特許第6276646号(P6276646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6276646エッジ検出によるトイレ見守り方法およびこれに用いるトイレ見守り装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6276646
(24)【登録日】2018年1月19日
(45)【発行日】2018年2月7日
(54)【発明の名称】エッジ検出によるトイレ見守り方法およびこれに用いるトイレ見守り装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20180129BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20180129BHJP
   G08B 21/04 20060101ALI20180129BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20180129BHJP
【FI】
   G08B25/00 510M
   G08B25/04 K
   G08B21/04
   G06T1/00 340B
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-96670(P2014-96670)
(22)【出願日】2014年5月8日
(65)【公開番号】特開2015-109063(P2015-109063A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年7月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-218415(P2013-218415)
(32)【優先日】2013年10月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513265035
【氏名又は名称】谷口 大樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】谷口 大樹
(72)【発明者】
【氏名】谷口 守
(72)【発明者】
【氏名】孟 林
【審査官】 永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−174450(JP,A)
【文献】 特開2000−338261(JP,A)
【文献】 特開平07−236593(JP,A)
【文献】 特開2013−181795(JP,A)
【文献】 特開2001−258859(JP,A)
【文献】 特開2007−049583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/00−15/12
A61G 99/00
G06T 1/00− 1/40
G06T 3/00− 9/40
G08B 19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ内の使用者を見守り装置によって自動的に見守る方法であって、 トレイ不使用時のトイレ初期画像を撮影して記憶しておくステップと、トイレへの使用者の入退室を検知するステップと、入室した使用者を撮影するステップと、撮影した画像と前記トイレ初期画像との差分をとるステップと、差分後の画像にフィルタをかけて二値化し、エッジを検出するステップと、検出したエッジがトイレ内に予め設定した異常ゾーン内にあるか否かを検知するステップと、該検知結果に基づいて異常状態か否かを判断するステップと、異常状態である場合に異常状態情報を発報するステップを有しており、前記撮影した画像のエッジから使用者の身体サイズを計測するステップと、その計測結果が所定範囲を超えている否かを検知するステップと、所定範囲を超えている場合に異常ゾーンを補正するか、または前記検出したエッジが所定範囲に収まるように補正するステップを更に有することを特徴とする、トイレ見守り方法。
【請求項2】
トレイにおける使用者の入室時間および/またはエッジの異常ゾーンへの進入時間を計測するステップと、計測した入室時間および/またはエッジの異常ゾーンへの進入時間が予め設定した所定時間を超えた場合に異常状態情報を発報するステップを更に有する、請求項1記載のトイレ見守り方法。
【請求項3】
トイレ使用者の年齢や性別、持病等の使用者情報を予め記憶しておくステップと、記憶した使用者情報に基づいて使用者の入室時間および/またはエッジの異常ゾーンへの進入時間を設定記憶しておくステップを更に有し、異常状態情報を発報するステップでは、前記設定記憶した時間に達した時点で異常状態情報を発報することを特徴とする、請求項2記載のトレイ見守り方法。
