特許第6276372号(P6276372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6276372-非腐食性オーブン脱脂剤濃縮物 図000012
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276372
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】非腐食性オーブン脱脂剤濃縮物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/30 20060101AFI20180129BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20180129BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20180129BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20180129BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   C11D3/30
   C11D3/43
   C11D3/04
   C11D1/22
   B08B3/08 Z
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-234274(P2016-234274)
(22)【出願日】2016年12月1日
(62)【分割の表示】特願2014-510907(P2014-510907)の分割
【原出願日】2012年4月30日
(65)【公開番号】特開2017-52969(P2017-52969A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】61/488,254
(32)【優先日】2011年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン ディー.パイターセン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ジー.グリース
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−129992(JP,A)
【文献】 特開平09−059677(JP,A)
【文献】 特開平08−165498(JP,A)
【文献】 特表平05−503547(JP,A)
【文献】 特開2004−143251(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101738879(CN,A)
【文献】 特表2001−518552(JP,A)
【文献】 特表2008−537037(JP,A)
【文献】 特表2009−511795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
C23G 1/00− 5/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合した脂肪の汚れを除去するための非腐食性脱脂剤組成物であって、
(i)モノエタノールアミン及び2―(2―アミノエトキシ)エタノールを含む、1質量%〜50質量%のアルカリ源と;
(ii)直鎖アルキルベンゼンスルホネートを含む、1質量%〜80質量%の界面活性剤と;
(iii)ベンジルアルコール、又はベンジルアルコール及びTEAグルコネートを含む、1質量%〜90質量%の溶媒系とを含み、
前記組成物は、pHが11.5未満の使用溶液を生じる、非腐食性脱脂剤組成物。
【請求項2】
前記組成物は、5質量%〜50質量%のアルカリ源を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、10質量%〜50質量%のアルカリ源を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、5質量%〜50質量%のモノエタノールアミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、10質量%〜50質量%のモノエタノールアミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、5質量%〜50質量%の2―(2―アミノエトキシ)エタノールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、10質量%〜50質量%の2―(2―アミノエトキシ)エタノールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、5質量%〜75質量%の界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、2質量%〜25質量%の界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記溶媒系はベンジルアルコールであり、前記組成物は5質量%〜75質量%のベンジルアルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記溶媒系はベンジルアルコールであり、前記組成物は30質量%〜60質量%のベンジルアルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は、11.5未満のpHを有する使用可能な洗浄溶液濃度へと希釈することができる濃縮形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、前記組成物の形態及び/又は適用方法を変更するために0.01質量%〜10質量%の一つ以上の添加剤を更に含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は、重合した脂肪の汚れを汚れた表面から除去するために用いるものであり、前記組成物は、前記汚れに実質的に浸透させるのに充分な時間、好ましくは重合のレベルに応じて1秒〜24時間、前記重合した脂肪の汚れに適用するものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物はアルミニウムに対して非腐食性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物は触媒コンバータ基材の表面と適合する、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非腐食性脱脂剤濃縮物、洗浄システム、及び重合した汚れを除去する方法に関する。特に、より腐食性でより高いpHのアルカリ金属水酸化物(すなわち腐食剤)に基づく脱脂剤より効果的な、又はより優れた、重合油脂を除去することができる濃縮組成物を開示する。
【背景技術】
【0002】
様々な健康懸念、及び規制努力の結果、ゼロトランス脂肪の用途が著しく増加している。これは、食品産業にとって重要な洗浄の問題につながった。例えば、食品加工装置、及び/又は環境表面は、洗浄が非常に困難な重合したゼロトランス脂肪の汚れによって汚される。ゼロトランス脂肪は、トランス脂肪又は飽和脂肪より安定でなく、分解及び重合しやすい。ゼロトランス脂肪は、周囲温度の又は冷たい表面上に長時間残り、これらの表面上で重合して、洗浄が困難な汚れを生ずる可能性がある。ゼロトランス脂肪の汚れがより長く残って表面上で重合するほど、その表面から汚れを除去することはより困難となる。熱いゼロトランス脂肪源から発散するゼロトランス脂肪のミストは、様々な表面上に集まり、これらの表面上で経時的に重合する可能性がある。これらのミストを集める表面は、低温、高温、又は周囲温度であることができ、これらの全ての表面上に、洗浄するのが困難な汚れを生ずる可能性がある。ゼロトランス脂肪は、調理面上に焦げて、低温の表面と比較して増大した速度で経時的に重合して、同様に生じたトランス脂肪又は飽和脂肪に基づく汚れより除去するのが困難な汚れを生じる可能性がある。更に、他の食品材料、例えばタンパク質、炭水化物、及び他の脂肪をゼロトランス脂肪と混合することができるが、これらは重合したときに、汚れが重合したゼロトランス脂肪の汚れを含まない場合よりも、複雑で除去するのが難しい汚れ及び残留物を生じる可能性がある。
【0003】
