(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記塗布材はコロイド溶液であり、前記コロイド溶液は金属カルシウム粒、希土類元素を含有する物質の粒、及び有機溶媒を含有し、前記有機溶媒は脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、アルコール及びケトンから選択される少なくとも1種であり、前記有機溶媒には1種又は複数種の樹脂バインダー又はゴムバインダーが溶解されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車、電気自動車、及び省エネエアコンコンプレッサに対する需要が増えていることに伴い、高保磁力の希土類永久磁石材料(例えばR-Fe-B系希土類永久磁石)に対する需要も増えている。従来の方法で保磁力を向上させるためには、大量の重希土類元素を使用する必要があるため、磁石のコストが大幅に増加し、かつ一部の残留磁束密度及び磁気エネルギー積を犠牲することになる。マイクロ研究では、粒界組織が磁石の保磁力向上に大きく寄与することが見出された。拡散浸透(拡浸と略する)により重希土類元素を磁石の粒界まで進入させることで、残留磁束密度及び磁気エネルギー積を損なうことなく、比較的に少量な重希土類で保磁力を大幅に向上させることができ、磁石のコストを効果的に低減させることができる。
【0003】
従来技術において、拡散浸透により粒界を改善する方法はいくつかあるが、保磁力を向上させる一方で、残留磁束密度及び磁気エネルギー積が顕著に低下し、重希土類元素の使用量が多く、プロセスが複雑で操作し難いなどの不具合があることがよくあった。
【0004】
例えば、希土類元素の酸フッ化物粉末を磁石の表面に配置させた状態で、磁石の焼結温度以下の温度で処理することにより、希土類元素を磁石内に吸収させて、少量のDy、Tbなどの重希土類元素を用いて高性能を有する磁石を得る希土類永久磁石材料の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。当該方法は重希土類の酸フッ化物粉末を拡散させる方法である。重希土類元素は酸フッ化化合物から離脱しながら、磁石内部へ拡散する必要があるため、長時間の保温処理が必要となり、また、磁石の表面層の一部がNd欠損状態となり、かつ磁石の保磁力を損ねる軟磁性のα-Fe又はDyFe
2になるなどの問題点が生じる。また、該方法は重希土類の酸フッ化物粉末を水又は有機溶媒に分散させてなるスラリーを磁石の表面に配置させる。ただし、スラリーと磁石との結合力が弱く、操作過程において離脱しやすく、重希土類元素の吸収が不均一となり、磁石の性能の適合性が悪くなる。
【0005】
また、R-Fe-B系希土類焼結磁石及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。該方法は、焼結磁石と重希土類元素含有容器とを接触しないように同一の処理室内に置き、加熱により重希土類元素を磁石の表面から磁石の内部へ拡散させる。該方法は、非接触形態の拡散浸透を利用し、金属蒸気にしか利用できない。この方法は均一に拡散することができるが、プロセスが制御し難い。温度が低すぎると、重希土類蒸気は磁石の表面から磁石の内部へ拡散し難く、処理時間が大幅に延ばされる。一方、温度が高すぎると、形成された高濃度の重希土類蒸気が磁石の内部へ拡散した蒸気に比べて遥かに多くなるため、磁石の表面に重希土類元素層が形成され、粒界拡散の効果が著しく低下する。
【0006】
また、重希土類元素のフッ化物及び金属カルシウム粒をグラファイトボックスの底部に置いた後、磁石シートを入れ、金属カルシウムで重希土類元素のフッ化物を還元させた後、重金属蒸気を磁石の粒界相へ拡散させる浸透法により希土類永久磁石を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。該方法に関する説明は詳細でなく、該方法は操作性が高くない。例えば重希土類元素のフッ化物及びカルシウム粒の粒子径寸法など、実施結果に顕著な影響を与える要素のディテールが言及されていない。また、還元後の重希土類元素も蒸気法により拡散し、特許文献2と類似する問題がする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、永久磁石材料の保磁力を大幅に向上させるとともに、残留磁束密度及び磁気エネルギー積の低下も割りと少ない、磁石の保磁力を向上させる方法を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は希土類元素(特に重希土類元素)の使用量を大幅に低減でき、生産コストを低減できる、磁石の保磁力を向上させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
