特許第6276396号(P6276396)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6276396知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276396
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   G06F17/30 419B
   G06F17/30 350C
【請求項の数】15
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-517541(P2016-517541)
(86)(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公表番号】特表2016-536662(P2016-536662A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】CN2013088740
(87)【国際公開番号】WO2015043070
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】201310456317.1
(32)【優先日】2013年9月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515150025
【氏名又は名称】ペキン ユニバーシティ ファウンダー グループ カンパニー,リミティド
(73)【特許権者】
【識別番号】516020606
【氏名又は名称】ファウンダー アパビ テクノロジー リミティド
(73)【特許権者】
【識別番号】510117919
【氏名又は名称】ペキン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】イエ マオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウエイ
(72)【発明者】
【氏名】シュイ ジエンボー
(72)【発明者】
【氏名】ターン ジー
(72)【発明者】
【氏名】ジン リーフオン
【審査官】 山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−122231(JP,A)
【文献】 特開2006−331343(JP,A)
【文献】 特開2012−190459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべての知識ポイントとそれらの説明に基づき知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するステップと、
前記知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算するステップと、
前記単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値を計算するステップと、
重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値よりも大きく最大値を有するパスの黙示的な関係の強度の値を設定するため各単純パスの前記黙示的な関係の強度の値を比較するステップと、を備えることを特徴とする知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法。
【請求項2】
すべての知識ポイントとそれらの説明に基づき知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立する前記ステップは、
すべての知識ポイントとそれらの説明の集合に基づく知識ポイントの順方向の明示的な関係を計算し、知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の値を設定するステップと、
すべての知識ポイントとそれらの説明の集合に基づく知識ポイントの逆方向の明示的な関係を計算し、知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定するステップと、 前記知識ポイントの順方向の明示的な関係と前記知識ポイントの逆方向の明示的な関係に基づいて、知識ポイントの明示的な関係を計算し、前記知識ポイントの明示的な関係の強度の値を計算するステップと、
前記知識ポイントの前記明示的な関係の強度の値に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法。
【請求項3】
知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の値を設定する前記ステップは、
【数1】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度をfP(i,j)=0.66に設定し、
【数2】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度をfP(i,j)=0に設定することを含み、ここで、
【数3】
は、oiからojへの順方向の明示的な関係を表し、
【数4】
であり、xiは知識ポイントoiのタイトルであり、yjは知識ポイントoiの説明であり、H(yi)は、yjに含まれる知識ポイントの集合で、i,j=1,2,...,n(nは知識ポイントの数である)であり、及び又は、
知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定する前記ステップは、
【数5】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値をfN(i,j)=0.33に設定し、
【数6】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値をfN(i,j)=0に設定することを含み、ここで、
【数7】
は、oiからojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数8】
であること、を特徴とする請求項2に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法。
【請求項4】
知識ポイントの明示的な関係を計算する前記ステップは、
【数9】
であり、ここで、
【数10】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係を表し、
【数11】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数12】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係を表し、そして、すべての知識ポイント間の明示的な関係の集合REは、
【数13】
であり、
知識ポイントの明示的な関係の強度の値を計算する前記ステップは、
E(i,j)=fP(i,j)+fN(i,j)
であり、
ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの前記明示的な関係の強度の値を表し、fP(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの前記順方向の明示的な関係の強度の値を表し、fN(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの前記逆方向の明示的な関係の強度の値を表し、
関係の強度の値は明示的な関係の集合RE内のすべての知識ポイントに対し計算され、明示的な関係の強度行列Eに保存されること、知識ポイントの明示的な関係のグラフは、前記明示的な関係の強度行列Eに基づき生成されること、を特徴とする請求項2又は3に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法。
【請求項5】
前記明示的な関係のグラフは、辺、加重及び頂点を備える加重有向グラフGであり、ここで、辺と加重を設定する方法は、
加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺の加重の値をfE(i,j)に設定することを含み、fE(i,j)=0のとき、加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺は存在しない、ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の加重の値を表し、加重有向グラフGの頂点は前記明示的な関係の強度行列Eの頂点と同じであり双方とも知識ポイントを表すこと、を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法。
【請求項6】
2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算する前記ステップは、
