【実施例】
【0051】
実験部 実施例1:デンプンの乾燥重量に相対的な乾燥重量として表した25%から50%までの範囲でアミロースを含むデンプンに由来するマルトデキストリンと、架橋剤としての
ピロメリト酸二無水物とを反応させることによる、本発明の架橋ポリマーの調製。 Roquette Italia SpAからクレプトース・ラインキャップス(Kleptose Linecaps)17として販売され、17のDEを有する4.89gの(100〜120℃の乾燥炉中で少なくとも一晩乾燥させた)マルトデキストリンを、100mlのフラスコ中の20mlのジメチルスルホキシド中に撹拌し続けながら溶解させた。次いで、5mlのトリメチルアミンを添加し、数分後に3.76gの
ピロメリト酸二無水物を添加した。初めのマルトデキストリンと
ピロメリト酸二無水物との間のモル比は、マルトデキストリンのグルコース1モルに対する
ピロメリト酸二無水物0.57モルのモル比として表して、1:0.57であった。短時間の後、網状化プロセスが撹拌棒を妨げた。24時間後に反応が完了したと見なした。数日後、ポリマーを乳鉢内ですりつぶし、脱イオン水を用いて、ブフナー漏斗内で水ジェットポンプにより洗浄した。空気乾燥後、ポリマーを、ソックスレー抽出器内でアセトンを用いて合計約14時間かけて精製した。
【0052】
そのようにして得た架橋ポリマーを、TAインスツルメントのTGA2050 v5.4Aを用いて、N
2中、毎分10℃の傾斜によるTGA分析によって分析した。分析の結果は
図1に報告したサーモグラムである。50℃と100℃の間で起る初めの重量減少(約6%)は、主に試料上に吸収されていた水分によるものである。ポリマー構造体の劣化は150℃付近で始まり、600℃まで続いたが、240℃で最大劣化速度に達した。800℃において、約20%の最終残留物が観測された。
【0053】
さらに、本発明の架橋ポリマーをより良く特徴付けるために、パーキンエルマー(PerkinElmer)のSpectrum100 FT−IR分光計を用いたATR−FTIR分析によって架橋ポリマーを分析した。分析の結果は
図2に報告したスペクトルである。赤外スペクトルにおいて、マルトデキストリン・ユニットの特性吸収帯に加えて、架橋剤によって導入されたカルボニル基のピーク(即ち、1721、1585cm
−1)を観測することができる。以下の表に、主要なピークを、対応する吸収基と共に記載する。
【0054】
【表1】
【0055】
得られたポリマーについて、さらに、サーモサイエンティフィック(Thermoscientific)のFlashEA 1112シリーズ機器でCHNS分析を行った。結果を以下の表に報告する。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例2:デンプンの乾燥重量に相対的な乾燥重量として表した25%から50%までの範囲でアミロースを含むデンプンに由来するマルトデキストリンと、架橋剤としての1,1’−カルボニルジイミダゾールとを反応させることによる、本発明の架橋ポリマーの調製。
Roquette Italia SpAからクレプトース・ラインキャップス17として販売され、17のDEを有する4.89gの(100〜120℃の乾燥炉中で少なくとも一晩乾燥させた)マルトデキストリンを、100mlのフラスコ中の20mlの無水N,N−ジメチルホルムアミド中に撹拌し続けながら溶解させた。次に2.79g(di)の1,1’−カルボニルジイミダゾールを添加した。初めのマルトデキストリンと1,1’−カルボニルジイミダゾールとの間のモル比は、マルトデキストリンのグルコース1モルに対する1,1’−カルボニルジイミダゾール0.57モルのモル比として表して、1:0.57であった。得られた混合物を油浴中で、90℃の温度に達するまで加熱した。数分後、網状化プロセスが撹拌棒を妨げた。加熱は、架橋反応を完了するように少なくとも2〜3時間の間続けた。数日後、ポリマーを乳鉢内ですりつぶし、脱イオン水を用いて、ブフナー漏斗内で水ジェットポンプにより洗浄した。空気乾燥後、ポリマーを、ソックスレー抽出器内でエタノールを用いて合計約14時間かけて精製した。
【0058】
そのようにして得た架橋ポリマーを、TAインスツルメントのTGA2050 v5.4Aを用いて、N