塗布材を磁石の表面に塗布して乾燥させる塗布工程S2)と、
塗布工程S2)から得られた磁石を熱処理する浸透工程S3)と、を含み、
前記塗布材は(1)金属カルシウム粒及び(2)希土類元素を含有する物質の粒を含み、前記希土類元素はプラセオジム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムから選択される少なくとも1種である磁石の保磁力を向上させる方法を提供する。
【0011】
本発明の方法によれば、好ましくは、塗布工程S2)において、前記希土類元素を含有する物質は、
a1)希土類元素の単体、
a2)希土類元素を含有する合金、
a3)希土類元素を含有する化合物、又は
a4)上記物質の混合物から選択される。
【0012】
本発明の方法によれば、好ましくは、塗布工程S2)において、前記希土類元素を含有する物質は、希土類元素のハロゲン化物、酸化物、及び窒化物から選択される。
【0013】
本発明の方法によれば、好ましくは、前記金属カルシウム粒及び希土類元素を含有する物質の粒はいずれも平均粒子径が100μm未満である。
【0014】
本発明の方法によれば、好ましくは、前記塗布材はコロイド溶液であり、前記コロイド溶液は、金属カルシウム粒、希土類元素を含有する物質の粒、及び有機溶媒を含有し、前記有機溶媒は脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、アルコール及びケトンから選択される少なくとも1種である。
【0015】
本発明の方法によれば、好ましくは、前記塗布材における金属カルシウム粒と希土類元素を含有する物質の粒との重量比は1:2〜5である。
【0016】
本発明の方法によれば、好ましくは、前記浸透工程S3)は、
無酸素の条件下で、第一温度で保温して、金属カルシウムで希土類元素を還元させるとともに、希土類元素の一部を磁石内部の粒界へ拡散させる還元工程S3-1)と、
第二温度までに昇温させて保温して、還元後の希土類元素を磁石の表面から粒界に沿って磁石内部の粒界へさらに拡散させる拡散工程S3-2)と、を含み、
前記第一温度及び第二温度はいずれも600℃を超えかつ前記磁石の焼結温度より低い。
【0017】
本発明の方法によれば、好ましくは、還元工程S3-1)において、第一温度で1〜3時間保温し、前記第一温度が600〜1060℃であり、かつ、
拡散工程S3-2)において、第二温度で3〜8時間保温し、前記第二温度が600℃〜1060℃である。
【0018】
本発明の方法によれば、好ましくは、前記方法は、
焼結により塗布工程S2)における前記磁石を製造する磁石製造工程S1)と、
浸透工程S3)から得られた磁石を時効処理する時効処理工程S4)と、をさらに含む。
【0019】
本発明の方法によれば、好ましくは、時効処理工程S4)において、時効処理温度は400℃〜1020℃であり、時効処理時間は0.5〜10時間である。
【発明の効果】
【0020】
前記方法で処理された焼結磁石は、未処理のものと比べて、残留磁束密度及び磁気エネルギー積が大きく変化しないが、保磁力が大幅に向上した。本発明の方法は、希土類元素を還元する効果を大幅に向上でき、さらに希土類元素を磁石の内部へ拡散・浸透する効果を向上できた。さらに、微細化されたカルシウム粒及び希土類元素を含有する化合物の粒子をコロイド溶液にすることにより、カルシウム金属で希土類元素を還元させる効果を向上できるとともに、希土類元素と磁石との結合力を向上でき、これにより拡浸処理後の磁石の性能の均一性及び適合性を向上できる。また、コロイド溶液が有機物の溶液からなるものであるため、高温還元プロセス前に揮発可能であり、残存することなく、磁石を汚染しない。本発明の方法は、比較的少ない希土類の使用量で磁石の保磁力を大幅に向上でき、磁石の生産コストを効果的に低減でき、しかも操作プロセスが簡単であり、大規模の工業的利用に適する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について実施例をもって詳述するが、本発明の内容はこれらに限定されるものではない。
【0022】
本発明に係る「残留磁束密度」とは、飽和磁気ヒステリシス曲線において磁界強度がゼロである箇所に対応する磁束密度の数値を指し、通常Br或又はMrで示され、単位はテスラ(T)又はガウス(Gs)である。
【0023】
本発明に係る「保磁力」とは、磁石の残留磁化量Mrをゼロに戻すために必要な反対向きの磁界強度を指し、単位はエルステッド(Oe)又はアンペア/メートル(A/M)である。
【0024】