頂点iから頂点jへの辺に集合Dikの初期値を設定され、前記集合Dikのパスが頂点jにおいて集合Djkのパスと交差するとき頂点iから頂点kへの単純パスを得るために前記2つのパスを結合し、前記単純パスを前記集合Dikに保存すること、ここでi,j,k=1,2,...,n(nは頂点の数)であり、k,i,jのすべての値は昇順でトラバースされ、前記集合Dik内に保存される、
又は、
2つの知識ポイント間の単純パスの前記集合から、最初のkの単純パスがすべての単純パスの前記集合を近似するため削除アルゴリズムを用いて得られること、を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法。
【請求項7】
前記単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値を計算する前記ステップは、
ΠfE(m,n)であること、ここで、
【数14】
、fE(m,n)は知識ポイントomから知識ポイントonへの前記黙示的な関係の強度の値であり、m,nは知識ポイントのインデックスを表し、(om,on)は前記単純パスの辺である、
又は、
黙示的な関係の強度の前記所定の閾値はξに設定され、ここで、0.005≦ξ≦0.4であり、好適には、黙示的な関係の強度の前記所定の閾値はξ=0.1であること、を特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法。
【請求項8】
すべての知識ポイントとそれらの説明に基づいて、知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するための知識ポイントの黙示的な関係のグラフ確立モジュールと、
前記知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算するための単純パス集合計算モジュールと、
前記単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値を計算するための黙示的な関係の強度計算モジュールと、
重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値よりも大きく最大値を有するパスの黙示的な関係の強度の値を設定するため、各単純パスの黙示的な関係の強度の値を比較するための重要な黙示的な関係の強度設定モジュールと、を備えることを特徴とする知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステム。
【請求項9】
前記知識ポイントの黙示的な関係のグラフ確立モジュールは、
すべての知識ポイントとそれらの説明の集合に基づいて知識ポイントの順方向の明示的な関係を計算し知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の値を設定する知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度設定ユニットと、
すべての知識ポイントとそれらの説明の集合に基づいて知識ポイントの逆方向の明示的な関係を計算し知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定する知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度設定ユニットと、
前記知識ポイントの順方向の明示的な関係と前記知識ポイントの逆方向の明示的な関係に基づいて知識ポイントの明示的な関係を計算し前記知識ポイントの明示的な関係の強度の値を計算するための知識ポイントの明示的な関係の強度計算ユニットと、
前記知識ポイントの前記明示的な関係の強度の値に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立する明示的な関係のグラフ確立ユニットと、を備えることを特徴とする請求項8に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステム。
【請求項10】
前記知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度設定ユニットにより知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の値を設定する方法は、
【数15】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度をfP(i,j)=0.66に設定し、
【数16】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度をfP(i,j)=0に設定することを含み、ここで、
【数17】
は、oiからojへの順方向の明示的な関係を表し、
【数18】
であり、xiは知識ポイントoiのタイトルであり、yjは知識ポイントoiの説明であり、H(yi)は、yjに含まれる知識ポイントの集合で、i,j=1,2,...,n(nは知識ポイントの数である)であり、及び又は、
前記知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度設定ユニットにより知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定する方法は、
【数19】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値をfN(i,j)=0.33に設定し、
【数20】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値をfN(i,j)=0に設定することを含み、ここで、
【数21】
は、oiからojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数22】
であること、を特徴とする請求項9に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステム。
【請求項11】
前記知識ポイントの明示的な関係の強度計算ユニットにより知識ポイントの明示的な関係を計算する方法は、
【数23】
であり、ここで、
【数24】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係を表し、
【数25】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数26】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係を表し、そして、すべての知識ポイント間の明示的な関係の集合REは、
【数27】
であり、
前記知識ポイントの明示的な関係の強度計算ユニットにより知識ポイントの明示的な関係の強度の値を計算する方法は、
E(i,j)=fP(i,j)+fN(i,j)
であり、
ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの前記明示的な関係の強度の値を表し、fP(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの前記順方向の明示的な関係の強度の値を表し、fN(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの前記逆方向の明示的な関係の強度の値を表し、
関係の強度の値は明示的な関係の集合RE内のすべての知識ポイントに対し計算され、明示的な関係の強度行列Eに保存されること、知識ポイントの明示的な関係のグラフは、前記明示的な関係の強度行列Eに基づき生成されること、を特徴とする請求項9又は10に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステム
【請求項12】
前記明示的な関係のグラフは、辺、加重及び頂点を備える加重有向グラフGであり、ここで、辺と加重を設定する方法は、
加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺の加重の値をfE(i,j)に設定することを含み、fE(i,j)=0のとき、加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺は存在しない、ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の加重の値を表し、加重有向グラフGの頂点は前記明示的な関係の強度行列Eの頂点と同じであり双方とも知識ポイントを表すこと、
又は、
前記単純パス集合計算モジュールにより2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算する方法は、
頂点iから頂点jへの辺に集合Dikの初期値を設定し、前記集合Dikのパスが頂点jにおいて集合Djkのパスと交差するとき、前記2つのパスの結合を通して頂点iから頂点kへの単純パスを取得し、前記単純パスを前記集合Dikに保存することを含み、ここでi,j,k=1,2,...,n(nは頂点の数)であり、k,i,jのすべての値は昇順でトラバースされ、前記集合Dik内に保存されること、を特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステム。
【請求項13】
