(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276411
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】加熱された剃毛かみそりハンドル
(51)【国際特許分類】
B26B 21/48 20060101AFI20180129BHJP
B26B 21/52 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
B26B21/48
B26B21/52 B
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-539045(P2016-539045)
(86)(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公表番号】特表2017-500114(P2017-500114A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】US2014067526
(87)【国際公開番号】WO2015094616
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年6月13日
(31)【優先権主張番号】61/918,901
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316015877
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE GILLETTE COMPANY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジェームズ ホジソン
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−514366(JP,A)
【文献】
特表2011−530332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/00 − 21/52
B26B 19/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱するための剃毛かみそりハンドル(12)であって、
細長い把持部分(14)であって、近位端部分(16)及び遠位端部分(18)と、前記剃毛かみそりハンドルの前記近位端部分に枢動可能に取り付けられた接続基部(20)とを備えた、細長い把持部分(14)と、
前記細長い把持部分の内部に位置付けられた電源(202)と、
剃毛ストローク中に熱を送達するために動作可能に前記電源に接続されており、前記接続基部に接合されていて取り外せない加熱器バー(22)であって、前記接続基部が、取り外し可能なかみそりカートリッジ(30)を保持するためのハウジング取り付け面(110)を有している、加熱器バー(22)と
を備えた剃毛かみそりハンドル(12)。
【請求項2】
前記加熱器バー(22)は、前記細長い把持部分(14)を概して横断するように延びる細長い部分(82)と、前記細長い部分(82)から概ね横断して延び、前記細長い把持部分(14)から離れている、一対の対向する横方向端部分(84、86)とを有する、請求項1に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項3】
前記接続基部(20)は、前記細長い部分(82)の後方に中間壁部(120)を有する、請求項2に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項4】
前記中間壁部(120)は、前記対向する横方向端部分(84、86)の間にある、請求項3に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項5】
前記接続基部(20)は、前記中間壁部(120)を有し、前記中間壁部(120)は、取り外し可能なかみそりカートリッジのハウジング(32)の対応する開口部(72)を係合するためのものである、請求項4に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項6】
前記中間壁部(120)は、前記ハウジング取り付け面(110)及び前記接続基部(20)の前壁部(122)から離間されている、請求項5に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項7】
