特許第6276354号(P6276354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276354
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】インタデジタルトランスデューサ
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/145 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   H03H9/145 Z
   H03H9/145 C
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-182500(P2016-182500)
(22)【出願日】2016年9月20日
(62)【分割の表示】特願2013-208005(P2013-208005)の分割
【原出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2016-213903(P2016-213903A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】514250975
【氏名又は名称】スカイワークスフィルターソリューションズジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】清水 英仁
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−270667(JP,A)
【文献】 特開2009−219045(JP,A)
【文献】 特開2012−138964(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/067141(WO,A1)
【文献】 特開2011−114826(JP,A)
【文献】 特開2003−032080(JP,A)
【文献】 特開昭61−285814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性波共振器における圧電基板の上で使用されるインタディジタルトランスデューサ(IDT)であって、
対向するくし電極の電極指が交互に配置された交差領域を有するIDT電極を含み、
前記交差領域は、前記交差領域の弾性波伝搬方向の端部に向かうにつれて電極指延伸方向の幅が小さくなり、
前記交差領域は、中央部に電極指ピッチが実質的に一定である定ピッチ領域と、前記定ピッチ領域の両外側部に前記定ピッチ領域の電極指ピッチよりも電極指ピッチの小さい狭ピッチ領域とを含み、
前記定ピッチ領域の電極指延伸方向の幅が、前記定ピッチ領域の弾性波伝搬方向の端部に向かうにつれて小さくなるインタディジタルトランスデューサ。
【請求項2】
前記狭ピッチ領域の電極指ピッチは、前記狭ピッチ領域が前記定ピッチ領域に近づく方向に沿って前記定ピッチ領域の電極指ピッチに近づく請求項1のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項3】
前記IDT電極は、電極指の先端部に間隙を介して対向する先端部を有するダミー電極指を含み、
前記ダミー電極指は、前記交差領域の前記端部に向かうにつれて幅が小さくなる前記交差領域の一部分に存在する電極指に対向し、前記交差領域の前記端部に向かうにつれて幅が小さくなる前記交差領域の一部分には存在しない電極指に対向して設けられない請求項1のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項4】
前記IDT電極の弾性波伝播方向の両外側に反射器電極が設けられ、
前記反射器電極の電極指ピッチの平均が、前記IDT電極の電極指ピッチの平均よりも大きい請求項1のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項5】
前記圧電基板の上において前記IDT電極を覆う第1の誘電体と、
前記第1の誘電体を覆う、前記第1の誘電体よりも音速の速い第2の誘電体と
をさらに含み、
前記第2の誘電体は薄膜部と厚膜部を有し、
前記薄膜部は、前記交差領域の前記端部に向かうにつれて幅が小さくなる前記交差領域の一部分には存在しない電極指の先端部の上方に設けられる請求項1のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項6】
前記第2の誘電体は複数膜の層構成を含む請求項5のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項7】
前記定ピッチ領域の弾性波伝搬方向の幅が、前記定ピッチ領域の電極指延伸方向の端部に向かうにつれて小さくなる請求項1のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項8】
弾性波共振器における圧電基板の上で使用されるインタディジタルトランスデューサ(IDT)であって、
対向するくし電極の電極指が交互に配置された交差領域を有するIDT電極を含み、
前記交差領域は、前記交差領域の弾性波伝搬方向の端部に向かうにつれて電極指延伸方向の幅が小さくなり、
前記交差領域は、中央部に電極指ピッチが実質的に一定である定ピッチ領域と、前記定ピッチ領域の両外側部に前記定ピッチ領域の電極指ピッチよりも電極指ピッチの小さい狭ピッチ領域とを含み、
