(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6276444
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】ペットトイレ用トレイ
(51)【国際特許分類】
A01K 23/00 20060101AFI20180129BHJP
A01K 1/035 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
A01K23/00 C
A01K1/035 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-54005(P2017-54005)
(22)【出願日】2017年3月21日
【審査請求日】2017年6月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302060166
【氏名又は名称】浅賀 城久公
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(74)【代理人】
【識別番号】100195028
【弁理士】
【氏名又は名称】高久 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 城久公
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−319007(JP,A)
【文献】
特開2001−190171(JP,A)
【文献】
特開2008−199998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 23/00
A01K 1/00 − 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペット用ケージに取り付けられるペットトイレ用のトレイであって、
ペットトレイ用のシートを着脱可能に保持するトレイ本体と、
該トレイ本体の一方の主面側に設けられており、前記シートを着脱可能に保持するシート保持手段と、
前記トレイ本体の他方の主面側に設けられており、前記ケージの格子を構成する線材に係合する複数のフック手段と、
を備えるとともに、
前記複数のフック手段が、
前記トレイ本体に対して可動であって、
前記ケージの格子を構成する線材に係合するフック本体と、
該フック本体に対して略直交する軸部と、
を有しており、
前記トレイ本体の他方の主面側に、
前記軸部を回転可能に支持する筒状の受部、
を設けたことを特徴とするペットトイレ用トレイ。
【請求項2】
ペット用ケージに取り付けられるペットトイレ用のトレイであって、
ペットトレイ用のシートを着脱可能に保持するトレイ本体と、
該トレイ本体の一方の主面側に設けられており、前記シートを着脱可能に保持するシート保持手段と、
前記トレイ本体の他方の主面側に設けられており、前記ケージの格子を構成する線材に係合する複数のフック手段と、
を備えるとともに、
前記複数のフック手段が、
前記トレイ本体に対して可動であって、
前記ケージの格子を構成する線材に係合するフック本体と、
該フック本体に対して略直交する軸部と、
該軸部に対して略直交し、該軸部よりも面積が大きい可動部と、
を有しており、
前記トレイ本体の他方の主面側に、
前記可動部を、前記格子を構成する線材の延長方向と同方向にスライド可能に支持するレール状の受部、
を設けたことを特徴とするペットトイレ用トレイ。
【請求項3】
前記受部に、
前記可動部を前記受部の延長方向に沿って付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項2記載のペットトイレ用トレイ。
【請求項4】
前記レール状の受部が、略平行に一対設けられ、
前記フック本体が、前記一対のレール状の受部の両端にそれぞれ一対設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載のペットトイレ用トレイ。
【請求項5】
前記一対のフック本体のうちの一方が、前記トレイ本体に対してスライド可能であり、
前記一対のフック本体のうちの他方が、前記受部に対して固定であることを特徴とする請求項4記載のペットトイレ用トレイ。
【請求項6】
前記受部に対して固定であるフック本体の先端に、ローラを設けたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のペットトイレ用トレイ。
【請求項7】
前記一対のレール状の受部が、延長方向に複数に分割されており、該分割された各受部のそれぞれに前記フック本体が設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載のペットトイレ用トレイ。
【請求項8】