【請求項4】
トイレ使用者が老人である、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載のトイレ見守り方法。
【請求項5】
異常状態情報の発報を受信した携帯端末からの呼びかけを受信するステップと、受信した呼びかけを音声で再生するステップと、前記呼びかけに対して応答があった場合に、その音声を取得するステップと、取得した音声を送信するステップを更に有する請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載のトイレ見守り方法。
【請求項6】
請求項1記載のトイレ見守り方法に使用するトイレ見守り装置であって、トイレ内を撮影するカメラと、トイレの入退室を感知する人感センサと、カメラによる撮影画像を記憶しておく見守り用情報記憶部と、画像処理を行うトイレ画像処理部と、トイレ画像処理部で処理した情報に基づいてトイレ内の使用者の異常ゾーンへの進入状況を検知する異常ゾーン検知部と、異常ゾーン検知部での検知結果に基づいて異常状態か否かを判断する状況判断部と、状況判断部で異常状態と判断した場合に異常状態情報を発報する発報部を備え、トイレ画像処理部は、少なくともトイレ初期画像と使用者の撮影画像との差分をとる差分取得部と差分にフィルタをかけると共に二値化を行ってエッジを検出するエッジ検出部を有しており、カメラの撮影画像のエッジに基づいて使用者の身体サイズを計測する身体計測部と、その計測結果が所定範囲を超えているか否かを検知すると共に、超えている場合に異常ゾーンの補正を行うか、または前記エッジ自体の補正を行う検出補正部を更に有する、トイレ見守り装置。
【請求項7】
請求項2〜請求項5のうちのいずれか一項記載のトイレ見守り方法に使用するトイレ見守り装置であって、トイレ入室時間および/またはエッジの異常ゾーンへの進入時間を計測するタイマーを更に備えた、請求項6記載のトイレ見守り装置。
【請求項8】
見守り用情報記憶部がトイレ使用者の年齢や性別、持病等の使用者情報をも記憶するものである、請求項7記載のトイレ見守り装置。
【請求項9】
異常状態情報を受信した端末等からの呼びかけを受信し、また該呼びかけに対する応答を送信する送受信部と、前記受信した呼びかけを再生するスピーカーと、前記呼びかけに対する応答音声を取得するマイクロフォンを更に有する請求項7または請求項8記載のトイレ見守り装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイにおいて、老人等の使用者に異常が発生した場合に所定の発報を行うトイレ見守り方法およびこれに用いるトイレ見守り装置に関し、より詳細にはエッジ検出を利用したものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば室内にいる見守るべき対象者の状態を、平面位置と高さ方向の情報とで検知可能な3次元距離検知手段と、3次元距離検知手段で得られた前記高さ方向情報等を、室内のベッド領域、ベッドサイド領域およびフロア領域におけるそれぞれの比較基準高さと比較して各領域内での対象者の状況を判断するデータ処理手段と、データ処理手段により、外部に対象者の状況通報を行う判断結果出力手段とを備えた見守りシステムが知られている。
【0003】
また、人等を感知する行動監視センサと、前記行動監視センサが送信するセンサ信号の受信が可能であり、行動監視センサからのセンサ信号の送信の有無から人等が正常か異常かを判定してその判定信号を送信する中央処理装置と、中央処理装置から判定信号を受信する通報装置と、通報装置とネットワークで結ばれた保護者端末と、を含み、前記通報装置が前記判定信号を受信すると、通報装置は前記ネットワークを介して保護者端末に判定信号を送信する行動監視システムも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−299121号公報
【特許文献2】特開2011−86286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来技術のうち、前者の見守りシステムは、主としてベッドが置かれた寝室において、見守り対象者がベッド上にいるのか、ベッドサイドにいるのか、或いはベッドからフロアに転落しているのかといった大まかな状態を検知するものであるため、トレイ内のように見守り対象者の動きが少ない場所での監視には不向きであり、トレイ内で見守り対象者に異常が発生してもこれを正確に検知できないおそれがあった。
【0006】
