの数に対応する。シールが閾状態(例えば、磨耗状態)に到達するまで、遮断状態を得るためにアクチュエータによって発生されるトルクは実質的に一定に保たれる。シールが非金属である場合、シールが閾状態に到達すると、後に続くシール磨耗サイクルについては、シールと流量制御部材との間の干渉が低下するので、遮断状態を達成するためにアクチュエータによって発生するトルクが低下する場合がある。シールが金属からなり、かじり防止コーティングがなされている場合、後に続くシール磨耗サイクルについては、遮断を達成するためにアクチュエータによって発生するトルクが、かじりによって増加する場合がある。シールが金属であり、かじり防止コーティングがされていない場合、遮断を得るためにアクチュエータによって発生されるトルクは、後に続くシール磨耗サイクルでは低下する場合がある。その他の例(例えば、偏心プラグ弁)では、シールの耐用年数はシール磨耗サイクルの数に影響されない。位置固定弁(例えば、ボール弁)については、流量制御部材は、シールと実質的に常に接触している。したがって、シール磨耗サイクルはシールと相対的な流量制御部材の回転を含む。
【0009】
本明細書中に開示される例示の装置および方法は、回転弁のシールの状態を推定するのに用いられる場合がある。本明細書に開示される例示の方法および装置は、回転弁がオンラインである(すなわち、工業プロセスを制御するのに用いられている)間に用いられる場合がある。本明細書中に開示される例示の方法は、回転弁の流量制御部材のシール磨耗サイクルを判定することを含む。いくつかの例では、シール磨耗サイクルは、流量制御部材の、第1のシールに押し付けられている閉鎖位置から、第2の位置への移動を含む。その他の例では、シール磨耗サイクルは、流量制御部材の第2の位置から第1の位置への移動を含む。本明細書中に開示されるいくつかの例は、シール磨耗サイクルに対する流量制御部材を作動させるアクチュエータのトルクを判定して、そのトルクに基づいてシールの状態を推定することをさらに含む。
【0010】
本明細書中に開示される別の例示の方法は、回転弁の流量制御部材におけるシール磨耗サイクルを判定して、シール磨耗サイクルの計数をインクリメントすることを含む。計数は、シールの耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数に対応する変数と関連付けられていてもよい。計数および変数に基づいて、シールの状態が推測される場合がある。いくつかの例では、シールの状態は、計数と、変数に対応するシールの耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数に基づいて比率を計算することによって推定される。
【0011】
図1は、本明細書中に開示される例示の装置および方法を実現する上で用いられてもよい例示のプロセス制御システム100を図示する。例示のプロセス制御システム100は、入力デバイスおよび/または出力デバイス等の、任意の数のプロセス制御デバイス102を備える。いくつかの例では、入力デバイスとしては、弁、ポンプ、ファン、ヒーター
、クーラー、ミキサ、および/またはその他のデバイスが挙げられ、出力デバイスとしては、温度センサ、圧力計、濃度計、流体レベルセンサ、流量メータ、蒸気センサ、弁コントローラ、および/またはその他のデバイスが挙げられる。
【0012】
入出力デバイスは、データバス(例えば、FOUNDATION Fieldbus(商標))またはローカルエリアネットワーク(LAN)106を介して、コントローラ104(例えば、DeltaV(商標)コントローラ)と通信可能に連結されている。入出力デバイスはコントローラ104と無線で通信可能に連結されていてもよい。コントローラ104は入力デバイスに指示を送信することによってプロセスを制御して、出力デバイスから送信される情報(例えば、測定された変数、環境情報、および/または入力デバイス情報等)を受信および/または収集する。コントローラ104は、通知、警告メッセージ、および/またはその他の情報を生成する。コントローラ104はまた、プロセス制御情報(例えば、測定されたプロセス制御情報、警告メッセージ等)を表示するインターフェース110を含むワークステーション108と通信可能に連結されている。
図1では単一のコントローラ104を示しているが、本開示の教示から逸脱することなく、例示のシステム100には1つ以上の追加コントローラが含まれていてもよい。
【0013】