揚げる及び焼く操作を行うものは、多量のゼロトランス脂肪を使用するため、重合した脂肪の汚れに特に影響を受ける。また、これらの操作は、一般に、定期的に洗浄しなければならないタンク、ライン、ポンプ、及びその他の処理装置を通してゼロトランス脂肪を送るが、特定の製造プロセスの要求に応じて、いくつかの操作において、洗浄と洗浄とが著しく長時間空く可能性がある。更に、他の装置、特に高い、離れた配管、ダクト作業(外側及び内側)、屋根及び天井、加熱、冷却及び空調表面(HVAC)、製品冷凍庫及び冷蔵庫、並びに食品製造所の多くの他の表面は、場合によっては数日間、数週間、又は数ヶ月間、全く洗浄しないままにされ、ゼロトランス脂肪の混入物を集め、除去するのが極めて難しい重合したゼロトランス脂肪の汚れを形成する可能性がある。これらの汚れは、場合によっては除去するのが非常に困難な可能性があり、表面を適切に洗浄するのに要する集中的な労働に費用を払うより、装置を交換する方が安価なことがある。装置及び食品処理施設の設計を大きく変更することなく食品製造運転を継続できるように、延長された食品製造時間を可能にし、安全できれいな食品加工環境を保持する、新規な洗浄方法が求められている。
【0004】
従来、ゼロトランス脂肪の汚れを効果的に除去するために、高アルカリ性及び腐食性の洗浄用組成物が必要であった。市販の入手可能な脱脂剤製品は、腐食剤又は水酸化ナトリウムの洗浄力に依存して、重合後の油脂の汚れをとる(例えばEasy Off(TM)、Greasestrip Plus(TM)を参照)。これらの洗剤のpHは、多くの場合、少なくとも12〜13以上である。更に、これらの洗剤のアルカリ性は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、又は腐食剤に起因している。例示的な高アルカリ製品の更なる記載は、引用により本明細書中に完全に含まれる米国特許出願第12/816,016号明細書(2010年6月15日出願)において提供されている。そのような製品は、多くの場合、4〜8%の水酸化ナトリウムを含む。
【0005】
高アルカリ性及び腐食性の組成物は、様々な安全性の懸念及び危険性を示すため、多くの消費者はこれを輸送及び/又は取扱いたくはない。これは、危険な又は腐食性の材料への雇用者の曝露を減らすために、個人用保護具(PPE)を使用する人事上の様々な要求の結果である。PPEとしては、例えば、ゴーグル、洗眼所、マスク、及び他の保護具が挙げられる。従って、重合したゼロトランス脂肪の汚れの構造を破壊して、この種の汚れを適切に除去することができ、これによって従業員にPPEの使用を要求することなく表面を洗浄することができる、非腐食性で、より低いpHの洗浄用組成物を提供することが望ましい。
【0006】
高アルカリ性の腐食性脱脂剤製品を使用することに対する代替として、モノエタノールアミンを含む製品が挙げられる。しかしながら、これらの組成物は多くの場合、組成物のVOCに関する規制の結果、制限されている。例えば、特定の製品は、州規則の下、モノエタノールアミンが4%未満であること(又は総VOCが20℃において0.1mmHgより低い蒸気圧を有することと定義されている)を必要とし、比較的アルカリ性が高いため、依然としてPPEを必要とする。更なる代替としては、汚れを除去するために更に機械的な力が必要な、より弱いアルカリ性(pH11〜12辺り)の洗剤を用いた非腐食性製品が挙げられる。例えば、洗浄用製品は、炭酸ナトリウム、又は他のアルカリ性の水酸化物源でないものを含みうる。従って、本発明によれば、更なる機械的な力を必要とすることなく、重合したゼロトランス脂肪の汚れを除去する洗浄用組成物、及び方法を提供することが望ましい。
【0007】
様々な脱脂剤組成物は、そのまま使用できる(RTU)組成物としても処方される。従って、本発明の実施形態によれば、濃縮処方物を得ることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、請求項に係る発明の目的は、約11.5未満のpHを有する使用溶液を生ずる、非腐食性脱脂剤濃縮物を開発することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、いくつかのアルカリ金属水酸化物(すなわち腐食剤)の処方物と等しい洗浄効率を提供する非腐食性脱脂剤濃縮物であって、本発明の組成物に含まれる水酸化ナトリウムが1%未満、好ましくは水酸化ナトリウムを除いた、非腐食性脱脂剤濃縮物を開発することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、PPEを使用する必要のない非腐食性脱脂剤濃縮物を用いた洗浄方法である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の非腐食性脱脂剤は、一般に、一つ以上のアルカリ源、界面活性剤、及び溶媒系を含んでおり、濃縮した非腐食性脱脂剤組成物を形成している。様々な実施形態において、非腐食性脱脂剤組成物は、一つ以上の添加剤を含み、組成物の形態及び/又は適用方法を変更してもよい。全ての構成成分は、使用可能な洗浄溶液の濃度へと希釈することができる濃縮組成物を提供するよう最適化される。本発明の非腐食性脱脂剤の使用は、高アルカリ性の腐食性脱脂剤組成物と同等の効率を実証した。
【0012】
本発明の一側面において、重合した汚れを除去する方法は、約1質量%〜約50質量%のアルカリ源であって、該アルカリ源の水酸化ナトリウムは約1質量%未満である、アルカリ源と;約1質量%〜約80質量%の界面活性剤と;約1質量%〜約90質量%の溶媒系とを含み、使用溶液のpHが約11.5未満となる非腐食性組成物を、汚れた表面に適用することを含む。
【0013】
本発明の更なる側面において、重合した汚れを除去する方法は、希釈した非腐食性脱脂剤組成物を重合した脂肪の汚れで汚れた表面へと適用する前に、使用溶液のpHが約11.5未満となる濃縮非腐食性組成物を最初に希釈する工程であって、個人用保護具を必要としない工程を含む。
【0014】
本発明の更なる側面において、重合した脂肪の汚れを除去するための非腐食性脱脂剤組成物は、約1質量%〜約50質量%のアルカノールアミンアルカリ源であって、該アルカリ源の水酸化ナトリウムは約1質量%未満である、アルカノールアミンアルカリ源と;約1質量%〜約80質量%の界面活性剤と;約1質量%〜約90質量%の溶媒系とを含んでおり、該組成物は約11.5未満のpHを有する使用溶液を生ずる。
【0015】
複数の実施形態を開示したが、本発明の更に他の実施形態は、本発明の実施形態を示して記載する以下の詳細な説明から、当業者にとって明らかとなる。したがって、図面及び詳細な説明は、実際は説明としてみなし、限定的ではないとみなす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は例7に記載のアルミニウム腐食試験を表しており、本発明の実施形態に従い、ベンジルアルコール及びTEAグルコネートを含む脱脂剤濃縮物の保護効果を実証している。
【0017】
本発明の様々な実施形態を、図面を参照しながら詳細に記載し、ここで、同様の引用数字はいくつかの図の全体にわたって同様の部分を表している。様々な実施形態の引用は、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書に示す図は、本発明による様々な実施形態に対する限定ではなく、本発明を例示的に説明するために示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、従来のオーブン脱脂剤より低腐食性で低いpHを提供する非腐食性オーブン脱脂剤のための特定の濃縮組成物に限定されず、変形することができ、当業者によって理解される。本明細書において用いる全ての用語は、単に具体例を記載するためであり、いかなる態様又は範囲にも制限することを意図するものではないことが更に理解される。例えば、本明細書、及び添付の特許請求の範囲において用いる単数形、「a」、「an」、及び「the」は、別途本文に明確に記載しない限り、複数形の引用を含むことができる。更に、全ての単位、接頭辞、及び記号は、SIに認められた形で表示してもよい。明細書中に記載された数値範囲は、範囲を定義している数を含み、及び定義された範囲内の整数のそれぞれを含む。
【0019】
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語をまず定義する。別途定義しない限り、本明細書において用いる全ての専門的及び科学的用語は、本発明の実施形態に属する当業者によって一般に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書に記載するものと類似の、変更した、又は均等な、多くの方法及び材料を、過度な実験をすることなく本発明の実施形態の実施に用いることができ、好ましい材料及び方法は本明細書に記載されている。本発明の実施形態を記載し特許として請求するにあたり、以下の用語は、以下に設定する定義に従って使用する。
【0020】
本明細書で用いる用語「約」は、例えば実際の濃縮物又は使用溶液を作るために使用する典型的な測定及び液体処理手順を通して;これらの手順における不注意のエラーを通して;組成物を作る、又は方法を実施するために用いる原料の製造、出所、又は純度の違い、並びにこれらと同種のものを通して生ずる可能性がある数量変化を指す。用語「約」はまた、特定の初期混合物から生ずる組成物についての異なる平衡条件によって異なる量を含む。用語「約」をつけるか否かを問わず、請求項は、生ずる可能性のある数量変化に関する量の均等物を含む。