前記かみそりカートリッジ(30)のハウジング(32)に堅固に固定される相互接続部材(54)を更に備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項8】
前記接続基部(20)は、前記細長い把持部分(14)を概ね横断する枢動軸線(P1)の周りで動くことができるように、前記ハンドルの前記近位端部分(16)に枢動可能に取り付けられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項9】
前記加熱器バー(22)は、一対のノッチ(88、90)を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項10】
前記ノッチ(88、90)は、前記加熱器バー(22)の後端壁部(92、94)に配置される、請求項9に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項11】
前記加熱器バー(22)は、金属である、 請求項1〜10のいずれか一項に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項12】
前記加熱器バー(22)の下方に位置付けられた加熱要素(222)を更に備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項13】
前記加熱要素は、抵抗性部材(224)及び絶縁性部材(226)を含む、請求項12に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項14】
前記抵抗性部材は、0.1Ω〜20Ωの抵抗を有する、請求項13に記載の剃毛かみそりハンドル。
【請求項15】
前記加熱器バー(22)は、セラミックの絶縁性部材(226)を含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の剃毛かみそりハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剃毛かみそり及びかみそりカートリッジに関し、より詳しくは、湿式剃毛用の加熱された剃毛かみそりハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
湿式剃毛式かみそりのユーザーは、一般的に、剃毛中に自分の皮膚に接触する温かい感触を楽しむ。温かさは、良好な感触を与え、より快適な剃毛につながる。例えば、理髪店では典型的に、顧客の顔部を温かいタオルで覆い、及び剃毛の前に加熱された剃毛クリームを顔部に塗布する。剃毛プロセス中に温かい感触を与える製品を提供するために様々な試みが行われてきた。例えば、剃毛クリームは、剃毛クリームが剃毛キャニスタから放出されるときに発熱反応して皮膚に温かさを付与するように調合されてきた。また、かみそりヘッドは、バッテリなどの電源によって提供される電力による熱風、加熱要素、及び線状スキャンレーザービームを使用して加熱されてきた。かみそりカートリッジ内部のかみそり刃もまた、加熱されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
加熱された刃を供なうことの欠点は、ユーザーの皮膚と接触する刃の表面積が、極小であることである。この極小な皮膚接触領域は、剃毛中のユーザーの皮膚を加熱することに関してかなり非効率的な機構を提供する。剃毛中のユーザーの皮膚に対して改善された加熱能力を与えることが可能なかみそりを提供するというニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、本発明は、概して、ハンドルを有する単純で効率的な特徴とし、このハンドルは、近位端部分及び遠位端部分を備えた細長い把持部分を有する。接続基部は、ハンドルの近位端部分に取り付けられ、加熱器バーは、動作可能に電源に接続され、及びハンドル内部に位置付けされる。加熱器バーは、接続基部に接合される。取り外し可能なかみそりカートリッジは、皮膚と係合する部材と、キャップと、ハウジングに皮膚と係合する部材及びキャップの間で取り付けられる少なくとも1つの刃とを備えたハウジングを有するように提供される。相互接続部材は、接続基部の対応する表面と解放可能に係合するハンドル取り付け面を有するハウジングに固定される。
【0005】