図2は、本明細書中に開示される例を実施するのに用いられ得る例示の回転弁200の断面図を図示する。例示の回転弁200はボール弁(例えば、Fisher(登録商標)Vee−Ball(商標)V150弁)である。しかしながら、本明細書に開示される例を実施するのに、任意のその他の回転弁(例えば、フルボール弁、分割ボール弁、バタフライ弁、プラグ弁、偏心プラグ弁等)を用いてもよい。例示の回転弁200は、流体流動通路204を画定する弁本体202を含む。シール206は流体流動通路204内に設けられて、弁本体202と連結される。流量制御部材208は、シール206に隣接して流体流動通路204内に設けられる。図示される例では、流量制御部材208はボールである。他の例は他の流量制御部材(例えば、ディスク、プラグ等)を含む。シール206は、流量制御部材208がシール206に係合しているかまたは押し付けられている第1の閉鎖位置にあるときに、シール206と流量制御部材208との間に流体シールを提供する。図示される例では、流量制御部材208は、第1の閉鎖位置にある。流量制御部材208は、従動シャフト210および駆動シャフト212と動作可能に連結されている。駆動シャフト212は、例えば、Fisher(登録商標)2052ダイヤフラム式ロータリアクチュエータ等の空気圧式アクチュエータ(図示せず)に連結されていてもよい。アクチュエータは単動アクチュエータであっても、または複動アクチュエータであってもよい。他の例示の回転弁、例えば油圧アクチュエータまたは電動アクチュエータ等を、本明細書中に開示される例を実施するために用いてもよい。アクチュエータは、例えば有効面積、レバーアーム長さ、およびベンチ範囲(すなわち、駆動シャフト212を無荷重下で、完全な開放位置から完全な閉鎖位置まで回転させる圧力の範囲、例えば3psiから15psiまで)等、所定の特徴を有する。その特徴に基づいて、アクチュエータの推定最大トルクが判定される。
【0014】
例示の回転弁200はまた、例えば、Fisher(登録商標)FIELDVUE(商標)DVC6200デジタル弁コントローラ等のデジタル弁コントローラ(「DVC」)(図示せず)を含む。デジタル弁コントローラは、例えば、駆動シャフト212の位置、シャフトの回転方向、弁閉鎖の計数、弁ブレークアウトの計数、アクチュエータ内のピストンの1つ以上の端の圧力、および/またはその他の情報等の情報を収集して判定する、1つ以上のセンサを含む。
【0015】
DVCはアクチュエータと動作可能に連結されており、コントローラ104と通信可能に連結されている。動作中、DVCはコントローラ104から、流量制御部材208を、例えば、シール206から離すように(すなわち、弁を開ける)、シール206に近づけ
るように、および/またはシール206と係合してシール206と流量制御部材208との間に流体シールを形成するように動かす指示を受け取る。DVCは次に、アクチュエータに指示を送信して(例えば、空気信号を介して)、それによって駆動シャフト212が移動する。
【0016】
図示される例では、動作中、DVCは流量制御部材208の1つ以上のシール磨耗サイクルを判定する。いくつかの例では、シール磨耗サイクルはブレークアウトサイクルであり、流量制御部材208の第1の閉鎖位置から第2の位置への移動を含む。他の例では、シール磨耗サイクルは弁閉鎖サイクルであり、第2の位置から第1の閉鎖位置までの流量制御部材208の移動を含む。いくつかの例では、第2の位置は、流量制御部材208がシール206から係脱された、流量制御部材208の位置である。いくつかの例では、第2の位置は、流量制御部材208が最初にシール206に係合するかまたは係脱する位置、例えば、流量制御部材208が第1の閉鎖位置から離れる可能な行程の全体量の約2%の位置に対応する位置である。いくつかの例では、第2の位置は、シール206と流量制御部材208との間の流体シールが最初に破綻または生成する位置である。シール磨耗サイクルの間、DVCはアクチュエータの圧力を判定する。シール206が流量制御部材208と実質的に常に接触するいくつかの例では、シール磨耗サイクルはシール206と相対的な流量制御部材208の回転である。
【0017】
シール磨耗サイクル中のアクチュエータの1つ以上のトルクは、圧力に基づいて算定されてもよい。例えば、単動アクチュエータのトルクを以下の式1を用いて算定してもよく、バネを有しない複動アクチュエータのトルクを以下の式2を用いて算定してもよく、バネを有する複動アクチュエータのトルクを以下の式3を用いて算定してもよい:
【数1】
【数2】
【数3】
式1では、P
最大は、シール磨耗サイクル中にDVCによって判定される最大圧力である。いくつかの例では、P
最大は、シール磨耗サイクル中にDVCによって求められる2つ以上の圧力の平均である。式2および3では、P
1は、アクチュエータのピストンの一端での、DVCによって判定される最大アクチュエータ圧力である。式2では、