2中、毎分10℃の傾斜によるTGA分析によって分析した。分析の結果は
図3に報告したサーモグラムである。50℃と100℃の間で起った(comprised)初めの重量減少(約2%)は、吸収されていた水分の放出に帰すことができる。ポリマーの熱劣化は約175℃で始まり、800℃において約18%の最終残留物になった。最大劣化速度は298℃で観測された。
【0059】
さらに、本発明の架橋ポリマーをより良く特徴付けるために、パーキンエルマーのSpectrum100 FT−IR分光計を用いたATR−FTIR分析によって架橋ポリマーを分析した。分析の結果は
図4に報告したスペクトルである。主要な吸収信号を以下に与える表に記載する。グルコース・ユニットの主要な吸収帯(即ち、それぞれ3600〜3100cm
−1及び1638cm
−1のO−H基の伸縮及び変角、2900cm
−1付近のC−H伸縮及び1260〜1000cm
−1の範囲におけるアルコール、エステル及びエーテル基内のC−O結合の伸縮)に加えて、カルボニル部分の特性吸収ピークが1741cm
−1に出現し、従って、ポリマー構造体内の架橋ブリッジの存在を裏付ける。
【0060】
【表3】
【0061】
得られたポリマーについて、さらに、サーモサイエンティフィックのFlashEA 1112シリーズ機器でCHNS分析を行った。結果を以下の表に報告する。
【0062】
【表4】
【0063】
実施例3:デンプンの乾燥重量に相対的な乾燥重量として表した25%から50%までの範囲でアミロースを含むデンプンに由来するマルトデキストリンと、架橋剤としてのヘキサメチレンジイソシアネートカルボニルジイミダゾールとを反応させることによる、本発明の架橋ポリマーの調製。
Roquette Italia SpAからクレプトース・ラインキャップス17として販売され、17のDEを有する4.89gの(100〜120℃の乾燥炉中で少なくとも一晩乾燥させた)マルトデキストリンを、100mlのフラスコ中の20mlのジメチルスルホキシド中に撹拌し続けながら溶解させた。次に0.5gの1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを添加し、数分後に2.77gのヘキサメチレンジイソシアネートを添加した。初めのマルトデキストリンとヘキサメチレンジイソシアネートとの間のモル比は、マルトデキストリンのグルコース1モルに対するヘキサメチレンジイソシアネート0.57モルのモル比として表して、1:0.57であった。短時間の後、網状化プロセスが撹拌棒を妨げた。24時間後に反応が完了したと見なした。数日後、ポリマーを乳鉢内ですりつぶし、脱イオン水を用いて、ブフナー漏斗内で水ジェットポンプにより洗浄した。空気乾燥後、ポリマーを、ソックスレー抽出器内でアセトンを用いて合計約14時間かけて精製した。
【0064】
そのようにして得た架橋ポリマーを、TAインスツルメントのTGA2050 v5.4Aを用いて、N
2中、毎分10℃の傾斜によるTGA分析によって分析した。分析の結果は
図5に報告したサーモグラムである。加熱プログラムの、40℃と120℃の間に含まれる第1段階で、吸収されていた水分の量(およそ5%)が失われた。ポリマーは150℃に至るまで安定であることが分かり、次いで、多段階プロセスを通して劣化が起こったが、その場合、3つの主要な重量損失を観測することができた。3つのプロセスの最大劣化速度は、それぞれ、236℃、291℃及び438℃にあった。最終的に、800℃において13%の最終残留物が記録された。
【0065】
さらに、本発明の架橋ポリマーをより良く特徴付けるために、パーキンエルマーのSpectrum100 FT−IR分光計を用いたATR−FTIR分析によって架橋ポリマーを分析した。分析の結果は
図6に報告したスペクトルである。主要な吸収ピークを次の表にまとめた。
【0066】
【表5】
【0067】
マルトデキストリン・ユニットに関連する最も強い信号は、3600〜3100cm
−1及び1260〜1000cm
−1の範囲に位置し、それらは主として、それぞれO−H結合及びC−O結合の伸縮振動によるものである。ウレタン・ユニットの存在は、それぞれカルボニル基の伸縮及びN−H結合の変角振動に起因する1695及び1533cm