本発明に係る「磁気エネルギー積」とは、減磁曲線における任意の点の磁束密度(B)と対応する磁界強度(H)との積を指し、通常BHで示され、単位はガウス・エルステッド(GOe)である。
【0025】
本発明に係る「希土類元素」は、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などの元素を含む。
【0026】
本発明に係る「不活性雰囲気」とは、希土類磁石と反応せず、かつその磁性に影響を与えない雰囲気を指す。本発明において、前記「不活性雰囲気」は、不活性ガス(ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス)からなる雰囲気を含む。
【0027】
本発明において、真空度の値が小さいほど、真空度が高くなる。
【0028】
本発明の磁石の保磁力を向上させる方法は、塗布工程S2)及び浸透工程S3)を含む。好ましくは、本発明に係る方法は、磁石製造工程S1)及び時効処理工程S4)をさらに含む。
【0029】
本発明の磁石は希土類焼結磁石であってもよく、例えばR-Fe-B系希土類磁石が挙げられる。R-Fe-B系希土類磁石は主として希土類元素Rと鉄、ホウ素からなる金属間化合物である。本発明において、RはNd、Pr、La、Ce、Tb、Dy、Ho、Er、Eu、Sm、Gd、Pm、Tm、Yb、Lu、Y及びScから選択される1種又は複数種の元素であり、好ましくはNd、Pr、La、Ce、Tb、Dy、Y及びScから選択される1種又は複数種の元素であり、より好ましくはNd又はNdとその他の希土類元素との組み合わせである。Feは鉄元素を示し、鉄の一部はコバルト、アルミニウム、バナジウムなどの元素に代替されてもよい。Bはホウ素を示す。
【0030】
<磁石製造工程S1)>
本発明に係る製造方法は、霧化噴霧塗着工程S2)における磁石を製造するための磁石製造工程S1)を含むことが好ましい。本発明において、磁石製造工程S1)は、
希土類磁石原料を溶解させ、溶解された希土類磁石原料から母合金を形成する溶解工程S1-1)と、
溶解工程S1-1)から得られた母合金を解砕して磁性粉末にする製粉工程S1-2)と、
配向磁界の作用で製粉工程S1-2)から得られた磁性粉末をプレスして焼結グリーン体を成形する成形工程S1-3)と、
成形工程S1-3)から得られた焼結グリーン体を焼結してセットし、焼結希土類磁石を形成する焼結工程S1-4)と、
を含むことが好ましい。
【0031】
本発明の好適な実施形態によれば、磁石製造工程S1)はさらに下記工程を含んでもよい。
焼結希土類磁石を切断する切断工程S1-5)。
【0032】
溶解工程S1-1)
焼結磁石原料及びこれにより製造された母合金の酸化を防止するために、本発明の溶解(製錬)工程S1-1)は真空又は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。溶解工程S1-1)において、希土類磁石の原料及びその配合比率は特に限定されず、当該業界の周知の原料及び配合比率を採用することができる。溶解工程S1-1)において、溶解プロセスは、インゴットキャストプロセス又はストリップキャスティングプロセス(Strip Casting)を採用することが好ましい。インゴットキャストプロセスは、溶解されたR-Fe-B系希土類焼結磁石原料を冷却凝固して、合金インゴット(母合金)を製造するプロセスである。ストリップキャスティングプロセスは、溶解された希土類磁石原料を急冷凝固し、かつ振って合金片(母合金)を形成する。本発明の好適な実施形態によれば、溶解プロセスはストリップキャスティングプロセスを採用する。本発明のストリップキャスティングプロセスは、真空中間周波急速凝固誘導炉中で行うことができる。溶解温度は1100〜1600℃でよく、好ましくは1450〜1500℃である。本発明の合金片(母合金)の厚さは0.01〜5mmであってもよく、好ましくは0.1〜1mmであり、より好ましくは0.25〜0.45mmである。本発明の実施形態によれば、原料を真空中間周波急速凝固誘導炉内に入れ、真空減圧して1Pa未満になるとアルゴンガス(Ar)を導入して保護し、加熱して溶融させて合金液が形成され、次いで合金液を回転している銅製冷却ロールに注ぎ、厚さ0.25〜0.45mmの合金片(母合金)を製造し、合金液の温度が1450〜1500℃の範囲に制御される。
【0033】
製粉工程S1-2)
本発明は製粉工程S1-2)を利用して粉体を得る。母合金及びこれを解砕して製造した磁性粉末の酸化を防止するために、本発明の製粉工程S1-2)は真空又は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。本発明の製粉工程S1-2)は、