【0021】
本明細書で用いる用語「洗浄」は、汚れの除去、漂白、微生物個体群の減少、及びそれらの任意の組み合わせを促進又は補助するために用いる方法を指す。
【0022】
本明細書で用いる用語「腐食性」は、非腐食性効果の更なる徴候を有さず、約11.5より高いpHを有する使用溶液である洗浄用製品に関する。しかしながら、当業者であれば確認するように、試験(例えば組成物の毒性を確認する動物実験)に基づいて、11.5未満のpHを有する組成物を腐食性とみなしてもよい。同様に、いくつかの組成物を、緩衝能力(すなわち酸/アルカリの貯蔵量)の試験データ又は考察の結果として、11.5より高いpHで非腐食性であるとみなしてもよい。「腐食性」処方物についての分類及び試験は、材料及び/又は処方物の、腐食性又は刺激性効果に基づく。試験要件の更なる記載(動物又は人間のデータを含む)は、本発明時において様々な監督機関から入手でき、例えば欧州委員会、企業及び産業総局の、極度pH値(11.5<pH<2)を有する調製物の分類及びラベリングにおけるDG ENTR/G2の方針説明書(2007)が挙げられる。
【0023】
本明細書で用いる用語「実質的に含まない」は、構成成分(例えば水酸化ナトリウム、又は任意の他の腐食性(corrosive)若しくは苛性(caustic)のアルカリ土類金属水酸化物源)を完全に欠いているか、又は含まれるそのような構成成分が組成物のpHに影響を及ぼさない少量である、組成物を指す。構成成分は不純物又は混入物として存在してもよく、0.5質量%未満である。他の実施形態において構成成分の量は0.1質量%未満、更に他の実施形態において構成成分の量は0.01質量%未満である。
【0024】
用語「実質的に同様の洗浄性能」とは、腐食性でより高いpHの洗浄用組成物ではなく代替の洗浄用製品又は代替の洗浄システムを使用して、本明細書に記載の典型的な基材上の典型的な汚れている状態を解決する際に、一般に同程度の(若しくは少なくとも著しく低い程度でない)清浄度の、又は一般に同じ(若しくは少なくとも著しく少ないものではない)努力を払う、又はその両方である、代替の洗浄用製品又は代替の洗浄システムによる成果を一般に指す。清浄度の程度は、特定の洗浄用製品、及び特定の基材によって、見える汚れの全体的な欠如、又はいくらか劣った清浄度の程度に対応することがある。
【0025】
本明細書で用いる用語「VOC」、又は「揮発性有機化合物」は、環境及び人間の健康に影響を与える可能性のある、著しい蒸気圧を有する有機化合物を指す。VOCについて様々な認識された定義があるが、本発明によれば、消費者製品、例えば本発明の濃縮脱脂剤及び使用溶液は、カリフォルニアにおけるCARB規則の下で消費者製品を規制しているVOCの定義及びガイドラインによる。本発明時に入手できるこれらの規則の更なる記載は、LVP―VOCの定義に対する改正案、及び消費者製品規制の試験方法の節を含む、カリフォルニア規制コード、題目17(2011年にアクセス)で入手できる。これらの定義によれば、20℃において0.1mmHg未満の蒸気圧を有する化合物が除外される。
【0026】
本明細書で用いる用語「質量パーセント(weight percent)」、「質量%(wt-%)」、「質量パーセント(percent by weight)」、「質量%(% by weight)」、及びこれらの変形は、その材料の質量を組成物の総質量で除して100を掛けた材料の濃度を指す。本明細書で使用する「パーセント」、「%」、及びこれらと同種のものは、「質量パーセント」、「質量%」等と同義を意味する意図であると理解される。
【0027】
本発明の方法及び組成物は、本発明の構成成分及び原料、並びに本明細書に記載の他の成分を含む、これらから本質的に成る、又はこれらから成るものであってよい。本明細書で用いる「本質的に成る」は、更なる工程、構成成分、又は原料が、請求項に係る方法及び組成物の基本的及び新規な特性を実質的に変更しない場合にのみ、方法及び組成物が更なる工程、構成成分、又は原料を含んでもよいことを意味する。
【0028】
《濃縮非腐食性脱脂剤組成物》
本発明は、重合した汚れを効果的に洗浄する非腐食性組成物に関する。非腐食性組成物は、実質的に同様の洗浄効率を提供しつつ、従来の脱脂組成物より低いpHを有する。多くの実施形態において、非腐食性組成物は、より腐食性でより高アルカリ性の従来の組成物より優れた洗浄効率を提供する。本発明の多くの実施形態において、組成物は濃縮されており、汚れた表面、例えば汚れが重合したゼロトランス脂肪の汚れを含むことがある表面を洗浄するための、ユーザーの仕様によって決定された希釈に適している。一般に、非腐食性組成物は、適切なアルカリ源、界面活性剤、並びに溶媒、及び/又は溶媒系を含む。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、非腐食性組成物は、モノエタノールアミン及び/又は2―(2―アミノエトキシ)エタノールアルカリ源と、直鎖アルキルベンゼンスルホン化界面活性剤と、ベンジルアルコール溶媒及び/又は溶媒系とを含む。本発明の実施に機構の理解は必要ではなく、本発明はいかなる特定の作用機構にも限定されないが、いくつかの実施形態において、ベンジルアルコールは、脂汚れへの親和性を与え可塑剤として機能する疎水性を提供する、限定された水溶性のアルコールを提供すると考えられる。汚れは、本発明の非腐食性脱脂剤と接触すると、膨張して基材からの粘着性を失い、腐食性脱脂剤の使用と比較して固有の洗浄方法を提供する。
【0030】
有益にも、本発明の実施形態によれば、非腐食性脱脂剤使用溶液のpHは、約11.5未満、約11未満、約10.5未満、又は約10未満である。本発明の他の実施形態において、非腐食性脱脂剤組成物のpHは、約10〜11.5である。組成物は、より低い、非腐食性のpH範囲の結果として、著しい安全性の利点を提供しつつ、実質的に同様の洗浄効率、及び多くの実施形態において従来の脱脂組成物より優れた洗浄効率を提供する。
【0031】
好ましい実施形態によれば、約11.5未満のpHを有する組成物は、予想外にも、約11.5を越えるpHを有する組成物、及び/又は腐食剤を含む組成物と同じ、又は実質的に同様の脱脂効率を汚れの除去に提供しつつ、PPEを必要としない。他の実施態様として、組成物は優れた脱脂効率を提供する。本発明によって提供される濃縮処方物の結果、水を含まない濃縮物は有意なpH測定を提供しないため、本明細書に引用するpH測定は、本発明による濃縮物から生じた使用溶液に関する。
【0032】
本発明の他の実施形態によれば、非腐食性脱脂剤組成物(濃縮物、及び使用溶液)は、非アルミニウム腐食性(すなわちアルミニウムに対して腐食性でない)組成物である。好ましくは、組成物は、腐食性の水酸化ナトリウムベースの脱脂剤組成物と比較して、アルミニウムの質量損失が少なくなる。本発明の他の実施形態によれば、本発明の組成物は、適用に伴うアルミニウムの質量損失につながらない。
【0033】
本発明の更に有益な実施形態によれば、非腐食性脱脂剤組成物は、触媒コンバータを有する基材(例えばオーブン内の、煙を除去するコンバータで処理された表面)に適合する。触媒コンバータは、しばしば貴金属(例えば、プラチナ)であり、基材表面、例えばオーブンに処理又は適用される。本発明の更なる利点は、焼き払えないであろう残留した無機基質(すなわち水酸化ナトリウム)が、脱脂プロセスにおいて、処理した表面上に残らず、及び/又は処理した表面を汚さないということである。
【0034】
《アルカリ源》
本発明の濃縮非腐食性脱脂剤組成物は、少なくとも一つのアルカリ源を含む。本発明の組成物に用いられる適切なアルカリ源の例としては、アミン、アルカノールアミン、カーボネート、及びシリケートが挙げられる。例えば、アルカリ源としては、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸カリウム、オルトケイ酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ホウ酸カリウム、炭酸カリウム、ケイ酸リチウム、メタケイ酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、リン酸リチウム、ポリリン酸リチウム、ホウ酸リチウム、炭酸リチウム、2―(2―アミノエトキシ)エタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、混合イソプロパノールアミン、モルホリン、n,n―ジメチルエタノールアミン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態としては、アルカノールアミン、好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2―アミノ―2―メチル―1―プロパノール、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及び/又は2―(2―アミノエトキシ)エタノールのアルカリ源としての使用が挙げられる。本発明の一実施形態によれば、アルカノールアミンアルカリ源は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2―(2―アミノエトキシ)エタノール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特に好ましいアルカリ源としては、モノエタノールアミン、及び/又は2―(2―アミノエトキシ)エタノールが挙げられる。モノエタノールアミンは汚れた表面に対する浸透剤として作用すると考えられる。更に、モノエタノールアミンは、本発明の非腐食性脱脂剤組成物において、更なる溶媒活量を有してもよい。
