(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同一の病院等に複数の電子カルテサーバ等の生体情報管理装置が存在する場合も多く、そのような場合、一つの電子カルテサーバに体温情報等の生体情報を記憶した後、体温計等の生体情報取得装置から当該体温情報を削除する処理を行うと、他の生体情報管理装置が当該生体情報取得装置の体温情報等の生体情報を取得できないという問題があった。
一方、体温計等の生体情報取得装置に、いつまでも過去に検温した体温情報等を記憶した状態とすると、他の患者の体温情報等の生体情報と取り違えるおそれがあり問題であった。
【0006】
そこで、本発明は、体温情報等の生体情報等を取得する体温計等の生体情報取得装置が、その取得した生体情報を複数のサーバ等の生体情報管理装置に提供できると共に、生体情報取得装置に記憶されている生体情報を他の患者等の情報として取り違えることを防ぐことができる生体情報管理システム及び生体情報管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、本発明にあっては、対象者から取得した生体情報を記憶する生体情報取得装置と、前記生体情報を、その対象者情報と共に管理する生体情報管理装置と、を有する生体情報管理システムであって、前記生体情報取得装置は、前記生体情報を記憶する生体情報記憶部を有すると共に、新たな前記生体情報を取得したときに、新たな前記生体情報を前記生体情報記憶部に記憶させると共に、既登録の前記生体情報を前記生体情報記憶部から削除する構成となっており、前記生体情報取得装置は、前記生体情報管理装置からの求めに応じて、前記生体情報を提供すると共に、提供した前記生体情報の前記対象者情報を前記生体情報管理装置から取得する構成となっていることを特徴とする生体情報管理システムにより達成される。
【0008】
前記構成によれば、体温計等の生体情報取得装置は、体温情報等の生体情報を記憶する生体情報記憶部を有すると共に、新たな体温情報等を取得したときに、新たな体温情報を生体情報記憶部に記憶させると共に、既登録の体温情報等を生体情報記憶部から削除する構成となっている。
したがって、体温計等は、たとえ電子カルテサーバ等の生体情報管理装置に、その体温情報等を提供した後であっても、新たな体温情報等を取得するまでは、その提供した体温情報等を保持しているので、その後、他の電子カルテサーバ等から体温情報等の提供要求があっても提供することができる。
また、体温計等は、新たな体温情報等を取得した後は、古い既登録の体温情報は削除されるので、不必要に長く対象者の個人情報である体温情報等の生体情報を保持せず、また、保持する生体情報は、直近の生体情報に限定されるので、生体情報という個人情報の漏洩等を防ぐことができる。
【0009】
また、前記構成によれば、体温計等の生体情報取得装置は、電子カルテサーバ等の生体情報管理装置からの求めに応じて、体温情報等の生体情報を提供すると共に、提供した体温情報等の対象者情報(患者情報等)を電子カルテサーバ等から取得する構成となっている。
したがって、体温計等は自ら患者情報等の対象者情報を予め有していなくても、電子カルテサーバ等から信頼できる確実な患者情報等を取得でき、体温計等の製造コストを低下させることができる。
また、このとき体温計は、直近の体温情報等のみを保持しているので、電子カルテサーバ等から取得した患者情報等が、どの体温情報等と対応しているかについて混乱することがなく、患者情報等と体温情報等とを取り違えることがない。
このため、体温計等が、その後、他の電子カルテサーバ等から体温情報等の提供を求められたときは、体温情報等と共に患者情報等も同時に提供することができると共に、これらの情報の精度も保証することができる。
【0010】
好ましくは、前記生体情報取得装置は、複数の前記生体情報管理装置に、前記生体情報を提供する構成であって、前記生体情報取得装置は、一の前記生体情報管理装置から前記対象者情報を取得した後に、他の前記生体情報管理装置から前記生体情報を求められたときは、取得した前記対象者情報と共に前記生体情報を提供する構成となっていることを特徴とする生体情報管理システム。
【0011】
前記構成によれば、体温計等の生体情報取得装置は、一の電子カルテサーバ等の生体情報管理装置から患者情報等の対象者情報を取得した後に、他の電子カルテサーバ等から体温情報等を求められたときは、取得した患者情報等と共に体温情報等を提供する構成となっている。