【数4】
は、シール磨耗サイクル中に、ピストンの反対側の端における、DVCによって判定される最大差動アクチュエータ圧力である。いくつかの例では、P
1およびP
2は、シール磨耗サイクル中にDVCによって判定される2つ以上の圧力の平均である。式1および3では、P
シート端ベンチ範囲は、アクチュエータの行程のシート端における初期アクチュエータ動作の無荷重状態のアクチュエータの所定の圧力である。いくつかの例では、P
シート端ベンチ範囲は、動作中に取得されたデータに基づいて判定される。他の例では、P
シ
ート端ベンチ範囲は経験的に判定される。いくつかの例では、P
シート端ベンチ範囲は、弁閉鎖中における、P
最大と第1の位置周りでのアクチュエータ圧力との間の差の平均である。P
バネは、アクチュエータのバネに打ち勝つためのアクチュエータ圧力である。式1〜3では、A
アクチュエータは、アクチュエータダイヤフラム、ピストン、または力を生成するために用いられるその他のアクチュエータ部品の有効面積であり、L
レバーアームはアクチュエータのアーム(例えば、レバーアーム等)の長さである。上記の式は単なる例示であり、よって、アクチュエータのトルクは、本開示の範囲から逸脱することなく、その他の式を用いて判定されてもよい。
【0018】
各シール磨耗サイクル中に、流量制御部材208はシール206に応力を与えて、シール206を磨耗させる。結果として、シール206の耐用年数の一部が各シール磨耗サイクル中に消費される。シール206が応力によって磨耗または疲労すると、後続するそれぞれのシール磨耗サイクルを行うためのトルクは増加または低下する場合がある。
【0019】
シール206の耐用年数にわたる推定ライフサイクルまたはシール磨耗サイクル数は、実験的に、例えば、例示の回転弁200と類似または同一の1つ以上の回転弁を試験することによって判定される場合がある。いくつかの例では、1つの類似するまたは同一の回転弁は、その類似または同一の回転弁の流量制御部材を第1の閉鎖位置と第2の位置との間で、シールが失われるまで動かすことで試験される。試験中、シール磨耗サイクルの計数が判定される。よって、試験によってシール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数が得られる。いくつかの例では、シール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数はデータベースに保存される。
【0020】
いくつかの例では、試験中にシール磨耗サイクルのそれぞれについてトルクが判定される。いくつかのそのような例では、トルクは、シールの状態が閾値レベルに到達するまで、シールの耐用年数の一部(例えば、最初の1,250,000シール磨耗サイクル)にわたって実質的に一定であり続ける。シールの状態が閾値レベルに到達すると(例えば、シールが閾値量だけ磨耗すると)、後続するシール磨耗サイクルについてのトルクが上昇する場合があり、または低下する場合がある。よって、シール206の状態はシール磨耗サイクルについてのトルクに基づいて推定される。いくつかの例では、シール206の状態はトルクおよび設定値(例えば、アクチュエータの最大可能なトルク出力、最初のシール磨耗サイクル中のトルク、所定の数のシール磨耗サイクルにわたる平均トルク(例えば、最初の100シール磨耗サイクルにおける平均トルク)等)によって推定される。
【0021】
いくつかの例では、シール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数は、1つ以上の変数、例えば、シールの種類(例えば、金属、非金属、テフロン(登録商標)等)、弁の大きさ、流体温度、および/またはその他の任意の好適な変数に対応する。よって、試験はシール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数を、1つ以上の変数に対応して得る。いくつかの例では、これらの試験は変動可能範囲(例えば、100℃未満、100℃から150℃の間、150℃を超える等等)を確立するために用いることができ、それぞれが通常シール206の耐用年数にわたって弁200によって行うことができる異なるライフサイクルまたはシール磨耗サイクルの推定数に一般的に対応する。いくつかの例では、これらの変数および/または変動可能範囲は、表またはデータベースに含有される。よって、いくつかの例では、弁200によって行われるシール磨耗サイクルの計数はシール206の状態を示す。例えば、弁200が1,000,000のシール磨耗サイクルを行い、シール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数が、所与の変数または変動可能範囲において、約1,500,000である場合、シール206は66.7%磨耗している場合がある(すなわち、シール206の耐用年数にわたってシール206が被る磨耗量と相対的に)。