1つの態様では、本発明は、概して、加熱するための、単純で効率的な剃毛かみそりハンドルを特徴とし、このハンドルは、近位端部分及び遠位端部分を有する細長い把持部分を備える。接続基部は、ハンドルの近位端部分に枢動可能に取り付けられる。電源は、細長い把持部分内部に位置付けられる。加熱器バーは、動作可能に、剃毛ストローク中に熱を提供する電源に接続される。加熱器バーは、接続基部に接合される。接続基部は、取り外し可能なかみそりカートリッジを維持するためのハウジング取り付け面を有する。
【0006】
所望の場合、特定の実施形態は、概して横断して延びる細長い部分を有する細長い把持部分と、長い部分から細長い把持部分から離れる方向へと概ね横断して延びる一対の対向する横方向端部分とを有する加熱器バーを任意選択的に含んでもよい。特定の実施形態はまた、任意選択的に凹部表面を有する加熱器バーを含む。
【0007】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び下記の説明で述べられる。ある特定の実施形態は、特に明記しない限り、一般的に開示されるが組み合わせて明示的に例証又は要求されない本発明の要素又は構成部品を組み合わせることができることが理解される。本発明の他の特徴及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2A】
図1の剃毛かみそりシステムに組み込まれ得る取り外し可能な剃毛かみそりカートリッジの正面斜視図である。
【
図2B】
図2Aの取り外し可能な剃毛かみそりカートリッジの背面斜視図である。
【
図3】
図1の剃毛かみそりシステムに組み込まれ得る接続基部の正面斜視図である。
【
図5A】
図1の剃毛かみそりシステムの背面斜視組立図である。
【
図5B】
図1の剃毛かみそりシステムの正面斜視組立図である。
【
図6】
図1の剃毛かみそりシステムの拡大正面図である。
【
図8】
図6の線8−8に沿った剃毛かみそりシステムの加熱器バーのかみそりカートリッジ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、剃毛かみそりシステム10の斜視図が示される。剃毛かみそりシステム10は、近位端部16及び遠位端部18を備えた細長い把持部分14を有するハンドル12を含んでもよい。接続基部20は、ハンドル12の近位端部16に取り付けられてもよい。特定の実施形態では、接続基部20は、細長い把持部分14を概ね横断する枢動軸線P1の周りで動くのを可能にするように、ハンドル12の近位端16に枢動可能に取り付けられてもよい。加熱器バー22は、ハンドル12の接続基部20に接合されてもよい(すなわち、加熱器バー22は、通常の剃毛条件下では取り除くことができない)。したがって、加熱器バー22は、ハンドル12に対して枢動してもよい。加熱器バー22は、剃毛ストローク中の温まる感覚を提供するために、動作可能に、ハンドル12内部に位置付けられた電源(例えば、図示されない再充電可能バッテリ)に接続されてもよい。ハンドル12は、加熱器バー22の動作を制御するためのスイッチ24を有してよい。
【0010】
剃毛かみそりシステム10は、取り外し可能なかみそりカートリッジ30を含んでもよい。取り外し可能なかみそりカートリッジ30は、ガード34と、キャップ36と、ハウジング32にキャップ36とガード34との間で取り付けられた少なくとも1つ以上の刃38と、を有するハウジング32を有してもよい。ガード34及びキャップ36は、ガード34及びキャップ36の接線方向にある剃毛面を画定してもよい。ガード34は、刃38に対して概ね平行に延びる中実のバーであってもよく、又は分割されたバーであってもよい。特定の実施形態では、ガード34は、刃30の前に剃毛ストローク中の皮膚を伸ばすための皮膚に係合する部材40(例えば、複数のフィン)を備えてもよい。特定の実施形態では、皮膚と係合する部材40は、ハウジング32に対してインサート射出成形又は共射出成形されてもよい。しかしながら、接着剤、超音波溶接、又は機械的締結具などの他の既知の組立方法もまた使用されてよい。皮膚に係合する部材40は、ハウジング32よりも軟性(すなわち、低デュロメータ硬度)の材料から成形されてもよい。例えば、皮膚に係合する部材40は、約20、30、又は40〜約50、60、又は70のショアA硬さを有してもよい。