特許第6276558号(P6276558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東工器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6276558-管継手 図000002
  • 特許6276558-管継手 図000003
  • 特許6276558-管継手 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276558
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/40 20060101AFI20180129BHJP
【FI】
   F16L37/40
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-223160(P2013-223160)
(22)【出願日】2013年10月28日
(65)【公開番号】特開2015-86885(P2015-86885A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】真田 秀幸
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−117582(JP,A)
【文献】 特開2001−241585(JP,A)
【文献】 実開昭63−146291(JP,U)
【文献】 特開2003−14184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/38 − 37/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド弁体を有する雄型継手を着脱可能に連結する雌型継手であって、
前端部該前端部から後方に延びる貫通孔、及び径方向に貫通したロックボール保持孔を有する筒状の雌型継手本体であって、該貫通孔内において該貫通孔の内周面から延び、該内周面との間に筒状空間を形成するように前記貫通孔の軸線方向で前方に向かって延在する内側筒状部が一体に形成された雌型継手本体と、
前記ロックボール保持孔内において径方向に変位可能に保持されたロックボールであって、前記雌型継手本体の前記貫通孔内に挿入された雄型継手のロック溝に係合するロックボールと、
前記雌型継手本体の前記筒状空間内に前記軸線方向で摺動可能に保持された筒状のスライド部材と、
前記雌型継手本体の前記筒状空間内に配置され、前記スライド部材を前記軸線方向で前方に向かって付勢する弾性部材と、
前記雄型継手が前記雌型継手本体の前記貫通孔内に挿入されたときに前記雄型継手の貫通孔を前記雌型継手本体の前記貫通孔に連通するために前記雄型継手の前記スライド弁体に当接して該スライド弁体を前記雄型継手の後方に変位させるための弁押体であって、前記内側筒状部に係合固定され、前記内側筒状部の前方位置で該内側筒状部の外周面よりも外側に突出したスライド部材係止部を有する弁押体と、
前記スライド部材の前端面に配置された環状の第1シール部材と、
前記貫通孔の前記内周面に固定された環状の第2シール部材と、
を備えており、
前記雄型継手が前記雌型継手本体の前記貫通孔内に挿入されていない状態において、前記弁押体の前記スライド部材係止部が、前記弾性部材によって付勢されている前記スライド部材と係合して、該スライド部材の前方への移動を阻止しており、
前記雄型継手が前記雌型継手本体の前記貫通孔内に挿入されて当該雌型継手に連結された状態において前記雌型継手本体の貫通孔と前記雄型継手の貫通孔とが流体連通され、前記雄型継手の前端面が前記第1シール部材と密封係合し、前記雄型継手の外周面が前記第2シール部材と密封係合するようにされて、流体連通された前記貫通孔から前記スライド部材と前記雄型継手の前端面との間を通って当該雌型継手の外部にまで至る経路が前記第1シール部材と前記第2シール部材とによって二重にシールされ
前記スライド部材は、前記雄型継手が連結されていない状態において前記ロックボールを径方向内側から支持して前記雄型継手のロック溝に係合しない位置とするロックボール支持外周面を有し、該ロックボール支持外周面は、前記貫通孔の内周面に固定された前記第2シール部材と係合しないように前記貫通孔の内周面から径方向内側に離れている、雌型継手。
【請求項2】
前記スライド部材の内周面に固定され、前記内側筒状部の前記外周面と摺動可能に密封係合する環状の第3シール部材をさらに備え、