【0022】
図3〜4は、本明細書に開示される例示の方法を表すフローチャートである。
図3〜4のいくつかまたは全ての例示の方法は、プロセッサ、コントローラ104および/またはその他の好適な処理装置によって行われてもよい。いくつかの例では、
図3〜4の例示の方法のいくつかまたは全てが、プロセッサと関連付けられる、フラッシュメモリ、ROMおよび/またはランダムアクセスメモリRAM等、有形機械によってアクセス可能または読取可能な媒体に保存される暗号化された指示に埋め込まれている。あるいは、
図3〜4の例示の方法のいくつかまたは全ては、用途特定集積回路(ASIC(複数可))、プログラマブルロジックデバイス(PLD(複数可))、フィールドプログラマブルロジックデバイス(FPLD(複数可))、個別論理、ハードウェア、ファームウェア等の任意の組み合わせを用いて実施されてもよい。また、
図3〜4に図示される1つ以上の動作は、手動、または上記技法のいずれの任意の組み合わせ、例えば、ファームウェア、ソフトウェア、個別論理および/またはハードウェアの任意の組み合わせによって実施されてもよい。さらに、例示の方法が
図3〜4に図示されるフローチャートを参照して記載されるが、例示の方法を実施する多くのその他の方法が用いられてもよい。例えば、ブロックの実行順序は変更されてもよく、かつ/または説明されるブロックのいくつかが変更、除外、細分化、または組み合わされてもよい。付加的に、
図3〜4の例示の方法のいずれかまたは全てが、順に行われてもよく、かつ/または並行して、例えば、別々の加工スレッド、プロセッサ、装置、個別論理、回路等によって行われてもよい。
【0023】
図1および2を参照すると、
図3の例示の方法またはプロセス300は、回転弁200の流量制御部材208のシール磨耗サイクルを判定することから始まる(ブロック302)。いくつかの例では、シール磨耗サイクルはブレークアウトサイクルである。ブレークアウトサイクルは、流量制御部材208が、シール206に押し付けられる第1の閉鎖位置から第2の位置までの移動を含む。他の例では、シール磨耗サイクルは弁閉鎖サイクルであり、流量制御部材208の第2の位置から第1の閉鎖位置への移動を含む。いくつかの例では、第2の位置は、流量制御部材208がシール206から係脱される流量制御部材208の位置である。いくつかのこのような例では、第2の位置は、流量制御部材208がシール206を最初に係脱する流量制御部材208の位置(例えば、シール206に押し付けられる第1の閉鎖位置から流量制御部材208が離れるように移動できる行程全体の量の約2%に対応する位置)である。いくつかの他の例では、第2の位置は、シール206と流量制御部材208との間の流体シールが最初に破綻または生成される位置である。
【0024】
ブロック304では、シール磨耗サイクルについての流量制御部材208を作動させるアクチュエータのトルクが判定される。動作中、流量制御部材208が移動すると、DVCは流量制御部材208および/または駆動シャフト212の位置を判定してアクチュエータの圧力を判定することによって、シール磨耗サイクル中のトルクを判定する。例えば、式1、2または3の式を用いて、アクチュエータのトルクを、アクチュエータの圧力および所定の特徴(例えば、ベンチ範囲、有効面積、レバーアーム長さ等)を用いて算定してもよい。
【0025】
トルクに基づいて、シール206の状態が推定される(ブロック306)。いくつかの例では、シール206の状態を推定することは、トルクおよび設定値に基づいてシール206の状態を示す値を算定することを含む。いくつかの例では、設定値は、1つ以上前のシール磨耗サイクル中のアクチュエータのトルク、例えば、最初のシール磨耗サイクル中のアクチュエータのトルク、所定の数のシール磨耗サイクルにわたる平均トルク(例えば、最初の100シール磨耗サイクルにわたる平均トルク)等である。他の例では、設定値はアクチュエータの推定最大使用可能トルクである。
【0026】
いくつかのそのような例では、シール206の状態を示す値を算定することは、シール
磨耗サイクルの比率、例えば、以下の式4の比率を算定することを含む:
【数5】
等式4では、Tはシール磨耗サイクルのトルクであり、T
最大はアクチュエータの推定最大可能トルクである。他の例では、シール磨耗サイクルの比率は、別の設定値にわたるトルク(例えば、最初のシール磨耗サイクル中のトルク等)の比率である。いくつかの例では、T