前記複数のフック本体のうち、少なくとも一つが、前記トレイ本体に対して回転可能であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載のペットトイレ用トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットのトイレシート用のトレイに関するものであり、更に具体的には、ケージへの取り付けに適したペットトイレ用トレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
雄用のペットトイレに関し、排尿の飛び散りを防ぐための様々な縦型のトイレが考案されている。例えば、下記特許文献1には、板状の土台部と該土台部の奥側端部から立設する壁部とを有するトイレ本体、及びトイレ本体に取り付ける吸収体を有する吸水性シートを具備するペット用トイレであって、前記トイレ本体は、前記壁部における前記土台部側と反対側の自由端部から手前に張り出す上側張出部と、前記壁部における前記土台部寄りの部分から手前に張り出す下側張出部とを有し、該上側張出部は、該下側張出部よりも手前側に張り出しており、前記吸収性シートは、前記上側張出部及び前記下側張出部を介して、前記トイレ本体に取り付けられ、該トイレ本体の前記壁部に取り付けられた該吸水性シートは、その上端部側が手前に張り出し傾斜しているペット用トイレが開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、縦型の部分が2面のペット用トイレが開示されている。当該技術のペット用トイレは、ペットが放される包囲体内のコーナー部に配置され、同包囲体内のコーナー部で排便・排尿する習性を有するペット用トイレであって、前記包囲体のコーナー部に略沿った形状のコーナー部を有する受皿と、同受皿の上面を覆うように同受皿上面に載置され、同載置状態において前記受皿の前記包囲体のコーナー部と隣接するコーナー部寄り部分が露出されるとともに、表裏方向に貫通する多数の貫通孔を有する蓋部材と、薄板材から構成され、前記受皿上に配置されて同受皿のコーナー部寄り部分において外部に露出されるとともに同受皿のコーナー部から離間した部分において前記蓋部材によって覆われる便受け部と、同便受け部基部側にて上方に向かって立設された衝立部とを有する交換シートとを備えていることが開示されている。
【0004】
更に、下記特許文献3には、縦型の部分が3面のペットの糞尿ガードが開示されている。当該技術によれば、板状の部材に切れ目又は切り込みや連結部材等を設けることで、複数枚の板状の部材の連結や取り外しを自由自在とすることが開示されている。
【0005】
しかしながら、このような置き型トイレをケージの中に設置した場合、見知らぬ人がきたときに犬がケージの中であばれたり、家族が帰宅したときにも嬉しさのあまりケージの中をはしゃぎ回ったりして、立て掛けたトイレが倒れたり、トイレの設置位置が変わったりすることがある。
【0006】
トイレの位置を固定するために、例えば、フックによるケージへの取り付けが考えられる。下記特許文献4は、猫用ケージのケージパネルの横線材に係止可能な係止フックを有する猫用踏み台を、前記係止フックを用いてケージパネルに取り付けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−86779号公報
【特許文献2】特開2006−14727号公報
【特許文献3】特開2013−9660号公報
【特許文献4】特開2016−140254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えば、特許文献4のように、取付物(猫用踏み台)に完全固定のフックは、格子の横線材にフックを引っ掛けるため、装着場所が限定されてしまう。例えば、前記特許文献4は、猫用ケージに関するものであるが、このフックによる固定を、犬用ケージにおけるトイレの固定に適用したとしても、上述した課題は解決しない。一概にペット用ケージといっても多種多様で、例えば、ケージの格子を構成する線材(縦線材・横線材)についても太さや、間隔が様々である。このような場合、トイレ用トレイ本体サイズと格子の横線材の高さとの関係で問題が生じる。
【0009】
図7を参照して具体的に説明する。
図7には、ペット用ケージ100と、その格子に装着されるペットトイレ用トレイ500(以下「トレイ」)が示されている。前記格子は、複数の横線材120と、複数の縦線材130により構成されている。前記トレイ500は、トレイ本体502の裏面504の4隅に、固定式のフック506A〜506Dを有している。このような固定式のフックを用いた構造では、
図7(A)に示すように、取り付けようとする部分の横線材120Aが、トレイ本体502に対して高すぎると、トレイ本体の装着場所も高くなり、底面102とトレイ下部に隙間510が生じる。逆に
図7(B)に示すように、取り付けようとする部分の横線材120Bの位置が低いと、前記裏面504に設けたフック506B,506Dが、横線材120Bに引っ掛からず、トレイ500を格子に固定できないという課題が生じる。また、