母合金を解砕して粒度の比較的に大きい磁性粗粉末にする粗解砕工程S1-2-1)と、
粗解砕工程S1-2-1)から得られた磁性粗粉末を磨いて磁性微粉末(粉体)にする粉磨き工程S1-2-2)と、
を含むことが好ましい。
【0034】
本発明において、粗解砕工程S1-2-1)から得られた磁性粗粉末の平均粒度は50〜500μmであり、好ましくは100〜400μmであり、より好ましくは200〜300μmである。本発明において、粉磨き工程S1-2-2)から得られた磁性微粉末の平均粒度は20μm以下であり、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは3〜5μmである。
【0035】
本発明の粗解砕工程S1-2-1)では、機械解砕プロセス及び/又は水素解砕プロセス(Hydrogen Decrepitation)により母合金が解砕されて磁性粗粉末になる。機械解砕プロセスは、機械解砕装置を利用して母合金を解砕し、磁性粗粉末にするものである。前記機械解砕装置は、ジョークラッシャー又はハンマークラッシャーから選択される装置を使用できる。水素解砕プロセスは、まず母合金を低温で水素吸蔵させ、母合金と水素ガスとの反応により母合金の格子の体積膨張を引き起こして母合金を解砕して磁性粗粉末を形成し、次いで前記磁性粗粉末を加熱して高温で水素放出する。本発明の好適な実施形態によれば、本発明の水素解砕プロセスでは、水素解砕炉内で行うことが好ましい。本発明の水素解砕プロセスにおいて、合金片を水素圧下で解砕し、真空減圧して水素放出する。解砕に用いられる水素ガスの圧力は0.02〜0.2Mpaであってもよく、好ましくは0.05〜0.1Mpaであり、真空減圧して水素放出する温度は400〜800℃であってもよく、好ましくは550〜700℃である。
【0036】
本発明の粉磨き工程S1-2-2)において、ボールミルプロセス及び/又はジェットミルプロセス(Jet Milling)により前記磁性粗粉末を解砕して磁性微粉末にする。ボールミルプロセスは、機械ボールミル装置を利用して前記磁性粗粉末を解砕し、磁性微粉末にするものである。前記機械ボールミル装置は、回転ボールミル、振動ボールミル又は高エネルギーボールミルから選択されるものを使用できる。ジェットミルプロセスは、気流を利用して磁性粗粉末を加速させ、互いに衝突させて解砕するものである。前記気流は窒素ガス流であってもよく、高純度の窒素ガス流が好ましい。前記高純度の窒素ガス流中のN
2含有量は99.0wt%以上であってもよく、好ましくは99.9wt%以上である。前記気流の圧力は0.1〜2.0Mpaであってもよく、好ましくは0.5〜1.0Mpaであり、より好ましくは0.6〜0.7Mpaである。
【0037】
本発明の好適な実施形態によれば、まず水素解砕プロセスにより母合金を解砕して磁性粗粉末にし、次いでジェットミルプロセスにより前記磁性粗粉末を解砕して磁性微粉末にする。例えば、水素解砕炉中で合金片の水素化を行い、水素ガスの圧力での解砕及び高温での水素放出反応を行った後の合金片は非常にルーズ(loose)な粒になり、その後ジェットミルにより平均粒度3〜5μmの粉体を製造する。
【0038】
成形工程S1-3)
本発明は成形工程S1-3)を利用してグリーン体を得る。磁性粉末の酸化を防止するために、本発明の成形工程S1-3)は真空又は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。成形工程S1-3)において、磁性粉末プレスプロセスは、モールドプレスプロセス及び/又は等方圧プレスプロセスを利用することが好ましい。本発明の等方圧プレスプロセスは等方圧機で行うことができる。プレスの圧力は100MPa以上であり、より好ましくは200MPa以上であり、プレスの時間は10〜30sであり、好ましくは15〜20sである。本発明の好適な実施形態によれば、まずモールドプレスプロセスを利用して磁性粉末をプレスし、次いで等方圧プレスプロセスを利用して磁性粉末をプレスする。本発明の成形工程S1-3)において、配向磁界方向と磁性粉末プレス方向とは互いに平行に配向するか、又は互いに垂直に配向する。配向磁界強度は特に限定されず、必要に応じて設定できる。本発明の好適な実施形態によれば、配向磁界強度は少なくとも1テスラ(T)であり、好ましくは少なくとも1.5Tであり、より好ましくは少なくとも1.8Tである。本発明の好適な実施形態によれば、本発明の成形工程S1-3)は以下のとおりである。すなわち、粉体を、磁界強度が1.8Tを超える磁界で配向してプレス成形し、次いで消磁してグリーン体を取り出し、真空減圧して封止したグリーン体材料を200MPa以上の等方圧で15s以上プレスする。
【0039】
焼結工程S1-4)