皮膚に係合する部材40は、熱可塑性エラストマー(TPE)又はゴムで作製され得、例としては、シリコーン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンブタジエンスチレン(SBS)TPE、スチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)TPE(例えば、Kraton)、ポリエステルTPE(例えば、Hytrel)、ポリアミドTPE(Pebax)、ポリウレタンTPE、ポリオレフィン系TPE、及びこれらのTPEの任意のブレンド(例えば、ポリエステル/SEBSブレンド)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、皮膚に係合する部材40は、Kraiburg HTC 1028/96、HTC 8802/37、HTC 8802/34、又はHTC 8802/11(KRAIBURG TPE GmbH & Co.KG(Waldkraiburg,Germany))で構成されてよい。より軟質の材料は、皮膚の伸張を増し、並びに、剃毛中のユーザーの皮膚により好ましい感触を提供し得る。より軟質の材料はまた、剃毛中のユーザーの皮膚に当たるハウジング32及び/又はフィンのより硬い材料の不快な感覚を感じ難くするのを補助する。
【0011】
特定の実施形態では、刃38は、ハウジング32に取り付けられて、1つ以上のクリップ42a及び42bによって固定されてもよい。当業者に良く知られた他のアセンブリ方法もまた、刃38のハウジング32への固定及び/又は取り付けに使用してもよく、それらは、ワイヤラッピング、冷間成形、熱間かしめ、インサート成形、超音波溶着、及び接着剤を含むが、これらに限定されない。クリップ42a及び42bは、熱を伝導する及び刃38が腐食するのを防止するのを助けるための犠牲アノードとして作用するアルミニウムなどの金属を含んでもよい。5枚の刃38が示されているが、ハウジング32は、取り外し可能なかみそりカートリッジ30の所望の性能及び費用に応じて、これよりも多い枚数又は少ない枚数の刃を有してよい。以下に詳述されるように、一旦刃38の切れ味が悪くなる(又は損傷する)と、消費者は、接続基部20から取り外し可能なかみそりカートリッジ30を摺動して係合離脱させ、使用された取り外し可能かみそりカートリッジ30を新しいものと取り替えてもよい。取り外し可能かみそりカートリッジ30は、接続基部20上をハンドル12の細長い把持部分14に概ね平行な方向へと及び方向から摺動されてもよい。
【0012】
キャップ36は、ハウジング32に取り付けられた別個の成形品(例えば、剃毛補助剤が充填されたリザーバ)、又は押出成形構成要素(例えば、押出成形された潤滑ストリップ)であってもよい。特定の実施形態では、キャップ36は、皮膚を支持するための及び剃毛面を画定するためのプラスチック又は金属のバーであってもよい。キャップ36は、ハウジング32と同じ材料で成形若しくは押出成形されてよく、又は剃毛中の快適さを増すために、1つ以上の水滲出性の剃毛補助剤材料を有するより潤滑な剃毛補助剤複合材料で成形又は押出成形されてよい。剃毛補助剤複合材料は、非水溶性ポリマーと、皮膚潤滑性の水溶性ポリマーと、を含んでよい。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ブタジエン−スチレンコポリマー(例えば、中耐衝撃性ポリスチレン及び高耐衝撃性ポリスチレン)、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、ポリプロピレン/ポリスチレンブレンドなどのブレンドを含むが、これらに限定されない、使用され得る適した非水溶性ポリマーは、Mobil 4324(Mobil Corporation)などの高耐衝撃性ポリスチレン(すなわち、ポリスチレン−ブタジエン)を有してよい。
【0013】
適した皮膚潤滑性の水溶性ポリマーとしては、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルイミダゾリン、及びポリヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられてよい。他の水溶性ポリマーとしては、一般にPOLYOX(Union Carbide Corporationから入手可能)又はALKOX(Meisei Chemical Works(Kyota,Japan)から入手可能)として知られるポリエチレンオキシドが挙げられてよい。これらのポリエチレンオキシドは、約10万〜600万、例えば、約30万〜500万の分子量を有してよい。ポリエチレンオキシドは、約500万の平均分子量を有する、約40〜80%のポリエチレンオキシド(例えば、POLYOX COAGULANT)と、約30万の平均分子量を有する約60〜20%のポリエチレンオキシド(例えば、POLYOX WSR−N−750)と、のブレンドを含んでよい。ポリエチレンオキシドブレンドはまた、PEG−100などの低分子量(すなわち、MW<10,000)ポリエチレングリコールの最大約10重量%を含有してよい。