図7(C)に示すように、縦格子130間の間隔によっては、フック506A,506Cを、横線材120Aにかけるための障害となってしまう。
【0010】
本発明は、以上のような点に着目したもので、ペット用ケージの格子を構成する線材の太さや間隔等を問わず、前記格子の線材に固定することができるペットトイレ用トレイを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ペット用ケージに取り付けられるペットトイレ用のトレイであって、ペットトレイ用のシートを着脱可能に保持するトレイ本体と、該トレイ本体の一方の主面側に設けられており、前記シートを着脱可能に保持するシート保持手段と、前記トレイ本体の他方の主面側に設けられており、前記ケージの格子を構成する線材に係合する複数のフック手段と、を備えるとともに、前記複数のフック手段が、前記トレイ本体に対して可動で
あって、前記ケージの格子を構成する線材に係合するフック本体と、該フック本体に対して略直交する軸部と、を有しており、前記トレイ本体の他方の主面側に、前記軸部を回転可能に支持する筒状の受部、を設けたことを特徴とする。
【0012】
他の発明は、
ペット用ケージに取り付けられるペットトイレ用のトレイであって、
ペットトレイ用のシートを着脱可能に保持するトレイ本体と、該トレイ本体の一方の主面側に設けられており、前記シートを着脱可能に保持するシート保持手段と、前記トレイ本体の他方の主面側に設けられており、前記ケージの格子を構成する線材に係合する複数のフック手段と、を備えるとともに、前記複数のフック手段が、前記トレイ本体に対して可動であって、前記ケージの格子を構成する線材に係合するフック本体と、該フック本体に対して略直交する軸部と、
該軸部に対して略直交し、該軸部よりも面積が大きい可動部と、を有しており、前記トレイ本体の他方の主面側に、
前記可動部を、前記格子を構成する線材の延長方向と同方向にスライド可能に支持するレール状の受部、を設けたことを特徴とする。
【0013】
他の主要な形態の一つは、前記受部に、前記可動部を前記受部の延長方向に沿って付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
更に他の形態の一つは、前記レール状の受部が、略平行に一対設けられ、前記フック本体が、前記一対のレール状の受部の両端にそれぞれ一対設けられていることを特徴とする。更に他の形態の一つは、前記一対のフック本体のうちの一方が、前記トレイ本体に対してスライド可能であり、前記一対のフック本体のうちの他方が、前記受部に対して固定であることを特徴とする。更に他の形態の一つは、前記受部に対して固定であるフック本体の先端に、ローラを設けたことを特徴とする。
【0015】
更に他の形態の一つは、前記一対のレール状の受部が、延長方向に複数に分割されており、該分割された各受部のそれぞれに前記フック本体が設けられていることを特徴とする。更に他の形態の一つは、前記複数のフック本体のうち、少なくとも一つが、前記トレイ本体に対して回転可能であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ペット用ケージに取り付けられるペットトイレ用のトレイにおいて、ペットトイレ用のシートを着脱可能に保持するトレイ本体と、該トレイ本体の一方の主面側に設けられており、前記シートを着脱可能に保持するシート保持手段と、前記トレイ本体の他方の主面側に設けられており、前記ケージの格子を構成する線材に係合する複数のフック手段と、を備えるとともに、前記複数のフック手段が、前記トレイ本体に対して
回転可能ないしスライド可能とした。このため、前記ケージを構成する線材の太さや間隔等にかかわらず、ペットの排泄に応じた適切な位置に、ペットトイレ用トレイをケージに装着することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1のトイレ用トレイを示す図であり、(A)はシート側から見た外観斜視図,(B)はトレイ裏面側から見た外観斜視図,(C)は前記(A)を矢印FA方向から見た側面図である。
【
図2】
図2(A)は前記実施例1のフック部の分解斜視図,
図2(B)は実施例1の変形例のフック部の分解斜視図である。
【
図3】前記実施例1のトイレ用トレイをケージに取り付けた状態を示す図である。
【
図4】前記実施例1のトイレ用トレイのケージ内の配置例であり、(A)は斜視図,(B)は平面図である。
【
図5】本発明の実施例2のトイレ用トレイを示す図であり、(A)はトレイ裏面側から見た外観斜視図,(B)はフック部の平面図,(C)は前記(B)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(D)は前記(B)を矢印FC方向から見た側面図,(E)は変形例のフック部の側面図,(F)は他の変形例のトイレ用トレイを裏面側から見た外観斜視図である。
【