最大はアクチュエータの特徴(例えば、アクチュエータの有効面積、レバーアーム長さ、給気圧等等)に基づく所定の値である。別の例では、T
最大はシャフトの特徴(例えば、せん断強度)に基づく所定の値である。いくつかの例では、
【数6】
の場合、比率は、アクチュエータが流量制御部材208を第1の位置に移動させる、または第1の位置から出すことができないことを示す場合がある。いくつかの例では、
【数7】
はアクチュエータの駆動トレーンの正常性を示す。
【0027】
いくつかの例では、
【数8】
は、シール206の推定耐用年数の第1部分(例えば、シール磨耗サイクルの最初の数)を通して、実質的に一定である。例えば、最初の約1,000,000シール磨耗サイクル中は、
【数9】
は約0.8である場合がある。しかしながら、約1,000,000シール磨耗サイクルから約1,500,000シール磨耗サイクルでは、
【数10】
は約0.8〜0.75から低下する場合があり、これによってシール206の状態が劣化した(例えば、シール206が磨耗した)ことを示す。
【0028】
ブロック308では、シール206の状態が所定のレベルに到達したかどうかが判定される。例えば、所定のレベルは、式4を用いて、例えば、0.75に等しい所定の値に対応する場合がある。よって、図示する例では、シール磨耗サイクルについて求められたトルクがアクチュエータの最大可能トルクの75%以下であれば、シール206の状態は所定のレベルに到達している。シール206の状態が所定のレベルに到達すると、警告メッセージが送られる(ブロック310)。例えば、DVCおよび/またはコントローラ10
4は警告メッセージを生成してワークステーション108に送信する。
【0029】
シール206の状態が所定のレベルに到達していない場合、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでシールのシール磨耗サイクルの推定残存数が判定される(ブロック312)。いくつかの例では、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでシールのシール磨耗サイクルの推定残存数は、シール磨耗サイクルについてのトルクおよびトルクの変化率に基づく。例えば、動作中、複数のシール磨耗サイクルが発生する場合がある。いくつかのそのような例では、DVCはシール206の状態を示す値の変化率を判定する(例えば、
【数11】
)。いくつかの例では、トルクの変化率は回転弁200によって行われるシール磨耗サイクルの数に単調に関連する。所定の値が0.75と等しい場合、シール206の状態を示す値(例えば、
【数12】
)は0.8であり、値の変化率(例えば、
【数13】
)は1000シール磨耗サイクル毎に0.0001であり、そしてシール206の状態が所定のレベルに到達するまでのシール磨耗サイクルの推定残存数は約500,000である。
【0030】
いくつかの例では、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでのシール磨耗サイクルの推定残存数は、シール磨耗サイクルの計数、および、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでのシール磨耗サイクルの推定数(例えば、シール206の推定耐用年数)に基づく。いくつかのこのような例では、計数は各シール磨耗サイクル毎にDVCによってインクリメントする。いくつかの例では、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでのシール磨耗サイクルの推定数は、回転弁200と類似または同一の1つ以上の回転弁を試験することによって実験的に判定される。例えば、このような試験によって、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでのシール磨耗サイクルの推定数(例えば、0.75と等しい所定の値に対応する)は、約1,500,000シール磨耗サイクルであることを示す結果を得る場合がある。計数が1,000,000サイクルであり、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでのシール磨耗サイクルが1,500,000サイクルであった場合、シール206の状態が所定の値に到達するまでのシール磨耗サイクルの推定残存数は500,000である。よって、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでのシール磨耗サイクルの推定残存数は、類似または同一の回転弁の試験の結果に基づいて判定されてもよい。
