(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276352
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】スピーカー
(51)【国際特許分類】
H04R 9/04 20060101AFI20180129BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20180129BHJP
H04R 7/12 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
H04R9/04
H04R9/02 102A
H04R9/02 101B
H04R7/12 K
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-174284(P2016-174284)
(22)【出願日】2016年9月7日
(65)【公開番号】特開2017-212713(P2017-212713A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2016年9月7日
(31)【優先権主張番号】201620489133.4
(32)【優先日】2016年5月26日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515342457
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC TECHNOLOGIES PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
(72)【発明者】
【氏名】マオ ルゥビン
(72)【発明者】
【氏名】ワァン ホォンシィン
(72)【発明者】
【氏名】グゥオ シュン
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ ロォングワン
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/076914(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3112372(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0182463(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0056445(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0023544(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/04
H04R 7/12
H04R 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有する収納体と、前記収容空間に収容される磁気回路システムと、前記収容空間内に収容され、かつ前記磁気回路システムにより駆動されて振動発声する振動システムとを備え、前記振動システムがボイスダイアフラム及び前記ボイスダイアフラムを駆動して振動させるボイスコイルを備えるスピーカーであって、
前記収納体が底壁を備え、前記ボイスダイアフラムが前記収納体と固定される、振動発声するための第1の部分と、前記第1の部分と収納体との間に設置される第2の部分とを備え、前記第2の部分の一方の端が前記第1の部分に接続され、前記第2の部分の他方の端が前記収納体の底壁に接続され、前記第2の部分が前記収容空間を、前記磁気回路システムを収容する第1の収容空間及び前記ボイスコイルを収容する第2の収容空間に仕切り、前記第1の収容空間及び第2の収容空間が互いに繋がらなくて、前記ボイスダイアフラムの第1の部分に、前記磁気回路システムを避けるように、前記磁気回路システムに対向する貫通孔が設置されることを特徴とするスピーカー。
【請求項2】
前記磁気回路システムの上面についての振動方向に沿っての前記ボイスダイアフラム上への投影は前記貫通孔内にあることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項3】
前記収納体、前記第2の部分及び前記第1の部分からなる第2の収容空間が密封する空間となるように、前記第2の部分における前記一方の端が前記第1の部分の下面に接続されることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項4】
前記第2の部分が前記第1の部分の貫通孔のエッジから湾曲して延伸し、かつ一体成形されることを特徴とする請求項3に記載のスピーカー。
【請求項5】
前記第2の部分と前記第1の部分とが接着剤により接着固定されることを特徴とする請求項3に記載のスピーカー。
【請求項6】
前記磁気回路システムの上面は前記ボイスダイアフラムの第1の部分の上面を超えないことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項7】
前記第1の部分がコーン部と、コーン部の周囲に位置する折り返しリングと、前記折り返しリングから外へ延伸して前記収納体に固定される接続部とを備え、前記貫通孔が前記コーン部に設置されることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項8】
前記第2の部分は周縁部が密封する中空構造であることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気と音声との変換分野に関わり、特に、薄型スピーカーに関わる。
