(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276330
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】マルチ分析システム及びそのマルチ分析計
(51)【国際特許分類】
G01R 13/28 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
G01R13/28 J
G01R13/28 A
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-121863(P2016-121863)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-9607(P2017-9607A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】104120303
(32)【優先日】2015年6月24日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502281448
【氏名又は名称】ゼロプラス テクノロジー コーポレッド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZEROPLUS TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和
(72)【発明者】
【氏名】湯 振興
【審査官】
續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06148420(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0228396(US,A1)
【文献】
特表2006−515671(JP,A)
【文献】
特開2006−300618(JP,A)
【文献】
特開2004−220389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの被測定物から発する一つの被測定信号を受信するための一種のマルチ分析計であって、
前記被測定物と電気的に接続して前記被測定物から発する前記被測定信号を受信するための一つのプローブと、
前記プローブと電気的に接続して前記被測定信号を受信して前記被測定信号をサンプリングし、そのサンプリング結果を出力するための一つのロジック分析モジュールと、
前記プローブと電気的に接続して前記被測定信号を受信し、前記被測定物の通信プロトコルをもとに前記被測定信号を解析し、その解析結果を出力するための一つのプロトコル分析モジュールと、
一つの第1伝送インタフェース及び前記第1伝送インタフェースと電気的に接続する一つの第1記憶ユニットと、
一つの第2伝送インタフェース及び前記第2伝送インタフェースと電気的に接続する一つの第2記憶ユニットと、
を有し、
前記第1伝送インタフェースは前記ロジック分析モジュールと電気的に接続して前記ロジック分析モジュールから出力されるサンプリング結果を受信して一つの第1転送速度でもって前記第1記憶ユニットに出力して保存し、
前記第2伝送インタフェースは前記プロトコル分析モジュールと電気的に接続して前記プロトコル分析モジュールから出力される解析結果を受信して一つの第2転送速度でもって前記第2記憶ユニットに出力して保存し、前記第2転送速度は前記第1転送速度を超えない、マルチ分析計。
【請求項2】
一つの入力端及び二つの出力端を備える一つのゲインユニットを含み、
前記入力端は前記プローブと電気的に接続し、前記二つの出力端はそれぞれ前記ロジック分析モジュール及び前記プロトコル分析モジュールと電気的に接続するため、前記ロジック分析モジュール及び前記プロトコル分析モジュールは前記ゲインユニットを介して前記プローブと電気的に接続し、前記ゲインユニットは前記入力端から前記被測定信号を受信して前記被測定信号を前記二つの出力端よりそれぞれ前記ロジック分析モジュール及び前記プロトコル分析モジュールに同時に出力することを特徴とする、請求項1記載のマルチ分析計。
【請求項3】
前記第1転送速度は前記第2転送速度と同じであることを特徴とする、請求項1記載のマルチ分析計。
【請求項4】
前記第1記憶ユニットと前記第2記憶ユニットとは、互いに異なる種類の記憶ユニットであることを特徴とする、請求項1記載のマルチ分析計。
【請求項5】
前記第1転送速度は8000MB/s以上で、前記第2転送速度は200MB/s以上であることを特徴とする、請求項1記載のマルチ分析計。
【請求項6】
一つの被測定物と電気的に接続して前記被測定物から発する一つの被測定信号を受信するための一つのプローブと、
前記プローブと電気的に接続して前記被測定信号を受信して前記被測定信号をサンプリングし、そのサンプリング結果を出力するための一つのロジック分析モジュールと、