【0031】
ブロック314では、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでの推定時間量が判定される。推定時間量は、シール206の状態を示す値の変化率、シール磨耗サイクルの頻度、および/または計数を用いて判定される場合がある。いくつかのこのような例では、DVCがシール磨耗サイクルの頻度を判定する。頻度は、1日、1時間、1週間、または他の任意な好適な期間当たりのシール磨耗サイクルの平均計数であってもよい。図示される例では、シール206の状態を示す値が0.75から0.8に到達する推定時間量は、頻度が1日当たり1,000シール磨耗サイクルであれば約500日である。例示の方法は次にブロック302に戻る。
【0032】
図4は、本明細書に記載される別の例示の方法400を表すフローチャートである。
図1および2を参照しながら、
図4の例示の方法またはプロセス400は、回転弁200の流量制御部材208のシール磨耗サイクルを判定することから始まる(ブロック402)。いくつかの例では、シール磨耗サイクルはブレークアウトサイクルである。ブレークアウトサイクルは、流量制御部材208の、シール206に押し付けられる第1の閉鎖位置から第2の位置までの移動を含む。その他の例では、シール磨耗サイクルは弁閉鎖サイクルであり、流量制御部材208の、第2の位置から第1の閉鎖位置への移動を含む。いくつかの例では、第2の位置は流量制御部材208がシール206から係脱する流量制御部材208の位置である。いくつかのこのような例では、第2の位置は、流量制御部材208が最初にシール206を係脱する流量制御部材208の位置(例えば、シール206に押し付けられる第1の閉鎖位置から流量制御部材208が離れることができる行程全体量の約2%に対応する位置)である。いくつかのその他の例では、第2の位置は、シール206と流量制御部材208との間の流体シールが最初に破綻または生成される位置である。
【0033】
ブロック402では、DVCはシール磨耗サイクルの計数をインクリメントさせる。例えば、シール磨耗サイクルの計数がシール磨耗サイクル前に999,999である場合、DVCはシール磨耗サイクルについて計数を1,000,000にインクリメントさせる。いくつかの例では、シール磨耗サイクルの計数は、回転度の単位である。
【0034】
ブロック406では、計数は、シール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数に対応する変数に関連付けられている。いくつかの例では、変数はシールの種類、シール材料、弁の大きさ、弁構成情報、弁200を通って流れる流体の種類、流体温度、吸入圧、および/または任意のその他の変数である。いくつかの例では、シール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数は、回転弁200と類似または同一の1つ以上の回転弁を試験することによって実験的に判定される。例えば、回転弁200が金属からなるシールを有する場合、類似または同一の金属シールを含む類似または同一の弁を試験して、シール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数を判定してもよい。
【0035】
いくつかの例では、変数の値が判定される。例えば、コントローラ104に通信可能に連結された温度センサは流体温度を判定する場合がある。いくつかのこのような例では、計数は複数の変更可能範囲の1つと関連付けられており、それぞれがシールの耐用年数にわたるシールの磨耗サイクルの推定数に対応する。このような変更可能範囲は、回転弁200と類似または同一の1つ以上の回転弁を、異なるいくつかの値の変数において試験することによって実験的に予め判定することができる。例えば、90℃の流体温度で試験することによって、約10,000,000に等しい、シール206の耐用年数にわたる使用可能なシール磨耗サイクルの推定数を得る場合があり、130℃の流体温度で試験することによって約7,500,000に等しい、シール206の耐用年数にわたる使用可能なシール磨耗サイクルの推定数を得る場合があり、160℃の流体温度で試験することによって約5,000,000の使用可能なシール磨耗サイクルの推定数を得る場合がある。このような試験を、任意の所望数のライフサイクル推定を生成するために行うことができ、次いでこれを、例えば100℃以下、100℃から150℃までの間、150℃以上等の範囲を確立するために用いてもよい。これらの範囲は単に可能な範囲の一例であり、任意の所望の範囲内のスパンを有する任意の他の数の範囲を、特定用途の必要を満たすように代わりに用いてもよい。例えば、温度センサが、シール磨耗サイクルについての流体の温度が110℃であると判定する場合、温度は100℃から150℃までの温度範囲と関連付けられてもよく、これは約7,500,000に等しい、シール206の耐用年数にわたる使用可能なシール磨耗サイクルの推定数に対応する。