2つの知識ポイント間の単純パスの前記集合から、最初のkの単純パスがすべての単純パスの前記集合を近似するための削除アルゴリズムを用いて得られること、
又は、
前記黙示的な関係の強度計算モジュールにより単純パスの前記集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値を計算する前記方法は、ΠfE(m,n)であり、ここで、
【数28】
、fE(m,n)は知識ポイントomから知識ポイントonへの前記黙示的な関係の強度の値であり、m,nは知識ポイントのインデックスを表し、(om,on)は前記単純パスの辺であること、を特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステム。
【請求項14】
黙示的な関係の強度の前記所定の閾値はξに設定され、ここで、0.005≦ξ≦0.4であり、好適には、黙示的な関係の強度の前記所定の閾値はξ=0.1であること、を特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステム。
【請求項15】
コンピュータに知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法を実行させるプログラムであって、前記方法は、
すべての知識ポイントとそれらの説明に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立することと、
前記知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算することと、
前記単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度を計算することと、
最も重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値よりも大きく最大値を有するパスの黙示的な関係の強度の値を設定するため各単純パスの黙示的な関係の強度の値を比較すること、を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知識ポイントの黙示的な関係を得るための方法及びシステムに関連し、電気デジタルデータ処理技術に属する。
【背景技術】
【0002】
知識経済の到来に伴い、出版業界においてデジタル出版は不可避の趨勢となっている。多くの人々が紙の読書から電子読書に移行している。このような電気書籍、雑誌、デジタル新聞等の出版物のさまざまなリソースは権威ある多くの知識を含み、高い応用価値を持っている。これらデジタル出版物資源は、一般的に文書及び書籍や雑誌の記事の形で知識や情報を広める。読者によって望まれることは、これらの文書から関連する知識ポイントを取得することであり文書自体を取得することではない。すなわち、調査研究の目的のために当該分野でのすべての関連する知識のポイントを見つけることである。
【0003】
知識ポイントは、アソシエーション関係をその間に持っている。同じテキスト内での知識ポイントとそれらの説明から直接計算することができる関係は、「明示的な関係」と呼ばれ、異なるテキスト内で知識ポイントとそれら説明から間接的に計算される関係は、「黙示的な関係」と呼ばれる。デジタル出版物資源としての百科事典は、知識ポイントの簡潔な要約を含む。いくつかの他の関連する知識ポイントは、一般的に説明部分に記載されているのに対し、百科事典での知識ポイント(エントリー)は、知識ポイントの名前と説明を記述する。例えば、中国の百科事典‐中国の歴史で、知識ポイント「皇帝 秦の始皇帝」は「紀元前221年に中国を統一した秦の最初の皇帝、...、宰相呂不韋を排除し、彼を四川省に移動した、...、始皇帝の34年に宰相李斯の提案を受け入れた(一部の内容は省略されている)」として説明されている。説明から、知識ポイント「始皇帝」は知識のポイント「呂不韋」との対応関係を持っていることを知ることができる。同様に、知識ポイント「始皇帝」は知識ポイント「李斯」との対応関係を持っている。これらの関係は、知識ポイントとそれらの説明において明示的な関係である。しかし、明示的な関係に加えて、複数の黙示的な関係が間接的にその間に存在してもよいし、黙示的な関係は明示的な関係よりもより代表的かもしれない。したがって、さらに知識ポイントの明示的な関係に基づく知識ポイント間の黙示的な関係を発掘することが必要となる。
【0004】
従来技術では、1つの知識ポイントの説明テキストにおいて他の知識ポイントを検索する方法で2つの知識ポイント間の明示的な関係を容易に得ることがある。しかし、間接的な黙示的な関係は、間接的な知識ポイント間の関係の強度と関係の強度比に基づいて得られる関係の強さである。ここで関係の強度比は、関係する知識ポイントの全ての強度の和に対する知識ポイントの明示的な関係の強度の比を意味する。黙示的な関係の強さを得るためのこの方法は、知識システム全体の観点からの知識システムにおけるすべての黙示的な関係の強度の分析の代わりに、単に相対的な方法で知識ポイント間の黙示的な関係を求めるだけであり、黙示的な関係の強度は、知識ポイント間の明示的な関係の強度と関係の強度の比を用いて得られる。この黙示的な関係の取得方法は、単に相対的な方法で知識ポイント間の黙示的な関係を取得するだけで、結果として不十分な精度である。一方、明示的な関係の強度を取得するために、明示的な関係の強度は、関係するテキストセグメント内の知識ポイントの出現数に基づいて計算され、そして、関係の強さのためにいかなる正規化も実行されず関係の強度の決定のための絶対的測定値の欠如を引き起こす。したがって、従来技術における技術的解決法では、代表的な黙示的な関係を得ることは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明で解決される技術的課題は、知識ポイント間の黙示な関係が知識ポイント間の関係の強度と関係の強度の比に基づいて取得されるだけであり、そして、関係の強度に対しいかなる正規化も実行されないため関係の強度の決定のための絶対的測定値の欠如を引き起こし代表的な黙示的な関係の取得を困難にする従来技術での黙示的な関係の取得方法の不十分な精度の課題である。したがって、グローバル空間における知識ポイントの明示的な関係に基づいて、最も代表的な黙示的な関係を得るための方法およびシステムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の技術的解決法が本発明において与えられる。
【0007】
知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法は、すべての知識ポイントと説明に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するステップと、知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算するステップと、単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度を計算するステップと、最大値を有し重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値よりも大きいパスの黙示的な関係の強度の値を設定するため各単純パスの黙示的な関係の強度の値を比較するステップを備える。
【0008】
任意選択的に、すべての知識ポイントと説明に基づく知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するプロセスは、すべての知識ポイントと説明に基づく知識ポイントの順方向の明示的な関係を計算し、知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度を設定するステップと、すべての知識ポイントと説明の集合に基づく知識ポイントの逆方向の明示的な関係を計算し、知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定するステップと、知識ポイントの順方向の明示的な関係と知識ポイントの逆方向の明示的な関係に基づいて、知識ポイントの明示的な関係を計算し、知識ポイントの明示的な関係の強度の値を計算するステップと、知識ポイントの明示的な関係の強度の値に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するステップを含む。
【0009】
任意選択的に、知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の設定方法は、
【数1】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度はfP(i,j)=0.66に設定され;
【数2】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度はfP(i,j)=0に設定されることを含む;ここで、
【数3】
は、oiからojへの順方向の明示的な関係を表し、
【数4】
であり、xiは知識ポイントoiのタイトルであり、yjは知識ポイントoiの説明であり、H(yi)は、yjに含まれる知識ポイントの集合で、i,j=1,2,...,n(nは知識ポイントの数である)である。