【0036】
本発明の他の実施形態によれば、アルカノールアミンアルカリ源(または源の組合せ)を処方して、許容できる製品VOC限度についての最大許容濃度を超えることなく、モノエタノールアミン含有量を最大化する。その結果、モノエタノールアミン濃度を最大化して、許容できるVOC限度を上回ることなく、非腐食性製品の強化された洗浄潜在力を提供する。本発明の一実施形態によれば、アルカノールアミンジエチレングリコールをモノエタノールアミンと組み合わせて、濃縮物及び使用溶液についての適切なVOCを得る。本発明の一実施形態によれば、濃縮組成物のVOCは、約19.25%を超えない。本発明の他の実施形態によれば、使用溶液のVOCは、約4%を超えない。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、2―(2―アミノエトキシ)エタノールを使用物において約3%(濃縮物で約12%)組み合わせることにより、約7%の最大未反応アルカノールアミン濃度を達成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明の濃縮非腐食性脱脂剤組成物は、濃縮組成物中に約1質量%〜約50質量%のアルカリ源を含む。いくつかの実施形態において、アルカリ源は、洗浄用組成物の約5質量%〜約50質量%で存在する。更に他の実施形態において、洗浄用組成物は、約10質量%〜約50質量%のアルカリ源を含む。これらの値及び範囲の間の全ての値及び範囲は、本発明及び濃縮物の希釈物に含まれることを理解すべきである。
【0039】
本発明によれば、濃縮組成物中の非腐食性組成物のアルカリ源に含まれる水酸化ナトリウム、又は他の苛性アルカリ土類金属水酸化物源は、約1質量%未満である。好ましくは、本発明によれば、使用溶液中の非腐食性組成物のアルカリ源に含まれる水酸化ナトリウム、又は他の苛性アルカリ土類金属水酸化物源は、約1質量%未満である。
【0040】
本発明の他の実施形態によれば、非腐食性組成物のアルカリ源に含まれる水酸化ナトリウム、又は任意の他の腐食性(corrosive)若しくは苛性(caustic)アルカリ土類金属水酸化物源が使用溶液のpHを増加させる量は、約0.5pH単位以下である。より好ましくは、非腐食性組成物のアルカリ源は、水酸化ナトリウム、又は任意の他の腐食性(corrosive)若しくは苛性(caustic)アルカリ土類金属水酸化物源を実質的に含まない。より好ましい実施形態において、非腐食性組成物のアルカリ源は、水酸化ナトリウム、又は任意の他の腐食性(corrosive)若しくは苛性(caustic)アルカリ土類金属水酸化物源を含まない。有益にも、本発明時の本技術分野において認められるように、本発明によるモノエタノールアミン、及び/又は2―(2―アミノエトキシ)エタノールの組合せは、非腐食性の汚れ浸透剤として作用し、水酸化ナトリウムと組み合わせて使用する必要はない。
【0041】
《界面活性剤》
本発明の濃縮非腐食性脱脂剤組成物は、少なくとも一つの界面活性剤を含む。本発明による界面活性剤の乳化特性は、希釈して使用可能な洗浄用製品(使用希釈物)を生ずることができる濃縮物、及び使用希釈物自体の両方に使用することができる。有益にも、本発明によれば、処方物は濃縮物を提供する。これは、多くの場合、濃縮物の処方からいかなる過剰な水をも除去したために増粘剤(例えばポリマー、キサンタンゴム、粘土粒子等)を濃縮物に加えることが困難である結果、RTU処方で脱脂剤組成物を提供する従来技術とは区別される。本発明の特定の機構に限定されないが、本発明は、界面活性剤を濃縮処方物中に乳化する際に更なる水は必要なく、使用溶液への希釈の際に、ロッド状ミセル又は液晶構造を形成することによって増粘が起こるような、本明細書に記載した適切な界面活性剤のゲル曲線を利用する。
【0042】
界面活性剤又は界面活性剤の混合物は、所望の洗浄方法によって必要に応じて、組成物において発泡又は消泡特性を有することができる。例えば、特定の用途において、組成物にとって、表面上の洗浄時間を延長することができる持続性の泡が求められることがある。特定の用途において、発泡を最小化することが望ましいことがあり、低減された発泡を提供する界面活性剤又は界面活性剤系を使用することができる。更に、許容できるダウンタイムで組成物を回収でき、再利用することができるように、比較的すばやく壊れる泡を示す界面活性剤又は界面活性剤系を選択することが望ましいことがある。界面活性剤又は界面活性剤系は、除去すべき特定の重合した汚れに応じて、選択することができる。
【0043】
本発明に用いることができる界面活性剤としては、多くの出所から商業的に入手可能な、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び双性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤に関する議論について、Kirk―Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第三版、第8巻、900〜912ページを参照されたい。適切な界面活性剤の更なる記載は、米国特許出願第12/816,016号明細書(2010年6月15日出願)に記載されており、両引用は引用により本明細書に完全に含まれる。
【0044】
本明細書に記載されている界面活性剤は、単独で、又は組み合わせて用いることができる。特に、非イオン性及びアニオン性のものを組み合わせて用いることができる。半極性の非イオン性、カチオン性、両性、及び双性界面活性剤を、非イオン性、又はアニオン性と組み合わせて使用することができる。上記の例は、本発明の範囲内に用途を見いだすことができる多くの界面活性剤を、単に具体的に説明するものである。特定の界面活性剤又は界面活性剤の組合せの選択は、目的の使用濃度、並びに温度及びpHを含む目的の環境条件において、洗浄すべき表面との適合性を含む多くの要因に基づく可能性があることを理解すべきである。
【0045】
更に、使用条件下及びその後の組成物の回収での発泡のレベル及び程度は、特定の界面活性剤及び界面活性剤の混合物を選択するための要因であることができる。本発明の一実施形態によれば、界面活性剤の起泡性及び粘度は、垂直面に適用する用途に適している。本発明の好ましい実施形態によれば、直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、適切な起泡性を提供しつつ、濃縮脱脂剤組成物のベンジルアルコールと結びつく。
【0046】
いくつかの実施形態において、本発明の濃縮非腐食性脱脂剤組成物は、濃縮組成物中に約1質量%〜約80質量%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、濃縮洗浄用組成物の約5質量%〜約75質量%で存在する。更に他の実施形態において、濃縮洗浄用組成物は約2質量%〜約25質量%の界面活性剤を含む。これらの値及び範囲の間の全ての値及び範囲は、本発明に含まれることを理解すべきである。
【0047】
《溶媒系》
本発明の濃縮非腐食性脱脂剤組成物は、少なくとも一つの溶媒又は溶媒系を含む。本発明の様々な実施形態において、非腐食性組成物は、溶媒又は溶媒系を含む少なくとも一つの洗剤を含んでもよい。溶媒又は溶媒系を使用して、非腐食性脱脂剤組成物の洗浄特性を強化し、並びに所定の組成物の乳化特性を提供することができる。例えば、本発明の溶媒系は、特定の組成物の親水性及び疎水性の構成成分が分離しないように保つことがある。乳化特性は、希釈して使用可能な洗浄用製品(使用溶液)を生じさせることができる濃縮物、及び使用希釈物自体の両方に使用することができる。
【0048】