前記定ピッチ領域の弾性波伝搬方向の幅が、前記定ピッチ領域の電極指延伸方向の端部に向かうにつれて小さくなるインタディジタルトランスデューサ。
【請求項9】
前記定ピッチ領域の電極指延伸方向の幅が、前記定ピッチ領域の弾性波伝搬方向の端部に向かうにつれて小さくなる請求項8のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項10】
前記IDT電極の弾性波伝搬方向の両外側に反射電極が設けられ、
前記反射電極の電極指ピッチの平均が、前記IDT電極の電極指ピッチの平均よりも大きい請求項8のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項11】
前記狭ピッチ領域の電極指ピッチは、弾性波伝搬方向において前記定ピッチ領域の電極指ピッチの100%から前記定ピッチ領域の電極指ピッチの98%まで低下する請求項8のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項12】
前記圧電基板の上において前記IDT電極を覆う第1の誘電体と、
前記第1の誘電体を覆う、前記第1の誘電体よりも音速の速い第2の誘電体と
をさらに含み、
前記第2の誘電体は薄膜部と厚膜部を有し、
前記薄膜部は、前記交差領域の電極指の先端部を覆う領域に設けられる請求項8のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項13】
前記厚膜部は、前記交差領域の弾性波伝搬方向の端部に向かうにつれて電極指延伸方向の幅が小さくなる前記交差領域の一部分に存在する電極指の先端部を覆うように設けられる請求項12のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項14】
前記狭ピッチ領域の電極指延伸方向の幅が、前記狭ピッチ領域の弾性波伝搬方向の端部に向かうにつれて小さくなる請求項1又は8のインタディジタルトランスデューサ。
【請求項15】
前記狭ピッチ領域の電極指ピッチの平均が、前記定ピッチ領域の電極指ピッチの平均よりも小さい請求項1又は8のインタディジタルトランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信機器等のフィルタやアンテナ共用器として使用される弾性波共振器における圧電基板の上で使用されるインタデジタルトランスデューサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高性能で温度特性の良い弾性波装置が求められている。このような弾性波装置を実現するためにニオブ酸リチウムを圧電基板とし、IDT電極上に酸化ケイ素膜を設けて温度特性の改善した弾性波共振器を用いる検討がされている。このような弾性波装置においては高次横モードスプリアスの発生を抑制するためにIDT電極の電極指をアポダイズ重み付けする技術が汎用的に用いられる。本発明に関連する先行文献としては特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−138964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電極指にアポダイズ重み付けを施されたIDT電極によって構成された弾性波共振器は、反共振周波数におけるQ値(Qp)は高いものの共振周波数におけるQ値(Qs)が低いという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、Q値が高く、スプリアスが抑制された弾性波共振器をもたらすインタデジタルトランスデューサ(IDT)を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、対向するくし電極の電極指が交互に配置された交差領域を有するIDT電極を含み、当該交差領域は、当該交差領域の弾性波伝搬方向の端部に向かうにつれて電極指延伸方向の幅が小さくなり、当該交差領域は、中央部に電極指ピッチが実質的に一定である定ピッチ領域と、当該定ピッチ領域の両外側部に当該定ピッチ領域の電極指ピッチよりも電極指ピッチの小さい狭ピッチ領域とを含み、当該定ピッチ領域の電極指延伸方向の幅が、当該定ピッチ領域の弾性波伝搬方向の端部に向かうにつれて小さくなる構成を有する。
【発明の効果】
【0007】
このような構成とすることでQ値が高く、スプリアスが抑制された弾性波共振器をもたらすIDTが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器の電極構成を模式的に示す上面図
図2】同弾性波共振器の断面を模式的に示す断面図
図3】(a)〜(c)同弾性波共振器のA−A部、B−B部、C−C部の規格化された電極指ピッチの分布を示す図
図4】比較例の弾性波共振器の電極構成を模式的に示す上面図
図5】(a)〜(c)同弾性波共振器のD−D部、E−E部、F−F部の規格化された電極指ピッチの分布を示す図
図6】本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器と比較例の弾性波共振器の電気特性を示す図
図7】本発明の他の実施の形態に係る弾性波共振器の電極構成を模式的に示す上面図
図8】(a)〜(c)同弾性波共振器の断面を模式的に示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器の電極構成を模式的に示す上面図、図2は同弾性波共振器を模式的に示す断面図である。