したがって、異なった複数の電子カルテサーバ等について、それぞれ記憶されている患者情報等及び体温情報等が異なるという事態の発生を未然に防止することができる。
【0012】
上記目的は、本発明にあっては、対象者から取得した生体情報を記憶する生体情報取得装置と、前記生体情報を、その対象者情報と共に管理する生体情報管理装置と、を有する生体情報管理システムを用いる生体情報管理方法であって、前記生体情報取得装置は、前記生体情報を記憶する生体情報記憶部を有すると共に、新たな前記生体情報を取得したときに、新たな前記生体情報を前記生体情報記憶部に記憶させると共に、既登録の前記生体情報を前記生体情報記憶部から削除する構成となっており、前記生体情報取得装置は、前記生体情報管理装置からの求めに応じて、前記生体情報を提供すると共に、提供した前記生体情報の前記対象者情報を前記生体情報管理装置から取得する構成となっていることを特徴とする生体情報管理方法により達成される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、体温情報等の生体情報等を取得する体温計等の生体情報取得装置が、その取得した生体情報を複数のサーバ等の生体情報管理装置に提供できると共に、生体情報取得装置に記憶されている生体情報を他の患者等の情報として取り違えることを防ぐことができる生体情報管理システム及び生体情報管理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態にかかる生体情報管理システム1を示す概略図である。
図1に示すように、生体情報管理システム1は、生体情報取得装置である例えば、体温計10を有している。
この体温計10は、例えば、病院等で不特定多数の対象者である例えば、患者が使用するものである。
【0017】
また、この体温計10は、患者の生体情報である例えば、体温情報を取得すると、その後、通信により複数の生体情報管理装置である例えば、「病棟用電子カルテサーバ50」及び「外来用電子カルテサーバ70」に、体温情報を送信する構成となっている。
具体的には、病棟用電子カルテサーバ50は、各病棟に配置されているコンピュータである「病棟用端末80」と接続され、病棟用端末80は、電磁誘導等を使用する近距離無線通信が可能な「病棟用端末リードライタ装置81」を有している。
また、「外来用電子カルテサーバ70」は、各外来に配置されているコンピュータである「外来用端末90」と接続され、「外来用端末90」は、電磁誘導等を使用する近距離無線通信が可能な「外来用端末リードライタ装置91」を有している。
【0018】
一方、体温計10も後述するように「体温計側通信装置11」を有し、この体温計側通信装置11も、電磁誘導等を使用する近距離無線通信が可能となっているため、体温計10を「病棟用端末リードライタ装置81」又は「外来用端末リードライタ装置91」に近づけることで、体温計10と「病棟用端末リードライタ装置81」又は「外来用端末リードライタ装置91」との間の通信が可能となり、これにより、「病棟用端末80」や「外来用端末90」との通信も可能となる構成となっている。
また、上述のように、「病棟用端末80」や「外来用端末90」は、「病棟用電子カルテサーバ50」、「外来用電子カルテサーバ70」にそれぞれ通信可能に接続されているので、「病棟用端末80」や「外来用端末90」が体温計10から取得した体温情報等は、「病棟用電子カルテサーバ50」、「外来用電子カルテサーバ70」に送信される構成となっている。
【0019】
なお、
図1の「病棟用電子カルテサーバ50」及び「外来用電子カルテサーバ70」は、それぞれ、独立しており,相互に通信してデータを共通することはなく、それぞれが別個に体温情報等を取得する構成となっている。
また、「病棟用電子カルテサーバ50」及び「外来用電子カルテサーバ70」は、取得した体温情報等(測定結果及び測定日時等)を、当該体温測定を行った患者の対象者情報である患者情報(例えば、患者氏名、患者ID、患者登録された日時等)と関連付けて記憶する構成となっている。なお、このとき、「病棟用電子カルテサーバ50」等に登録した時刻データも関連付けて記憶する。
【0020】
したがって、「病棟用電子カルテサーバ50」及び「外来用電子カルテサーバ70」には、各患者の患者情報、各患者の体温情報等及びその他の関連情報が、相互に関連付けられている。
【0021】
図1に示す体温計10、病棟用電子カルテサーバ50、外来用電子カルテサーバ70、病棟用端末80及び外来用端末90等は、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、バスを介して接続されている。