【0010】
任意選択的に、知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の設定方法は、
【数5】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値はfN(i,j)=0.33に設定され;
【数6】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値はfN(i,j)=0に設定されることを含む;ここで、
【数7】
は、oiからojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数8】
である。
【0011】
任意選択的に、知識ポイントの明示的な関係を計算する方法は、
【数9】
である。
【0012】
ここで、
【数10】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係を表し、
【数11】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数12】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係を表し、そして、すべての知識ポイント間の明示的な関係の集合REは、

【数13】
である。
【0013】
知識ポイントの明示的な関係の強度を計算する方法は、
E(i,j)=fP(i,j)+fN(i,j)
である。
【0014】
ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の強度の値を表し、fP(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度の値を表し、fN(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値を表す。
【0015】
関係の強度の値は明示的な関係の集合RE内のすべての知識ポイントに対し計算され、明示的な関係の強度行列Eに保存される。知識ポイントの明示的な関係のグラフは、明示的な関係の強度行列Eに基づき生成される。
【0016】
任意選択的に、明示的な関係のグラフは加重有向グラフGである。加重有向グラフGは、辺、加重及び頂点を備える。ここで、辺と加重を設定する方法は:加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺の加重の値はfE(i,j)に設定されることを含み;fE(i,j)=0のとき、加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺は存在しない;ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の加重の値を表し;加重有向グラフGの頂点は明示的な関係の強度行列Eの頂点と同じであり双方とも知識ポイントを表す。
【0017】
任意選択的に、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を生成するアルゴリズムは、
集合Dikの初期値が頂点iから頂点jへの辺に設定され、集合Dik内のパスが頂点jにおいて集合Djkと交差するとき頂点iから頂点kへの単純パスは2つのパスの結合として得られ、集合Dikに保存されることを含む。ここでi,j,k=1,2,...,n(nは頂点の数)であり、k,i,jのすべての値は昇順でトラバースされ、集合Dik内に保存される。
【0018】
任意選択的に、2つの知識ポイント間の単純パスの集合から、最初のkの単純パスがすべての単純パスの集合を近似するための削除アルゴリズムを用いて得られる。
【0019】
任意選択的に、単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度を計算する方法は、ΠfE(m,n)である。ここで、
【数14】
、fE(m,n)は知識ポイントomから知識ポイントonへの黙示的な関係の強度であり、m,nは知識ポイントのインデックスを表し、(om,on)は単純パスの辺である。
【0020】
任意選択的に、黙示的な関係の強度の所定の閾値はξに設定される。ここで、0.005≦ξ≦0.4である。好適には、黙示的な関係の強度の所定の閾値はξ=0.1である。
【0021】
知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステムは、すべての知識ポイントとそれらの説明に基づいて、知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するための知識ポイントの黙示的な関係のグラフ確立モジュールと、知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算するための単純パス集合計算モジュールと、単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値を計算するための黙示的な関係の強度計算モジュールと、重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値よりも大きく最大値を有するパスの黙示的な関係の強度の値を設定するため、各単純パスの黙示的な関係の強度を比較するための重要な黙示的な関係の強度設定モジュールとを備える。
【0022】
任意選択的に、知識ポイントの黙示的な関係のグラフ確立モジュールは、すべての知識ポイントとそれらの説明の集合に基づいて知識ポイントの順方向の明示的な関係を計算し知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の値を設定する知識ポイントの順方向の明示的な関係設定ユニットと、すべての知識ポイントとそれらの説明の集合に基づいて知識ポイントの逆方向の明示的な関係を計算し知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定する知識ポイントの逆方向の明示的な関係設定ユニットと、知識ポイントの順方向の明示的な関係と知識ポイントの逆方向の明示的な関係に基づいて知識ポイントの明示的な関係を計算し知識ポイントの明示的な関係の強度の値を計算するための知識ポイントの明示的な関係の強度の計算ユニットと、知識ポイントの明示的な関係の強度の値に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立する明示的な関係のグラフ確立ユニットを備える。
【0023】
任意選択的に、知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度を設定する方法は、
【数15】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度の値はfP(i,j)=0.66に設定され;
【数16】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度の値はfP(i,j)=0に設定されることを含む;ここで、
【数17】
は、oiからojへの順方向の明示的な関係を表し、
【数18】
iは知識ポイントoiのタイトルであり、yjは知識ポイントoiの説明であり、H(yi)は、yjに含まれる知識ポイントの集合で、i,j=1,2,...,n(nは知識ポイントの数である)である。
【0024】
任意選択的に、知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定する方法は、
【数19】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値はfN(i,j)=0.33に設定され;
【数20】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値はfN(i,j)=0に設定されることを含む;ここで、
【数21】
は、oiからojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数22】
である。
【0025】
任意選択的に、知識ポイントの明示的な関係を計算する方法は、
【数23】
である。
【0026】
ここで、
【数24】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係を表し、
【数25】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数26】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係を表し、そして、すべての知識ポイント間の明示的な関係の集合REは、
【数27】
である。
【0027】
知識ポイントの明示的な関係の強度を計算する方法は、
E(i,j)=fP(i,j)+fN(i,j)
である。
【0028】
ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の強度を表し、fP(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度の値を表し、fN(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値を表す。
