(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
払拭面に接触されるブレードラバーを保持し、前記ブレードラバーを前記払拭面に向けて押圧するばね部材を収容する中空部と、前記払拭面の前方からの風を受けて前記ブレードラバーを前記払拭面に向けて押圧するフィンと、を有する樹脂製のホルダを製造するホルダの製造方法であって、
溶融樹脂が流通する樹脂通路を備えた成形金型に前記溶融樹脂を供給し、前記樹脂通路に設けた突起部により前記中空部を形成し、前記中空部に空気を噴射して前記中空部の内側形状を整える第1工程と、
前記成形金型の前記樹脂通路に前記溶融樹脂を供給して前記フィンを形成し、前記樹脂通路の断面積を変化させる面積可変部材により前記フィンの高さ寸法を決める第2工程と、
を備える、ホルダの製造方法。
払拭面に接触されるブレードラバーを保持し、前記ブレードラバーを前記払拭面に向けて押圧するばね部材を収容する中空部と、前記払拭面の前方からの風を受けて前記ブレードラバーを前記払拭面に向けて押圧するフィンと、を有する樹脂製のホルダを成形するのに用いられる成形金型であって、
前記中空部を形成する溶融した第1樹脂が流通する第1樹脂通路と、
前記第1樹脂通路の入口側でかつ前記第1樹脂通路内に設けられ、前記第1樹脂の流通方向に突出された突起部と、
前記突起部に設けられ、前記突起部の先端から前記中空部の内側形状を整える空気を噴射する空気通路と、
前記フィンを形成する溶融した第2樹脂が流通する第2樹脂通路と、
前記第2樹脂通路の出口側に設けられ、前記第2樹脂通路の断面積を変化させて前記フィンの高さ寸法を決める面積可変部材と、
を有する、成形金型。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明のワイパブレードを示す斜視図を、
図2は
図1における破線円A部の拡大斜視図をそれぞれ示している。
【0028】
図1および
図2に示すように、ワイパブレード10は、自動車等の車両の前方にあるフロントガラス11の払拭面上を払拭するものである。ワイパブレード10は、フロントガラス11の払拭面に接触されるブレードラバー20と、ブレードラバー20を保持するホルダ30と、ホルダ30の長手方向中央部に設けられた連結部材40と、ホルダ30の長手方向両側に装着された一対のエンドキャップ50とを備えている。
【0029】
ブレードラバー20は、本体部21,ネック部22およびリップ部23を備えている。ブレードラバー20は、ゴム等の天然樹脂材料を押出成形することで長尺に形成され、その断面形状は長手方向に沿う全域で一様の形状となっている。ネック部22の厚み寸法は、リップ部23の厚み寸法よりも薄く設定され、弾性変形し易くなっている。これにより、ワイパブレード10がフロントガラス11の払拭面上を摺動する際に、リップ部23の傾斜が許容され、ひいてはリップ部23の先端部分がワイパブレード10の摺動方向(
図2の左右方向)にスムーズに追従して、フロントガラス11に付着した雨水等が確実に払拭される。
【0030】
ホルダ30は、ホルダ本体31とフィン32とを備えている。ホルダ本体31およびフィン32は、互いに硬度の異なる樹脂材料を二色の押出成形をすることにより一体化され、かつ長尺に形成されている。これにより、ワイパブレード10の見栄えを良くしつつ、ワイパブレード10の部品点数を削減して組立工程を簡素化している。ここで、
図2の二点鎖線Lは、ホルダ本体31とフィン32との境界線を示している。
【0031】
ホルダ本体31は、ブレードラバー20を保持し得る充分な強度を確保しつつ、フロントガラス11の所定の曲率に追従可能とするために、柔軟性を有する第1熱可塑性エラストマ(第1樹脂)TPE1により形成されている。ホルダ本体31の長手方向と交差する方向に沿う中間部分(
図2の左右方向中間部分)には、ホルダ本体31の長手方向に延びる保持部31aが形成されている。
【0032】
保持部31aは、ブレードラバー20の本体部21が入り込む保持溝31bを備えている。保持部31aのフロントガラス11側には、本体部21のフロントガラス11側を支持する一対の保持爪31cが設けられている。このように保持部31aは、本体部21を保持するための保持溝31bと各保持爪31cとから形成され、これによりブレードラバー20はホルダ本体31に対して脱落すること無く確実に保持される。