前記プローブと電気的に接続して前記被測定信号を受信し、前記被測定物の通信プロトコルをもとに前記被測定信号を解析し、その解析結果を出力する一つのプロトコル分析モジュールと、
一つの第1伝送インタフェース及び前記第1伝送インタフェースと電気的に接続する一つの第1記憶ユニットと、
一つの第2伝送インタフェース及び前記第2伝送インタフェースと電気的に接続する一つの第2記憶ユニットと、
前記第2記憶ユニットと電気的に接続し、前記第2記憶ユニットに保存された解析結果が所定の条件を満たしているか否かを分析し、前記解析結果が所定の条件を満たす場合、前記第1記憶ユニットに保存されたサンプリング結果を第1伝送インタフェース及び第2伝送インタフェースを経由して前記第2記憶ユニットに伝送するプロセッサーと、を有し、
前記第1伝送インタフェースは、前記ロジック分析モジュールと電気的に接続して前記ロジック分析モジュールから出力されるサンプリング結果を受信して一つの第1転送速度でもって前記第1記憶ユニットに出力する保存し、
前記第2伝送インタフェースは、前記プロトコル分析モジュール及び前記第1伝送インタフェースと電気的に接続して前記プロトコル分析モジュールから出力される解析結果を受信し、一つの第2転送速度でもって前記第2記憶ユニットに出力して保存し、前記第2転送速度は前記第1転送速度を超えないマルチ分析システム。
【請求項7】
前記プロセッサーと電気的に接続する一つのディスプレイを含み、前記プロセッサーは前記第2記憶ユニットに保存された解析結果及びサンプリング結果をそれぞれ一つの映像信号に変換して前記映像信号を前記ディスプレイに出力し、前記ディスプレイに前記解析結果及び前記サンプリング結果と対応する映像を表示させることを特徴とする、請求項6記載のマルチ分析システム。
【請求項8】
前記プロセッサーと電気的に接続する一つの警報装置を含み、前記第1記憶ユニットから出力されるサンプリング結果は第1伝送インタフェース及び第2伝送インタフェースを経由して前記第2記憶ユニットに伝送されると、前記プロセッサーは前記警報装置に一つの信号を発し、前記警報装置は前記信号をもとにユーザーに一つの警告信号を発して通知することを特徴とする、請求項6記載のマルチ分析システム。
【請求項9】
前記第1伝送インタフェースと電気的に接続する一つの警報装置を含み、前記第1記憶ユニットから出力されるサンプリング結果は第1伝送インタフェース及び第2伝送インタフェースを経由して前記第2記憶ユニットに伝送されると、前記第1伝送インタフェースから前記警報装置に一つの警告信号が発し、前記警報装置は前記信号をもとにユーザーに一つの警告信号を発して通知することを特徴とする、請求項6記載のマルチ分析システム。
【請求項10】
一つのゲインユニットを含み、前記ゲインユニットは一つの入力端及び二つの出力端を備え、前記入力端は前記プローブと電気的に接続し、前記二つの出力端はそれぞれ前記ロジック分析モジュール及び前記プロトコル分析モジュールと電気的に接続しているため、前記ロジック分析モジュール及び前記プロトコル分析モジュールは前記ゲインユニットを介して前記プローブと電気的に接続し、前記ゲインユニットは前記入力端より前記被測定信号を受信して前記被測定信号を前記二つの出力端よりそれぞれ前記ロジック分析モジュール及び前記プロトコル分析モジュールに同時に出力することを特徴とする請求項6記載のプマルチ分析システム。
【請求項11】
前記第1記憶ユニット及び前記第2記憶ユニットは同一タイプの記憶ユニットであることを特徴とする、請求項6記載のマルチ分析システム。
【請求項12】
第1記憶ユニットと前記第2記憶ユニットとは、異なる種類の記憶ユニットであることを特徴とする請求項11記載のマルチ分析システム。
【請求項13】
前記第1記憶ユニットのデータ転送速度は8000MB/s以上、前記第2記憶ユニットのデータ転送速度は200MB/s以上であることを特徴とする、請求項6記載のマルチ分析システム。
【請求項14】
一つの第1被測定物と電気的に接続して前記第1被測定物から発する一つの第1被測定信号を受信するための一つの第1プローブと、
一つの第2被測定物と電気的に接続して前記第1被測定物から発する一つの第2被測定信号を受信するための一つの第2プローブと、
前記第1プローブと電気的に接続して前記第1被測定信号を受信して前記第1被測定信号を分析し、一つの第1分析結果として出力する一つの第1ロジック/プロトコル分析モジュールと、
前記第1プローブと電気的に接続して前記第1被測定信号を受信して前記第1被測定信号を分析し、一つの第2分析結果として出力する一つの第2ロジック/プロトコル分析モジュールと、
前記第2プローブと電気的に接続して前記第2被測定信号を受信し、前記第2被測定信号を分析し、一つの第3分析結果として出力する一つの第3ロジック/プロトコル分析モジュールと、
前記第2プローブと電気的に接続して前記第2被測定信号を受信し、前記第2被測定信号を分析し、一つの第4分析結果として出力する一つの第4ロジック/プロトコル分析モジュールと、