また、後者の行動監視システムは、家のリビングやダイニング、或いはペットの餌場等を監視対象として設定し、予め設定した所定時間ごとの移動検知信号の受信の有無によって正常か異常かを判断するものであるため、監視対象が特定の監視エリアを移動している限り、正常と判断される。そのため、例えば監視対象の人やペットの体に異常が発生して苦しんで動いている場合でも、その者が動いている場合には正常と判断してしまうおそれがあり、また逆に監視対象が所定時間を超えて寝ている場合や外出している場合には正常な状態であるにもかかわらず、異常と判断してしまうおそれがあった。そのため、正確な見守り検知が期待できなかった。また、このシステムでは、監視カメラも使用されるが、監視対象が人の場合にはトイレや浴室を使用している状態がそのまま外部の監視者や保護者に映像として送信されてしまう可能性があり、そのため人権やプライバシー上の問題を内在していた。
【0007】
本発明の目的は、動きが少ないトレイにおいても見守り対象者が正常か異常かを正確に検知することができ、しかも見守り対象者の人権やプライバシーを守ることもできるトイレ見守り方法およびこれに用いるトイレ見守り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、トレイ不使用時のトイレ初期画像を撮影して記憶しておくステップと、トイレへの使用者の入退室を検知するステップと、入室した使用者を撮影するステップと、撮影した画像と前記トイレ初期画像との差分をとるステップと、差分後の画像にフィルタをかけて二値化し、エッジを検出するステップと、検出したエッジがトイレ内に予め設定した異常ゾーン内にあるか否かを検知するステップと、該検知結果に基づいて異常状態か否かを判断するステップと、異常状態である場合に異常状態情報を発報するステップを有する、トイレ見守り方法である。
【0009】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のトイレ見守り方法について、トレイにおける使用者の入室時間および/またはエッジの異常ゾーンへの進入時間を計測するステップと、計測した入室時間および/またはエッジの異常ゾーンへの進入時間が予め設定した所定時間を超えた場合に異常状態情報を発報するステップを更に有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の本発明は、前記請求項2記載のトレイ見守り方法について、トイレ使用者の年齢や性別、持病等の使用者情報を予め記憶しておくステップと、記憶した使用者情報に基づいて使用者の入室時間および/またはエッジの異常ゾーンへの進入時間を設定記憶しておくステップを更に有し、異常状態情報を発報するステップでは、前記設定記憶した時間に達した時点で異常状態情報を発報することを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の本発明は、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載のトイレ見守り方法について、トイレ使用者を老人としたものである。
【0012】
請求項5記載の本発明は、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載のトイレ見守り方法について、撮影した画像のエッジから使用者の身体サイズを計測するステップと、その計測結果が所定範囲を超えている否かを検知するステップと、所定範囲を超えている場合に異常ゾーンを補正するか、または前記検出したエッジが所定範囲に収まるように補正するステップを更に有することを特徴とするものである。
【0013】
請求項6記載の本発明は、前記請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項記載のトイレ見守り方法について、異常状態情報の発報を受信した携帯端末からの呼びかけを受信するステップと、受信した呼びかけを音声で再生するステップと、前記呼びかけに対して応答があった場合に、その音声を取得するステップと、取得した音声を送信するステップを更に有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項7記載の本発明は、請求項1記載のトイレ見守り方法に使用するトイレ見守り装置であって、トイレ内を撮影するカメラと、トイレの入退室を感知する人感センサと、カメラによる撮影画像を記憶しておく見守り用情報記憶部と、画像処理を行う画像処理部と、画像処理部で処理した情報に基づいてトイレ内の使用者の異常ゾーンへの進入状況を検知する異常ゾーン検知部と、異常ゾーン検知部での検知結果に基づいて異常状態か否かを判断する状況判断部と、状況判断部で異常状態と判断した場合に異常状態情報を発報する発報部を備え、画像処理部は、少なくともトイレ初期画像と使用者の撮影画像との差分をとる差分取得部と差分にフィルタをかけると共に二値化を行ってエッジを検出するエッジ検出部を有することを特徴とするものである。