−1の吸収ピークによって証明される。他方、2990cm
−1と2800cm
−1の間に含まれる吸収帯は、ウレタンのN−H結合の伸縮振動と重なった、マルトデキストリン・ユニット及び架橋剤ユニットの両方のC−H結合の伸縮振動に帰される。
【0068】
得られたポリマーについて、さらに、サーモサイエンティフィックのFlashEA 1112シリーズ機器でCHNS分析を行った。結果を以下の表に報告する。
【0069】
【表6】
【0070】
実施例4:デンプンの乾燥重量に相対的な乾燥重量として表した25%から50%までの範囲でアミロースを含むデンプンに由来するマルトデキストリンと、架橋剤としてのクエン酸とを反応させることによる、本発明の架橋ポリマーの調製。
Roquette Italia SpAからクレプトース・ラインキャップス17として販売され、17のDEを有する4.00gのマルトデキストリン、1.00gの次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH
2PO
2・H
2O)及び14.22gのクエン酸を、20mlの脱イオン水に撹拌しながら加えた。マルトデキストリンとクエン酸の間のモル比は、マルトデキストリンのグルコース1モルに対するクエン酸3モルのモル比として表して、1:3であった。次いで、溶液を100℃で透明になるまで(約5分間)加熱した。次に溶液をペトリ皿に注入し、乾燥炉内に、約80℃の温度及び低圧力(約80mbar)で結果として得られた化合物が乾燥するまで(約10日間の要求された時間)保持した。終りに、そのようにして得たポリマーを乳棒乳鉢によってすりつぶし、過剰の脱イオン水で、ブフナー装置上のろ過により、又は遠心分離サイクルを繰返して、洗浄水が無色になるまで、洗浄した。漏斗及び/又は遠心分離による最後の洗浄サイクルは、ポリマーの乾燥プロセスを加速するために、水の代りにアセトンをポリマーに加えて行った。アセトンによる処理は、洗浄溶剤が無色になるまで延長した。次に、ポリマーを数日間、開放空気中で乾燥させた。
【0071】
本発明の架橋ポリマーを特徴付けるために、パーキンエルマーのSpectrum100 FT−IR分光計を用いたATR−FTIR分析によって架橋ポリマーを分析した。分析の結果は
図7に報告したスペクトルである。
【0072】
クエン酸架橋結合ユニットによるカルボニル基の特性ピークが1716cm
−1に観測された。それに加えて、マルトデキストリン及びクエン酸ユニットの両方に由来する主な吸収信号を、次の表に記載する。赤外スペクトルは、ポリマーの期待される組成を裏付けた。
【0073】
【表7】
【0074】
この得られたポリマーについて、さらに、サーモサイエンティフィックのFlashEA 1112シリーズ機器でCHNS分析を行った。結果を以下の表に報告する。
【0075】
【表8】
【0076】
実施例5:デンプンの乾燥重量に相対的な乾燥重量として表した25%から50%までの範囲でアミロースを含むデンプンに由来するマルトデキストリンと、架橋剤としてのクエン酸とを反応させることによる、本発明の架橋ポリマーの調製。
15.54gの量のクエン酸を用いて実施例4に記載したのと同じ手順及び成分を繰返した。この場合、マルトデキストリンとクエン酸の間のモル比は、マルトデキストリンのグルコース1モルに対するクエン酸3.28モルのモル比として表して、1:3.28であった。
【0077】
本発明の架橋ポリマーを特徴付けるために、パーキンエルマーのSpectrum100 FT−IR分光計を用いたATR−FTIR分析によって架橋ポリマーを分析した。分析の結果は
図8に報告したスペクトルである。
【0078】
1716cm
−1に出現した吸収ピークは、カルボニル基の伸縮振動に起因するものであり、クエン酸架橋ユニットの存在をはっきりと示す。カルボニル信号に加えて、マルトデキストリン・ユニット及び架橋ユニットの両方の振動による主要なピークを以下の表に記載する。
【0079】
【表9】
【0080】
この得られたポリマーについて、さらに、サーモサイエンティフィックのFlashEA 1112シリーズ機器でCHNS分析を行った。結果を以下の表に報告する。
【0081】
【表10】
【0082】