【0033】
ホルダ本体31の長手方向と交差する方向に沿う両側(
図2の左右側)には、断面が略長方形に形成された一対の中空部31dが設けられている。これらの中空部31dは、保持部31aと同様にホルダ本体31の長手方向に延ばされている。各中空部31dは、ホルダ本体31の長手方向と交差する方向から保持部31aを挟むよう配置されている。また、各中空部31dのフロントガラス11からの高さ位置は、保持部31aのフロントガラス11からの高さ位置と略同じ位置となっている。
【0034】
各中空部31dには、鋼板をプレス加工等することで棒状に形成されたバーティブラ(ばね部材)31eがそれぞれ収容されている。これらのバーティブラ31eは、各中空部31dの内部に、その長手方向に移動自在となるよう非固定状態で収容されている。これにより、各バーティブラ31eの弾性力がホルダ本体31およびブレードラバー20に効率良く伝えられる。そして、各バーティブラ31eは、外力を負荷しない自然状態において、フロントガラス11の曲率よりも大きい曲率で湾曲されている。これにより、ホルダ本体31およびブレードラバー20がフロントガラス11の曲率に合わせて弾性変形され、ひいてはリップ部23の長手方向に沿う全域がフロントガラス11に向けて押圧されて密着される。
【0035】
フィン32は、第2熱可塑性エラストマ(第2樹脂)TPE2により長尺に形成されている。フィン32は、ホルダ本体31に対してその長手方向に沿うよう一体に設けられている。フィン32の硬度は、ホルダ本体31の硬度よりも低い硬度に設定され、フィン32の方がホルダ本体31よりも柔軟性を有している。これによりフィン32は、フロントガラス11の前方(
図2の右側)から来る走行風(風)を受けて弾性変形可能となっている。
【0036】
ここで、第1熱可塑性エラストマTPE1は、ゴム成分が少なく曲げ弾性率が高く(硬く)設定されており、結晶成分が多く固まり易い性質となっている。一方、第2熱可塑性エラストマTPE2は、ゴム成分が多く曲げ弾性率が低く(柔らかく)設定されており、結晶成分が少なく固まり難い性質となっている。また、第2熱可塑性エラストマTPE2は、フィン32を形成するため第1熱可塑性エラストマTPE1よりも外部に曝されている。したがって、第2熱可塑性エラストマTPE2は、第1熱可塑性エラストマTPE1よりも耐候性に優れた素材により形成されている。
【0037】
フィン32は、ホルダ本体31のフロントガラス11側とは反対側に配置されている。フィン32の先端側(
図2の上方側)には、フロントガラス11から最も離れた部分となる頂部32aが形成されている。この頂部32aは、ホルダ本体31に対して走行風の流れ方向下流側(
図2の左側)に配置されている。これによりフィン32の走行風の流れ方向上流側(
図2の右側)に、ブレードラバー20が配置される。よって、走行風がフィン32に当たることで発生するダウンフォース(図示せず)は、ブレードラバー20に効率良く伝達され、ひいてはブレードラバー20をフロントガラス11に向けて押圧する。
【0038】
フィン32のホルダ本体31からの高さ寸法は、ワイパブレード10の長手方向に沿って異なっている。つまり、フィン32の断面形状は、当該フィン32の長手方向に沿って変化するようになっている。具体的には、フィン32の長手方向両側の高さ寸法h1は、フィン32の長手方向中央部の高さ寸法h2よりも低く設定されている(h1<h2)。これにより、ワイパブレード10のデザイン性向上が図られている。
【0039】
ただし、フィン32の長手方向に沿う高さ寸法の関係は上述に限らず、フィン32の長手方向中央部の高さ寸法を、フィン32の長手方向両側の高さ寸法よりも低く設定しても良い。この場合、ワイパブレード10の長手方向両側は強い走行風により浮き上がり易いため、当該浮き上がりを確実に抑制できるようになる。
【0040】
また、フィン32の長手方向に沿う高さ寸法を、低い高さ寸法h1で一定(
図12(a)参照)としても良いし、高い高さ寸法h2で一定(
図12(b)参照)としても良い。前者(高さ寸法h1で一定)の場合には、材料費を削減してコスト低減を図りつつ、軽自動車等に容易に適用できる。一方、後者(高さ寸法h2で一定)の場合には、より高速走行が可能なスポーツカーに適用できる。