【0015】
請求項8記載の本発明は、前記請求項2〜請求項6のうちのいずれか一項記載のトイレ見守り方法に使用するものであって、前記請求項7記載のトイレ見守り装置について、トイレ入室時間および/またはエッジの異常ゾーンへの進入時間を計測するタイマーを更に備えたものである。
【0016】
請求項9記載の本発明は、前記請求項8記載のトイレ見守り装置について、見守り用情報記憶部がトイレ使用者の年齢や性別、持病等の使用者情報をも記憶するものである。
【0017】
請求項10記載の本発明は、カメラの撮影画像のエッジに基づいて使用者の身体サイズを計測する身体計測部と、その計測結果が所定範囲を超えているか否かを検知すると共に、超えている場合に異常ゾーンの補正を行うか、または前記エッジ自体の補正を行う検出補正部を更に有する、請求項7〜請求項9のうちのいずれか一項記載のトイレ見守り装置である。
【0018】
請求項11記載の本発明は、異常状態情報を受信した端末等からの呼びかけを受信し、また該呼びかけに対する応答を送信する送受信部と、前記受信した呼びかけを再生するスピーカーと、前記呼びかけに対する応答音声を取得するマイクロフォンを更に有する請求項7〜請求項10のうちのいずれか一項記載のトイレ見守り装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明のトイレ見守り方法は、使用者が入室していないトイレ初期画像と使用者が入室した後の撮影画像との差分に基づくエッジの位置によって使用者がトイレ内の異常ゾーンに進入しているか否かを検出し、進入していた場合に異常状態情報を発報するものであるため、従来の異常検知システムに比べて簡単且つ確実にトイレ使用者の異常を把握することができるという格別の利点を有する。
【0020】
また、本発明のトイレ見守り方法によれば、撮影したトイレ内の画像をそのまま用いるのではなく、画像処理を行って最終的に検出されたエッジを利用してトレイ使用者の異常の有無を検知するものであるため、使用者のトレイ内の画像をそのまま外部で見て異常を判断する必要がないため、使用者のプライバシーや人権を侵害することがなく、適切な見守り保護が実現される。
【0021】
この他、異常ゾーンへの進入時間やトイレ入室時間、更にはトイレ使用者の性別、年齢および持病等の使用者情報によっても異常状態の検知を総合的に行う本発明のトイレ見守り方法によれば、更に正確な異常状態の検知が行える。
【0022】
また、本発明の見守り装置は、構造を複雑化させることなく、必要な構成要素を用いてコンパクトに製造できるため、コスト的にも安価に導入することができ、しかもトイレの天井等に簡単に取り付けることができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るトイレ見守り装置の天井取付状態を示す斜視図である。
図2】同トイレ見守り装置による検知要領を示すトイレ室内の側面図である。
図3】同トイレ見守り装置の機能ブロック図である。
図4】同トイレ見守り装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図5】トレイ未使用時の撮影画像である。
図6】トレイ使用中の撮影画像であって、正常状態を示す。
図7】トレイ使用中の撮影画像であって、異常状態を示す。
図8】トイレ初期画像とトイレ使用中の撮影画像の複合画像であって、正常状態を示す。
図9】トイレ初期画像とトイレ使用中の撮影画像の複合画像であって、異常状態を示す。
図10】トイレ初期画像とトイレ使用中の撮影画像との差分後のフィルタ画像であって、正常状態を示す。
図11】トイレ初期画像とトイレ使用中の撮影画像との差分後のフィルタ画像であって、異常状態を示す。
図12図10のエッジ検出画像である。
図13図11のエッジ検出画像である。
図14】身体サイズが大きい人のトレイ使用中の撮影画像であって、正常状態を示す。
図15】他の実施形態に係るトイレ見守り装置の機能ブロック図である。
図16】同実施形態のトイレ見守り装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図17】更に他の実施形態に係るトイレ見守り装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0025】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るトイレ見守り装置1は、例えばLEDを内蔵した照明器具兼用のものとして利用でき、通常の照明器具と同様、トイレの天井Cに取り付けて、トイレ内を照らすと共に、便器Bに座った使用者Uの状況を見守るものである。
【0026】