【0014】
剃毛補助剤複合材料はまた、所望に応じて、シクロデキストリン(cylcodextrin)、ポリエチレングリコール(例えば、1〜10重量%)など低分子量の水溶性放出促進剤、架橋ポリアクリル酸(例えば、2〜7重量%)など水膨潤性放出促進剤、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、ひげ軟化剤、収れん剤、除毛剤、薬剤、コンディショニング剤、加湿剤、冷却剤などと皮膚鎮静剤との包接錯体を含んでよい。
【0015】
図2Aを参照すると、
図1の取り外し可能な剃毛かみそりカートリッジ30の正面斜視図が示されている。各クリップ42a及び42bの第1端部44a及び44bは、ハウジング32の背部48にある各第1開口46a及び46bそれぞれを通って延びてもよい。クリップ42a及び42bのそれぞれの第2端部50a及び50bは、刃38を適所に固定するようにハウジングの正面52の周りを覆ってもよい。以下に詳細に記載するように、クリップ42a及び42bを開口46a及び46bに挿入することにより、刃を保持するためのクリップ42a及び42bのハウジング32への固定強度を増加させてもよく、更に、クリップ42a及び42bがハウジング32の正面52の周りに覆うことにより、加熱器バー22からクリップ42a及び42bへの熱伝達を改善してもよい。したがって、熱は、取り外し可能な剃毛かみそりカートリッジ30のより大きな表面積へ適用されてもよい。皮膚に係合する部材40及び/又はガード34は、ハウジング32の正面52及び/又はクリップ42a若しくは42bを超えて延びてもよい。
【0016】
図1に示すように、ハウジング32は、取り外し可能な剃毛かみそりカートリッジ30をハンドル12に取り付けるための内部接続部材54を有してもよい。内部接続部材52は、ハンドル取り付け面56を有してもよく、これは、ハンドル12の接続基部20の対応する面と係合する。ハンドル取り付け面56は、少なくとも1つの磁石要素58及び60を有してもよい。ハンドル取り付け面56は、磁石要素58及び60を備えた少なくとも1つのポケット62及び64を画定してもよく、この磁石要素58及び60は、対応するポケット62及び64内に取り付けられる。ハンドル取り付け面56は、単一の磁石要素を備えた細長いポケット、又は対応する磁石要素を保持するための一対のより小型の離間したポケットを有してもよい。磁石要素58及び60によって及ぼされる力F1の方向は、取り外し可能剃毛かみそりカートリッジ30を取り外すために、及び取り付けるために適用される力F2を概ね横断してもよい。これにより、取り外し可能剃毛かみそりカートリッジ30を取り付ける力及び取り外す力は、消費者による取り扱いが楽になるように低減されてもよい(取り外す力に対して平行な方向に及ぼされる磁気力と比較して)。加えて、取り外し可能なかみそりカートリッジを取り付ける力及び/又は取り外す力は、より緩やかであってもよい。例えば、磁石要素によって及ぼされる力が取り付ける力/取り外す力に対して平行な方向である場合、より急で、より大きな力が必要とされてもよい。
【0017】
図2Bを参照すると、
図2Aの取り外し可能な剃毛かみそりカートリッジ30の背面斜視図が図示されている。特定の実施形態では、内部接続部材54は、ハウジング32の一部であってもよい。しかしながら、内部接続部材54もまた、ハウジング32に別個に取り付けられてもよく、又は接合されてもよい。内部接続部材54は、ハウジング32の底面70から延びてもよい。開口部72は、ハンドル12の接続基部20の対応する特徴部と嵌合するための内部接続部材54によって画定されてもよい。内部接続部材54は、開口部72を画定する内部前壁部、後壁部及び対向する側壁部(それぞれ74、76、78及び80)を有してもよい。特定の実施形態では、内部壁部74、76、78、及び80は平滑であってもよい。例えば、内部壁部74、76、78、及び80は、内部接続部材を接続基部に固定するための任意のラッチ機構又は特徴部を有しなくてもよい。このようなラッチ機構は、剃毛中、磁石要素58及び60がハンドルに対して取り外し可能なかみそりカートリッジ30を固定するように使用されるので、必要とされなくてもよい。特定の実施形態では、開口部72は、内部接続部材54と内部接続基部20との適切な位置合わせ、及び磁石要素60及び58と接続基部の1つ以上の対応する磁石要素との適切な位置合わせを提供してもよい。
【0018】