図6】本発明の実施例3を示す図であり、(A)は全体構成を示す外観斜視図,(B)はフック部の平面図,(C)はフック部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
最初に、
図1〜
図4を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。本実施例では、本発明のペットトイレ用トレイ(以下「トレイ」とする)を犬用ケージ内に取り付ける場合を例に挙げて説明する。
図1は、本実施例のトイレ用トレイを示す図であり、(A)はシート側から見た外観斜視図,(B)はトレイ裏面側から見た外観斜視図,(C)は前記(A)を矢印FA方向から見た側面図である。
図2(A)は前記実施例1のフック部の分解斜視図,
図2(B)は変形例のフック部の分解斜視図である。
図3は、本実施例のトイレ用トレイをケージに取り付けた状態を示す図である。
図4は、本実施例のトイレ用トレイのケージ内の配置例であり、(A)は斜視図,(B)は平面図である。
【0020】
図1(A)及び(B)に示すように、本実施例のトレイ10は、略長方形のトレイ本体12の一方の主面12A側に、トイレシート18を保持する開閉枠14が設けられている。前記開閉枠14は、長辺の一方側に設けられた開閉具16により、前記トレイ本体12に対して開閉可能となっており、前記トレイ本体12との間にトイレシート18を挟み、取り換え可能に装着する。前記トレイ本体12としては、公知の各種のものが利用できる。また、トイレシート18も、吸水性を有するものであればよく、公知の各種のトイレシート18を利用してもよい。
【0021】
本実施例では、前記トレイ本体12の他方の主面12Bの4つの角近傍に、フック20,30,40,50が設けられている。前記フック20,30,40,50は、略半円型板状のフック本体22,32,42,52と、該フック本体に対して略直交する軸部24,34,44,54と、これら軸部の外周に設けられたリング状の突起部26,36,46,56により構成される。図示の例では、前記フック本体22,32,42,52は、略半円状となっており、フック本体自体を回転させるためのつまみとして利用することができる。なお、
図2(A)に示す例では、フック本体22は、略半円状となっているが、
図2(B)に示すフック部20Aのように、フック本体22Aを長円状としてもよいし、楕円状としてもよい。他の位置に設けられるフック本体の形状についても同様である。
【0022】
前記トレイ本体12の他方の主面12B側には、前記フック20,30,40,50の軸部24,34,44,54を回転可能に支持する筒状の受部60,70,80,90が設けられている。該受部60,70,80,90の外周には、前記フック20,30,40,50の軸部24,34,44,54の突起26,36,46,56が嵌合するリング状の突起収容部62,72,82,92が設けられている。なお、図示の例では、前記受部60,70,80,90を、トレイ本体12の主面12Bに直接形成することとしているが、筒状の受部を有する他の部材を、前記主面12Bに後付けで取り付けるようにしてもよい。
【0023】
以上のような構成のトレイ10は、例えば、
図4に示すように、ペット用ケージ100の内側に取り付けられる。前記ペット用ケージ100は、底面102と、格子状の側面104〜110とにより構成されている。必要に応じて上面も設けられる。本実施例では、側面108に、ペットが出入りするための図示しない入口が設けられている。このようなケージ100の任意の場所に、トレイ10A〜10Cを設ける。
図4(B)に示す例では、側面104,106,110にトレイ10A,10B,10Cが設けられており、底面102には通常のトイレシート18が敷かれている。このように、必要に応じて3面を囲うようにトレイを配置することで、尿の飛び散りをより効果的に防ぐことができる。
【0024】
図3(A)には、ケージ100の側面104に取り付ける前のトレイ10のフック側の主面12Bが示されている。側面104の格子は、横線材120A,120Bと、多数の縦線材130により構成されている。
図3(A)に示す状態では、フック20,30,40,50は、いずれの線材にも係合していないが、
図3(B)に示すように、軸部24,34,44,54を中心にフック本体22,32,42,52を回転させると、フック本体22,32,42,52がそれぞれ縦線材130に係合し、トレイ10が側面104の格子に固定される。取り外すときは、フック本体22,32,42,52と縦線材130との係合を解除すればよい。
【0025】
また、ケージ100への取り付けは、縦線材へのフックの係合のみに限定されるものではなく、線材の間隔等によって、
図3(C)の左側に示すフック40のように、横線材120Aに係合させるようにしてもよい。あるいは、
図3(C)の右側に示すフック20のように、縦線材130に係合させるようにしてもよく、線材の太さや位置に応じて、係合可能な線材と係合させればよい。また、