なお、図中1Aは後述するLEDや見守り装置1等が組み込まれた本体部、1Bは本体部1Aと一体に形成されたカメラ収納部である。
【0027】
図3に示すように、トイレ見守り装置1は、上記LED2の他、トイレ内を撮影するCCD等のカメラ3と、人感センサ4と、カメラ3による撮影画像等の検出状況に基づいて正常状態か異常状態かの判別を行って異常状態の場合には所定の発報を行う見守り実行部5等を有するものである。
【0028】
LED2としては、既知のLED電球やLED蛍光灯等の一般的なLED照明が挙げられる。また、照明はLED以外の他の電球や蛍光灯であっても良い。更に、本実施形態の見守り装置は照明器具兼用のものとなっているが、照明機能を持たない見守り専用装置としても良い。
【0029】
人感センサ4は、本実施形態では、赤外線方式のものであって、例えば検知角が60°前後の焦電素子を有し、またトイレ入室時間を計測するタイマー6を有するか、或いは該タイマー6を別体構成としても良い。
【0030】
見守り実行部5は、カメラ3で撮影したトイレ不使用時のトイレ初期画像やトイレ使用者の年齢や性別、持病等の使用者情報を記憶しておく見守り用情報記憶部10と、トイレ内の画像の処理を行うトイレ画像処理部11と、トイレ画像処理部11で処理した情報に基づいてトイレ内の使用者の異常ゾーンEの進入状況を検知する異常ゾーン検知部9と、異常ゾーン検知部9の検知結果および/またはタイマー6による時間計測等に基づいて正常状態か異常状態かを判断する状況判断部12と、状況判断部12で異常状態と判断した際に所定の発報を行う発報部13等を有するものである。
【0031】
トイレ画像処理部11は、少なくともトイレ初期画像と使用者の撮影画像との差分をとる差分取得部7と差分にフィルタをかけると共に二値化を行ってエッジを検出するエッジ検出部8を有するものである。
【0032】
なお、本実施形態では、カメラ3と人感センサ4とタイマー6は互いに別体のものとしたが、人感センサ4内にカメラ3やタイマー6が一体に組み込まれた構成としても良い。
【0033】
図4に示すように、本実施形態に係るトイレ見守り装置1による見守り方法について説明すると、所定のスイッチON操作があるまで待機し、スイッチON操作があった時点で見守り装置1の動作を開始する。そして、先ずトレイ不使用時のトイレ初期画像を予め記憶しておき、その後、トイレへの使用者の入退室を検知し(S4001)、入室した使用者を撮影する(S4002)。そして、撮影した画像と前記トイレ初期画像との差分をとり(S4003)、差分後の画像にフィルタをかけて二値化し、エッジを検出する(S4004)。その後、検出したエッジがトイレ内に予め設定した異常ゾーン内にあるか否かを検知し(S4005)、該検知結果に基づいて異常状態か否かを判断し(S4006)、異常状態である場合に異常状態情報を発報する(S4007)。
【0034】
前述したステップのうち、(S4001)のトレイ初期画像とは、例えば図5に示すように、トイレの中央の便座Bに人が座っていない状態の画像である。そして、本実施形態では、便座Bの左右両側に前後方向に伸びる境界線L1・L2を設定し、これら境界線L1・L2から壁Wまでの範囲を異常ゾーンEとして設定しておく。また、更にトイレの後壁側にも異常ゾーンE設定するようにしても良い。
【0035】
前記(S4003)において、撮影した使用者の画像は、図6および図7に示すように、トイレ内の便座Bに人が座った状態の画像であり、このうち、図6は使用者の上半身が真っ直ぐになっているため、異常ゾーンE内に進入しておらず、正常な状態である。一方、図7は使用者の上半身が右側に傾いて境界線L2を超えて異常ゾーンE内に進入しており、異常な状態である。
【0036】
前記(S4004)および(S4005)の差分取得においては、図8および図9に示すようなトイレ初期画像と使用者入室後の画像との複合状態から図10および図11に示すように、使用者が抽出された画像となり、そしてこのフィルタがかかった状態において、図12および図13に示すように、最終的にエッジ検出が行われ、図12の正常状態では使用者が異常ゾーンEに入っていないのに対して図13では使用者が異常ゾーンEに入っているのが明確に検出される。
【0037】
また、図4に示すように、前記使用者の入室時にはLED2を点灯させる(S4009)と同時に入室時間の計測を開始する(S4010)。そして、時間計測(S4010)において、入室時間が予め設定した所定時間を経過したか否かを検知し(S4013)、経過した場合には、異常状態情報を発報する(S4014)。また、前記異常ゾーンへの進入時間についても計測を行っても良く、この場合、使用者情報が使用者の健康状態が非常に悪いようなものであった場合には、異常ゾーンEへの進入時点で異常状態情報が発報されるし、使用者の健康状態が良好である使用者情報の場合には、異常ゾーンへの進入時間が所定時間に達した時点で異常状態情報を発報する。また、必要に応じて退室があるか否かを検知し(S4015)、退室した場合には、LED2を消灯させる(S4016)。