【0022】
図2は、
図1の体温計10の主な構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、体温計10は、「体温計制御部12」を有し、体温計制御部12は、「体温計側通信装置11」、「センサ(サーミスタ)13a」を備える「体温計測装置13」、計測した体温等を表示する「体温計ディスプレイ14」、「体温計電源スイッチ15」等を制御する他、
図2に示す各種記憶部や処理部(プログラム)等を制御するが、これらの内容については後述する。
【0023】
図3は、
図1の病棟用端末80の主な構成を示す概略ブロック図である。なお、
図1の外来用端末90は、ほぼ同様な構成であるため、その説明を省略する。
図3に示すように、病棟用端末80は、「病棟用端末制御部82」を有し、病棟用端末制御部82は、
図1の病棟用端末リードライタ装置81と通信可能な「病棟用端末通信装置83」、各種情報を表示する「病棟用端末ディスプレイ84」、各種情報を入力する「病棟用端末入力装置85」を制御する他、各種情報を記憶する「病棟用各種情報記憶部86」や「患者情報取得判断部(プログラム)87」や「患者情報処理部(プログラム)88」も制御する。
なお、「患者情報取得判断部(プログラム)87」及び「患者情報処理部(プログラム)88」の内容は後述する。
【0024】
図4は、
図1の病棟用電子カルテサーバ50の主な構成を示す概略ブロック図である。なお、
図1の外来用電子カルテサーバ70は、ほぼ同様な構成であるため、その説明を省略する。
図4に示すように、病棟用電子カルテサーバ50は、「病棟用電子カルテサーバ制御部51」を有し、病棟用電子カルテサーバ制御部51は、
図1の病棟用端末80と通信するための「病棟用電子カルテサーバ通信装置52」、各種情報を表示する「病棟用電子カルテサーバディスプレイ53」、各種情報を入力する「病棟用電子カルテサーバ入力装置54」を制御する他、上述の体温情報や患者情報等を関連付けて記憶している「病棟用電子カルテデータベース55」も制御する。
【0025】
図5及び
図6は、
図1に示す生体情報管理システム1の主な動作等を示す概略フローチャートである。
本実施の形態では、患者が病院に入院し、病棟で体温計10を用いて検温した後、その体温情報を病棟用電子カルテサーバ50に記憶し、その後、同じ体温情報を、外来用電子カルテサーバ70に記憶する例を用いて、説明する。
【0026】
先ず、患者は、病棟の自己のベッドで、体温計10を用いて体温を測定する。
そして、
図5のステップST(以下「ST」と称す。)1へ進む。ST1では、体温計10の体温計測装置13が予測平衡温度(実測温度情報)を算出したか否かを判断する。
そして、算出したと判断したときは、体温計10は、測定した「予測平衡温度(実測温度情報)」を「測定体温情報」として、
図2の生体情報記憶部である例えば、「測定体温記憶部16」に記憶する。
【0027】
次いで、ST3へ進む。ST3では、
図2の「既登録測定体温情報処理部(プログラム)17」が動作し、「測定体温記憶部16」に既登録の「測定体温情報」が記憶されているか否かを判断する。
ST3で、既登録の「測定体温情報」が記憶されているときは、当該「測定体温情報」を削除する(ST4)。
これにより、新たな測定体温情報を取得した後は、古い既登録の測定体温情報が体温計10の「測定体温記憶部16」から削除されるので、不必要に長く患者の個人情報である測定体温情報を体温計10が保持することがない。
また、体温計10が保持する測定体温情報は、直近の測定体温情報に限定されるので、測定体温情報という個人情報の漏洩等を防ぐことができる。
【0028】
以上で、患者の体温計10による体温の測定工程が終了する。次いで、病棟のベッドでは看護師等の医療従事者が
図1に示す「病棟用端末80」を「病棟用端末リードライタ装置81」と共に、患者のベッドサイドに持参する。
看護師は、検温が終了した患者の体温計10を、病棟用端末リードライタ装置81に近づける。
そして、ST5へ進む。ST5では、体温計10は、病棟用端末80から「測定体温情報送信要求」の信号を受信したか否かを判断する。
【0029】
ST5で、病棟用端末80から「測定体温情報送信要求」の信号を受信したと判断したときは、ST6へ進む。ST6では、
図2の「送信内容決定部(プログラム)18」が実行され、体温計10の
図2の「患者情報記憶部19」を参照する。