【0041】
連結部材40は、ホルダ本体31およびフィン32の一部をそれぞれ切り欠き、当該切り欠いた部分から外部に露出された各バーティブラ31eに固定されている。ここで、連結部材40には鋼板よりなる複数のカシメ脚(図示せず)が設けられ、当該カシメ脚を各バーティブラ31eにカシメ固定することで、連結部材40は強固に固定される。そして、連結部材40には、車両側に設けられたワイパアームの先端部が回動自在に連結されるようになっている。
【0042】
一対のエンドキャップ50は、ホルダ30の長手方向両側にそれぞれ装着され、何れも同様に形成されている。各エンドキャップ50は、プラスチック製であり、ホルダ本体31の長手方向両側から一部突出された各バーティブラ31eの端部を覆い隠すとともに、ブレードラバー20のホルダ本体31からの脱落を防止するようになっている。なお、エンドキャップ50には係合爪(図示せず)が設けられ、当該係合爪がバーティブラ31eの端部に形成された係合穴(図示せず)に係合することで、エンドキャップ50の抜け止めがなされる。
【0043】
次に、ワイパブレード10を形成するホルダ30の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
【0044】
図3はワイパブレードの製造ラインを示す概略図を、
図4は本発明の成形金型を示す分解斜視図を、
図5(a),(b)は第1ダイプレートの詳細を示す斜視図を、
図6(a),(b)は第2ダイプレートの詳細を示す斜視図を、
図7(a),(b)は第3ダイプレートの詳細を示す斜視図を、
図8(a),(b)は第4ダイプレートの詳細を示す斜視図を、
図9(a),(b)は第5ダイプレートの詳細を示す斜視図を、
図10(a),(b)は面積可変部材の動作説明図を、
図11は成形品の切断ポイントを説明する説明図を、
図12(a),(b)はフィンの変形例を示す拡大斜視図をそれぞれ示している。
【0045】
ホルダ30の製造方法の説明に先立ち、まず、ホルダ30を形成する押出成形機60の概要を説明する。ホルダ30は、
図3に示すような押出成形機60によって形成される。この押出成形機60は、入口側(図中右側)から、押出成形部61,サイジング/冷却部62,引き抜き部63および切断部64を備えている。
【0046】
押出成形部61は、押出成形ダイスである成形金型80を備えており、当該成形金型80の入口側には、溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1および第2熱可塑性エラストマTPE2をそれぞれ供給する第1ディスペンサ65および第2ディスペンサ66が接続されている。一方、成形金型80の出口側には、接合通路85a(
図9参照)のフィン32を成形する部分(第2樹脂通路)の断面積を変化させる面積可変部材90が設けられ、当該面積可変部材90は電動アクチュエータ67により駆動される。また、成形金型80の出口側には、突起部81bの空気通路81c(
図5参照)に空気を供給する正圧ポンプ68が接続されている。ここで、第1,第2ディスペンサ65,66,電動アクチュエータ67および正圧ポンプ68は、それぞれコントローラCUによって制御される。
【0047】
サイジング/冷却部62は、成形品が通過する冷却容器69を備えており、当該冷却容器69の入口側および出口側は、シール部材(図示せず)によって密閉されている。冷却容器69の内部には、冷却水供給装置70から冷却水(常温水)が供給される。また、冷却容器69には、負圧ポンプ71が接続されており、冷却容器69の内部が負圧に保たれている。このように、冷却容器69の内部に冷却水を供給するとともに、冷却容器69の内部を負圧にすることで、成形品の形状を整えつつ成形品を効率良く硬化させることができる。ここで、冷却水供給装置70および負圧ポンプ71は、それぞれコントローラCUによって制御される。
【0048】