【背景技術】
【0002】
近年、科学技術の発展、特に、移動通信技術の急速な発展に伴い、多くの移動電子装置がますます人々の日常生活に現れ、例えば、スマートフォン、タブレットPC、ノートPC及び多機能メディアプレーヤーが既に人々の不可欠な生活用品になった。これらの移動電子装置は内部に音声再生装置が不可欠な部品であり、音声の品質のレベルは、ユーザがこれらの移動電子装置を使用する時のユーザ体験に直接影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スピーカーは、音声の再生装置として、その構造設計が音声再生品質に直接影響を与える。関連技術におけるスピーカーは通常、ボイスダイアフラムを備え、前記ボイスダイアフラムのドームが磁気回路システムを覆い、かつ予めボイスダイアフラムと磁気回路システムの磁性鋼との間に振動空間を空ける必要がある。
【0004】
しかしながら、スピーカーの全体厚みが磁気回路システムおよび振動空間により制限され、薄くすることができない。
【0005】
このため、上述した問題を解決するために、新規なスピーカーを提供する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、従来のスピーカーにおいて磁気回路システムおよび振動空間による制限により全体厚みを薄くすることができない技術的問題を解決するスピーカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的問題を解決するために、以下のスピーカーを設計した。そのスピーカーは、収容空間を有する収納体と、前記収容空間に収容される磁気回路システムと、前記収容空間内に収容され、かつ前記磁気回路システムにより駆動されて振動発声する振動システムとを備え、前記振動システムがボイスダイアフラム及び前記ボイスダイアフラムを駆動して振動させるボイスコイルを備え、
前記収納体が底壁を備え、前記ボイスダイアフラムが前記収納体と固定される、振動発声するための第1の部分と、前記第1の部分と収納体との間に設置される第2の部分とを備え、前記第2の部分の
一方の端が前記第1の部分に接続され、
前記第2の部分の他方の端が前記収納体の底壁に接続され、前記第2の部分が前記収容空間を、前記磁気回路システムを収容する第1の収容空間及び前記ボイスコイルを収容する第2の収容空間に仕切り、前記第1の収容空間及び第2の収容空間が互いに繋がらなくて、前記ボイスダイアフラムの第1の部分に、前記磁気回路システムを避けるように、前記磁気回路システムに対向する貫通孔が設置される。
【0008】
好ましくは、前記磁気回路システムの上面についての振動方向に沿っての前記ボイスダイアフラム上への投影は前記貫通孔内にある。
【0009】
好ましくは、
前記収納体、前記第2の部分及び前記第1の部分からなる第2の収容空間が密封する空間となるように、前記第2の部分における前記
一方の端は前記第1の部分の下面に接続される。
【0010】
好ましくは、前記第2の部分が前記第1の部分の貫通孔のエッジから湾曲して延伸し、かつ一体成形される。
【0011】
好ましくは、前記第2の部分と前記第1の部分とが接着剤により接着固定される。
【0014】
好ましくは、前記磁気回路システムの上面は前記ボイスダイアフラムの第1の部分の上面を超えない。
【0015】
好ましくは、前記第1の部分がコーン部と、コーン部の周囲に位置する折り返しリングと、前記折り返しリングから外へ延伸して前記収納体に固定される接続部とを備え、前記貫通孔が前記コーン部に設置される。
【0016】
好ましくは、前記第2の部分は周縁部が密封する中空構造である。
【発明の効果】
【0017】
関連技術に比べると、本発明に関わるスピーカーは、ボイスダイアフラムと磁性鋼とが対向する位置に貫通孔を設置し、かつ第2の部分を増設し、この貫通孔により、スピーカーが動作するときにボイスダイアフラムと磁性鋼とが衝突することを防止することができる。これにより、このスピーカーの厚みが主に振動空間となり、磁性鋼の厚みに制限されず、スピーカーを薄くするとともに、スピーカーの性能をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るスピーカーの第1の実施例の構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るスピーカーの第1の実施例の分解図である。
【
図4】本発明に係るスピーカーの第2の実施例の分解図である。
【
図5】本発明に係るスピーカーの第2の実施例を他の角度から見る分解図である。
【
図6】本発明に係るスピーカーの第3の実施例の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的方案を明確に完全に記述し、明らかに、記述した実施例は、ただ本発明の実施例の一部にすぎず、全部の実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を行わなかった場合に取得したすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【実施例1】
【0020】
図1〜
図3に示すように、本発明が提供したスピーカー1は、収容空間10を有する収納体11と、収納体11の上方に取り付けられるフレーム13と、前記収容空間10に収容される磁気回路システム15と、前記収容空間10内に収容され、前記磁気回路システム15により駆動されて振動発声する振動システム17とを備える。前記収納体11が底壁111を含む。
【0021】