図3(D)に示す例のように、底面102にトレイ10の位置を合わせる場合には、フック40,50を、一番端の縦線材に130にかけることで、トレイ10の位置を端に固定することが可能である。
【0026】
このように、実施例1によれば、トイレシート18を着脱可能に保持するトレイ本体12の一方の主面12Bの角部近傍に、前記主面12Bに対して回転可能なフック20,30,40,50を設けることとした。このため、ケージ100を構成する線材(横線材・縦線材)の太さや間隔等にかかわらず、ペットの排泄動作に応じた適切な位置に、トレイ10を固定できるという効果がある。また、フック本体22,32,42,52が、回転するため、必要に応じて横線材,縦線材のいずれか又は双方の線材にフックを係合させることができ、装着位置の選択性も高い。
【実施例2】
【0027】
次に、
図5を参照しながら、本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。前記実施例1は、フック手段がトレイ本体の主面に対して回転する構成としたが、本実施例は、フック手段が、トレイ本体の主面に対してスライドする構成となっている。
図5(A)は、本実施例のトレイをトレイ裏面側から見た外観斜視図,
図5(B)はフック部の平面図,
図5(C)は前記(B)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,
図5(D)は前記(B)を矢印FC方向から見た側面図,
図5(E)は変形例のフック部の側面図である。
【0028】
本実施例のトレイ200は、トレイ本体12の一方の主面12B側に、一対のレール部材250,260を有し、一方のレール部材250の両端側にフック210,220を設け、他方のレール部材260の両端側に、フック230,240を有する構成となっている。前記一対のレール250,260は、図示の例では、長方形のトレイ本体12の長辺方向に沿って設けられている。
図5(A)〜(D)に示すように、前記フック210,220,230,240は、略半円状のフック本体212,222,232,242と、これらと直交する軸部214,224,234,244と、これら軸部と略直交し、かつ、軸部よりも面積が広い可動部216,226,236,246により構成されている。前記レール部材250の主面250A側には、前記可動部216,226,236,246をスライド可能に保持するレール状の受部252が形成されている。他方のレール部材260にも、同様にレール状の受部262が形成されている。
【0029】
このように、本実施例によれば、フック210,220,230,240を、トレイ本体12の長辺方向にスライド可能としたので、格子を構成する横線材120A,120Bの間隔に合わせて、フック210,220,230,240の位置を調節して、適切な位置で横線材120A,120Bにかけることができる。なお、
図5(E)に示す例のように、前記受部252にスプリング270を設け、前記可動部216を付勢するようにしておけば、線材にかけるときに引っ張り、その後、手を離せば適切な位置でフックが線材に係合する。
【実施例3】
【0030】
次に、
図6を参照しながら、本発明の実施例3を説明する。本実施例も、前記実施例2と同様に、フック手段がトレイ本体の主面に対してスライドする構成となっている。
図6(A)は、本実施例のトレイをトレイ裏面側から見た外観斜視図,
図6(B)はフック部の平面図,
図6(C)は変形例のフック部の平面図である。
【0031】
本実施例のトレイ300は、トレイ本体12の一方の主面12B側に、一対のフック部材310,320を有している。該一対のフック部材310,320は、トレイ本体12の長辺方向に沿って設けられている。フック部材310,320は、ケース312,322と、該ケース312,322の内側に形成されたレール314,324と、該レール314,324に沿ってスライドする可動部316,326により構成されている。本実施例では、前記可動部316,326の一端側にフック330,350が形成されており、ケース340,360の一端側にフック340,360が設けられている。すなわち、本実施例では、下側のフック340,360は、トレイ本体12に対して固定式であり、上側のフック330,350が可動式である。なお、
図6(C)に示すフック部材310Aは、フック340Aの先端にローラ342を備えた構成となっており、これにより、固定側のフックでも格子を構成する線材に着脱しやすくなる。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例で示した材料も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更可能である。
(3)フック部材を受ける受部材は、トレイ本体と一体に形成してもよいし、後付けで取り付けるようにしてもよい。
【0033】
(4)前記実施例では、フックは回転かスライドのいずれかのみとしたが、回転とスライドの双方が可能な可動構成としてもよいし、スライドする場合には、その可動範囲を一定の範囲に規定するようにしてもよい。例えば、