【0010】
図1図2において、本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器10は、レイリー波を用いた弾性表面波共振器であり、ニオブ酸リチウムからなる圧電基板11の上面に、弾性波伝搬方向にインタデジタルトランスデューサ(IDT)電極12とその両側に反射器13が配置されている。IDT電極12および反射器13はMo膜とAl膜を積層した構造を有する。
【0011】
IDT電極12は、間隙14を介して互いに噛み合った一対のくし電極15からなり、くし電極15はバスバー16とバスバー16から延伸する交差電極指17とダミー電極指18を有する。交差電極指17は対向するくし電極15の交差電極指17と交互に配置され、ダミー電極指18は同じ側のバスバー16から延伸する交差電極指17に隣接すると共に、ダミー電極指18の先端は、対向するくし電極15の交差電極指17の先端と間隙14を介して対向する。対向するくし電極15の交差電極指17が交互に配置された領域が交差領域19であり、ダミー電極指18が配置された領域がダミー領域20である。
【0012】
交差領域19の交差電極指17は、弾性波伝搬方向について端部に向かうに連れて交差幅が小さくなる交差幅アポダイズ重み付けを有する。ダミー電極指18は、交差幅アポダイズ重み付けを有する電極指に対向して設けられ、交差幅アポダイズ重み付けを有さない交差電極指17には対向して設けられない。
【0013】
交差領域19の中央には、電極指ピッチが実質的に一定である定ピッチ領域21を有する。定ピッチ領域21の電極指延伸方向の幅は、弾性波伝搬方向の両端部に向かうに連れて小さくなる重み付けを有する。
【0014】
交差領域19の弾性波伝搬方向の両側部には弾性波伝搬方向の端部に向かうに連れて電極指ピッチが徐々に小さくなるグラデーション状の狭ピッチ領域22を有する。狭ピッチ領域22の電極指ピッチは、定ピッチ領域21に近づくにつれて定ピッチ領域21の電極指ピッチに近づく。
【0015】
弾性波共振器10は、レイリー波を用いた弾性表面波共振器であるが、レイリー波に限らず、ラブ波や擬似弾性波でもよい。圧電基板11は、ニオブ酸リチウムの他に、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、水晶、ランガサイト、四硼酸リチウムなど他の圧電基板で構成してもよい。また、圧電基板11は、絶縁体に圧電薄膜を積層した構造を有していてもよい。
【0016】
IDT電極12および反射器13は、適宜の金属もしくは合金により形成することができる。また、バスバー16およびバスバー16に接続された引き回し配線(図示せず)は、上記Mo膜及びAl膜を積層してなる積層金属膜上にさらに補助金属膜を積層してもよい。補助金属膜としては、Al、Au、Ni、Ti、Cr、Pt、Cu、WまたはAgなどの金属を用いることができる。補助金属膜はこれらの金属からなる金属膜を複数積層したものであってもよい。また、これらの金属を主体とする合金により補助金属膜を形成してもよい。
【0017】
圧電基板11の上には、IDT電極12および反射器13を被覆するように、周波数温度特性を改善するための酸化ケイ素からなる絶縁性の誘電体膜23が形成されている。誘電体膜23の上には、窒化珪素からなる絶縁性の誘電体膜24を有する。誘電体膜24は、誘電体膜23より音速の速い材料が好ましく、窒化珪素の他に、窒化アルミニウムでもよい。誘電体膜24の上に、さらに、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム等からなるパッシベーション膜(図示せず)を設けてもよい。
【0018】
図3(a)〜(c)は、それぞれ、本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器10のA−A部〜C−C部の規格化された電極指ピッチの分布を示す図である。
【0019】
図3(a)は、図1のA−A部の電極指ピッチの分布である。IDT電極12の定ピッチ領域21の電極指ピッチを1として規格化したとき、IDT電極12の弾性波伝搬方向の端における電極指ピッチは0.98とした。IDT電極12の狭ピッチ領域22において0.98から1まで電極指ピッチが変化している。反射器13の電極指ピッチは1.02である。
【0020】
図3(b)は、図1のB−B部の電極指ピッチの分布である。B−B部においてIDT電極12の両端には対向したバスバー16から伸びた交差電極指17に隣り合わないダミー電極指18が存在する。IDT電極12の弾性波伝搬方向中央部の電極指ピッチを1として規格化したとき、IDT電極12の弾性波伝搬方向の端のダミー領域20の電極指ピッチは1である。交差領域19の両端部には狭ピッチ領域22が存在し、狭ピッチ領域22の端において電極指ピッチは0.98とした。狭ピッチ領域22において電極指ピッチは0.98から1まで変化している。反射器13の電極指ピッチは1.02である。
【0021】
図3(c)は、図1のC−C部の電極指ピッチの分布である。C−C部においてIDT電極12の両端には対向したバスバー16から伸びた交差電極指17同士が隣り合わないダミー領域20がB−B部より多く存在する。IDT電極12の弾性波伝搬方向中央部の電極指ピッチを1として規格化したとき、IDT電極12の弾性波伝搬方向の端のダミー領域20の電極指ピッチは1である。交差領域19の両端部には狭ピッチ領域22が存在し、狭ピッチ領域22の端において電極指ピッチは0.98としている。狭ピッチ領域22において電極指ピッチは0.98から1まで変化している。反射器13の電極指ピッチは1.02である。