引き抜き部63は、硬化された成形品を図中上下方向から挟持し、成形品を冷却容器69から引き抜くとともに切断部64に送るようになっている。引き抜き部63はベルト駆動の一対の駆動機構72,73を備え、これらの駆動機構72,73は、互いに上下方向に近接または離間可能に設けられている。これにより、断面形状が異なる成形品(フィン32の高さが異なるホルダ30)を移動させることができる。一方の駆動機構72は電動モータ74を備えており、当該電動モータ74はコントローラCUによって制御される。なお、押出成形機60の生産速度(ラインスピード)は、電動モータ74の回転数に依存される。
【0049】
切断部64は、略L字形状の台座75を備えている。台座75は、硬化された成形品をがたつくこと無く支持するようになっている。なお、台座75の入口側には、断面形状が異なる成形品を支持し得る支持部(図示せず)が設けられている。一方、台座75の出口側には、図中上下方向にスライド自在な切断刃76が設けられている。この切断刃76は、電動アクチュエータ77によって駆動され、電動アクチュエータ77は、コントローラCUによって制御される。なお、切断部64による成形品の切断タイミングは、例えば、電動モータ74の回転数と同期するように決定される。これにより、成形品を所定長さ(ホルダ30の長さ)に切断できる。ただし、切断部64による成形品の切断タイミングの決定は、上述に限らず、図示しない撮像カメラで成形品を撮像し、その結果に基づいて決定しても良い。
【0050】
そして、切断部64の出口側にはストッカ78が設けられ、当該ストッカ78には、切断部64で切断された成形品(ホルダ30)が溜められる。
【0051】
押出成形部61で使用される成形金型80は、
図4に示すように、断面が略正方形のダイプレート(合計5枚)から構成され、入口側(図中右側)から、第1ダイプレート81,第2ダイプレート82,第3ダイプレート83,第4ダイプレート84および第5ダイプレート85を備えている。これらのダイプレート81〜85は、互いに密着するよう重ね合わせられている。これにより、各ダイプレート81〜85の間から、溶融樹脂や空気が漏洩することは無い。
【0052】
以下、各ダイプレートのそれぞれの構造について詳細に説明する。なお、
図5〜
図9の(a)は各ダイプレートを出口側から見た斜視図を、
図5〜
図9の(b)は各ダイプレートを入口側から見た斜視図をそれぞれ示している。
【0053】
[第1ダイプレート]
図5に示すように、第1ダイプレート81の略中央部には、第1ディスペンサ65が接続されて、溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1が流通する第1樹脂通路81aが形成されている。第1樹脂通路81aは、本発明における第1樹脂通路(樹脂通路)の入口側の一部を構成しており、断面が大径の円形に形成されている。
【0054】
第1樹脂通路81aの内部には、成形金型80の出口側、つまり第1熱可塑性エラストマTPE1の流通方向に突出された一対の突起部81bが設けられている。これらの突起部81bは、第1樹脂通路81aの中心部分を挟んで対向配置され、その内部には、略L字形状に形成された空気通路81cがそれぞれ設けられている。空気通路81cの一端側は、突起部81bの先端部分に開口され、空気通路81cの他端側は、
図5(a)に示すように、第1ダイプレート81の出口側に開口されている。つまり、空気通路81cの他端側から空気を供給することで、空気通路81cの一端側から空気が噴射されるようになっている。
【0055】
ここで、各突起部81bは、ホルダ本体31の各中空部31d(
図2参照)を形成するもので、その突出高さは、他の第2ダイプレート82,第3ダイプレート83,第4ダイプレート84を貫通し、先端部分が第5ダイプレート85に到達する高さとなっている。これにより、各中空部31dの内側が平滑化される。また、各突起部81bの先端から噴射された空気は、成形金型80から引き出された硬化前の成形品の各中空部31dが歪むのを抑制し、各中空部31dの内側形状を整えるようになっている。
【0056】
第1ダイプレート81の第1樹脂通路81aから所定量オフセットされた位置には、第2ディスペンサ66が接続されて、溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2が流通する第2樹脂通路81dが形成されている。第2樹脂通路81dは、本発明における第2樹脂通路(樹脂通路)の入口側の一部を構成しており、断面が第1樹脂通路81aよりも小径の円形に形成されている。