【0029】
関係の強度の値は明示的な関係の集合RE内のすべての知識ポイントに対し計算され、明示的な関係の強度行列Eに保存される。知識ポイントの明示的な関係のグラフは、明示的な関係の強度行列Eに基づき生成される。
【0030】
任意選択的に、明示的な関係のグラフは加重有向グラフGである。加重有向グラフGは、辺、加重の値及び頂点を備える。ここで、辺と加重の値を設定する方法は:加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺の加重の値はfE(i,j)に設定されること;fE(i,j)=0のとき、加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺は存在しないこと、ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の加重の値を表し;加重有向グラフGの頂点は明示的な関係の強度行列Eの頂点と同じであり双方とも知識ポイントを表すことを含む。
【0031】
任意選択的に、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を生成するアルゴリズムは、
集合Dikの初期値が頂点iから頂点jへの辺に設定され、集合Dik内のパスが頂点jにおいて集合Djkと交差するとき頂点iから頂点kへの単純パスは2つのパスの結合として得られ、集合Dikに保存されることを含む。ここでi,j,k=1,2,...,n(nは頂点の数)であり、k,i,jのすべての値は昇順でトラバースされ、集合Dik内に保存される。
【0032】
任意選択的に、2つの知識ポイント間の単純パスの集合から、最初のk個の単純パスがすべての単純パスの集合を近似するための削除アルゴリズムを用いて得られる。
【0033】
任意選択的に、単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度を計算する方法は、ΠfE(m,n)である。ここで、
【数28】
、fE(m,n)は知識ポイントomから知識ポイントonへの黙示的な関係の強度の値であり、m,nは知識ポイントのインデックスを表し、(om,on)は単純パスの辺である。
【0034】
任意選択的に、黙示的な関係の強度の所定の閾値はξに設定される。ここで、0.005≦ξ≦0.4である。好適には、黙示的な関係の強度の所定の閾値はξ=0.1である。
【0035】
コンピュータによって実行されたとき知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法を実行するコンピュータ実行可能な命令を格納した1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、その方法は、すべての知識ポイントと説明に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立することと、知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算することと、単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度を計算することと、最も重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値よりも大きく最大値を有するパスの黙示的な関係の強度の値を設定するため各単純パスの黙示的な関係の強度を比較することを含む。
【0036】
従来技術と比較して、本願明細書に開示される知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法は、以下の1つ以上の利点を有する。
【0037】
(1)本願明細書の知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法は、すべての知識ポイントとそれらの説明に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するステップと、知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算するステップと、単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度を計算するステップと、重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値よりも大きく最大値を有するパスの黙示的な関係の強度を設定するため各単純パスの黙示的な関係の強度の値を比較するステップを備える。上記の方法は、知識ポイント間の黙示的な関係が知識ポイント間の関係の強度と関係の強度の比に基づいて取得されるのみで、関係の強度に対するいかなる正規化も実行されないため関係の強度の決定のための絶対的測定値の欠如を引き起こし代表的な黙示的な関係を取得することを困難にする従来技術での黙示的な関係の取得方法の不十分な精度の従来技術における問題点を効果的に回避できる。
【0038】
(2)本願明細書の知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法は、明示的な関係に基づき、順方向の明示的な関係と逆方向の明示的な関係の強度の値の正規化を通して、明示的な関係の強度の値は、範囲[0, 0.99]内に設定され、一方、黙示的な関係の強度の値も、グローバル空間での知識ポイントの明示的な関係に基づいて最も代表的な黙示的な関係を取得するために使用される絶対的に測定可能な値を提供するために、範囲[0, 0.99]に制限される。
【0039】
(3)本願明細書の知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法によれば、フランク ルービンによって提案されたアルゴリズムが2つの知識ポイント間の単純パスの集合を取得するためのアルゴリズムとして採用される:単純パスの集合を取得するためのアルゴリズムでは、単純パスの計算は、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を取得するために頂点で2つのパスが交差している場合にのみ2つのパスを1つの単純パスに結合することにより実行される。この方法は、単純で、計算に便利であり、実装が容易である。
【0040】
(4)本願明細書の知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法によれば、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を取得するとき、最初のKの単純パスが削除アルゴリズムを用いて得られる。削除アルゴリズムの主なアイデアは、有向グラフ上の既存のパスから辺を削除し、次の選択的な単純パスを見つけるために代替の辺を調べることである。この方法では、新たな頂点は、知識ポイント間の最初のKの単純パスを発見するのに適した拡張された頂点の隣接辺を継承しつつ、頂点の前の集合に基づく拡張を通して得られる。
【0041】
(5)本願明細書の知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法によれば、知識ポイントの明示的な関係の強度は、知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度と逆方向の明示的な関係の強度を計算することにより得られる。2方向の関係の強度を評価する方法は、さらに、知識ポイントの明示的な関係の強度の精度を向上させる。
【0042】
(6)本願明細書の知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法によれば、加重有向グラフへの明示的な関係の強度の行列の変換を介して、知識ポイント間の単純パスの計算が容易となり、アルゴリズムの実装の容易化と改良された動作速度が得られる。
【0043】
(7)本願明細書の知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法によれば、黙示的な関係の強度の所定の閾値を設定することを通して、弱い黙示的な関係を持ついくつかの簡単パスが、実際には意味のないパスを直接的に排除するため除去される。
【0044】
(8)本願明細書の知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法によれば、知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法を使用して、知識ポイント間の黙示的な関係が知識ポイント間の関係の強度と関係の強度の比に基づいて取得されるのみで、関係の強度に対するいかなる正規化も実行されないため関係の強度の決定のための絶対的測定値の欠如を引き起こし代表的な黙示的な関係を取得することを困難にする従来技術での黙示的な関係の取得方法の不十分な精度の従来技術における問題点を効果的に回避することが可能となる。
【0045】