【0022】
IDT電極12の交差電極指17の本数は80〜180本が望ましい。狭ピッチ領域22の交差電極指17の本数は3〜25本が望ましい。狭ピッチ領域22の電極指ピッチの変化は、必ずしも単純増加もしくは単純減少である必要はなく、電極指ピッチが複数あり、かつ狭ピッチ領域22の電極指ピッチの平均が定ピッチ領域21の電極指ピッチより小さければよい。反射器13の電極指ピッチは一定である必要はなく、反射器13の電極指ピッチの平均がIDT電極12の電極指ピッチの平均より大きいことが望ましい。反射器13の電極指の本数は10本以上であることが望ましい。
【0023】
このような構成によりQ値が高く、スプリアスが抑制された弾性波共振器を得ることができる。
【0024】
図4に比較例の弾性波共振器30を示す。比較例の弾性波共振器30において、本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器10と同等の構成部品については、同じ符号を付して説明を省略する。比較例の弾性波共振器30が、本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器10と異なる点は、IDT電極31の長破線で囲まれた側部領域32において、弾性波伝搬方向端部に向かうに連れて電極指の交差幅が徐々に小さくなるアポダイズ重み付けが設けられるとともに、ダミー電極指および交差電極指の電極指ピッチが、弾性波伝搬方向端部に向かうに連れて徐々に小さくなるように変化するグラデーション領域になっている点である。ここで、電極指ピッチは電極指の中心間距離である。
【0025】
図5(a)〜(c)は、それぞれ、比較例の弾性波共振器30のD−D部〜F−F部の規格化された電極指ピッチの分布を示す図である。
【0026】
比較例の弾性波共振器30では、図5(a)〜(c)に示すように、IDT電極31の弾性波伝搬方向中央部32の電極指ピッチを1として規格化したとき、IDT電極31の弾性波伝搬方向の端における電極指ピッチは0.98とし、側部領域32の電極指延伸方向における電極指ピッチは、交差領域とダミー領域にかかわらず一定としている。
【0027】
図6に比較例の弾性波共振器30と本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器10の電気特性の比較を示す。図6において、破線は比較例の弾性波共振器30のアドミッタンス特性の実数部を示し、実線は本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器10のアドミッタンス特性の実数部を示す。図6に示すように、比較例の弾性波共振器30は、共振周波数より低い側の周波数においてスプリアスを有するが、本発明の弾性波共振器10は、共振周波数より低域側の周波数においてスプリアスを抑制することができ、共振周波数におけるQ値も良好な特性が得られた。
【0028】
なお、本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器10は、IDT電極12上に絶縁膜23、24を有さなくても、その効果を有する。
【0029】
図7図8に、本発明の他の実施の形態に係る弾性波共振器40を示す。図7は本発明の他の実施の形態に係る弾性波共振器40の電極構成を模式的に示す上面図、図8は断面図である。
【0030】
他の実施の形態に係る弾性波共振器40において、本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器10と同等の構成部品については、同じ符号を付して説明を省略する。他の実施の形態に係る弾性波共振器40が、本発明の一実施の形態に係る弾性波共振器10と異なる点は、誘電体膜23を覆う誘電体膜41が凹部42を有し、誘電体膜41は凹部42において薄膜部43となっており、凹部42以外で厚膜部44となっている。
【0031】
薄膜部43はIDT電極12の交差電極指17の先端部を覆う箇所の誘電体膜41に設けられている。薄膜部43は全ての交差電極指17の先端部に設ける必要はなく、交差幅アポダイズ重み付けを設けた交差幅が小さい領域においては、交差電極指17の先端部の上方は厚膜部44とする方がよい。以上の構成により、本発明の他の実施の形態に係る弾性波共振器40は、横モードによるスプリアスを抑制することができる。
【0032】
なお、誘電体膜41は複数の誘電体膜の積層体からなる構成を有していてもよく、薄膜部43と厚膜部44の層構成を異ならせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の弾性波共振器は、Q値が高く、スプリアスが抑制された優れた共振特性が得られ、フィルタやアンテナ共用器として有用である。
【符号の説明】
【0034】
10、30、40 弾性波共振器
11 圧電基板
12 IDT電極
13 反射器
14 間隙
15 くし電極
16 バスバー
17 交差電極指
18 ダミー電極指
19 交差領域
20 ダミー領域
21 定ピッチ領域
22 狭ピッチ領域
23、24、41 誘電体膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8