代表的な溶媒及び溶媒系としては、芳香族アルコール、アルカノールアミン、エーテルアミン、エステル、及びこれらの混合物を含む一つ以上の異なる溶媒が挙げられる。代表的な溶媒としては、アセトアミドフェノール、アセトアニリド、アセトフェノン、2―アセチル―1―メチルピロール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、αフェニルエタノール、安息香酸ベンジル、ベンジルオキシエタノール、エチレングリコールフェニルエーテル(Dow Chemical社から「DOWANOL EPh」として商業的に入手可能)、プロピレングリコールフェニルエーテル(Dow Chemical社から「DOWANOL PPh」として商業的に入手可能)、酢酸アミル、アミルアルコール、ブタノール、3―ブトキシエチル―2―プロパノール、酢酸ブチル、n―ブチルプロピオネート、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ジエトキシエタノール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジイソブチルカルビノール、ジイソブチルケトン、ジメチルヘプタノール、ジプロピレングリコールtert―ブチルエーテル、エタノール、酢酸エチル、2―エチルヘキサノール、エチルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ヘキサノール、イソブタノール、イソブチルアセテート、イソブチルヘプチルケトン、イソホロン、イソプロパノール、イソプロピルアセテート、メタノール、メチルアミルアルコール、メチルn―アミルケトン、2―メチル―1―ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1―ペンタノール、n―ペンチルプロピオネート、1―プロパノール、n―プロピルアセテート、n―プロピルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル(Dow Chemical社からDOWANOL TPMとして商業的に入手可能)、トリプロピレングリコールn―ブチルエーテル(Dow Chemical社からDOWANOL TPNBとして商業的に入手可能)、ジエチレングリコールn―ブチルエーテルアセテート(Dow Chemical社からブチルCARBITOLアセテートとして商業的に入手可能)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(Dow Chemical社からブチルCARBITOLとして商業的に入手可能)、エチレングリコールn―ブチルエーテルアセテート(Dow Chemical社からブチルCELLOSOLVEアセテートとして商業的に入手可能)、エチレングリコールモノブチルエーテル(Dow Chemical社からブチルCELLOSOLVEとして商業的に入手可能)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(Dow Chemical社からブチルDIPROPASOL.TM.として商業的に入手可能)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(Dow Chemical社からブチルPROPASOLとして商業的に入手可能)、エチル3―エトキシプロピオネート(Dow Chemical社からUCAR Ester EEPとして商業的に入手可能)、2,2,4―トリメチル―1,3―ペンタンジオールモノイソブチレート(Dow Chemical社からUCAR Filmer IBTとして商業的に入手可能)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(Dow Chemical社からヘキシルCARBITOLとして商業的に入手可能)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(Dow Chemical社からヘキシルCELLOSOLVEとして商業的に入手可能)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(Dow Chemical社からメチルCARBITOLとして商業的に入手可能)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Dow Chemical社からCARBITOLとして商業的に入手可能)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(Dow Chemical社からメチルCELLOSOLVEアセテートとして商業的に入手可能)、エチレングリコールモノメチルエーテル(Dow Chemical社からメチルCELLOSOLVEとして商業的に入手可能)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dow Chemical社からメチルDIPROPASOLとして商業的に入手可能)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(Dow Chemical社からメチルPROPASOLアセテートとして商業的に入手可能)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(Dow Chemical社からメチルPROPASOLとして商業的に入手可能)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(Dow Chemical社からプロピルCARBITOLとして商業的に入手可能)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(Dow Chemical社からプロピルCELLOSOLVEとして商業的に入手可能)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(Dow Chemical社からプロピルDIPROPASOLとして商業的に入手可能)、及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル(Dow Chemical社からプロピルPROPASOLとして商業的に入手可能)が挙げられる。代表的なジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、及びジブチルカーボネートが挙げられる。代表的な油としては、ベンズアルデヒド、ピネン類(α、β、等)、テルピネオール類、テルピネン類、カルボン、シンナムアルデヒド、ボルネオール、及びそのエステル、シトラール類、イオネン類、ジャスミン油、リモネン、ジペンテン、リナロール、及びそのエステルが挙げられる。代表的な二塩基性エステルとしては、ジメチルアジピン酸エステル、ジメチルコハク酸エステル、ジメチルグルタル酸エステル、ジメチルマロン酸エステル、ジエチルアジピン酸エステル、ジエチルコハク酸エステル、ジエチルグルタル酸エステル、ジブチルコハク酸エステル、ジブチルグルタル酸エステル、並びにDuPont Nylonから商標名DBE、DBE―3、DBE―4、DBE―5、DBE―6、DBE―9、DBE―IB、及びDBE―MEの下で入手できる製品が挙げられる。代表的なフタル酸エステルとしては、ジブチルフタル酸エステル、ジエチルヘキシルフタル酸エステル、及びジエチルフタル酸エステルが挙げられる。
【0049】
重合した非トランス脂肪の汚れを濡らすための好ましい溶媒としては、ベンジルアルコール、二塩基性エステル、精油、ジアルキルカーボネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。代表的なアルカノールアミンとしては、2―(2―アミノエトキシ)エタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、混合イソプロパノールアミン、モルホリン、n,n―ジメチルエタノールアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、溶媒系としては、芳香族アルコール(例えば、ベンジルアルコール、フェニルアルコール)が挙げられる。好ましくは、芳香族アルコール溶媒系は、ベンジルアルコールである。更なる実施形態によれば、溶媒系としては、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、αフェニルエタノール、安息香酸ベンジル、ベンジルオキシエタノール、及び/又はこれらと同種のものが挙げられる。本発明による組成物に含まれてもよい溶媒系の更なる記載は、引用によりその全体が本明細書に含まれる米国特許出願第12/816,016号明細書(2010年6月15日出願)に開示されている。
【0051】