前記振動システム17は、ボイスダイアフラム171及び前記ボイスダイアフラム171を駆動して振動させるボイスコイル173を備え、前記ボイスダイアフラム171の外周縁が前記収納体11とフレーム13との間に挟まれ、それにより、固定される作用を果たす。他の実施例において、フレーム13を設置せずに、ボイスダイアフラム171を収納体11に直接固定してもよい。前記磁気回路システム15が磁性鋼151を備え、前記ボイスダイアフラム171が前記磁性鋼151に設置される。
【0022】
前記ボイスダイアフラム171は、前記収納体11と固定される、振動発声するための第1の部分1711と、前記第1の部分1711と収納体11との間に設置される第2の部分1715とを備える。前記第2の部分1715は周縁部が密封する中空構造であり、前記第2の部分1715の一端が前記第1の部分1711の下面に接続され、前記収容空間10を、前記磁気回路システム15を収容する第1の収容空間101及び前記ボイスコイル173を収容する第2の収容空間103に仕切り、前記第1の収容空間101と第2の収容空間103が互いに繋がらなくて、前記磁性鋼151が前記ボイスコイル173を前記第2の収容空間103において振動させるように駆動する。前記ボイスダイアフラム171の第1の部分1711には、前記磁性鋼151を避けるように、前記磁性鋼151の位置に対向する貫通孔1713が設置される。前記第1の部分1711は、コーン部1716と、コーン部の周囲に位置する折り返しリング1717と、前記折り返しリング1717から外へ延伸し前記収納体11に固定される接続部1718とを備え、前記貫通孔1713が前記コーン部1716に設置される。
【0023】
前記磁気回路システム15の上面は、振動方向に沿い前記ボイスダイアフラム171上への投影が前記貫通孔1713内に位置し、このようにして、スピーカー1が動作する際、前記ボイスダイアフラム171が前記磁性鋼151に衝突しないように保証し、好ましくは、前記磁気回路システム15の上面が前記ボイスダイアフラム171の第1の部分1711の上面を超えない。
【0024】
本実施例において、前記第2の部分1715は前記貫通孔1713のエッジと前記収納体11の底壁を接続し、かつ前記第2の部分1715は、前記ボイスコイル173と前記磁性鋼151が形成する間隔の周りに設置される。具体的には、前記収納体11、第2の部分1715及び第1の部分1711からなる第2の収容空間103が密封された空間になるように、前記第2の部分1715における前記第1の部分1711に近い一端部が前記第1の部分1711の下面に接続され、第2の部分1715における前記第1の部分1711から離れる一端部が前記収納体11の底壁111に接続される。他の実施例において、前記収納体11、磁気回路151、第2の部分1715及び第1の部分1711からなる第2の収容空間103が密封された空間になるように、前記第2の部分における前記第1の部分1711から離れる一端部が前記磁性鋼151に接続されてもよい。
【0025】
本実施例において、前記第1の部分1711と前記第2の部分1715とが接着剤により接着固定される。
【実施例2】
【0026】
図4及び
図5に示すように、前記ボイスダイアフラム271は、第1の部分2711と収容空間20内に設置される第2の部分2715とを備える。前記ボイスダイアフラム271の第1の部分2711には、前記磁性鋼251を避けるために、前記磁性鋼251の位置に対向する貫通孔2713が設置される。前記第2の部分2715における前記第1の部分2711から離れる一端部が前記収納体21の底壁211に接続される。無論、前記第2の部分2715における前記第1の部分2711から離れる一端部が前記磁性鋼251に密封するように接続されてもよい。
【0027】
本実施例において、前記第2の部分2715は、前記貫通孔2713のエッジから湾曲して延伸し、かつ一体成形される。
【0028】
第1の部分2711と第2の部分2715とを一体構成に製作して、両者の間の接続と密封の効果をさらに向上させ、ボイスキャビティの付近に大量の嵌込及び隙間が存在することを防止して、音声漏れの発生を避け、さらにスピーカーの機能を向上させる。
【実施例3】
【0029】
図6に示すように、前記磁気回路システム35は磁性鋼351及び電極芯353を備え、前記電極芯353が前記磁性鋼351の上面を覆う。
【0030】
導磁性材から製造される電極芯353を増設し、前記磁性鋼351の磁気リーク現象を解消し、磁界を効果的に遮蔽し、これにより、前記収納体31の表面の磁界強度を低減させ、製品の磁気リークを効果的に低減させる。
【0031】
関連技術に比べると、本発明に関わるスピーカーは、ボイスダイアフラムと磁性鋼とが対向する位置に貫通孔を設置し、かつ第2の部分を増設し、この貫通孔により、スピーカーが動作するときにボイスダイアフラムと磁性鋼とが衝突することを防止することができる。これにより、このスピーカーの厚みが主に振動空間となり、磁性鋼の厚みに制限されず、スピーカーを薄くするとともに、スピーカーの機能をさらに向上させる。
【0032】
以上はただ本発明の実施形態であるが、当業者は、本発明の創造的発想から脱逸しない限り、さらに改良してもよいが、こられの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1 スピーカー
10、20 収容空間
101 第1の収容空間
103 第2の収容空間
11、21、31 収容体
111、211 底壁
13 フレーム
15、35 磁気回路システム
151、251、351 磁性鋼
17 振動システム
171、271 ボイスダイアフラム
1711、2711 第1の部分
1713、2713 貫通孔
1715、2715 第2の部分
1716 コーン部
1717 折り返しリング
1718 接続部
173、273 ボイスコイル
353 電極芯