【0057】
[第2ダイプレート]
図6に示すように、第2ダイプレート82の略中央部には、第1ダイプレート81の第1樹脂通路81aからの溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1が流通する第1樹脂通路82aが形成されている。第1樹脂通路82aは、本発明における第1樹脂通路の一部を構成しており、断面がホルダ本体31の外郭形状に相似する形状に形成されている。つまり、溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1は、第1樹脂通路81aから第1樹脂通路82aで絞られて、徐々にホルダ本体31に形成されていく。
【0058】
第2ダイプレート82の第1樹脂通路82aから所定量オフセットされた位置には、第1ダイプレート81の第2樹脂通路81dからの溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2が流通する第2樹脂通路82bが形成されている。第2樹脂通路82bは、本発明における第2樹脂通路の一部を構成しており、断面が略長方形に形成されている。このように、第2樹脂通路82bを略長方形に形成することで、高さ寸法h2のフィン32(
図2参照)に対応する断面形状に形成された、第3ダイプレート83の第2樹脂通路83bに対して、溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2を供給できるようにしている。
【0059】
また、第1樹脂通路82aを挟む両側には、突起部81bに設けた空気通路81cの他端側にそれぞれ接続される一対のサブ空気通路82cが設けられている。
【0060】
[第3ダイプレート]
図7に示すように、第3ダイプレート83の略中央部には、第2ダイプレート82の第1樹脂通路82aからの溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1が流通する第1樹脂通路83aが形成されている。第1樹脂通路83aは、本発明における第1樹脂通路の一部を構成しており、断面がホルダ本体31の外郭形状に相似する形状に形成されている。ただし、第1樹脂通路83aの断面積は、第1樹脂通路82aの断面積よりも若干小さくされ、これにより溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1は、第1樹脂通路82aから第1樹脂通路83aでさらに絞られて、徐々にホルダ本体31に形成されていく。
【0061】
第3ダイプレート83の第1樹脂通路83aから所定量オフセットされた位置には、第2ダイプレート82の第2樹脂通路82bからの溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2が流通する第2樹脂通路83bが形成されている。第2樹脂通路83bは、本発明における第2樹脂通路の一部を構成しており、断面が高さ寸法h2のフィン32に対応する断面形状に形成されている。これにより、溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2が徐々にフィン32の形状に形成されていく。
【0062】
また、第1樹脂通路83aを挟む両側には、第2ダイプレート82の各サブ空気通路82cにそれぞれ接続される一対のサブ空気通路83cが設けられている。
【0063】
[第4ダイプレート]
図8に示すように、第4ダイプレート84の略中央部には、第3ダイプレート83の第1樹脂通路83aからの溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1が流通する第1樹脂通路84aが形成されている。第1樹脂通路84aは、本発明における第1樹脂通路の一部を構成しており、断面がホルダ本体31の外郭形状に相似する形状に形成されている。ただし、第1樹脂通路84aの断面積は、第1樹脂通路83aの断面積よりも若干小さくされ、これにより溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1は、第1樹脂通路83aから第1樹脂通路84aでさらに絞られて、徐々にホルダ本体31に形成されていく。