本発明の好ましい実施形態によれば、溶媒はベンジルアルコールである。溶媒は、ベンジルアルコールと同様の限定された水溶性の範囲の溶媒、例えばベンジルオキシエタノール、及び/又はベンジルオキシプロパノールなどを更に含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明の濃縮非腐食性脱脂剤組成物は、濃縮組成物中に約1質量%〜約90質量%の溶媒系を含む。いくつかの実施形態において、溶媒系は、洗浄用組成物の約5質量%〜約75質量%で存在する。更に他の実施形態において、洗浄用組成物は、約30質量%〜約60質量%の溶媒系を含む。これらの値及び範囲の間の全ての値及び範囲は、本発明に含まれることを理解すべきである。
【0053】
《使用溶液》
本発明の一実施形態によれば、濃縮組成物の使用希釈物は、約1:1〜約1:10の範囲とすることができる。本発明によれば、間の希釈範囲もまた適切である。より好ましくは、濃縮組成物から約1:3〜約1:6の使用希釈物を得る。好ましくは、濃縮組成物の使用希釈物に含まれる水酸化ナトリウム、又は他の苛性アルカリ土類金属水酸化物源は、約1質量%未満である。
【0054】
当業者であれば本発明の開示の結果確認するように、ユーザー及びその用途の特定の必要性に従って使用溶液を作ることができる。例えば、本発明の濃縮非腐食性脱脂剤組成物を、特定のVOC限度、及び/又はエタノールアミン濃度を有する使用溶液へと希釈してもよい。本発明の一実施形態によれば、濃縮非腐食性脱脂剤組成物を、上限である非腐食性使用溶液が得られ、PPEの使用が必要なこともあり、必要ないこともある、約25質量%のエタノールアミンへと希釈してもよい。代替として、本発明の一実施形態に従い、濃縮非腐食性脱脂剤組成物は、PPEが必要ない約14質量%のエタノールアミンへと希釈してもよい。
【0055】
《添加剤》
本発明の濃縮非腐食性脱脂剤組成物は、任意に一つ以上の添加剤を含んで、組成物の形態、及び/又は適用方法を変更してもよい。本発明の一実施形態によれば、非腐食性濃縮組成物は、約0.01質量%〜約10質量%の一つ以上の添加剤を含んでもよい。
【0056】
本発明の適切な添加剤としては、例えば染料(製品安全性/識別)、芳香剤、腐食抑制剤、及び/又は酵素が挙げられる。本発明の他の実施形態によれば、本発明に従う様々な増粘剤が有用である。適切な増粘剤としては、例えば、ゴム(すなわち、キサンタン、カラギーナン、等)、ポリマー(すなわち、ポリアクリレート、及び類似の変性ポリマー)、無機粒子(すなわち、粘土シリケート、例えばLaponiteTM)、及び粘度を提供するための界面活性剤が挙げられる。本発明による使用に適する様々な更なる添加剤は、米国特許第6,916,773号明細書、及び米国特許出願第12/816,050号明細書、及び米国特許出願第12/816,016号明細書(それぞれ、2010年6月15日出願)に開示されており、これらは引用により本明細書中に完全に含まれる。
【0057】
《使用方法》
本発明の非腐食性脱脂剤組成物は、汚れた表面を洗浄するための様々な方法において使用してもよい。一実施形態において、本発明は、重合した脂肪の汚れを洗浄する方法である。洗浄方法は一般に、上記に記載した非腐食性脱脂剤組成物を使用する。特定の実施形態において、環境洗浄方法が提供される。他の実施形態において、定置洗浄(CIP)方法が提供される。本発明の更なる実施形態によれば、非腐食性脱脂剤組成物は、腐食性の処方物を使用する必要なく重合した汚れを除去しようとする任意の他の方法、例えば重合した又は架橋した被膜の床からの除去、及び他の仕上げに使用することができる。
【0058】
有益にも、非腐食性脱脂剤組成物は、pHが約11.5未満であるため、個人用保護具の使用を必要としない。更に、非腐食性脱脂剤組成物は、汚れた表面に約5秒〜数分間接触させて、脱脂作用を達成する。本発明の好ましい実施形態によれば、非腐食性脱脂剤組成物の適用は、実質的な機械的動作、又は過剰な温度を必要とすることなく、数秒以内に汚れの除去につながる。本発明の方法は、従来技術の腐食性の高アルカリ性の組成物を用いて得られるものと少なくとも同等の洗浄効率になる。
【0059】
本発明によれば、非腐食性脱脂剤組成物の使用方法は、約11.5より高いpHを有する従来の腐食性組成物と実質的に同様の汚れ除去効率になる。更なる側面において、非腐食性脱脂剤組成物の使用方法は、約11.5より高いpHを有する従来の腐食性組成物と比較して、汚れの除去に優れる。
【0060】
本方法を使用することができる例示的な産業としては、限定されないが、食品サービス産業;食品及び飲料産業;消費者向け脱脂用途;油処理産業;産業的農業及びエタノール処理;並びに医薬品製造産業が挙げられる。適切な本発明の組成物及び方法の用途としては、例えば、電子レンジを含むオーブン洗剤、一般的な脱脂剤、フライヤー脱脂剤、スモークハウス洗剤、床洗剤、排気フード洗剤、ドレイン洗剤、床仕上げリムーバー、床洗剤、フライヤー洗剤、ポット及びパン洗剤、カーペットスポッター、医薬用及び化粧用洗剤、機器洗剤、タールリムーバー、及びこれらと同種のものが挙げられる。
【0061】
本方法を用いて、重合した汚れ以外の汚れを除去することもできる。そのような他の汚れとしては、限定されないが、澱粉、セルロース繊維、タンパク質、単純炭水化物、及び任意のこれらの汚れの種類と鉱物の複合体との組合せが挙げられる。本方法を用いて効果的に除去される特定の食品汚れの例としては、限定されないが、肉、鶏肉、野菜及び果物、パン製品、清涼飲料の製造及び加工において発生する汚れ、醸造及び発酵残留物、糖ビート及びサトウキビの処理において発生する汚れ、並びにこれらの原料及び関連する原料を含む加工食品、例えばジュース、ソース、及び調味料(例えば、果物ジュース、ケチャップ、トマトソース、バーベキューソース)が挙げられる。これらの汚れは、環境表面、例えば壁及び床、冷凍庫及び冷却装置、熱交換装置の表面、コンベア表面、並びに製造及び包装プロセスの間の他の表面上につく可能性がある。
【0062】
《CIP洗浄方法》
CIP洗浄方法を用いて多種多様な処理装置を洗浄することができ、多種多様な処理装置としては、限定されないが、フライヤー、様々な冷凍庫、又は冷蔵系、蒸発器、熱交換器(チューブ―イン―チューブ交換器、ダイレクトスチーム注入、及びプレート―イン―フレーム交換器が挙げられる)、加熱コイル(スチーム、炎、又は熱伝導流体加熱が挙げられる)、再晶析装置、パン晶析装置、噴霧乾燥器、ドラム乾燥機、及びタンクが挙げられる。更に、CIP洗浄方法を用いて環境領域を洗浄することができ、環境領域としては、限定されないが、食品加工装置、及び関連する壁、天井、床、更にダクト作業(外部及び内部)、並びに他の空気を取扱う系を含む全体の領域が挙げられる。
【0063】
一実施形態において、CIP方法が提供される。この方法は、ゼロトランス脂肪の流れを含む典型的に液体である製品の流れを処理するために用いられるタンク、ライン、ポンプ、及び他の処理装置の内部要素、更には囲まれた領域内の自動化された様式で洗浄することができるそのような装置の外面から、重合した汚れを除去するのに適している。この方法は一般に、使用溶液の非腐食性脱脂剤組成物を、系のいかなる構成部品も分解することなく処理系を通過させて、通常の処理を再開することに関する。非腐食性脱脂剤組成物は、任意の公知のCIP方法において使用することができる。場合によっては、方法は、以下の液体:第一のリンス剤、本明細書に記載の高アルカリ性組成物を使用する洗浄サイクル;第二のリンス剤、及び場合によっては中和又は殺菌リンス剤、場合によっては最終リンス剤を、処理系に通過させることを含む。第一のリンス剤は、他の洗浄用組成物、又は熱水若しくは冷水を含むことができる。第二のリンス剤は、多くの場合熱水又は冷水を含んでおり、非腐食性脱脂剤組成物及び残留した汚れを除去するために用いる。更なるリンス剤を用いて洗浄している装置を中和又は殺菌してもよいが、これは残留した中和又は最終リンス剤を除去するために最終リンス剤を必要とすることがあり、又は必要としないことがあり、しばしば洗浄後の細菌による装置の汚染を防止するために省略される。
【0064】
特定の場合において、CIP方法は、使用溶液の非腐食性脱脂剤組成物を、約100°F(37.8℃)以上の温度まで加熱する工程を含む。本発明の様々な実施形態において、方法は、使用溶液の非腐食性脱脂剤組成物を、約100°F(37.8℃)〜約200°F(93.3℃)、約140°F(60℃)〜約180°F(82.2℃)の温度まで加熱する工程を含む。発明者らは、非腐食性脱脂剤組成物が、困難な重合した汚れの、改良された洗浄特性を示すことを見いだした。
【0065】
本方法を使用することができる例示的な産業としては、限定されないが、食品及び飲料産業;油処理産業;産業的農業及びエタノール処理;及び医薬品製造産業が挙げられる。
【0066】
《環境洗浄方法》