焼結グリーン体の酸化を防止するために、本発明の焼結工程S1-4)は真空又は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。本発明の好適な実施形態によれば、焼結工程S1-4)は真空焼結炉中で行われる。本発明において、焼結工程S1-4)の真空度は1.0Pa未満であってもよく、好ましくは5.0×10
-1Pa未満であり、より好ましくは5.0×10
-2Pa未満で、例えば1.0×10
-2Paである。焼結温度は500〜1200℃であってもよく、好ましくは700〜1100℃であり、より好ましくは1000〜1050℃である。焼結工程S1-4)において、焼結時間は0.5〜10時間であってもよく、好ましくは1〜8時間であり、より好ましくは3〜5時間である。本発明の好適な実施形態によれば、本発明の焼結工程S1-4)は以下のとおりである。すなわち、成形されたグリーン体を高真空焼結炉中に入れ、1×10
-3Pa〜1×10
-2Pa下、1000〜1050℃で3〜5h焼結し、次いでアルゴンガスを導入して60℃以下になるまでに風冷し、炉から取り出し、焼結素材ブロック(母材)を得る。
【0040】
切断工程S1-5)
本発明の切断工程S1-5)において、切断プロセスは、スライス加工プロセス及び/又はワイヤ放電カットプロセスを採用する。切断された磁石シートの寸法は10〜60 mm×5〜40 mm×1〜10mmであってもよく、好ましくは30〜50 mm×20〜30 mm×3〜8mmである。
【0041】
本発明において、磁石製造工程S1)は霧化噴霧塗着工程S2)の前に行うことが好ましい。コスト低減のために、磁石製造工程S1)において時効処理を行わない。
【0042】
<塗布工程S2)>
本発明に係る方法は、金属カルシウム及び希土類元素を含む塗布材を磁石の表面に塗布して乾燥させる塗布工程S2)を含む。前記塗布材は金属カルシウム粒と、希土類元素を含有する物質の粒とを含有する。
【0043】
金属カルシウム粒と希土類元素を含有する物質の粒はいずれも平均粒子径が0.01〜100μmであり、好ましくは0.1〜50μmである。本発明者らは、金属カルシウム粒の粒子径が小さいほど良いわけではなく、粒が小さすぎると、還元作用がかえって低下してしまうという知見を得た。これは環境(例えば酸素ガス)によるカルシウム粒への影響に関係していると考えられる。金属カルシウム粒の平均粒子径は好ましくは0.5〜50μmであり、より好ましくは1〜10μmであり、特に好ましくは1〜3μmである。希土類元素を含有する物質の粒の平均粒子径は好ましくは0.1〜50μmであり、より好ましくは0.1〜10μmであり、特に好ましくは0.1〜3μmである。本発明の金属カルシウム粒は、無酸素の条件下で微細に解砕してなることが好ましい。本発明の希土類元素を含有する物質の粒は、ヘリウムガスで解砕することが好ましい。ヘリウムガスをジェットミルの媒体とすることにより、解砕した粒の粒度がより微細で均一なものになる。
【0044】
本発明の塗布材において、金属カルシウム粒と希土類元素を含有する物質の粒との重量比は1:2〜5であってもよく、好ましくは1:2.5〜4.5であり、より好ましくは1:3〜4である。
【0045】
本発明の希土類元素を含有する物質は、
a1)希土類元素の単体、
a2)希土類元素を含有する合金、
a3)希土類元素を含有する化合物、又は
a4)上記物質の混合物から選択される。
【0046】
本発明の希土類元素を含有する合金a2)は、希土類元素以外にもその他の金属元素をさらに含有する。好ましくは、前記その他の金属元素はアルミニウム、ガリウム、マグネシウム、スズ、銀、銅、及び亜鉛から選択される少なくとも1種である。
【0047】
本発明の希土類元素を含有する化合物a3)は、希土類元素を含む無機化合物又は有機化合物である。希土類元素を含む無機化合物は、希土類元素の酸化物、水酸化物又は無機酸塩を含むが、これらに限られない。希土類元素を含む有機化合物は、希土類元素を含む有機酸塩、アルコール塩又は金属錯体を含むが、これらに限られない。本発明の好適な実施形態によれば、本発明の希土類元素を含有する化合物a3)は、希土類元素のハロゲン化物であり、例えば希土類元素のフッ化物、塩化物、臭素化物又はヨウ化物が挙げられる。
【0048】
本発明の希土類元素を含有する物質は、希土類元素のハロゲン化物、酸化物、及び窒化物から選択される1種又は複数種であってもよい。本発明の希土類元素を含有する物質において、希土類元素はプラセオジム、ネオジム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから選択される少なくとも1種である。本発明の好適な実施形態によれば、前記希土類元素はジスプロシウム又はテルビウムのうちの少なくとも1種である。