この「患者情報記憶部19」には、「病棟用電子カルテサーバ50」等から取得した、当該患者に関する「患者情報(患者氏名、患者ID、患者登録年月日等)」が記憶されている。
本工程では、この「患者情報記憶部19」を参照し、既に患者情報が記憶されているか否かを判断する。
【0030】
ST6で、患者情報が記憶されていないときは、
図6のST7へ進む。ST7では、体温計10は、「測定体温記憶部16」に記憶されている「測定体温情報」のみを「病棟用端末80」側へ送信する。
【0031】
次いで、ST8へ進む。ST8では、
図3の「患者情報取得判断部(プログラム)87」が実行され、体温計10から「患者情報」を受信したか否かを判断する。
ST8で、「患者情報」を受信しないと判断したときは、ST9へ進む。
【0032】
ST9では、看護師が操作している「病棟用端末80」の「病棟用端末ディスプレイ84」に「患者情報未登録」を表示し、「病棟用端末入力装置85」からの「患者情報」の入力を促す表示をする。例えば、患者情報の一部の情報である「患者ID」等の情報の入力を促す。
【0033】
次いで、ST10へ進む。ST10では、
図3の「患者情報処理部(プログラム)88」が動作し、病棟用端末入力装置85から患者情報(全部又は一部)の入力があったか否かを判断する。
ST10で、「患者情報(全部又は一部)」の入力があったと判断したときは、ST11へ進む。
ST11では、病棟用端末80が、この入力された「患者情報(全部又は一部)」に基づいて、
図4の「病棟用電子カルテサーバ50」の「病棟用電子カルテデータベース55」を参照し、入力された「患者情報」に対応する「患者情報」を取得して、体温計10に送信する。
【0034】
次いで、ST12へ進む。ST12では、体温計10は、受信した「患者情報」を
図2の「患者情報記憶部19」に記憶する。
したがって、体温計10は、自ら患者情報を予め有していなくても、病棟用電子カルテサーバ50から信頼できる確実な患者情報を取得できる。
また、体温計10には患者情報の認証等が不要なので、体温計等の製造コストを低下させることができる。
【0035】
さらに、体温計10は、直近の測定体温情報のみを保持しているので、病棟用電子カルテサーバ50から取得した患者情報が、どの体温情報等と対応しているかについて混乱することがなく、患者情報と体温情報とを取り違えることがない。
【0036】
以上で、病棟における患者の体温計10と病棟等端末80等との処理が終了する。
その後、患者は外来での診察を受けるため、体温計10を所持して、外来診察を受ける。
このとき、医師等は、
図1の「外来用端末リードライタ装置91」に体温計10を近づける。
すなわち、
図5のST5の工程が開始される。そして、ST6で、体温計10が「患者情報」を記憶しているか否かが判断される。
この場合は、上述のST12で、既に
図2の「患者情報記憶部19」に「患者情報」が記憶されているので、「YES」となり、
図6のST13へ進む。
【0037】
ST13では、体温計10は、患者情報記憶部19の患者情報と、測定体温記憶部16に記憶されている「測定体温情報」を併せて、「外来用端末リードライタ装置91」へ送信し、これらのデータは、外来用端末90を介して、外来用電子カルテサーバ70へ送信される。
なお、「病棟用電子カルテサーバ50」が「一の生体情報管理装置」の一例であり、「外来用電子カルテサーバ70」が「他の生体情報管理装置」の一例である。
【0038】
したがって、本実施の形態では、体温計10が体温を計測した後、病棟用電子カルテサーバ50へ測定体温情報を送信した後でも、体温計10は、同じ測定体温情報を保持しているので、その後、異なるサーバである外来用電子カルテサーバ70に、同じ測定体温情報を送信することができる。
【0039】
また、このとき、体温計10は、測定体温情報と共に、その患者情報も有しており、この患者情報は、病棟用電子カルテサーバ50から得た精度の高い情報となっている。
そして、かかる患者情報と、測定体温情報が共に、外来用電子カルテサーバ70へ送信されるので、外来用電子カルテサーバ70と病棟用電子カルテサーバ50のデータの統一を図ることができ、それぞれ記憶されている患者情報及び体温情報が異なるという事態の発生を未然に防止することができる。
【0040】
ところで、本発明は、上述の実施の形態に限定されない。本実施の形態では、生体情報として、特に体温情報を例に説明したが、他に血圧情報、血糖値情報、体組成情報、脈拍情報等の生体情報も同様に扱うことができる。