前記雄型継手が前記雌型継手本体の前記貫通孔内に挿入されて当該雌型継手に連結された状態において、流体連通された前記貫通孔から前記スライド部材と前記内側筒状部との間を通って当該雌型継手の外部にまで至る経路が前記第3シール部材と前記第2シール部材とによって二重にシールされるようにされた、請求項1に記載の雌型継手。
【請求項3】
前記弁押体が前記雌型継手本体の前記内側筒状部にスナップフィットにより係合固定されている、請求項1又は2に記載の雌型継手。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の雌型継手と、該雌型継手の前記貫通孔に挿入されて該雌型継手と連結される雄型継手であって、前記貫通孔に挿入されたときに前記雌型継手の前記弁押体に押されて開くようにされたスライド弁体を有する雄型継手と、を備える管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄型継手と雌型継手とからなる管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は従来の管継手の一つの形式を示している。該管継手は、雌型継手(ソケット)101が弁機能を備えるスライド部材102を備えており、該スライド部材102の前端面には端面シール部材103が配置されている。雄型継手(プラグ)104を雌型継手101に挿入すると、雄型継手104の前端面105が端面シール部材103に当接しスライド部材102を後方に変位させて、雄型継手104と雌型継手101とが流体連通された状態となる。この流体連通状態において、雄型継手104の前端面105は端面シール部材103と密封係合され、当該管継手からの流体の漏出を防ぐようになっている。この漏出を更に確実に防ぐために、雄型継手104の外周面106と雌型継手101の内周面との間を密封する周面シール部材107が設けられており、端面シール部材103と周面シール部材107とで二重のシール構造を構成している。また、スライド部材102は、雌型継手101の筒体110とは別体とされた壁面部108を介して、固定シール部材109によって筒体110の内周面に密封係合されている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平2−34557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の管継手においては、その構成上、筒体110とは別体とされた壁面部108が必要となり、これに伴い該壁面部108と筒体との間を密封係合する固定シール部材109も必要となっている。しかしながら、製造時の組立性を考えると、部品点数をなるべく少なくすることが望まれる。また、内部流体が漏洩する危険性を考えれば、内部流体が漏洩する可能性のある経路がなるべく少ない構造であることも望まれている。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、内部流体が漏洩する可能性のある経路が少なくなる、より簡易な構造とすることを可能とする雌型継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
スライド弁体を有する雄型継手を着脱可能に連結する雌型継手であって、
前端部と該前端部から後方に延びる貫通孔、及び該貫通孔内において該貫通孔の内周面から延び、該内周面との間に筒状空間を形成するように前記貫通孔の軸線方向で前方に向かって延在する内側筒状部、を有する筒状の雌型継手本体と、
前記雌型継手本体の前記筒状空間内に前記軸線方向で摺動可能に保持された筒状のスライド部材と、
前記雌型継手本体の前記筒状空間内に配置され、前記スライド部材を前記軸線方向で前方に向かって付勢する弾性部材と、
前記雄型継手が前記雌型継手本体の前記貫通孔内に挿入されたときに前記雄型継手の前記スライド弁体に当接して該スライド弁体を開くための弁押体であって、前記内側筒状部に係合固定され、前記内側筒状部の前方位置で該内側筒状部の外周面よりも外側に突出したスライド部材係止部を有する弁押体と、
前記スライド部材の前端面に配置された環状の第1シール部材と、
前記貫通孔の前記内周面に固定された環状の第2シール部材と、を備えており、
前記雄型継手が前記雌型継手本体の前記貫通孔内に挿入されていない状態において、前記弁押体の前記スライド部材係止部が、前記弾性部材によって付勢されている前記スライド部材と係合して、該スライド部材の前方への移動を阻止しており、
前記雄型継手が前記雌型継手本体の前記貫通孔内に挿入されて当該雌型継手に連結された状態において、前記雄型継手の前端面が、前記第1シール部材に当接し前記スライド部材を前記弾性部材の付勢力に抗して後方に変位させて前記第1シール部材と密封係合し、前記雄型継手の外周面が前記第2シール部材と密封係合するようにされた、雌型継手を提供する。