実施例6:デンプンの乾燥重量に相対的な乾燥重量として表した25%から50%までの範囲でアミロースを含むデンプンに由来するマルトデキストリンと、架橋剤としてのクエン酸及び酒石酸とを反応させることによる、本発明の架橋ポリマーの調製。
Roquette Italia SpAからクレプトース・ラインキャップス17として販売され、17のDEを有する4.00gのマルトデキストリン、1.00g(di)の次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH
2PO
2・H
2O)、3.7gの酒石酸及び9.48gのクエン酸を、20mlの脱イオン水に撹拌しながら加えた。マルトデキストリン、酒石酸及びクエン酸の間のモル比は、マルトデキストリンのグルコース1モルに対する酒石酸1モル及びクエン酸2モルのモル比として表して、1:1:2であった。次いで、溶液を100℃で透明になるまで(約5分間)加熱した。次に溶液をペトリ皿に注入し、乾燥炉内に、約80℃の温度及び約80mbarの圧力で10日間、結果として得られた化合物が乾燥するまで保持した。終りに、そのようにして得たポリマーを乳棒乳鉢によってすりつぶし、過剰の脱イオン水で、ブフナー漏斗により、又は遠心分離サイクルを繰返して、洗浄した。この処理を洗浄水が無色になるまで続けた。漏斗及び/又は遠心分離による最後の洗浄サイクルは、水の代りにアセトンを加えて行った。このアセトンによる処理は、洗浄溶剤が無色になるまで延長した。次に、ポリマーを数日間、開放空気中で乾燥させた。
【0083】
本発明の架橋ポリマーを特徴付けるために、パーキンエルマーのSpectrum100 FT−IR分光計を用いたATR−FTIR分析によって架橋ポリマーを分析した。分析の結果は
図9に報告したスペクトルである。主要な吸収ピークを次の表にまとめる。
【0084】
【表11】
【0085】
このスペクトルは、マルトデキストリンの特性赤外信号、及び、さらに、1723cm
−1に位置するカルボニル・ユニットの吸収ピークを示し、従って、ポリマー構造体内の架橋部分の存在を裏付ける。
【0086】
そのようにして得たポリマーについて、さらに、サーモサイエンティフィックのFlashEA 1112シリーズ機器でCHNS分析を行った。結果を以下の表に報告する。
【0087】
【表12】
【0088】
実施例7:デンプンの乾燥重量に相対的な乾燥重量として表した25%から50%までの範囲でアミロースを含むデンプンに由来するマルトデキストリンと、架橋剤としてのクエン酸とを反応させることによる、本発明の架橋ポリマーの調製。
Roquette Italia SpAによって販売され、特許文献4に記載のラインキャップス・クレプトース(Linecaps Kleptose)(登録商標)4.00g、0.40gのβ−シクロデキストリン、1.00gの次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH
2PO
2・H
2O)、及び14.22gのクエン酸を、20mlの脱イオン水に加えた。マルトデキストリンと架橋剤の間のモル比は、即ちラインキャップス・クレプトース(登録商標)及びβ−シクロデキストリンのクエン酸に対するモル比は、マルトデキストリンのグルコース1モルに対するクエン酸2.73モルのモル比として表して、1:2.73であった。他方、反応に導入されたβ−シクロデキストリンの量は、ラインキャップス・クレプトース(登録商標)の量の10%w/wに等しかった。次に溶液を100℃に加熱し、透明になるまで5分間維持した。次いで、溶液をペトリ皿に注ぎ入れ、乾燥炉内に約80mbarの圧力で、結果として得られた化合物が乾燥するまで維持した(要求される時間:約10日間)。合成の終りに、そのようにして得たポリマーを乳棒乳鉢によってすりつぶし、過剰の脱イオン水で、ブフナー漏斗により又は遠心分離サイクルの繰返しにより、洗浄した。この処理は、結果の洗浄水が無色になるまで続け、次いでアセトン内での漱ぎ洗いの繰返しによって洗浄溶剤が無色になるまで、処理を続けた。次に、ポリマーを数日間、開放空気中で乾燥させた。
【0089】
本発明の架橋ポリマーを特徴付けるために、パーキンエルマーのSpectrum100 FT−IR分光計を用いたATR−FTIR分析によって架橋ポリマーを分析した。分析の結果は