【0038】
また更に、図14に示すように、トイレの使用者の身体が大きい場合には、該使用者が上体を真っ直ぐにして便座Bに座っている正常状態においても、使用者の身体が予め設定した境界線L1・L2を超えて異常ゾーンEに進入してしまうときがある。この場合、使用者は実際には正常状態であるにもかかわらず、前記状況判断部12で異常状態と判断される。
【0039】
そのため、図15に示すように、前記トイレ見守り装置1に身体計測部14および検出補正部15を設けたトイレ見守り装置21として、便座Bに座った使用者をカメラ3で撮影した撮影画像について、トイレ画像処理部11で得られるエッジから身体計測部14で使用者の身体サイズを計測し、検出補正部15で、前記計測結果が所定範囲を超えている否かを検知すると共に、超えている場合に、境界線L1・L2を壁W側に移動させて異常ゾーンEを狭くし、異常ゾーン検知部9を介して最終的に状況判断部12において正常/異常を判断することとする。
【0040】
なお、その他の点は前記実施形態と同様であるため、前記実施形態と同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0041】
図16に示すように、当該トイレ見守り装置21による処理の一例を説明すると、所定のスイッチON操作があるまで待機し、スイッチON操作があった時点で見守り装置21の動作を開始する。そして、先ずトレイ不使用時のトイレ初期画像を予め記憶しておき、その後、トイレへの使用者の入退室を検知し(S1601)、入室した使用者を撮影する(S1602)。その後、撮影した画像と前記トイレ初期画像との差分をとり(S1603)、差分後の画像にフィルタをかけて二値化し、エッジを検出する(S1604)。
【0042】
次に、検出したエッジから使用者の身体サイズを計測し(S1605)、その計測結果が所定範囲を超えている否かを検知し(S1606)、超えている場合には異常ゾーンEの補正を行う(S1607)。その後、検出したエッジがトイレ内の異常ゾーンE内にあるか否かを検知し(S1608)、該検知結果に基づいて異常状態か否かを判断し(S1609)、異常状態である場合に異常状態情報を発報する(S1610)。
【0043】
なお、本実施形態では、トイレの使用者がもともと所定範囲を超える身体サイズであった場合に、検出補正部15で異常ゾーンEを狭めるようにしたが、異常ゾーンEは狭めないでそのままとし、検出したエッジを検出補正部15で所定範囲内に収まるように補正しても良い。
【0044】
更に、図17に示すように、前記実施形態に係るトイレ見守り装置21について、外部からの呼びかけを受信し、また呼びかけに対する応答を送信する送受信部32と、外部からの呼びかけを再生するスピーカー33と、外部からの呼びかけに対する応答音声を取得するマイクロフォン34とを有する新たなトイレ見守り装置31としても良い。
【0045】
前記トイレ見守り装置31によるトイレ見守り方法の基本的なステップは、図16に示したものと同様であるが、異常状態の発報(S4014)(S1610)がトイレ使用者を見守る家族や介護事業者の携帯端末等に行われた際に、該携帯端末等からトレイ使用者に対して音声で呼びかけが行われ、これによってトイレ使用者に異常状態が確認される。
【0046】
すなわち、前記呼びかけに対して、トイレ使用者の応答がない場合や応答があったものの、トイレ使用者自身が異常を訴えた場合には、異常が確認され、前記家族や介護事業者がトイレに駆けつけることとなる。
【0047】
一方、トイレ使用者が応答して異常状態ではないと応答した場合には、先の異常状態の発報が訂正される。
【0048】
なお、前記音声での呼びかけによって行う異常状態の確認は、前述したトイレ使用者の身体サイズの補正を行う実施形態だけでなく、これを行わない冒頭の実施形態についても適用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係るトイレ見守り方法およびこれに用いる見守り装置によれば、低コストで、しかも容易且つ確実に、トイレにおける老人等の見守りが可能となるため、病院等の医療分野や介護分野等において幅広い利用が期待できる、
【符号の説明】
【0050】
1 トイレ見守り装置
2 LED
3 カメラ
4 人感センサ
5 見守り実行部
6 タイマー
B 便座
L1・L2 境界線
E 異常ゾーン
図1
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