【0007】
この雌型継手においては、スライド部材を摺動可能に保持するための筒状空間を形成する雌型継手本体が一体の部材により構成されているので、スライド部材を保持するために追加の部材を備える必要があった従来の管継手に比べて部品点数を少なくすることが可能となる。また、部材間の連結部分から内部流体が漏出する虞もなくなる。
【0008】
好ましくは、前記第2シール部材が、前記雄型継手が当該雌型継手の前記貫通孔に挿入されていない状態において、前記スライド部材の外周面と係合しないようにすることができる。
【0009】
このような構造により、スライド部材との摺動により第2シール部材が摩耗して劣化することを抑えることができる。
【0010】
好ましくは、前記スライド部材の内周面に密封固定された第3シール部材を更に備えており、該第3シール部材が前記内側筒状部の前記外周面と摺動可能に密封係合しているようにすることができる。
【0011】
具体的には、前記弁押体が前記雌型継手本体の前記内側筒状部にスナップフィットにより係合固定されているようにすることができる。
【0012】
また本発明は、上記雌型継手と、該雌型継手の前記貫通孔に挿入されて該雌型継手と連結される雄型継手であって、前記貫通孔に挿入されたときに前記雌型継手の前記弁押体に押されて開くようにされたスライド弁体を有する雄型継手と、を備える管継手を提供する。
【0013】
以下、本発明に係る雌型継手の実施形態を添付した図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る管継手の、雄型継手と雌型継手とが連結されていない状態における側面断面図である。
図2図1の管継手の、雄型継手と雌型継手とが連結された状態における側面断面図である。
図3】従来の管継手を示す側面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る管継手1は、スライド弁体3を有する雄型継手2と、この雄型継手2と着脱可能に連結する雌型継手12とからなる。雄型継手2は、貫通孔4を有する雄型継手本体5と、貫通孔4内において前後方向に摺動可能に配置されたスライド弁体3と、スライド弁体3を雄型継手2の前方(図で見て左側)に付勢するスプリング6と、スライド弁体3の外周面に設けられ、雄型継手本体5の貫通孔4の内周面と密封係合するシール部材7とを備える。
【0016】
雌型継手12は、筒状の雌型継手本体14を有する。この雌型継手本体14には、その前端部15から後方に延びて後端部16にまで至る貫通孔18、及びこの貫通孔18の内周面20から延び、内周面20との間に筒状空間22を形成するように貫通孔18の軸線方向Lで前方に延在する内側筒状部24が設けられている。筒状空間22には、スライド部材32が軸線方向Lで摺動可能に保持されている。スライド部材32は、その前端面34に第1シール部材係合溝36を有しており、この第1シール部材係合溝36には雄型継手本体5の前端面8と密封係合する第1シール部材50が嵌め込まれて固定されている。スライド部材32の後端部38に形成されたスプリング受部40と、筒状空間22の後端に位置するスプリング受部28との間には、弾性部材としてのスプリング52が設定されており、このスプリング52によってスライド部材32は軸線方向Lで前方に向かって付勢される。内側筒状部24の前端部26には、雄型継手2が雌型継手本体14の貫通孔18内に挿入されたときに雄型継手2のスライド弁体3に当接してスライド弁体3を開くための弁押体54が係合固定されている。この弁押体54には、内側筒状部24の前方位置において内側筒状部24の外周面30よりも外側に突出するように形成されたスライド部材係止部56が設けられており、このスライド部材係止部56にスライド部材32の内周面42に形成された係止面44が係合することで、スプリング52により付勢されたスライド部材32がそれ以上前方に移動して筒状空間22内から抜けるのを阻止している。雌型継手本体14の貫通孔18の内周面20には、第2シール部材係合溝58が形成されており、この第2シール部材係合溝58に環状の第2シール部材59が取り付けられている。この第2シール部材59は、図2に示す連結状態において、雄型継手本体5の外周面9と密封係合するようになっている。
【0017】