他の実施形態において、環境洗浄方法が提供される。この方法は、環境表面から重合した汚れを除去することに適しており、環境表面としては、限定されないが、壁、床、食器、食器類、ポット及びパン、オーブン及びフライヤーが挙げられる。この方法は一般に、非腐食性脱脂剤組成物を環境表面に接触させることを含む。ある場合において、環境方法は、非腐食性脱脂剤組成物を約40°F(4.4℃)以上、40°F(4.4℃)〜約130°F(54.4℃)の温度まで加熱する工程を含む。他の場合には、環境方法は、周囲又は室温、例えば、約50°F(10℃)〜約100°F(37.8℃)において、表面からの汚れの除去を提供する。他の場合には、方法は、より冷えた温度、例えば約25°F(−3.9℃)〜約50°F(10℃)において、表面からの汚れの除去を提供する。他の場合には、方法は、洗浄すべき施設(例えばフリーザーコイル、及び熱く太い配管のそれぞれ)内に近接して存在することがある、0°F(−17.8℃)〜約200°F(93.3℃)の温度にわたる環境表面へと適用することを必要としてもよい。
【0067】
また、一般に、非腐食性脱脂剤組成物は、困難な重合した汚れで汚染された表面に適用する際に、増大した有益な洗浄特性を示す。重合した汚れ(より短い重合の時間によって、又は重合中のより低い温度条件によって、より低レベルの重合を有する汚れ)を除去するために組成物を加熱する必要はない。いくつかの実施形態において、環境方法は、組成物が除去すべき汚れへと浸透するように、非腐食性脱脂剤組成物を環境表面に充分な時間接触させることを含む。
【0068】
汚れへの浸透に必要な時間は、汚れの厚み及び汚れの相対的な重合レベルに依存する。そのような場合、組成物が乾燥せず、長時間表面上に濡れたままであるように、非腐食性脱脂剤組成物は、高起泡性の界面活性剤系又は増粘剤系を含むことが好ましい。
【0069】
本明細書中の全ての出版物及び特許出願は、本発明に関連する技術分野の当業者の水準を示すものである。全ての刊行物および特許出願は、本願明細書において各刊行物又は特許出願を具体的かつ個別に引用した場合と同程度に、本願明細書に引用により含まれる。
【実施例】
【0070】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な例において更に定める。これらの例は、本発明の特定の実施形態を示すと共に、単に説明としてのみ示すことを理解すべきである。当業者であれば、上記の議論及びこれらの例から本発明の基本的な特性を確認することができ、それらの精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の実施形態の様々な変更及び変形を行い、様々な用途及び条件に適応させることができる。したがって、本明細書に示し、記載するそれらに加えて、本発明の実施形態の様々な変形は、前述の記載から、当業者にとって明らかである。そのような変更態様はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを意図する。
【0071】
《例1》
重合したトウモロコシ油パネルの調製。2インチのポリウレタンブラシを使用して、3×5インチのステンレススチールパネル上にトウモロコシ油を薄く被覆することによって、トウモロコシ油の汚れを調製した。裸の鋼の縞が確実に残らないようにパネルを被覆して、ブラシの質量のみを使っていかなる過剰な油も除去した。次にパネルをアルミニウムトレイ上に置き、重合した油がもはや粘性でなくなり、明るい琥珀色を示すまで、375°Fのオーブン内で約20分間調理した。約10分間調理した後、油は重合して粘度を増し始め、油から煙が立った。パネルが確実にオーブン内で均一に加熱されるように、パンを回転させた。洗浄/脱脂処方物を用いた試験を行う前に、パネルを終夜冷却した。非腐食性製品についての基準を制限する様々な規則がある。
【0072】
本発明の最初の実施形態によれば、目的の処方物は、約16%のベンジルアルコール、及び7%のモノエタノールアミンを含み、目視で非腐食性の評価を提供した。上記に記載した用途、及びトウモロコシ油のパネルからの汚れの除去に関して、処方物を試験した。処方物は、3分以内の接触で、汚れ(12480―35)の完全な除去を達成した。観察された汚れの除去は、緩められた粘着力を引き起こすパネル表面からの汚れの膨張に起因するように見えた。
【0073】
《例2》
例1に記載したトウモロコシ油のパネルからの汚れの除去に基づいて、脱脂剤処方物からナトリウムを除いた更なる処方物を調製して分析した。ナトリウムの代わりにモノエタノールアミンを用いた。対流電子レンジ、及び他の用途のための触媒コンバータにおける、改良された性能、及び潜在的残留物の減少を試験した。ベンジルアルコール、モノエタノールアミン、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、及び水の処方物(透明溶液を形成した)を試験した。処方物は、3分以内の接触で、汚れ(12480―35)の完全な除去を達成した。
【0074】
《例3》
更なる処方物を分析して、ベンジルアルコールと結びつく又は可溶化するために要する、脱脂剤濃縮物中の直鎖アルキルベンゼンスルホネートの最小限の量を決定した。処方物の使用溶液のVOCレベルに対する、処方変更の影響を試験した。ベンジルアルコール、モノエタノールアミン、2―(2―アミノエトキシ)エタノール、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、及び水の処方物を試験し、透明な溶液を得た。
【0075】
《例4》
商業的に入手可能な腐食性の脱脂剤(Greasestrip PLUS(7%の水酸化ナトリウム)、Ecolab社、St.Paul、MN)の使用溶液を、非腐食性脱脂剤(Greasecutter NC(4%のモノエタノールアミン)、Ecolab社、St.Paul、MN)と比較した。2つの脱脂剤処方物の各々の3つの滴を、調製したトウモロコシ油のパネルに(例1に記載したように)、ピペットによって分配した。約12分間接触させた後、Greasestrip PLUSで処理したトウモロコシ油の汚れの領域が分解し始めた。15分でパネルをすすいだ。
【0076】
Greasestrip PLUS処理したパネルの領域は、完全にきれいであったが、Greasecutter NCは実質的に影響を受けなかった(わずかに変色し、わずかに粘性のある印象)。これは、活性構成成分として4%のMEAを単独で含む溶液は、従来のアルカリ水酸化物ベースの製品より、いくつかの汚れに対して劇的に低い性能を示す可能性があることを実証している。
【0077】
《例5》
使用溶液のpHの評価も行った。ベンジルアルコールが使用溶液のpHに及ぼす影響を調査した。直鎖アルキルベンゼンスルホネート、2―(2―アミノエトキシ)エタノール、及びモノエタノールアミンと共に、様々な量のベンジルアルコールを含む本発明の処方物を試験した。直鎖アルキルベンゼンスルホネートが溶液中に中和され及び溶解するまで、処方物を30分間撹拌した。表1に示すように、ベンジルアルコールを溶液に加えて、pHを測定した。
【0078】
【表1】
【0079】
pHは、約6%のベンジルアルコールで、最低約10.53まで最初に減少した。ベンジルアルコールの濃度がこの点より増加すると、pHは増加し始めた。作用機構の特定の理論に制限されないが、エタノールアミンは、直鎖アルキルベンゼンスルホネート及びベンジルアルコールミクロエマルジョン内に部分的に可溶化又は配位することがあり、プロトンの受容を低減することがある。
【0080】
《例6》
重合した油をアルミニウムから除去する効率に対する影響。本発明の処方物の、アルミニウムの安全性を調査した。トウモロコシ油の汚れを有するアルミニウムトレイ(例1の材料及び方法に従って汚した)に適用する際の、本発明の非腐食性脱脂剤の効率を、Grease Cutter Plus(Ecolab社、St.Paul、MN)と比較した。アルミニウム腐食の徴候として、NaOHとアルミニウムとの反応から水素ガスが直ちに形成し、7分間曝露した後に表面は外観上くすんだが、本発明の非腐食性脱脂剤は腐食の目視できる徴候を示さなかった。
【0081】
《例7》
脱脂組成物がアルミニウム表面の腐食に及ぼす影響を評価した。トウモロコシ油の汚れを有するアルミニウムトレイ(例1の材料及び方法に従って汚した)の、グレイスケールでの相対変化(すなわち腐食)を図1に示し、評価した様々な製品例を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
例Fに示したpHは、電極の範囲を超えており、ナトリウムのエラーが起こった可能性がある。pHは13.88に近かったと考えられる。
【0084】
処方物の例は、ベンジルアルコール及びTEAグルコネートの、非腐食性脱脂剤組成物への有益な用途、及びアルミニウム保護に対する貢献を実証している。更に、従来の苛性脱脂剤(すなわち例6)を越える改善の大きさの順序を、表3及び図1の両方に示す。本発明の組成物は、少なくとも同等の、好ましくは優れた脱脂性能を提供する。
【0085】
【表3】
【0086】
《例8》
例7からの例A〜Dの処方物を利用して、更なる腐食試験を分析した。表4及び5は、脱脂組成物中に浸漬したアルミニウムのサンプルについて、開始及び終了の腐食測定を示す。
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