【0049】
本発明は下記塗布プロセス又はそれらの組み合わせを採用することが好ましい。
S2-1)金属カルシウム粒と希土類元素を含有する物質の粒を液体媒体に分散させて塗布液として懸濁液又はエマルジョンを形成し、前記塗布液としての懸濁液又はエマルジョンを用いてR-Fe-B系希土類焼結磁石の表面に塗布するプロセス、又は
S2-2)金属カルシウム粒と希土類元素を含有する物質の粒を有機溶媒に分散させ、1種又は複数種の有機バインダーを添加してコロイド溶液を調製し、前記コロイド溶液を用いてR-Fe-B系希土類焼結磁石の表面に塗布するプロセス。
【0050】
本発明の有機溶媒と有機バインダーは、金属カルシウム粒と希土類元素を含有する物質の粒を用いてコロイド溶液を調製することができるものであれば、特に制限されない。本発明の有機溶媒は好ましくは脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、アルコール、及びケトンのうちの少なくとも1種であり、具体的な実例としては、エタノール(アルコール)、ガソリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はグリセロールなどが挙げられるが、これらに限られない。本発明の有機バインダーは樹脂バインダー又はゴム系バインダーであってもよく、具体的な実例としては、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸樹脂、ブチルゴム、塩化ゴムなどが挙げられるが、これらに限られない。コロイド溶液における粒(金属カルシウム粒及び希土類元素を含有する物質の粒の合計量)、有機溶媒、及び有機バインダーの配合比率は好ましくは20〜600g:500ml:0.1〜10gであり、より好ましくは100〜500g:500ml:0.2〜5gである。
【0051】
本発明の乾燥プロセスは、当該分野の既知のものを採用することができ、ここでは詳述しない。乾燥温度は好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは100〜150℃であり、乾燥時間は好ましくは0.5〜5時間であり、より好ましくは1〜3時間である。好ましくは、乾燥プロセスは不活性雰囲気の保護下で行われ、より効果的には、窒素濃度99.99% の雰囲気の保護下で行われる。乾燥後、金属カルシウム及び希土類元素を含む物質は、焼結希土類磁石の表面に均一で繊密に付着する。
【0052】
<浸透工程S3)>
本発明の浸透工程(すなわち拡散工程)S3)は、塗布工程S2)から得られた焼結希土類磁石を熱処理するものである。前記浸透工程S3)は、
無酸素の条件下で、第一温度で保温して、金属カルシウムで希土類元素を還元させるとともに、希土類元素の一部を磁石内部の粒界へ拡散させる還元工程S3-1)と、
第二温度までに昇温させて保温して、還元後の希土類元素を磁石の表面から粒界に沿って磁石内部の粒界へさらに拡散させる拡散工程S3-2)と、を含む。
【0053】
本発明において、第一温度及び第二温度はいずれも600℃を超えかつ前記磁石の焼結温度より低い。第一温度及び第二温度は好ましくは600〜1060℃である。より好ましくは、還元工程S3-1)において、第一温度で1〜3時間保温し、前記第一温度が700〜800℃であり、拡散工程S3-2)において、第二温度で3〜8時間保温し、前記第二温度が900℃〜1060℃である。
【0054】
浸透工程S3)は真空又は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。本発明の好適な実施形態によれば、浸透工程S3)は真空浸透炉中で行うことができる。本発明の浸透工程S3)の絶対真空度は好ましくは0.01Pa以下であり、より好ましくは0.005Pa以下であり、さらに好ましくは0.0005Pa以下である。
【0055】
本発明の好適な実施形態によれば、熱処理過程において、塗布工程S2)から得られた焼結希土類磁石を真空焼結炉中に入れ、焼結炉を真空減圧して0.005Pa以下になると加熱を開始し、5〜15℃/minの速度で700〜750℃に昇温させた後、1〜5℃/minの速度で750〜780℃に昇温させ、1〜3h保温し、金属カルシウムと希土類元素を含有する物質との置換還元反応を引き起こし、置換された希土類元素又は希土類元素を含有する物質の希土類元素の一部を磁石内部の粒界へ拡散させ、その後、3〜8℃/minの速度で900〜1000℃に昇温させ、3〜8 h保温し、希土類元素を磁石内部の粒界へさらに十分に拡散させる。
【0056】
<時効処理工程S4)>