一つの第1伝送インタフェース及び前記第1伝送インタフェースと電気的に接続する一つの第1記憶ユニットと、
一つの第2伝送インタフェース及び前記第2伝送インタフェースと電気的に接続する一つの第2記憶ユニットと、
一つの第3伝送インタフェース及び前記第3伝送インタフェースと電気的に接続する一つの第3記憶ユニットと、
一つの第4伝送インタフェース及び前記第4伝送インタフェースと電気的に接続する一つの第4記憶ユニットと、
を有し、
前記第1伝送インタフェースは前記第1ロジック/プロトコル分析モジュールと電気的に接続して前記第1ロジック/プロトコル分析モジュールから出力される第1分析結果を受信して一つの第1転送速度でもって前記第1記憶ユニットに出力して保存し、
前記第2伝送インタフェースは前記第2ロジック/プロトコル分析モジュールと電気的に接続して前記第2ロジック/プロトコル分析モジュールから出力される第2分析結果を受信して一つの第2転送速度でもって前記第2記憶ユニットに出力して保存し、
前記第3伝送インタフェースは前記第3ロジック/プロトコル分析モジュールと電気的に接続して前記第3ロジック/プロトコル分析モジュールから出力される第3分析結果を受信して一つの第3転送速度でもって前記第3記憶ユニットに出力して保存し、
前記第4伝送インタフェースは前記第4ロジック/プロトコル分析モジュールと電気的に接続して前記第4ロジック/プロトコル分析モジュールから出力される第4分析結果を受信して一つの第4転送速度でもって前記第4記憶ユニットに出力して保存し、
前記第2転送速度は前記第1転送速度、前記第3転送速度及び前記第4転送速度を超えない、マルチ分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を分析する装置に関し、特に被測定信号のサンプリング及び解析を同時に行える一種のマルチ分析システム及びそのマルチ分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
ロジック分析計の主な役割は、信号のサンプリングを行うことである。プロトコル分析計の主な役割は、信号を解析して記録することである。そのため、市販のロジック分析計及びプロトコル分析計はいずれも別々の装置となっている。
【0003】
ロジック分析計とプロトコル分析計を同時に一つの被測定物の信号測定に使用すると、ロジック分析計とプロトコル分析計のプローブと被測定物の間に静電気が生じ、被測定物の信号が妨害されてしまう。
【0004】
また、ロジック分析計又はプロトコル分析計を同時に組み込み用マルチメディアカード(Embedded Multi Media Card, EMMC)の信号測定に使用する場合、組み込み用マルチメディアカードが二つのプローブの負荷に耐えられず、それにより効率の低下、機能失効又は破損が発生しやすいため、従来の技術的手段ではロジック分析計とプロトコル分析計を利用した組み込み用マルチメディアカード信号のサンプリング及び解析を同時に行うことができない。
【0005】
従来の設備を使用した被測定物の信号測定の場合,まず先にロトコル分析計で被測定物の信号を解析し、解析結果が所定の結果と一致しないことを発見した場合、一旦プロトコル分析計を外して、今度はロジック分析計で被測定物を最初から信号測定を行わないと、被測定物の所定の結果と一致しない信号を発する場所を見つけられなかった。そのため、被測定物の信号が正しいかどうかを判断するには時間がかかり、手間のかけすぎによる効率の低下などの問題点がどうしても生じてしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、被測定信号のサンプリングと解析を同時に行えるマルチ分析システム及びそのマルチ分析計を提供することである。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明により提供されるマルチ分析計は一つの被測定物から発する一つの被測定信号の測定に用いられ、分析計は一つのロジック分析モジュール、一つのプロトコル分析モジュール、一つの第1記憶ユニット、一つの第1伝送インタフェース、一つの第2記憶ユニット及び一つの第2伝送インタフェースを含む。プローブは被測定物と電気的に接続して被測定物から発する被測定信号の受信に用いられる。ロジック分析モジュールはプローブと電気的に接続して被測定物から発する一つの被測定信号を受信し、マルチ分析計は一つのプローブ的に接続し、被測定信号を受信して被測定信号をサンプリングし、そのサンプリング結果を出力するのに用いられる。プロトコル分析モジュールはプローブと電気的に接続し、被測定信号を受信して、被測定物の通信プロトコルをもとに被測定信号を解析し、その解析結果を出力するのに用いられる。第1記憶ユニットは第1伝送インタフェースと電気的に接続し、一方で第1伝送インタフェースはロジック分析モジュールと電気的に接続し、ロジック分析モジュールから出力されるサンプリング結果を受信して一つの第1転送速度でもって第1記憶ユニットに出力して保存するのに用いられる。