【0064】
第4ダイプレート84の第1樹脂通路84aに近接した位置には、第3ダイプレート83の第2樹脂通路83bからの溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2が流通する第2樹脂通路84bが形成されている。第2樹脂通路84bは、本発明における第2樹脂通路の一部を構成しており、断面が高さ寸法h2のフィン32に対応する断面形状に形成されている。ただし、第2樹脂通路84bの断面積は、第2樹脂通路83bの断面積よりも若干小さくされ、これにより溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2は、第2樹脂通路83bから第2樹脂通路84bで絞られて、徐々にフィン32の形状に形成されていく。
【0065】
また、第1樹脂通路84aを挟む両側には、第3ダイプレート83の各サブ空気通路83cにそれぞれ接続される一対のサブ空気通路84cが設けられている。
【0066】
[第5ダイプレート]
図9に示すように、第5ダイプレート85の略中央部には、第4ダイプレート84の第1樹脂通路84aからの溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1と、第4ダイプレート84の第2樹脂通路84bからの溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2が合流し、第1熱可塑性エラストマTPE1と第2熱可塑性エラストマTPE2とが接合(一体化)される接合通路85aが形成されている。この接合通路85aは、本発明における第1,第2樹脂通路(樹脂通路)の出口側の一部を構成しており、断面がホルダ30の外郭形状(
図2参照)となるよう形成されている。
【0067】
また、接合通路85aを挟む両側には、第4ダイプレート84の各サブ空気通路84cにそれぞれ接続される一対の空気導入孔85bが設けられている。これらの空気導入孔85bには、成形金型80の出口側から、正圧ポンプ68(
図3参照)を介して空気が導入されるようになっている。
【0068】
図9(a)に示すように、第5ダイプレート85の出口側には、面積可変部材90が設けられている。面積可変部材90は、第5ダイプレート85に対して摺動自在に設けられ、接合通路85aのフィン32を成形する部分(図中上側)の断面積を変化させる。つまり、面積可変部材90は、接合通路85aの第2樹脂通路に相当する部分の出口側の断面積を変化させ、これによりフィン32の高さ寸法が決められる。
【0069】
面積可変部材90は平板状に形成され、接合通路85aを挟む両側に固定された一対のガイド部材91に摺動自在に支持されている。ここで、各ガイド部材91は、固定ボルト(図示せず)により第5ダイプレート85の出口側に固定されている。
【0070】
面積可変部材90の一方側(図中上側)の側面には、略円柱状に形成された駆動ピン92の一端が固定されている。一方、駆動ピン92の他端は、電動アクチュエータ67(
図3参照)に接続されている。これにより、電動アクチュエータ67を駆動することで、駆動ピン92が図中上下方向に駆動されて、ひいては接合通路85aのフィン32を成形する部分の断面積が変化する。
【0071】
面積可変部材90の摺動方向に沿う両側には、第1ピン93および第2ピン94が設けられている。これらの第1ピン93および第2ピン94は、それぞれ第5ダイプレート85の出口側に固定されている。そして、第1ピン93に面積可変部材90を当接させた状態にすると、接合通路85aのフィン32を成形する部分の断面積が小さい状態とされる(
図10(a)参照)。一方、第2ピン94に面積可変部材90を当接させた状態にすると、接合通路85aのフィン32を成形する部分の断面積が大きい状態とされる(
図10(b)参照)。
【0072】
次に、ホルダ30の製造方法について詳細に説明する。
【0073】
[ダイ準備工程]