本願発明の完全な理解のため、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本願の実施形態に係る知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法のフローチャートを示す図である。
図2】本願の実施形態に係る知識ポイントの黙示的な関係を取得するシステムの構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[実施形態1]
本実施形態で提供される知識ポイントの黙示的な関係を取得するための方法のフローチャートを図1に示す。本実施例で説明される知識ポイントは、始皇帝、唐の時代、戊戌の変法等の概念やエントリを表す知識の相互作用ユニットである。
【0048】
本実施形態は、百科事典の知識ポイントの黙示的な関係を見つける例で示されている知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法を提供する。百科事典は、知識ポイントのタイトルとそれらの知識ポイントの説明テキストを持つドキュメントを含む。百科事典に含まれる知識ポイント情報はO={o1,o2,...,on}として定義される、ここでoi(i=1,...,n)は知識ポイントを表し、すべての知識ポイントとそれらの説明の集合はA={(xi,yi),i=1,...,n}であり、方法は特に以下のステップを含む。
【0049】
S1:すべての知識ポイントとそれらの説明に対応する知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立する。具体的な実施形態では、次のような特定のステップである。
【0050】
S11:すべての知識ポイントとそれらの説明に対応して知識ポイントの順方向の明示的な関係を計算し、知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の値を設定する。
【0051】
知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の値を設定する方法は、
【数29】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度はfP(i,j)=0.66に設定され;
【数30】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度はfP(i,j)=0に設定されることを含む;ここで、
【数31】
は、oiからojへの順方向の明示的な関係を表し、
【数32】
iは知識ポイントoiのタイトルであり、yjは知識ポイントoiの説明であり、H(yi)は、yjに含まれる知識ポイントの集合で、i,j=1,2,...,n(nは知識ポイントの数である)である。
【0052】
S12:すべての知識ポイントとそれらの説明に基づいて知識ポイントの逆方向の明示的な関係を計算し、知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定する。
【0053】
知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を計算する方法は、
【数33】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値はfN(i,j)=0.33に設定され;
【数34】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度はfN(i,j)=0に設定されることを含む;ここで、
【数35】
は、oiからojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数36】
である。
【0054】
S13:知識ポイントの順方向の明示的な関係と知識ポイントの逆方向の明示的な関係に基づいて知識ポイントの明示的な関係を計算し、知識ポイントの明示的な関係の強度の値を計算する。
【0055】
知識ポイントの明示的な関係を計算する方法は、
【数37】
である。
【0056】
ここで、
【数38】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係を表し、
【数39】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数40】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係を表し、そして、すべての知識ポイント間の明示的な関係の集合REは、
【数41】
である。
【0057】
知識ポイントの明示的な関係の強度の値を計算する方法は、
E(i,j)=fP(i,j)+fN(i,j)
である。
【0058】
ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の強度の値を表し、fP(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度の値を表し、fN(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値を表す;
【0059】
知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法によれば、知識ポイントの明示的な関係の強さは、知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度と逆方向の明示的な関係の強度を計算することにより得られる。2つの方向で関係の強度を評価する方法は、さらに、知識ポイントの明示的な関係の強度の精度を向上させる。
【0060】
関係の強度の値は、明示的な関係の集合RE内のすべての知識ポイントに対して計算され、明示的な関係の強度の行列Eに保存される。知識ポイントの明示的な関係のグラフが明示的な関係の強度の行列Eに対応して生成される。
【0061】
本実施形態の知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法によれば、明示的な関係に基づき、順方向の明示的な関係と逆方向の明示的な関係の強度の正規化を通して、明示的な関係の強度の値は、計算を簡単にするため範囲[0, 0.99]内に設定され、一方、黙示的な関係の強度の値も、グローバル空間での知識ポイントの明示的な関係に基づいて最も代表的な黙示的な関係を取得するために使用される絶対的に測定可能な値を提供するために、範囲[0, 0.99]に制限される。
【0062】
S14:知識ポイントの明示的な関係の強度に対応して、知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立する。明示的な関係のグラフは辺と加重と頂点とを含む加重有向グラフGであり、ここで、辺と加重を設定する方法は、
加重有向グラフGの知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺の加重の値はfE(i,j)に設定されることを含み、fE(i,j)=0のとき、加重有向グラフGの知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺はない、ここでfE(i,j)は加重有向グラフGの知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の加重の値を表し、加重有向グラフGの頂点は明示的な関係の強度の行列Eの頂点と同じであり、双方の知識ポイントを表す。
【0063】
加重有向グラフGは、単純パスを計算するために使用される補助グラフである。加重有向グラフに明確な関係の強度の行列変換を通して、知識ポイント間の単純パスの計算を容易にしてアルゴリズムの実装の簡単化と改良された動作速度をもたらす。
【0064】
S2:知識ポイントの明示的な関係のグラフに対応して、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算する。フランク ルービン(Frank Rubin)によって提案されたアルゴリズムが2つの知識ポイント間の単純パスの集合を取得するためのアルゴリズムとして採用される(Frank Rubin, Enumerating all simple paths in a graph[J]. IEEE Transactions on Circuits and Systems,1978,25(8):641-642 for details 参照)。
【0065】
集合Dikの初期値が頂点iから頂点jへの辺に対して設定され、集合Dikのパスが集合Djkのパスと頂点jで交差するとき、頂点iから頂点kへの単純パスが2つのパスを結合することを通して得られ集合Dikに保存される。この方法は単純で演算が便利であり実装が容易である。ここで、i,j,k=1,2,...,n(nは頂点の数)、k,i,jのすべての値は昇順にトラバースされ集合Dikに保存される。頂点iから頂点kへの単純パスすべてが集合Dikに保存される。
【0066】
知識ポイントoiから知識ポイントojへの単純パス
【数42】
は、これらの知識ポイント間の、1次元で知識ポイントoiから知識ポイントojへの黙示的な関係を明らかにする潜在的な関係を含む、ここでパスpij上のすべての知識ポイントの関係に対して、その集合