図10に報告したスペクトルである。主要な吸収ピークを次の表にまとめる。
【0090】
【表13】
【0091】
ラインキャップス・ユニット及びβ−CDユニットの両方によるグルコース・ユニットの主要な吸収帯に加えて、カルボニル部分の特性吸収ピークが1716cm
−1に出現し、従って、ポリマー構造体内の架橋ブリッジの存在を裏付けた。
【0092】
そのようにして得たポリマーについて、さらに、サーモサイエンティフィックのFlashEA 1112シリーズ機器でCHNS分析を行った。結果を以下の表に報告する。
【0093】
【表14】
【0094】
実施例8:デンプンの乾燥重量に相対的な乾燥重量として表した25%から50%までの範囲でアミロースを含むデンプンに由来するマルトデキストリンと、架橋剤としてのクエン酸とを反応させることによる、本発明の架橋ポリマーの調製。
実施例7に記載したのと同じ手順及び成分を繰返し、以下に報告する詳細によって、より多くのβ−シクロデキストリンを使用しても、さらに幾つかの場合に、次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaH
2PO
2・H
2O)をKH
2PO
4で置換えても、成功した結果が得られた。
【0095】
【表15】
【0096】
実施例9:メチルオレンジの吸収。
滴定に使用されることが多いpH指示薬であるメチルオレンジの吸収を評価した。具体的には、実施例2と実施例3のポリマーについて試験した。
実施例2のポリマー50mg及び実施例3のポリマー50mgを、別々に5mlのメチルオレンジ溶液(1.5×10
−5M)に加えることにより、メチルオレンジの濃度のUV解析(464nmにおけるピーク)によって、吸収を時間的に評価した。結果を
図11にグラフで示す。
図11から明白なように、本発明の両方のポリマーに対して2時間後のメチルオレンジの吸収が明白であった。
【0097】
簡略化のためにポリマー1gに正規化すると、水100ml中のメチルオレンジ0.500mgの溶液に加えた実施例2のポリマー1gは、10分後にメチルオレンジ0.036mg(7.2%)、及び2時間後に0.082mg(16.4%)を吸収することができることを観測した。これに対して、メチルオレンジの同じ水溶液に加えた実施例3のポリマー1gは、10分後にメチルオレンジ0.024mg(4.8%)、2時間後に0.056mg(11.2%)を吸収することができた。
【0098】
実施例10
本発明のポリマーの中のカプセル封入によるケトプロフェン/デキサメタゾンの溶解度。
実施例1及び実施例2のポリマーについて、本発明によるポリマーの中のカプセル封入によるケトプロフェン/デキサメタゾンの溶解度(mg/mlで表す)を、Roquette Italia SpAによって販売され、特許文献4に記載のラインキャップス・クレプトース(登録商標)中、及びヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン中のカプセル封入後に、水中の溶解度と比較して評価するために試験した。結果を以下の表2に報告する。
【0099】
【表16】
【0100】
本発明の架橋ポリマーを使用することによる、報告した薬剤の溶解度の大きな増加が明らかである。特にポリマー1は、驚いたことに、HP−β−CDによって得られたデキサメタゾンの溶解度の結果にもう少しのところまで近づく。
【0101】
実施例11:
アニソールの吸収
実施例2のポリマーの、薬剤及び香料の前駆物質であるアニソールを吸収する能力を調べた。
実施例2のポリマー50mgをアニソールの溶液(2.45×10
−4M)5mlに加えることにより、アニソール(268nmのピーク)の濃度のUV−Vis分析によって、吸収を時間的に評価した。結果を
図12にグラフで示す。
【0102】
簡略化のために、ポリマー1gに正規化すると、水100ml中のアニソール2.644mgの溶液に加えた実施例2のポリマー1gは、10分後にアニソール0.550mg(20.8%)、2時間後に0.694mg(26.2%)、48時間後に1.164mg(44.0%)及び6日後に1.334mg(50.5%)を吸収することができることを観測した。