図3を参照して、接続基部20の正面斜視図が示されている。接続基部20の加熱器バー22は、
図1に示されるように、刃38に対して概ね平行に延びる細長い部分82を有してもよい(例えば、ハンドル12の細長い把持部分14を横断する)。一対の横方向端部分84及び86は、細長い部分82から刃38を概ね横切る方向に延びてもよい(例えば、刃38に向かって及び/又はハンドル12の把持部分14から離れるように)。横方向端部分84及び86のそれぞれは、各ノッチ88及び90を有してもよい。例えば、ノッチ88及び90は、横方向端部分84及び86の各後端壁部92及び94上に配置されてもよい。ノッチ88及び90は、各クリップ42a及び42bの少なくとも一部分を受容するような寸法であってもよい。加熱器バー22は、ハウジング32の少なくとも一部分を受容する及び/又は支持するような寸法の凹部96を画定してもよい(例えば、皮膚接触部材40)。凹部96は、加熱器バー22の細長い部分82の後壁部98及び横方向端部分84及び86のそれぞれの側壁部100及び102によって画定されてもよい。加熱器バー22はまた、加熱器バー22の皮膚接触表面106の下方、後方及び下方に位置付けされる凹部表面104(すなわち、前壁部及び側壁部に接続する底壁部)を有してもよい。凹部表面は、ハウジングの少なくとも一部分を支持してもよい(例えば、皮膚接触部材40)。
【0019】
図4を参照して、
図3の接続基部20の背部斜視組立図が示されている。接続基部20は、取り外し可能かみそりカートリッジ30のハンドル取り付け面56に対応するハウジング取り付け面110を有してもよい。ハウジング取り付け面110は、少なくとも1つの磁石要素112及び114を有してもよく、この磁石要素112及び114は、
図2Aのハンドル取り付け面56の対応する磁石要素60及び58に係合する。例えば、ハウジング取り付け面110は、単一の磁石要素を備えた細長いポケット、又は一対のより小型の離間したポケット116及び118を有してもよく、この離間したポケット116及び118は、対応する磁石要素112及び114(図示されている)を保持するためのものである。接続基部20は、ハウジング取り付け面110及び接続基部の120の前壁部122から離間した中間壁部120を有してもよい。中間壁部120は、ハウジング32の相互接続部材54の開口部72と嵌合するような寸法であってもよい。
【0020】
接続基部20は、枢動戻り力を提供するための少なくとも1つの付勢磁石要素124及び126を有してもよい。例えば、接続基部20は、付勢磁石要素を受容するような寸法のポケット132及び134をそれぞれ画定する一対の離間されたタブ128及び130を有してもよい。以下でより詳しく説明するように、接続基部20の付勢磁石要素124及び126は、ハンドル12の対応する付勢磁石要素と反発してもよい。各タブ部材128及び130は、ハンドル12の対応する特徴部を受容するような寸法である開口部136及び138を画定してもよい。各開口部136及び138は、対応するタブ部材128及び130の各側端壁部140及び142へと延びてもよい。側端壁部140及び142は、磁石要素126及び124の各ポケット134及び132を画定する上壁144及び146に対して概ね横断してもよい。
【0021】
図5A及び5Bを参照して、
図1の剃毛かみそりシステム10の正面斜視組立図及び背面斜視組立図が、それぞれ図示されている。
図5Aに示されるように、接続基部20は、ハンドル12の近位端部16に対して枢動してもよい。ハンドル12の近位端部16は、一対の離間されたアーム150及び152を有してもよい。各アーム150及び152は、付勢磁石要素154及び156を有してもよく、この付勢磁石要素154及び156は、タブ部材128及び130の対応する付勢磁石要素124及び126と反発する。各アーム150及び152の端部158及び160は、タブ部材128及び130の各開口部136及び138の内部に位置付けられてもよい。これにより、各アーム150及び152の端部158及び160は、対応するタブ128及び130の上壁144及び146と底壁170及び172との間の対応する開口部136及び138の内部で枢動してもよい。上壁144及び146並びに底壁170及び172はまた、過剰枢動を防止するための停止表面として機能してもよい。安静位において、各アーム150及び152の端部158及び160は、対応する付勢磁石要素により生成される反発力により各上壁部144及び146から離間されていてもよい(例えば、付勢磁石要素154は付勢磁石要素124を反発し、付勢磁石要素156は、付勢磁石要素126を反発する)。