ホルダ30を製造するには、まず、洗浄を終えた第1ダイプレート81,第2ダイプレート82,第3ダイプレート83,第4ダイプレート84および第5ダイプレート85を準備し、これらの各ダイプレート81〜85をこの順番で互いに密着するよう重ね合わせて固定する。これにより、成形金型80の組み立てが完了する。その後、組み立てられた成形金型80を、押出成形機60の押出成形部61の所定位置にセッティングする。次いで、第1ダイプレート81の第1樹脂通路81aに第1ディスペンサ65を接続し、第1ダイプレート81の第2樹脂通路81dに第2ディスペンサ66を接続する。これにより、成形金型80の準備が終了し、ダイ準備工程が完了する。
【0074】
[押出成形工程]
次に、第1樹脂通路81aおよび第2樹脂通路81dの入口側に接続された第1ディスペンサ65および第2ディスペンサ66を駆動し、第1樹脂通路81aおよび第2樹脂通路81dに、それぞれ溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1および第2熱可塑性エラストマTPE2を所定圧で供給する。すると、ホルダ30のホルダ本体31およびフィン32に相当する部分が押出成形されていく。その後、正圧ポンプ68を作動させて、空気通路81cから空気を噴射させて、成形品に形成された各中空部31dの長手方向に沿うよう空気を供給する。
【0075】
このとき、成形品の先端部分が切断部64に到達するまでは、面積可変部材90の電動アクチュエータ67および切断刃76の電動アクチュエータ77を制御せず停止した状態を保持する。これは、引き抜き部63による成形品の安定した送り動作(移動動作)を得るためである。
【0076】
成形品の先端部分が切断部64に到達すると、次いで、電動モータ74の回転数に同期させて、電動アクチュエータ67を駆動させる。これにより、面積可変部材90が摺動状態とされて、
図10(a)の矢印「down」および
図10(b)の矢印「up」に示すように、面積可変部材90が、第1ピン93と第2ピン94との間において所定速度で摺動される。
【0077】
すると、引き抜き部63の動作による成形品に移動に伴い、
図11に示すように、フィン32となる部分が波打つように形成されていく。つまり、成形品の長手方向に沿って高さ寸法h1の部分と高さ寸法h2の部分とが、滑らかな円弧を描きつつ交互に出現する。このようにして、ホルダ30となる成形品が二色成形され、押出成形工程が完了する。
【0078】
ここで、成形金型80の第1樹脂通路81aに、第1ディスペンサ65から溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1を所定圧で供給し、各突起部81bにより各中空部31dを形成するとともに、空気通路81cから各中空部31dに空気を噴射させて、各中空部31dの内側形状を整える作業が、本発明における第1工程を構成している。
【0079】
また、成形金型80の第2樹脂通路81dに、第2ディスペンサ66から溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2を所定圧で供給することでフィン32を形成し、面積可変部材90を第1ピン93と第2ピン94との間において所定速度で摺動させて、フィン32の高さ寸法h1,h2を決める作業が、本発明における第2工程を構成している。
【0080】
[冷却工程]
成形金型80から排出された成形品は、次いで、サイジング/冷却部62の冷却容器69の内部で硬化される。ここで、コントローラCUは、冷却水供給装置70を作動させるとともに、負圧ポンプ71を作動させる。これにより、成形品の形状が整えられるとともに、成形品が冷却されて硬化される。このようにして、冷却工程が完了する。
【0081】
[切断工程]
その後、硬化された成形品は切断部64に到達する。すると、コントローラCUは所定のタイミングで電動アクチュエータ77を駆動して、切断刃76を作動させる。これにより、成形品が所定長さに切断されてホルダ30が完成する。ここで、切断部64で切断されて完成したホルダ30は、ストッカ78の内部に落下して、当該ストッカ78に溜められる。このようにして、切断工程が完了する。
【0082】
ここで、切断刃76による成形品の切断ポイントは、
図11に示すようになる。具体的には、