本発明の時効処理工程S4)は、焼結希土類磁石を時効処理するものである。焼結希土類磁石の酸化を防止するために、本発明の時効処理工程S4)は真空又は不活性雰囲気中で行うことが好ましい。本発明において、時効処理の温度は
400℃〜1020℃であり、好ましくは400〜900℃で
あり、
更に好ましくは450〜550℃であり、時効処理の時間は0.5〜10時間であってもよく、好ましくは1〜6時間である。本発明の好適な実施形態によれば、時効処理工程S4)は、不活性雰囲気を導入して60℃以下になるまでに風冷し、次いで1Pa以下、480〜500℃下で3〜6h保温し、再び不活性雰囲気を導入して60℃以下に冷却する。
【0057】
実施例1
磁石製造工程 S1):
溶解工程 S1-1):原子%で、12.5%のNd、1.5%のDy、0.5%のAl、0.5%のCo、0.05%のCu、0.2%のNb、5.9%のB、及び残部Feで調製した原料を、アルゴンガス保護の環境において、真空溶解炉中に中間周波誘導を利用して加熱して溶融させ、次いで1480℃下で回転している銅製急冷ロールに注ぎ、平均厚さ0.3mmの合金片を得た。
製粉工程 S1-2):
粗解砕工程 S1-2-1):合金片を0.1Mpaの水素ガスで水素化して解砕し、次いで550℃で真空減圧して水素放出し、粒度300μm程度の粗粉末を得た。
粉磨き工程S1-2-2):粗粉末をジェットミルにより解砕して平均粒子径3μmの微粉末にした。
成形工程 S1-3):窒素ガス保護下で、配向磁界が1.8Tを超える成形プレス機で微粉末をプレスしてグリーン体にし、真空減圧して封止したグリーン体を200MPa以上の等方圧で15s以上プレスした。
焼結工程 S1-4):成形グリーン体を高真空焼結炉に置き、1×10
-2Pa、1050℃で4h焼結し、次いでアルゴンガスを導入して60℃以下になるまでに風冷し、炉から取り出して焼結素材ブロックを得た。
切断工程 S1-5):得られた素材ブロックをスライスし、ミル加工工程により40×25×5mmの磁石シートを形成した。
塗布工程 S2):窒素ガス保護下で金属カルシウムを解砕して平均粒子径1.5μmの金属粒にした。フッ化ジスプロシウムをヘリウムガスの保護下で、ジェットミルを利用した製粉方法により解砕して平均粒子径1.5μmの粒にした。カルシウム金属粒とフッ化ジスプロシウム粒を重量比1:3.5でエタノール溶液に分散させ、エポキシ樹脂バインダーを添加して有機コロイド溶液を調製し、コロイド溶液における粒(金属カルシウム粒とフッ化ジスプロシウム粒との合計量)、有機溶媒、及びエポキシ樹脂バインダーの配合比率は200g:500ml:0.5gであった。その後、均一に混合したコロイド溶液を磁石の表面に均一に塗布し、窒素濃度99.99% の雰囲気の保護下でコロイドを乾燥させた。
浸透工程 S3):乾燥後の磁石をグラファイトボックスに均一に置き、蓋をカバーして封止した後、真空焼結炉中に入れた。
還元工程 S3-1):焼結炉を真空減圧して5×10
-3Pa以下になると加熱を開始し、10℃/minの速度で720℃に昇温させた後、2℃/minの速度で780℃に昇温させ、2h保温し、カルシウムとフッ化ジスプロシウムとの置換還元反応を引き起こし、置換されたジスプロシウム元素又はフッ化ジスプロシウムにおけるジスプロシウム元素の一部を磁石内部の粒界へ拡散させた。
拡散工程 S3-2):5℃/minの速度で950℃に昇温させて5h保温し、ジスプロシウム元素を磁石内部の粒界へさらに十分に拡散させた。
S4)時効処理工程:アルゴンガスを導入して60℃以下になるまでに風冷した。その後、1Pa以下、490℃で4h保温して時効処理を行い、再びアルゴンガスを導入し、60℃以下に冷却した後に炉から取り出し、試料1#を得た。
【0058】
比較例1
実施例1に比べて、塗布工程S2)及び浸透工程S3)を行わない以外、その他の条件は実施例1と同じである。試料2#を得た。
【0059】
比較例2
実施例1に比べて、塗布工程S2)は異なる。比較例2の塗布工程S2)としては、平均粒子径300μmのフッ化ジスプロシウム粒をエタノール溶液に分散させ、エポキシ樹脂バインダーを添加して有機コロイド溶液を調製し、コロイド溶液における粒、有機溶媒及びエポキシ樹脂バインダーの配合比率が200g:500ml:0.5gであった。その後、均一に混合したコロイド溶液を磁石の表面に均一に塗布し、窒素濃度99.99% の雰囲気の保護下で、コロイドを乾燥させた。その他の条件は実施例1と同じである。試料3#を得た。
【0060】
比較例3
実施例1に比べて、塗布工程S2)にカルシウム金属粒を添加しない以外、その他の条件は実施例1と同じである。試料4#を得た。
【0061】
比較例4