【数43】
である、すなわち、パスpij上のすべての知識ポイントの関係は明示的な関係であり、知識ポイントoiから知識ポイントojへの単純パスの数はゼロかそれより大きく;単純パスの数がゼロのときは、知識ポイントoiから知識ポイントoj間の黙示的な関係は存在しないことを示している。
【0067】
単純パスの集合を取得するためのアルゴリズムでは、単純パスの計算は、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を得るために頂点で交差している場合にのみ、2つのパスを1つのパスに結合させることにより実行される。この方法は簡単で、計算に便利であり、実装が容易である。
【0068】
S3:単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値を計算する。
【0069】
単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値を計算する方法は、ΠfE(m,n)である。ここで、
【数44】
、fE(m,n)は知識ポイントomから知識ポイントonへの黙示的な関係の強度の値であり、m,nは知識ポイントのインデックスを表し、(om,on)は単純パスの辺である。
【0070】
S4:最も重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値よりも大きく最大値を有するパスの黙示的な関係の強度の値を設定するため、各単純パスの黙示的な関係の強度の値を比較する。1つの実施形態において、所定の黙示的な関係の強度の閾値は、ξに設定さあれる、ここで、0.05≦ξ≦0.4である。好適には、黙示的な関係の強度の閾値は、ξ=0.1である。すなわち、知識ポイントoiから知識ポイントojへの黙示的な関係の強度の値は、単純パスに対応する黙示的な関係の強度の最大値に設定され、fI(i,j)>0.1を有するパスの黙示的な関係の強度の値は最も重要な黙示的な関係の強度に設定される。
【0071】
他の代替の実施形態では、所定の黙示的な関係の強度の閾値ξは0.15、0.2、0.3、0.4に設定されてもよく、他の別の値が、ユーザの要求又は得られた黙示的な関係の強度に応じて選択される。
【0072】
黙示的な関係の強度の所定の閾値を設定することにより、実際には意味のないパスを直接的に排除するため、弱い黙示的な関係を持ついくつかの簡単パスが除去される。
【0073】
[実施形態2]
本実施例形態のステップS3を除き、他のステップは実施形態1と同様である。
ステップS3:知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて、2つの知識ポイント間の2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算する。
【0074】
ステップS3において、フランク ルービンにより提案されたアルゴリズムが2つの知識ポイント間の単純パスの集合を取得するためのアルゴリズムとして採用される(Frank Rubin, Enumerating all simple paths in a graph[J]. IEEE Transactions on Circuits and Systems,1978,25(8):641-642 for details 参照)。
【0075】
知識ポイントoiから知識ポイントojへの単純パス
【数45】
は、これらの知識ポイント間の、1次元で知識ポイントoiから知識ポイントojへの黙示的な関係を明らかにする潜在的な関係を含む、ここでパスpij上のすべての知識ポイントの関係に対して、その集合

【数46】
である、すなわち、パスpij上のすべての知識ポイントの関係は明示的な関係であり、知識ポイントoiから知識ポイントojへの単純パスの数はゼロかそれより大きく;単純パスの数がゼロのときは、知識ポイントoiから知識ポイントoj間の黙示的な関係は存在しないことを示している。
【0076】
削除アルゴリズムの主なアイデアは、有向グラフ上の既存のパスから辺を削除し、次の選択的な単純パスを見つけるために代替の辺を調べることである。この方法では、新たな頂点は、知識ポイント間の最初のKの単純パスを発見するのに適した拡張された頂点の隣接辺を継承しつつ、頂点の前の集合に基づく拡張を通して得られる。この方法は単純であり計算に便利でありアルゴリズムの実装が容易である。
【0077】
本実施形態の知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法は次のステップを含む:知識ポイントの明示的な関係の強度に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するステップと;知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算するステップと;単純パスの集合の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度を計算するステップと;もっとも重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値より大きく最大値を有するパスの黙示的な関係の強度を設定するための各単純パスの黙示的な関係の強度を比較するステップである。上述の方法は、知識ポイント間の黙示的な関係が知識ポイント間の関係の強度と関係の強度の比に基づいて取得されるのみで、関係の強度に対するいかなる正規化も実行されないため関係の強度の決定のための絶対的測定値の欠如を引き起こし代表的な黙示的な関係を取得することを困難にする従来技術での黙示的な関係の取得方法の不十分な精度の従来技術における問題点を効果的に回避する。
【0078】
[実施形態3]
図2は、本願開示の実施形態に基づく知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステムの構成概略図である。本実施形態で提供される知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステムは、すべての知識ポイントとそれらの説明に基づいて、知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するための知識ポイントの黙示的な関係のグラフ確立モジュール21と、知識ポイントの明示的な関係のグラフに基づいて、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を計算するための単純パス集合計算モジュール22と、単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値を計算するための黙示的な関係の強度計算モジュール23と、重要な黙示的な関係の強度としての所定の閾値よりも大きく最大値を有するパスの黙示的な関係の強度の値を設定するため、各単純パスの黙示的な関係の強度を比較するための重要な黙示的な関係の強度設定モジュール24とを備える。
【0079】
1つの実施形態において、知識ポイントの黙示的な関係のグラフ確立モジュール21は、すべての知識ポイントとそれらの説明の集合に基づき知識ポイントの順方向の明示的な関係を計算し知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の値を設定するための知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度設定ユニット211と、すべての知識ポイントとそれらの説明の集合に基づき知識ポイントの逆方向の明示的な関係を計算し知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定するための知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度設定ユニット212と、知識ポイントの順方向の明示的な関係と知識ポイントの逆方向の明示的な関係に基づいて知識ポイントの明示的な関係を計算し知識ポイントの明示的な関係の強度の値を計算する知識ポイントの明示的な関係の強度計算ユニット213と、知識ポイントの明示的な関係の強度の値に基づいて知識ポイントの明示的な関係のグラフを確立するための明示的な関係のグラフ確立ユニット214を備える。
【0080】
知識ポイントの順方向の明示的な関係の強度の値を設定する方法は、
【数47】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度の値はfP(i,j)=0.66に設定され;
【数48】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度の値はfP(i,j)=0に設定されることを含む;ここで、
【数49】
は、oiからojへの順方向の明示的な関係を表し、
【数50】
であり、xiは知識ポイントoiのタイトルであり、yjは知識ポイントoiの説明であり、H(yi)は、yjに含まれる知識ポイントの集合で、i,j=1,2,...,n(nは知識ポイントの数である)である。
【0081】
知識ポイントの逆方向の明示的な関係の強度の値を設定する方法は、