【0036】
計数および変数に基づいて、シール206の状態が推定される(ブロック408)。例えば、シール206の状態を示す値は、ブロック406でインクリメントされた計数およびシール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数に基づく比率を算定することによって判定される。
【0037】
例えば、消費されるシール206の耐用年数の合計量を示す値は、以下の式5を用いて算定されてもよい:
【数14】
【0038】
式5では、n
iはシール磨耗サイクルの計数であり、N
iはシール206の耐用年数にわたって使用可能なシール磨耗サイクルの推定数である(例えば、実験的に求められるとおり)。例えば、シール磨耗サイクルの計数がブロック406で1,000,000にインクリメントされて、シール206の耐用年数にわたるシール磨耗サイクルの推定数が約7,500,000と等しい場合、シール206の状態を示す値は
【数15】
すなわち約13.3パーセントであり、つまりはシール206の磨耗がシール206の耐用年数を約13.3パーセント減少させたことを示す(すなわち、シール206の耐用年数の約87.7パーセントが残存する)。
【0039】
ブロック410では、シール206の状態が所定のレベルに到達しているかどうかが判定される。例えば、所定のレベルは、式5を用いて算定されるとおり、シール206の耐用年数の80パーセントの消費であってもよい(例えば、6,000,000シール磨耗サイクル)。その他の例ではその他の所定のレベルを用いる(例えば、シール206の耐用年数の100パーセント消費)。シール206の状態が所定のレベルに到達すると、警告メッセージが送信される(ブロック412)。例えば、DVCおよび/またはコントローラ104は、警告メッセージを生成してワークステーション108に送信する。
【0040】
シール206の状態が所定のレベルに到達していない場合、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでシールのシール磨耗サイクルの推定残存数が判定される(ブロック414)。例えば、シール磨耗サイクルの計数が1,000,000であり、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでのシール磨耗サイクルの推定数が6,000,000である場合、シール206の状態が所定のレベルに到達するまで、5,000,000シール磨耗サイクルが残存する。
【0041】
ブロック416では、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでの時間量が推定される。いくつかのこのような例では、DVCはシール磨耗サイクルの頻度を判定する。いくつかの例では、頻度は1日、1時間、1週間、または任意の他の好適な期間当たりのシール磨耗サイクルの平均計数である。計数、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでのシールの磨耗サイクルの推定数、およびシール206の状態が所定のレベルに到達するまでの頻度に基づいて、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでの時間量を推定してもよい。例えば、頻度が1日当たり1,000シール磨耗サイクルであり、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでに5,000,000シール磨耗サイクルが残存する場合、シール206の状態が所定のレベルに到達するまでに約5,0
00日残存する。
【0042】
特定の例示の方法および装置を本明細書中に記載しているが、この特許の網羅する範囲はこれらに限定されない。それどころか、この特許は、添付特許請求の範囲の文字通りまたは均等論に基づく範囲に適正に含まれる装置および製品を網羅する。
【0043】
本開示の最後にある要約は、米国特許法第37条1.72(b)を遵守するように提供されており、読み手に技術開示の性質をすばやく確認させるためのものである。要約書は、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または制限するために用いられないとの理解の下で提出されている。