【0022】
取り外し可能かみそりカートリッジ30は、相互接続部材54を接続基部20に係合することによりハンドル12に取り付けられてもよい。接続基部20の中間壁部120は、相互接続部材54の開口部72によって受容されてもよい。ハンドル取り付け面56は、取り外し可能かみそりカートリッジ30を接続基部20に一時的に固定するために、接続基部20のハウジング取り付け面110と係合してもよい。磁石要素112及び114は、対応し対向する磁石要素58及び60と位置合わせされ、及びこれらに対して磁気的に引き付けられてもよい。対向する磁石要素間(例えば、磁石要素112及び磁石要素58の間)の力の方向は、相互接続部材54を接続基部20から取り外す及び接続基部20に取り付けるのに必要とされる力に対して概ね横断してもよい(例えば、この力はハンドル12の細長い把持部分14に対して概ね平行であってもよい)。
【0023】
図6は、取り外し可能なかみそりカートリッジ30がハンドル12に(接続基部20によって)固定された状態の、
図1の剃毛かみそりシステム10の拡大正面図である。
図6に示されるように、皮膚に係合する部材40及び/又はガード34は、加熱器バー22の横方向端部分84及び86の間に位置合わせされてもよい。加えて、クリップ42a及び42bは、加熱器バー22の各ノッチ86及び84の内部に位置付けられてもよい。クリップ42a及び42bは、良好な熱伝導特性を有する金属(アルミニウムなど)を含んでもよい。ノッチ88及び90は、クリップ42a及び42bに対して熱の伝達を促進してもよい(例えば、加熱器バー22は、ノッチ88及び90を介してクリップ42a及び42bに接触してもよい)。これにより、熱は、ブレード38の前に伝達されるばかりでなく、ブレード38の両側部並びに皮膚に係合する部材40及び/又はガード34にも伝達されてもよい。更に、ブレード38は、金属(例えば、鉄)を含み、クリップと接触するので、熱はまた、剃毛ストローク中の皮膚表面に伝達される熱量を最適化しながら金属クリップ42a及び42bからブレード38に伝達される。加熱器バー22の皮膚に接触する面106は、皮膚に係合する部材40及び/又はガード34に実質的に隣接して位置付けられているのが示される。これにより、加熱器バー22の皮膚に接触する表面106、皮膚に係合する部材40及び/又はガード34は全て、剃毛ストローク中のユーザーの皮膚に接触されてもよい(例えば、同じ平面上で)。
【0024】
図7を参照すると、剃毛かみそりシステム10は、電流が、コンタクト204を介して1つ以上の電池72などの電源202(例えば、1つ以上の使い捨て又は再充電可能バッテリなど)によって供給される電気回路200を含んでもよい。電源202は、ハンドル12の内部(例えば、細長い把持部分14)に位置付けられてもよい。電気回路200は、スイッチ206によって閉じられ、これはボタン208を押すことによってユーザーにより起動されてもよい。LED 210は、電力が入れられているか、又は停止されているかをユーザーに示すようにハンドル12に提供される。LED 210は、ハンドル12の透明区域に配置されてもよく、又はハンドル12内の開口部を貫通して延びてもよい。LED 210は、
図7に示される以外のハンドル12の区域に配置してもよく、又は省略してもよい。LED 210は、加熱器バー22が温かいか、温まりつつあるか、加熱器バー22が熱すぎるかどうか、及び剃毛かみそりシステム10の他の特性を示してもよい。
【0025】
加熱器バー22は、放熱するのに効果的ないかなる材料も含んでもよい。加熱器バー22に適した材料は、アルミニウム、銅、金、スチール、真鍮、ニッケルなどの金属、及び好ましい金属であるアルミニウムとこれらとの合金である。列挙された金属と類似した放熱特性を有する他の材料もまた、使用されてもよい。加熱器バー22は、それが剃毛中のユーザーの皮膚と直接接触する状態になり得るので、ユーザーに改善された経験を提供するためにコーティングされるか、又は非平坦化されてもよい。例えば、加熱器バー22は、小さな突出部若しくはバンプで非平坦化されてもよく、並びにポリフルオロカーボンなどのポリマー組成物でコーティングされてもよい。
【0026】