第2記憶ユニットは第2伝送インタフェースと電気的に接続し、第2伝送インタフェースはプロトコル分析モジュールと電気的に接続してプロトコル分析モジュールから出力される解析結果を受信して一つの第2転送速度でもって第2記憶ユニットに出力して保存するのに用いられる。この時、第2転送速度は第1転送速度を超えることはない。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明ではさらに一つのプローブ、一つのロジック分析モジュール、一つのプロトコル分析モジュール、一つの第1記憶ユニット、一つの第1伝送インタフェース、一つの第2記憶ユニット、一つの第2伝送インタフェース及び一つのプロセッサーからなる一種のマルチ分析システムを提供した。
【0009】
プローブは一つの被測定物と電気的に接続して被測定物から発する一つの被測定信号を受信するのに用いられる。ロジック分析モジュールはプローブと電気的に接続して被測定信号を受信し、かつ被測定信号をサンプリングし、そのサンプリング結果を出力するのに用いられる。プロトコル分析モジュールはプローブと電気的に接続し、被測定信号を受信し、被測定物の通信プロトコルをもとに被測定信号を解析し、その解析結果を出力するのに用いられる。第1記憶ユニットは第1伝送インタフェースと電気的に接続し、第1伝送インタフェースはロジック分析モジュールと電気的に接続してロジック分析モジュールから出力されるサンプリング結果を受信して一つの第1転送速度でもって第1記憶ユニットに出力して保存するのに用いられる。第2記憶ユニットは第2伝送インタフェースと電気的に接続し、第2伝送インタフェースはプロトコル分析モジュール及び第1伝送インタフェースと電気的に接続してプロトコル分析モジュールから出力される解析結果を受信して一つの第2転送速度でもって第2記憶ユニットに出力して保存するのに用いられる。この時、第2転送速度は第1転送速度を超えることはない。プロセッサーは第2記憶ユニットと電気的に接続し、第2記憶ユニットに保存された解析結果が所定の条件を満たすか否かを分析し、解析結果が所定の条件を満たす場合、第1記憶ユニットに保存されたサンプリング結果を第1伝送インタフェース及び第2伝送インタフェースを経由して第2記憶ユニットに伝送する。
【0010】
本発明の構造を採用することで、ロジック分析モジュール及びプロトコル分析モジュールを同時に使用して被測定信号に対してロジック分析モジュールによるサンプリング及びプロトコル分析モジュールによる解析を同時に行えるようになり、被測定信号の処理を加速できるようにした。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施例のマルチ分析システムを示すブロック図である。
【
図2】分析結果が正しく解析された時の各信号の伝送方向を示す上記実施例のブロック図である。
【
図3】分析結果が間違って解析された時の各信号の伝送方向を示す上記実施例のブロック図である。
【
図4】本発明の第2実施例のマルチ分析システムを示すブロック図である。
【
図5】本発明の第3実施例のマルチ分析システムを示すブロック図である。
【
図6】本発明の第4実施例のマルチ分析システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明で採用された技術手段および効果をよりはっきりと理解できるよう、実施例と図面を併用して詳しく説明する。
図1は本発明の一実施例のマルチ分析システムを示すものである。
【0013】
マルチ分析システム10は主に一つのマルチ分析計110及び一つのコンピューターから構成される。
【0014】
このうち、マルチ分析計110は一つの被測定物(未図示)から発する一つの被測定信号の測定に用いられる。被測定物は様々な異なる信号伝送ケーブル(例如ネットワークケーブル、USBケーブル又はバス)、信号伝送コネクタ(例えば,ネットワークコネクタ、USBコネクタ又はRS232コネクタ)又は記憶装置(組み込み用マルチメディアカード等)であってもかまわない。本実施形態において、被測定物として組み込み用マルチメディアカードを使用しており、組み込み用マルチメディアカードはデジタル信号方式でデータを伝送・受信し、そのデータには複数のパケットが含まれている。上記データは即ち本発明のマルチ分析システム10で測定しようとする被測定信号である。
【0015】
本実施形態において、マルチ分析計110は、一つのプローブ111、一つのゲインユニット112、一つのロジック分析モジュール113、一つのプロトコル分析モジュール114、一つの第1伝送インタフェース115、一つの第2伝送インタフェース116、一つの第2記憶ユニット117及び一つの第2記憶ユニット118を含む。
【0016】
プローブ111は組み込み用マルチメディアカードの信号接点と電気的に接続し、組み込み用マルチメディアカード上の被測定信号の受信に用いられる。