表4及び5は、例Aがアルミニウムに対して著しく低腐食性であり、及び非腐食性材料としての分類のためのDOTガイドラインを満たすことを示す。
【0090】
腐食性のDOT定義としては、鋼又はアルミニウムに対して250ミル/年(MPY)(6.35mm/年)を超える腐食速度を有する製品は腐食性の表示を必要とすることが挙げられている(49CFR 173.137;NACE標準TM0169―76;ASSTM G31―72(2004年再承認)を参照)。腐食性についてのMPYの算出は、(((mgでの質量損失)×(534))/(パネル面積×時間(時)×金属密度))である。
【0091】
《例9》
例7からの例A〜Dの処方物の殺菌効率を評価して、より低腐食性の例Aの処方物が、有効な殺生物剤として機能することができるか否か評価した。分析の目的は、周囲温度において、例A及び例Dの処方物の、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC 6538)及び大腸菌(Escherichia coli)(ATCC 11229)に対する、30秒の曝露時間後の食品接触面の殺菌効率、及び5分の曝露時間後の非―食品接触面の殺菌効率を決定することであった。
【0092】
食品接触面の殺菌効率は、黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)を使用して、平均接種原数1.4×10CFU/mLと評価され、大腸菌(ATCC 11229)は、平均接種原数1.1×10CFU/mLと評価された。黄色ブドウ球菌に対する殺菌効率を表6に示し、大腸菌に対しては表7に示す。
【0093】
【表6】
【0094】
【表7】
【0095】
黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)及び大腸菌(ATCC 11229)を使用して、非―食品接触面の殺菌効率を評価し、平均接種原数を表8に示す。
【0096】
【表8】
【0097】
黄色ブドウ球菌に対する殺菌効率を表9に示し、大腸菌に対しては表10に示す。
【0098】
【表9】
【0099】
【表10】
【0100】
食品接触面の殺菌効率。非腐食性脱脂剤処方物Aは、25℃における30秒の曝露時間で、黄色ブドウ球菌ATCC 6538及び大腸菌ATCC 11229の両者に対して、99.999パーセントを越える減少を達成し、食品接触面の殺菌剤としての効果を実証した。脱脂剤処方物Dは、25℃における30秒の曝露時間で、大腸菌ATCC 11229のみに対して、99.999パーセントを越える減少を達成した。25℃における30秒の曝露で、黄色ブドウ球菌ATCC 6538に対して、わずか51.8パーセントの減少を達成した。
【0101】
非―食品接触面の殺菌効率。非腐食性脱脂剤処方物Aは、周囲温度における5分の曝露時間で、黄色ブドウ球菌ATCC 6538、及び大腸菌ATCC 11229の両者に対して、99.9パーセントを越える減少を達成した。しかしながら、腐食性処方物Dは、周囲温度において5分の曝露時間で、大腸菌ATCC 11229に対して、99.9パーセントを越える減少を達成し、黄色ブドウ球菌ATCC 6538に対しては、周囲温度における5分の曝露時間で減少を示さなかった。
【0102】
本発明は以上のように記載され、本発明をさまざまな方法で変形してもよいことは明らかである。そのような変形は、本発明の精神及び範囲からの逸脱とはみなされず、全てのそのような変形は、以下の請求項の範囲内に含まれることを意図する。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[20]に記載する。
[1]
重合した汚れを除去する方法であって、
(i)約1質量%〜約50質量%のアルカリ源であって、該アルカリ源の水酸化ナトリウムは約1質量%未満である、アルカリ源と、
(ii)約1質量%〜約80質量%の界面活性剤と、
(iii)約1質量%〜約90質量%の溶媒系と、
を含み、使用溶液のpHが約11.5未満となる非腐食性組成物を、汚れた表面に適用する工程を含む、方法。
[2]
洗浄すべき前記表面が重合した脂肪の汚れで汚れており、前記表面が食品加工装置、及び環境表面、例えば食品調製の間に使用する壁、床、及び種々の装置からなる群から選択される、項目1に記載した方法。
[3]
前記非腐食性組成物の適用が、個人用保護具の使用を必要としない、項目2に記載した方法。
[4]
前記組成物を、重合した脂肪の汚れに実質的に浸透させるために、洗浄すべき汚れた表面に、重合のレベルに応じて約1秒〜約24時間適用する、項目1に記載した方法。
[5]
前記組成物を、使用溶液を形成するために乳化する、又は約11.5未満のpHを有する使用溶液へと希釈する、項目1に記載した方法。
[6]
前記アルカリ源が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2―アミノ―2―メチル―1―プロパノール、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2―(2―アミノエトキシ)エタノール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカノールアミンである、項目1に記載した方法。
[7]
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載した方法。
[8]
前記溶媒系がベンジルアルコールである、項目1に記載した方法。
[9]
重合した汚れを除去する方法であって、
(i)約1質量%〜約50質量%のアルカノールアミンアルカリ源であって、該アルカリ源の水酸化ナトリウムは約1質量%未満である、アルカノールアミンアルカリ源と、
(ii)約1質量%〜約80質量%の界面活性剤と、
(iii)約1質量%〜約90質量%の溶媒系と、
を含む、約11.5未満のpHを有する濃縮非腐食性脱脂剤組成物を希釈する工程;
前記希釈した非腐食性脱脂剤組成物を、重合した脂肪の汚れで汚れた表面に適用する工程であって、個人用保護具を必要としない工程;及び、
前記濃縮非腐食性脱脂剤組成物の前記アルカノールアミンアルカリ源を、前記重合した脂肪の汚れに浸透させる工程を含む、方法。
[10]
前記アルカノールアミンアルカリ源が、モノエタノールアミン及び/又は2―(2―アミノエトキシ)エタノールであり、前記溶媒系がベンジルアルコールである、項目9に記載した方法。
[11]
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目9に記載した方法。
[12]
前記アルカリ源が水酸化ナトリウムを含まず、前記重合した脂肪の汚れを除去するために更なる機械的な力を必要としない、項目9に記載した方法。
[13]
重合した脂肪の汚れを除去するための非腐食性脱脂剤組成物であって、
(i)約1質量%〜約50質量%のアルカノールアミンアルカリ源であって、該アルカリ源の水酸化ナトリウムは約1質量%未満である、アルカノールアミンアルカリ源と、
(ii)約1質量%〜約80質量%の界面活性剤と、
(iii)約1質量%〜約90質量%の溶媒系と、
を含んでおり、前記組成物は、pHが約11.5未満であって含まれる水酸化ナトリウムアルカリ源が約1質量%未満である使用溶液を生ずる、非腐食性脱脂剤組成物。
[14]
前記アルカノールアミンアルカリ源が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2―アミノ―2―メチル―1―プロパノール、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2―(2―アミノエトキシ)エタノール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記溶媒系がベンジルアルコールである、項目13に記載した組成物。
[15]
前記界面活性剤が直鎖アルキルベンゼンスルホネートである、項目13に記載した組成物。
[16]
前記組成物が、使用溶液を形成するために乳化された、又は約11.5未満のpHを有する使用溶液へと希釈された、項目13に記載した組成物。
[17]
前記アルカリ源が水酸化ナトリウムを含まない、項目13に記載した組成物。
[18]
前記組成物が、前記組成物の形態及び/又は適用方法を変更するために約0.01質量%〜約10質量%の一つ以上の添加剤を更に含む、項目13に記載した組成物。
[19]
前記組成物は、重合した脂肪の汚れを汚れた表面から除去するために用いるものであり、前記組成物は、重合した脂肪の汚れに実質的に浸透させるために、洗浄すべき汚れた表面に、重合のレベルに応じて約1秒〜約24時間適用するものであり、前記組成物は、アルミニウムに対して非腐食性である、項目13に記載した組成物。
[20]
前記組成物が触媒コンバータ基材の表面と適合する、項目13に記載した組成物。
図1