スライド部材32の内周面42には、第3シール部材係合溝60が設けられており、この第3シール部材係合溝60には第3シール部材61が取り付けられている。この第3シール部材61は、内側筒状部24の外周面30と摺動係合しながらスライド部材32の内周面42と内側筒状部24の外周面30との間を密封する。また、スライド部材32の外周面46には凹部48が形成されている。この凹部48を設けることにより、スライド部材32の外周面46と貫通孔18の内周面20との間の接触面積を低減するとともに、スライド部材32の軽量化を図っている。また、スライド部材32を筒状空間22内に組み付ける際にはスライド部材32の外周面46を第2シール部材59に擦りながら挿入することになるが、凹部48によって第2シール部材59と接触する外周面46の面積が減るので第2シール部材59への負荷を減らすこともできる。
【0018】
弁押体54には、そのスライド部材係止部56の後方位置に円筒状の係合固定部62が設けられている。この係合固定部62は、内側筒状部24の内周面31に設けられた係合突起66と係合する係合溝67と、この係合溝67のさらに後方に位置する挿入ガイド部68とからなる。挿入ガイド部68には2つのスリット69が設けられていて、挿入ガイド部68を図の手前側と奥側の2つに分割している(図には奥側の部分のみが示されている)。挿入ガイド部68は、スリット69によって分割されることで、径方向で撓むことができるようになる。弁押体54を内側筒状部24内に挿入していくと、挿入ガイド部68のテーパー状の外周面70が内側筒状部24の内周面31と係合して挿入ガイド部68が内側に弾性変形して撓んでいく。係合溝67が内側筒状部24の係合突起66に整合する位置にまで挿入されると、係合溝67と係合突起66とが係合するとともに挿入ガイド部68がもとの形状に戻って、弁押体54が内側筒状部24に係合固定される。このように弁押体54は、内側筒状部24に対してスナップフィットにより係合固定されるようになっている。なお、スリットの数は3以上であってもよい。弁押体54のスライド部材係止部56よりも前方位置には、前方に向かって先細となる円錐状部71と、この円錐状部71からさらに前方に真っ直ぐに延びる弁押棒部72とが設けられている。円錐状部71には、周方向で等間隔となる位置に3つの開口部73が形成されていて、この開口部73を流体が通るようになっている。なお、図面上には3つの開口部73のうちの1つのみが表示されている。
【0019】
雌型継手12はさらに、雌型継手本体14の外周面74上を摺動する円筒状のスリーブ76と、スリーブ76の外周面77を覆うようにスリーブ76と同軸状に配置され雌型継手本体14に固定された円筒状のスリーブ保持部材78と、を備えている。スリーブ保持部材78の内周面にあるスプリング受け部79と、スリーブ76の後端面80との間には、スプリング82が配置されており、このスプリング82によってスリーブ76は軸線方向Lで前方に付勢されている。雌型継手本体14の第2シール部材係合溝58の前方の位置には、ロックボール84を保持するためのロックボール保持孔86が設けられている。スライド部材32には、ロックボール84を内側から支持するロックボール支持外周面88が設けられており、図1の連結前の状態では、ロックボール84はロックボール保持孔86内においてロックボール支持外周面88とスリーブ76の内周傾斜面90とに挟まれた状態で保持されている。また、スライド部材32のロックボール支持外周面88の外側には第2シール部材59が位置しているが、第2シール部材59はロックボール支持外周面88とは係合していない。第2シール部材59をスライド部材32と摺動係合させないようにすることで、スライド部材32への摺動摩擦抵抗を低減して雄型継手2の連結操作を容易にするとともに、第2シール部材59の摩耗を低減して耐久性を向上させることができる。
【0020】
図1の状態から図2の状態に向かって雄型継手2を雌型継手本体14の前端部15側から貫通孔18内に挿入していくと、まず雄型継手2の前端面8が第1シール部材50に当接する。さらに雄型継手2を挿入していってスプリング52の付勢力に抗してスライド部材32を後方に変位させながら雄型継手2のロック溝10がロックボール84の半径方向内側にまでくると、ロックボール84がスリーブ76の内周傾斜面90によって半径方向内側に押されて雄型継手2のロック溝10内に嵌まり、それに伴ってロックボール84とスリーブ76の内周傾斜面90との係合が解除されて、スリーブ76がスプリング82の付勢力によって前方に移動する。このとき、弁押体54の弁押棒部72が雄型継手2のスライド弁体3と当接してスライド弁体3を雄型継手2の後方(図で見て右側)に雄型継手本体5に対して相対的に移動させ、スライド弁体3と雄型継手本体5との密封係合を解除する。このようにして、図2に示すように、雄型継手2の貫通孔4と雌型継手12の貫通孔18とが流体連通して雄型継手2と雌型継手12とが連結した状態となる。このとき、第1シール部材50は、スプリング52の付勢力により雄型継手2の前端面8に押しつけられて雄型継手2の前端面8と密封係合した状態となっている。また、第2シール部材59は、雄型継手2の外周面9によって圧縮されて雄型継手2の外周面9と密封係合した状態となっている。