【数51】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度はfN(i,j)=0.33に設定され;
【数52】
のとき、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度はfN(i,j)=0に設定されることを含む;ここで、
【数53】
は、oiからojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数54】
である。
【0082】
知識ポイントの明示的な関係を計算する方法は、
【数55】
である。
【0083】
ここで、
【数56】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係を表し、
【数57】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係を表し、
【数58】
は、知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係を表し、そして、すべての知識ポイント間の明示的な関係の集合REは、
【数59】
である。
【0084】
知識ポイントの明示的な関係の強度を計算する方法は、
E(i,j)=fP(i,j)+fN(i,j)
である。
【0085】
ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の強度の値を表し、fP(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの順方向の明示的な関係の強度の値を表し、fN(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの逆方向の明示的な関係の強度の値を表す。
【0086】
関係の強度の値は明示的な関係の集合RE内のすべての知識ポイントに対し計算され、明示的な関係の強度行列Eに保存される。知識ポイントの明示的な関係のグラフは、明示的な関係の強度行列Eに基づき生成される。
【0087】
明示的な関係のグラフは加重有向グラフGである。加重有向グラフGは、辺、加重及び頂点を備える。ここで、辺と加重を設定する方法は:加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺の加重の値がfE(i,j)に設定されることを含み;fE(i,j)=0のとき、加重有向グラフG内の知識ポイントoiから知識ポイントojへの辺は存在しない;ここで、fE(i,j)は知識ポイントoiから知識ポイントojへの明示的な関係の加重の値を表し;加重有向グラフGの頂点は明示的な関係の強度行列Eの頂点と同じであり双方とも知識ポイントを表す。
【0088】
本実施形態において、2つの知識ポイント間の単純パスの集合を生成するアルゴリズムは、集合Dikの初期値が頂点iから頂点jへの辺に設定され、集合Dik内のパスが頂点jにおいて集合D」jkと交差するとき頂点iから頂点kへの単純パスは2つのパスの結合として得られ、集合Dikに保存されることを含む。ここでi,j,k=1,2,...,n(nは頂点の数)であり、k,i,jのすべての値は昇順でトラバースされ、集合Dik内に保存される。
【0089】
代替的な実施形態として、2つの知識ポイント間の単純パスの集合から、最初のkの単純パスがすべての単純パスの集合を近似するための削除アルゴリズムを用いて得られる。
【0090】
黙示的な関係の強度計算モジュールにおいて、単純パスの集合内の各単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値を計算する方法は、ΠfE(m,n)である。ここで、
【数60】
、fE(m,n)は知識ポイントomから知識ポイントonへの黙示的な関係の強度の値であり、m,nは知識ポイントのインデックスを表し、(om,on)は単純パスの辺である。
【0091】
黙示的な関係の強度の所定の閾値はξに設定される。ここで、0.005≦ξ≦0.4である。好適には、黙示的な関係の強度の所定の閾値はξ=0.1である。
【0092】
知識ポイントの黙示的な関係を取得するためのシステムが本実施形態にて提供され、知識ポイントの黙示的な関係を取得する方法を使用することにより、知識ポイント間の黙示的な関係が知識ポイント間の関係の強度と関係の強度の比に基づいて取得されるのみで、関係の強度に対するいかなる正規化も実行されないため関係の強度の決定のための絶対的測定値の欠如を引き起こし代表的な黙示的な関係を取得することを困難にする従来技術での黙示的な関係の取得方法の不十分な精度の従来技術における問題点を回避することが可能となる。
【0093】
[実施形態4]
本実施形態において1つの応用例が提供される。
【0094】
秦の始皇帝と李斯間の明示的な関係が存在し、明示的な関係の強度の値は0.5である。この関係は秦の始皇帝から李斯への有向辺e1で、加重の値0.5を有する。李斯と韓非間の明示的な関係が存在し、明示的な関係の強度の値は0.3で、ダイヤグラム内で0.5の加重の値0.5を有する李斯ファン(Li SiHuang)から韓非への有向辺e1として表される。
【0095】
上記情報を基にして、秦の始皇帝から韓非への単純パスが得られ、その単純パスは秦の始皇帝からスタートし、e1、李斯を経由して韓非で終わる。この単純パスは、0.5×0.3=0.15の黙示的な関係の強度を持つ始皇帝からの韓非への黙示的な関係を表す。
【0096】
秦の始皇帝と韓非の間の他の単純パスに対応する黙示的な関係の強度の値が計算を通して得られることがある。例えば、他の2つの単純パスはそれぞれ0.1と0.12の黙示的な関係の強度に対応する。ξ=0.1に設定すると、秦の始皇帝から韓非への重要な黙示的な関係の強度の値は0.15である。
【0097】
明らかに、上記の実施形態は、ただ明確な記述のために与えられた例であり、本願発明を制限するものではない。当業者は、上記の記述に基づいて本願明細書に網羅的に記載されない又はできない他の修正又は変形をすることができる。これらの明らかな修正又は変形は、本願発明の保護範囲内である。
【0098】
当業者は、本出願の実施形態は、方法、システム又はコンピュータプログラムとして提供できることを理解すべきである。したがって、本出願は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施形態の形で使用することができる。また、本出願はコンピュータにより実行可能なプログラムコードを含む1つ又は複数の記憶媒体(ディスクメモリ、CD−ROM、光メモリ等を含むが限定されない)上で実行されるコンピュータプログラム製品の形で使用することができる。
【0099】
本出願は、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して記述される。フローチャート及び/又はブロック図における各フロー及び/又はブロックならびにフローチャート及び/又はブロック図におけるフロー及び/又はブロックの組合せはコンピュータプログラムによって達成され得ることを理解されるべきである。このようなコンピュータプログラムコマンドは、コンピュータ又はプログラム可能なデータ処理装置の任意の他のプロセッサによって実行されるコマンドによって生成されるブロックダイヤグラムの1つのブロック又は複数のブロックにおいて特定されるフローダイヤグラム及び/又は機能における1つ又は複数のフローを実現するための装置のようなマシンを生成するように、一般的なコンピュータ、特殊目的コンピュータ、埋め込みプロセッサ又はプログラム可能なデータ処理装置の任意の他のプロセッサに提供される。
【0100】
また、このようなコンピュータプログラムコマンドはコンピュータの読み取り可能なメモリに記憶され、コンピュータ読み取り可能なメモリに格納されたコマンドがコマンドデバイスの生成物を生成するように、特定のスタイルでの作業にコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置を導き;このようなコマンドデバイスは、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現する。
【0101】
また、このようなコンピュータプログラムコマンドは、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置により実行されるコマンドがフローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現するように、コンピュータによって実現されるプロセスを生成するためにコンピュータ又はその他のプログラム可能な装置の操作の一連のステップを実行するように、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることができる。
【0102】
本出願の好ましい実施形態は、既に記載されているが、当業者は、基本的な創造的な概念を理解すれば、これらの実施形態に対する追加の修正及び変更を行うことがでる。したがって、添付の特許請求の範囲は、本出願の範囲内の好ましい実施形態及び全ての修正及び変更を包含すると解釈されることが意図されている。
図1
図2