図5(F)に示すトレイ200Aは、前記実施例2の変形例であって、フック210〜240Dがスライド可能かつ回転可能な構成となっている。また、スライド範囲が、長手方向の一定範囲に限られている。すなわち、トレイ主面12Bに、所定の長さの4つのレール部材250A,250B,260A,260Bを設け、それぞれのレール部材にフック210A,220A,230A,240Aを設けている。図示の例では、フック240Aは、レール262Bに沿って可動する可動部246に軸部244Aが固定されているが、該軸部244Aに対してフック本体242Aが回転可能となっている。他のフック210A,220A,230Aについても同様である。このように、回転とスライドを兼ねる構成とすることにより、ケージへの装着の自由度がより高くなる。
【0034】
(5)前記実施例2で示したスプリング270は一例であり、公知の各種の付勢手段を用いてよい。むろん、付勢手段は必要に応じて設ければよい。
(6)前記実施例2及び実施例3では、トレイの長辺方向にレールを形成したが、これも一例であり、短辺方向にレールを形成してもよい。
(7)
図3に示した装着例や、
図4に示したケージ内での配置例も一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(8)本発明のトレイは、一枚のみ用いてもよいし、必要に応じて2枚、3枚と利用し、縦3面を覆うようにしてもよい。
(9)本発明は、雄犬用のトレイが好適な適用例であるが、これも一例であり、ペットの性別や種類を問わず、本発明は、ペット用ケージ全般に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、ペット用ケージに取り付けられるペットトイレ用のトレイにおいて、ペットトイレ用のシートを着脱可能に保持するトレイ本体と、該トレイ本体の一方の主面側に設けられており、前記シートを着脱可能に保持するシート保持手段と、前記トレイ本体の他方の主面側に設けられており、前記ケージの格子を構成する線材に係合する複数のフック手段と、を備えるとともに、前記複数のフック手段が、前記トレイ本体に対して
回転可能ないしスライド可能とした。このため、前記ケージを構成する線材の太さや間隔等にかかわらず、ペットの排泄の位置に応じた適切な位置に、ペット用ページの線材を利用して装着することができ、ペット用ケージ内に装着されるペットトイレ用トレイの用途に適用できる。特に、シートを立てた部分の位置がずれないため、片足を挙げて排尿をする雄犬用のトイレトレイの用途に好適である。
【符号の説明】
【0036】
10,10A〜10C:ペットトイレ用トレイ(トレイ)
12:トレイ本体
12A,12B:主面
14:開閉枠
16:開閉具
18:トイレシート
20,20A,30,40,50:フック
22,22A,32,32A,42,42A,52,52A:フック本体
24,34,44,54:軸部
26,36,46,56:突起
60,70,80,90:受部
62,72,82,92:突起収容部
100:ペット用ケージ
102:底面
104,106,108,110:側面
120,120A,120B:横線材
130:縦線材
200,200A:ペットトイレ用トレイ(トレイ)
210,210A,220,220A,230,230A,240,240A:フック
212,222,232,242,242A:フック本体
214,224,234,244,244A:軸部
216,226,236,246:可動部
250,250A,250B,260,260A,260B:レール部材
250A,250B,260A,260B:主面
252,252A,252B,262,262A,262B:レール
270:スプリング
300:ペットトイレ用トレイ(トレイ)
310,310A,320:フック部材
312,322:ケース
314,324:レール
316,326:可動部
330,340,340A,350,360:フック
342,362:ローラ
500:ペットトイレ用トレイ
502:トレイ本体
504:裏面
506A〜506D:フック
510:隙間
【要約】 (修正有)
【課題】ペット用ケージの格子の線材の太さや間隔等を問わず、前記格子に装着できるペットトイレ用トレイを提供する。
【解決手段】ペットトイレ用トレイ10は、長方形のトレイ本体12の一方の主面12Aにトイレシート18を着脱可能に保持する開閉枠14を備える。他方の主面12Bの4隅近傍には、4つのフック20〜50が設けられている。これらフックは、略半円状のフック本体と、軸部と、その外周部に設けられたリング状の突起により構成される。前記主面12Bには、前記軸部を回転可能に受ける筒状の受部が設けられており、該受部の外周面には、前記突起を収納するリング状の突起収容部が形成されている。フック20〜50は、フック本体の向きを回転させることで、ケージを構成する横線材や縦線材にトレイ10を係止する。
【選択図】
図1