【0021】
このように、本実施形態に係る雌型継手12は、貫通孔18を有する雌型継手本体14が一体の部材として形成されているので、雄型継手2との連結状態において内部流体が外部に漏れる可能性のある経路が、雌型継手本体14の貫通孔18の内周面20と雄型継手本体5の外周面9との間の経路に限定されることになる。そのため、この経路を密封しておけば流体の漏れを阻止できることになるので、シール部材の数を従来のものに比べて少なくしたり、シール部材の形状を単純なものとしたりすることができる。この経路を密封係合するための第2シール部材59は、比較的に単純な断面形状を有する環状の形状を有している。また、本実施形態においては、雌型継手12が第1及び第3シール部材50、61を備えており、第2シール部材59は、第1シール部材50又は第3シール部材61からの流体の漏れが仮に生じた場合においても外部には流体を漏らさないようにするための補助的なシール部材として機能する。このような第2シール部材59を設けることにより、流体の漏れをさらに確実に防止するための二重シール構造を構成している。。
【0022】
本実施形態に係る雌型継手12は、スライド部材32が筒状空間22から抜けるのを防止するためのスライド部材係止部56が、雌型継手本体14とは別体とされた弁押体54に設けられている。組立時においてスライド部材32を筒状空間22内に挿入する際には弁押体54を外しておくことができるので、スライド部材32でスライド部材係止部56を押し退けるようにしてスライド部材32を嵌め込む必要がない。これにより、スライド部材32、第3シール部材61、及びスライド部材係止部56などに無理な力を掛けることなく組立作業ができるので、その作業を容易に行うことができると共に部材を損傷させる虞もなくなる。また、スライド部材係止部56のような突起部が雌型継手本体15と一体に形成された構造にすると、例えば樹脂成形により部品を作製する場合には、金型から離型するときに突起部が金型に引っ掛かってしまうが、本実施形態ではスライド部材係止部56を別部材の弁押体54に設けているので雌型継手本体14を製造する際の離型作業が容易になるとともにスライド部材係止部56を損傷する虞もなくなる。
【0023】
なお、本実施形態においては、第3シール部材61はスライド部材32の内周面42に設けられているが、外周面46に設けて雌型継手本体14の貫通孔18の内周面20と密封係合するようにすることもできる。ただし、外周面46に第3シール部材61を設けた場合には、スライド部材32とともに雌型継手本体14の筒状空間22に挿入する際に、第3シール部材61が貫通孔18の内周面20により圧縮されている状態でロックボール保持孔86及び第2シール部材係合溝58の上を通過することになり、その時に第3シール部材61が損傷する虞がある。そのため、本実施形態のように、スライド部材32の内周面に第3シール部材61を設けて、溝などによる損傷がないようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0024】
管継手1;雄型継手2;スライド弁体3;貫通孔4;雄型継手本体5;スプリング6;シール部材7;前端面8;外周面9;ロック溝10;雌型継手12;雌型継手本体14;前端部15;後端部16;貫通孔18;内周面20;筒状空間22;内側筒状部24;前端部26;スプリング受部28;外周面30;内周面31;スライド部材32;前端面34;第1シール部材係合溝36;後端部38;スプリング受部40;内周面42;係止面44;外周面46;凹部48;第1シール部材50;スプリング52;弁押体54;スライド部材係止部56;第2シール部材係合溝58;第2シール部材59;第3シール部材係合溝60;第3シール部材61;係合固定部62;係合突起66;係合溝67;挿入ガイド部68;スリット69;テーパー状の外周面70;円錐状部71;弁押棒部72;開口部73;外周面74;スリーブ76;外周面77;スリーブ保持部材78;スプリング受け部79;後端面80;スプリング82;ロックボール84;ロックボール保持孔86;ロックボール支持外周面88;内周傾斜面90;軸線方向L;
図1
図2
図3