加熱器バー22は、上面若しくは皮膚に接触する面106、及び皮膚に接触する面106と反対側の下面又は第2表面220を含む。加熱要素222は、加熱器バー22の第2表面220の下方に位置付けられる。加熱要素222は、抵抗性部材224と絶縁性部材226とを含んでもよい。抵抗性部材224は、第1表面228及び反対側の第2表面230を有する。絶縁性部材226は、第1表面232及び反対側の第2表面234を有してもよい。絶縁性部材226の第1表面232は、加熱器バー22の第2表面220に接合される。絶縁性部材226の第2表面234は、抵抗性部材224の第1表面228に接合される。
【0027】
加熱エレメント222は、第2絶縁性部材236を含んでもよい。第2絶縁性部材236は、第1表面238及び反対側の第2表面240を有してもよい。第2絶縁性部材236の第1表面238は、抵抗性部材224の第2表面230に接合されてもよい。
【0028】
絶縁性部材224は、第1端部及び反対側の第2端部を有してもよい。電気コンタクトは、抵抗性部材46の各端部においてそれぞれ提供されてもよい。電気コンタクトは、銀を含んでもよい。他の導電性材料、例えば、アルミニウム、銅、金、スチール、真鍮、ニッケル、及びこれらの合金は、電気コンタクトに使用されてもよい。電流リードは、電気コンタクトに固定されて、エネルギーを抵抗性部材224に供給して抵抗性部材224を加熱するように構成される電気回路の一部を形成する。加熱要素222の抵抗性部材224は、加熱器バー22の上方又は皮膚に接触する面106に放散される熱を加熱器バー22に供給し、剃毛中のユーザーの皮膚に温かさを提供する。
【0029】
絶縁性部材226は、ガラス、ガラス−セラミック、セラミック、オキシド、又は他の誘電体材料で構成されてもよい。抵抗性部材224は、導電性粉末で充填されたゾル−ゲル溶液で構成されてもよい。コーティングは、均一で安定した分散をもたらすために、ゾル−ゲル溶液を約90重量%までの導電性粉末の溶液と混合することによって形成してもよい。適した抵抗性部材は、国際公開第02/072495(A2)号に開示されている。抵抗性部材はまた、ニッケル、クロム、金、スチール、及び他の材料から構成されてもよい。抵抗性部材は好ましくは、約0.1Ω〜約100Ω、より好ましくは約0.5Ω〜約20Ω、最も好ましくは2Ωの抵抗を有する。第2絶縁性部材236は、ガラス、ガラス−セラミック、セラミック、オキシド、又は他の誘電体材料で構成されてもよい。抵抗性部材は、ゾル−ゲルプロセス、噴霧、浸漬、回転、刷毛塗り、印刷、スパッタリング、接着、又は他の好適な技法によって絶縁性部材に接合されてもよい。抵抗性部材224は、加熱バー22の皮膚に接触する表面106を約30℃〜約70℃に加熱するのに十分なほどに温められてもよい。
【0030】
本明細書に記載の(すなわち、反発力ではなく、引力を及ぼす)磁石要素58、60、112及び114は、磁気力によって引力を及ぼす構成要素であってもよく、又は磁気力によって引き付けられる構成要素であってもよいことが理解される。例えば、ハンドル取り付け面の磁気要素は、金属を引き付ける材料であってもよく、ハウジング取り付け面の磁気要素は、ハンドル取り付け面の磁気要素によって引き付けられる金属材料を含んでもよい。特定の実施形態では、ハンドル取り付け面及びハウジング取り付け面の双方の磁気要素は、より改善された係合のために磁気力を及ぼしてもよい。本明細書に記載の任意の磁気要素は、セラミック磁石、アルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、電磁石、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。更に、本明細書に記載の任意の磁石要素はまた、剃毛環境によって生じる腐食に対する耐性を持たせるためにめっきされてもよく又はコーティングされてもよい(例えば、プラスチック、ゴム、又はニッケルによって)。
【0031】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。むしろ、特に断りがない限り、このような寸法は、列挙されている値と、その値周辺の機能的に同様の範囲の双方を意味するように意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0032】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、特に除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と競合する程度に、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0033】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。