【0017】
ゲインユニット112は一つの入力端及び二つの出力端を備える。ゲインユニット112の入力端はプローブ111と電気的に接続し、被測定信号を受信した後、被測定信号を二つの出力端から同時に出力するのに用いられる。実際では、ゲインユニット112はフィルター回路、増幅回路、整合回路又はロジック回路等の回路から構成されたものでもかまわず、必要があれば他の一般的な回路構造を利用して前記効果を実現してもかまわない。
【0018】
ロジック分析モジュール113はゲインユニット112のいずれか一つの出力端と電気的に接続し、これによりロジック分析モジュール113はゲインユニット112を介してプローブと電気的に接続し、出力端から出力される被測定信号を受信して一つの既定のサンプリング頻度で被測定信号をサンプリングし、一つのサンプリング結果生成して出力する。
【0019】
プロトコル分析モジュール114はゲインユニット112の別の出力端と電気的に接続し、これによりプロトコル分析モジュール114がゲインユニット112を介してプローブと電気的に接続され、出力端から出力される被測定信号を受信し、被測定物の通信プロトコルをもとに被測定信号を解析し、その解析結果を出力できるようになる。
【0020】
第1伝送インタフェース15はロジック分析モジュール113及び第1記憶ユニット117とそれぞれ電気的に接続し、しかも第1伝送インタフェース15はロジック分析モジュール113から出力されたサンプリング結果を受信して一つの第1転送速度でもってサンプリング結果を第1記憶ユニット117に出力して保存するのに用いられる。
【0021】
第2伝送インタフェース116はプロトコル分析モジュール114、第1伝送インタフェース115及び第2記憶ユニット118とそれぞれ電気的に接続する。第2伝送インタフェース116はプロトコル分析モジュール114から出力される解析結果を受信して一つの第2転送速度でもって解析結果を第2記憶ユニット118に出力して保存するのに用いられ、この時、第2転送速度は第1転送速度を超えることはない。また、第2転送速度をあえて第1転送速度より低く設定した目的は、第1伝送インタフェース15はロジック分析モジュール113の出力するサンプリング結果の伝送に用いられるが、サンプリング結果は通常ではそのデータ容量がとても大きく、全てのサンプリング結果データを第1記憶ユニット117に正確に伝送して保存するには第1伝送インタフェース15の転送速度を高く設計する必要があったからである。第2伝送インタフェース116はプロトコル分析モジュール114から出力されるデータ量の少ない解析結果の伝送に用いられるため、それほど高い転送速度がなくでもきちんと解析結果の伝送を実現できる。
【0022】
本実施形態において、上記の第1転送速度及び第2転送速度の要求を踏まえて、第1伝送インタフェース15は転送速度8000MB/sのメモリーバス(即ち第1転送速度は8000MB/s)であるのに対して、第2伝送インタフェース116は転送速度約200MB/sのユニバーサル・シリアル・バス(即ち第2転送速度は200MB/s)であり、しかも上記第1伝送インタフェース15と第2伝送インタフェース116の転送速度に合わせるように、本実施形態において、第1記憶ユニット117はDDR3 SDRAM(Double-Data-Rate Three Synchronous Dynamic Random Access Memory)であるのに対して、第2記憶ユニット118はハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)である。当然ながら、実際では、第2伝送インタフェース116はPCI Express(登録商標)、ワイヤレス伝送インタフェース又はその他の転送速度の低い伝送インタフェースでもかまわない。一方で第2記憶ユニット118はSDメモリーカード(Secure Digital Memory Card)又はその他の低転送速度用のメモリーアセンブリーでもかまわない。また,あえてハードディスクドライブ又はSDメモリーカードを使用した理由として、低転送速度の記憶コンポーネントは膨大な容量を提供できるだけでなく、プロトコル分析モジュール114から出力される解析結果を常時記録でき、しかも低コストであるため、マルチ分析システム10の製造コストを削減できるからである。
【0023】
コンピューターは一つのプロセッサー120及び一つのディスプレイ130を含む。ディスプレイ130はプロセッサー120と電気的に接続する。プロセッサー120はディスプレイ130と電気的に接続するほか、さらに第2記憶ユニット118と電気的に接続し、第2記憶ユニット118に保存された解析結果が所定の条件を満たすか否かを分析した上で、一つの分析結果を得るのに用いられる。本実施形態において、解析結果が所定の条件を満たす場合、分析結果を解析エラーとみなし、逆に解析結果が所定の条件を満たさない場合、分析結果を解析合格とみなし、プロセッサー120はこの分析結果次第で、次のような異なる対処を行う:
【0024】
分析の結果、正しく解析された場合、
図2に示すように、プロセッサー120は何の信号も出さず、プローブ111も引き続き被測定信号を受信し、被測定信号はゲインユニット112を経由してロジック分析モジュール113及びプロトコル分析モジュール114に伝送された後、それぞれ第1伝送インタフェース115及び第2伝送インタフェース116を経由してサンプリング結果及び解析結果を第1記憶ユニット117及び第2記憶ユニット118にそれぞれ保存する。
【0025】
分析の結果、正しく解析されなかった場合、即ち被測定信号の一部のパケットにエラーがあることを意味する。プロセッサー120は一つの信号をロジック分析モジュール113まで伝送し、ロジック分析モジュール113は被測定物から出力される被測定信号の採集を停止して第1記憶ユニット117に保存されたサンプリング結果を第1伝送インタフェース115及び第2伝送インタフェース116を経由して前記第2記憶ユニット118まで伝送してコンピューターのプロセッサー120による採集に供する。分析結果が特定の条件を満たす場合、即ち被測定信号はユーザーが分析しようとする範囲であることを意味する。プロセッサー120は一つの信号を発してロジック分析モジュール113に伝送する。これを受けてロジック分析モジュール113は被測定物から出力される被測定信号の採集を停止して第1記憶ユニット117に保存されたサンプリング結果を第1伝送インタフェース115及び第2伝送インタフェース116を経由して第2記憶ユニット118まで伝送してコンピューターのプロセッサー120よって読み取られる。
【0026】
さらに詳しく説明すると、
図3に示すように、分析の結果、正しく解析されなかった場合、マルチ分析計110の第1記憶ユニット117に保存されたサンプリング結果は第1伝送インタフェース115及び第2伝送インタフェース116を経由して第2記憶ユニット118に伝送される。次にプロセッサー120がサンプリング及びエラーパケットの再解析により得られたサンプリング結果及び解析結果を一つの映像信号に変換し、映像信号をディスプレイ130に出力してディスプレイ130に解析結果及びサンプリング結果と対応する映像を表示させる。これにより、使用者は全ての被測定信号を測定し直す必要もなく、ディスプレイ130を見るだけで被測定信号のエラーパケットが生じ得る部分を把握することができる。
【0027】
本実施形態のマルチ分析システム及びそのマルチ分析計は組み込み用マルチメディアカードに抵接した単一のプローブしか使用しない。このため、組み込み用マルチメディアカードに二つ以上のプローブによる負荷がかからず、それによる破損の心配もなくなり、しかも本発明のマルチ分析システムのゲインユニットの場合、一組の被測定信号を二組の同じ被測定信号に複製してロジック分析モジュール及びプロトコル分析モジュールにそれぞれ伝送することで、被測定信号のロジック分析モジュールによるサンプリング及びプロトコル分析モジュールによる解析が同時に行えるようになり、被測定信号の分析を加速することができる。
【0028】
また、上記構造のほか、
図4に示すように、マルチ分析システムはさらに一つの警報装置140を含む。警報装置140はプロセッサー120と電気的に接続し、分析の結果、正しく解析されなかった場合、第1記憶ユニット117から出力されるサンプリング結果が第2記憶ユニット118に伝送保存されると、プロセッサー120から警報装置140に一つの信号が送信され、警報装置140は信号から送られる一つの警告信号をもとにユーザーに警報を発する。だが実際では、信号はマルチ分析システム10の近くにいるユーザーに通知できる点滅又はベル音であってもかまわない。また、警報装置140は電子メールやショートメール又はその他の通信ソフトを利用してユーザーに警告信号を発することもできる。
【0029】
さらに本発明の警報装置はプロセッサーと電気的に接続するほか、
図5に示すように警報装置240が第1伝送インタフェース15と電気的に接続し、第1伝送インタフェース15から出力されるサンプリング結果が第2伝送インタフェース116に伝送されるのを検知すると、直ちにユーザーに警告信号を発して同じような警報効果を実現することもできる。
【0030】
ここで説明すべき点として、上記実施例はあくまでも本発明の推奨する実施態様にすぎず、本発明に対する何らかの形式的な制限とならない。ほかの実施例において、ロジック分析モジュール又はプロトコル分析モジュールをロジック/プロトコル分析モジュールに変えることもできる。ロジック/プロトコル分析モジュールはユーザーの需要に応じてロジック分析機能及びプロトコル分析機能の間で切換可能な装置である。
【0031】
また、本発明の第1記憶ユニット及び第2記憶ユニットは同種の記憶コンポーネントであってもかまわず、さらに詳しく言えば、第1記憶ユニット及び第2記憶ユニットはそれぞれ同種のDDR3 SDRAMであるため、第1伝送インタフェース及び第2伝送インタフェースも同じ仕様の伝送インタフェースで、これにより第1転送速度は第2転送速度と等しく、前記のような伝送と保存を別々に行う効果を実現することができる。