図1に示すように、フィン32の長手方向両側の高さ寸法をh1、フィン32の長手方向中央部の高さ寸法をh2(h1<h2)とする場合には、切断刃76による成形品の切断ポイントをCP1,CP3(谷の部分)とする。一方、これとは逆に、フィン32の長手方向両側の高さ寸法をh2、フィン32の長手方向中央部の高さ寸法をh1とする場合には、切断刃76による成形品の切断ポイントをCP2,CP4(山の部分)とする。
【0083】
なお、上述した[押出成形工程]において、面積可変部材90を固定状態で押出成形することもできる。例えば,
図10(a)に示すように、第1ピン93に面積可変部材90を当接させた状態で固定すれば、接合通路85aのフィン32を成形する部分の断面積が小さい状態で固定される。これにより、
図12(a)に示すように、フィン32の高さ寸法をh1で一定にできる(変形例1)。
【0084】
一方、
図10(b)に示すように、第2ピン94に面積可変部材90を当接させた状態で固定すれば、接合通路85aのフィン32を成形する部分の断面積が大きい状態で固定される。これにより、
図12(b)に示すように、フィン32の高さ寸法をh2(h1<h2)で一定にできる(変形例2)。
【0085】
以上詳述したように、実施の形態1によれば、押出成形工程(第1工程)において、成形金型80の第1樹脂通路81aに溶融した第1熱可塑性エラストマTPE1を供給し、成形金型80の第1樹脂通路81aに設けた突起部81bにより中空部31dを形成し、中空部31dに空気を噴射して中空部31dの内側形状を整え、押出成形工程(第2工程)において、成形金型80の第2樹脂通路81dに溶融した第2熱可塑性エラストマTPE2を供給してフィン32を形成し、接合通路85aのフィン32を成形する部分の断面積を変化させる面積可変部材90によりフィン32の高さ寸法を決める。
【0086】
したがって、押出成形によりホルダ30にフィン32を一体に設けつつ、ホルダ30の長手方向に沿う略全域に亘りフィン32を設けることができ、ひいてはワイパブレード10の払拭性能向上と、より一層のデザイン性向上とを両立することができる。
【0087】
また、中空部31dの内側形状は、突起部81bから噴射される空気により整えられるので、押出成形されたホルダ30に歪みが生じるのを抑制することができ、ひいてはホルダ30を精度良く成形して見栄えを良くすることができる。
【0088】
さらに、フィン32の高さ寸法h1,h2は、面積可変部材90により決められるので、フィン32の断面形状を変化させることができ、ひいてはさらにワイパブレード10のデザイン性向上を図ることができる。
【0089】
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0090】
図13は実施の形態2の成形金型を示す概略図を示している。
【0091】
図13に示すように、実施の形態2における成形金型100は、第5ダイプレート85の出口側(図中左側)に設けられる面積可変部材101の構造のみが異なっている。面積可変部材101の成形品側(図中下側)には、当該面積可変部材101の板厚方向に貫通する貫通孔102が設けられている。貫通孔102の入口側(図中右側)の開口位置は成形品に近接して配置され、貫通孔102の出口側の開口位置は成形品から離間して配置されている。これにより、貫通孔102は傾斜され、貫通孔102の入口側にフィン用切断刃103が形成される。フィン用切断刃103は、成形品が流れてくる方向に向けられている。
【0092】
そして、電動アクチュエータ67を駆動して、面積可変部材101を摺動状態とすると、
図13に示すように、成形品のフィン32となる部分の先端側が切り離される。そして、切り離された余肉Dは、貫通孔102の出口側から排出される。
【0093】
このように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2においては、フィン32の頂部32a(
図2参照)の表面をより滑らかに成形することができ、ひいてはワイパブレード10の見栄えをより向上させることができる。
【0094】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、ワイパブレード10を、フロントガラス11を払拭するものとして説明したが、本発明はこれに限らず、リヤガラスを払拭するものや、鉄道車両,航空機,船舶等の払拭面を払拭するものにも適用することができる。