実施例1に比べて、磁石製造工程S1)の原料の配合比率は異なり、しかも塗布工程S2)及び浸透工程S3)を行わない。比較例4では、下記原子%で原料を調製した。すなわち、11.5%のNd、2.5%のDy、0.5%のAl、0.5%のCo、0.05%のCu、0.2%のNb、5.9%のB、及び残部Feで原料を調製した。その他の工程は実施例1と同じである。試料5#を得た。
【0062】
実施例2
磁石製造工程 S1):
溶解工程 S1-1):原子%で、12.5%のNd、1.5%のDy、0.5%のAl、0.5%のCo、0.05%のCu、0.2%のNb、5.9%のB及び残部Feで調製した原料を、アルゴンガス保護の環境において、真空溶解炉中に中間周波誘導を利用して加熱して溶融させ、次いで1480℃下で回転している銅製急冷ロールに注ぎ、平均厚さ0.3mmの合金片を得た。
製粉工程S1-2):
粗解砕工程 S1-2-1):合金片を0.08MPaの水素ガスで水素化して解砕し、次いで550℃で真空減圧して水素放出し、粒度300μm程度の粗粉末を得た。
粉磨き工程S1-2-2):粗粉末をジェットミルにより解砕して平均粒子径3.0μmの微粉末にした。
成形工程 S1-3):窒素ガス保護下で、配向磁界が1.8Tを超える成形プレス機で微粉末をプレスしてグリーン体にし、真空減圧して封止したグリーン体を200MPa以上の等方圧で15s以上プレスした。
焼結工程 S1-4):成形グリーン体を高真空焼結炉に置き、1×10
-2Pa、1050℃で4h焼結し、次いでアルゴンガスを導入して60℃以下になるまでに風冷し、炉から取り出して焼結素材ブロックを得た。
切断工程 S1-5):得られた素材ブロックをスライスし、ミル加工工程により40×25×5mmの磁石シートを形成した。
塗布工程 S2):窒素ガス保護下で金属カルシウムを解砕して平均粒子径1.5μmの金属粒にした。フッ化テルビウムをヘリウムガスの保護下で、ジェットミルを利用した製粉方法により解砕して平均粒子径1.5μmの粒にした。カルシウム金属粒とフッ化テルビウム粒を重量比1:3.5でエタノール溶液に分散させ、エポキシ樹脂バインダーを添加して有機コロイド溶液を調製し、コロイド溶液における粒(金属カルシウム粒とフッ化テルビウム粒との合計量)、有機溶媒及びエポキシ樹脂バインダーの配合比率は200g:500ml:0.5gであった。その後、均一に混合したコロイド溶液を磁石の表面に均一に塗布し、窒素濃度99.99% の雰囲気の保護下でコロイドを乾燥させた。
浸透工程 S3):乾燥後の磁石をグラファイトボックスに均一に置き、蓋をカバーして封止した後、真空焼結炉中に入れた。
還元工程 S3-1):焼結炉を真空減圧して5×10
-3Pa以下になると加熱を開始し、10℃/minの速度で720℃に昇温させた後、2℃/minの速度で780℃に昇温させ、2h保温し、カルシウムとフッ化テルビウムとの置換還元反応を引き起こし、置換されたテルビウム元素又はフッ化テルビウム中のテルビウム元素の一部を磁石内部の粒界へ拡散させた。
拡散工程 S3-2):5℃/minの速度で950℃に昇温させて5h保温することにより、テルビウム元素を磁石内部の粒界へさらに十分に拡散させた。
時効処理工程 S4):アルゴンガスを導入して60℃以下になるまでに風冷し、その後、1Pa以下、490℃で4h保温して、再びアルゴンガスを導入し、60℃以下に冷却した後に炉から取り出し、試料6#を得た。
【0063】
表1には、各実施例及び比較例で得られた磁石の磁気特性のパラメータが示されている。測定したデータからすれば、試料1#は試料2#に比べて、残留磁束密度及び磁気エネルギー積が多少低下したが、保磁力が大幅に向上し、5.15KOeも高くなった。また、試料5#は、試料1#に比べて配合成分としてジスプロシウムが1at%増加した例で、保磁力が試料1#と同等のものであるが、残留磁束密度及び磁気エネルギー積が試料1#より遥かに低い。試料3#は浸透工程で処理されたものであり、保磁力が向上したが、その向上効果が、フッ化ジスプロシウム微粒で処理された試料4#に及ばなかった。一方、試料4#の保磁力は、カルシウムでフッ化ジスプロシウム微粒を還元する処理がなされた試料1#に及ばなかった。本発明の方法でテルビウム浸透処理された磁石試料6#は、保磁力の向上がより一層顕著であった。本発明の方法で磁石を処理することにより、残留磁束密度及び磁気エネルギー積がほとんど低下せず、磁気特性である保磁力を大幅に向上できるとともに、重希土類の使用量を20%〜30%低減でき、永久磁石の生産コストの低減やコストパフォーマンス向上において重要な意義をもっている。
【0064】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、当業者が想到し得る種々の変更、改良、代替はすべて本発明の範囲内に含まれる。