【0032】
また、上記設計のほか、本発明における第1記憶ユニット及び第2記憶ユニットは同じ記憶コンポーネントにある別々の記憶ブロックで、さらに詳しく言えば、サンプリング結果及び解析結果はそれぞれ同じDDR3 SDRAMの異なる場所に記憶される。そのため、上記の二つの設計ではいずれも異なる種類の記憶ユニットを別途追加する必要もなく、製造時の複雑性を減らすことができる。
【0033】
また、プロセッサーは正しく解析されたか否かを判断するほか、解析結果がその他の所定の条件(特定の解析状況又は特定の信号が発生する等)を満たしているか否かを判断することもでき、解析結果が所定の条件を満たした場合、信号を出力して第1記憶ユニットに保存されたサンプリング結果を第1伝送インタフェース及び第2伝送インタフェースを経由して第2記憶ユニットまで伝送することもできる。
【0034】
さらに第2記憶ユニットをロジック分析計の中に統合するほか、コンピューター内蔵のハードディスクドライブを第2記憶ユニットとして使用しても、上記のような別々の伝送、保存を実現することができる。なお、おおよそ本発明の技術的な手段を逸脱しない内容で、上記実施形態に加えるあらゆる実質上の簡単な変更、同等な変化および改良は、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。ロジック分析計は第2伝送インタフェースを介して、コンピューター内蔵のハードディスクドライブに保存し、保存したデータを再製するかもしくは直接保存することができる。このとき、ロジック分析計の信号記録時間は制限されず、もしくはコンピューター内蔵ハードディスクドライブ容量に制限される。
【0035】
さらに第2記憶ユニットをロジック分析計の中に統合するほか、コンピューター外のオンラインストレージ装置を第2記憶ユニットとしてそのまま使用しても、上記のような別々の伝送、保存を実現することができる。なお、おおよそ本発明の技術的な手段を逸脱しない内容で、上記実施形態に加えるあらゆる実質上の簡単な変更、同等な変化および改良は、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。ロジック分析計は第2伝送インタフェースを介して、コンピューター外のオンラインストレージ装置に保存し、保存したデータを再製するかもしくは直接保存することができる。このとき、ロジック分析計の信号記録時間は制限されず、もしくはコンピューター外のオンラインストレージ装置容量に制限される。
【0036】
図6は本発明の第4実施例のマルチ分析システムを示すブロック図である。第4実施例のマルチ分析システム30を2組の第1実施例を使用したマルチ分析計とみなしてもかまわない。
【0037】
マルチ分析システム30は一つの第1プローブ311、一つの第2プローブ312、一つの第1ゲインユニット321、一つの第2ゲインユニット322、第1乃至第4ロジック/プロトコル分析モジュール331〜334、第1ないし第4伝送インタフェース341〜344、第1乃至第4記憶ユニット351〜354、一つのプロセッサー360及び一つのディスプレイ370を含む。
【0038】
第1プローブ311は組み込み用マルチメディアカードの信号接点と電気的に接続して組み込み用マルチメディアカード上の被測定信号を受信するのに用いられる。第2プローブ312はNANDフラッシュメモリ(NAND flash)との電気的な接続に用いられる。
【0039】
第1ゲインユニット321及び第2ゲインユニット322は一つの入力端及び二つの出力端を備える。第1ゲインユニット321の入力端は第1プローブ311と電気的に接続し、しかもその二つの出力端はそれぞれ第1及び第2
ロジック/プロトコル分析モジュール331、
332と接続する。第2ゲインユニット322の入力端は電気的に接続第2プローブ312、しかもその二つの出力端はそれぞれ第3及び第4ロジック/プロトコル分析モジュール333、334と接続する。
【0040】
第1ないし第4伝送インタフェース341〜344はそれぞれ第1ないし第4ロジック/プロトコル分析モジュール331〜334と電気的に接続し、このうち第2伝送インタフェース342はさらに第1伝送インタフェース341、第3伝送インタフェース343及び第4伝送インタフェース344と電気的に接続する。第1ないし第4記憶ユニット351〜354はそれぞれ第1ないし第4伝送インタフェース341〜344と電気的に接続する。また,第1ないし第4伝送インタフェース341〜344の伝送速度はそれぞれ第1伝送速度、第2伝送速度、第3伝送速度及び第4伝送速度となり、このうち第2伝送速度は第1伝送速度、第3伝送速度及び第4伝送速度を超えることはない。
【0041】
本実施形態において、第1ないし第4記憶ユニット351〜354は第1ないし第4ロジック/プロトコル分析モジュール341〜344と対応しており、そのため第1ないし第4記憶ユニット351〜354に記憶された内容はサンプリング結果又は解析結果である可能性があるが、ここでは説明しやすいよう、あえてサンプリング結果及び解析結果をまとめて分析結果と称し、かつ第1ないし第4ロジック/プロトコル分析モジュール331〜334から出力される結果をもとにそれぞれ第1分析結果、第2分析結果、第3分析結果及び第4分析結果と命名する。
【0042】
ここでは第1及び第3ロジック/プロトコル分析モジュール331、333をロジック分析功能有効状態に、第2及び第4ロジック/プロトコル分析モジュール332、334をプロトコル分析功能有効状態に設定するため、第1及び第3記憶ユニット351、353に記憶される内容がサンプリング結果として、第2及び第4記憶ユニット352、354に記憶される内容が解析結果として扱われる。
【0043】
本実施形態において,第1及び第3伝送インタフェース341、343は転送速度約8000MB/sのメモリーバスであるため、第1及び第3記憶ユニット351、353はDDR3 SDRAMとなっている。
【0044】
一方で、第2及び第4伝送インタフェース342、344は転送速度約200MB/sのユニバーサル・シリアル・バスで、第2記憶ユニット352はハードディスクドライブ、第4記憶ユニット354はスタティックRAM(Static Random-Access Memory, SRAM)である。もちろん、実際では、第2及び第4伝送インタフェース342、344はPCI Express(登録商標)、ワイヤレス伝送インタフェース又はその他の転送速度の低い伝送インタフェースで、該第2及び第4記憶ユニット352、354はSDメモリーカード(Secure Digital Memory Card)又はその他の低転送速度用の記憶コンポーネントであってもかまわない。
【0045】
プロセッサー360は第2記憶ユニット352と電気的に接続し、ディスプレイ370はプロセッサー360と電気的に接続する。プロセッサー360は第2記憶ユニット352に保存される解析結果が所定の条件を満たしているか否かを分析し、一つの分析結果を出すのに用いられる。本実施形態において、解析結果が所定の条件を満たす場合、分析結果が正しく解析されたことを意味し、逆に解析結果が所定の条件を満たさない場合、分析結果が正しく解析されたことを意味する。プロセッサー360が異なる分析結果をもとに行う制御にあっては第1実施例でも説明したため、ここでの説明を省略する。
【0046】
第4実施例と第1実施例の異なる点として,第4実施例には4つの記憶ユニットがあるため、ディスプレイ370に第1記憶ユニット351のサンプリング結果、第3記憶ユニット353のサンプリング結果及び第4記憶ユニット354の解析結果を表示する場合、第1記憶ユニット351のサンプリング結果は第1伝送インタフェース341及び第2伝送インタフェース342を経由して第2記憶ユニット352内に伝送される。第3記憶ユニット353のサンプリング結果は第3伝送インタフェース343及び第2伝送インタフェース342を経由して第2記憶ユニット352内に伝送される。第4記憶ユニット354の解析結果は第4伝送インタフェース344及び第2伝送インタフェース342を経由して第2記憶ユニット352に伝送される。
【0047】
プロセッサー360はさらにサンプリング結果及び解析結果を一つの映像信号に変換し、映像信号をディスプレイ370に出力してディスプレイ370に解析結果及びサンプリング結果の映像を表示させている。
【0048】
本実施形態では、4つのロジック/プロトコルモジュールをマルチ分析システムに統合した上で、第1プローブ及び第2プローブを利用して組み込み用マルチメディアカードとメモリを同時に測定することで、多機能かつ同期を実現し、これにより複数の被測定物を測定するには複数の装置が必要だった従来の技術における問題点を解決した。
【符号の説明】
【0049】
10、30 … マルチ分析システム
110 … マルチ分析計
111 … プローブ
112 … ゲインユニット
113 … ロジック分析モジュール
114 … プロトコル分析モジュール
115、341 … 第1伝送インタフェース
116、342 … 第2伝送インタフェース
117、351 … 第1記憶ユニット
118、352 … 第2記憶ユニット
120、360 … プロセッサー
130、370 … ディスプレイ
140、240 … 警報装置
311 … 第1プローブ
312 … 第2プローブ
321 … 第1ゲインユニット
322 … 第2ゲインユニット
331 … 第1ロジック/プロトコル分析モジュール
332 … 第2ロジック/プロトコル分析モジュール
333 … 第3ロジック/プロトコル分析モジュール
334 … 第4ロジック/プロトコル分析モジュール
343 … 第3伝送インタフェース
344 … 第4伝送インタフェース
353 … 第3記憶ユニット
354 … 第4記憶ユニット